1 00:00:13,842 --> 00:00:15,844 (カセロール)金がない。 2 00:00:15,844 --> 00:00:19,514 (シイツ)大将 それは さっきから 何度も聞きました。 3 00:00:19,514 --> 00:00:22,517 それを どうしようかって 話し合いでしょ。 4 00:00:22,517 --> 00:00:26,688 <ペイストリー:盗賊襲来からの 復興問題は 深刻だった。 5 00:00:26,688 --> 00:00:28,690 本村以外の2つの村を 6 00:00:28,690 --> 00:00:31,526 いったん閉鎖した後始末の 負担が 7 00:00:31,526 --> 00:00:33,862 重く のしかかっている。 8 00:00:33,862 --> 00:00:36,531 埋めた井戸を掘り返し 9 00:00:36,531 --> 00:00:38,533 潰した家の補修。 10 00:00:38,533 --> 00:00:40,535 畑を破棄したことで 11 00:00:40,535 --> 00:00:45,707 これから訪れる冬を越すための 食料の 十分な調達。 12 00:00:45,707 --> 00:00:48,543 お金は いくらあっても足りない> 13 00:00:48,543 --> 00:00:51,379 ハァ… 返す返すも 14 00:00:51,379 --> 00:00:54,549 盗賊の頭を逃がしてしまったのが 痛い。 15 00:00:54,549 --> 00:00:56,885 やつなら 懸賞金として 16 00:00:56,885 --> 00:01:00,221 金貨200枚は くだらなかったでしょうからね。 17 00:01:00,221 --> 00:01:02,390 借金するわけにはいかないか? 18 00:01:02,390 --> 00:01:04,392 貸し手がいないでしょうね。 19 00:01:04,392 --> 00:01:08,396 近くの領地は 軒並み 冷害の影響で 余裕がない。 20 00:01:08,396 --> 00:01:10,832 逆に うちまで 借金を頼んできた所も 21 00:01:10,832 --> 00:01:12,834 あるくらいですからね。 22 00:01:12,834 --> 00:01:14,836 (カセロール)王都の宮廷貴族は? (ペイストリー)う~ん…。 23 00:01:14,836 --> 00:01:16,838 えっ だめ だめ! んっ! 24 00:01:16,838 --> 00:01:19,507 あんな 金に汚い連中に 借りちまったら 25 00:01:19,507 --> 00:01:22,844 金貨1枚の利息が 付いちまいますよ! 26 00:01:22,844 --> 00:01:24,846 あの…。 (カセロール/シイツ)んっ? 27 00:01:24,846 --> 00:01:27,182 父様や母様の ご実家の力を 28 00:01:27,182 --> 00:01:29,684 お借りするわけには いかないのですか? 29 00:01:29,684 --> 00:01:34,022 私も アニエスも 実家と 縁を切っているからな。 30 00:01:34,022 --> 00:01:36,024 もう ずいぶんになる。 31 00:01:36,024 --> 00:01:38,693 孫の顔も見せてないのに 32 00:01:38,693 --> 00:01:44,032 今更 金の無心など 無理な話だよ。 そうでしたね。 33 00:01:44,032 --> 00:01:47,035 私たちが一緒になったころの ここは 34 00:01:47,035 --> 00:01:50,038 今以上に 不毛の領地でな。 35 00:01:50,038 --> 00:01:53,375 結婚は 周囲から大反対された。 36 00:01:53,375 --> 00:01:55,377 2人は 大恋愛の末 37 00:01:55,377 --> 00:01:58,046 駆け落ち同然に 結婚したんですよね。 38 00:01:58,046 --> 00:02:01,216 全く 羨ましい。 (せきばらい) 39 00:02:01,216 --> 00:02:03,718 《この世界では 見合いが主流だから 40 00:02:03,718 --> 00:02:05,720 きっと 大変だったろうな》 41 00:02:05,720 --> 00:02:10,225 (カセロール)とにかくだ 金がない! (シイツ)だから わかってますって。 42 00:02:10,225 --> 00:02:12,225 う~ん…。 43 00:02:14,329 --> 00:02:17,165 <ペイストリー:これは 天才と言われながら 44 00:02:17,165 --> 00:02:19,667 志半ばで命を落とし 45 00:02:19,667 --> 00:02:23,671 異世界の貧乏貴族の息子として 転生した パティシエが 46 00:02:23,671 --> 00:02:27,675 お菓子と笑顔で 満ちあふれた世界を目指す 47 00:02:27,675 --> 00:02:30,345 厳しくも 甘~い 甘い 48 00:02:30,345 --> 00:02:33,515 スイーツな物語である。 49 00:02:33,515 --> 00:02:35,517 彼の夢 50 00:02:35,517 --> 00:02:40,517 それは 世界で1つの お菓子の国を作ること> 51 00:04:23,658 --> 00:04:26,327 (マルカルロ)ふ~ん。 それで ここ何日も 52 00:04:26,327 --> 00:04:30,832 執務室に 3人とも籠もって 相談してたのか。 ええ。 53 00:04:30,832 --> 00:04:34,669 ペイス 俺らに隠し事なんて むずくさいぞ。 54 00:04:34,669 --> 00:04:36,671 (ルミニート)ば~か! んっ? 「水くさい」だ。 55 00:04:36,671 --> 00:04:38,673 んっ… わかってらあ! 56 00:04:38,673 --> 00:04:43,011 ルミ けがのほうは? もう出てきてよかったんですか? 57 00:04:43,011 --> 00:04:46,347 もう動いていいって おやじも じいちゃんも 言ってたからな。 58 00:04:46,347 --> 00:04:48,349 このとおり! 59 00:04:48,349 --> 00:04:50,351 なっ… 痛っ。 60 00:04:50,351 --> 00:04:52,854 アハッ 実は まだ ちょっと痛い。 61 00:04:52,854 --> 00:04:56,357 ったく 無理すんなよ。 大丈夫だっての。 62 00:04:56,357 --> 00:04:59,027 (ペイストリー)ウフフッ。 んっ… なんだよ? 63 00:04:59,027 --> 00:05:01,362 ほほ笑ましい夫婦愛ですね。 64 00:05:01,362 --> 00:05:05,366 だ~か~ら~ そんなんじゃねえっての! 65 00:05:05,366 --> 00:05:09,203 なあ 畑を広げるってのは? 66 00:05:09,203 --> 00:05:12,974 (ペイストリー)確かに まだ 領内に 開発の余地はあります。 67 00:05:12,974 --> 00:05:17,478 でも 時間と人手 何より お金が必要です。 68 00:05:17,478 --> 00:05:19,814 今日明日では 難しいですね。 69 00:05:19,814 --> 00:05:23,985 この前 ペイスが作ったボンカパイは? ボンカパイ? 70 00:05:23,985 --> 00:05:28,323 あれ おいしかったし 街で売るってのは どうだ? 71 00:05:28,323 --> 00:05:32,323 う~ん… 作るのは 楽しいですが…。 72 00:05:34,662 --> 00:05:40,835 《ペイストリー:ハァー… ほんとに 楽しかったな~! 73 00:05:40,835 --> 00:05:42,837 ハァ…。 74 00:05:42,837 --> 00:05:46,007 ハッ! だめ だめ! 今は お菓子より 金策!》 75 00:05:46,007 --> 00:05:48,176 もうかるほどの量を作るには 76 00:05:48,176 --> 00:05:50,845 ボンカを たくさん 仕入れなければなりませんし 77 00:05:50,845 --> 00:05:53,014 これも 難しいですね。 78 00:05:53,014 --> 00:05:57,018 じゃあさ ペイスが魔法を教える ってのは どうだよ? 79 00:05:57,018 --> 00:05:59,854 魔法を教わって どうするんですか? 80 00:05:59,854 --> 00:06:03,191 魔法が使えれば でっかいことができるだろ? 81 00:06:03,191 --> 00:06:07,362 んで 金持ちになって おいしい物を 毎日 食うんだ。 82 00:06:07,362 --> 00:06:09,364 無理だね。 んな!? 83 00:06:09,364 --> 00:06:11,299 奇跡でも起きないかぎり 84 00:06:11,299 --> 00:06:15,470 仮に 1万歩 譲って 魔法が 使えるようになったとしても 85 00:06:15,470 --> 00:06:18,139 マルクには 使いこなすってことができねえよ。 86 00:06:18,139 --> 00:06:20,141 どういう意味だ! 87 00:06:20,141 --> 00:06:23,311 火を出せたとしても 自分の火で 黒焦げになるのが 88 00:06:23,311 --> 00:06:25,480 関の山ってこと。 89 00:06:25,480 --> 00:06:27,649 なんたって あほなんだから。 90 00:06:27,649 --> 00:06:30,151 フフン。 ばっ… ばかにすんな こら~! 91 00:06:30,151 --> 00:06:32,654 はい はい じゃれるのは それくらいに。 92 00:06:32,654 --> 00:06:34,656 じゃれてねえっつうの! 93 00:06:34,656 --> 00:06:37,492 でも 魔法ってのは なんか ありだな。 んっ? 94 00:06:37,492 --> 00:06:39,494 魔法ですか? 95 00:06:39,494 --> 00:06:42,497 ペイス お前の魔法 見せてくれねえか? 96 00:06:42,497 --> 00:06:45,833 なんか 思いつくかも。 おっ いいな! 97 00:06:45,833 --> 00:06:50,004 《う~ん… 3人寄れば なんとやら。 98 00:06:50,004 --> 00:06:53,174 本当に ヒントになれば 幸いだ。 99 00:06:53,174 --> 00:06:57,011 前の世界で 新作スイーツを考案するときも 100 00:06:57,011 --> 00:07:02,016 仲間と 夜通し いろいろ 思いつくままに作ったっけ》 101 00:07:02,016 --> 00:07:04,018 (ペイストリー)わかりました。 んっ? 102 00:07:04,018 --> 00:07:07,355 それじゃ 地面に 好きな絵を描いてみてください。 103 00:07:07,355 --> 00:07:10,625 なんでもいいのか? ええ。 104 00:07:10,625 --> 00:07:12,627 フンッ。 105 00:07:12,627 --> 00:07:15,129 ヘヘヘヘヘ…。 106 00:07:15,129 --> 00:07:17,799 なんです? これ。 ヘヘン! 107 00:07:17,799 --> 00:07:19,801 俺が 魔法で ドラゴンを 108 00:07:19,801 --> 00:07:22,470 ばば~って やっつけてる場面だ! 109 00:07:22,470 --> 00:07:24,806 (ペイストリー)あっ これ ドラゴンですか。 110 00:07:24,806 --> 00:07:29,310 《みみずに 足が生えたのかと思った》 111 00:07:29,310 --> 00:07:32,146 んっ? ヘヘッ! ルミのは 112 00:07:32,146 --> 00:07:34,816 もしかして ボンカですか? 当たり。 113 00:07:34,816 --> 00:07:37,318 ヘヘッ うまいもんだろ? 114 00:07:37,318 --> 00:07:40,488 (ペイストリー)隣のは? ボンカパイに決まってるじゃん! 115 00:07:40,488 --> 00:07:43,825 はぁ? 石ころかと思ったぜ 下手くそ。 116 00:07:43,825 --> 00:07:48,496 んだと? 蛇が はいずってる ようにしか見えない絵のくせに。 117 00:07:48,496 --> 00:07:52,333 おい! このドラゴンの かっこよさが わからねえのかよ! 118 00:07:52,333 --> 00:07:54,335 発想が がきなんだよ! 119 00:07:54,335 --> 00:07:57,435 はい はい! それじゃあ 魔法を使いますよ! 120 00:07:59,507 --> 00:08:01,843 (ルミニート/マルカルロ)おっ! 《転写!》 121 00:08:01,843 --> 00:08:03,845 (ルミニート/マルカルロ)うわっ! 122 00:08:03,845 --> 00:08:05,847 あっ…。 123 00:08:05,847 --> 00:08:07,847 あ~…。 124 00:08:13,955 --> 00:08:16,855 んっ? あっ… 熱っ! うわっ! 125 00:08:20,795 --> 00:08:23,965 あ~! あっ すっげえ! 126 00:08:23,965 --> 00:08:26,134 絵が写った! 127 00:08:26,134 --> 00:08:29,804 いや~ ペイスって ほんとに 魔法が使えるんだな。 128 00:08:29,804 --> 00:08:32,473 前に見てるじゃないですか。 129 00:08:32,473 --> 00:08:34,475 んっ…。 130 00:08:34,475 --> 00:08:36,477 こすっても 消えねえんだ。 131 00:08:36,477 --> 00:08:39,313 (ペイストリー)人の肌なら 2~3日で消えますよ。 132 00:08:39,313 --> 00:08:42,483 木や壁なんかだと 残ってしまいますが。 133 00:08:42,483 --> 00:08:44,485 かっこいいな~。 134 00:08:44,485 --> 00:08:47,989 ヘヘッ じいちゃんに見せようっと。 135 00:08:47,989 --> 00:08:50,825 なあ ペイス 逆は できないのか? 136 00:08:50,825 --> 00:08:53,661 えっ 逆とは? 137 00:08:53,661 --> 00:08:56,664 描いた物を 転写するんじゃなくてさ 138 00:08:56,664 --> 00:08:59,834 何かを転写して 絵にするんだ。 139 00:08:59,834 --> 00:09:02,170 (ペイストリー)転写して 絵に…。 140 00:09:02,170 --> 00:09:05,840 家とか 人の顔を 地面に描くとかさ 141 00:09:05,840 --> 00:09:08,342 それができたら おもしろいかなって。 142 00:09:08,342 --> 00:09:10,778 意味が わからねえんだけど。 んっ? 143 00:09:10,778 --> 00:09:12,780 あほ。 (マルカルロ)んだと! 144 00:09:12,780 --> 00:09:14,782 あ~! (ルミニート)どあほ。 (マルカルロ)ああ!? 145 00:09:14,782 --> 00:09:17,118 それです! うわっ… へっ? 146 00:09:17,118 --> 00:09:21,122 そうです! そうですよ! ルミは 天才です! 147 00:09:21,122 --> 00:09:23,624 なっ…。 148 00:09:23,624 --> 00:09:25,960 んっ… なんだよ? いきなり! 149 00:09:25,960 --> 00:09:28,629 あっ マルクのお嫁さんに 失礼を…。 150 00:09:28,629 --> 00:09:31,299 いや もう そのネタ いいって。 151 00:09:31,299 --> 00:09:34,399 おかげで いいアイデアを思いつきました。 152 00:09:36,470 --> 00:09:39,307 (アニエス)そう それほど 領内の財政は 153 00:09:39,307 --> 00:09:42,643 ひっ迫しているの。 うむ。 154 00:09:42,643 --> 00:09:47,648 でも やはり 私の実家に頼るのは 難しいと思うわ。 155 00:09:47,648 --> 00:09:50,651 ハァ… そうだな。 すまない。 156 00:09:50,651 --> 00:09:53,154 (ペイストリー)父様! あっ。 (ドアの開く音) 157 00:09:53,154 --> 00:09:55,990 いい金策が見つかりました! 158 00:09:55,990 --> 00:09:59,327 マジか? 坊。 どんな方法だ? 159 00:09:59,327 --> 00:10:01,662 この前 ジョゼ姉様のお見合いについて 160 00:10:01,662 --> 00:10:05,166 話されてましたよね? あっ… ああ。 161 00:10:05,166 --> 00:10:07,335 (シイツ)お嬢も もうすぐ 13歳。 162 00:10:07,335 --> 00:10:10,171 結婚の年頃ですもんね~。 163 00:10:10,171 --> 00:10:13,174 父様は 瞬間移動が使えますから 164 00:10:13,174 --> 00:10:15,509 あのときは 姉様を連れて 165 00:10:15,509 --> 00:10:18,346 あちこちで 顔を売ることができました。 166 00:10:18,346 --> 00:10:20,514 (カセロール)まあ 私にとっても 167 00:10:20,514 --> 00:10:23,684 娘を自慢して回れる機会だからな。 168 00:10:23,684 --> 00:10:28,522 では 魔法を使えないご両親は どうしているのでしょうか? 169 00:10:28,522 --> 00:10:31,692 うん 最も効率的なのは 170 00:10:31,692 --> 00:10:35,029 王都での王家主催の夜会に 参加することだな。 171 00:10:35,029 --> 00:10:38,366 そうね。 旅には 危険が付き物だし。 172 00:10:38,366 --> 00:10:41,202 うむ 移動手段も ただではない。 173 00:10:41,202 --> 00:10:46,040 貴族の旅行は 金に 羽が生えて 飛んでいくっていいますぜ。 174 00:10:46,040 --> 00:10:48,376 そこで こんな物を 売りに出向いては 175 00:10:48,376 --> 00:10:50,544 どうでしょうか? 176 00:10:50,544 --> 00:10:52,544 転写。 177 00:10:56,217 --> 00:11:00,054 まあ! お~ これは…。 178 00:11:00,054 --> 00:11:02,390 すげえ そっくりだ。 179 00:11:02,390 --> 00:11:05,059 まるで 鏡を見てるみたい。 180 00:11:05,059 --> 00:11:08,229 仮に お見合い写真と呼びます。 181 00:11:08,229 --> 00:11:12,500 モルテールン領の子息の魔法で お見合い写真を作れば 182 00:11:12,500 --> 00:11:14,502 自ら 足を運ばずとも 183 00:11:14,502 --> 00:11:18,005 子どもの顔を 広めることができると 184 00:11:18,005 --> 00:11:23,177 結婚相手を探しておられる方々に 売り込んでみては どうかと…。 185 00:11:23,177 --> 00:11:27,848 《お菓子に関係ない知識も 役に立つもんだな~》 186 00:11:27,848 --> 00:11:31,352 《うん これだけ精密な絵なら 187 00:11:31,352 --> 00:11:33,854 金貨5枚や10枚は 出せる。 188 00:11:33,854 --> 00:11:39,694 絵師に描かせるより 安く済み 魔法ゆえ 材料費もかからない。 189 00:11:39,694 --> 00:11:42,863 絵が 自己紹介してくれるならと 190 00:11:42,863 --> 00:11:45,866 大金を出す親もいるだろう》 191 00:11:45,866 --> 00:11:48,536 フッ… いけるかもしれんな。 192 00:11:48,536 --> 00:11:52,039 でも 坊の魔法が ばれるかもしれませんぜ。 193 00:11:52,039 --> 00:11:54,041 いいんですか? (ペイストリー)いつまでも 194 00:11:54,041 --> 00:11:57,044 隠し通せるものでは ありませんし 195 00:11:57,044 --> 00:11:59,880 それならば いっそ 私の魔法は 196 00:11:59,880 --> 00:12:03,217 絵を作り出す力だと 思わせておく方が 197 00:12:03,217 --> 00:12:05,886 隠れみのになるかもしれません。 198 00:12:05,886 --> 00:12:08,222 はぁ~あ なるほどな。 199 00:12:08,222 --> 00:12:10,825 よし 手始めに レーテシュ伯爵あたりから…。 200 00:12:10,825 --> 00:12:12,827 ペイスちゃん。 あっ はい? 201 00:12:12,827 --> 00:12:15,496 ここ よく見て。 えっ? 202 00:12:15,496 --> 00:12:19,166 ここの小じわ 消せないかしら? 203 00:12:19,166 --> 00:12:22,336 え~? 204 00:12:22,336 --> 00:12:26,841 <ペイストリー:ブラウリッヒ神王国の南部 レーテシュ伯爵領は 205 00:12:26,841 --> 00:12:30,011 東方と南方が 海に面した辺境で 206 00:12:30,011 --> 00:12:33,014 領内には 50を超える村々と 207 00:12:33,014 --> 00:12:36,183 中心となる村が 4つある。 208 00:12:36,183 --> 00:12:39,520 そして 全てをまとめる 領内の都が 209 00:12:39,520 --> 00:12:42,356 おのおの 街道と つながっている。 210 00:12:42,356 --> 00:12:45,026 南方でも指折りの大領地。 211 00:12:45,026 --> 00:12:49,363 その中心が ここ 領都 レーテシュバルだ> 212 00:12:49,363 --> 00:12:53,034 レーテシュ閣下に お会いしたく まかり越しました。 213 00:12:53,034 --> 00:12:55,202 門前を お通し願いたい。 214 00:12:55,202 --> 00:12:57,204 お待ちしておりました。 215 00:12:57,204 --> 00:12:59,707 (レーテシュ)うちが 討伐できなかったことへの 216 00:12:59,707 --> 00:13:02,543 恨み言でも 言いに来たのかしらね。 217 00:13:02,543 --> 00:13:05,713 (コアトン)単純な田舎貴族が 何を言ったところで 218 00:13:05,713 --> 00:13:07,882 恐るるに足りません。 219 00:13:07,882 --> 00:13:10,317 フッ そうね。 220 00:13:10,317 --> 00:13:13,617 適当に言いくるめて お引き取り願いましょう。 221 00:13:17,658 --> 00:13:21,495 お館様 モルテールン閣下を お連れしました。 222 00:13:21,495 --> 00:13:23,497 (レーテシュ)お通ししなさい。 223 00:13:23,497 --> 00:13:26,333 よく お越しくださいました。 224 00:13:26,333 --> 00:13:30,337 名高き モルテールン卿に お会いできて 光栄ですわ。 225 00:13:30,337 --> 00:13:36,137 レーテシュ辺境領が領主 ブリオシュ=サルグレット=ミル=レーテシュです。 226 00:13:38,179 --> 00:13:40,181 ((カセロール:いいか? ペイス。 227 00:13:40,181 --> 00:13:43,684 レーテシュ伯爵は 先代領主の長女だ。 228 00:13:43,684 --> 00:13:46,020 先代らが 戦乱で亡くなり 229 00:13:46,020 --> 00:13:49,523 唯一の後継者権を持つ 彼女の嫡子が 230 00:13:49,523 --> 00:13:51,692 当時は まだ幼かった。 231 00:13:51,692 --> 00:13:57,031 そのため 嫡子が成人するまでと ブリオシュが 領主の座に就いた。 232 00:13:57,031 --> 00:13:59,200 それが 今の領主なのですか? 233 00:13:59,200 --> 00:14:02,036 うん その嫡子も 234 00:14:02,036 --> 00:14:05,372 病で 成人を待たずして 亡くなってな)) 235 00:14:05,372 --> 00:14:10,311 本日は お時間を頂き 感謝いたします レーテシュ卿。 236 00:14:10,311 --> 00:14:14,311 まあ… こちら かわいらしい紳士ね。 237 00:14:16,317 --> 00:14:18,319 《一見 和やか。 238 00:14:18,319 --> 00:14:21,319 でも 油断なく 僕らを観察している》 239 00:14:23,491 --> 00:14:25,826 んっ…。 フッ。 240 00:14:25,826 --> 00:14:28,329 お茶の用意ができております。 241 00:14:28,329 --> 00:14:30,329 これは 恐縮です。 242 00:14:34,168 --> 00:14:36,337 《お~ これは! 243 00:14:36,337 --> 00:14:38,506 焼き菓子… クッキーだ!》 244 00:14:38,506 --> 00:14:44,178 お茶は 当家で商っております 最上級の物を ご用意しました。 245 00:14:44,178 --> 00:14:48,678 レーテシュのお茶といえば 王都でも 名が通っているとか。 246 00:14:51,519 --> 00:14:53,687 うん。 実に うまい。 247 00:14:53,687 --> 00:14:57,191 うわさにたがわぬ すばらしい香りと味です。 248 00:14:57,191 --> 00:14:59,891 お褒めいただけて うれしいですわ。 249 00:15:02,363 --> 00:15:05,366 《前は よく クッキーも作ったな~。 250 00:15:05,366 --> 00:15:08,869 焼きに入るまでの 時間と温度が 命なんだ》 251 00:15:08,869 --> 00:15:11,138 あむ。 252 00:15:11,138 --> 00:15:14,308 んっ… んっ? 《う~ん これは…》 253 00:15:14,308 --> 00:15:16,810 《んっ? 普通 子どもなら 254 00:15:16,810 --> 00:15:20,410 甘い物を与えておけば はしゃぐものだけど》 255 00:15:23,817 --> 00:15:26,654 モルテールン卿は 武勲だけでなく 256 00:15:26,654 --> 00:15:29,657 あの荒野を 豊かにさせた手腕といい 257 00:15:29,657 --> 00:15:32,493 統治にも たけた方と 伺っております。 258 00:15:32,493 --> 00:15:34,495 ありがとうございます。 259 00:15:34,495 --> 00:15:36,830 農政にも お詳しいとあれば 260 00:15:36,830 --> 00:15:39,667 ぜひとも ご教授いただきたいものですわ。 261 00:15:39,667 --> 00:15:42,503 過分な評価を頂き 恐縮です。 262 00:15:42,503 --> 00:15:46,840 ですが 我が領地が 人々を養えるようになったのも 263 00:15:46,840 --> 00:15:49,677 すべて 息子の手腕によるもの。 んっ… フッ。 264 00:15:49,677 --> 00:15:52,012 私など 大したことはありません。 265 00:15:52,012 --> 00:15:54,181 まあ ご謙遜を。 266 00:15:54,181 --> 00:15:58,018 私など 領地を維持するだけで 精いっぱいですのに 267 00:15:58,018 --> 00:16:01,188 実績を誇られないとは…。 アハハハ…。 268 00:16:01,188 --> 00:16:05,192 《まあ まだ 10歳にも満たない子どもが 269 00:16:05,192 --> 00:16:11,298 領地改革の先導をしているなど 普通は信じないだろうな》 270 00:16:11,298 --> 00:16:13,300 んっ…。 (レーテシュ)ご子息も 271 00:16:13,300 --> 00:16:17,304 卿のようなお父上を お持ちで 誇らしいことでしょうね。 272 00:16:17,304 --> 00:16:20,808 《ようやく 僕に話を振られた。 チャンスだ!》 273 00:16:20,808 --> 00:16:24,979 はい 当家の発展は ひとえに 父のおかげであります。 274 00:16:24,979 --> 00:16:27,147 そうでしょうとも。 275 00:16:27,147 --> 00:16:31,485 先日 父が苦労して育てた領地に 276 00:16:31,485 --> 00:16:34,321 不逞のやからが押しかけました。 なっ…。 277 00:16:34,321 --> 00:16:37,491 (ペイストリー)数百人の盗賊集団で 私や子どもたちも 278 00:16:37,491 --> 00:16:41,829 戦わねばならないほどで ございました。 数百人…。 279 00:16:41,829 --> 00:16:46,166 《本当は 50人ぐらいだったけど うそも方便。 280 00:16:46,166 --> 00:16:49,670 大げさにして 動揺を誘うのも 交渉の技だ》 そうでしたの。 281 00:16:49,670 --> 00:16:53,841 《しまった。 子どもに 本題を切り出された》 282 00:16:53,841 --> 00:16:56,844 そのお年で 貴族の義務を果たされるなんて 283 00:16:56,844 --> 00:17:01,015 すばらしいわ。 当家の者にも見習わせたいものだ。 284 00:17:01,015 --> 00:17:04,351 実は 捕らえた賊に 問いただしましたところ 285 00:17:04,351 --> 00:17:07,521 ここ レーテシュバルに いた者だったようなのですが。 286 00:17:07,521 --> 00:17:09,523 あっ…。 287 00:17:09,523 --> 00:17:13,294 《賠償の交渉のようね。 ここは とぼけたほうが…》 288 00:17:13,294 --> 00:17:16,964 それは 初耳だわ。 本当かしら? 289 00:17:16,964 --> 00:17:22,303 お疑いであれば 賊の何人かを お渡しする用意があります。 290 00:17:22,303 --> 00:17:26,640 心当たりがないようならば このまま 王家に引き渡し 291 00:17:26,640 --> 00:17:31,145 公に取り調べることになりますが よろしいですよね? 292 00:17:31,145 --> 00:17:33,147 《この子…》 293 00:17:33,147 --> 00:17:35,816 では そのお話は 正しいとして 294 00:17:35,816 --> 00:17:39,820 先日 当家の領内で 壊滅させた賊の生き残りが 295 00:17:39,820 --> 00:17:42,990 逃げおおせたのかも しれませんわね。 296 00:17:42,990 --> 00:17:49,496 ((レーテシュ伯爵領で 盗賊討伐に失敗したらしい)) 297 00:17:49,496 --> 00:17:53,834 賊は 「自分たちは 伯爵領での討伐を退けたあとで 298 00:17:53,834 --> 00:17:56,837 移動した」。 んっ…。 と言っています。 299 00:17:56,837 --> 00:17:59,173 貴家が壊滅させたと おっしゃるなら 300 00:17:59,173 --> 00:18:02,843 彼らは どこの討伐隊を 退けたのでしょうか? 301 00:18:02,843 --> 00:18:06,180 誰と戦ったというのでしょう? 302 00:18:06,180 --> 00:18:08,515 さあ それは わからないわ。 303 00:18:08,515 --> 00:18:12,953 そもそも 当家が壊滅した賊と そちらが捕らえた賊が 304 00:18:12,953 --> 00:18:17,124 同じ賊であるという根拠が ございまして? 305 00:18:17,124 --> 00:18:19,626 (コアトン/レーテシュ)あっ? 306 00:18:19,626 --> 00:18:22,796 賊の1人が持っていた物です。 307 00:18:22,796 --> 00:18:24,965 貴家の紋章が 入っております。 308 00:18:24,965 --> 00:18:26,967 あっ…。 あっ! 309 00:18:26,967 --> 00:18:28,969 あれは 部下の…。 310 00:18:28,969 --> 00:18:30,971 《やられた!》 311 00:18:30,971 --> 00:18:35,476 当家としては 貴家の手による討伐は 失敗。 312 00:18:35,476 --> 00:18:39,313 その結果 我が領へ 流れてきたものであると 313 00:18:39,313 --> 00:18:41,482 考えております。 314 00:18:41,482 --> 00:18:43,484 承知しかねるわね。 315 00:18:43,484 --> 00:18:45,986 (ペイストリー)閣下のお立場も 理解いたします。 316 00:18:45,986 --> 00:18:49,323 当家としても この件で 騒ぐつもりはございません。 317 00:18:49,323 --> 00:18:51,325 それは ありがたいわ。 318 00:18:51,325 --> 00:18:56,163 しかし 残党とはいえ 元は 貴家の領内の賊。 319 00:18:56,163 --> 00:19:01,335 そのあたりを ご配慮いただき ご温情を賜ればと。 320 00:19:01,335 --> 00:19:04,004 ご温情ね。 321 00:19:04,004 --> 00:19:08,175 しかるべき対価で引き取る というのは いかがかしら? 322 00:19:08,175 --> 00:19:11,445 そう… 金貨100枚では? 323 00:19:11,445 --> 00:19:16,450 閣下 当家の被害を もう少し ご配慮願えませんか? 324 00:19:16,450 --> 00:19:19,453 子どもとは思えない言葉ね。 325 00:19:19,453 --> 00:19:21,955 では 130枚。 326 00:19:21,955 --> 00:19:24,955 もう一声。 んっ…。 327 00:19:34,134 --> 00:19:36,470 150。 フッ…。 328 00:19:36,470 --> 00:19:38,472 結構かと。 329 00:19:38,472 --> 00:19:41,672 父様も よろしいですか? ああ。 330 00:19:43,811 --> 00:19:47,411 《この子 ただ者じゃないわ》 331 00:19:50,484 --> 00:19:53,487 《レーテシュ:先ほどの モルテールン卿の言葉 332 00:19:53,487 --> 00:19:56,490 どうやら 謙遜ではなかったようね。 333 00:19:56,490 --> 00:20:00,160 本来なら 交渉に立つのは モルテールン卿。 334 00:20:00,160 --> 00:20:02,496 それなのに…。 335 00:20:02,496 --> 00:20:04,665 まあ 金貨150枚 336 00:20:04,665 --> 00:20:08,001 賊を取り逃がし 近領内に 被害を広げたと 337 00:20:08,001 --> 00:20:12,701 王家の信頼を損ねることに 比べれば 安いものね》 338 00:20:14,675 --> 00:20:17,678 父様 150枚 確かに。 339 00:20:17,678 --> 00:20:19,678 うん。 340 00:20:22,516 --> 00:20:26,854 正直 子どもと思って 甘く見ていましたわ。 341 00:20:26,854 --> 00:20:29,189 今回は 私の完敗。 342 00:20:29,189 --> 00:20:32,693 いろいろと失礼な物言い お許しください。 343 00:20:32,693 --> 00:20:36,029 まだ お名前を 伺っていませんでしたわね。 344 00:20:36,029 --> 00:20:38,699 申し遅れました。 345 00:20:38,699 --> 00:20:43,370 カセロール=ミル=モルテールンが息子 ペイストリーと申します。 346 00:20:43,370 --> 00:20:46,206 今後とも ぜひ お見知りおきを。 347 00:20:46,206 --> 00:20:49,376 ペイストリー…。 《覚えておくわ》 348 00:20:49,376 --> 00:20:52,880 1つ 伺いたいことがありますの。 はい。 349 00:20:52,880 --> 00:20:58,051 先ほど お茶を飲んだときに 首をかしげておいででしたわね。 350 00:20:58,051 --> 00:21:01,388 えっ? ああ。 (レーテシュ)お茶に 何か? 351 00:21:01,388 --> 00:21:04,558 いえいえ とても おいしいお茶でした。 352 00:21:04,558 --> 00:21:06,727 ただ…。 (レーテシュ)ただ? 353 00:21:06,727 --> 00:21:08,896 (ペイストリー)添えてあったお菓子の 甘さ加減が 354 00:21:08,896 --> 00:21:10,831 やや過剰だったもので。 355 00:21:10,831 --> 00:21:12,833 なっ…。 (レーテシュ)まあ…。 356 00:21:12,833 --> 00:21:17,170 焼き菓子を お茶と頂くときは もう少し 甘さを抑えたほうが 357 00:21:17,170 --> 00:21:20,507 無難ではないかと 考えておりました。 次は ぜひ…。 358 00:21:20,507 --> 00:21:22,843 ペイス。 甘さを抑えた物を作ってみては? 359 00:21:22,843 --> 00:21:24,845 んっ…。 そうすれば 360 00:21:24,845 --> 00:21:27,848 お茶の香りも引き立ち お茶も お菓子も 361 00:21:27,848 --> 00:21:30,017 より おいしく頂けるかと! んんっ。 362 00:21:30,017 --> 00:21:33,854 まっ… まあ~ お口が肥えていらっしゃるのね。 363 00:21:33,854 --> 00:21:35,856 甘さを抑えるには…。 364 00:21:35,856 --> 00:21:38,358 あ~! (カセロール)ペーイス!! 365 00:21:38,358 --> 00:21:41,862 うぅっ。 とんだ失礼を。 366 00:21:41,862 --> 00:21:45,699 《フッ… こざかしいだけかと 思ったけど 367 00:21:45,699 --> 00:21:47,701 こうして見ると…》 368 00:21:47,701 --> 00:21:51,705 手土産も持たず 大変なご無礼をいたしました。 369 00:21:51,705 --> 00:21:53,705 よろしければ こちらを。 370 00:21:55,709 --> 00:21:57,709 《転写》 371 00:22:03,216 --> 00:22:05,552 まあ! 372 00:22:05,552 --> 00:22:07,552 んっ…。 373 00:22:12,159 --> 00:22:14,995 フッ… すてきですわ。 374 00:22:14,995 --> 00:22:16,997 ありがとう。 375 00:22:16,997 --> 00:22:18,999 おいしいお茶と 376 00:22:18,999 --> 00:22:23,399 伯爵閣下の 寛大なる お心遣いへの お礼に。