1 00:00:05,005 --> 00:00:08,508 (ロレンス)んっ… んっ…。 2 00:00:08,508 --> 00:00:10,511 ハァ…。 3 00:00:15,349 --> 00:00:18,652 んっ… あっ…。 ハァ…。 4 00:00:21,521 --> 00:00:23,523 んっ… ん~! 5 00:00:23,523 --> 00:00:25,526 (ホロ)うぅ~…。 んっ? 6 00:00:25,526 --> 00:00:28,695 あっ… ふぁ~…。 7 00:00:28,695 --> 00:00:31,365 よく眠れたようだな。 うむ。 8 00:00:31,365 --> 00:00:35,569 この毛皮は とても暖かいのう。 フゥ…。 9 00:00:37,704 --> 00:00:40,374 んっ? (たたく音) 10 00:00:40,374 --> 00:00:44,378 のみがおった。 そりゃ 最上級の毛並みだからな。 11 00:00:44,378 --> 00:00:46,380 絶好の温床だ。 12 00:00:46,380 --> 00:00:49,216 ほう…。 この尻尾のよさがわかるとは➡ 13 00:00:49,216 --> 00:00:53,053 主も なかなかの目利きじゃな。 う~ん! 14 00:00:53,053 --> 00:00:55,556 まあ それなりにな。 15 00:00:57,557 --> 00:01:01,328 この先っぽの白い尻尾は わっちの自慢よ。 16 00:01:01,328 --> 00:01:04,164 それに この とがった耳もな。 17 00:01:04,164 --> 00:01:08,168 この耳は あらゆる災厄と あらゆる うそを聞き漏らさず➡ 18 00:01:08,168 --> 00:01:11,171 たくさんの仲間を 危機から救ってきた。 19 00:01:11,171 --> 00:01:15,008 ヨイツの気高き 賢狼ホロといえば➡ 20 00:01:15,008 --> 00:01:18,512 それは ほかならぬ わっちのことよ。 21 00:01:18,512 --> 00:01:20,514 んっ? (嗅ぐ音) 22 00:01:20,514 --> 00:01:23,350 自慢の鼻は 何を嗅ぎ分けるんだ? 23 00:01:23,350 --> 00:01:27,688 ふむ。 お主 急いだほうがよい。 どうした? 24 00:01:27,688 --> 00:01:31,692 もうすぐ 雨が来そうじゃ。 はっ? おっ…。 25 00:03:21,334 --> 00:03:25,172 神の ご慈悲に感謝いたします。 お連れ様は? 26 00:03:25,172 --> 00:03:27,340 んっ…。 27 00:03:27,340 --> 00:03:32,012 妻です。 顔に やけどがありまして いつも このように。 28 00:03:32,012 --> 00:03:34,014 そうですか。 29 00:03:34,014 --> 00:03:36,183 うん。 30 00:03:36,183 --> 00:03:39,386 では 私は 荷物を手入れしてから 部屋に。 31 00:03:47,360 --> 00:03:50,864 あっ…。 32 00:03:50,864 --> 00:03:55,368 んっ…。 ん~… ハァ…。 あっ! 33 00:03:55,368 --> 00:04:00,307 フフッ わっちの やけどを 冷たい雨で冷やしんす。 34 00:04:00,307 --> 00:04:02,309 うっ…。 35 00:04:02,309 --> 00:04:05,645 フフッ 毛皮は 大丈夫だったじゃろ? 36 00:04:05,645 --> 00:04:08,148 あれは よほどよいテンの毛皮じゃ。 37 00:04:08,148 --> 00:04:11,485 あのテンの育った山には わっちのような者がいて➡ 38 00:04:11,485 --> 00:04:13,487 山を富ませてるのかもしれん。 39 00:04:13,487 --> 00:04:15,489 高値… あっ んっ…。 40 00:04:15,489 --> 00:04:18,658 高値で売れるか? それは わかりんせん。 41 00:04:18,658 --> 00:04:21,661 わっちは 毛皮商人じゃありんせん。 42 00:04:21,661 --> 00:04:23,830 そうだ。 あの麦は どうすればいい? 43 00:04:23,830 --> 00:04:25,832 どうって どういうことかや? 44 00:04:25,832 --> 00:04:29,836 つまり 脱穀すればいいとか あのままがいいとか。 45 00:04:29,836 --> 00:04:33,840 まあ 本当に あの麦に お前が宿ってたとしたらだが。 46 00:04:33,840 --> 00:04:35,842 わっちが生きているかぎり➡ 47 00:04:35,842 --> 00:04:39,179 あの麦が 腐ったり 枯れたりすることはありんせん。 48 00:04:39,179 --> 00:04:41,181 食べられたり 燃やされたり➡ 49 00:04:41,181 --> 00:04:44,017 すり潰して 土に混ぜられたりすると➡ 50 00:04:44,017 --> 00:04:47,020 わっちは いなくなってしまうかも しらんが➡ 51 00:04:47,020 --> 00:04:49,856 脱穀して保管しておいても 大丈夫じゃ。 52 00:04:49,856 --> 00:04:53,193 じゃあ あとで 麦粒にして 袋にでも入れておくか。 53 00:04:53,193 --> 00:04:55,695 あっ… 自分で持っていたいだろ? 54 00:04:55,695 --> 00:04:59,366 助かるのう。 首から下げられると なおよい。 55 00:04:59,366 --> 00:05:02,302 麦は 少し残しておきたいんだが いいか? 56 00:05:02,302 --> 00:05:04,471 別の土地に 売り込みに行きたいんだ。 57 00:05:04,471 --> 00:05:09,142 作物は その土地にあるからこそ よく実るという物が多い。 58 00:05:09,142 --> 00:05:11,645 まあ すぐに枯れるのがオチじゃ。 59 00:05:11,645 --> 00:05:13,647 行くだけ無駄というものよ。 60 00:05:13,647 --> 00:05:16,149 うっ! (嗅ぐ音) 61 00:05:16,149 --> 00:05:19,152 主は 雨にぬれても まだ臭いの。 62 00:05:19,152 --> 00:05:21,488 んっ? フフフフフ…。 63 00:05:21,488 --> 00:05:23,990 主は ええ男じゃと思いんす。 64 00:05:23,990 --> 00:05:26,326 少しは 身ぎれいにしやさんせ。 65 00:05:26,326 --> 00:05:28,328 これでも 商談に差し障らない程度には➡ 66 00:05:28,328 --> 00:05:30,330 気を付けてるつもりだ。 67 00:05:30,330 --> 00:05:33,500 まあ そのひげは わっちも よいと思う。 68 00:05:33,500 --> 00:05:37,504 んっ? そうか。 お前も これのよさが わかるか。 69 00:05:37,504 --> 00:05:41,675 ただ わっちは もう少し長いほうが好きじゃな。 70 00:05:41,675 --> 00:05:44,344 こう。 71 00:05:44,344 --> 00:05:46,346 あっ… フン! 72 00:05:46,346 --> 00:05:48,648 ハァ…。 フフフフフ…。 73 00:05:51,351 --> 00:05:53,520 大広間に行って 服を乾かそう。 74 00:05:53,520 --> 00:05:56,189 たぶん 暖炉に 火が入ってるはずだ。 75 00:05:56,189 --> 00:06:00,794 暖炉の前には 他に 人がいるからな ぼろは出すなよ。 76 00:06:00,794 --> 00:06:02,796 わっちは 賢狼ホロじゃ。 77 00:06:02,796 --> 00:06:05,465 昔は ずっと この姿で 旅をしていた。 78 00:06:05,465 --> 00:06:07,467 まあ 任しとき。 79 00:06:07,467 --> 00:06:10,303 しかし わっちにはない発想じゃのう。 80 00:06:10,303 --> 00:06:13,473 やけどしたから 顔を隠すなどとは。 81 00:06:13,473 --> 00:06:15,976 ほう… なら お前は どう思う? 82 00:06:15,976 --> 00:06:18,812 そんな やけどは 尻尾や耳と同じ➡ 83 00:06:18,812 --> 00:06:21,815 2つとない わっちの証しと思うまでよ。 84 00:06:26,820 --> 00:06:29,322 ハァ… なるほどな。 85 00:06:29,322 --> 00:06:33,827 ほう… では ヨーレンツのほうから? 86 00:06:33,827 --> 00:06:38,164 ええ 向こうで 塩を仕入れて 別の村に納品し➡ 87 00:06:38,164 --> 00:06:41,001 代わりに テンの毛皮を 買い付けてきたところです。 88 00:06:41,001 --> 00:06:43,003 しかし ここから➡ 89 00:06:43,003 --> 00:06:46,006 また ヨーレンツに帰るのは 骨じゃありませんか? 90 00:06:46,006 --> 00:06:49,342 そこは 商人の知恵。 帰らなくてよいのです。 91 00:06:49,342 --> 00:06:51,344 それは 興味深い。 92 00:06:51,344 --> 00:06:56,182 私が ヨーレンツの商会で 塩を買った際 そこで お金を払いません。 93 00:06:56,182 --> 00:06:58,685 別の町にある その商会の支店に➡ 94 00:06:58,685 --> 00:07:01,454 ほぼ同額の麦を 売っていたからです。 95 00:07:01,454 --> 00:07:05,792 麦の代金を受け取らない代わりに 塩の代金も支払いません。 96 00:07:05,792 --> 00:07:09,963 お金のやりとりをせず 2つの契約が成立するのです。 97 00:07:09,963 --> 00:07:13,466 ほう… それは なんとも不思議な出来事ですね。 98 00:07:13,466 --> 00:07:16,136 これは 為替という制度で➡ 99 00:07:16,136 --> 00:07:18,638 いろいろな地方の方を相手に 商売する➡ 100 00:07:18,638 --> 00:07:20,974 商人たちが発明したものです。 101 00:07:20,974 --> 00:07:24,811 私は ペレンツォという町で ぶどう園を持っていますが➡ 102 00:07:24,811 --> 00:07:29,149 そんな不思議な やり方で 支払いをしたことがありませんな。 103 00:07:29,149 --> 00:07:31,318 知っていたほうが いいのでしょうか? 104 00:07:31,318 --> 00:07:34,988 大丈夫です。 ぶどう園を お持ちの ご領主様なら➡ 105 00:07:34,988 --> 00:07:38,158 業者に 買いたたかれないよう 注意すればよいでしょう。 106 00:07:38,158 --> 00:07:42,162 毎年 それで 口論になりましてな。 107 00:07:42,162 --> 00:07:44,998 ロレンスさんと おっしゃいましたか。 フッ…。 108 00:07:44,998 --> 00:07:47,667 今度 ペレンツォ辺りに お越しのときには➡ 109 00:07:47,667 --> 00:07:50,170 ぜひ 当家を お訪ねください。 110 00:07:50,170 --> 00:07:53,840 歓迎いたします。 ええ ぜひ。 111 00:07:53,840 --> 00:07:58,178 では 妻が ちょっと疲れているようなので➡ 112 00:07:58,178 --> 00:08:00,780 これで 失礼します。 フフッ…。 113 00:08:00,780 --> 00:08:05,085 また 神のお導きがありますように。 114 00:08:09,956 --> 00:08:14,127 (ゼーレン) ヘヘッ 旦那。 なかなかの人物だね。 115 00:08:14,127 --> 00:08:16,129 どこにでもいる 行商人さ。 116 00:08:16,129 --> 00:08:20,300 あっ いやいやいや あっしも あの夫婦を狙ってたんですがね➡ 117 00:08:20,300 --> 00:08:22,469 なかなか きっかけが つかめなかった。 118 00:08:22,469 --> 00:08:25,638 それを 旦那は あっさり やってのけちまった。 119 00:08:25,638 --> 00:08:29,976 俺も 駆け出しのころは 行商人 全部が 化け物に見えた。 120 00:08:29,976 --> 00:08:33,646 今でも 半分以上が 化け物だ。 頑張ることだな。 121 00:08:33,646 --> 00:08:36,349 そう言ってもらえると 安心だ。 122 00:08:38,318 --> 00:08:41,488 あっしの名前は ゼーレンと申します。 123 00:08:41,488 --> 00:08:43,656 駆け出しの行商人です。 124 00:08:43,656 --> 00:08:45,658 ニッ! 125 00:08:47,827 --> 00:08:50,330 ロレンスだ。 126 00:08:50,330 --> 00:08:54,000 そちらは お連れの方ですか? 127 00:08:54,000 --> 00:08:57,504 うん… 妻の ホロだ。 128 00:08:57,504 --> 00:09:00,273 へぇ~ 夫婦で 行商ですか。 129 00:09:00,273 --> 00:09:02,442 しかも 外套なんか すっぽり かぶせて➡ 130 00:09:02,442 --> 00:09:05,445 よほど大事にしてらっしゃる。 131 00:09:05,445 --> 00:09:07,781 ここで会ったのも 神のお導き。 132 00:09:07,781 --> 00:09:11,284 どうか 一目 拝ませてもらえませんかね。 133 00:09:11,284 --> 00:09:14,954 いや…。 旅は たつ前が 最も楽しく➡ 134 00:09:14,954 --> 00:09:18,291 犬は 鳴き声だけが 最も怖く➡ 135 00:09:18,291 --> 00:09:22,462 女は 後ろ姿が 最も美しいものでありんす。 136 00:09:22,462 --> 00:09:26,633 気軽に ひょいと めくれば 人の夢を壊しんす。 137 00:09:26,633 --> 00:09:29,636 わっちにゃ そんなこと できんせん。 138 00:09:29,636 --> 00:09:33,807 あっ あ~… いや… すごい奥さんですね。 139 00:09:33,807 --> 00:09:38,144 尻に敷かれないようにするのが 精いっぱいだ。 うん! 140 00:09:38,144 --> 00:09:41,481 こりゃあ お2人に出会えたのも 神のお導きだ。 141 00:09:41,481 --> 00:09:43,483 どうです? 旦那。 んっ? 142 00:09:43,483 --> 00:09:47,153 ちょっと あっしの話を 聞いてくれやしませんかね? 143 00:09:47,153 --> 00:09:49,155 イヒッ! 144 00:09:53,326 --> 00:09:56,496 う~ん よい匂いじゃのう! 145 00:09:56,496 --> 00:09:58,998 ゆでた芋に やぎのチーズかや! 146 00:09:58,998 --> 00:10:01,000 ハァー! ちょっと待て。 147 00:10:01,000 --> 00:10:03,503 あっ… へっ? んっ? 148 00:10:03,503 --> 00:10:05,505 麦かや。 149 00:10:05,505 --> 00:10:09,008 首から下げられるよう 革ひもも付けておいた。 150 00:10:09,008 --> 00:10:11,311 うむ 助かる。 151 00:10:14,013 --> 00:10:17,350 しかし…。 152 00:10:17,350 --> 00:10:19,519 こっちが優先じゃな! ちょっと待て。 153 00:10:19,519 --> 00:10:22,021 んっ? またかや? 154 00:10:22,021 --> 00:10:24,691 麦の袋に 革ひも。 155 00:10:24,691 --> 00:10:29,195 芋に やぎのチーズまでかけて 教会への寄付も かなりの金額だ。 156 00:10:29,195 --> 00:10:34,033 それに 俺の一張羅の分も 必ず返してもらうからな。 157 00:10:34,033 --> 00:10:38,538 フン! それだけかや? ああ。 158 00:10:40,540 --> 00:10:45,712 うむ! 人の育てた野菜は 木の芽より うまい。 159 00:10:45,712 --> 00:10:49,415 火を通すという発想も 好きだわいな~。 160 00:10:52,385 --> 00:10:54,587 うぐぐっ! うぅ~! 161 00:10:56,890 --> 00:10:59,058 プハー! 162 00:10:59,058 --> 00:11:02,996 人の喉は 相変わらず狭いのう。 不便じゃ。 163 00:11:02,996 --> 00:11:05,999 狼は 丸飲みだからな。 164 00:11:05,999 --> 00:11:09,168 んっ? そりゃあ ほれ…。 165 00:11:09,168 --> 00:11:14,841 頬がないんじゃ。 悠長に かみ砕けん。 166 00:11:14,841 --> 00:11:18,678 しかし わっちは 昔も 芋で 喉を詰まらせた。 167 00:11:18,678 --> 00:11:21,080 相性が悪いのかもしれん。 168 00:11:23,016 --> 00:11:25,018 うぅっ! んっ…。 169 00:11:28,188 --> 00:11:30,189 そういえば お前の耳は➡ 170 00:11:30,189 --> 00:11:32,692 うそを聞き分けられると 言ってなかったか? 171 00:11:32,692 --> 00:11:36,196 んっ? うん まあ 多少はのう。 172 00:11:36,196 --> 00:11:38,865 どのくらいだ? 173 00:11:38,865 --> 00:11:40,867 んっ! 174 00:11:40,867 --> 00:11:43,536 まあ 主が その気もないのに➡ 175 00:11:43,536 --> 00:11:47,207 わっちの尻尾を 褒めたことが わかる程度じゃ。 176 00:11:47,207 --> 00:11:51,377 んっ…。 百発百中ではありんせんがな。 177 00:11:51,377 --> 00:11:53,880 信じる 信じないは➡ 178 00:11:53,880 --> 00:11:57,550 まあ 主の勝手じゃがの。 んっ…。 179 00:11:57,550 --> 00:12:01,654 それじゃあ 聞くが あの小僧の話 どう思う? 180 00:12:01,654 --> 00:12:03,823 小僧? 暖炉のある部屋で➡ 181 00:12:03,823 --> 00:12:05,825 話しかけてきた あいつだ。 182 00:12:05,825 --> 00:12:07,994 あ~! フフッ…。 183 00:12:07,994 --> 00:12:10,997 まあ わっちから見りゃ どっちも小僧じゃが。 184 00:12:10,997 --> 00:12:12,999 んっ! フフッ…。 185 00:12:12,999 --> 00:12:16,169 まあ 主のほうが 少し大人じゃな。 186 00:12:16,169 --> 00:12:20,073 う~ん あの小僧の話か。 187 00:12:22,342 --> 00:12:26,012 ⦅ゼーレン:実はですね 今 出回ってる ある銀貨が➡ 188 00:12:26,012 --> 00:12:28,014 近々 銀の含有率を増やして➡ 189 00:12:28,014 --> 00:12:31,184 新しく発行されるって うわさがあるんでさ。 190 00:12:31,184 --> 00:12:33,353 ほう? (ゼーレン)新しい銀貨は➡ 191 00:12:33,353 --> 00:12:37,190 同じ銀貨であるかぎり 今の銀貨とも 価値は同じ。 192 00:12:37,190 --> 00:12:40,526 けれど よその貨幣に替えるとなれば➡ 193 00:12:40,526 --> 00:12:43,863 今の銀貨よりも 高い価値になるんですぜ。 194 00:12:43,863 --> 00:12:45,865 (ゼーレン/ロレンス)つまり…。 おっ? 195 00:12:45,865 --> 00:12:49,035 今の銀貨を 大量に集めておいて➡ 196 00:12:49,035 --> 00:12:52,372 新しいのが出たと同時に そっちに交換すれば➡ 197 00:12:52,372 --> 00:12:55,708 差額の分だけ 大もうけできるってわけか。 198 00:12:55,708 --> 00:12:58,378 さすが 旦那は わかりが早い。 199 00:12:58,378 --> 00:13:02,148 どうです? どの銀貨が そうなるか お教えする代わりに➡ 200 00:13:02,148 --> 00:13:04,317 旦那が大もうけしたら➡ 201 00:13:04,317 --> 00:13:09,656 そのもうけの分け前を あっしにくれるってのは? ニヒッ! 202 00:13:09,656 --> 00:13:11,658 ふん…⦆ 203 00:13:15,161 --> 00:13:18,331 あの小僧は うそをついとると わっちは思う。 204 00:13:18,331 --> 00:13:22,502 何が どう うそかとか 詳しくは わかりんせんが。 205 00:13:22,502 --> 00:13:28,508 そうか。 貨幣への投機話自体は 珍しいことじゃない。 だが…。 206 00:13:28,508 --> 00:13:32,178 うそをつく理由が わからない。 じゃろ? 207 00:13:32,178 --> 00:13:35,181 んっ…。 うそをつくとき➡ 208 00:13:35,181 --> 00:13:37,684 大事なのは うその内容ではなく➡ 209 00:13:37,684 --> 00:13:40,520 なぜ うそをつくかという その状況じゃ。 210 00:13:40,520 --> 00:13:43,523 あっ… そうだな。 211 00:13:43,523 --> 00:13:47,527 俺は それに気付くまで 何年もかかった。 212 00:13:47,527 --> 00:13:51,364 あっ…。 フフン 気にすることは ありんせん。 213 00:13:51,364 --> 00:13:55,201 わっちから見れば 主も また 小僧なのじゃからな。 214 00:13:55,201 --> 00:13:58,204 んっ! んっ? ウフフッ! 215 00:13:58,204 --> 00:14:02,642 じゃが わっちがおらんかったら 主は どう 判断するつもりじゃ? 216 00:14:02,642 --> 00:14:04,644 俺1人だったら? 217 00:14:04,644 --> 00:14:07,814 うん…。 218 00:14:07,814 --> 00:14:10,983 うそか誠かの判断は 保留にして➡ 219 00:14:10,983 --> 00:14:13,820 とりあえず ゼーレンの話は のんだように振る舞うな。 220 00:14:13,820 --> 00:14:15,822 それは なぜかや? 221 00:14:15,822 --> 00:14:19,158 誠であれば そのまま もうけ話に乗ればいい。 222 00:14:19,158 --> 00:14:21,494 うそであれば 誰かが 何かをたくらんでいる➡ 223 00:14:21,494 --> 00:14:25,832 ということだから そういうときは 注意深く 裏を探っていけば➡ 224 00:14:25,832 --> 00:14:28,668 大抵は もうけ話に つながるはずだ。 225 00:14:28,668 --> 00:14:33,840 フン… じゃあ わっちが あの話は うそじゃと教えたら? 226 00:14:33,840 --> 00:14:36,509 それは…。 あっ! 227 00:14:36,509 --> 00:14:41,013 フフッ… 主は 初めから 何も迷うことなどありんせん。 228 00:14:41,013 --> 00:14:44,684 どのみち 乗ったふりをするんじゃろ? 229 00:14:44,684 --> 00:14:46,686 んっ…。 230 00:14:46,686 --> 00:14:49,689 この余りの芋は わっちの物じゃな。 231 00:14:49,689 --> 00:14:51,691 ハァ…。 フフン! 232 00:14:54,694 --> 00:14:57,029 わっちは 賢狼ホロじゃ。 233 00:14:57,029 --> 00:14:59,632 主の 何倍 生きとると思っとる? 234 00:15:01,968 --> 00:15:03,970 うっ! 235 00:15:12,645 --> 00:15:14,647 んっ? 236 00:15:14,647 --> 00:15:18,151 んっ… ハァ…。 237 00:15:24,824 --> 00:15:26,826 ハァ…。 238 00:15:32,165 --> 00:15:34,167 あっ! 239 00:15:43,509 --> 00:15:45,511 あっ…。 240 00:15:48,347 --> 00:15:53,186 わっちの旦那様の肝が 太くなりますように。 241 00:15:53,186 --> 00:15:55,188 んっ…。 242 00:15:59,692 --> 00:16:02,628 全く… 朝から 何をしていた? 243 00:16:02,628 --> 00:16:06,632 早く目が覚めたので やつらの 説教を聞いてきたんじゃ。 244 00:16:06,632 --> 00:16:08,801 そんなものに興味があったのか。 245 00:16:08,801 --> 00:16:11,504 たまに聞く分には 楽しいからのう。 246 00:16:13,472 --> 00:16:17,310 しかし… こやつらも 偉くなったもんじゃな。 247 00:16:17,310 --> 00:16:19,812 教会は 昔から 偉そうなものだろう。 248 00:16:19,812 --> 00:16:23,816 いやいや わっちが北から来たころには➡ 249 00:16:23,816 --> 00:16:26,319 そんなでもなかったわいな。 250 00:16:26,319 --> 00:16:29,489 少なくとも 唯一神が 世界を創り➡ 251 00:16:29,489 --> 00:16:34,827 人は その世界を借りているなんて 大げさなことは よう言わなんだ。 252 00:16:34,827 --> 00:16:38,664 自然は 誰かが創れるような もんじゃありんせん。 253 00:16:38,664 --> 00:16:40,833 わっちは いつから 教会は➡ 254 00:16:40,833 --> 00:16:44,537 喜劇を扱うようになったのかと 思ったくらいじゃ。 255 00:16:46,839 --> 00:16:50,176 これも 時代の移り変わりかの。 256 00:16:50,176 --> 00:16:53,679 この分だと だいぶ変わっていそうじゃ。 257 00:16:53,679 --> 00:16:57,683 あっ…。 お前自身は 変わったのか? 258 00:16:57,683 --> 00:17:00,453 んっ…。 259 00:17:00,453 --> 00:17:03,956 なら 故郷も変わっていないだろ。 260 00:17:03,956 --> 00:17:06,459 フッ…。 261 00:17:06,459 --> 00:17:08,628 フフッ…。 んっ? 262 00:17:08,628 --> 00:17:12,832 主に慰められてちゃ 賢狼の名折れじゃ。 263 00:17:15,301 --> 00:17:17,970 クフッ…。 あっ…。 264 00:17:17,970 --> 00:17:20,473 フフッ…。 265 00:17:20,473 --> 00:17:22,475 ほれ! うん? 266 00:17:22,475 --> 00:17:26,312 はよ来~い! 何しとる? 267 00:17:26,312 --> 00:17:30,016 ハァ…。 フッ…。 268 00:17:33,152 --> 00:17:37,323 (ゼーレン)そうですか! 話に乗っていただけるんですね。 269 00:17:37,323 --> 00:17:39,659 ただし 前金は払えない。 270 00:17:39,659 --> 00:17:43,329 毛皮を金に換えないかぎり どうにもならんからな。 271 00:17:43,329 --> 00:17:49,835 では 港町 パッツィオで再会して 正式な契約としましょう。 ニッ! 272 00:17:49,835 --> 00:17:53,673 パッツィオに着いたら ヨーレンドって酒場に来てください。 273 00:17:53,673 --> 00:17:55,841 連絡 取れるようになってます。 274 00:17:55,841 --> 00:17:59,512 ヨーレンドだな。 はい。 では お先に! 275 00:17:59,512 --> 00:18:02,782 旦那! 気を付けてくだせえ! 276 00:18:02,782 --> 00:18:06,619 一緒に行かんのかや? 道が ぬかるんでるだろ。 277 00:18:06,619 --> 00:18:09,288 荷馬車より徒歩のほうが 断然 早い。 278 00:18:09,288 --> 00:18:12,959 わざわざ 遅い馬車に つきあわせることもないだろう。 279 00:18:12,959 --> 00:18:17,630 確かに 商人は 時間に うるさいわな。 280 00:18:17,630 --> 00:18:20,299 時は金なりだ。 281 00:18:20,299 --> 00:18:22,969 おもしろい言葉じゃ。 282 00:18:22,969 --> 00:18:25,805 時は金なりか。 283 00:18:25,805 --> 00:18:28,641 お前が 何百年と見てきた農夫たちも➡ 284 00:18:28,641 --> 00:18:30,810 時間には正確だと思うが。 285 00:18:30,810 --> 00:18:33,312 主は 何を見とるかよ。 286 00:18:33,312 --> 00:18:37,650 やつらは 時間に正確ではない。 空気に正確なんじゃ。 287 00:18:37,650 --> 00:18:40,820 うん? わからないな。 288 00:18:40,820 --> 00:18:45,157 よいか? やつらは 朝の空気で 目を覚まし➡ 289 00:18:45,157 --> 00:18:47,660 午後の空気で 草をむしる。 290 00:18:47,660 --> 00:18:50,329 春の空気で 芽吹きを喜び➡ 291 00:18:50,329 --> 00:18:53,165 夏の空気で 成長を楽しむ。 292 00:18:53,165 --> 00:18:55,835 秋の空気で 収穫を祝い➡ 293 00:18:55,835 --> 00:18:59,005 冬の空気で 春を待ちわびるんじゃ。 294 00:18:59,005 --> 00:19:03,275 やつらは 時間なんぞ 気にはせん。 わっちも そうじゃ。 295 00:19:03,275 --> 00:19:07,613 主は 頭の回転はよいが 経験が足りんな。 296 00:19:07,613 --> 00:19:09,815 んっ…。 297 00:19:13,953 --> 00:19:19,125 逆を言えば 年を取れば よき者に なろうということじゃがな。 298 00:19:19,125 --> 00:19:21,460 それは 何百年後の話だ? 299 00:19:21,460 --> 00:19:25,798 アハハハハハ! 主の頭は よう巡るのう。 300 00:19:25,798 --> 00:19:29,802 お前の頭が古すぎて がたが きているだけじゃないのか。 301 00:19:29,802 --> 00:19:32,638 フン… わっちら 狼が➡ 302 00:19:32,638 --> 00:19:35,307 どうして 人を襲うか 知っとるかや? 303 00:19:35,307 --> 00:19:37,476 いや? 304 00:19:37,476 --> 00:19:40,813 それはな 人の頭を食べて➡ 305 00:19:40,813 --> 00:19:45,484 その力を得ようとするからじゃよ。 ハッ! 306 00:19:45,484 --> 00:19:47,987 主なんぞ まだ ひよっこじゃ。 307 00:19:47,987 --> 00:19:50,089 わっちの相手になど なりんせん。 308 00:19:53,159 --> 00:19:56,829 主は 狼に襲われたことはないんかや? 309 00:19:56,829 --> 00:19:59,131 ある。 8回くらい。 310 00:20:02,168 --> 00:20:04,670 手ごわいじゃろ。 ああ。 311 00:20:04,670 --> 00:20:08,174 野犬の群れは どうにかなったが➡ 312 00:20:08,174 --> 00:20:11,010 狼は…。 (ほえる声) 313 00:20:11,010 --> 00:20:13,179 手ごわい。 314 00:20:13,179 --> 00:20:17,683 それはな そやつらが 少なからず 人を食って その力を…。 315 00:20:17,683 --> 00:20:20,186 やめてくれ! あっ…。 316 00:20:20,186 --> 00:20:23,189 がたがきてるなんて言ったのは 悪かった。 317 00:20:23,189 --> 00:20:26,525 だから やめてくれ。 318 00:20:26,525 --> 00:20:31,530 ⦅ハァハァ ハァハァ ハァハァ ハァハァハァ…。 319 00:20:31,530 --> 00:20:33,532 くっ…⦆ 320 00:20:40,706 --> 00:20:43,209 あっ… すまぬ。 321 00:20:56,055 --> 00:20:59,225 怒っとる? 怒っている。 322 00:20:59,225 --> 00:21:01,660 だから 二度と その冗談は やめてくれ。 323 00:21:01,660 --> 00:21:03,662 んっ…。 324 00:21:13,506 --> 00:21:17,343 今夜は あの辺りで寝ることにするかな。 325 00:21:17,343 --> 00:21:22,681 狼は 森だけで暮らし 犬は 一度 人の下で暮らしとる。 326 00:21:22,681 --> 00:21:25,851 んっ? それが 狼と犬の➡ 327 00:21:25,851 --> 00:21:27,853 手ごわさの違いじゃ。 328 00:21:27,853 --> 00:21:31,357 狼は 人に狩られることしか 知りんせん。 329 00:21:31,357 --> 00:21:33,692 人は 恐怖の対象じゃ。 330 00:21:33,692 --> 00:21:35,694 だから よく考える。 331 00:21:35,694 --> 00:21:40,032 人が 森に来たとき わっちらは どう動くべきか。 332 00:21:40,032 --> 00:21:42,368 あっ…。 333 00:21:42,368 --> 00:21:45,704 あっ お前も 人を…。 334 00:21:45,704 --> 00:21:49,875 いくら わっちでもな 答えられんことがある。 335 00:21:49,875 --> 00:21:53,712 あっ… 悪い。 336 00:21:53,712 --> 00:21:56,549 これで おあいこじゃな? んっ…。 337 00:21:56,549 --> 00:21:58,551 ヒヒッ! 338 00:22:00,486 --> 00:22:02,988 ハァ…。 フフフン! 339 00:22:12,331 --> 00:22:16,635 主と わっちじゃ 生きてきた世界が違うんじゃな。