1 00:00:03,003 --> 00:00:05,005 《俺の名前は 野原ひろし》 2 00:00:05,005 --> 00:00:08,008 《ここ 双葉商事に勤める サラリーマンだ》 3 00:00:09,009 --> 00:00:13,013 《出世街道を爆進中! と言えば嘘になるが…》 4 00:00:13,013 --> 00:00:16,016 (パソコンのエラー音) えっ? あ… あれ? 5 00:00:16,016 --> 00:00:20,020 《後輩からは それなりに尊敬されている… はずだ》 6 00:00:21,021 --> 00:00:24,024 つまり 先方の都合で納期が早まったから 7 00:00:24,024 --> 00:00:27,027 こちらも早く動く必要があるってわけだな。 8 00:00:27,027 --> 00:00:29,029 (川口)なるほど。 9 00:00:29,029 --> 00:00:31,031 ん? 続けてください。 10 00:00:31,031 --> 00:00:33,033 (川口がスマホをタップする音) あ… ああ。 11 00:00:33,033 --> 00:00:35,035 あと カラーバリエーションも 増やしたいって話で…。 12 00:00:35,035 --> 00:00:37,037 へえ~。 …って おい! 13 00:00:37,037 --> 00:00:39,039 川口! はい? 14 00:00:39,039 --> 00:00:41,041 ミーティング中に スマホをポチポチするなよ! 15 00:00:41,041 --> 00:00:45,045 ああ 違いますよ。 先輩の言ってたことをメモしてたんです。 16 00:00:45,045 --> 00:00:47,047 えっ? メモ? 17 00:00:47,047 --> 00:00:49,049 (川口)はい。 そ… そうか。 18 00:00:49,049 --> 00:00:52,052 手書きより こっちのほうが早いんで。 19 00:00:52,052 --> 00:00:57,057 いや しかしなあ… 何か感じ悪いというか 20 00:00:57,057 --> 00:01:00,060 サラリーマンの礼儀作法に反してやしないか? 21 00:01:01,061 --> 00:01:03,063 それ 誰が決めたんですか? 22 00:01:03,063 --> 00:01:05,065 誰がってわけじゃないけど…。 23 00:01:05,065 --> 00:01:09,069 物事には 慣習とか伝統とかってやつが…。 24 00:01:09,069 --> 00:01:13,073 先輩~。 頭固いこと言わないでくださいよ。 25 00:01:13,073 --> 00:01:15,075 なっ… なんだと? 26 00:01:15,075 --> 00:01:19,079 そんなものは 時代とともに変わっていくんですから。 27 00:01:19,079 --> 00:01:22,082 もっと柔軟に対応していかないと。 28 00:01:22,082 --> 00:01:24,084 ああっ…! 29 00:01:24,084 --> 00:01:34,094 ♪♪~ 30 00:02:54,775 --> 00:02:57,778 《なんだよ… 俺が間違ってるってのか?》 31 00:02:57,778 --> 00:02:59,780 《う~ん… モヤモヤする》 32 00:02:59,780 --> 00:03:04,785 《よし! うまいものでも食って パーッと気分を晴らそう!》 33 00:03:04,785 --> 00:03:08,789 《おっ! いい感じのレストラン。 どれどれ…》 34 00:03:08,789 --> 00:03:10,791 げっ! 35 00:03:10,791 --> 00:03:13,794 《さすがに ランチで 3000円はないなあ…》 36 00:03:13,794 --> 00:03:19,800 《もうちょっと お手頃に ゴージャスな気分を味わえる店は…》 37 00:03:19,800 --> 00:03:22,803 《回転寿司か… ありだな》 38 00:03:24,805 --> 00:03:26,807 (店員)いらっしゃいませ! カウンター席に どうぞ。 39 00:03:27,808 --> 00:03:32,813 《家族で来る時は ボックス席だから カウンター席は新鮮だ》 40 00:03:32,813 --> 00:03:35,816 《さて… いろいろ回ってはいるが 41 00:03:35,816 --> 00:03:41,822 最近は タッチパネルから 直接 欲しいものを注文するのが基本だ》 42 00:03:41,822 --> 00:03:45,826 《最初に何から頼むか。 選択肢は無限大》 43 00:03:45,826 --> 00:03:48,829 《…のようでいて 実は そうでもない!》 44 00:03:48,829 --> 00:03:50,831 《寿司の食べ方には 45 00:03:50,831 --> 00:03:53,834 王道と呼ぶべき順序が存在する》 46 00:03:53,834 --> 00:03:56,837 《白身から始まり 貝類に続き 47 00:03:56,837 --> 00:04:00,841 そこから ウニやいくらなど うまみの強いもの》 48 00:04:00,841 --> 00:04:03,844 《そして トロなど脂ののったものに移行》 49 00:04:03,844 --> 00:04:07,848 《こうすることで 全てのネタを美味しく頂ける》 50 00:04:07,848 --> 00:04:12,853 《野球のピッチャーに 先発 中継ぎ 抑えがいるように 51 00:04:12,853 --> 00:04:16,857 歴史の中で編み出された セオリーがあるのだ》 52 00:04:16,857 --> 00:04:18,859 というわけで…。 53 00:04:18,859 --> 00:04:21,862 《タイ ハマチ えんがわ》 54 00:04:21,862 --> 00:04:23,864 《最初の注文は これでいこう》 55 00:04:23,864 --> 00:04:26,867 《寿司は 日本の伝統食》 56 00:04:26,867 --> 00:04:28,869 《伝統的な作法を 守って食すのが 57 00:04:28,869 --> 00:04:30,871 粋ってやつさ…》 58 00:04:30,871 --> 00:04:33,874 《まあ 川口の奴には わからないだろうが…》 59 00:04:33,874 --> 00:04:36,877 (寿司の到着音) 《おっ! 来た来た》 60 00:04:37,878 --> 00:04:39,880 《おお~っ!》 61 00:04:40,881 --> 00:04:43,884 《ゴージャスに輝くタイ》 62 00:04:43,884 --> 00:04:46,887 《プリッと 引き締まったハマチ》 63 00:04:46,887 --> 00:04:48,889 《とろけそうな えんがわ》 64 00:04:48,889 --> 00:04:51,892 《やっぱ 寿司はいいなあ~!》 65 00:04:51,892 --> 00:04:53,894 《よし! 食べる前に…》 66 00:04:53,894 --> 00:04:56,897 《この店には 醤油皿がないため 67 00:04:56,897 --> 00:04:59,900 このように自力で確保する必要がある》 68 00:04:59,900 --> 00:05:01,902 《さらに ファミリー層を意識して 69 00:05:01,902 --> 00:05:04,905 全品わさび抜きに なっているため 70 00:05:04,905 --> 00:05:08,909 こちらも ネタに醤油を軽くつけつつ 71 00:05:08,909 --> 00:05:11,912 同時に シャリにわさびをのせる》 72 00:05:11,912 --> 00:05:13,914 《ネタを戻して…》 73 00:05:13,914 --> 00:05:15,916 いただきます。 74 00:05:17,918 --> 00:05:19,920 《うまーい!》 75 00:05:19,920 --> 00:05:22,923 《この皮の コリッコリが いいんだよな~!》 76 00:05:22,923 --> 00:05:25,926 《2貫目も当然 うまい!》 77 00:05:25,926 --> 00:05:28,929 《えっ? 次は どっちを食べるんだって?》 78 00:05:28,929 --> 00:05:31,932 《まあ 慌てなさんな…》 79 00:05:31,932 --> 00:05:35,936 《ここで もうひと皿空けて そこにガリを盛りつければ…》 80 00:05:35,936 --> 00:05:39,940 《完成! これぞ 三皿の構え!》 81 00:05:39,940 --> 00:05:41,942 《回転寿司を快適に 食べるための 82 00:05:41,942 --> 00:05:43,944 最強形態だ!》 83 00:05:44,945 --> 00:05:48,949 《ハマチもうまいし えんがわも最高!》 84 00:05:48,949 --> 00:05:51,952 《あっという間に 3皿食べちまったなあ…》 85 00:05:51,952 --> 00:05:53,954 《お次は…》 86 00:05:53,954 --> 00:05:55,956 赤貝といくらだな。 87 00:05:55,956 --> 00:05:59,960 《そして 俺は 先の先を読む男》 88 00:05:59,960 --> 00:06:03,964 《今から その次のことも考えて… ぬっ!?》 89 00:06:03,964 --> 00:06:06,967 《極上 大トロ…》 90 00:06:06,967 --> 00:06:09,970 《少し お高いが めちゃくちゃうまそうだ…》 (つばを飲み込む音) 91 00:06:10,971 --> 00:06:13,974 《よし… 今日は奮発しちまおう》 92 00:06:13,974 --> 00:06:15,976 (到着音) おっ! 93 00:06:15,976 --> 00:06:17,978 《赤貝といくらが来たか》 94 00:06:19,980 --> 00:06:21,982 《う~ん そうそう!》 95 00:06:21,982 --> 00:06:24,985 《この歯応えと磯の香りが 醍醐味なんだよ!》 96 00:06:26,987 --> 00:06:30,991 《う~ん! プチッとはじける甘みが たまんねえな!》 97 00:06:30,991 --> 00:06:32,993 《寿司自体の味は もちろん 98 00:06:32,993 --> 00:06:36,997 この順番で食べるからこそ 美味しく味わえる》 99 00:06:36,997 --> 00:06:41,001 《やっぱり 伝統的な作法を守るってのは 大事なんだよ》 100 00:06:44,004 --> 00:06:46,006 《大トロは まだ来ないか…》 101 00:06:46,006 --> 00:06:50,010 《回ってるやつから 何か取るか…》 102 00:06:50,010 --> 00:06:54,014 《いや しかし 順番を破るわけには…》 103 00:06:54,014 --> 00:06:56,016 ん? ハンバーグ? 104 00:06:56,016 --> 00:06:59,019 《しんのすけが よく食べてるやつだな…》 105 00:06:59,019 --> 00:07:01,021 《あれ うまいのか?》 106 00:07:01,021 --> 00:07:04,024 《ものは試しに ひとつ…》 107 00:07:04,024 --> 00:07:06,026 《ああ… い… いかん いかん いかん!》 108 00:07:06,026 --> 00:07:09,029 《寿司は伝統食 あんなものは粋じゃない!》 109 00:07:09,029 --> 00:07:12,032 《子供は ともかく いい大人が食べるものでは…》 110 00:07:12,032 --> 00:07:14,034 (男性)おっ! ハンバーグ! えっ? 111 00:07:14,034 --> 00:07:17,037 《俺より年上なのに取った!?》 112 00:07:18,038 --> 00:07:22,042 《しかも あんなに幸せそうな顔で食べて…》 113 00:07:22,042 --> 00:07:26,046 《大人をも魅了するポテンシャルが あるっていうのか?》 114 00:07:26,046 --> 00:07:28,048 《あっ! また来た》 115 00:07:28,048 --> 00:07:30,050 《ど… どうする?》 116 00:07:30,050 --> 00:07:34,054 先輩。 もっと自分に 素直になりましょうよ~。 117 00:07:34,054 --> 00:07:36,056 興味があるんでしょ? 118 00:07:36,056 --> 00:07:39,059 もっと柔軟に 時代に対応していかないと! 119 00:07:39,059 --> 00:07:41,061 《や… やめろ!》 120 00:07:41,061 --> 00:07:43,063 (川口の声)ほらほら 早く決断しないと 121 00:07:43,063 --> 00:07:47,067 流れていっちゃいますよぉ~? 122 00:07:47,067 --> 00:07:50,070 《ああっ…!》 123 00:07:51,071 --> 00:07:53,073 《取ってしまった…》 124 00:07:53,073 --> 00:07:57,077 《俺は 越えてはいけない一線を 越えてしまったんだ…》 125 00:08:01,081 --> 00:08:03,083 《うっ… 126 00:08:03,083 --> 00:08:05,085 う… うまいじゃないかあぁぁ~!》 127 00:08:05,085 --> 00:08:09,089 《想像以上に肉がやわらかく ジューシーな食感!》 128 00:08:09,089 --> 00:08:14,094 《そして 照り焼きソースと マヨネーズが奏でるハーモニー!》 129 00:08:14,094 --> 00:08:18,098 《ああ… 俺は 今 無粋なものを食べている》 130 00:08:18,098 --> 00:08:21,101 《だが うまいものはうまい!》 131 00:08:21,101 --> 00:08:25,105 《もう 俺は戻れない場所に来てしまった…》 132 00:08:25,105 --> 00:08:28,108 《もはや いっそ 無粋ってものを極めてみるか?》 133 00:08:28,108 --> 00:08:31,111 《な~に 誰が見ているわけでもない…》 134 00:08:31,111 --> 00:08:33,113 《ままよっ!》 135 00:08:34,114 --> 00:08:36,116 《豚カルビ寿司!》 136 00:08:37,117 --> 00:08:41,121 《うまい! そりゃうまいよ… カルビと米だもんな》 137 00:08:41,121 --> 00:08:43,123 《エビフライ寿司!》 138 00:08:43,123 --> 00:08:47,127 《う~ん! 衣はサクサク! 中はプリプリだ~!》 139 00:08:47,127 --> 00:08:49,129 《マヨコーン寿司と唐揚げ寿司!》 140 00:08:49,129 --> 00:08:51,131 《なぜ コーンとマヨネーズを 混ぜただけの寿司が 141 00:08:51,131 --> 00:08:53,133 こんなにうまい!》 142 00:08:53,133 --> 00:08:55,135 《もう 形からして おかしい!》 143 00:08:55,135 --> 00:08:57,137 《いや うまけりゃいいんだ うまけりゃ…》 144 00:08:57,137 --> 00:09:00,140 《よーし お次は… 145 00:09:00,140 --> 00:09:02,142 ラーメンか…》 146 00:09:02,142 --> 00:09:04,144 《いや… 待て待て!》 147 00:09:04,144 --> 00:09:06,146 《ここまで食べてきたものは 変化球ではあるが 148 00:09:06,146 --> 00:09:09,149 寿司というフォーマットにはのっとっていた》 149 00:09:09,149 --> 00:09:12,152 《だが ラーメンはラーメンじゃないか!》 150 00:09:12,152 --> 00:09:17,157 《いいのか? 俺は この最後の川を渡ってしまって…》 151 00:09:17,157 --> 00:09:20,160 (川口の声)先輩は本当に頑固だな~! 152 00:09:20,160 --> 00:09:22,162 《川口 出てくるな!》 153 00:09:22,162 --> 00:09:24,164 (川口の声)うまけりゃいいって 言ってたじゃないですか。 154 00:09:24,164 --> 00:09:26,166 それに ほら。 155 00:09:26,166 --> 00:09:29,169 魚でラーメンの出汁を 取ってるわけですから 156 00:09:29,169 --> 00:09:32,172 ある意味 ハンバーグより 寿司に近いですよ。 157 00:09:32,172 --> 00:09:34,174 《へりくつは やめろ!》 158 00:09:34,174 --> 00:09:36,176 (川口の声) スルーしていいのかなあ? 159 00:09:36,176 --> 00:09:39,179 食べなきゃ きっと 後悔すると思うけどなあ~。 160 00:09:39,179 --> 00:09:43,183 《うっ… うう… ううっ… 161 00:09:43,183 --> 00:09:47,187 うおおぉぉーっ!》 162 00:09:49,189 --> 00:09:51,191 《寿司屋でラーメン…》 163 00:09:52,192 --> 00:09:55,195 《こんなに無粋なことがあるだろうか》 164 00:09:55,195 --> 00:09:57,197 《しかし…》 165 00:09:58,198 --> 00:10:01,201 《うめえ! ラーメン うめえ~!》 166 00:10:01,201 --> 00:10:06,206 《いつもは 塩分 気にしてスープ残すけど 今日は 全部飲んじゃうもんね~!》 167 00:10:06,206 --> 00:10:10,210 《伝統だとか作法だとか もう そんなものは どうでもいい!》 168 00:10:10,210 --> 00:10:13,213 《いや むしろ 全部ぶち壊していくべきなんだ!》 169 00:10:13,213 --> 00:10:16,216 《俺が間違っていたよ 川口…》 170 00:10:16,216 --> 00:10:18,218 (店員)大変申し訳ございません! ん? 171 00:10:18,218 --> 00:10:22,222 ご注文の極上大トロ 遅くなってしまって…。 172 00:10:22,222 --> 00:10:24,224 《えっ… 大トロ?》 173 00:10:24,224 --> 00:10:28,228 《今さら 大トロなんて古くさい寿司… こちとら 未来志向…》 174 00:10:28,228 --> 00:10:30,230 おわあっ! 175 00:10:31,231 --> 00:10:34,234 《な… なんと美しいフォルム!》 176 00:10:34,234 --> 00:10:37,237 《脂ののり方も文句のつけようがない!》 177 00:10:37,237 --> 00:10:39,239 《さすがは大トロ!》 178 00:10:39,239 --> 00:10:43,243 《寿司の王様というべき 風格が漂っている!》 179 00:10:47,247 --> 00:10:52,252 《これぞクライマックスにふさわしい 圧倒的な満足感…》 180 00:10:53,253 --> 00:10:56,256 《俺は 何を血迷っていたんだろう…》 181 00:10:56,256 --> 00:11:00,260 《やはり 大事なのは伝統と作法だ》 182 00:11:00,260 --> 00:11:03,263 《よーし… もう 迷わないぞ!》 183 00:11:03,263 --> 00:11:06,266 《…って ティラミス きたー!》 184 00:11:06,266 --> 00:11:09,269 《寿司屋という場違いな場所に存在している 引け目を感じさせない 185 00:11:09,269 --> 00:11:12,272 凛とした たたずまい~!》 186 00:11:12,272 --> 00:11:16,276 《やはり… やはり 無粋も捨てがたい!》 187 00:11:16,276 --> 00:11:18,278 《甘~い!》 188 00:11:18,278 --> 00:11:22,282 《そして この冷たさが ヒートアップした俺を落ち着かせてくれる》 189 00:11:23,283 --> 00:11:26,286 《大トロもうまいし ティラミスもうまい》 190 00:11:26,286 --> 00:11:28,288 《今までのものと新しいもの 191 00:11:28,288 --> 00:11:32,292 どちらもバランスよく取り込んでいくことが 大事なんだな》 192 00:11:33,293 --> 00:11:35,295 《ありがとう 回転寿司》 193 00:11:35,295 --> 00:11:38,298 《君には 大切なことを 勉強させてもらったよ》 194 00:11:38,298 --> 00:11:41,301 お会計 3280円です。 195 00:11:41,301 --> 00:11:43,303 《げっ… そんなに!?》 196 00:11:44,304 --> 00:11:47,307 明日の昼は カップラーメンか…。 197 00:11:48,308 --> 00:11:51,311 まさか ここより高くつくとは…。 198 00:11:51,311 --> 00:11:54,314 勉強代も安くねえなあ…。 199 00:11:55,315 --> 00:11:57,317 ごちそうさまでした。 200 00:12:00,320 --> 00:12:02,322 (さやか)なんで レポートって 201 00:12:02,322 --> 00:12:04,324 提出ギリギリにならないと やる気出ないんだろ。 202 00:12:04,324 --> 00:12:07,327 (萌美)わかる! でも 遥は偉いよねえ。 203 00:12:07,327 --> 00:12:10,330 いっつも計画的にコツコツ進めて。 204 00:12:10,330 --> 00:12:13,333 (四杉 遥)全然 そんなことないよ。 205 00:12:13,333 --> 00:12:16,336 《私 大学生の四杉遥》 206 00:12:16,336 --> 00:12:20,340 《気の置けない友人にも 恵まれて青春真っ盛りです!》 207 00:12:20,340 --> 00:12:22,342 ああ そうだ。 208 00:12:22,342 --> 00:12:25,345 2人に ちょっと 相談にのってほしいんだけどさ…。 209 00:12:25,345 --> 00:12:27,347 (萌美)えっ 何? 210 00:12:27,347 --> 00:12:29,349 私に ドラムたたけるかな…? 211 00:12:29,349 --> 00:12:31,351 ドラム? (遥)うん。 212 00:12:31,351 --> 00:12:35,355 この間 大学で バンドサークルの人たちと すれ違った時…。 213 00:12:36,356 --> 00:12:40,360 (学生)あ~あ…。 腕のいいドラマー どっかにいねえかな。 214 00:12:41,361 --> 00:12:46,366 あれ 私にやってほしいっていう 勧誘のメッセージだったと思うんだよね。 215 00:12:46,366 --> 00:12:48,368 (萌美・さやか)ええっ…。 216 00:12:48,368 --> 00:12:52,372 (遥)気持ちは嬉しいんだけど 私 音楽やったことないし 217 00:12:52,372 --> 00:12:55,375 方向性の違いで もめたりしないかなっていうのも 218 00:12:55,375 --> 00:12:58,378 ちょっと心配でさあ…。 219 00:12:58,378 --> 00:13:02,382 いずれ ツアーとかやったりすると スケジュールの問題も…。 220 00:13:02,382 --> 00:13:04,384 (携帯電話の着信音) 221 00:13:04,384 --> 00:13:06,386 あっ バイト先だ。 ごめん ちょっと出るね。 222 00:13:06,386 --> 00:13:08,388 もしもし。 はい。 223 00:13:08,388 --> 00:13:13,393 多分 勧誘されてないよね。 うん…。 224 00:13:13,393 --> 00:13:18,398 遥 すごくいい子なんだけど 自意識過剰なのが 玉にきずよね。 225 00:13:18,398 --> 00:13:23,403 一回 勘違いしちゃうと 妄想が どんどん膨らんでいくっていう…。 226 00:13:23,403 --> 00:13:26,406 (遥)明日のお昼ですか? はい! シフト入れます! 227 00:13:28,408 --> 00:13:33,413 (野原ひろし)さ~てと… 今日の昼メシは何にするかなあ。 228 00:13:33,413 --> 00:13:36,416 ん? ハンバーガーか…。 229 00:13:37,417 --> 00:13:40,420 (遥)大変 お待たせいたしました。 230 00:13:40,420 --> 00:13:43,423 《このハンバーガー屋で バイトを始めて1週間》 231 00:13:43,423 --> 00:13:48,428 《まだまだ覚えることは多いけど 笑顔だけは忘れないようにしなくちゃ》 232 00:13:48,428 --> 00:13:50,430 えっ? 233 00:13:50,430 --> 00:13:53,433 (遥)《あの人… 私のこと見てる?》 234 00:13:54,434 --> 00:13:57,437 《ハッ! 私に手振ってる!?》 235 00:13:57,437 --> 00:13:59,439 《えっ なんで!?》 236 00:13:59,439 --> 00:14:03,443 《雰囲気も良さそうだし この店にしようかな》 237 00:14:04,444 --> 00:14:06,446 (ドアチャイム) 238 00:14:06,446 --> 00:14:11,451 《おおっ! ジューシーな ハンバーガーのにおいが漂ってるなあ》 239 00:14:11,451 --> 00:14:13,453 い… いらっしゃいま…。 240 00:14:13,453 --> 00:14:17,457 《ええっ!? わわ… 私のにおい嗅いでる!?》 241 00:14:17,457 --> 00:14:21,461 あの 一人なんですけど…。 は… はい! 242 00:14:21,461 --> 00:14:23,463 こちらのお席に どうぞ…。 243 00:14:23,463 --> 00:14:25,465 どうも。 244 00:14:26,466 --> 00:14:28,468 へえ…。 245 00:14:28,468 --> 00:14:30,470 《こんなに いろいろ種類があるのか》 246 00:14:30,470 --> 00:14:33,473 《うーん… どれも うまそうだが…》 247 00:14:33,473 --> 00:14:35,475 《これだ!》 248 00:14:35,475 --> 00:14:38,478 すいません。 あっ… はい! 249 00:14:38,478 --> 00:14:40,480 アボカドフライバーガーをセットで。 250 00:14:40,480 --> 00:14:42,482 お飲み物は いかがなさいますか? 251 00:14:42,482 --> 00:14:44,484 食後に ホットコーヒーを。 252 00:14:44,484 --> 00:14:47,487 か… かしこまりました。 253 00:14:47,487 --> 00:14:51,491 《よかった… 別に普通のお客様だった…》 254 00:14:51,491 --> 00:14:55,495 《よーし。 無事 注文も済ませたし 255 00:14:55,495 --> 00:14:57,497 食事の前にトイレ行っとくか》 256 00:14:57,497 --> 00:14:59,499 《…って こういう時って 257 00:14:59,499 --> 00:15:03,503 なぜか決まって誰か入ってるんだよなあ…》 258 00:15:03,503 --> 00:15:06,506 《そして… 入れないとなると 259 00:15:06,506 --> 00:15:10,510 なぜか一気に もよおしてくるんだよなあ…》 260 00:15:10,510 --> 00:15:14,514 《ハッ! な… なんか あの人 もぞもぞしてる!》 261 00:15:14,514 --> 00:15:17,517 《やっぱり 普通のお客様じゃないの!?》 262 00:15:17,517 --> 00:15:19,519 《おっ やっと空いた!》 263 00:15:19,519 --> 00:15:21,521 《…って げっ!》 264 00:15:21,521 --> 00:15:25,525 《近くの客に入られた! くっ… 油断したぜ!》 265 00:15:25,525 --> 00:15:29,529 《確実に 次は入れるよう ここで待機だ…》 266 00:15:29,529 --> 00:15:32,532 《ああ… 早くしろ 早くしろ~!》 267 00:15:32,532 --> 00:15:35,535 (遥)《ハッ! いやあ~!》 268 00:15:35,535 --> 00:15:38,538 《血走ったギンギンの目で 私のこと見てるーっ!》 269 00:15:38,538 --> 00:15:42,542 (遥)うう~っ! (店長)遥ちゃん どうしたの? 270 00:15:44,544 --> 00:15:48,548 《ダメだ… さっきの あの人の顔が頭から離れない》 271 00:15:48,548 --> 00:15:50,550 (店長)遥ちゃん。 272 00:15:50,550 --> 00:15:53,553 こちら 2番テーブルさんね。 あっ… はい。 273 00:15:53,553 --> 00:15:57,557 《2番テーブル… あのお客様だわ》 274 00:15:58,558 --> 00:16:03,563 (遥)お… お待たせしました。 アボカドフライバーガーでございます。 275 00:16:04,564 --> 00:16:07,567 《おっ… おおぉぉ~っ!》 276 00:16:08,568 --> 00:16:13,573 《なんというサイズ! そして なんという分厚さ!》 277 00:16:13,573 --> 00:16:17,577 《いつも食べているハンバーガーとは もはや別の料理だ》 278 00:16:17,577 --> 00:16:21,581 《付け合わせのポテトも ガッツリ量があって 279 00:16:21,581 --> 00:16:24,584 これは とんでもない食べ応えの予感だぞ!》 280 00:16:24,584 --> 00:16:27,587 ごゆっくり どうぞ…。 281 00:16:27,587 --> 00:16:32,592 《もう この席には近づかないこと! なるべく遠ざかるのよ 遥!》 282 00:16:33,593 --> 00:16:38,598 《しかし… これ どうやって食べるのが正解なんだ?》 283 00:16:38,598 --> 00:16:43,603 《ナイフとフォークが用意されてはいるが これを使うのか?》 284 00:16:43,603 --> 00:16:45,605 《それとも素手なのか?》 285 00:16:45,605 --> 00:16:47,607 《他のお客さんたちは…》 286 00:16:47,607 --> 00:16:52,612 (遥)《ひぃっ! いやあぁぁ~! 私のこと めっちゃ探してる!》 287 00:16:52,612 --> 00:16:54,614 《逃げても無駄ってこと!?》 288 00:16:54,614 --> 00:16:56,616 《素手派もいるが 289 00:16:56,616 --> 00:17:00,620 ナイフとフォークを使う派のほうが やや優勢か…》 290 00:17:00,620 --> 00:17:03,623 《よし 俺も それでいこう》 291 00:17:03,623 --> 00:17:07,627 《ケチャップとマスタードをかけて バンズをのせ 292 00:17:07,627 --> 00:17:11,631 ナイフとフォークで ひと口サイズにカット》 293 00:17:12,632 --> 00:17:14,634 《さあ… 頂くか》 294 00:17:16,636 --> 00:17:19,639 《うん 繊細かつ… 295 00:17:19,639 --> 00:17:22,642 ワイルドな味わい!》 296 00:17:22,642 --> 00:17:26,646 《うまい! これは うまいぞ~!》 297 00:17:26,646 --> 00:17:30,650 《そして 黄金色に輝くポテトは…》 298 00:17:30,650 --> 00:17:34,654 《うおおっ! 揚げたてだ! うまい!》 299 00:17:34,654 --> 00:17:36,656 フウ…。 300 00:17:36,656 --> 00:17:39,659 《ああ… 幸せな味だ》 301 00:17:39,659 --> 00:17:44,664 《そして このオシャレで清潔感あふれる 店のレイアウト》 302 00:17:44,664 --> 00:17:47,667 《ああやって花が飾られていると 気持ちも華やぐ!》 303 00:17:47,667 --> 00:17:50,670 (携帯電話の振動音) おっ? 304 00:17:51,671 --> 00:17:53,673 《みさえ…》 305 00:17:53,673 --> 00:17:56,676 《「おお ありがとう」っと…》 306 00:17:56,676 --> 00:18:00,680 《俺も 料理を作ってもらうばかりじゃなく 307 00:18:00,680 --> 00:18:04,684 食卓に花を添えるくらいのことは してみようかな》 308 00:18:04,684 --> 00:18:06,686 あの すみません。 はい。 309 00:18:06,686 --> 00:18:09,689 この辺りに 花屋ってありますか? 310 00:18:09,689 --> 00:18:11,691 ええ ございますよ。 311 00:18:11,691 --> 00:18:13,693 《は… 花屋!?》 312 00:18:13,693 --> 00:18:15,695 《それって…》 313 00:18:16,696 --> 00:18:19,699 えっ!? お… お客様? 314 00:18:19,699 --> 00:18:21,701 さっきは ごちそうさま。 315 00:18:21,701 --> 00:18:24,704 どうしても 君のことが忘れられなくて…。 316 00:18:24,704 --> 00:18:27,707 受け取ってくれないかな? ええーっ! 317 00:18:28,708 --> 00:18:31,711 どうも 助かりました。 《そんな いきなり渡されても~!》 318 00:18:31,711 --> 00:18:35,715 《そして 調理風景が見られるのもナイスだ》 319 00:18:35,715 --> 00:18:38,718 《ああやって 一つずつ丁寧に作ってるんだな》 320 00:18:38,718 --> 00:18:41,721 《えっ… 一体 何を見てるの?》 321 00:18:41,721 --> 00:18:45,725 《ハッ! …って まさか シフト表!?》 322 00:18:45,725 --> 00:18:48,728 《私のシフト 把握しようとしてる!?》 323 00:18:48,728 --> 00:18:52,732 《けど… あんなに遠くから わかる?》 324 00:18:52,732 --> 00:18:55,735 《ううん。 きっと ものすごく視力がいい人なんだわ》 325 00:18:55,735 --> 00:18:58,738 《私のシフトが終わるのを待ち伏せして…》 326 00:18:59,739 --> 00:19:02,742 遥ちゃん。 お疲れさま。 327 00:19:02,742 --> 00:19:04,744 (遥)ええーっ! 328 00:19:04,744 --> 00:19:08,748 いくよ。 3 2 1… 329 00:19:08,748 --> 00:19:10,750 ゼロ。 330 00:19:10,750 --> 00:19:12,752 (花火の音) (遥)ええーっ!? 331 00:19:12,752 --> 00:19:15,755 《こ… 告白されちゃう~!》 332 00:19:15,755 --> 00:19:18,758 (店員)テイクアウトのお客様。 お待たせいたしました。 333 00:19:18,758 --> 00:19:21,761 《へえ~ テイクアウトもやってるのか》 334 00:19:22,762 --> 00:19:24,764 (遥)《ちょっと ちょっと ちょっと!》 335 00:19:24,764 --> 00:19:28,768 《あのマンション 契約しちゃおうかなって 考えてる!?》 336 00:19:29,769 --> 00:19:33,773 ここなら シフト ギリギリまで 一緒にいられると思ってさ。 337 00:19:33,773 --> 00:19:35,775 (遥)ええーっ! 338 00:19:36,776 --> 00:19:40,780 《勝手に話 進めないで! いやあ~!》 339 00:19:40,780 --> 00:19:42,782 は… 遥ちゃん? 340 00:19:42,782 --> 00:19:46,786 《まずいわ… ここらで あの人の暴走を ちゃんと止めとかないと》 341 00:19:46,786 --> 00:19:48,788 《よーし… 思い切って!》 342 00:19:49,789 --> 00:19:52,792 (遥)ああ~ 忙しいなあ! 343 00:19:52,792 --> 00:19:56,796 バイトもあるし 大学の課題もあるし 344 00:19:56,796 --> 00:20:00,800 ああ ホントに い… 忙しい~! 345 00:20:00,800 --> 00:20:05,805 《よし! あなたと過ごす時間は ないんですよアピール 大成功!》 346 00:20:05,805 --> 00:20:08,808 《随分 独り言が大きい子だな…》 347 00:20:08,808 --> 00:20:10,810 《まっ いいか》 348 00:20:10,810 --> 00:20:16,816 《しかし こんなにボリュームがあるのに 全然くどくなく どんどん食べ進められる》 349 00:20:16,816 --> 00:20:20,820 《むしろ サイドメニューまで頼んでも いいくらいだったな》 350 00:20:21,821 --> 00:20:23,823 《こうして見ると 351 00:20:23,823 --> 00:20:26,826 追加で頼んでる人も 結構いるし》 352 00:20:26,826 --> 00:20:28,828 《別の女性に目移りしてる…》 353 00:20:28,828 --> 00:20:32,832 《よかったけど… 私がダメなら 次いっちゃえってこと?》 354 00:20:32,832 --> 00:20:34,834 《なんて 節操のない…》 355 00:20:36,836 --> 00:20:38,838 クラムチャウダーか…。 356 00:20:38,838 --> 00:20:40,840 ハッ…! 357 00:20:41,841 --> 00:20:44,844 《あの人 今 「比べちゃうとなー」って言った!?》 358 00:20:44,844 --> 00:20:47,847 《何を どう比べるの? あっ…!》 359 00:20:47,847 --> 00:20:52,852 《一度は諦めようとしたけど やっぱり 私じゃなきゃダメってこと!?》 360 00:20:52,852 --> 00:20:54,854 遥ちゃん。 えっ? 361 00:20:54,854 --> 00:20:58,858 2番テーブルのお客様 お水なくなってるから 持っていってあげて。 362 00:20:58,858 --> 00:21:00,860 あっ… はい! 363 00:21:01,861 --> 00:21:03,863 あっ…。 364 00:21:03,863 --> 00:21:06,866 《あ~あ… 取り換えてもらわなきゃ》 365 00:21:06,866 --> 00:21:09,869 よろしければ お水のおかわり…。 366 00:21:09,869 --> 00:21:14,874 《ええぇぇーっ!? 私のスカートの中 のぞこうとしてる!?》 367 00:21:14,874 --> 00:21:17,877 《いやあぁぁーっ!》 おっ? 368 00:21:18,878 --> 00:21:22,882 《フウ… 量も味も大満足だったな》 369 00:21:23,883 --> 00:21:26,886 ごちそうさま。 あっ お会計ですね。 370 00:21:26,886 --> 00:21:29,889 980円になります。 371 00:21:29,889 --> 00:21:32,892 《よかった… やっと帰っていただける》 372 00:21:32,892 --> 00:21:34,894 おっ? 373 00:21:34,894 --> 00:21:37,897 《ハニーチーズバーガー…》 374 00:21:37,897 --> 00:21:40,900 《ハンバーガーに 甘いハニーを加えちゃうのか!?》 375 00:21:40,900 --> 00:21:43,903 《おいおい… どんな味になるんだよ》 376 00:21:43,903 --> 00:21:45,905 《ハニー… 気になる》 377 00:21:45,905 --> 00:21:48,908 《これは 確かめてみるしか…》 378 00:21:48,908 --> 00:21:51,911 (遥)お返し 20円です。 どうも。 379 00:21:52,912 --> 00:21:54,914 ありがとうございました。 380 00:21:55,915 --> 00:21:57,917 また食べに来ます。 381 00:21:57,917 --> 00:21:59,919 ハニー。 382 00:21:59,919 --> 00:22:01,921 《ハ… ハニーー―!?》 383 00:22:01,921 --> 00:22:05,925 《どうしよう! 完全に狙われてる~!》 384 00:22:07,927 --> 00:22:09,929 ごちそうさまでした。 385 00:22:09,929 --> 00:22:17,937 ♪♪~