1 00:00:15,515 --> 00:00:19,353 (メネル)紙束ひとつで ご機嫌だな ウィル。 2 00:00:19,353 --> 00:00:21,688 (ウィル)顔に出てた? ああ。 3 00:00:21,688 --> 00:00:23,690 女の肌でも なでるみてえに➡ 4 00:00:23,690 --> 00:00:26,093 紙なでて ニヤニヤしてた。 5 00:00:28,028 --> 00:00:30,531 (メネル)職人連中から 献上されたやつか? 6 00:00:30,531 --> 00:00:33,033 試作品の中で 一番いいやつだって。 7 00:00:35,202 --> 00:00:37,404 ホント うれしそうだな。 8 00:00:42,042 --> 00:00:46,146 (ウィル)これは… この街の未来だから…。 9 00:00:52,886 --> 00:00:55,689 寒いな…。 もうすぐ 冬至だからね。 10 00:00:58,392 --> 00:01:01,662 にぎやかになったな。 うん。 11 00:01:01,662 --> 00:01:06,500 《2年前 死者の街を出て 川沿いに北へと下った僕は➡ 12 00:01:06,500 --> 00:01:09,670 半分水没した 無人の都市を見つけた。 13 00:01:09,670 --> 00:01:13,006 人の手によって 再開発が始まって2年。 14 00:01:13,006 --> 00:01:15,175 今 人々は この街を➡ 15 00:01:15,175 --> 00:01:18,679 「灯火の河港… トーチ・ポート」 と 呼んでいた》 16 00:01:18,679 --> 00:01:23,016 ウィル あの紙が この街の未来って どういう意味だ? 17 00:01:23,016 --> 00:01:26,520 周辺の木材を切り出して 「ホワイトセイルズ」に売るだけじゃ➡ 18 00:01:26,520 --> 00:01:29,523 そのうち 木がなくなって廃れちゃう。 19 00:01:29,523 --> 00:01:32,859 だから この街の産業を 多角化しないとね。 20 00:01:32,859 --> 00:01:34,861 10年後のために。 21 00:01:34,861 --> 00:01:37,197 それが あの紙ってわけか。 22 00:01:37,197 --> 00:01:40,701 その記念すべき第一歩だよ。 ふ~ん。 23 00:01:40,701 --> 00:01:44,705 (メネル)お前 ときどき 考えがエルフっぽいよな。 24 00:01:44,705 --> 00:01:47,708 メネルが刹那的すぎるだけなんじゃ? 25 00:01:47,708 --> 00:01:49,876 こんな最果ての地だ。 26 00:01:49,876 --> 00:01:52,713 明日には死ぬかもしれねえ。 27 00:01:52,713 --> 00:01:54,715 だったら 今日満たされたい。 28 00:01:54,715 --> 00:01:59,620 俺を含め 住んでる人間の多くが 同じように考えてるだろうよ。 29 00:02:01,655 --> 00:02:03,657 それを 変えていきたいんだ。 30 00:02:07,494 --> 00:02:12,165 ま だから灯火の神さまは お前を選んだのかもな。 えっ? 31 00:02:12,165 --> 00:02:15,168 明日死ぬかもしれない 最前線のど真ん中で➡ 32 00:02:15,168 --> 00:02:18,005 「10年後のために 種をまいておこう」なんて➡ 33 00:02:18,005 --> 00:02:20,107 言えるお前をよ。 34 00:02:23,343 --> 00:02:27,180 ところで ホワイトセイルズの王弟殿下から➡ 35 00:02:27,180 --> 00:02:30,350 新年の式典に招かれてたが どうするよ? 36 00:02:30,350 --> 00:02:33,553 あ… そうだった…。 37 00:04:46,520 --> 00:04:48,688 (ビィ)わは~! きれい~! 38 00:04:48,688 --> 00:04:52,025 どう? 冬至のお祭り楽しかった? 39 00:04:52,025 --> 00:04:54,027 楽しかったよ。 40 00:04:54,027 --> 00:04:56,029 でも 疲れた…。 41 00:04:56,029 --> 00:04:59,032 ニコニコしながら 偉い人への挨拶回りとか➡ 42 00:04:59,032 --> 00:05:01,968 見た目ほど 楽じゃないものね~。 43 00:05:01,968 --> 00:05:04,471 メネルが服とか見立ててくれて➡ 44 00:05:04,471 --> 00:05:07,140 バグリー神殿長が 助けてくださったから➡ 45 00:05:07,140 --> 00:05:09,309 なんとかこなせたよ。 46 00:05:09,309 --> 00:05:11,978 メネルの礼服姿 見たかったわ~。 47 00:05:11,978 --> 00:05:14,147 ところで そのメネルは? 48 00:05:14,147 --> 00:05:16,149 誘ったんだけど➡ 49 00:05:16,149 --> 00:05:20,320 「うるせえ 冬至くらい ゆっくり寝させろ」って。 50 00:05:20,320 --> 00:05:22,489 ウフフ…。 ビィはどう? 51 00:05:22,489 --> 00:05:24,658 儲かった? もちろん! 52 00:05:24,658 --> 00:05:27,861 トルバドールにとっては かき入れどきだもの! 53 00:05:35,502 --> 00:05:39,673 どうしたの? この街はやっぱりきれいだなって。 54 00:05:39,673 --> 00:05:43,176 ビーストウッズの村々は まだまだ貧しい。 55 00:05:43,176 --> 00:05:45,879 僕が もっと頑張らないと…。 56 00:05:48,515 --> 00:05:50,617 (ビィ)ウィル。 ん… んっ? 57 00:05:56,856 --> 00:05:58,858 てい! あっ!? 58 00:05:58,858 --> 00:06:01,461 背負いこみすぎ。 59 00:06:01,461 --> 00:06:03,797 ビィ…。 あなたって➡ 60 00:06:03,797 --> 00:06:05,799 そういうとこあるわよね~。 61 00:06:09,469 --> 00:06:11,471 僕は誓ったんだ。 62 00:06:11,471 --> 00:06:14,641 (ウィル)神さまの剣として 邪悪を払って➡ 63 00:06:14,641 --> 00:06:18,478 神さまの手として 嘆く人を救うって。 64 00:06:18,478 --> 00:06:20,814 (ビィ)はあ~。 あ…。 65 00:06:20,814 --> 00:06:25,318 その志は ステキなことだし 尊いものだと思うけど➡ 66 00:06:25,318 --> 00:06:28,655 だったら もっと神さまが 喜ぶようにしなさいな。 67 00:06:28,655 --> 00:06:31,992 神さまが? 考えてもみなさいよ。 68 00:06:31,992 --> 00:06:35,996 例えば あなたに 「お礼です」って 食べ物を持ってきた村人が➡ 69 00:06:35,996 --> 00:06:37,998 痩せこけて フラフラだったら? 70 00:06:37,998 --> 00:06:42,168 ご自分で食べてくださいって… あっ! 71 00:06:42,168 --> 00:06:45,338 神さまも 同じ気持ちだと思わない? 72 00:06:45,338 --> 00:06:48,008 うん。 73 00:06:48,008 --> 00:06:50,844 ありがとう ビィ。 74 00:06:50,844 --> 00:06:54,347 お礼に今日は ビィの好きなところに付き合うよ。 75 00:06:54,347 --> 00:06:58,051 あら 情熱的なお誘いね? それじゃあ…。 76 00:07:02,122 --> 00:07:04,124 ビィ 本気なの? 77 00:07:04,124 --> 00:07:07,627 本気も本気よ~! 見たいものがあるの! 78 00:07:07,627 --> 00:07:11,464 けど あそこは詩人風情が 「ちょっと入れてください」って➡ 79 00:07:11,464 --> 00:07:13,800 入れてくれる場所じゃないのよね。 80 00:07:13,800 --> 00:07:15,802 (ビィ)でも ウィルなら 忍び込めるでしょ? 81 00:07:15,802 --> 00:07:19,005 神官戦士であると同時に すごい魔法使いだし。 82 00:07:21,641 --> 00:07:25,478 《ウィル:禁域の森にある 「創造のことば」の探究者➡ 83 00:07:25,478 --> 00:07:29,149 魔法使いたちの学び舎 「アカデミー」》 84 00:07:29,149 --> 00:07:31,551 じゃ 行きましょう。 待って。 85 00:07:33,820 --> 00:07:38,158 これは… おそらく 「迷いの路地」の魔法。 86 00:07:38,158 --> 00:07:40,160 それにいくつもの 「しるし」…。 87 00:07:40,160 --> 00:07:44,497 警報 麻痺 眠り 盲目。 88 00:07:44,497 --> 00:07:46,833 うん これは無理だね。 89 00:07:46,833 --> 00:07:50,003 ええ~!? ウィルならいけるんじゃないの? 90 00:07:50,003 --> 00:07:52,839 なんか こう~ ほら筋力的に! 91 00:07:52,839 --> 00:07:56,676 強引に突破しようものなら 血の雨が降るよ。 92 00:07:56,676 --> 00:07:59,346 わりと比喩じゃなく。 ええ~!? 93 00:07:59,346 --> 00:08:01,348 (ウィル)無断で 忍び込めないようになってる。 94 00:08:03,283 --> 00:08:05,285 そっか…。 95 00:08:07,287 --> 00:08:10,123 ま ウィルでも無理なら しかたないわね! 96 00:08:10,123 --> 00:08:13,293 街に戻って 酒楼でも…。 忍び込むのは無理だけど…。 97 00:08:13,293 --> 00:08:15,295 ウィル? 98 00:08:17,297 --> 00:08:19,299 正面から訪問しよう! 99 00:08:19,299 --> 00:08:23,470 それは いい考えね! 100 00:08:23,470 --> 00:08:31,478 ♬~ 101 00:08:31,478 --> 00:08:33,480 あ あれ? 102 00:08:33,480 --> 00:08:36,649 あたしたち 今どっちから歩いてきて…。 103 00:08:36,649 --> 00:08:40,653 あれあれ? なにこれ 頭では わかってるのに…。 104 00:08:40,653 --> 00:08:44,357 大丈夫 しっかり手 握ってて。 105 00:08:55,835 --> 00:08:57,837 意地が悪いなぁ これ。 106 00:08:57,837 --> 00:09:00,140 ど どっちが間違いの道なの? 107 00:09:02,275 --> 00:09:05,278 (ウィル)ネー フロンティ クレーデ。 108 00:09:05,278 --> 00:09:07,280 あっ!? 109 00:09:09,949 --> 00:09:12,052 え…。 こっちが正解。 110 00:09:16,623 --> 00:09:19,793 (ウィル)「アウト・ディスケ アウト・ディスケーデ」。 111 00:09:19,793 --> 00:09:22,796 「なんじ 学べ」 「さもなくば 去れ」。 112 00:09:22,796 --> 00:09:25,298 アハハ…。 ウィル。 113 00:09:25,298 --> 00:09:27,300 無理しないでね。 114 00:09:27,300 --> 00:09:29,969 この道は幼い頃の 「ワンダリングセイジ」でも➡ 115 00:09:29,969 --> 00:09:32,972 独力では 突破できなかったんだから。 116 00:09:32,972 --> 00:09:35,141 えっ? 《ガスが?》 117 00:09:35,141 --> 00:09:37,143 神童だった賢者でも➡ 118 00:09:37,143 --> 00:09:39,145 師匠の手助けなしには➡ 119 00:09:39,145 --> 00:09:41,981 アカデミー本部の門を 叩くことすらできず➡ 120 00:09:41,981 --> 00:09:44,584 その未熟を知る エピソードがあるの。 121 00:09:46,820 --> 00:09:51,624 《ウィル:そっか… 幼い頃のガスは これを突破できなかったんだ》 122 00:09:54,494 --> 00:09:56,996 (ビィ)なにこれ 呪い? 123 00:09:56,996 --> 00:10:00,333 見てると すごい 不安になってくるんだけど…。 124 00:10:00,333 --> 00:10:04,504 ん~ マナの働きは あんまり感じないんだけど。 125 00:10:04,504 --> 00:10:06,673 そ そういうのこそ 怪しいんじゃない? 126 00:10:06,673 --> 00:10:09,676 露骨に怪しいものに 小さな仕掛けをするとか➡ 127 00:10:09,676 --> 00:10:12,846 定番よ 定番! 128 00:10:12,846 --> 00:10:14,848 (ウィル)ホントだ。 129 00:10:14,848 --> 00:10:17,350 ちょっとだけ不安にさせる 「しるし」が刻まれてる。 130 00:10:17,350 --> 00:10:19,686 ほんっと根性悪いわね。 131 00:10:19,686 --> 00:10:22,088 これだけで 1曲歌えそうだわ。 132 00:10:27,360 --> 00:10:29,362 (ウィル/ビィ)あ…。 133 00:10:29,362 --> 00:10:34,868 おや… 客人ですかな。 134 00:10:34,868 --> 00:10:37,036 お初にお目にかかります。 135 00:10:37,036 --> 00:10:40,540 私は ウィリアム・G・マリーブラッドと申します。 136 00:10:40,540 --> 00:10:43,209 あたしはビィ。 ロビィナ・グッドフェロー! 137 00:10:43,209 --> 00:10:45,211 ステキな おきなさん➡ 138 00:10:45,211 --> 00:10:48,214 よろしければ ご尊名を承りたいのだけれど。 139 00:10:48,214 --> 00:10:54,387 ホッホッホ わしは年ばかり重ねた 何ということもない老いぼれ。 140 00:10:54,387 --> 00:10:56,890 アカデミーの森番でございます。 141 00:10:56,890 --> 00:11:00,994 パラディン様に 名乗るほどの者では ございません。 142 00:11:00,994 --> 00:11:03,496 それよりも お寒いでしょう。 143 00:11:03,496 --> 00:11:06,499 少しばかり休んでいかれては? 144 00:11:06,499 --> 00:11:08,668 ありがとうございます。 145 00:11:08,668 --> 00:11:11,671 (ビィ)ねぇ 森番のおきなさん。 146 00:11:11,671 --> 00:11:14,841 ここからアカデミーまでは まだ遠いのかしら? 147 00:11:14,841 --> 00:11:16,843 ふむ お嬢さんは➡ 148 00:11:16,843 --> 00:11:19,679 何をしに アカデミーに 行かれるのですかな? 149 00:11:19,679 --> 00:11:24,517 見たところ 新たな生徒 というわけでもございますまい。 150 00:11:24,517 --> 00:11:26,519 見たいものがあるの! 151 00:11:26,519 --> 00:11:29,022 ほう… しかし 「アカデミー」は➡ 152 00:11:29,022 --> 00:11:34,027 魔法使いならざる者には 門を閉ざすが おきてですが。 153 00:11:34,027 --> 00:11:36,863 少しだけ 見学を許していただけないかと➡ 154 00:11:36,863 --> 00:11:39,032 お願いにあがるつもりです。 155 00:11:39,032 --> 00:11:43,536 ふむ うまく許しが 得られるとよいですな。 156 00:11:43,536 --> 00:11:47,540 ささ 炙って食べると 温まりますぞ。 157 00:11:47,540 --> 00:11:50,843 わあ ありがとう! ごちそうになります。 158 00:12:05,325 --> 00:12:09,495 んん~! ん~ おいしい~! 159 00:12:09,495 --> 00:12:13,666 ヤギの乳で作ったチーズね! ご明察です。 160 00:12:13,666 --> 00:12:15,668 《本当においしい》 161 00:12:15,668 --> 00:12:18,671 そういえば 最果てのパラディンどのは➡ 162 00:12:18,671 --> 00:12:21,341 魔法の心得がおありとか。 163 00:12:21,341 --> 00:12:24,177 ええ いくらかは 伝授されております。 164 00:12:24,177 --> 00:12:26,512 アカデミーの森番ゆえ➡ 165 00:12:26,512 --> 00:12:29,182 魔法は折々拝見するのですが➡ 166 00:12:29,182 --> 00:12:31,184 パラディン殿の魔法とは➡ 167 00:12:31,184 --> 00:12:36,022 どのようなものか ぜひ拝見したいものですな。 168 00:12:36,022 --> 00:12:39,359 《これは 試されているのだろうな…》 169 00:12:39,359 --> 00:12:43,196 魔法は いたずらに 用いることのできぬものです。 170 00:12:43,196 --> 00:12:45,198 ご容赦を。 171 00:12:45,198 --> 00:12:49,702 是非にと お願いしても? ご容赦を。 172 00:12:49,702 --> 00:12:52,538 それは常からのお考えで? 173 00:12:52,538 --> 00:12:55,041 はい 師の教えであり➡ 174 00:12:55,041 --> 00:12:57,877 努めて そのようにあろうと 考えております。 175 00:12:57,877 --> 00:13:02,815 ふむ。 では 一つお願いをしても よろしいですかな? 176 00:13:02,815 --> 00:13:05,652 伺います。 昨晩の雪で➡ 177 00:13:05,652 --> 00:13:07,654 森の木々はしけり➡ 178 00:13:07,654 --> 00:13:10,657 今日は たき火もくすぶりがち…。 179 00:13:10,657 --> 00:13:13,326 老骨には ずいぶんとこたえます。 180 00:13:13,326 --> 00:13:16,663 乾いたまきが欲しゅうございます。 181 00:13:16,663 --> 00:13:19,866 用立てて いただけますまいか? 182 00:13:24,003 --> 00:13:26,172 《僕が 「乾燥のことば」を呟けば➡ 183 00:13:26,172 --> 00:13:29,008 解決する問題だった。 184 00:13:29,008 --> 00:13:31,110 けれど…》 185 00:13:34,347 --> 00:13:37,350 《ウィル:しけったまきは たき火で乾かす➡ 186 00:13:37,350 --> 00:13:40,353 そんなありふれた知識…》 187 00:13:40,353 --> 00:13:44,524 おお これはありがたい。 188 00:13:44,524 --> 00:13:46,859 温かい 温かい。 189 00:13:46,859 --> 00:13:50,863 さて お二方に お尋ねするのですが。 190 00:13:50,863 --> 00:13:54,867 もし この世に 「偉大な魔法」があるとすれば➡ 191 00:13:54,867 --> 00:13:58,037 それは どういうものだと思いますかな? 192 00:13:58,037 --> 00:13:59,972 んっ んん…。 193 00:13:59,972 --> 00:14:02,809 人を 幸せにする魔法じゃないかしら? 194 00:14:02,809 --> 00:14:04,977 えっ? ほう…。 195 00:14:04,977 --> 00:14:08,147 もっとも簡単な 目くらましの 「ことば」でも➡ 196 00:14:08,147 --> 00:14:11,317 すばらしく複雑で 芸術的な 「しるし」でも➡ 197 00:14:11,317 --> 00:14:15,321 それが幸福を祈って 織りあげられたものならば➡ 198 00:14:15,321 --> 00:14:17,990 あたしは等しく偉大だと思うわ。 199 00:14:17,990 --> 00:14:20,993 興味深いご意見ですな。 200 00:14:20,993 --> 00:14:24,330 お嬢さんは なぜ そう思われるのですか? 201 00:14:24,330 --> 00:14:27,834 実際 ウィルは そんな感じで魔法を使うからよ。 202 00:14:27,834 --> 00:14:30,837 だから あたしはウィルが 結構好きなの。 203 00:14:30,837 --> 00:14:34,173 自分の幸福だけ うっかり後回しにするあたりは➡ 204 00:14:34,173 --> 00:14:36,342 ホント どうかと思うけど。 205 00:14:36,342 --> 00:14:38,511 ビ ビィ…。 フフッ。 206 00:14:38,511 --> 00:14:40,513 なるほど なるほど…。 207 00:14:40,513 --> 00:14:43,516 すばらしい…。 208 00:14:53,693 --> 00:14:55,695 えっ!? 209 00:14:55,695 --> 00:14:59,198 (ハイラム)ホッホッホ…。 210 00:15:01,134 --> 00:15:03,136 改めて自己紹介を。 211 00:15:03,136 --> 00:15:06,305 「アカデミー」の教授が一人 「森の司」➡ 212 00:15:06,305 --> 00:15:08,808 名をハイラムと申します。 213 00:15:08,808 --> 00:15:13,980 森番を兼任しておるのですよ。 森番…。 214 00:15:13,980 --> 00:15:17,150 少々 特殊な事例となりますが➡ 215 00:15:17,150 --> 00:15:20,987 私の責任において 見学を許可しましょう。 216 00:15:20,987 --> 00:15:23,322 ところで お嬢さん。 217 00:15:23,322 --> 00:15:27,326 (ハイラム)あなたはアカデミーの 何を見たいと ご希望ですかな? 218 00:15:27,326 --> 00:15:29,328 え えっと…。 219 00:15:32,331 --> 00:15:34,667 あの…。 ほう… ハハハ。 220 00:15:34,667 --> 00:15:37,170 なるほど なるほど。 ん~? 221 00:15:37,170 --> 00:15:40,072 では 参りましょう。 222 00:15:45,845 --> 00:15:48,514 (ビィ)わあ なになに!? あれ なに!? 223 00:15:48,514 --> 00:15:50,516 (ビィ)人形が掃除してる! 224 00:15:50,516 --> 00:15:55,188 先代の 「かたちの司」が お作りになった ゴーレムですね。 225 00:15:55,188 --> 00:15:57,190 便利なものです。 226 00:15:57,190 --> 00:16:00,793 《ウィル:すごい… あんな精巧な動き…。 227 00:16:00,793 --> 00:16:04,130 マナが濃い状態で 安定しているとはいえ➡ 228 00:16:04,130 --> 00:16:07,333 どれほどの工夫が 重ねられているのだろう》 229 00:16:14,473 --> 00:16:16,476 (ウィル)そういえば➡ 230 00:16:16,476 --> 00:16:20,813 魔法の才能があるかどうかは どうやって見分けるのですか? 231 00:16:20,813 --> 00:16:24,817 才能を持つ子のことばには 力があるのです。 232 00:16:24,817 --> 00:16:29,155 我々が用いる 創造のことばも 俗用のことばも➡ 233 00:16:29,155 --> 00:16:31,490 起源をたどれば同じ。 234 00:16:31,490 --> 00:16:33,492 才能のある子の ことばには➡ 235 00:16:33,492 --> 00:16:36,495 自然とそれなりのことが 起こるのです。 236 00:16:36,495 --> 00:16:38,664 あたしも知ってるわ。 237 00:16:38,664 --> 00:16:41,167 そういう子どもが 気持ちを込めて応援すると➡ 238 00:16:41,167 --> 00:16:43,336 不思議な高ぶりを感じたり➡ 239 00:16:43,336 --> 00:16:47,340 逆に嫌いな相手に悪口を言うと 実際に ケガさせたり。 240 00:16:49,509 --> 00:16:54,013 はい…。 魔法使いは温順でのんき➡ 241 00:16:54,013 --> 00:16:57,516 気長で無口な者が 向いていると言われます。 242 00:16:57,516 --> 00:17:01,954 苛烈な気質であれば つい激しいことばを使ってしまう。 243 00:17:01,954 --> 00:17:04,790 激しいことばを吐き続ければ➡ 244 00:17:04,790 --> 00:17:08,628 いずれは巡り巡って 身を滅ぼします。 245 00:17:08,628 --> 00:17:11,964 《小さい頃 ガスも よくそういう戒めの話を➡ 246 00:17:11,964 --> 00:17:13,966 たくさん教えてくれた。 247 00:17:13,966 --> 00:17:18,638 魔法を取り扱う者にとって 共通で普遍的な教え。 248 00:17:18,638 --> 00:17:22,842 それは このアカデミーの中でも 深く息づいている》 249 00:17:25,645 --> 00:17:28,314 さて 到着しました。 250 00:17:28,314 --> 00:17:30,816 (扉が開く音) 251 00:17:30,816 --> 00:17:35,821 (ハイラム)お嬢さんが望まれた 「アカデミー」の図書館です。 252 00:17:42,161 --> 00:17:44,330 私の責任の下➡ 253 00:17:44,330 --> 00:17:48,668 地下の禁忌書架を除いては 閲覧を許可しましょう。 254 00:17:48,668 --> 00:17:53,072 無理な願いを聞き届けてくださり ありがとうございます。 255 00:17:55,007 --> 00:17:57,843 では 私は中庭におります。 256 00:17:57,843 --> 00:18:01,547 読み終わる頃に またお声がけを。 257 00:18:03,449 --> 00:18:05,618 ビィ 本が見たかったんだ。 258 00:18:05,618 --> 00:18:08,287 うん 驚いた? わりと。 259 00:18:08,287 --> 00:18:10,456 てっきり歌の参考のために➡ 260 00:18:10,456 --> 00:18:13,626 魔法使いの学び舎を 見たいんだと思ってた。 261 00:18:13,626 --> 00:18:15,795 探してる本があるの。 262 00:18:15,795 --> 00:18:17,797 手伝おうか? 263 00:18:17,797 --> 00:18:21,801 ん~ とりあえず 自分で探してみるわ。 264 00:18:21,801 --> 00:18:26,105 連れてきてもらったのに 退屈させちゃうかも ごめんね。 265 00:18:30,476 --> 00:18:32,979 (ウィル)魔法史の概論書。 266 00:18:32,979 --> 00:18:35,147 《ガスから 一通りは習っているけど➡ 267 00:18:35,147 --> 00:18:38,985 ガスの知らない 200年の間に どう変化したんだろうか…》 268 00:18:38,985 --> 00:18:40,987 (ビィ)んん~! 269 00:18:42,989 --> 00:18:44,991 うわあ ぐ…。 270 00:18:44,991 --> 00:18:48,327 (ウィル)ビィ 持つよ。 271 00:18:48,327 --> 00:18:50,329 ん ありがとう…。 272 00:18:54,500 --> 00:18:57,670 《ウィル:アカデミーの卒業者目録と…。 273 00:18:57,670 --> 00:19:02,108 こっちは 地方の記録をまとめた郷土史?》 274 00:19:02,108 --> 00:19:28,134 ♬~ 275 00:19:37,643 --> 00:19:39,645 ねえ ビィ。 276 00:19:39,645 --> 00:19:42,314 どうして あの本を探してたかってこと? 277 00:19:42,314 --> 00:19:46,152 ん…。 ん~。 278 00:19:46,152 --> 00:19:49,989 昔ね まだトルバドールとか やってなかった頃➡ 279 00:19:49,989 --> 00:19:52,491 一緒に旅をした人がいるの。 280 00:19:52,491 --> 00:19:54,660 くすんだ金色の髪の毛に➡ 281 00:19:54,660 --> 00:19:57,496 海みたいに キレイな青い目のお姉さん。 282 00:19:57,496 --> 00:20:01,167 たまたま一緒になったんだけど わりとウマがあってね。 283 00:20:01,167 --> 00:20:03,669 その人が ものすごい魔法使いだって➡ 284 00:20:03,669 --> 00:20:05,671 あとで知ったわ。 285 00:20:05,671 --> 00:20:07,673 (ビィ)各地の遺跡を巡って➡ 286 00:20:07,673 --> 00:20:10,843 今はもう失われた 「しるし」を 探していたらしいんだけど➡ 287 00:20:10,843 --> 00:20:15,014 人がいいから いろんな困りごとを 引き受けちゃう人でね。 288 00:20:15,014 --> 00:20:17,016 そんなに 名前は知られてないけど➡ 289 00:20:17,016 --> 00:20:20,519 ある地域では 「英雄」って言われてた。 290 00:20:20,519 --> 00:20:24,523 あたしも楽しいから つい あちこち寄り道して…。 291 00:20:24,523 --> 00:20:27,193 でね 道が分かれるとこに来て➡ 292 00:20:27,193 --> 00:20:29,695 「それじゃあ また」って 手を振って別れたの。 293 00:20:31,697 --> 00:20:35,201 彼女 別れたあとに すぐ死んじゃった。 294 00:20:35,201 --> 00:20:37,536 (ビィ)たくさんの妖魔を相手に➡ 295 00:20:37,536 --> 00:20:40,539 町を守って奮闘して だって。 296 00:20:46,212 --> 00:20:49,381 それは…。 ああ 勘違いしないでね。 297 00:20:49,381 --> 00:20:52,218 別に死んだのが どうってわけじゃないの。 298 00:20:52,218 --> 00:20:55,888 そりゃあ 悲しいけど 彼女だって 覚悟のうえでしょ? 299 00:20:55,888 --> 00:20:58,057 本人が覚悟してるものを➡ 300 00:20:58,057 --> 00:21:00,659 横から とやかく言う趣味はないわよ。 301 00:21:00,659 --> 00:21:04,663 でもね… でも➡ 302 00:21:04,663 --> 00:21:06,999 その覚悟が すぐ忘れられちゃうのは➡ 303 00:21:06,999 --> 00:21:09,001 納得できない! 304 00:21:09,001 --> 00:21:12,338 英雄だった 彼女の死は 人々に惜しまれた。 305 00:21:12,338 --> 00:21:16,342 でも それもやがて日常によって 押し流され 忘れられ➡ 306 00:21:16,342 --> 00:21:19,678 だんだん誰も 彼女の名を口にしなくなった。 307 00:21:19,678 --> 00:21:22,348 この世界は危険に満ちている。 308 00:21:22,348 --> 00:21:25,684 英雄も また生まれては はかなく消えてゆく。 309 00:21:25,684 --> 00:21:27,853 そういうものなのだろうけど➡ 310 00:21:27,853 --> 00:21:32,858 だけれど 持ち上げて感謝して 死んだら おしまい。 311 00:21:32,858 --> 00:21:34,860 そんなの嫌よ。 312 00:21:34,860 --> 00:21:37,863 消耗品じゃねえのよ 人の覚悟は。 313 00:21:37,863 --> 00:21:40,366 だから歌い継いでやる。 314 00:21:40,366 --> 00:21:42,368 そう思って歌ったわ。 315 00:21:42,368 --> 00:21:45,371 そしたら気づいたの。 何に? 316 00:21:45,371 --> 00:21:50,042 英雄の歌ってね 希望なのよ! 希望? 317 00:21:50,042 --> 00:21:54,046 傑出した武力や魔力で 人を救おうとする誰かがいる。 318 00:21:54,046 --> 00:21:57,716 誰かが戦っている。 あるいは戦ってきた。 319 00:21:57,716 --> 00:22:01,821 それって みんなにとってね け~っこうな希望なのよ! 320 00:22:01,821 --> 00:22:05,157 あなたの大好きな 「三英傑」みたいに。 321 00:22:05,157 --> 00:22:07,159 あるいは 今のあなたみたいに。 322 00:22:09,495 --> 00:22:11,831 ほら! 323 00:22:11,831 --> 00:22:16,335 (ビィ)暗い夜の闇が来る前に 真っ先に輝く 一番星。 324 00:22:16,335 --> 00:22:18,504 英雄って それよ。 325 00:22:18,504 --> 00:22:22,107 あなたが歩けば あとから追いかける人がいる。 326 00:22:26,011 --> 00:22:29,014 それって すごいことじゃない? そうだね。 327 00:22:29,014 --> 00:22:32,017 だから私は歌うのよ。 328 00:22:32,017 --> 00:22:35,020 きらめく星は ここにあるぞって。 329 00:22:38,190 --> 00:22:41,360 ふぅ これで 私の話は おしまい! 330 00:22:41,360 --> 00:22:43,362 あ~ 語ってたら なんだか➡ 331 00:22:43,362 --> 00:22:45,364 歌いたくなって きちゃった! 332 00:22:45,364 --> 00:22:47,366 どこかで歌う? 333 00:22:47,366 --> 00:22:50,035 いいわね いいわね! 一儲けしてく? 334 00:22:50,035 --> 00:22:52,538 行こう! それじゃあ せっかくだし➡ 335 00:22:52,538 --> 00:22:55,374 合いの手と 「おひねり」集めは よろしくね! 336 00:22:55,374 --> 00:22:57,376 よしきた! 337 00:22:57,376 --> 00:22:59,378 《ビィは 決して➡ 338 00:22:59,378 --> 00:23:01,981 僕のところには 居着いたりはしないだろう》 339 00:23:01,981 --> 00:23:04,483 パラディン様に コイン拾いさせるなんて➡ 340 00:23:04,483 --> 00:23:06,652 豪華なもんだわ~。 341 00:23:06,652 --> 00:23:08,821 《ウィル:歌を求め 歌を広める➡ 342 00:23:08,821 --> 00:23:10,823 彼女の信念は➡ 343 00:23:10,823 --> 00:23:14,660 きっと ひとつのところに 留まることをよしとしないから。 344 00:23:14,660 --> 00:23:17,329 けれど 彼女は去ったとしても➡ 345 00:23:17,329 --> 00:23:19,331 きっと いずれは戻ってきてくれる》 346 00:23:19,331 --> 00:23:21,500 ねえ できたら➡ 347 00:23:21,500 --> 00:23:23,502 その魔法使いさんの歌を 聞かせてよ。 348 00:23:23,502 --> 00:23:26,839 ん~ そうね。 聞かせてあげる。 349 00:23:26,839 --> 00:23:29,041 資料も十分 補充できたしね。 350 00:23:31,010 --> 00:23:33,012 《いつか➡ 351 00:23:33,012 --> 00:23:35,848 僕が どこかの戦いで 果てたとしても…。 352 00:23:35,848 --> 00:23:37,850 きっと…》