1 00:01:51,840 --> 00:01:54,340 (アラーム音) 2 00:01:54,340 --> 00:01:56,340 (朝)痛っ! (ラブリン)おい いつまで 3 00:01:56,340 --> 00:01:58,850 ダラダラしてんだ しつけぇんだよ。 4 00:01:58,850 --> 00:02:01,350 んん…。 早いのも 嫌われるけど 5 00:02:01,350 --> 00:02:03,690 遅すぎるのも イヤがられんぞ。 6 00:02:03,690 --> 00:02:06,520 んん… 今 何時だ? 7 00:02:06,520 --> 00:02:10,360 延長4回 満足コースで とっくに時間過ぎてっぞ。 8 00:02:10,360 --> 00:02:12,960 げっ ヤバッ 遅刻! いやんっ! 9 00:02:12,960 --> 00:02:15,630 むぎゅっ NGいれっぞ コラ~! 10 00:02:15,630 --> 00:02:17,630 なんで誰も…! 11 00:02:17,630 --> 00:02:21,640 ハァハァハァ… ハァハァ あれ? 12 00:02:21,640 --> 00:02:24,440 やっぱ みんな先に…。 13 00:02:30,980 --> 00:02:33,650 (ドアの開閉音) 14 00:02:33,650 --> 00:02:36,450 朝 あら? 15 00:02:39,820 --> 00:02:42,990 (ポインター音) 16 00:02:42,990 --> 00:02:45,330 (好乃)ふむ…。 17 00:02:45,330 --> 00:02:48,830 [モニタ](AIキャラクター)これはすごい まるで実在しているようです。 18 00:02:48,830 --> 00:02:52,670 より リアルな世界が 体験できそうですね。 19 00:02:52,670 --> 00:02:54,670 ハァ… ハァハァ…。 20 00:02:54,670 --> 00:02:56,670 ハァハァハァ…。 21 00:02:56,670 --> 00:02:59,170 清掃中 清掃中。 頼む! 22 00:02:59,170 --> 00:03:02,180 ご利用 ありがとうございました。 23 00:03:02,180 --> 00:03:06,850 (朝)ハァハァハァ…。 24 00:03:06,850 --> 00:03:08,850 ふぅ…。 25 00:03:08,850 --> 00:03:11,950 (ざわめき) 26 00:03:11,950 --> 00:03:13,960 んん? 27 00:03:13,960 --> 00:03:15,960 (奏多)ねみ~。 28 00:03:15,960 --> 00:03:17,960 (朝)えっ? おっ 何? 29 00:03:17,960 --> 00:03:20,630 いや… そこ 俺の席…。 30 00:03:20,630 --> 00:03:23,630 えっ いや 俺の席だけど。 31 00:03:23,630 --> 00:03:27,800 でも ここ 2Eの教室じゃ…。 32 00:03:27,800 --> 00:03:29,810 そうだけど…。 33 00:03:29,810 --> 00:03:32,310 てか 誰 教室 間違ってんじゃね? 34 00:03:32,310 --> 00:03:34,310 間違ってなんか…。 35 00:03:34,310 --> 00:03:36,810 アメリアたちは…。 アメリア? 36 00:03:36,810 --> 00:03:40,150 カリン イリーナ モンファ先生…。 37 00:03:40,150 --> 00:03:43,820 誰だよ 何 もしかして ボケ? 38 00:03:43,820 --> 00:03:45,820 ちがっ…。 お~い! 39 00:03:45,820 --> 00:03:49,660 とっくに夏休みは 終わってますよ~ なんつって。 40 00:03:49,660 --> 00:03:51,660 あっ…。 (笑い声) 41 00:03:51,660 --> 00:03:55,002 えっ もしかして マジなやつ? 42 00:03:55,002 --> 00:03:57,670 大丈夫? くっ…! 43 00:03:57,670 --> 00:03:59,670 次の授業さ~。 おっ! 44 00:03:59,670 --> 00:04:01,670 (朝)ハァハァハァ…。 45 00:04:01,670 --> 00:04:04,340 (日葵)今の 柏樹くん? 46 00:04:04,340 --> 00:04:07,680 えっ それって あのずっと休んでる? 47 00:04:07,680 --> 00:04:10,680 あぁ…。 《なんだよ これ? 48 00:04:10,680 --> 00:04:12,610 どうなってんだ?》 49 00:04:12,610 --> 00:04:15,280 コラ 廊下を走るんじゃない! 50 00:04:15,280 --> 00:04:17,480 《朝:みんな どこに…!》 51 00:04:21,790 --> 00:04:23,790 ハァハァハァ…。 52 00:04:30,630 --> 00:04:33,470 どう… なってんだ? 53 00:04:33,470 --> 00:04:36,300 (好乃)見ぃつけた! あっ! 54 00:04:36,300 --> 00:04:38,300 えぇ…。 55 00:04:42,640 --> 00:04:44,980 あっ あの…。 56 00:04:44,980 --> 00:04:48,980 教えてくれ あの時 いったい 何があったんだ? 57 00:04:48,980 --> 00:04:52,150 えっ いっ いきなりなんですか? 58 00:04:52,150 --> 00:04:54,160 んっ…。 あっ あの…。 59 00:04:54,160 --> 00:04:56,820 ふむ… 脈拍に多少の乱れ。 60 00:04:56,820 --> 00:05:00,160 はっ? おっ! 充血は見られるものの 61 00:05:00,160 --> 00:05:02,660 いずれも 問題というほどではないな。 62 00:05:02,660 --> 00:05:05,500 ちょっ なっ なんなんですか これ! 63 00:05:05,500 --> 00:05:07,670 そもそも あなた いったい…。 64 00:05:07,670 --> 00:05:09,670 んん…。 65 00:05:09,670 --> 00:05:12,110 おいおい 俺のこと忘れたのか? 66 00:05:12,110 --> 00:05:14,110 つれないヤツだなぁ。 67 00:05:14,110 --> 00:05:16,610 好雄? ふむ…。 68 00:05:16,610 --> 00:05:19,410 どうやら 記憶に混乱が見られるようだ。 69 00:05:22,950 --> 00:05:24,950 あの…。 70 00:05:24,950 --> 00:05:26,950 ついてくれば わかるよ。 71 00:05:26,950 --> 00:05:29,620 本当にみんなに 会えるんですか? 72 00:05:29,620 --> 00:05:33,130 もちろん みんないるよ ちゃんとね。 73 00:05:33,130 --> 00:05:37,430 (朝)んん…。 (AI)まもなく 目的地周辺です。 74 00:05:45,810 --> 00:05:47,810 ≪まだ 原因はわからないのか? 75 00:05:47,810 --> 00:05:49,980 データの収集を 急いでいるところです。 76 00:05:49,980 --> 00:05:51,980 ≪もっと急ぐんだ! 77 00:05:51,980 --> 00:05:54,280 おおっと ストップ こっち! 78 00:05:56,980 --> 00:05:59,650 (所長)フンッ…。 79 00:05:59,650 --> 00:06:02,820 ふぅ~ あっぶない 危ない。 80 00:06:02,820 --> 00:06:05,160 (朝)あぁ? さっ 今のうちに行こう。 81 00:06:05,160 --> 00:06:07,160 あぁ! (扉の開く音) 82 00:06:11,170 --> 00:06:13,600 あの みんなはどこに? 83 00:06:13,600 --> 00:06:15,600 そこに座って。 84 00:06:15,600 --> 00:06:17,940 でも…。 いいから いいから。 85 00:06:17,940 --> 00:06:20,770 んん…。 座ったら 楽にしてて。 86 00:06:20,770 --> 00:06:22,770 ふっ…。 87 00:06:27,620 --> 00:06:31,950 脳波には異常なし か… 気分は? 88 00:06:31,950 --> 00:06:33,950 おっ 別に。 89 00:06:33,950 --> 00:06:36,290 頭痛がするとか そういうことは? 90 00:06:36,290 --> 00:06:39,790 なんなんですか みんなに 会えないなら帰りますよ! 91 00:06:39,790 --> 00:06:42,630 まぁまぁ そう焦らずに。 92 00:06:42,630 --> 00:06:44,970 でも! あ~ そうそう。 93 00:06:44,970 --> 00:06:47,640 私は 好乃・ファインマンというんだが。 94 00:06:47,640 --> 00:06:50,140 ファインマン… さん? 95 00:06:50,140 --> 00:06:52,970 覚えてない… か。 96 00:06:52,970 --> 00:06:56,980 まぁ たいして 印象に残るタイプでもないしな…。 97 00:06:56,980 --> 00:06:59,650 んん…。 じゃあ これはどうだい? 98 00:06:59,650 --> 00:07:03,490 え~っと あれ どこ置いたっけ…。 99 00:07:03,490 --> 00:07:05,820 あったあった。 100 00:07:05,820 --> 00:07:07,820 ほれ。 101 00:07:09,820 --> 00:07:11,820 あぁ…。 102 00:07:24,100 --> 00:07:26,100 ((朝:何だこれ?)) 103 00:07:34,620 --> 00:07:37,120 どうだい? あぁ…。 104 00:07:37,120 --> 00:07:39,790 じゃあ こいつでどうだ! 105 00:07:39,790 --> 00:07:41,790 あっ! 106 00:07:41,790 --> 00:07:44,790 ((私は ファインマン博士。 107 00:07:44,790 --> 00:07:47,960 この実験の責任者だ よろしく。 108 00:07:47,960 --> 00:07:50,800 んん…。 お~い! 109 00:07:50,800 --> 00:07:52,800 あっ… すみません。 110 00:07:52,800 --> 00:07:55,640 まさか 当選するなんて思ってなくて…。 111 00:07:55,640 --> 00:07:57,640 ハハッ たしかに。 112 00:07:57,640 --> 00:08:00,140 応募者数は かなりの数だったからね。 113 00:08:00,140 --> 00:08:04,310 でもその中から 厳正な 選考の上に 君が選出された。 114 00:08:04,310 --> 00:08:07,150 せっかくだ 楽しめばいいさ。 115 00:08:07,150 --> 00:08:09,480 はぁ…。 [モニタ](好乃)さてと 116 00:08:09,480 --> 00:08:13,260 それじゃ 説明を…)) あぁ…。 117 00:08:13,260 --> 00:08:15,920 どう… かな? 118 00:08:15,920 --> 00:08:18,590 んん…。 思い出したかい? 119 00:08:18,590 --> 00:08:20,930 それ なんですか? 120 00:08:20,930 --> 00:08:22,930 あらぁ! 121 00:08:22,930 --> 00:08:25,770 まいったなぁ ホントは自主的に 122 00:08:25,770 --> 00:08:27,940 思い出した方が いいんだろうけど…。 123 00:08:27,940 --> 00:08:29,940 しょうがない。 124 00:08:29,940 --> 00:08:33,270 これを見てくれ。 125 00:08:33,270 --> 00:08:36,610 これ… うちがなんで…。 126 00:08:36,610 --> 00:08:40,950 これはね 君の記憶をもとに 再現された空間だ。 127 00:08:40,950 --> 00:08:43,450 君は今朝 目覚めるまで 128 00:08:43,450 --> 00:08:45,450 この空間の中にいた。 129 00:08:45,450 --> 00:08:47,620 はっ? 君が この数ヶ月 130 00:08:47,620 --> 00:08:50,790 過ごしていたと思っているのは 仮想現実…。 131 00:08:50,790 --> 00:08:53,630 つまり VRの中だったってやつだね。 132 00:08:53,630 --> 00:08:55,630 V R…? 133 00:08:55,630 --> 00:08:57,800 何 言ってるんですか! 134 00:08:57,800 --> 00:09:00,300 じゃあ アメリアは カリンは 135 00:09:00,300 --> 00:09:02,640 イリーナは モンファ先生は? 136 00:09:02,640 --> 00:09:05,310 あぁ… 愛生は? 137 00:09:05,310 --> 00:09:07,640 決まってるじゃないか。 138 00:09:07,640 --> 00:09:09,640 はっ! 139 00:09:09,640 --> 00:09:12,580 (好乃)彼女たちは みんなAI。 140 00:09:12,580 --> 00:09:15,880 人工的に作られた存在だよ。 141 00:09:20,590 --> 00:09:22,590 AI…? 142 00:09:22,590 --> 00:09:24,590 驚かせてすまない。 143 00:09:24,590 --> 00:09:26,590 でも これは…。 ぷっ。 144 00:09:26,590 --> 00:09:29,100 えっ? ハッハハハハ! やだなぁ 145 00:09:29,100 --> 00:09:32,100 冗談やめてくださいよ アイツらがAIだなんて 146 00:09:32,100 --> 00:09:35,100 そんなわけ。 冗談なんかじゃない。 147 00:09:35,100 --> 00:09:38,110 だって アイツらみんな 泣いたり笑ったり 148 00:09:38,110 --> 00:09:40,770 あれは どう見たって人間でしたよ。 149 00:09:40,770 --> 00:09:44,450 彼女たちは 最新の次世代 全知型AIなんだ。 150 00:09:44,450 --> 00:09:46,780 それに匂いや感触だって…。 151 00:09:46,780 --> 00:09:49,450 インタラクティブ・ブレイン・ウェーブ システムと言ってね。 152 00:09:49,450 --> 00:09:51,450 視覚や聴覚だけじゃなく 153 00:09:51,450 --> 00:09:53,960 触覚や味覚まで 脳内で再現できる 154 00:09:53,960 --> 00:09:56,460 まだ世に出ていない 最新のテクノロジーだ。 155 00:09:56,460 --> 00:09:59,130 俺は何ヶ月も みんなと 一緒にいたんですよ! 156 00:09:59,130 --> 00:10:02,300 君にとっちゃ 数ヶ月の 生活だったかもしれないけど 157 00:10:02,300 --> 00:10:04,630 実際は1日ほどしか 経ってないんだよ。 158 00:10:04,630 --> 00:10:07,300 そんな… だけど…。 159 00:10:07,300 --> 00:10:09,970 ひとまず 落ち着こうか。 160 00:10:09,970 --> 00:10:12,810 そうだね 何か 飲むものでも…。 161 00:10:12,810 --> 00:10:14,810 あれ? これ どうやって。 162 00:10:14,810 --> 00:10:17,640 んっ んんっ! んんっ…。 163 00:10:17,640 --> 00:10:20,480 あぁ~ ご存知のとおり 164 00:10:20,480 --> 00:10:23,320 VR技術とAIは 現代社会において 165 00:10:23,320 --> 00:10:25,490 なくてはならないテクノロジーだ。 166 00:10:25,490 --> 00:10:28,320 [モニタ]午後のニュースをお知らせします。 (好乃)特に AIに関していえば 167 00:10:28,320 --> 00:10:30,490 その存在なくして 我々の生活は 168 00:10:30,490 --> 00:10:32,830 もはや 成り立たないと言ってもいい。 169 00:10:32,830 --> 00:10:35,830 しかし AIが 人とともに歩んでゆくためには 170 00:10:35,830 --> 00:10:38,170 更なる進化が必要となる。 171 00:10:38,170 --> 00:10:40,170 それは何か…。 172 00:10:40,170 --> 00:10:42,170 あっ…。 173 00:10:42,170 --> 00:10:44,170 人間の気持ち 174 00:10:44,170 --> 00:10:46,670 感情を理解することだ。 175 00:10:46,670 --> 00:10:49,680 初期のAIは 人間の代わりに 176 00:10:49,680 --> 00:10:52,350 高度な情報処理を 行う存在だった。 177 00:10:52,350 --> 00:10:56,520 その後 技術が発展し 人に近いAI… 178 00:10:56,520 --> 00:11:00,520 AGIと呼ばれる 汎用型AIができても 179 00:11:00,520 --> 00:11:03,860 やはりAIに 感情は生まれなかった。 180 00:11:03,860 --> 00:11:07,860 外見上 怒ったり 笑ったりすることはあってもね。 181 00:11:07,860 --> 00:11:11,037 しかし その壁を破壊したのが 182 00:11:11,037 --> 00:11:13,800 私たちが現在 開発を進めている 183 00:11:13,800 --> 00:11:15,800 人工意識を持ったAI。 184 00:11:15,800 --> 00:11:18,810 Artificial Omniscient Intelligence。 185 00:11:18,810 --> 00:11:21,640 全知型人工知能だ。 186 00:11:21,640 --> 00:11:25,980 とはいえ AIが人間と 同じような感情を持つには 187 00:11:25,980 --> 00:11:28,320 より 多くの経験が必要だった。 188 00:11:28,320 --> 00:11:30,990 そこで 行われたのが。 189 00:11:30,990 --> 00:11:33,490 人と触れ合う実験…。 190 00:11:33,490 --> 00:11:37,330 そう 今回 君が応募した このプロジェクトだ。 191 00:11:37,330 --> 00:11:40,330 んっ…。 んん…。 192 00:11:40,330 --> 00:11:42,660 家族愛 友情 193 00:11:42,660 --> 00:11:45,170 そして 恋愛感情…。 194 00:11:45,170 --> 00:11:49,170 そうした人間と同等の感情を AIに持たせるべく 195 00:11:49,170 --> 00:11:51,840 さまざまな 実証実験を行った。 196 00:11:51,840 --> 00:11:54,840 そんな中 君が参加したのが 197 00:11:54,840 --> 00:11:58,680 恋愛感情に関する実験だ。 ん…。 198 00:11:58,680 --> 00:12:01,520 だが AIに恋心を抱かせるためには 199 00:12:01,520 --> 00:12:05,350 実験対象からも 好かれるAIである必要がある。 200 00:12:05,350 --> 00:12:09,360 そこで世界各国から 集まった研究者たちは 201 00:12:09,360 --> 00:12:11,360 いくつかの チームに分かれ 202 00:12:11,360 --> 00:12:14,800 恋愛対象となり得る AIの開発を競った。 203 00:12:14,800 --> 00:12:17,630 好まれる外見 好かれる性格 204 00:12:17,630 --> 00:12:20,630 理想の関係性 さらには属性…。 205 00:12:20,630 --> 00:12:23,140 より 優秀なAIを生み出すための 206 00:12:23,140 --> 00:12:25,970 さまざまな リサーチと研究が行われた。 207 00:12:25,970 --> 00:12:28,640 そして その結果生み出されたのが 208 00:12:28,640 --> 00:12:32,980 君が生活をともにした 彼女たちだ。 209 00:12:32,980 --> 00:12:35,980 違うよ… そんなわけ…。 210 00:12:35,980 --> 00:12:38,990 私は君の友人かつ 導き手 211 00:12:38,990 --> 00:12:40,990 伊集院好雄として 212 00:12:40,990 --> 00:12:43,490 ずっとあの世界を モニターしていたんだが 213 00:12:43,490 --> 00:12:45,490 想定していたとおり 214 00:12:45,490 --> 00:12:48,330 君と出会った頃の 愛生たちの言動は 215 00:12:48,330 --> 00:12:50,330 明らかにおかしかった。 216 00:12:50,330 --> 00:12:52,500 ((愛生:あなたのことが 好きです。 217 00:12:52,500 --> 00:12:55,340 (イリーナ)僕 朝さんのことが 好きなんです! 218 00:12:55,340 --> 00:12:58,010 (モンファ)先生ね あなたのことが好きなの。 219 00:12:58,010 --> 00:13:00,510 (カリン)あ~さひ~! 220 00:13:00,510 --> 00:13:03,680 (アメリア)ちょっといいすか 署名お願いしたいんすけど~)) 221 00:13:03,680 --> 00:13:06,180 (好乃)あれは 彼女たちがまだ 222 00:13:06,180 --> 00:13:09,680 本当の愛情というものを 理解していなかったからだ。 223 00:13:09,680 --> 00:13:12,120 しかし 君と過ごすことで 224 00:13:12,120 --> 00:13:14,960 彼女たちは 次第に人間と同じような 225 00:13:14,960 --> 00:13:17,290 愛情に目覚めていった。 226 00:13:17,290 --> 00:13:20,790 実験は 目を見張る成果をあげていた。 227 00:13:20,790 --> 00:13:25,300 あの日 海に向かう朝までは…。 228 00:13:25,300 --> 00:13:27,470 あの後 229 00:13:27,470 --> 00:13:30,470 唐突に あの世界へのアクセスが遮断された。 230 00:13:32,640 --> 00:13:34,640 そして 君もまた 231 00:13:34,640 --> 00:13:36,980 強制的に現実に戻された。 232 00:13:36,980 --> 00:13:39,310 現… 実。 233 00:13:39,310 --> 00:13:42,320 そう この世界こそが現実だ。 234 00:13:42,320 --> 00:13:44,820 違う…。 えっ? 235 00:13:44,820 --> 00:13:47,150 違う! 何を…。 236 00:13:47,150 --> 00:13:49,660 そんなのウソだ デタラメ言うな! 237 00:13:49,660 --> 00:13:51,990 ウソじゃない あれは虚構で ここが…。 238 00:13:51,990 --> 00:13:54,660 言うな そんな話 聞きたくない! 239 00:13:54,660 --> 00:13:57,330 ホントは君だって わかってるんだろ! 240 00:13:57,330 --> 00:13:59,330 いい加減 現実を認めろ! 241 00:13:59,330 --> 00:14:01,670 イヤだ! 朝! 242 00:14:01,670 --> 00:14:03,670 ふぅっ…。 243 00:14:03,670 --> 00:14:06,340 だって… そしたら…。 244 00:14:06,340 --> 00:14:08,540 ここには もう…。 245 00:14:10,510 --> 00:14:12,450 んっ…。 246 00:14:12,450 --> 00:14:14,450 (扉の開く音) 247 00:14:14,450 --> 00:14:16,950 (生方)先輩 ここで何してんですか! 248 00:14:16,950 --> 00:14:19,790 あっちゃ~ 見つかっちゃった。 249 00:14:19,790 --> 00:14:22,290 見つかっちゃったじゃ ないですって。 250 00:14:22,290 --> 00:14:24,630 来ちゃダメだって 言われてるんでしょ? 251 00:14:24,630 --> 00:14:27,460 なかなかに忙しそうだね 生方。 252 00:14:27,460 --> 00:14:31,130 そりゃ システムダウンの上 アクセス不能になってんですから。 253 00:14:31,130 --> 00:14:33,630 それより その子…。 254 00:14:33,630 --> 00:14:36,640 プロジェクト・ペトリューシカの…。 (好乃)そだよ。 255 00:14:36,640 --> 00:14:38,640 いや マズいですって! 256 00:14:38,640 --> 00:14:42,480 だって 私は私なりに 原因を究明したいんだも~ん。 257 00:14:42,480 --> 00:14:45,980 だからって とにかく所長が気づく前に…。 258 00:14:45,980 --> 00:14:48,650 私が 気づく前になんだ? げっ…。 259 00:14:48,650 --> 00:14:52,490 なぜここにいる? お前は正式な処分が決まるまで 260 00:14:52,490 --> 00:14:54,490 自宅待機と命じたはずだ。 261 00:14:54,490 --> 00:14:56,990 あらまぁ 随分とお疲れのご様子。 262 00:14:56,990 --> 00:14:59,830 報告も上げずに 独断で実験を進めた 263 00:14:59,830 --> 00:15:02,330 どこかのバカのおかげで ご覧のとおりだ! 264 00:15:02,330 --> 00:15:05,670 あらまぁ とんだ バカがいたもんですねぇ。 265 00:15:05,670 --> 00:15:09,340 あっ! んっ もういい お前はクビだ! 266 00:15:09,340 --> 00:15:11,340 とっとと ここから出て行け! 267 00:15:11,340 --> 00:15:13,940 しょっ 所長 いくらなんでも それは…。 268 00:15:13,940 --> 00:15:17,110 うるさい つべこべ言うと お前もクビにするぞ! 269 00:15:17,110 --> 00:15:20,620 そんなぁ。 いいから ソイツをつまみ出せ! 270 00:15:20,620 --> 00:15:22,950 (好乃)まっ しょうがない。 271 00:15:22,950 --> 00:15:24,950 行こうか。 272 00:15:26,950 --> 00:15:28,960 だから言ったのに…。 273 00:15:28,960 --> 00:15:31,290 どうせ 遅かれ早かれ こうなってたさ。 274 00:15:31,290 --> 00:15:34,630 ところで先輩 どうして彼を? 275 00:15:34,630 --> 00:15:38,970 (好乃)言っただろう 彼に 協力してもらった実験の最中 276 00:15:38,970 --> 00:15:42,640 アメリアをはじめとする 4体のAIが 277 00:15:42,640 --> 00:15:45,810 あの空間から 強制的にログアウトされた。 278 00:15:45,810 --> 00:15:48,980 そして 被検体である 彼もまた…。 279 00:15:48,980 --> 00:15:51,650 その直後に この有様だ。 280 00:15:51,650 --> 00:15:54,150 (生方)ひょっとして 今 起きている 281 00:15:54,150 --> 00:15:56,320 この状況の原因は 彼にあると? 282 00:15:56,320 --> 00:15:59,490 集まった 数多くの応募者の中から 283 00:15:59,490 --> 00:16:01,490 彼は ランダムに選ばれた。 284 00:16:01,490 --> 00:16:04,160 と 私たちは思っていた。 285 00:16:04,160 --> 00:16:07,660 でも もし そうじゃなかったとしたら。 286 00:16:07,660 --> 00:16:10,330 (生方)AIが 意図的に彼を選んだと…。 287 00:16:10,330 --> 00:16:13,770 (好乃)あくまでも 私の仮説だけどね。 288 00:16:13,770 --> 00:16:16,600 どうだい 興味深いだろ? 289 00:16:16,600 --> 00:16:19,110 たしかに って! 290 00:16:19,110 --> 00:16:21,110 いやいやいやいや ダメです! 291 00:16:21,110 --> 00:16:23,610 これ以上は 手伝いませんからね! 292 00:16:23,610 --> 00:16:25,610 んん…。 293 00:16:25,610 --> 00:16:28,780 手伝わないですからね~! 294 00:16:28,780 --> 00:16:32,790 (好乃)悪いが もう少しだけ 話しておくべきことがあるんだ。 295 00:16:32,790 --> 00:16:35,620 付き合ってもらえるかな? 296 00:16:35,620 --> 00:16:37,620 はい。 297 00:16:40,630 --> 00:16:42,630 話って言うのはね 298 00:16:42,630 --> 00:16:45,630 君の よく知る人に関することなんだ。 299 00:16:45,630 --> 00:16:47,640 えっ…。 300 00:16:47,640 --> 00:16:50,130 ディープラーニングって 言葉を知ってるかい? 301 00:16:53,310 --> 00:16:56,980 長い時間をかけて 人間的思考を学ぶこと…。 302 00:16:56,980 --> 00:16:59,310 数年前までは 303 00:16:59,310 --> 00:17:02,650 それが より人間らしい AIを作るやり方だった。 304 00:17:02,650 --> 00:17:04,650 しかし それよりも 305 00:17:04,650 --> 00:17:07,650 もっと確実と 言われた方法が存在する。 306 00:17:07,650 --> 00:17:09,660 それはね。 [モニタ](AIキャスター)午後1時を…。 307 00:17:09,660 --> 00:17:13,430 人の脳を そのままコピーして使用することだ。 308 00:17:13,430 --> 00:17:16,930 だが それには 莫大なデータが必要となる。 309 00:17:16,930 --> 00:17:19,770 [モニタ]ごゆっくりお買い物を…。 そのため 310 00:17:19,770 --> 00:17:23,440 今の技術では不可能というのが これまでの定説だった。 311 00:17:23,440 --> 00:17:26,110 ところが 3年ほど前 312 00:17:26,110 --> 00:17:28,440 今は亡き とある研究者が 313 00:17:28,440 --> 00:17:32,240 死の間際に その定説を覆す発表をした。 314 00:17:34,280 --> 00:17:36,450 彼は 不可能とされてきた 315 00:17:36,450 --> 00:17:40,290 ホールブレインシュミレーションシステムを たったひとりで開発し 316 00:17:40,290 --> 00:17:43,790 独自の マインドアップローディング技術によって 317 00:17:43,790 --> 00:17:48,630 人工意識を持つ あるAIを作りだしたんだ。 318 00:17:48,630 --> 00:17:52,130 そのAIは 瞬く間に進化を遂げ 319 00:17:52,130 --> 00:17:54,300 目的に応じて 世界中の 320 00:17:54,300 --> 00:17:56,640 至るところで 使われるようになった。 321 00:17:56,640 --> 00:18:00,470 つまり 今 世界に溢れている AIのほとんどは 322 00:18:00,470 --> 00:18:02,480 その博士が作り出した AIが 323 00:18:02,480 --> 00:18:04,480 ベースになっているというわけだ。 324 00:18:04,480 --> 00:18:07,150 [モニタ]今の季節でしたら メロンがおいしいですよ…。 325 00:18:07,150 --> 00:18:10,150 愛生やアメリアたちも同様にな。 326 00:18:10,150 --> 00:18:12,590 はっ…。 博士は自らが生み出した 327 00:18:12,590 --> 00:18:15,260 その母なるAIに 名前をつけた。 328 00:18:15,260 --> 00:18:17,590 彼女の名前は… 329 00:18:17,590 --> 00:18:19,590 アイ。 330 00:18:23,600 --> 00:18:27,100 次 クレープ屋さん行こう。 いいね おっ! 331 00:18:30,600 --> 00:18:32,610 柏樹くん? 332 00:18:32,610 --> 00:18:35,440 日葵 どうしたの? 333 00:18:35,440 --> 00:18:37,780 早く行こう。 あぁ うん。 334 00:18:37,780 --> 00:18:41,110 あっ…。 335 00:18:41,110 --> 00:18:43,920 ≪日葵? ごめ~ん なんでもない。 336 00:18:46,290 --> 00:18:50,630 (雨音) 337 00:18:50,630 --> 00:18:52,630 ((好乃:この世界こそが 現実だ)) 338 00:18:54,630 --> 00:18:57,960 ウソだ… だって それじゃあ…。 339 00:18:57,960 --> 00:19:01,300 ((好乃:博士にはね ひとりの娘がいたんだ。 340 00:19:01,300 --> 00:19:04,140 妻に先立たれた 博士にとって 341 00:19:04,140 --> 00:19:07,470 その娘は 目に入れても 痛くない存在だった)) 342 00:19:07,470 --> 00:19:09,980 ((愛:あ~ん。 ヒッ! 343 00:19:09,980 --> 00:19:11,910 うわ~っ! 344 00:19:11,910 --> 00:19:16,750 え~ん え~ん。 えぇ~ん え~ん。 345 00:19:16,750 --> 00:19:22,760 (寝息) 346 00:19:22,760 --> 00:19:24,760 んん…)) 347 00:19:26,760 --> 00:19:29,100 ((好乃:普段は 研究ばかりの博士だったが 348 00:19:29,100 --> 00:19:31,260 近所の人たちの助けもあり 349 00:19:31,260 --> 00:19:34,270 彼女は 明るくいい子に育った。 350 00:19:34,270 --> 00:19:36,600 私も 会ったことがあるが 351 00:19:36,600 --> 00:19:38,940 とても かわいらしい女の子だったよ)) 352 00:19:38,940 --> 00:19:41,610 ((結婚 結婚! スケベ~。 エロエロ~。 353 00:19:41,610 --> 00:19:43,610 ベ~っ!)) 354 00:19:43,610 --> 00:19:46,610 (息遣い) 355 00:19:46,610 --> 00:19:48,950 ((だが ある時をきっかけに 356 00:19:48,950 --> 00:19:51,450 博士は 所属していた研究所を辞め 357 00:19:51,450 --> 00:19:54,790 自らの研究に 没頭するようになった)) 358 00:19:54,790 --> 00:19:56,790 ((一緒に撮ろう。 359 00:19:56,790 --> 00:19:58,790 いいよ…。 360 00:19:58,790 --> 00:20:01,960 もうっ ほらカメラ向いて)) 361 00:20:01,960 --> 00:20:05,300 ((好乃:やがて 彼はたった一人の力で 362 00:20:05,300 --> 00:20:08,470 マインドアップローディングの技術を完成させ 363 00:20:08,470 --> 00:20:10,970 人工意識の形成に成功した)) 364 00:20:10,970 --> 00:20:12,970 ハァハァ…。 365 00:20:12,970 --> 00:20:28,660 ♪~ 366 00:20:28,660 --> 00:20:32,160 ((好乃:その人工意識を持つ AIを作り出すにあたり 367 00:20:32,160 --> 00:20:35,500 彼は 自らの娘の脳のデータをコピーして 368 00:20:35,500 --> 00:20:37,500 利用した)) 369 00:20:37,500 --> 00:20:40,006 ((朝:ハァハァハァ…)) 370 00:20:40,006 --> 00:20:42,340 ((好乃:突然の病によって 371 00:20:42,340 --> 00:20:44,840 余命わずかと宣告された 372 00:20:44,840 --> 00:20:47,044 ひとり娘の 脳をね。 373 00:20:49,510 --> 00:20:51,850 博士の名は 井澤幸太郎。 374 00:20:51,850 --> 00:20:55,250 そして 娘の名は 愛…。 375 00:20:57,350 --> 00:21:00,750 君の 幼馴染だった女の子だ)) 376 00:21:11,970 --> 00:21:23,670 (泣き声) 377 00:23:01,510 --> 00:23:04,340 ((好乃:柏樹朝 教えてくれ。 378 00:23:04,340 --> 00:23:07,850 あの時 あの海で何があった? 379 00:23:07,850 --> 00:23:09,850 愛生は いったい何をした? 380 00:23:09,850 --> 00:23:12,450 もしかしたら あの時 君は…。 381 00:23:12,450 --> 00:23:16,120 あっ…。 382 00:23:16,120 --> 00:23:18,130 あぁ…。 383 00:23:18,130 --> 00:23:20,130 すまない…)) 384 00:23:20,130 --> 00:23:24,800 はぁ… だから生身の人間ってのは。 385 00:23:24,800 --> 00:23:26,800 おっ? 386 00:23:28,800 --> 00:23:31,700 (ざわめき) 387 00:23:34,640 --> 00:23:36,640 これは…。