1 00:00:04,505 --> 00:00:08,342 《ノール:この男は 俺に一体 なんの用が? 2 00:00:08,342 --> 00:00:12,012 今日は 疲れたし 早く帰りたいんだが》 3 00:00:12,012 --> 00:00:16,183 (ノール)それで つきあうとは 何にだ? んっ? 4 00:00:16,183 --> 00:00:19,186 うっ…。 (ギルバート)模擬戦だよ。 5 00:00:19,186 --> 00:00:21,355 あっ… 模擬戦? (兵士たち)あっ…。 6 00:00:21,355 --> 00:00:25,359 《対人訓練なんて 養成所以来じゃないか》 7 00:00:28,529 --> 00:00:32,032 これでも俺は 王都じゃ 名が通ってるんだ。 8 00:00:32,032 --> 00:00:37,871 好きな物を選びな。 英雄様の実力 計らせてくれよ。 9 00:00:37,871 --> 00:00:42,042 《冒険者を目指すうえで これは 願ってもない機会だ》 10 00:00:42,042 --> 00:00:46,046 こちらこそ よろしく頼む。 11 00:00:46,046 --> 00:00:48,148 フッ…。 12 00:02:31,184 --> 00:02:34,187 《ノール:俺が どれほど 彼の 相手になるかはわからないが➡ 13 00:02:34,187 --> 00:02:37,524 胸を借りるつもりで挑もう》 14 00:02:37,524 --> 00:02:40,527 あのギルバート隊長と 模擬戦? 15 00:02:40,527 --> 00:02:43,697 誰だ? あいつ。 死んでも知らねえぞ。 16 00:02:43,697 --> 00:02:47,534 じゃあ いくぜ。 17 00:02:47,534 --> 00:02:50,370 うっ! 18 00:02:50,370 --> 00:02:52,372 へぇ…。 19 00:02:54,374 --> 00:02:57,377 うっ! んっ…。 20 00:02:57,377 --> 00:02:59,980 《洗練された動き。 21 00:02:59,980 --> 00:03:03,483 緩急のつけ方も 見事だ》 フッ! フッ フッ! 22 00:03:03,483 --> 00:03:06,486 《きっと なみなみならぬ鍛錬を 積み重ねたんだろう。 23 00:03:06,486 --> 00:03:08,822 しかし…。 24 00:03:08,822 --> 00:03:11,992 どういうわけか 遅い》 ハッ! 25 00:03:11,992 --> 00:03:14,327 《そういうことか》 んっ…。 26 00:03:14,327 --> 00:03:16,329 《ノール:俺相手では 実力の片りんすらも➡ 27 00:03:16,329 --> 00:03:18,331 見せる価値はないと》 フッ! 28 00:03:18,331 --> 00:03:22,502 ちょっと… タイム。 んっ… はぁ? 29 00:03:22,502 --> 00:03:25,338 気を使ってくれているのは わかるが➡ 30 00:03:25,338 --> 00:03:27,674 そこまで 手を抜かなくてもいいぞ。 31 00:03:27,674 --> 00:03:29,676 あっ… そうか。 32 00:03:29,676 --> 00:03:33,513 《人間相手だからって 無意識に手加減していたか》 33 00:03:33,513 --> 00:03:35,615 そいつは 悪かったな。 34 00:03:39,186 --> 00:03:41,188 フッ! 35 00:03:41,188 --> 00:03:43,690 《さっきより 格段に速い。 36 00:03:43,690 --> 00:03:45,859 だが それより…。 37 00:03:45,859 --> 00:03:50,030 俺が かわした瞬間 完全に 無防備になっている。 38 00:03:50,030 --> 00:03:52,365 打ってこいと言わんばかりに…》 39 00:03:52,365 --> 00:03:55,535 くっ! うっ! うっ…。 うっ! ハッ! 40 00:03:55,535 --> 00:03:59,206 《なんでだ? なんで 俺の槍が届かねえ?》 41 00:03:59,206 --> 00:04:01,641 《いや わなだ。 42 00:04:01,641 --> 00:04:04,644 これが 彼の本気であるはずがない》 43 00:04:04,644 --> 00:04:08,548 《くそっ。 これで どうだ?》 44 00:04:11,818 --> 00:04:13,820 《軌道が!》 45 00:04:13,820 --> 00:04:16,022 《もらった!》 ハッ! 46 00:04:18,992 --> 00:04:22,662 フッ…。 47 00:04:22,662 --> 00:04:25,832 《ギルバート:かすりもしない!》 まだ大丈夫だ。 48 00:04:25,832 --> 00:04:28,335 もう少し 速くしてもらってもいいぞ。 49 00:04:28,335 --> 00:04:31,838 あっ…。 んっ… そうかよ。 50 00:04:31,838 --> 00:04:36,510 《もしかしたら 彼は すでに本気を出している? 51 00:04:36,510 --> 00:04:40,347 長い間 己とのみ 向き合ってきた結果➡ 52 00:04:40,347 --> 00:04:43,350 俺も 少しは 強くなっているのかもしれない。 53 00:04:43,350 --> 00:04:47,854 なら 俺でも ひょっとしたら勝てるかも…》 54 00:04:47,854 --> 00:04:49,856 竜滅極閃衝! 55 00:04:57,030 --> 00:05:00,634 ぐぅ~! 56 00:05:00,634 --> 00:05:03,136 あっ! あっ…。 57 00:05:07,808 --> 00:05:10,143 わかった。 俺の負けだ。 58 00:05:10,143 --> 00:05:12,145 ああ… あっ…。 59 00:05:17,651 --> 00:05:19,653 危なかった。 60 00:05:19,653 --> 00:05:23,657 ばかな。 隊長の竜滅極閃衝を かわしただと? 61 00:05:23,657 --> 00:05:25,992 先端が太い 訓練用の槍だったから➡ 62 00:05:25,992 --> 00:05:27,994 風圧で 吹っ飛ばされちまったのさ。 63 00:05:27,994 --> 00:05:31,498 本物だったら 今頃 首から上は 消し飛んでるぜ。 64 00:05:31,498 --> 00:05:34,000 だよな。 なんたって ギルバート隊長は➡ 65 00:05:34,000 --> 00:05:36,837 100年に1人の天才だもんな。 66 00:05:36,837 --> 00:05:39,839 フゥ… 「天才」か…。 67 00:05:39,839 --> 00:05:42,175 《ギルバート:槍を持って すぐ➡ 68 00:05:42,175 --> 00:05:44,678 俺には 才能があると気付いた》 69 00:05:47,013 --> 00:05:51,017 ⦅そこまで! 勝者 ギルバート! 70 00:05:51,017 --> 00:05:53,520 フン…。 あれが 王都で うわさの…。 71 00:05:53,520 --> 00:05:55,522 力の差が歴然ね。 72 00:05:55,522 --> 00:05:58,692 もう この村で 勝てるやつなんていねえよ⦆ 73 00:05:58,692 --> 00:06:01,962 《ギルバート:鍛えれば鍛えるほど 技は洗練され➡ 74 00:06:01,962 --> 00:06:05,966 力が増していくのが わかった。 だが…》 75 00:06:12,973 --> 00:06:16,309 ⦅楽しめたかな この村は。 76 00:06:16,309 --> 00:06:19,145 まさか。 退屈も いいところだ。 77 00:06:19,145 --> 00:06:23,817 強者を求めて 各地を回っていると聞くが➡ 78 00:06:23,817 --> 00:06:26,987 この辺りで お主を満足させられる者は➡ 79 00:06:26,987 --> 00:06:28,989 おらんだろうよ。 80 00:06:28,989 --> 00:06:32,993 王都の めぼしいやつらは 大体 ぶっ倒しちまったからな。 81 00:06:32,993 --> 00:06:36,496 外に出ればと期待したんだが…。 82 00:06:36,496 --> 00:06:38,832 ふむ… うわさでは➡ 83 00:06:38,832 --> 00:06:42,836 王国と諸外国との力関係が 崩れつつあるそうだ。 84 00:06:42,836 --> 00:06:46,673 んっ? 今 国は 強き兵を求め➡ 85 00:06:46,673 --> 00:06:50,343 彼らも また 富や名声を求め 集うだろう。 86 00:06:50,343 --> 00:06:54,180 んっ…。 いま一度 帰ってみては どうだ? 87 00:06:54,180 --> 00:06:57,183 力の集う 王都へ⦆ 88 00:07:02,289 --> 00:07:06,493 《ギルバート:王都に帰った俺は ひらすら 魔物を狩り続け…》 89 00:07:08,962 --> 00:07:11,298 《ギルバート:兵団に 強いやつが入ったと聞けば➡ 90 00:07:11,298 --> 00:07:13,466 戦いを挑み ことごとく ぶっ倒した》 91 00:07:13,466 --> 00:07:15,468 ⦅ギルバート:フッ! (叫び声) 92 00:07:15,468 --> 00:07:17,470 《ギルバート:こんなんじゃ足りねえ。 93 00:07:17,470 --> 00:07:21,808 俺を熱くさせてくれるやつは いねえのか?》 94 00:07:21,808 --> 00:07:25,312 ウゥ…。 95 00:07:25,312 --> 00:07:27,981 フゥ…。 《つまらねえ。 96 00:07:27,981 --> 00:07:30,817 心の底から つまらねえ!》 (叫び声) 97 00:07:30,817 --> 00:07:33,320 うわ~! 《どいつも こいつも…。 98 00:07:33,320 --> 00:07:35,322 弱すぎる!》 99 00:07:38,992 --> 00:07:42,162 (シグ)ここに いたか。 100 00:07:42,162 --> 00:07:44,164 (ギルバート)師匠。 101 00:07:44,164 --> 00:07:47,500 名誉ある 槍聖の2つ名を 授与されたというのに➡ 102 00:07:47,500 --> 00:07:49,502 浮かない顔だな。 103 00:07:49,502 --> 00:07:53,006 面倒な肩書が 1つ 増えただけさ。 104 00:07:53,006 --> 00:07:55,508 フッ… 言ってくれる。 105 00:07:55,508 --> 00:07:59,012 私の剣聖に並ぶ称号を 面倒だとは。 106 00:07:59,012 --> 00:08:00,947 退屈だぜ。 107 00:08:00,947 --> 00:08:03,783 どいつも こいつも ぬるいったらありゃしねえ。 108 00:08:03,783 --> 00:08:07,954 イネスがいるではないか。 チッ… イネスか。 109 00:08:07,954 --> 00:08:12,125 あいつは なんつうか 強さの種類が違うからな。 110 00:08:12,125 --> 00:08:16,629 単純に 模擬戦だったら 俺のほうが 強えし。 そうか。 111 00:08:16,629 --> 00:08:20,633 師匠くらいの実力のやつが もっと いれば おもしろいのによ。 112 00:08:20,633 --> 00:08:24,304 私と同じくらいか。 113 00:08:24,304 --> 00:08:26,473 それは おもしろそうだな。 114 00:08:26,473 --> 00:08:28,808 師匠も 退屈なんじゃないか? 115 00:08:28,808 --> 00:08:33,480 自分の小指程度の力しかない 兵や冒険者なんか 指南して。 116 00:08:33,480 --> 00:08:35,815 いずれ 王都を守る存在だ。 117 00:08:35,815 --> 00:08:40,987 私だけが強くても 戦には勝てんよ。 それに…。 118 00:08:40,987 --> 00:08:44,324 いつか 私を超える者も現れる。 119 00:08:44,324 --> 00:08:47,827 んっ… いつかね。 120 00:08:47,827 --> 00:08:51,331 俺が現役のうちに 来てもらわねえと 困るな。 121 00:08:51,331 --> 00:08:54,834 先に 退屈で死んじまうぜ⦆ 122 00:08:57,003 --> 00:09:00,273 《ギルバート:ミノタウロスを たった1人で倒した男。 123 00:09:00,273 --> 00:09:04,944 どんなやつかと思ったら 訳が わからねえ。 124 00:09:04,944 --> 00:09:09,115 目のくらむような褒美にも 一切 興味を示さねえし➡ 125 00:09:09,115 --> 00:09:12,285 王様相手にも やけに 堂々としてやがる。 126 00:09:12,285 --> 00:09:14,954 嫌いじゃねえなって思った。 127 00:09:14,954 --> 00:09:18,291 ただ とても あの化け物を倒せるような➡ 128 00:09:18,291 --> 00:09:20,627 迫力は感じなかった。 129 00:09:20,627 --> 00:09:22,629 それなのに…》 んっ…。 130 00:09:25,298 --> 00:09:27,300 ⦅うっ…。 うっ! ハッ! 131 00:09:27,300 --> 00:09:30,637 《なんでだ? なんで 俺の槍が届かねえ?》 132 00:09:30,637 --> 00:09:33,039 うっ! フッ! 133 00:09:36,476 --> 00:09:38,478 まだ 大丈夫だ。 134 00:09:38,478 --> 00:09:40,480 もう少し 速くしてもらってもいいぞ。 135 00:09:40,480 --> 00:09:42,482 そうかよ。 136 00:09:42,482 --> 00:09:48,488 《だったら お望みどおり 全力で いってやるよ》⦆ 137 00:09:48,488 --> 00:09:53,827 《音さえも置き去りにする 俺の最強の技。 138 00:09:53,827 --> 00:09:55,829 あんなもん 人間に放ったら➡ 139 00:09:55,829 --> 00:09:58,331 死んじまうことくらい わかってた。 140 00:09:58,331 --> 00:10:00,333 だが あのときは…》 141 00:10:00,333 --> 00:10:04,671 ⦅《俺の槍を届かせるには これしかねえ!》 142 00:10:04,671 --> 00:10:06,673 竜滅極閃衝! 143 00:10:10,343 --> 00:10:14,180 ぐぅ~! 144 00:10:14,180 --> 00:10:16,349 あっ! あっ…⦆ 145 00:10:16,349 --> 00:10:19,185 《ギルバート:何が起きたのか 全く わからなかった。 146 00:10:19,185 --> 00:10:24,190 真っ向勝負で 初めての 完膚なきまでの敗北。 しかも…》 147 00:10:24,190 --> 00:10:26,526 ⦅わかった。 俺の負けだ。 148 00:10:26,526 --> 00:10:28,528 なんだと? 149 00:10:28,528 --> 00:10:32,532 もうわかった。 これ以上 続ける意味は ないだろう。 150 00:10:32,532 --> 00:10:36,369 《ギルバート:部下の前だからって 俺に 気ぃ使いやがるのか? 151 00:10:36,369 --> 00:10:38,371 こんな屈辱はねえぜ》 152 00:10:38,371 --> 00:10:41,541 はっ? 何が わかったって? 153 00:10:41,541 --> 00:10:45,712 ああ もういい。 これで 十分だ⦆ 154 00:10:45,712 --> 00:10:49,048 《ギルバート:それに 去り際の あの ひと言》 155 00:10:49,048 --> 00:10:52,552 ⦅また 次に会えるのを 楽しみにしている。 156 00:10:52,552 --> 00:10:59,993 (ざわめき) 157 00:10:59,993 --> 00:11:01,995 あっ? 158 00:11:04,163 --> 00:11:06,100 んっ… なんだ? あの亀裂は。 159 00:11:06,100 --> 00:11:10,503 あんなもん いつの間に…。 160 00:11:10,503 --> 00:11:13,673 《どうやってやったかは わからねえ。 161 00:11:13,673 --> 00:11:16,676 とにかく やつは 俺の技をかわしたんだ。 162 00:11:16,676 --> 00:11:19,178 俺の全力の技を》 163 00:11:19,178 --> 00:11:22,882 フッ… これから やっと 楽しくなりそうだ⦆ 164 00:11:27,520 --> 00:11:31,024 それにしても すさまじい一撃だった。 165 00:11:31,024 --> 00:11:33,526 《もしかして 俺も 少しは強くなったのかと➡ 166 00:11:33,526 --> 00:11:36,029 うぬぼれ始めた そのやさき…。 167 00:11:36,029 --> 00:11:41,034 全身全霊 全力の 身体強化と しのびあしで➡ 168 00:11:41,034 --> 00:11:43,202 回避できたものの…。 169 00:11:43,202 --> 00:11:48,541 かわせる ギリギリの速度に 調整してもらえていなかったら➡ 170 00:11:48,541 --> 00:11:50,543 今頃 俺は死んでいた》 171 00:11:50,543 --> 00:11:52,879 ⦅ヘヘッ!⦆ 《ノール:慢心は 死につながることを➡ 172 00:11:52,879 --> 00:11:55,548 わざわざ 警告してくれたのだ。 173 00:11:55,548 --> 00:11:59,886 あの アルなんとか いや ギル…。 174 00:11:59,886 --> 00:12:02,322 確か 鳥っぽかったような。 175 00:12:02,322 --> 00:12:06,326 バード… んっ… ぴよバード?》 ⦅ピー!⦆ 176 00:12:06,326 --> 00:12:09,329 違うか。 177 00:12:09,329 --> 00:12:13,100 《彼には 感謝しよう。 俺は まだまだ弱い。 178 00:12:13,100 --> 00:12:17,103 より一層 鍛えなければ》 179 00:12:19,339 --> 00:12:22,008 んっ んっ…。 180 00:12:22,008 --> 00:12:25,845 フッ… ハァ…。 181 00:12:25,845 --> 00:12:29,182 あっ…。 《すごい! 182 00:12:29,182 --> 00:12:31,184 びっくりするほど 汚れが落ちるぞ! 183 00:12:31,184 --> 00:12:34,354 底に こびりついた 頑固な汚れまで…》 184 00:12:34,354 --> 00:12:38,024 ああ…。 やはり この剣はいい! 185 00:12:38,024 --> 00:12:40,026 ほう あっという間だな。 186 00:12:40,026 --> 00:12:43,029 (ステラ) ねっ? いい仕事するでしょ? 187 00:12:43,029 --> 00:12:46,032 《リーンのお父さんが 言っていたとおり➡ 188 00:12:46,032 --> 00:12:49,535 ちょっと乱暴に扱っても 全然 傷つかない。 189 00:12:49,535 --> 00:12:51,537 まあ もともと ボロボロだから➡ 190 00:12:51,537 --> 00:12:54,874 気にならないだけかも しれないが》 ノール! 191 00:12:54,874 --> 00:12:56,876 次は うちも頼めるか? 192 00:12:56,876 --> 00:12:59,379 ああ 任せてくれ。 193 00:13:05,318 --> 00:13:08,988 《どぶさらいの仕事が順調なのは ありがたいが…。 194 00:13:08,988 --> 00:13:10,990 例の事件のせいで➡ 195 00:13:10,990 --> 00:13:13,993 土運びの仕事は しばらく 中止になってしまった。 196 00:13:13,993 --> 00:13:17,497 Fランクの仕事しか 受けられない以上➡ 197 00:13:17,497 --> 00:13:19,499 王都の仕事がなくなれば➡ 198 00:13:19,499 --> 00:13:23,169 丸1日 やることがない日も 出てくる》 199 00:13:23,169 --> 00:13:25,838 せっかくだから これを使って➡ 200 00:13:25,838 --> 00:13:29,175 何か 人の役に立てることでも…。 ハッ! 201 00:13:29,175 --> 00:13:31,844 《ノール:こいつを オール代わりにして…。 202 00:13:31,844 --> 00:13:34,681 あっ いや その前に 舟を買わないといけない。 203 00:13:34,681 --> 00:13:38,351 窯を借りるにも 金が要るな。 204 00:13:38,351 --> 00:13:42,522 そうか! 鉄板焼き屋なら 場所さえあれば やれるぞ》 205 00:13:42,522 --> 00:13:46,359 だが 問題は 火力だ。 206 00:13:46,359 --> 00:13:48,528 プチファイア。 207 00:13:48,528 --> 00:13:51,030 《俺の能力では この程度を➡ 208 00:13:51,030 --> 00:13:53,866 指先に ともすくらいが 関の山だ。 209 00:13:53,866 --> 00:13:56,703 あれほど 養成所で 訓練を受けたのに➡ 210 00:13:56,703 --> 00:13:59,539 最低位のスキルしか 身に付けられなかった》 211 00:13:59,539 --> 00:14:02,341 んっ? (物音) 212 00:14:04,310 --> 00:14:09,315 (リーン)ノール様 おはようございます。 リーン…。 213 00:14:09,315 --> 00:14:12,318 ⦅イネス:あれほど なれなれしい 態度は 許されるものではない⦆ 214 00:14:12,318 --> 00:14:15,321 ネブルグ様か。 215 00:14:15,321 --> 00:14:19,325 リーンで 大丈夫です。 誰かに 何か言われましたか? 216 00:14:19,325 --> 00:14:22,662 あっ… あっ いや それより どうして ここに? 217 00:14:22,662 --> 00:14:27,166 突然 すみません。 ギルドマスターに 場所をお伺いして…。 218 00:14:27,166 --> 00:14:29,502 ご迷惑でしたか? いや。 219 00:14:29,502 --> 00:14:32,338 《詳しい位置は 教えてなかったが…。 220 00:14:32,338 --> 00:14:34,340 そういえば 彼女は スキルで➡ 221 00:14:34,340 --> 00:14:36,509 他人の居場所が わかるんだったな》 222 00:14:36,509 --> 00:14:40,680 なぜ また 俺の所に? はい 今日は➡ 223 00:14:40,680 --> 00:14:43,015 別件で お願いに上がりました。 んっ? 224 00:14:43,015 --> 00:14:47,019 私を ノール様の従者に していただきたいのです。 225 00:14:47,019 --> 00:14:49,355 あっ… なんだ? それは。 226 00:14:49,355 --> 00:14:51,357 はい。 従者というのは➡ 227 00:14:51,357 --> 00:14:53,693 身の回りのお世話を させていただきつつ➡ 228 00:14:53,693 --> 00:14:56,195 技術や知識の教えを請う者です。 229 00:14:56,195 --> 00:15:00,800 言ってみれば 助手 あるいは 弟子入りに近いものでしょうか。 230 00:15:00,800 --> 00:15:03,803 おそばに置かせて いただけるだけで 十分です。 231 00:15:03,803 --> 00:15:06,139 ご迷惑は おかけしないようにしますので➡ 232 00:15:06,139 --> 00:15:08,141 ぜひとも お許しを頂ければ…。 233 00:15:08,141 --> 00:15:11,477 断る。 えっ? やっ… やはり 先日➡ 234 00:15:11,477 --> 00:15:13,813 何か お気に召さないことでも? 235 00:15:13,813 --> 00:15:15,982 それとも 私のような若輩者では➡ 236 00:15:15,982 --> 00:15:18,651 頼りなく思われますか? いや…。 237 00:15:18,651 --> 00:15:20,820 私を おそばに置いていただければ➡ 238 00:15:20,820 --> 00:15:23,322 きっと 何かの役に立つと思います。 239 00:15:23,322 --> 00:15:27,326 これでも 6系統の王都訓練所を すべて 歴代最高の成績で…。 240 00:15:27,326 --> 00:15:29,495 そうじゃない。 んっ? 241 00:15:29,495 --> 00:15:33,332 そもそも俺が 君に教えることなど 何もない。 242 00:15:33,332 --> 00:15:35,668 役立ってもらおうとも思わない。 243 00:15:35,668 --> 00:15:38,337 自分のことは 自分で できるからな。 244 00:15:38,337 --> 00:15:42,008 でっ… では 指導料として 当家から 十分な謝礼を…。 245 00:15:42,008 --> 00:15:44,844 いや そういう話じゃないんだ。 246 00:15:44,844 --> 00:15:49,015 それなら 私を好きなように 使っていただいてもかまいません。 247 00:15:49,015 --> 00:15:52,518 冒険者ギルドの依頼の補助や 雑務など なんでも…。 248 00:15:52,518 --> 00:15:56,022 それも いらない。 でっ… では…。 249 00:15:56,022 --> 00:15:59,358 いらないものは いらないんだ ほんとに。 250 00:15:59,358 --> 00:16:03,296 うっ…。 んっ… あっ…。 251 00:16:03,296 --> 00:16:07,133 必ず お役に立ってみせますから! 252 00:16:07,133 --> 00:16:10,303 これで 信じていただければと。 253 00:16:10,303 --> 00:16:13,139 では 失礼して。 あっ…。 254 00:16:13,139 --> 00:16:15,141 氷塊舞踊! 255 00:16:17,977 --> 00:16:20,079 あっ…。 滅閃極炎! 256 00:16:23,316 --> 00:16:25,318 あっ…。 257 00:16:25,318 --> 00:16:29,655 これが 私の使える 最高位の魔術スキルの1つ➡ 258 00:16:29,655 --> 00:16:31,657 滅閃極炎です。 259 00:16:31,657 --> 00:16:33,659 そして…。 260 00:16:36,996 --> 00:16:38,998 朧刀。 261 00:16:48,674 --> 00:16:53,179 あっ ああ…。 これは 盗賊系統の奥義です。 262 00:16:53,179 --> 00:16:56,515 隠聖のカルー先生より 伝授していただきました。 263 00:16:56,515 --> 00:16:58,518 そして…。 264 00:17:03,122 --> 00:17:05,124 聖光閃! 265 00:17:11,130 --> 00:17:15,801 今のは 剣士の聖級スキル 聖光閃です。 266 00:17:15,801 --> 00:17:18,804 アンデットに 特に 効果の高い 特殊な技で➡ 267 00:17:18,804 --> 00:17:21,474 そして…。 もう いい。 十分だ。 268 00:17:21,474 --> 00:17:24,143 でっ… では 弟子入りの許可を? 269 00:17:24,143 --> 00:17:26,479 だめだ。 あっ…。 270 00:17:26,479 --> 00:17:28,648 《どういうわけか➡ 271 00:17:28,648 --> 00:17:33,486 俺が 教えを請う価値のある 人物だと 勘違いしているらしい。 272 00:17:33,486 --> 00:17:37,990 ここまでしてもらえれば 彼女の才能は 十分に わかる。 273 00:17:37,990 --> 00:17:39,992 自分が情けなくなるほどだ》 274 00:17:39,992 --> 00:17:42,328 ますます 君に教えることなどない。 275 00:17:42,328 --> 00:17:45,331 あっ… わっ… 私は➡ 276 00:17:45,331 --> 00:17:48,834 これでも 六聖の教官に 力を認めていただいていますし➡ 277 00:17:48,834 --> 00:17:52,505 おそばに置いていただければ 多少の役には立つはずです! 278 00:17:52,505 --> 00:17:55,675 まだまだ ノール様の足元にも 及ばないとは思いますが➡ 279 00:17:55,675 --> 00:17:57,677 どうか! 280 00:17:57,677 --> 00:18:00,613 《どうすれば 納得してもらえるだろう? 281 00:18:00,613 --> 00:18:03,282 やはり 実際に示すのが いちばんか》 282 00:18:03,282 --> 00:18:05,785 君は さっき なんだか すごいスキルを➡ 283 00:18:05,785 --> 00:18:09,956 たくさん 見せてくれたが 俺のスキルを見てもらおう。 284 00:18:09,956 --> 00:18:12,458 プチファイア。 285 00:18:12,458 --> 00:18:14,460 あっ…。 286 00:18:18,965 --> 00:18:21,300 才能なしの少年。 287 00:18:21,300 --> 00:18:25,304 《王都の養成所で 教官たちの口から語られる➡ 288 00:18:25,304 --> 00:18:27,306 とある少年の逸話。 289 00:18:27,306 --> 00:18:30,977 けれど 誰もが そんな逸話は➡ 290 00:18:30,977 --> 00:18:35,147 教訓のために作られた おとぎ話だと解釈した。 291 00:18:35,147 --> 00:18:38,484 なぜなら その少年の人物像が➡ 292 00:18:38,484 --> 00:18:41,487 あまりに 荒唐無稽だったから。 293 00:18:41,487 --> 00:18:43,990 少年は 弱冠12歳にして➡ 294 00:18:43,990 --> 00:18:47,493 あの 過酷なことで知られる 王都養成所の教練過程を➡ 295 00:18:47,493 --> 00:18:49,495 6系統 すべて➡ 296 00:18:49,495 --> 00:18:52,164 それも 満期まで やり遂げたという。 297 00:18:52,164 --> 00:18:54,500 そんな人間がいるはずない。 298 00:18:54,500 --> 00:18:57,003 誰だって そう思う。 299 00:18:57,003 --> 00:18:59,939 屈強な戦士でも 3日で音を上げる あの課程を➡ 300 00:18:59,939 --> 00:19:03,776 3か月… ましてや 子どもが乗り越えるなんて。 301 00:19:03,776 --> 00:19:06,445 私も そう思っていた。 302 00:19:06,445 --> 00:19:08,447 あの人に出会うまでは。 303 00:19:08,447 --> 00:19:12,952 以前 オーケン先生に 見せてもらったことがある》 304 00:19:12,952 --> 00:19:15,955 ⦅先生 おもしろいものって なんですか? 305 00:19:15,955 --> 00:19:20,559 (オーケン)リンネブルグ様 ご覧くだされ。 306 00:19:22,628 --> 00:19:25,798 うわっ! プチファイアが大きくなった! 307 00:19:25,798 --> 00:19:29,301 ホッホッ! おもしろいじゃろ? 308 00:19:29,301 --> 00:19:33,472 訓練しだいでは 最低位のスキル プチファイアですら➡ 309 00:19:33,472 --> 00:19:36,976 ここまで 大きくできますのじゃ。 フッ…。 310 00:19:36,976 --> 00:19:39,979 もっとも 実用性は皆無じゃし➡ 311 00:19:39,979 --> 00:19:42,481 200年以上 生きておる わしのような➡ 312 00:19:42,481 --> 00:19:45,484 暇人の遊びじゃがの。 フフッ…⦆ 313 00:19:45,484 --> 00:19:48,487 プチファイア。 314 00:19:48,487 --> 00:19:52,158 《私も 何度か挑戦してみたけれど➡ 315 00:19:52,158 --> 00:19:55,828 僅かでも 火を大きくすることは できなかった。 316 00:19:55,828 --> 00:19:58,497 一朝一夕で できるようなものじゃなく➡ 317 00:19:58,497 --> 00:20:01,500 とても長い研鑽の時間が 必要なのだ。 318 00:20:01,500 --> 00:20:05,171 だからこそ 驚きに 言葉が出なかった。 319 00:20:05,171 --> 00:20:09,175 世界最高峰の魔術師 オーケンよりも 数倍 大きい…》 320 00:20:09,175 --> 00:20:12,511 ⦅んっ…⦆ 《リーン:超ど級のプチファイア》 321 00:20:12,511 --> 00:20:15,347 ⦅これが 俺のプチファイアだ。 322 00:20:15,347 --> 00:20:18,851 他の5系統も まあ 似たようなものだ。 323 00:20:18,851 --> 00:20:22,855 これが どういうことか わかるか? ハッ…⦆ 324 00:20:22,855 --> 00:20:27,860 つまり 6系統すべてが 規格外の実力ということ。 325 00:20:27,860 --> 00:20:30,863 《途方もない実力者相手に➡ 326 00:20:30,863 --> 00:20:32,865 私は 何を見せた? 327 00:20:32,865 --> 00:20:37,703 ただ 覚えたばかりの高位スキルを 見せびらかしただけでは? 328 00:20:37,703 --> 00:20:39,705 たった1本のブロードソードで➡ 329 00:20:39,705 --> 00:20:42,374 ミノタウロスの おのを 何度も はじき返し…。 330 00:20:42,374 --> 00:20:44,877 その力を誇示することもなく➡ 331 00:20:44,877 --> 00:20:48,047 黙々と 人のために 仕事をこなしている。 332 00:20:48,047 --> 00:20:51,550 ひと言で言えば 彼は 強いのだ。 333 00:20:51,550 --> 00:20:53,552 力だけでなく 精神も。 334 00:20:53,552 --> 00:20:57,723 1人で生きていける強さを 持っているから➡ 335 00:20:57,723 --> 00:21:00,159 何者にも屈しない。 336 00:21:00,159 --> 00:21:05,498 私は 将来 兄と共に この国を導く立場にある。 337 00:21:05,498 --> 00:21:08,334 「王の血に連なる者は 強くあれ」 というのが➡ 338 00:21:08,334 --> 00:21:10,336 クレイス王家の家訓だ。 339 00:21:10,336 --> 00:21:13,172 だったら 私は 何よりも➡ 340 00:21:13,172 --> 00:21:16,075 あの人の強さを 学ばなければならないのだ》 341 00:21:23,349 --> 00:21:25,351 んっ! 342 00:21:28,020 --> 00:21:30,623 ごちそうさま。 おっ…。 343 00:21:33,025 --> 00:21:36,862 ノール様。 よくわかりました。 んっ? 344 00:21:36,862 --> 00:21:40,199 己の慢心 そして 未熟さが。 345 00:21:40,199 --> 00:21:42,201 《んっ?》 346 00:21:42,201 --> 00:21:47,373 《いつの日か あなたの弟子と 認めてもらえる日が来るまで。 347 00:21:47,373 --> 00:21:51,377 それまで ずっと あなたの後ろを ついていかせていただきます。 348 00:21:51,377 --> 00:21:54,380 ノール様。 いえ…》 349 00:21:54,380 --> 00:21:57,883 ノール先生。 先生? 350 00:21:57,883 --> 00:22:00,486 《私の追い求めた答えが…。 351 00:22:00,486 --> 00:22:05,324 いえ 我々 クレイス王家が 代々求めた 至上の強さが➡ 352 00:22:05,324 --> 00:22:09,495 きっと この人の中にあるのだから》 353 00:22:09,495 --> 00:22:12,498 《なぜ こうなる…》