1 00:00:01,433 --> 00:00:08,433 ♪〜 2 00:01:23,233 --> 00:01:30,233 〜♪ 3 00:01:33,800 --> 00:01:34,900 (店主)毎度あり! 4 00:01:40,666 --> 00:01:41,500 (但馬(たじま))ん? 5 00:01:44,866 --> 00:01:46,233 何やつだ 6 00:01:48,533 --> 00:01:53,366 拙者を風雲石砕流(ふううんせきさいりゅう) 但馬宗忠(むねただ)と知ってのことか 7 00:01:54,333 --> 00:01:57,233 (昇竜(しょうりゅう))無論 承知のうえ 8 00:01:57,333 --> 00:01:58,233 (吹き出す音) 9 00:01:59,066 --> 00:02:02,933 (但馬)いいだろう 腹ごなしに相手してやる 10 00:02:03,866 --> 00:02:04,766 いざっ 11 00:02:04,866 --> 00:02:06,766 おりゃああ! 12 00:02:10,333 --> 00:02:11,166 んっ… 13 00:02:11,400 --> 00:02:12,233 ああっ 14 00:02:12,700 --> 00:02:14,066 ああ… うっ 15 00:02:25,833 --> 00:02:29,466 (フウ)あー もう おなかすいたよお 16 00:02:30,066 --> 00:02:32,233 (ムゲン)んなセリフは 聞き飽きたんだよ 17 00:02:32,333 --> 00:02:36,966 (フウ)だって 関所出てから 何も食べてないよお 18 00:02:37,066 --> 00:02:38,733 川の水でも飲んでろ 19 00:02:38,833 --> 00:02:39,966 うう… 20 00:02:42,966 --> 00:02:44,000 (ムゲン)あ? 21 00:02:44,800 --> 00:02:49,533 (ジン)すまぬが こちらも宿代すら ままならぬ身 22 00:02:49,633 --> 00:02:51,466 托鉢(たくはつ)するような余裕は… 23 00:02:51,833 --> 00:02:54,533 (瑞光(ずいこう)) ほう そいつは好都合だ 24 00:02:54,633 --> 00:02:55,833 (3人)え? 25 00:03:02,800 --> 00:03:05,166 (瑞光)いやあ ちょうどよかった 26 00:03:05,266 --> 00:03:07,933 人手不足で 困っていたところなのですよ 27 00:03:08,633 --> 00:03:13,400 さて 雑巾掛けが済んだら 仏様を磨いてさしあげてください 28 00:03:13,900 --> 00:03:15,266 よろしいですね 29 00:03:15,366 --> 00:03:18,000 黙って聞いてりゃ こき使いやがって てめえ… 30 00:03:18,100 --> 00:03:19,233 文句 言わないの 31 00:03:19,333 --> 00:03:22,366 せっかくタダで泊まれて ごはんも食べられるんだから 32 00:03:23,000 --> 00:03:24,400 (瑞光)そうそう 33 00:03:24,500 --> 00:03:27,400 薪(まき)割りと障子張りも忘れずに 34 00:03:28,933 --> 00:03:30,133 クソ! 35 00:03:37,133 --> 00:03:39,300 あっちゃあ… 36 00:03:40,366 --> 00:03:41,266 もおっ 37 00:03:41,366 --> 00:03:44,133 結局 私が 尻拭いさせられんじゃん 38 00:03:44,233 --> 00:03:48,133 (町人1)おいおい またかよ (町人2)怖いねえ 39 00:03:48,233 --> 00:03:49,600 何 なに? 40 00:03:49,700 --> 00:03:51,433 (町人1) なんだい 知らねえのかい? 41 00:03:51,533 --> 00:03:55,100 (町人2)つじ斬りだよ 今月に入って もう3人目だ 42 00:03:55,200 --> 00:03:56,400 えー 43 00:03:56,500 --> 00:03:59,966 (町人1)おまけに狙われたのは 腕利きの侍ばっかりだ 44 00:04:00,133 --> 00:04:04,466 それでな そいつにとうとう 10両の賞金が懸かったんだよ 45 00:04:04,566 --> 00:04:06,533 ウソ 10両? 46 00:04:08,866 --> 00:04:10,800 (フウ)ちょっと聞いてる? 47 00:04:11,333 --> 00:04:13,100 10両だよ 10両 48 00:04:13,200 --> 00:04:16,333 それだけあれば 楽勝で長崎まで行けるよ 49 00:04:16,433 --> 00:04:19,266 (ジン)つじ斬りか あまり乗り気がせんが 50 00:04:19,366 --> 00:04:20,966 (ムゲン)強(つえ)えのかよ そいつは 51 00:04:21,066 --> 00:04:22,266 そりゃ そうよ 52 00:04:22,366 --> 00:04:25,433 だって わざわざ すご腕の侍ばっかり狙って— 53 00:04:25,533 --> 00:04:26,800 倒しちゃうんだよ 54 00:04:26,900 --> 00:04:28,133 (ムゲン)おっしゃ (フウ)え? 55 00:04:28,233 --> 00:04:30,366 じゃっ ちょっくら行ってくるわ 56 00:04:30,466 --> 00:04:32,233 ああ ちょっと待ってよ 57 00:04:33,566 --> 00:04:36,033 あっ ジン ここ任せたわね 58 00:04:36,133 --> 00:04:36,966 おい 59 00:04:38,000 --> 00:04:39,133 やれやれ 60 00:04:40,633 --> 00:04:42,433 (町人)あーむ 61 00:04:42,533 --> 00:04:43,200 (フウ)…で? 62 00:04:43,300 --> 00:04:46,533 (町人)お嬢ちゃん よーく考えてみな 63 00:04:46,633 --> 00:04:50,400 つじ斬りを見るってことは 相手にも見られるってこった 64 00:04:50,500 --> 00:04:52,700 そんなやつ 生きちゃいられないぜ 65 00:04:52,800 --> 00:04:56,366 そっか でも何か手がかりないかな 66 00:04:56,466 --> 00:04:59,766 おい ここいらで 一番 腕の立つ野郎は誰だ 67 00:04:59,866 --> 00:05:00,600 (フウ)はあ? 68 00:05:00,700 --> 00:05:01,366 (町人)んっ… 69 00:05:01,466 --> 00:05:03,766 (フウ)どうすんのよ そんなこと聞いて 70 00:05:03,866 --> 00:05:06,866 そいつが 次に狙われるってこったろ? 71 00:05:06,966 --> 00:05:09,233 (フウ)ああ …で? 72 00:05:09,333 --> 00:05:10,433 もしもし? 73 00:05:10,533 --> 00:05:12,333 (茶店のおやじ)桃井誠四郎(ももいせいしろう) 74 00:05:12,433 --> 00:05:13,933 (フウ)ありがとう 75 00:05:21,333 --> 00:05:22,200 (護衛1)おい 何してる 76 00:05:22,300 --> 00:05:23,466 まあ 気にすんな 77 00:05:23,566 --> 00:05:24,400 (桃井誠四郎)何? 78 00:05:24,500 --> 00:05:26,833 あんた 桃井とかいう侍だろ? 79 00:05:26,933 --> 00:05:27,666 (護衛2)いかにも 80 00:05:27,766 --> 00:05:30,600 こちらは人間エレキテルの 異名を持つ 玄宗館(げんそうかん)師範 81 00:05:30,700 --> 00:05:32,866 桃井誠四郎先生だ 82 00:05:32,966 --> 00:05:34,700 弟子入りか ん? 83 00:05:34,800 --> 00:05:37,533 そりゃあ よかった これでつじ斬りに… 84 00:05:37,633 --> 00:05:39,633 (護衛1)貴様 つじ斬りか 85 00:05:39,733 --> 00:05:41,933 (護衛3) 昼間から現れるとは いい度胸だ 86 00:05:42,033 --> 00:05:43,133 はあ? 違(ちげ)えよ 87 00:05:43,233 --> 00:05:44,066 (護衛1)覚悟! 88 00:05:49,500 --> 00:05:51,133 違うっつってんだろが! 89 00:05:51,233 --> 00:05:53,566 まっ 待ってくれ! ウソウソ 90 00:05:53,666 --> 00:05:57,133 人間エレキテルなんて 私が 勝手に触れ回っていたウソなんだ 91 00:05:57,233 --> 00:05:59,133 た… 助けてえ 92 00:06:00,366 --> 00:06:01,700 ダメだ こら 93 00:06:03,966 --> 00:06:06,800 (店主) えーえ 見ましたよ 死体 94 00:06:06,900 --> 00:06:07,766 (フウ)ホントに? 95 00:06:07,866 --> 00:06:10,133 (店主)それが不思議な死体でねえ 96 00:06:10,233 --> 00:06:12,566 刀傷ひとつないってのに— 97 00:06:12,666 --> 00:06:16,300 目やら耳やら 体じゅうの穴っていう穴から— 98 00:06:16,400 --> 00:06:19,133 血 吹き出して 死んでたんですよ 99 00:06:19,233 --> 00:06:21,666 じゃあ どうやってやられたの? 100 00:06:21,766 --> 00:06:22,866 (店主)さあねえ 101 00:06:22,966 --> 00:06:26,866 それが分かれば とっくに お縄になってるでしょうって 102 00:06:28,800 --> 00:06:30,400 (子分1)どうしてくれんだよ! 103 00:06:30,500 --> 00:06:33,800 (親分)おい でけえ声出すんじゃねえ 104 00:06:33,900 --> 00:06:37,233 こちらさんだって わざと ぶつかったわけじゃあねえんだ 105 00:06:37,333 --> 00:06:41,066 まあ こっちとしても 詫(わ)びのしるしを示してくれれば— 106 00:06:41,566 --> 00:06:43,666 こいつらの気も済むってことだ 107 00:06:44,766 --> 00:06:46,633 (子分1)おい 何とか言いやがれ 108 00:06:46,733 --> 00:06:49,466 (子分2)てめえ カラスのエサにされてえか? 109 00:06:50,533 --> 00:06:52,766 (昇竜)お前たちには興味がない 110 00:06:52,866 --> 00:06:53,666 はあ? 111 00:06:54,733 --> 00:06:57,766 (昇竜)弱いやつには興味がないと 言っているんだ 112 00:06:57,866 --> 00:06:58,866 (子分2)てめえ… 113 00:06:58,966 --> 00:07:00,833 (子分1) 何様のつもりだ コラア! 114 00:07:03,133 --> 00:07:03,833 ぐあっ… 115 00:07:03,933 --> 00:07:05,766 うあああ… 116 00:07:07,566 --> 00:07:08,533 (子分2)ひっ! 117 00:07:08,633 --> 00:07:09,333 (親分)クソッ 118 00:07:09,433 --> 00:07:11,133 (子分2)う… ひいい! 119 00:07:11,233 --> 00:07:14,333 (親分)バ… バケモノ バケモノだあ! 120 00:07:14,433 --> 00:07:15,466 あ? 121 00:07:21,400 --> 00:07:24,300 (瑞光)今日は もう よろしいですよ 122 00:07:24,400 --> 00:07:26,066 では これで最後に 123 00:07:26,166 --> 00:07:28,300 食事を用意しますね 124 00:07:30,233 --> 00:07:31,266 んっ? 125 00:07:32,066 --> 00:07:35,266 (瑞光) ハハハハッ 元気な薪だ 126 00:07:35,366 --> 00:07:39,266 どれ 今日の風呂の 焚(た)きつけにでもしましょうか 127 00:07:46,300 --> 00:07:47,266 (店主)らっしゃい! 128 00:07:48,366 --> 00:07:49,266 (ムゲン)酒だ 129 00:07:49,366 --> 00:07:51,566 それじゃあ 大して飲めねえが— 130 00:07:51,666 --> 00:07:53,766 今は そのほうが いいかもしれねえや 131 00:07:53,866 --> 00:07:55,300 なんでだよ 132 00:07:55,400 --> 00:07:56,933 聞いてねえですか? 133 00:07:57,033 --> 00:07:59,966 最近この辺りは物騒でねえ 134 00:08:00,133 --> 00:08:01,066 つじ斬りか? 135 00:08:01,166 --> 00:08:04,766 (店主) ええ おかげでこちとら 商売あがったりでさあ 136 00:08:06,566 --> 00:08:07,600 (ムゲン)もう1杯 137 00:08:07,700 --> 00:08:10,900 お客さん 悪いが10文じゃ それだけ 138 00:08:11,000 --> 00:08:12,033 (昇竜)あの 139 00:08:12,133 --> 00:08:13,566 よろしければ 140 00:08:13,666 --> 00:08:14,800 ん? 141 00:08:15,500 --> 00:08:19,966 いえね 美しき酒とは ほろ酔いのことを指す 142 00:08:20,066 --> 00:08:22,666 今宵(こよい)は少し飲みすぎました 143 00:08:23,533 --> 00:08:24,600 どうぞ 144 00:08:24,700 --> 00:08:26,900 (ムゲン)じゃ まあ遠慮なく 145 00:08:28,033 --> 00:08:30,200 おっと 失礼 146 00:08:30,300 --> 00:08:32,866 ホントに今夜は 飲みすぎたようです 147 00:08:36,900 --> 00:08:38,566 お前 知らねえか? 148 00:08:39,400 --> 00:08:40,600 何をです? 149 00:08:40,700 --> 00:08:42,400 (ムゲン)つじ斬りだよ 150 00:08:42,500 --> 00:08:46,066 さて 私は世事には とんと うとくてね 151 00:08:46,166 --> 00:08:49,866 わざわざ強(つえ)えやつばかり 狙うらしいぜ 152 00:08:49,966 --> 00:08:51,300 なんでかねえ 153 00:08:51,700 --> 00:08:53,700 さて 私には… 154 00:08:54,300 --> 00:08:57,533 でもね こんな話を聞いたことがあります 155 00:08:58,666 --> 00:09:02,366 昔 大陸に山登りの名人がいた 156 00:09:02,933 --> 00:09:06,233 その男は それはそれは高い山に登った 157 00:09:06,633 --> 00:09:09,100 しかし誰も その山を見たことがなくて— 158 00:09:09,600 --> 00:09:12,366 それが どれほどすごいのか 理解できなかった 159 00:09:13,133 --> 00:09:17,433 男は しかたなく さらに高いとされる山に登り続ける 160 00:09:17,933 --> 00:09:19,566 来る日も来る日も— 161 00:09:19,666 --> 00:09:22,300 自分のすごさを 皆に認めさせるために 162 00:09:23,866 --> 00:09:25,200 そして ついに— 163 00:09:25,300 --> 00:09:29,566 その男は山に住み着き 魔物になってしまった 164 00:09:30,733 --> 00:09:31,766 (ムゲン)…で? 165 00:09:32,866 --> 00:09:34,633 (昇竜)それだけの話です 166 00:09:34,733 --> 00:09:36,333 (ムゲン)意味が分かんねえな 167 00:09:36,433 --> 00:09:39,633 失礼 退屈な話だったようです 168 00:09:39,733 --> 00:09:41,466 それでは ここで 169 00:09:41,566 --> 00:09:43,866 つじ斬りには気いつけろよ 170 00:09:43,966 --> 00:09:45,333 どうぞ あなたも 171 00:09:46,766 --> 00:09:48,133 おめえだろ 172 00:09:48,233 --> 00:09:49,366 フッ… 173 00:09:54,800 --> 00:09:56,766 何だよ その構えは 174 00:10:08,100 --> 00:10:09,500 (昇竜)ほお 175 00:10:09,600 --> 00:10:11,500 これをかわすとは 176 00:10:12,133 --> 00:10:13,233 フフフッ 177 00:10:13,666 --> 00:10:15,333 楽しめそうだ 178 00:10:15,433 --> 00:10:16,733 (笛の音) 179 00:10:16,833 --> 00:10:19,233 (捕り方1)いたぞ! (捕り方2)つじ斬りだ 180 00:10:22,333 --> 00:10:24,333 次の満月の夜 181 00:10:24,966 --> 00:10:26,633 また ここで 182 00:10:29,233 --> 00:10:29,900 うっ… 183 00:10:32,500 --> 00:10:34,533 (ムゲン)何だ こりゃ? 184 00:10:45,233 --> 00:10:47,300 (瑞光)いい月だ 185 00:10:47,800 --> 00:10:50,633 ここからの眺めが 私は好きでね 186 00:10:52,833 --> 00:10:54,133 あっ いたいた 187 00:10:54,400 --> 00:10:55,133 あっ… 188 00:10:55,800 --> 00:10:56,933 ごめんなさい 189 00:10:57,033 --> 00:10:59,000 (瑞光)ハハッ 気にせんよ 190 00:10:59,533 --> 00:11:02,400 あ… 例のつじ斬りのことなんだけど 191 00:11:03,133 --> 00:11:04,966 死体がみんな無傷なのに— 192 00:11:05,066 --> 00:11:08,166 体じゅうのあちこちから 血を出して死んでるんだって 193 00:11:09,500 --> 00:11:12,466 ねえ ちょっとヤバくない? 194 00:11:14,833 --> 00:11:16,233 (瑞光)んっ (フウ)えっ? 195 00:11:19,100 --> 00:11:21,533 ジン! ちょっと何してんのよ 196 00:11:22,033 --> 00:11:23,833 失礼した 197 00:11:23,933 --> 00:11:27,466 しかし その動き ただの僧とは思えぬ 198 00:11:27,566 --> 00:11:29,700 何? どういうこと? 199 00:11:30,833 --> 00:11:33,100 (足音) 200 00:11:33,200 --> 00:11:33,933 (ムゲン)おい 201 00:11:34,033 --> 00:11:36,666 ああ ムゲン いつの間に 202 00:11:37,200 --> 00:11:39,066 おい その手 203 00:11:39,966 --> 00:11:41,600 どうしたのよ これ 204 00:11:41,700 --> 00:11:43,100 何でもねえよ 205 00:11:43,200 --> 00:11:44,233 何でもなくない! 206 00:11:44,333 --> 00:11:46,233 つじ斬りにあったんじゃないのか 207 00:11:47,233 --> 00:11:48,400 ああ 208 00:11:48,800 --> 00:11:49,766 (フウ)ウソ… 209 00:11:49,866 --> 00:11:52,233 妙な刀を持ってやがった 210 00:11:52,333 --> 00:11:55,033 その刀から なんか すげえ風が吹いた 211 00:11:55,133 --> 00:11:55,966 (ジン)風? 212 00:11:56,066 --> 00:11:56,866 ああ 213 00:11:57,200 --> 00:11:59,000 その風が当たると… 214 00:11:59,100 --> 00:12:00,066 (瑞光)やはり 215 00:12:00,633 --> 00:12:04,766 その つじ斬り 恐らく昇竜と呼ばれる男 216 00:12:05,466 --> 00:12:06,400 知ってんのかよ 217 00:12:07,433 --> 00:12:09,933 私の弟子だった男です 218 00:12:14,866 --> 00:12:19,366 私は かつて 自分自身の道場を持つ武士でした 219 00:12:19,800 --> 00:12:24,433 昇竜 いや かつては 右近(うこん)という名だった その男は— 220 00:12:24,533 --> 00:12:27,466 私の道場の門下でした 221 00:12:28,333 --> 00:12:33,100 彼は かなりの腕を持ち かつ生真面目に武術に取り組み— 222 00:12:33,200 --> 00:12:35,733 日々精進する男でした 223 00:12:36,966 --> 00:12:38,833 やがて藩の命により— 224 00:12:39,133 --> 00:12:41,833 右近は船旅に 出ることになりましたが— 225 00:12:42,500 --> 00:12:44,066 あいにく船は遭難 226 00:12:44,666 --> 00:12:49,166 船にいた者たちは皆 命を落としたと思われました 227 00:12:53,233 --> 00:12:57,700 だが右近は 幸いにも大陸に流れ着き— 228 00:12:58,333 --> 00:13:00,666 一命を取りとめたのです 229 00:13:05,100 --> 00:13:09,000 その地で 彼は未知の武術に出会ったそうです 230 00:13:15,466 --> 00:13:20,333 だがそれが 彼の運命を 大きく変えることになろうとは… 231 00:13:23,233 --> 00:13:24,766 (ノックする音) 232 00:13:26,933 --> 00:13:28,766 (瑞光)それから10年後 233 00:13:28,866 --> 00:13:34,933 彼は決死の覚悟で海を渡り 再び この国に舞い戻りました 234 00:13:35,600 --> 00:13:41,133 しかし 彼はまるで別人のように 変わり果てていたのです 235 00:13:43,366 --> 00:13:46,300 (昇竜) 私は大陸の拳法を知ったことで— 236 00:13:46,400 --> 00:13:50,533 それまで学んだ武術の 弱さやもろさを思い知らされました 237 00:13:52,866 --> 00:13:55,166 発ケイという技がございます 238 00:13:55,266 --> 00:13:59,700 力でなく 内なる気の力を持って 相手を倒すのです 239 00:14:00,400 --> 00:14:04,833 厳しい修行の末 私は それを修得しました 240 00:14:04,933 --> 00:14:05,766 しかし… 241 00:14:06,733 --> 00:14:09,533 この国の武士の体たらくは どうです? 242 00:14:09,633 --> 00:14:13,666 太平の世で安穏と暮らし ふぬけに成り下がった侍どもに— 243 00:14:14,100 --> 00:14:16,233 私は真の武術を伝授したい 244 00:14:16,566 --> 00:14:19,000 この腐りきった国を なんとかしたいのです 245 00:14:19,100 --> 00:14:20,600 しかし右近… 246 00:14:20,700 --> 00:14:22,733 (昇竜)その名は捨てました (瑞光)ん? 247 00:14:23,200 --> 00:14:25,266 今は昇竜と申します 248 00:14:27,166 --> 00:14:28,666 (門下生)まいった 249 00:14:30,033 --> 00:14:30,700 (門下生たち)おい待て! 250 00:14:30,800 --> 00:14:33,700 やめろ 何をする 251 00:14:33,800 --> 00:14:34,700 (瑞光)何事だ! 252 00:14:35,500 --> 00:14:36,900 (師範代)し… 死んでる 253 00:14:37,000 --> 00:14:38,666 なんと恐ろしい 254 00:14:38,766 --> 00:14:40,933 稽古で人を殺(あや)めるとは 255 00:14:41,033 --> 00:14:45,666 無抵抗な者をなおも攻め あまつさえ殺すとは… 256 00:14:46,600 --> 00:14:48,400 武術を何と心得る! 257 00:14:49,266 --> 00:14:52,566 (昇竜)武術とは 極めれば人殺しの術 258 00:14:52,666 --> 00:14:53,400 つまりは— 259 00:14:54,033 --> 00:14:56,866 完膚なきまでに 相手の命を奪うことなり 260 00:14:59,533 --> 00:15:01,433 破門を申し渡す 261 00:15:02,633 --> 00:15:04,833 (昇竜)何だと… 破門? 262 00:15:05,266 --> 00:15:06,533 この私が? 263 00:15:06,633 --> 00:15:07,566 なぜだ 264 00:15:08,033 --> 00:15:10,800 それが分からぬから破門なのだ 265 00:15:11,133 --> 00:15:14,300 バカな… 私が破門だと? 266 00:15:15,333 --> 00:15:16,300 バカな! 267 00:15:17,400 --> 00:15:18,233 はあっ! 268 00:15:21,066 --> 00:15:23,633 俺に倒されるのが怖いか 269 00:15:24,000 --> 00:15:26,266 だから俺を破門にするのか 270 00:15:26,966 --> 00:15:29,000 この腰抜けが! 271 00:15:30,100 --> 00:15:32,500 フフフフッ 272 00:15:32,600 --> 00:15:35,000 フフハハハハッ 273 00:15:35,100 --> 00:15:38,700 (昇竜の笑い声) 274 00:15:41,900 --> 00:15:44,366 (瑞光)私の元を去った昇竜は— 275 00:15:44,466 --> 00:15:47,700 その後 諸国を歩き 仕官を試みました 276 00:15:47,800 --> 00:15:51,800 しかし どこでも彼は 邪道扱いされ— 277 00:15:51,900 --> 00:15:54,833 受け入れる藩はなかったと聞きます 278 00:15:55,666 --> 00:15:56,933 その後 彼は— 279 00:15:57,033 --> 00:16:01,000 自分を認めず 受け入れなかったこの世を恨み— 280 00:16:01,100 --> 00:16:03,766 道場破りを繰り返したそうです 281 00:16:10,433 --> 00:16:11,633 私は— 282 00:16:12,166 --> 00:16:16,100 闇に染まる弟子の心を 救えなかったことを悔い 283 00:16:16,200 --> 00:16:18,933 こうして仏門に入りました 284 00:16:21,233 --> 00:16:25,633 これ以上 昇竜に 罪を重ねさせるわけにはいかない 285 00:16:25,733 --> 00:16:28,966 しかし 今の彼はまさに無敵 286 00:16:29,533 --> 00:16:32,366 彼を止められる者など おりますまい 287 00:16:32,466 --> 00:16:34,133 (ムゲン)うれしいねえ 288 00:16:34,233 --> 00:16:37,233 そんな野郎と やり合えるなんてよ 289 00:16:49,366 --> 00:16:51,266 (小鳥のさえずり) (ムゲン)おーりゃ! 290 00:16:54,166 --> 00:16:55,000 てりゃあ! 291 00:16:55,100 --> 00:16:57,200 どうしちゃったの? 292 00:16:57,800 --> 00:17:00,566 どういう風の吹き回しよ 293 00:17:00,666 --> 00:17:02,166 てーやっ! 294 00:17:10,266 --> 00:17:11,900 (息を吐く音) 295 00:17:21,666 --> 00:17:23,800 (犬のほえ声) 296 00:17:31,133 --> 00:17:34,033 (いびき) 297 00:17:37,133 --> 00:17:39,400 おーららららら! 298 00:17:39,500 --> 00:17:40,466 しゃっ 299 00:17:40,566 --> 00:17:41,933 テエ… 300 00:17:44,700 --> 00:17:47,366 (フウ)なんか こんなムゲン初めて見るけど 301 00:17:47,933 --> 00:17:51,033 (ジン)勝てるかどうか 分からない相手ってことだ 302 00:17:51,133 --> 00:17:52,133 あ… 303 00:17:58,833 --> 00:18:00,766 (ムゲン)やっぱ滝か 304 00:18:03,600 --> 00:18:05,000 やめた 305 00:18:05,100 --> 00:18:06,400 あっ 306 00:18:06,500 --> 00:18:09,566 昇竜が使うのは 剣ではなく気だ 307 00:18:10,066 --> 00:18:12,800 この国では甲冑(かっちゅう)砕きとも言われ— 308 00:18:12,900 --> 00:18:15,900 極めれば 甲冑に傷ひとつ付けることなく— 309 00:18:16,000 --> 00:18:18,200 内臓を破壊することも… 310 00:18:18,633 --> 00:18:20,566 まっ 何にしろ— 311 00:18:20,666 --> 00:18:22,333 当たんなきゃ どうってことねえんだろ 312 00:18:29,433 --> 00:18:31,866 おっきな お月様 313 00:18:33,033 --> 00:18:34,966 (ムゲン) ちょっくら出かけてくらあ 314 00:18:35,066 --> 00:18:37,233 ねえ 忘れてないよね 315 00:18:37,333 --> 00:18:38,066 (ムゲン)あ? 316 00:18:38,800 --> 00:18:44,066 ヒマワリの匂いのするお侍さん 一緒に探してくれるんだよね 317 00:18:45,066 --> 00:18:46,433 分かってるよ 318 00:18:46,966 --> 00:18:48,800 (ジン)忘れるな (ムゲン)ん? 319 00:18:49,466 --> 00:18:51,266 お前を斬るのは私だ 320 00:18:53,366 --> 00:18:56,866 女房気取りかよ てめえは 321 00:19:07,333 --> 00:19:11,600 (足音) 322 00:19:14,733 --> 00:19:18,733 (昇竜) やはり来てくれましたね うれしいかぎりだ 323 00:19:19,366 --> 00:19:24,233 大陸から戻ってからというもの 皆が私を恐れるばかりで— 324 00:19:24,333 --> 00:19:27,433 誰も私の強さを 認めようとはしなかった 325 00:19:28,366 --> 00:19:31,466 世間で達人と呼ばれるような やつらより— 326 00:19:32,000 --> 00:19:34,833 ずっと私のほうが強いというのに 327 00:19:35,266 --> 00:19:37,633 だから やつらに教えてやったよ 328 00:19:37,733 --> 00:19:40,766 いったい本当に強いのは 誰かってことをね 329 00:19:41,333 --> 00:19:43,233 前置きは要らねえ 330 00:19:43,333 --> 00:19:44,833 さっさと始めようぜ 331 00:19:45,733 --> 00:19:47,300 いいでしょう 332 00:19:54,500 --> 00:19:55,566 フッ… 333 00:19:59,000 --> 00:20:01,700 あなた 期待以上でしたよ 334 00:20:14,666 --> 00:20:16,633 あなたは なぜ私と戦う 335 00:20:17,066 --> 00:20:17,733 (ムゲン)はあ? 336 00:20:18,133 --> 00:20:20,366 私が賞金首だからか? 337 00:20:20,466 --> 00:20:21,333 (ムゲン)んなもん 338 00:20:21,433 --> 00:20:23,466 もう関係ねえ 339 00:20:25,233 --> 00:20:28,800 俺は今な 楽しくてしょうがねえんだよ 340 00:20:29,266 --> 00:20:30,300 私もだ 341 00:20:30,833 --> 00:20:34,000 しかし そろそろ 終わらせてもらうぞ 342 00:20:34,400 --> 00:20:36,533 カアアッ 343 00:20:36,633 --> 00:20:38,533 コオオッ 344 00:20:42,333 --> 00:20:43,133 くっ… 345 00:20:44,566 --> 00:20:48,233 は… バカな ありえん 346 00:20:51,566 --> 00:20:53,000 今度こそ 347 00:20:53,100 --> 00:20:54,566 カアアッ 348 00:20:55,433 --> 00:20:57,333 ハアアッ! 349 00:21:16,066 --> 00:21:19,533 (荒い息) 350 00:21:22,600 --> 00:21:24,200 (瑞光)右近… 351 00:21:36,400 --> 00:21:43,400 ♪〜 352 00:23:13,533 --> 00:23:20,533 〜♪