1 00:00:01,001 --> 00:00:07,007 (部長)う~ん…。 正直 どのアイデアも どこか二番煎じというかなあ…。 2 00:00:07,007 --> 00:00:10,010 (野原ひろし)ですよね…。 すみません。 3 00:00:10,010 --> 00:00:14,014 申し訳ないが もう一回 練り直してもらえないか? 4 00:00:14,014 --> 00:00:16,016 はい わかりました。 5 00:00:18,018 --> 00:00:22,022 《俺の名前は野原ひろし。 サラリーマンだ》 6 00:00:22,022 --> 00:00:24,024 《日々の疲れから 7 00:00:24,024 --> 00:00:27,027 仕事へのアグレッシブな姿勢を 失いかけていた》 8 00:00:27,027 --> 00:00:30,030 (男性)俺 最近 気づいたんだ。 9 00:00:31,031 --> 00:00:34,034 仕事ってのは ゲーム感覚でやればいいんだって。 10 00:00:34,034 --> 00:00:36,036 《ゲーム感覚?》 11 00:00:36,036 --> 00:00:38,038 一つ一つのクエストをクリアして 12 00:00:38,038 --> 00:00:41,041 経験値をためて レベルアップしていく。 13 00:00:42,042 --> 00:00:45,045 相手によって どういうアイテムや特技を使えば 14 00:00:45,045 --> 00:00:47,047 攻略できるか考える。 15 00:00:47,047 --> 00:00:50,050 そしたら どんどん仕事が楽しくなってさ。 16 00:00:51,051 --> 00:00:54,054 《俺の目から うろこが落ちた》 17 00:00:54,054 --> 00:00:57,057 《なるほど そういう考え方もあったのか》 18 00:00:57,057 --> 00:01:01,061 《よし 俺も明日から そのやり方でやってみよう!》 19 00:01:03,063 --> 00:01:13,073 ♪♪~ 20 00:02:35,155 --> 00:02:38,158 《一つ一つ 確実に仕事をこなして 21 00:02:38,158 --> 00:02:41,161 自分をレベルアップさせていく感覚》 22 00:02:41,161 --> 00:02:45,165 はい。 ご検討よろしくお願いします。 23 00:02:45,165 --> 00:02:47,167 《そして…》 24 00:02:50,170 --> 00:02:53,173 このプロジェクトを実現させたいんです! 25 00:02:53,173 --> 00:02:56,176 た… 確かに 斬新なアイデアではある。 26 00:02:56,176 --> 00:03:00,180 しかし あまりにイメージがつかないというか…。 27 00:03:00,180 --> 00:03:02,182 《効果的なアイテムと…》 28 00:03:02,182 --> 00:03:05,185 参考になりそうな事例を まとめてきました。 29 00:03:05,185 --> 00:03:07,187 い… いつの間に こんな…! 30 00:03:07,187 --> 00:03:10,190 《効果的な特技で攻略する》 31 00:03:11,191 --> 00:03:13,193 どうか お願いします! 32 00:03:14,194 --> 00:03:17,197 わかった。 上のほうに掛け合ってみよう。 33 00:03:17,197 --> 00:03:19,199 ありがとうございます! 34 00:03:20,200 --> 00:03:24,204 《いやあ… アリだな このやり方》 35 00:03:24,204 --> 00:03:29,209 《さて 次の取引先に向かう前に 昼メシを済ませておくか》 36 00:03:29,209 --> 00:03:31,211 《今の所持金は…》 37 00:03:31,211 --> 00:03:34,214 えっ!? 5… 500円…? 38 00:03:34,214 --> 00:03:38,218 《しょうがない。 コンビニで おにぎりでも買うか》 39 00:03:38,218 --> 00:03:40,220 おっ… から揚げ定食。 40 00:03:40,220 --> 00:03:42,222 500円⁉ 41 00:03:42,222 --> 00:03:46,226 《なるほど。 居酒屋がやっているランチか》 42 00:03:46,226 --> 00:03:48,228 《この値段は魅力的…》 43 00:03:48,228 --> 00:03:52,232 《うん! 今日のランチは から揚げで決まりだ!》 44 00:03:54,234 --> 00:03:58,238 《しかし 全然 店がありそうな気配はない…》 45 00:03:58,238 --> 00:04:01,241 《どうする? やはり コンビニにするか…?》 46 00:04:01,241 --> 00:04:06,246 《いや 時間には まだまだ余裕がある。 諦めるな》 47 00:04:06,246 --> 00:04:09,249 《そう これもゲームだと思えばいい》 48 00:04:09,249 --> 00:04:13,253 《俺は今 幻のから揚げ定食を求めて 49 00:04:13,253 --> 00:04:15,255 このダンジョンを探検しているんだ!》 50 00:04:17,257 --> 00:04:20,260 《意味深に ベンチに座っている おじいさん 発見!》 51 00:04:22,262 --> 00:04:28,268 あの… 500円で から揚げ定食が食べられる店 ご存じありませんか? 52 00:04:28,268 --> 00:04:31,271 ほう…。 あの店に行くのかい。 53 00:04:31,271 --> 00:04:34,274 《いいね そのゲームっぽい言い回し!》 54 00:04:34,274 --> 00:04:36,276 この道を真っすぐ行って 55 00:04:36,276 --> 00:04:39,279 2つ目の角を右だよ。 56 00:04:39,279 --> 00:04:41,281 ありがとうございます! 57 00:04:43,283 --> 00:04:45,285 あっ… あった! 58 00:04:45,285 --> 00:04:48,288 《よっしゃあ! クエストクリアだ!》 59 00:04:48,288 --> 00:04:50,290 (戸の開く音) (店長)いらっしゃいませ! 60 00:04:50,290 --> 00:04:52,292 カウンター席へ どうぞ。 61 00:04:52,292 --> 00:04:55,295 《一応 メニューを見とくか…》 62 00:04:55,295 --> 00:04:57,297 《な… なんだと⁉》 63 00:04:57,297 --> 00:05:00,300 《5個から10個 好きな数を選べる!?》 64 00:05:00,300 --> 00:05:05,305 《なるほど…。 朝からバリバリ働いて 腹はペコペコだし 65 00:05:05,305 --> 00:05:07,307 7個か8個くらいか?》 66 00:05:08,308 --> 00:05:10,310 《いや ここは10個だ!》 67 00:05:10,310 --> 00:05:13,313 《なぜなら 値段が同じだから!》 68 00:05:14,314 --> 00:05:18,318 すいません。 から揚げ定食 から揚げ10個でお願いします。 69 00:05:19,319 --> 00:05:22,322 10個…。 マジかよ…。 70 00:05:22,322 --> 00:05:24,324 《えっ? えっ…?》 71 00:05:24,324 --> 00:05:26,326 (店長)かしこまりました! 72 00:05:27,327 --> 00:05:31,331 《なんだ…? あの 「猛者が現れた」といった反応は…》 73 00:05:31,331 --> 00:05:35,335 《10個 頼む奴なんて そうそう いないってか?》 74 00:05:35,335 --> 00:05:37,337 《いや しかし 値段が値段だ》 75 00:05:37,337 --> 00:05:40,340 《1つのサイズは たかが知れているだろう…》 76 00:05:40,340 --> 00:05:42,342 (店長)お待たせしました。 77 00:05:42,342 --> 00:05:45,345 から揚げ定食 から揚げ10個です。 78 00:05:45,345 --> 00:05:47,347 あっ…。 79 00:05:48,348 --> 00:05:52,352 《ボ ボ ボ… ボリューミー‼》 80 00:05:52,352 --> 00:05:57,357 《想像していた倍のサイズと言っても 過言ではない から揚げが… 10個!》 81 00:05:57,357 --> 00:06:01,361 《グランドキャニオンのように 堂々と そびえ立っている!》 82 00:06:01,361 --> 00:06:04,364 《食べきれるものなら食べきってみろと 言わんばかりの 83 00:06:04,364 --> 00:06:07,367 圧倒的なボリュームだ!》 84 00:06:09,369 --> 00:06:11,371 《なんてこった…》 85 00:06:11,371 --> 00:06:13,373 《『ひろしの昼メシ クエスト』は 86 00:06:13,373 --> 00:06:16,376 ここからが本番だったのか!》 87 00:06:16,376 --> 00:06:19,379 《とにかく まずは 食べてみよう》 88 00:06:21,381 --> 00:06:24,384 《う… うまーい‼》 89 00:06:24,384 --> 00:06:29,389 《外はサクッとした歯応えで 中はジュワッとジューシー!》 90 00:06:29,389 --> 00:06:32,392 《きっと いい肉を使っているんだろう》 91 00:06:32,392 --> 00:06:36,396 《複雑に絡み合うスパイスの 味でご飯も進むし…》 92 00:06:36,396 --> 00:06:40,400 《千切りキャベツは口の中を さっぱりさせてくれる》 93 00:06:41,401 --> 00:06:45,405 《う~ん。やはり 定食に味噌汁は欠かせないな》 94 00:06:45,405 --> 00:06:48,408 《いける… いけるぞ!》 95 00:06:48,408 --> 00:06:51,411 《このから揚げ定食なら 無限に食べられる》 96 00:06:51,411 --> 00:06:56,416 《そう 無限に。 無限に…!》 97 00:06:56,416 --> 00:07:00,420 《いや… 残り5個。 さすがに飽きがきてしまった》 98 00:07:01,421 --> 00:07:04,424 《ここからが本番だな。 落ち着いていこう…》 99 00:07:04,424 --> 00:07:07,427 《クリアへの道筋は あるはずだ!》 100 00:07:08,428 --> 00:07:10,430 七味と醤油…。 101 00:07:12,432 --> 00:07:14,434 《いけー!》 102 00:07:14,434 --> 00:07:18,438 《よし… 味変 成功!》 103 00:07:18,438 --> 00:07:21,441 《次は… お前だ!》 104 00:07:23,443 --> 00:07:26,446 《うん! また違う味わいでいけるな》 105 00:07:26,446 --> 00:07:30,450 《しかも この濃い味が 飯に合う!》 106 00:07:31,451 --> 00:07:34,454 《よっしゃあ!この調子で どんどんいくぜ!》 107 00:07:35,455 --> 00:07:37,457 《おりゃ~!》 108 00:07:37,457 --> 00:07:39,459 《な… 何ぃ!?》 109 00:07:39,459 --> 00:07:43,463 《くっ…もう 同じ味は 通用しないということか…》 110 00:07:43,463 --> 00:07:45,465 《しかも かなり 腹が…》 111 00:07:45,465 --> 00:07:49,469 う… うわあ…。 あああっ‼ 112 00:07:49,469 --> 00:07:53,473 《くっ…。 どうする? これ以上は もう…》 113 00:07:54,474 --> 00:07:58,478 《よくないことだというのは 重々 承知している》 114 00:07:58,478 --> 00:08:00,480 《だが その上で… 115 00:08:00,480 --> 00:08:05,485 ギブアップという選択肢も 視野に入れざるを 得ないんじゃないか…?》 116 00:08:05,485 --> 00:08:08,488 (男性)にしても 店長さ 117 00:08:08,488 --> 00:08:13,493 この値段で から揚げ山盛り出してたら やっていけないんじゃないの? 118 00:08:13,493 --> 00:08:16,496 ハハハハ。 そうなんですけどね。 119 00:08:16,496 --> 00:08:20,500 お客様が おなかいっぱい食べてくれるのが嬉しくて 120 00:08:20,500 --> 00:08:22,502 やめられないんですよ! 121 00:08:22,502 --> 00:08:26,506 《な… なんと まぶしい笑顔!》 122 00:08:26,506 --> 00:08:30,510 《このから揚げ定食の裏に そんな思いが…》 123 00:08:30,510 --> 00:08:35,515 《ダメだ。 やはり俺は 諦めるわけにはいかない!》 124 00:08:35,515 --> 00:08:38,518 《とはいえ ここから どう攻略する…?》 125 00:08:38,518 --> 00:08:42,522 あっ 店長 マヨネーズくれる? (店長)は~い。 126 00:08:42,522 --> 00:08:45,525 《そ… そんな スペシャルアイテムが!?》 127 00:08:45,525 --> 00:08:48,528 あの! こちらも頂いていいですか? 128 00:08:48,528 --> 00:08:50,530 あっ は… はい。 129 00:08:50,530 --> 00:08:52,532 《きたきたきたー!》 130 00:08:52,532 --> 00:08:54,534 《さあ 頼んだぞ!》 131 00:08:58,538 --> 00:09:01,541 《うん うまい! 会心の一撃だ!》 132 00:09:01,541 --> 00:09:03,543 《よし… 残りは2つ》 133 00:09:03,543 --> 00:09:05,545 《ゴールが見えてきたぞ~!》 134 00:09:05,545 --> 00:09:07,547 (店長)お客さん。 135 00:09:07,547 --> 00:09:10,550 いい食べっぷりですねえ。 えっ? あっ どうも…。 136 00:09:11,551 --> 00:09:14,554 おや? お客さん。 ご飯 いかがです? 137 00:09:14,554 --> 00:09:16,556 おかわりできますよ。 えっ!? 138 00:09:17,557 --> 00:09:21,561 《いやいや ここにきて それは…。 申し訳ないが ここは…》 139 00:09:21,561 --> 00:09:24,564 (店長)うちは お米のブランドにも こだわってまして。 140 00:09:24,564 --> 00:09:26,566 えっ? そ… そうなんですか? 141 00:09:26,566 --> 00:09:29,569 やっぱり 「おかわり」って 言ってくれると 142 00:09:29,569 --> 00:09:31,571 めちゃくちゃ嬉しいんで! 143 00:09:33,573 --> 00:09:36,576 …じゃあ ホントに ちょっとだけ。は~い! 144 00:09:37,577 --> 00:09:39,579 《あああ…》 145 00:09:39,579 --> 00:09:42,582 《俺の… バカー!》 146 00:09:42,582 --> 00:09:46,586 《こうなったら もう 俺に残された手段は一つ…》 147 00:09:46,586 --> 00:09:51,591 《ずばり… 根性だ~!!》 148 00:09:53,593 --> 00:09:57,597 《よ~し! 残すは から揚げ1つ!》 149 00:09:57,597 --> 00:10:00,600 《さあ ラストスパート!》 150 00:10:00,600 --> 00:10:03,603 《な… 何ぃ!?》 151 00:10:03,603 --> 00:10:05,605 《み… みんなー!》 152 00:10:06,606 --> 00:10:12,612 《あと1つ… あと1つなのに 箸が動かない…》 153 00:10:12,612 --> 00:10:15,615 《どうする…? どうする⁉》 154 00:10:16,616 --> 00:10:18,618 《塩か…》 155 00:10:18,618 --> 00:10:22,622 《確かに まだ使っていないが 今さらという感じも…》 156 00:10:22,622 --> 00:10:24,624 《いや…!》 157 00:10:24,624 --> 00:10:27,627 《これは 序盤から手に入る ありふれたアイテムが 158 00:10:27,627 --> 00:10:31,631 実は重要アイテムだった という激アツ展開!》 159 00:10:32,632 --> 00:10:35,635 《最後は… お前だー!》 160 00:10:43,643 --> 00:10:46,646 や… やったぞ~! 161 00:10:48,648 --> 00:10:51,651 《いやあ~ 食った 食った…》 162 00:10:51,651 --> 00:10:55,655 《次 行く機会があれば 7個くらいにしておこう…》 163 00:10:57,657 --> 00:10:59,659 えっ…? 164 00:10:59,659 --> 00:11:02,662 《足りなかったか。 しょうがない 切符を買って…》 165 00:11:02,662 --> 00:11:04,664 《ああっ!》 166 00:11:04,664 --> 00:11:07,667 《そうだ もう1円も持ってないんだった…》 167 00:11:07,667 --> 00:11:12,672 《打ち合わせは40分後 取引先までは2駅》 168 00:11:12,672 --> 00:11:15,675 《徒歩でも ギリいけるか…?》 169 00:11:15,675 --> 00:11:18,678 《満腹状態なので まずは普通のペース…》 170 00:11:18,678 --> 00:11:22,682 《徐々に早足に変えていき ピンチなら走る!》 171 00:11:22,682 --> 00:11:24,684 《頑張れ ひろし!》 172 00:11:24,684 --> 00:11:27,687 《これも ゲーム感覚でクリアするんだ!》 173 00:11:28,688 --> 00:11:30,690 ごちそうさまでした。 174 00:11:31,691 --> 00:11:34,694 (野原ひろし)《人には しょっちゅう通うわけではないが 175 00:11:34,694 --> 00:11:38,698 時々 足を運ぶ場所というものがある》 176 00:11:39,699 --> 00:11:43,703 《読書家を気取りたい時に行く 古本屋だったり 177 00:11:43,703 --> 00:11:48,708 ストレスを解消したい時に行く ボウリング場だったり 178 00:11:48,708 --> 00:11:53,713 はたまた 日常から離れたい時に行く 釣り堀だったり…》 179 00:11:53,713 --> 00:12:00,720 《頻度は低くとも 何年も通っていれば それもまた 常連と言えるのかもしれない》 180 00:12:00,720 --> 00:12:06,726 《そして この沖縄そば屋も 俺にとって そういう場所の一つ》 181 00:12:06,726 --> 00:12:11,731 《沖縄出身の大将が 本場の味を作ってくれる店だ》 182 00:12:11,731 --> 00:12:15,735 (大将)めんそーれ! どうも。 ご無沙汰してます。 183 00:12:17,737 --> 00:12:21,741 《さあて 何にしようか… 184 00:12:21,741 --> 00:12:23,743 と悩む必要はない》 185 00:12:24,744 --> 00:12:26,746 いつものでいいですか? 186 00:12:26,746 --> 00:12:29,749 はい いつもので。 かしこまりました。 187 00:12:29,749 --> 00:12:33,753 《「いつもの」とは ずばり ソーキそばのこと》 188 00:12:33,753 --> 00:12:35,755 《大将も わかってくれている》 189 00:12:35,755 --> 00:12:39,759 《大人として 若者にアドバイスするならばだ 190 00:12:39,759 --> 00:12:44,764 こういう関係性の店が いくつあるかで 人生の豊かさが…》 191 00:12:44,764 --> 00:12:46,766 …って ええー!? 192 00:12:46,766 --> 00:12:50,770 どうしました? 大将… 店 閉めるんですか? 193 00:12:50,770 --> 00:12:52,772 ああ そうなんですよ。 194 00:12:52,772 --> 00:12:54,774 《ま… まさかの展開!》 195 00:12:54,774 --> 00:12:56,776 (男性)残念だなあ…。 196 00:12:56,776 --> 00:12:59,779 せっかく いい店に出会えたと思ってたのに。 197 00:12:59,779 --> 00:13:03,783 すみません。 寂しくなるなあ…。 198 00:13:03,783 --> 00:13:06,786 《俺も しょっちゅう来てたわけじゃないとはいえ 199 00:13:06,786 --> 00:13:08,788 ショックだなあ…》 200 00:13:08,788 --> 00:13:13,793 《しかし 現に こうして お客さんは 俺含めて2人だけ…》 201 00:13:13,793 --> 00:13:17,797 《昔は もうちょっと にぎわってたよな》 202 00:13:17,797 --> 00:13:20,800 《最初に ここに来たのは… そう 203 00:13:20,800 --> 00:13:24,804 取引先の人と 一緒に昼メシを食べることになって…》 204 00:13:24,804 --> 00:13:27,807 (男性)へえ 沖縄そばか。 205 00:13:27,807 --> 00:13:31,811 野原さん ここ どうです? ああ いいですね。 206 00:13:31,811 --> 00:13:35,815 自分 スキューバダイビングやるんで 沖縄 めっちゃ行くんですよ。 207 00:13:35,815 --> 00:13:37,817 へえ~。 208 00:13:38,818 --> 00:13:40,820 めんそーれ! 209 00:13:40,820 --> 00:13:43,823 えっ…? えっと… めんそーれ! 210 00:13:43,823 --> 00:13:47,827 アハハ。 「めんそーれ」は 「いらっしゃい」って 意味ですから。 211 00:13:47,827 --> 00:13:50,830 それだと 野原さんが招いた側になっちゃいますよ。 212 00:13:50,830 --> 00:13:55,835 そ… そうなんですか…。 てっきり こんにちは的な意味かと…。 213 00:13:55,835 --> 00:13:58,838 《初っぱなで赤っ恥をかいて…》 214 00:13:59,839 --> 00:14:01,841 残波岬 いいですよね。 215 00:14:01,841 --> 00:14:04,844 ナポレオンフィッシュに会うと テンション上がるんですよ! 216 00:14:04,844 --> 00:14:07,847 《2人の会話に入っていけず…》 217 00:14:08,848 --> 00:14:11,851 いやあ 美味しかったですね。 ええ 本当に。 218 00:14:11,851 --> 00:14:14,854 このまま 常連になっちゃいそうだな。 219 00:14:14,854 --> 00:14:19,859 野原さんも また ご一緒しましょうよ。 はい。 ぜひ また来ましょう。 220 00:14:19,859 --> 00:14:24,864 《でも そのあと 取引先の人は 名古屋のほうに転勤になって…》 221 00:14:25,865 --> 00:14:30,870 《結局 俺だけが ゆる~い感じの常連になったんだよな…》 222 00:14:30,870 --> 00:14:34,874 (男性)ごちそうさま。 (大将)650円になります。 223 00:14:34,874 --> 00:14:36,876 にふぇーでーびる! 224 00:14:36,876 --> 00:14:40,880 《「にふぇーでーびる」は 「ありがとう」という意味》 225 00:14:40,880 --> 00:14:42,882 《俺も この店に通ううちに 226 00:14:42,882 --> 00:14:46,886 多少は 沖縄の言葉がわかるようになったもんだ》 227 00:14:47,887 --> 00:14:51,891 《しかし… これで とうとう お客さんは俺一人か…》 228 00:14:51,891 --> 00:14:55,895 《世間話でも振ってみるべきなんだろうか?》 229 00:14:55,895 --> 00:14:58,898 《もう会うことはないかもしれないし…》 230 00:14:58,898 --> 00:15:03,903 《でも… 今まで 雑談らしい雑談をしたことはないしな…》 231 00:15:03,903 --> 00:15:07,907 《何か 話の入り口になりそうな…》 232 00:15:07,907 --> 00:15:10,910 《おっ 謎の石 発見!》 233 00:15:10,910 --> 00:15:13,913 大将 あの石 なんですか? 234 00:15:13,913 --> 00:15:17,917 ああ 友人からもらったもので。 隕石らしくて。 235 00:15:17,917 --> 00:15:22,922 へえ~ 隕石。 私も 全然 詳しくはないんですけど…。 236 00:15:22,922 --> 00:15:24,924 そうか…。 237 00:15:24,924 --> 00:15:28,928 隕石…。 (大将)ええ… 隕石。 238 00:15:28,928 --> 00:15:33,933 すごいよなあ。 はるばる 地球まで…。 ですね…。 239 00:15:35,935 --> 00:15:37,937 《話 広がらず!》 240 00:15:37,937 --> 00:15:43,943 《あっ そういえば 一回だけ 大将と街で ばったり会ったことがあるぞ》 241 00:15:43,943 --> 00:15:45,945 《えっと あの時は 確か…》 242 00:15:47,947 --> 00:15:49,949 (大将)あっ…。 あっ。 243 00:15:51,951 --> 00:15:54,954 あっ…。 どうも。 どうも。 244 00:15:54,954 --> 00:15:58,958 《私服が 思ってた感じと違った》 245 00:15:59,959 --> 00:16:04,964 《どうする? あの私服の件 ツッコんでみるか?》 246 00:16:04,964 --> 00:16:07,967 《いやいや。 話が いいほうに転がれば盛り上がるが 247 00:16:07,967 --> 00:16:12,972 最悪 ものすごく変な空気にしてしまう 可能性もあるし…》 248 00:16:13,973 --> 00:16:16,976 《こんなことなら もっと前から ちゃんと 249 00:16:16,976 --> 00:16:19,979 コミュニケーション取っとけば よかったな…》 250 00:16:19,979 --> 00:16:21,981 《長年 通ってるのに 251 00:16:21,981 --> 00:16:24,984 いつまでも お店の人とお客さんの関係で…》 252 00:16:24,984 --> 00:16:26,986 (大将)お待たせしました。 253 00:16:26,986 --> 00:16:29,989 ご注文のソーキそばです。 254 00:16:29,989 --> 00:16:31,991 あっ どうも。 255 00:16:32,992 --> 00:16:34,994 おおお…! 256 00:16:34,994 --> 00:16:37,997 《きたきた! これだよ これ!》 257 00:16:37,997 --> 00:16:39,999 《透明なスープに 258 00:16:39,999 --> 00:16:45,004 紅しょうがの赤と かまぼこの白 ネギの緑が よく映える》 259 00:16:45,004 --> 00:16:49,008 《そして 中央にドーンと鎮座するソーキ!》 260 00:16:49,008 --> 00:16:54,013 《おまけに ラフテーとポークまで 豪華にのせられていて…》 261 00:16:54,013 --> 00:16:56,015 ん? あの… 262 00:16:56,015 --> 00:16:58,017 ラフテーとポークが…。 263 00:16:58,017 --> 00:17:01,020 (大将)私からのサービスです。 えっ? 264 00:17:01,020 --> 00:17:06,025 お客様には 長い間 ご愛顧いただきましたので。 265 00:17:06,025 --> 00:17:10,029 あ… ありがとうございます! 266 00:17:10,029 --> 00:17:13,032 《そうか… ならば 俺も 267 00:17:13,032 --> 00:17:19,038 この店で食べる 最後の沖縄そばを 一口一口 大切に頂こう!》 268 00:17:19,038 --> 00:17:23,042 《沖縄流に言えば… くわっちーさびら!》 269 00:17:24,043 --> 00:17:26,045 《まずは スープから》 270 00:17:26,045 --> 00:17:28,047 《見よ この透き通る美しさを》 271 00:17:28,047 --> 00:17:31,050 《そのお味は…》 272 00:17:31,050 --> 00:17:35,054 《う~ん… 染み渡る~!》 273 00:17:35,054 --> 00:17:38,057 《豚骨とカツオだしの 絶妙なバランス!》 274 00:17:38,057 --> 00:17:42,061 《コクがあって なおかつ あっさりしてるぜ!》 275 00:17:42,061 --> 00:17:44,063 《そして そんなスープから 276 00:17:44,063 --> 00:17:46,065 平麺が こんにちは!》 277 00:17:48,067 --> 00:17:51,070 《ここで 沖縄そばの豆知識を一つ》 278 00:17:51,070 --> 00:17:53,072 ひとくちに沖縄そばといっても 279 00:17:53,072 --> 00:17:57,076 沖縄本島 宮古島 八重山諸島など 280 00:17:57,076 --> 00:18:00,079 地域によって 主流となる麺の形は異なる。 281 00:18:01,080 --> 00:18:06,085 このお店は 沖縄本島北部で よく見られるという平麺タイプだ。 282 00:18:08,087 --> 00:18:14,093 《ああ… うまい! この独特の風味がいいんだよな~》 283 00:18:14,093 --> 00:18:17,096 《続いて サービスのポークを頂くか》 284 00:18:19,098 --> 00:18:24,103 ソーセージの中身だけを型で固めた いわゆる ランチョンミート。 285 00:18:24,103 --> 00:18:27,106 これを 沖縄ではポークと呼ぶ。 286 00:18:30,109 --> 00:18:33,112 《うん! いいアクセント》 287 00:18:33,112 --> 00:18:35,114 《なんだか 懐かしい味なんだよな》 288 00:18:35,114 --> 00:18:38,117 《…からの ラフテー!》 289 00:18:38,117 --> 00:18:40,119 《豚バラ肉を煮付けたものだ》 290 00:18:41,120 --> 00:18:43,122 《角煮と同じものだと思われがちだが 291 00:18:43,122 --> 00:18:45,124 それは間違い》 292 00:18:47,126 --> 00:18:50,129 ラフテーは 皮付きの豚肉を使い 293 00:18:50,129 --> 00:18:54,133 泡盛やかつおダシで煮込むのが大きな特徴だ。 294 00:18:54,133 --> 00:18:57,136 つまり… 君がラフテーだ! 295 00:18:57,136 --> 00:18:59,138 角煮の中に紛れても 296 00:18:59,138 --> 00:19:01,140 俺の目は ごまかせないぜ。 297 00:19:05,144 --> 00:19:11,150 《沖縄で 「びっくりした」を意味する言葉が 出てしまうくらい 驚きのやわらかさ!》 298 00:19:11,150 --> 00:19:15,154 《味もしっかり付いてて 皮もプルプルだ~》 299 00:19:15,154 --> 00:19:17,156 《そして いよいよ… 300 00:19:17,156 --> 00:19:20,159 俺の大本命 ソーキを食すか!》 301 00:19:21,160 --> 00:19:24,163 《ソーキとは 豚のスペアリブ 302 00:19:24,163 --> 00:19:27,166 つまり 骨付きバラ肉のことだ》 303 00:19:27,166 --> 00:19:30,169 《手間暇かけて ホロホロに煮込まれていて…》 304 00:19:32,171 --> 00:19:35,174 《つまり めちゃくちゃうまい!》 305 00:19:35,174 --> 00:19:41,180 《肉と脂の絶妙なバランス 甘辛い味付けも最高だ~!》 306 00:19:42,181 --> 00:19:46,185 《しかし 俺も 随分 沖縄そばに詳しくなったな》 307 00:19:46,185 --> 00:19:50,189 《まあ 全て この店で お客さんが会話してた内容の 308 00:19:50,189 --> 00:19:52,191 受け売りなわけだが…》 309 00:19:52,191 --> 00:19:54,193 あっ…。 310 00:19:54,193 --> 00:19:57,196 《そういや 昔 川口の奴を ここに連れて来た時…》 311 00:19:58,197 --> 00:20:01,200 (川口)うわっ 美味しそう! 312 00:20:01,200 --> 00:20:05,204 (川口)ってか 先輩 ホントに ごちそうしてくれるんですか? 313 00:20:05,204 --> 00:20:09,208 ああ。 商談がうまくいったお祝いだ。 (川口)やったあ! 314 00:20:09,208 --> 00:20:11,210 しかし あれだな。 315 00:20:11,210 --> 00:20:14,213 競合他社より 早期に動いたことが勝因だったな。 316 00:20:14,213 --> 00:20:16,215 ソーキそばだけに! 317 00:20:16,215 --> 00:20:18,217 えっ…。 なんですか? 318 00:20:18,217 --> 00:20:20,219 えっ…? いや…。 319 00:20:24,223 --> 00:20:29,228 《あの時 大将が 「俺には伝わってますよ」って 笑顔を向けてくれて 320 00:20:29,228 --> 00:20:32,231 救われたんだっけな…》 321 00:20:32,231 --> 00:20:35,234 《で そうだ。 その次に来た時だ》 322 00:20:35,234 --> 00:20:37,236 めんそーれ! 323 00:20:37,236 --> 00:20:39,238 いつものですか? えっ いつもの…? 324 00:20:39,238 --> 00:20:43,242 ああ すみません。 てっきり ソーキそばかと。 325 00:20:43,242 --> 00:20:47,246 あっ…。 ああ そうです! いつもので! 326 00:20:47,246 --> 00:20:51,250 《大将のほうから 「いつもの」って言ってくれて…》 327 00:20:51,250 --> 00:20:56,255 《ああ… 俺 この店の常連になったんだなあって》 328 00:20:56,255 --> 00:21:00,259 《俺たちの関係は ずっと お店の人とお客さん》 329 00:21:00,259 --> 00:21:03,262 《でも こうして振り返ると 330 00:21:03,262 --> 00:21:07,266 その中で たくさんのコミュニケーションが あったんだな》 331 00:21:07,266 --> 00:21:11,270 (男性) だから ラフテーと角煮は別物なんだって。 332 00:21:11,270 --> 00:21:15,274 (男性)場所によって 麺の形が違うんだよな。 333 00:21:15,274 --> 00:21:17,276 (男性)ポークって ランチョンミートのことか。 334 00:21:17,276 --> 00:21:24,283 ♪♪~ 335 00:21:24,283 --> 00:21:28,287 《最後のスープ… 飲み干させていただきます!》 336 00:21:29,288 --> 00:21:32,291 《大将に 今日までの感謝を伝えよう》 337 00:21:32,291 --> 00:21:34,293 《それだけで 十分だ》 338 00:21:35,294 --> 00:21:37,296 ごちそうさまです。 339 00:21:37,296 --> 00:21:41,300 今日まで ありがとうございました。 いえ こちらこそ。 340 00:21:41,300 --> 00:21:45,304 もう この味が食べられなくなっちゃうのは 残念ですけど…。 341 00:21:45,304 --> 00:21:49,308 このお店と出会えて 本当によかったです。 342 00:21:52,311 --> 00:21:54,313 それじゃあ。 343 00:21:54,313 --> 00:21:57,316 あっ お客さん! えっ? 344 00:21:57,316 --> 00:22:01,320 お代を まだ頂いてないんですけど…。 345 00:22:03,322 --> 00:22:06,325 あっ…。 すみません…。 346 00:22:07,326 --> 00:22:10,329 ごちそうさまでした。 347 00:22:10,329 --> 00:22:18,337 ♪♪~