1 00:00:02,769 --> 00:00:04,771 《俺の名前は 野原ひろし》 2 00:00:04,771 --> 00:00:07,774 《双葉商事に勤めるサラリーマンだ》 3 00:00:07,774 --> 00:00:11,762 《この日は 後輩の川口と 外回りをしていたのだが…》 4 00:00:11,762 --> 00:00:15,766 いや~。 先方のリアクション 好感触でホッとしたな。 5 00:00:15,766 --> 00:00:17,784 (川口)はあ…。 6 00:00:17,784 --> 00:00:21,722 俺たちのチームプレーも いよいよ 磨きがかかってきたんじゃないか? 7 00:00:21,722 --> 00:00:23,740 …どうでしょうね。 8 00:00:23,740 --> 00:00:27,778 おい 川口。 なんだよ その 朝から ずっと不機嫌丸出しの態度は。 9 00:00:27,778 --> 00:00:30,731 取引先では 礼儀正しくしてるじゃないですか。 10 00:00:30,731 --> 00:00:35,786 そういう問題じゃない。 俺とお前の関係性の話だろ? 11 00:00:35,786 --> 00:00:37,754 別に いいでしょ…。 12 00:00:37,754 --> 00:00:40,741 先輩には 高桐くんがいるんだし。 13 00:00:40,741 --> 00:00:42,776 えっ? 高桐くん? 14 00:00:42,776 --> 00:00:45,746 僕の知らないところで どんどん仲良くなってますもんね。 15 00:00:45,746 --> 00:00:48,799 《高桐くんとは 我が社の新入社員》 16 00:00:48,799 --> 00:00:52,786 《確かに 最近 彼とは 一緒に食事する仲で→ 17 00:00:52,786 --> 00:00:55,789 世代が違うなりに距離が縮まってきた》 18 00:00:55,789 --> 00:00:57,774 そりゃそうか。 19 00:00:57,774 --> 00:01:01,778 高桐くんは 優秀だし爽やかだし 僕なんかより ずっと→ 20 00:01:01,778 --> 00:01:04,748 かわいがりたくなりますよねえ。 21 00:01:04,748 --> 00:01:08,769 《もしかして 川口の奴 嫉妬してるのか?》 22 00:01:08,769 --> 00:01:12,339 お… おい。 そりゃ誤解ってもんだよ。 誤解? 23 00:01:12,339 --> 00:01:14,758 確かに 高桐くんは いい奴だけど→ 24 00:01:14,758 --> 00:01:18,779 だからって お前が大切な後輩であることに 変わりはないんだから。 25 00:01:18,779 --> 00:01:20,764 じゃあですよ 先輩。 26 00:01:20,764 --> 00:01:24,735 もし 僕と高桐くんが 同時に 大量の仕事を抱えて困っていたら→ 27 00:01:24,735 --> 00:01:27,738 どっちを助けますか? えっ? 28 00:01:27,738 --> 00:01:29,756 (高桐あきたけ)係長 助けてください。 29 00:01:29,756 --> 00:01:31,758 いえ 先輩 僕のほうを…。 30 00:01:31,758 --> 00:01:33,760 うう… う~ん…。 31 00:01:34,745 --> 00:01:37,781 でも ほら 高桐くんは新入社員だしさ→ 32 00:01:37,781 --> 00:01:39,733 川口は自分の力で…。 33 00:01:39,733 --> 00:01:42,786 そういう話をしてるんじゃないんです! わかりました。 34 00:01:42,786 --> 00:01:46,757 じゃあ 僕と高桐くんが 宇宙人にUFOでさらわれそうになっていたら→ 35 00:01:46,757 --> 00:01:48,759 どっちを助けますか!? はあ? 36 00:01:49,743 --> 00:01:52,763 (高桐)係長~! (川口)先輩~! 37 00:01:52,763 --> 00:01:55,816 (高桐・川口)助けてくださーい! いや どういう状況だよ! 38 00:01:55,816 --> 00:01:58,769 なんだ 宇宙人にさらわれるって…。 (川口)ああーっ! 39 00:01:58,769 --> 00:02:01,805 僕じゃないんだ! 迷わず僕じゃないんだぁぁーーっ! 40 00:02:01,805 --> 00:02:04,808 《こ… こいつ 超面倒くせえ…》 41 00:02:05,809 --> 00:02:07,761 まあまあまあ… それより ほら→ 42 00:02:07,761 --> 00:02:11,765 午後の仕事の前に どっかでメシでも食べようぜ。 43 00:02:11,765 --> 00:02:13,734 …先輩のおごりですか? 44 00:02:13,734 --> 00:02:17,738 わかった。 今日はおごりでいいよ。 ほら 行こう。 45 00:02:17,738 --> 00:02:24,044 ♬~ 46 00:03:58,789 --> 00:04:02,776 …で 何が食べたい? あんまり高いものはダメだけど。 47 00:04:02,776 --> 00:04:05,779 じゃあ カレーがいいです。 48 00:04:05,779 --> 00:04:07,781 よーし カレーだな。 49 00:04:07,781 --> 00:04:12,786 おっ! いかにも本格的って感じの インド料理の店があるぞ。 50 00:04:12,786 --> 00:04:14,771 ここにするか。 はい! 51 00:04:15,772 --> 00:04:17,791 (印土株伶男)いらっしゃいませ。 52 00:04:17,791 --> 00:04:20,777 ビリヤニ専門店 ビリビリヤーニーへ ようこそ。 53 00:04:20,777 --> 00:04:23,780 私 オーナーの印土株伶男と申します。 54 00:04:23,780 --> 00:04:26,767 ビリヤニ…? なんですか? それ。 55 00:04:26,767 --> 00:04:29,769 インドが起源で 周辺国でも食べられている→ 56 00:04:29,769 --> 00:04:32,806 スパイスをふんだんに使った 炊き込みご飯です。 57 00:04:32,806 --> 00:04:34,791 へえ~。 58 00:04:34,791 --> 00:04:36,793 (印土)さあさあ どうぞ テーブルへ。 59 00:04:37,794 --> 00:04:43,767 《はあ~ こんな本格的な店を 日本人のオーナーがやってるのか…》 60 00:04:43,767 --> 00:04:45,752 (川口)ねえ 先輩。 ん? 61 00:04:45,752 --> 00:04:54,644 さっき 「ビリヤニ専門店」って 言ってましたよね? 62 00:04:51,775 --> 00:04:54,778 ええ? でも インド料理の店だぞ? 63 00:04:54,778 --> 00:04:56,780 カレーがないわけ…。 64 00:04:56,780 --> 00:05:01,751 な… ない! メニューのどこにも カレーがないぞ!? 65 00:05:01,751 --> 00:05:11,328 ほら やっぱり。 じゃあ 出ましょう。 66 00:05:07,757 --> 00:05:13,129 あ~ 最悪だ…。 67 00:05:12,829 --> 00:05:25,041 《ったく… もう~ せっかく機嫌直ってきたと思ったら…》 68 00:05:22,772 --> 00:05:26,793 そんな簡単に 気持ちは切り替えられませんよ。 69 00:05:26,793 --> 00:05:29,779 《こいつ なんて頑固なんだ…》 70 00:05:29,779 --> 00:05:41,074 《だが ここは 頭ごなしに怒るのではなく…》 71 00:05:35,785 --> 00:05:39,789 新しいものに挑戦するってのは 大事なことだぞ。 72 00:05:39,789 --> 00:05:41,808 ほら イノベーションってやつだ。 73 00:05:41,808 --> 00:05:43,793 イノベーション… ですか。 74 00:05:43,793 --> 00:05:47,814 先輩は 本当に 新しいものが好きですね。 75 00:05:47,814 --> 00:05:49,766 えっ? 76 00:05:49,766 --> 00:05:51,801 ビリヤニ 高桐くん。 77 00:05:51,801 --> 00:05:53,803 おい! また その話かよ。 78 00:05:53,803 --> 00:05:57,791 イノベーションなんて必要ない! 長い付き合いを大切にしましょうよ! 79 00:05:57,791 --> 00:06:01,861 僕は絶対 普通のカレーしか食べませんからね。 お前なあ! 80 00:06:01,861 --> 00:06:03,797 (印土)まあまあ お二方。 (川口・ひろし)うわあっ! 81 00:06:03,797 --> 00:06:05,782 他のお客様も いらっしゃいますし。 82 00:06:05,782 --> 00:06:07,767 ああ… すみません。 83 00:06:07,767 --> 00:06:11,738 食事は楽しくしましょう。 はい…。 84 00:06:11,738 --> 00:06:16,793 …にしても このお店 外国人のお客さんが多いんですね。 85 00:06:16,793 --> 00:06:21,765 実は この辺りには 外資系のITベンチャー企業が多くありまして。 86 00:06:21,765 --> 00:06:32,959 エリートビジネスパーソンの方々が→ 87 00:06:26,736 --> 00:06:29,756 あちらは カッケー・タイガー社のCEO。 88 00:06:29,756 --> 00:06:33,810 あの方は デッケー・エレファント社のCOOで→ 89 00:06:33,810 --> 00:06:36,763 あの方は リリシー・ジャッカル社のCTOです。 90 00:06:36,763 --> 00:06:39,749 へえ~ 全部…。 全部…→ 91 00:06:39,749 --> 00:06:41,751 聞いたことある会社だ~! えっ…。 92 00:06:41,751 --> 00:06:44,754 ここ そんなにすごいお店だったんですね! 93 00:06:44,754 --> 00:06:47,757 先輩 僕たちも 世界のビジネスパーソンに肩を並べるため→ 94 00:06:47,757 --> 00:06:49,793 ビリヤニを食べましょう! 95 00:06:49,793 --> 00:06:53,813 《お… お前… さっきと言ってることが違うじゃねえか》 96 00:06:53,813 --> 00:06:55,765 ビリヤニは3種類あるのか。 97 00:06:55,765 --> 00:06:58,802 チキン マトン 野菜…。 98 00:06:58,802 --> 00:07:05,659 じゃあ ビリヤニセットのマトンで。 はい。 99 00:07:04,791 --> 00:07:06,793 かしこまりました。 100 00:07:07,794 --> 00:07:10,797 いや~ 楽しみだなあ ビリヤニ。 101 00:07:10,797 --> 00:07:13,767 あれ? 先輩 どうしました? 102 00:07:13,767 --> 00:07:15,752 いや 別に…。 103 00:07:15,752 --> 00:07:17,804 もう~ 気持ちを切り替えて→ 104 00:07:17,804 --> 00:07:19,756 ビリヤニという未知の料理を 楽しみましょうよ! 105 00:07:19,756 --> 00:07:22,759 《それ まんま俺が言ったことじゃねえか!》 106 00:07:22,759 --> 00:07:26,763 《まあ でも これ以上ぶつかるのは やめとくか…》 107 00:07:26,763 --> 00:07:30,750 しかし この店 なんで ビリヤニ以外は 出してないんだろうなあ…。 108 00:07:30,750 --> 00:07:32,769 やはり 気になりますよね。 109 00:07:32,769 --> 00:07:35,755 うわっ! ま… まだ何か…? 110 00:07:35,755 --> 00:07:37,774 せっかくなので お料理ができるまで→ 111 00:07:37,774 --> 00:07:41,795 私の ビリヤニへの思いをお話しできればと。 いや…。 112 00:07:41,795 --> 00:07:44,764 ぜひ 聞かせてください! 《こいつ また…》 113 00:07:44,764 --> 00:07:46,800 では。 114 00:07:46,800 --> 00:07:51,788 実は 私 元々 インドのIT企業で働いておりまして。 115 00:07:51,788 --> 00:07:56,793 ある時 初めて食べたビリヤニの美味しさに 衝撃を受けたのです。 116 00:07:56,793 --> 00:08:00,797 こんなに美味しい料理が 日本では まだ よく知られていない。 117 00:08:00,797 --> 00:08:03,783 だったら 自分が店を出して広めたい! 118 00:08:03,783 --> 00:08:10,423 そう ビリヤニと出会って→ 119 00:08:10,423 --> 00:08:19,249 自分にイノベーションが 起きたのです! 120 00:08:12,776 --> 00:08:16,796 お店は 最初から ビリヤニ専門店にするつもりでした。 121 00:08:16,796 --> 00:08:20,784 カレーも出すと みんな カレーしか頼まないと思ったからです。 122 00:08:20,784 --> 00:08:22,769 ただ そこで苦労したのが→ 123 00:08:22,769 --> 00:08:25,805 そんな店で働いてくれるシェフを探すこと。 124 00:08:25,805 --> 00:08:28,792 何度も何度も断られ…→ 125 00:08:28,792 --> 00:08:31,795 それでも 私は どうしても諦めきれず…。 126 00:08:31,795 --> 00:08:43,540 そして ついに 今のシェフと出会うことができました。 127 00:08:38,768 --> 00:08:40,787 というわけです。 なるほど。 128 00:08:40,787 --> 00:08:42,772 そんな歴史が…。 (川口)うっ…。 129 00:08:42,772 --> 00:08:44,824 《えっ 泣いてる?》 130 00:08:44,824 --> 00:08:58,855 いい話ですね 感動しました! 131 00:08:49,763 --> 00:08:52,782 ちょうど料理もできた頃かと思いますので お持ちしますね。 132 00:08:52,782 --> 00:08:55,802 自分にイノベーションか…。 133 00:08:55,802 --> 00:08:57,804 いい言葉だなあ。 134 00:08:57,804 --> 00:09:00,807 《さっきは イノベーションなんて必要ない って言ってたくせに…》 135 00:09:00,807 --> 00:09:02,792 大変 お待たせいたしました。 136 00:09:02,792 --> 00:09:05,812 お好みで ヨーグルトソースをおかけください。 137 00:09:05,812 --> 00:09:07,797 (2人)おお~っ! 138 00:09:08,782 --> 00:09:13,770 《これはこれは 華やかな色合いで美しいなあ!》 139 00:09:13,770 --> 00:09:17,774 《異国の情緒を感じさせる細長い米 その一粒一粒に→ 140 00:09:17,774 --> 00:09:20,810 うまみがギュッと詰まっていることが 見て取れる!》 141 00:09:20,810 --> 00:09:23,780 《そして このヨーグルトソースをかけたら→ 142 00:09:23,780 --> 00:09:26,750 また違った味わいになりそうだ》 143 00:09:26,750 --> 00:09:37,660 《こいつは 俺を 未知の領域に連れていってくれそうだぜ!》 144 00:09:33,790 --> 00:09:36,760 《おおっ! スパイスのビッグウェーブ!》 145 00:09:36,760 --> 00:09:42,048 《しかも かむごとに いろんなスパイスが 次から次へと どんどん現れてくる!》 146 00:09:42,048 --> 00:09:47,771 《カレーよりも 一つ一つのスパイスの主張が ダイレクトに伝わってくるな》 147 00:09:47,771 --> 00:09:49,773 《そして お次は このチキンを…》 148 00:09:50,807 --> 00:09:53,793 《う~ん! しっかり下味がついてる!》 149 00:09:53,793 --> 00:10:04,838 《タンドリーチキンのような感じだ》 150 00:10:00,784 --> 00:10:02,819 だな! 151 00:10:02,819 --> 00:10:04,754 《おっ! ホールスパイス》 152 00:10:04,754 --> 00:10:07,757 《パウダーじゃなくて 元の形のままか》 153 00:10:08,758 --> 00:10:13,847 《うわっ 強烈! 香りが鼻から抜ける~!》 154 00:10:13,847 --> 00:10:18,835 《そして さあ ここに ヨーグルトソースをかけてみると…》 155 00:10:19,769 --> 00:10:21,771 《うん。 うまい!》 156 00:10:21,771 --> 00:10:23,773 《爽やかな酸味と→ 157 00:10:23,773 --> 00:10:26,759 刻んだ野菜のシャキシャキ感が 素晴らしいぞ!》 158 00:10:26,759 --> 00:10:36,536 《いろんなスパイスの組み合わせが 最高の味を生む》 159 00:10:33,766 --> 00:10:36,753 ああ… このままじゃダメだぁぁーっ! 160 00:10:36,753 --> 00:10:38,755 うわっ! ど… どうした!? 川口。 161 00:10:38,755 --> 00:10:41,758 ビリヤニの美味しさに いてもたってもいられなくなって→ 162 00:10:41,758 --> 00:10:44,811 僕も この味を日本に伝えると決めた オーナーのように→ 163 00:10:44,811 --> 00:10:47,814 自分にイノベーションを起こしてみせます! 164 00:10:47,814 --> 00:10:51,751 おお… そうか やる気が出てきたか。 はい! 165 00:10:51,751 --> 00:10:54,787 よーし! 一緒に これからの双葉商事を背負っていこうな! 166 00:10:54,787 --> 00:10:56,789 (川口)いえ! えっ? 167 00:10:56,789 --> 00:10:59,776 僕にとってのイノベーション… それは→ 168 00:10:59,776 --> 00:11:02,812 双葉商事の外にある気がします。 はっ? 169 00:11:02,812 --> 00:11:06,799 ああ… なんか 一気に 視野が広がった感じがする! 170 00:11:06,799 --> 00:11:08,801 何を 僕は ちっぽけな世界の中で→ 171 00:11:08,801 --> 00:11:11,771 一喜一憂してたんだろう。 172 00:11:11,771 --> 00:11:13,790 お… おい 待て 川口。 173 00:11:13,790 --> 00:11:16,793 困るよ そんな急に でかいスケールで考えられても…。 174 00:11:16,793 --> 00:11:19,812 いいじゃないですか。 先輩には→ 175 00:11:19,812 --> 00:11:23,766 高桐くんがいるんだし~。 結局 そこの話に戻ってくるのかよ! 176 00:11:23,766 --> 00:11:26,786 わかった。 今度は 必ず 川口も誘うようにするから…。 177 00:11:26,786 --> 00:11:37,030 (川口)もう遅いですよ 先輩。 えっ? 178 00:11:33,776 --> 00:11:35,762 どんどん組織を離れていきますから。 179 00:11:35,762 --> 00:11:39,232 《優秀な人材って 自分のことか?》 180 00:11:39,232 --> 00:11:40,783 (川口)よーし! そうと決めたら…。 181 00:11:40,783 --> 00:11:42,819 えっ おい…! 182 00:11:42,819 --> 00:11:44,787 私 こういう者でして…。 183 00:11:44,787 --> 00:11:54,147 《カッケー・タイガー社のCEOのところに…》 184 00:11:50,827 --> 00:11:52,812 どうか私を 御社で雇ってください! 185 00:11:52,812 --> 00:11:54,814 《いや 直球!》 186 00:11:54,814 --> 00:11:57,767 いきなり言われましても…。 そうですか… 失礼しました! 187 00:11:57,767 --> 00:11:59,786 お… おい。 188 00:11:59,786 --> 00:12:01,771 私 こういう者でして! 189 00:12:01,771 --> 00:12:04,774 《今度は デッケー・エレファント社の… って 黙って見てる場合じゃない!》 190 00:12:04,774 --> 00:12:24,193 今 ここで 私の資質を見極められるかどうかが… むぐっ。 191 00:12:12,815 --> 00:12:15,785 何やってんだよ! そんな急に雇ってもらえるわけないだろ! 192 00:12:15,785 --> 00:12:19,756 そんなの わからないじゃないですか! 邪魔しないでください! 193 00:12:19,756 --> 00:12:21,791 僕は… 僕は新しい場所で→ 194 00:12:21,791 --> 00:12:34,270 イノベーションを起こすんだ~! 195 00:12:28,765 --> 00:12:30,767 (川口)ああっ CTOが帰っちゃう! 待ってくださーい! 196 00:12:30,767 --> 00:12:32,769 ぐっ… ああっ! 197 00:12:32,769 --> 00:12:34,787 (川口が倒れる音) お… おい 川口! 198 00:12:34,787 --> 00:12:43,913 足 ひねったぁぁーーっ! 199 00:12:39,792 --> 00:12:42,779 ああっ… 僕のイノベーションが→ 200 00:12:42,779 --> 00:12:44,781 去っていくぅぅ~~! 201 00:12:47,750 --> 00:12:49,786 (川口)アイタタタタ…。 202 00:12:49,786 --> 00:12:51,771 (ため息) 203 00:12:51,771 --> 00:12:56,759 僕 やっぱり 双葉商事で頑張ります。 ああ そうしてくれ。 204 00:12:56,759 --> 00:12:59,762 とりあえず 一度 会社に戻ろう。 205 00:12:59,762 --> 00:13:04,934 …で このタクシー代は→ 206 00:13:04,817 --> 00:13:06,819 お前なあ! 207 00:13:04,934 --> 00:13:06,919 先輩のおごりですか? 208 00:13:08,755 --> 00:13:10,757 ごちそうさまでした。 209 00:13:13,743 --> 00:13:21,734 (四杉 遥)お待たせいたしました。 210 00:13:20,750 --> 00:13:22,769 アルバイトを始めました》 211 00:13:21,734 --> 00:13:28,875 《私 大学生の四杉遥》 212 00:13:22,769 --> 00:13:30,393 (萌美)はーるか! (遥)えっ? 213 00:13:27,790 --> 00:13:30,760 (さやか)遥が ちゃんと働いてるか チェックしなきゃと思って。 214 00:13:30,760 --> 00:13:32,745 (遥)フフッ… 何それ。 215 00:13:32,745 --> 00:13:35,748 (萌美)のびのびやってるみたいで安心したよ。 216 00:13:35,748 --> 00:13:40,770 (遥)うん。 ただ… 人生の選択ってなると ちょっと悩んじゃうよね。 217 00:13:40,770 --> 00:13:42,755 人生の選択? 218 00:13:42,755 --> 00:13:44,757 実は このお店の面接を受けた時…。 219 00:13:45,775 --> 00:13:48,745 大学を卒業したあとのこととか もう 考えてるの? 220 00:13:48,745 --> 00:13:50,747 えっ? い… いえ…。 221 00:13:51,748 --> 00:13:55,752 あれ ゆくゆくは2号店を作って 私に任せたいっていう→ 222 00:13:55,752 --> 00:13:57,770 お誘いだと思うんだよね。 223 00:13:57,770 --> 00:14:04,527 (萌美・さやか)えっ…? (遥)でも やるなら→ 224 00:14:02,859 --> 00:14:21,894 (男性)すいませーん! (遥)はい ただ今! 225 00:14:09,716 --> 00:14:12,719 勘違いで突っ走っていくところは 相変わらずね。 226 00:14:14,754 --> 00:14:16,723 (野原ひろし)さーてと…。 227 00:14:16,723 --> 00:14:19,709 《今日は 午後イチで会社に戻って 部長と打ち合わせだ》 228 00:14:19,709 --> 00:14:23,730 《どこで昼メシを食うか のんびり考えてる暇はない》 229 00:14:23,730 --> 00:14:26,716 《おっ! パスタ屋か…》 230 00:14:26,716 --> 00:14:28,718 《よし ここにしよう》 231 00:14:29,752 --> 00:14:39,796 あ~ 美味しかった! 232 00:14:34,707 --> 00:14:36,726 あっ いらっしゃいませ…。 233 00:14:36,726 --> 00:14:39,729 《ああっ!? こ… この人…》 234 00:14:39,729 --> 00:14:44,751 《前のバイト先で 私にアプローチをかけてきたお客さん!》 235 00:14:44,751 --> 00:14:48,755 《まさか 新しいバイト先にまで 来るなんて…》 236 00:14:48,755 --> 00:14:50,757 《いやあぁぁーーっ!》 237 00:14:50,757 --> 00:14:53,743 あの… 1名なんですけど。 238 00:14:53,743 --> 00:14:57,747 あっ はい… こちらのお席に どうぞ。 239 00:14:58,731 --> 00:15:03,736 《さて 打ち合わせに向けて もう一度 資料の確認をしておくか》 240 00:15:03,736 --> 00:15:05,772 《ああ 憂鬱だな…》 241 00:15:05,772 --> 00:15:08,708 《きっと 私が席に来るのを待ち構えて…》 242 00:15:08,708 --> 00:15:11,711 《あれ? あの人 仕事してる?》 243 00:15:11,711 --> 00:15:14,730 《すごく真剣な表情…》 244 00:15:14,730 --> 00:15:17,733 《なんか ちょっと かっこいいかも…》 245 00:15:17,733 --> 00:15:19,752 《…って 「キュン」じゃないでしょ!》 246 00:15:19,752 --> 00:15:22,755 《デキる男のふりをして 私の気を引こうって魂胆ね》 247 00:15:22,755 --> 00:15:24,740 《危ない 危ない…》 248 00:15:24,740 --> 00:15:38,020 お水でございます。 249 00:15:28,744 --> 00:15:30,746 こちら 日替わりのランチメニューでして…。 250 00:15:30,746 --> 00:15:32,732 へえ~。 本日は…。 251 00:15:32,732 --> 00:15:35,735 (携帯電話の振動音) 《川口? なんの用だ?》 252 00:15:35,735 --> 00:15:38,754 のちほど また お伺いしますね。 ああ… いや。 253 00:15:38,754 --> 00:15:41,774 《打ち合わせまで時間もないし とにかく頼んじまおう》 254 00:15:41,774 --> 00:15:44,727 じゃあ その日替わりで お願いします。 255 00:15:44,727 --> 00:15:47,763 お飲み物は? アイスコーヒーで。 256 00:15:47,763 --> 00:15:49,765 (遥)かしこまりました。 257 00:15:51,734 --> 00:15:53,769 はい もしもし。 258 00:15:53,769 --> 00:15:56,756 (川口)「すいません 今 ちょっといいですか?」 ああ どうした? 259 00:15:56,756 --> 00:15:58,774 (川口)今度 仕事で知り合った人の→ 260 00:15:58,774 --> 00:16:01,794 ホームパーティーに 行くことになったんですけど…。 261 00:16:01,794 --> 00:16:03,729 「へえ~ いいじゃないか」 262 00:16:03,729 --> 00:16:15,458 その家のお子さんがミニカーが好きらしくて お土産に買っていこうと思うんですが→ 263 00:16:11,754 --> 00:16:15,775 そうだなあ。 スポーツカーの2~3台 ポーンと買えばいいんじゃないか? 264 00:16:15,775 --> 00:16:17,710 《えっ!?》 265 00:16:17,710 --> 00:16:19,729 そんなに高いもんでもねえだろ。 266 00:16:19,729 --> 00:16:21,747 《ス… スポーツカーをポーンと!?》 267 00:16:21,747 --> 00:16:23,733 《何!? その金銭感覚》 268 00:16:23,733 --> 00:16:26,786 ジェット機もいいな。 《ジェット機!?》 269 00:16:26,786 --> 00:16:28,771 (遥)《この人は 一体…》 270 00:16:28,771 --> 00:16:31,824 《見た目は ごく普通のサラリーマンだけど…》 271 00:16:31,824 --> 00:16:33,743 (男性)注文いいですか? (遥)あっ はい! 272 00:16:33,743 --> 00:16:36,746 じゃあ もう いいか? (川口)「あっ もう一つ」 273 00:16:36,746 --> 00:16:39,749 ホームパーティーで 僕も 一品 作ることになっちゃって…。 274 00:16:39,749 --> 00:16:56,115 マーボー豆腐とチンジャオロースだったら どっちがいいと思います? 275 00:16:47,773 --> 00:16:54,163 10人くらいのパーティーなんですけど→ 276 00:16:53,746 --> 00:16:55,781 豆腐は3丁…→ 277 00:16:55,781 --> 00:16:58,768 いや 念には念をだ。 4丁 用意していいかもしれないな。 278 00:16:58,768 --> 00:17:00,786 《えっ!? ヨンチョウって…→ 279 00:17:00,786 --> 00:17:02,788 4兆円!?》 280 00:17:02,788 --> 00:17:06,726 《この人 そんな とてつもなく大きい ビジネスをしているの!?》 281 00:17:06,726 --> 00:17:09,762 《能ある鷹は爪を隠す…》 282 00:17:09,762 --> 00:17:12,732 《これが 本物のエリートサラリーマンの姿!》 283 00:17:12,732 --> 00:17:16,736 でも ちゃんと作れるかなあ…。 「大丈夫だ 川口」 284 00:17:16,736 --> 00:17:19,739 お前ならできる。 先輩として応援してるぞ。 285 00:17:19,739 --> 00:17:23,743 《電話してる相手は 川口さんっていうんだ》 286 00:17:23,743 --> 00:17:26,712 《あの人の後輩なんだから 相当 優秀よね》 287 00:17:26,712 --> 00:17:40,593 《こんな感じ?》 288 00:17:32,735 --> 00:17:40,826 このビジネスは世界を変える! 289 00:17:38,741 --> 00:17:45,348 先輩 情熱だけじゃ 人は動かせませんよ。 290 00:17:43,763 --> 00:17:46,732 (遥)《難しい契約をバンバンまとめて…》 291 00:17:46,732 --> 00:17:49,769 俺のことなんか放っておいてください! 292 00:17:49,769 --> 00:18:04,617 放っておけるわけねえだろうが! ぐわっ! 293 00:17:54,724 --> 00:18:03,933 川口がいなきゃ 俺は何もできねえよ。 294 00:18:03,733 --> 00:18:06,752 《うわぁぁ~! 最高のバディー!》 295 00:18:03,933 --> 00:18:06,936 それは お互いさまですから。 296 00:18:06,752 --> 00:18:09,739 (店長)遥ちゃん。 日替わりパスタお出しして。 297 00:18:09,739 --> 00:18:12,758 す… すいません! ああ 頑張れよ。 298 00:18:12,758 --> 00:18:22,418 じゃあな。 (電話を切る音) 299 00:18:20,750 --> 00:18:23,719 (遥)日替わりパスタ お待たせいたしました。 300 00:18:22,418 --> 00:18:31,994 《やれやれ とんだ長電話になっちまったな…》 301 00:18:23,719 --> 00:18:25,738 《…って 来ちまったか》 302 00:18:25,738 --> 00:18:27,723 えっ!? 303 00:18:28,774 --> 00:18:31,711 《これは イカスミパスタ!》 304 00:18:31,711 --> 00:18:35,748 《多種多様なパスタ界の中でも とびっきりの個性派と言っていいだろう》 305 00:18:35,748 --> 00:18:40,753 《具材は イカにタマネギ マッシュルームと… 唐辛子か?》 306 00:18:40,753 --> 00:18:47,310 《それら全てが 漆黒の闇に包まれている》 307 00:18:47,310 --> 00:18:53,816 《お前が 本日の日替わりパスタだったのか!》 308 00:18:53,749 --> 00:18:55,735 《イカスミパスタか…》 309 00:18:53,816 --> 00:18:57,820 紙エプロン お使いになりますか? ああ… はい。 310 00:18:55,735 --> 00:18:59,739 《一時期 流行ってたようだが どうも 手が出なかったんだよな》 311 00:18:59,739 --> 00:19:12,201 《まあ とにかく 頂いてみるか》 312 00:19:06,746 --> 00:19:08,748 《ええい… ままよ!》 313 00:19:09,749 --> 00:19:11,767 《えっ…?》 314 00:19:11,767 --> 00:19:15,771 《う… うまい! おいおい いけるじゃねえか!》 315 00:19:15,771 --> 00:19:18,758 《塩味だが ほのかに甘くてコクがある!》 316 00:19:18,758 --> 00:19:21,744 《このトロッとした食感が たまんねえな》 317 00:19:21,744 --> 00:19:24,797 《イカのうまみを ギュギュッと凝縮したようなエキスの中で→ 318 00:19:24,797 --> 00:19:27,767 ニンニクと唐辛子がバッチリ利いていて…》 319 00:19:27,767 --> 00:19:30,736 《そして このままでも十分うまいが→ 320 00:19:30,736 --> 00:19:34,740 ホットソースを入れたら もっと うまくなる気がする!》 321 00:19:36,792 --> 00:19:38,728 《うん やっぱり!》 322 00:19:38,728 --> 00:19:40,713 《よーし もっと入れちまおう》 323 00:19:40,713 --> 00:19:42,732 《あんな超エリートな人でも→ 324 00:19:42,732 --> 00:19:46,752 こういう庶民的な店で 日替わりパスタ食べたりするんだ…》 325 00:19:46,752 --> 00:19:50,723 《でも さすがに 私なんかに アプローチをかけてるっていうのは→ 326 00:19:50,723 --> 00:19:52,742 勘違いなのかな?》 327 00:19:52,742 --> 00:19:56,746 《でもでも それじゃあ 説明のつかないことが多すぎるし…》 328 00:19:56,746 --> 00:19:59,782 《ああっ モヤモヤする~!》 329 00:19:59,782 --> 00:20:02,752 《こんなうまいパスタを 食わず嫌いしていたなんて…→ 330 00:20:02,752 --> 00:20:04,754 もったいないことをしていたな》 331 00:20:05,788 --> 00:20:07,757 カルボナーラ お願いします。 332 00:20:07,757 --> 00:20:10,726 《今までだって ずっと…》 333 00:20:10,726 --> 00:20:12,745 この ボンゴレビアンコで。 334 00:20:12,745 --> 00:20:15,748 《イカスミパスタは 俺のそばにいたのに→ 335 00:20:15,748 --> 00:20:27,927 勝手に自分の中の選択肢から外していた》 336 00:20:22,755 --> 00:20:24,724 出会えて よかった。 337 00:20:24,724 --> 00:20:26,759 (遥)《えっ…?》 338 00:20:26,759 --> 00:20:28,727 《やっぱり…》 (お盆が落ちる音) 339 00:20:28,727 --> 00:20:31,730 《私に会いに ここまで来たんだ!》 340 00:20:31,730 --> 00:20:33,716 《恐らくは…》 341 00:20:33,716 --> 00:20:35,735 明日はドイツで商談。 342 00:20:35,735 --> 00:20:54,220 そのあとは スイス フランス スペインですね。 343 00:20:40,723 --> 00:20:43,726 どうしても日本に 会いたい子がいるんだ。 344 00:20:44,727 --> 00:20:48,731 そんなこと言ってる場合じゃないのは 承知してる。 でも…。 345 00:20:48,731 --> 00:20:50,749 わかってましたよ。 先輩の気持ちは。 346 00:20:50,749 --> 00:20:52,752 えっ? (ヘリコプターの飛行音) 347 00:20:52,752 --> 00:20:57,756 (川口)行ってください。 商談のほうは 俺一人で大丈夫ですから。 348 00:20:58,741 --> 00:21:01,744 川口! ありがとうなーっ! 349 00:21:02,762 --> 00:21:04,730 《…的な やり取りがあって》 350 00:21:04,730 --> 00:21:23,065 あの…。 えっ? 351 00:21:08,734 --> 00:21:10,736 し… 失礼いたしました! 352 00:21:11,771 --> 00:21:13,739 《ああ~ やっちゃった!》 353 00:21:13,739 --> 00:21:17,743 《でも いきなり 「出会えて よかった」なんて言うから…》 354 00:21:17,743 --> 00:21:20,746 フウ… 食った食った。 355 00:21:20,746 --> 00:21:23,716 《ホットソースを入れすぎたせいか 汗が出てきたな》 356 00:21:23,716 --> 00:21:25,734 《時間も ちょうどいい》 357 00:21:25,734 --> 00:21:42,718 《打ち合わせ前に 資料を読み込めなかったのは心残りだが…→ 358 00:21:34,727 --> 00:21:38,764 《即興ライブのような気持ちで なんとか乗り切ろう》 359 00:21:38,764 --> 00:21:41,734 《うっ… 汗が目に入っちまった》 360 00:21:41,734 --> 00:22:09,879 《今すぐ あの人の気持ちに応えることは できない…》 361 00:21:51,727 --> 00:22:05,441 お会計 お願いしまーす。 あっ はい。 362 00:21:56,782 --> 00:21:58,767 1000円で お願いします。 363 00:21:58,767 --> 00:22:00,753 は… はい。 364 00:22:02,755 --> 00:22:06,825 よーし! 即興ライブ いっちょかましてやるか。 365 00:22:06,825 --> 00:22:08,744 《そ… 即興ライブ?》 366 00:22:08,744 --> 00:22:12,798 《あの人 サラリーマンじゃなくて ミュージシャンなの?》 367 00:22:12,798 --> 00:22:16,802 《ああ もう… 訳がわからなーーーい!》 368 00:22:18,821 --> 00:22:20,773 ごちそうさまでした。 369 00:22:20,773 --> 00:22:27,062 ♬~