1 00:00:01,433 --> 00:00:08,433 ♪〜 2 00:01:22,933 --> 00:01:29,933 〜♪ 3 00:01:35,133 --> 00:01:36,400 (フウ)ハア… 4 00:01:37,633 --> 00:01:40,733 いい湯だなあ 5 00:01:40,833 --> 00:01:42,033 …なんて 6 00:01:42,133 --> 00:01:45,600 (ムゲン)つーかよ おかしいと思わねえか? 7 00:01:45,700 --> 00:01:46,733 (ジン)何がだ 8 00:01:46,833 --> 00:01:49,066 大体 俺たちは なんで旅してんだ 9 00:01:49,166 --> 00:01:52,366 ヒマワリの匂いのする侍を 探すためだろ 10 00:01:52,466 --> 00:01:54,366 それだよ 大体あいつ— 11 00:01:54,466 --> 00:01:56,466 そのヒマワリ野郎ってのが 何なのか— 12 00:01:56,566 --> 00:01:58,766 全然 教えやしねえじゃねえかよ 13 00:01:58,866 --> 00:01:59,866 そうだが 14 00:01:59,966 --> 00:02:02,166 あんときだってよ… 15 00:02:03,266 --> 00:02:06,333 つーかよ そもそも 聞きたいと思ってたんだがよ 16 00:02:06,433 --> 00:02:07,200 (フウ)え? 17 00:02:07,300 --> 00:02:09,466 ヒマワリの侍とは何者だ 18 00:02:09,566 --> 00:02:10,366 それは… 19 00:02:10,466 --> 00:02:12,500 そもそもヒマワリって何だよ 20 00:02:12,600 --> 00:02:13,433 ちょっと待った 21 00:02:13,533 --> 00:02:14,300 知らんのか? 22 00:02:14,400 --> 00:02:15,366 花よ 花 23 00:02:15,466 --> 00:02:16,733 どんな匂いなんだよ 24 00:02:16,833 --> 00:02:17,966 ほかに手がかりは? 25 00:02:18,066 --> 00:02:19,033 似顔絵とかよ 26 00:02:19,133 --> 00:02:20,066 ここに来た根拠は? 27 00:02:20,166 --> 00:02:22,366 あー! もおっ 28 00:02:22,466 --> 00:02:26,233 …とか言ってるうちに うやむやになってんじゃねえかよ 29 00:02:26,333 --> 00:02:27,133 (ジン)うむ 30 00:02:27,233 --> 00:02:31,366 大体な 今 長崎に向かってるんだってよ 31 00:02:32,500 --> 00:02:35,633 (丈二(じょうじ))ワタシに言えるのは 1つだけデス 32 00:02:36,166 --> 00:02:40,633 長崎に行けば きっと何かが分かるデショウ 33 00:02:41,433 --> 00:02:43,000 長崎… 34 00:02:43,100 --> 00:02:46,633 …とかいう あいつの いいかげんな情報じゃねえか 35 00:02:46,733 --> 00:02:51,566 (ジン)しかし あの男 東インド会社の日本商館長だという 36 00:02:51,666 --> 00:02:53,433 それほど いいかげんとも思えんが 37 00:02:53,533 --> 00:02:54,333 そうかあ? 38 00:02:54,766 --> 00:02:58,000 それに ほかの情報がないなら やむをえまい 39 00:02:58,100 --> 00:02:59,933 (ムゲン)それだよ それ 40 00:03:00,100 --> 00:03:03,366 いくらなんでも ほかに何もないわけねえ 41 00:03:03,466 --> 00:03:06,200 あいつ 隠してやがんだよ 俺たちに 42 00:03:06,300 --> 00:03:07,433 (ジン)うむ 43 00:03:07,533 --> 00:03:08,800 (ムゲン)おっしゃ 44 00:03:08,900 --> 00:03:10,100 どうする 45 00:03:10,200 --> 00:03:13,100 あいつが風呂入ってるあいだに 探(さぐ)んだよ 46 00:03:13,800 --> 00:03:19,333 (フウの鼻歌) 47 00:03:21,500 --> 00:03:22,500 (ムゲン)ん? 48 00:03:24,366 --> 00:03:25,333 おーし 49 00:03:25,433 --> 00:03:27,166 (ジン)おい 人の物を勝手に 50 00:03:27,266 --> 00:03:28,800 かまやしねえ 51 00:03:28,900 --> 00:03:31,800 何も教えねえあいつが悪いんだ 52 00:03:32,300 --> 00:03:33,266 おっ 53 00:03:34,133 --> 00:03:35,166 (ジン)何だ 54 00:03:35,866 --> 00:03:36,966 読めねえ 55 00:03:37,066 --> 00:03:37,900 (ジン)貸せ 56 00:03:39,866 --> 00:03:42,533 ん… これは日記のようだ 57 00:03:42,633 --> 00:03:45,033 日記? おーし 58 00:03:45,133 --> 00:03:48,733 絶対何か ヒマワリ野郎の秘密とか 書いてあるはずだ 59 00:03:48,833 --> 00:03:50,133 (ジン)うーん… 60 00:03:50,966 --> 00:03:53,300 おい 声に出せよ 61 00:03:53,400 --> 00:03:56,300 “7月10日 晴れ” 62 00:03:56,400 --> 00:03:59,033 (フウ)“母さんが死んでから もうすぐ1年” 63 00:03:59,700 --> 00:04:04,200 “いつか旅立とうと思い続けて でも勇気がなくて—” 64 00:04:04,300 --> 00:04:06,200 “ずっと おじさんたちの茶屋に—” 65 00:04:06,666 --> 00:04:09,333 “バイトしながら住み込ませて もらってきたけど—” 66 00:04:09,800 --> 00:04:11,733 “とうとう旅立つ日が来た” 67 00:04:12,266 --> 00:04:16,600 “今日からヒマワリの匂いのする お侍さんを見つける日まで—” 68 00:04:16,700 --> 00:04:20,200 “この旅を忘れないように 日記をつけると決めた” 69 00:04:20,866 --> 00:04:21,899 “それで今—” 70 00:04:22,000 --> 00:04:26,900 “ここに記念すべき 第1ページを記す私なのであった” 71 00:04:29,533 --> 00:04:32,633 “もっとも この茶屋が焼けちゃったんで—” 72 00:04:32,733 --> 00:04:35,733 “もう旅立たないと しょうがないんだけどねえ” 73 00:04:35,833 --> 00:04:37,333 “カッコ笑い” 74 00:04:37,433 --> 00:04:39,100 “そもそも この火事は—” 75 00:04:39,200 --> 00:04:42,500 “とんでもない2人の男が 原因だったわけ” 76 00:04:42,600 --> 00:04:44,133 (ムゲン)あ? 77 00:04:44,233 --> 00:04:45,233 (ジン)ん? 78 00:04:46,433 --> 00:04:50,700 (フウ)“最初に茶屋に来たのは ガラの悪いボサボサ頭の男” 79 00:04:50,800 --> 00:04:52,033 (ムゲン)何だよ 俺か? 80 00:04:52,133 --> 00:04:55,033 (フウ)“ひと目見たときは いかにも悪そうで—” 81 00:04:55,133 --> 00:04:57,066 “いろいろ 犯罪とか犯してそうな—” 82 00:04:57,166 --> 00:04:59,966 “絶対 友達にしたくない タイプだと思ったんだ” 83 00:05:00,133 --> 00:05:01,100 (ムゲン)んだとお? 84 00:05:01,200 --> 00:05:04,366 (フウ) “でも 話してみると—” 85 00:05:04,466 --> 00:05:05,700 “実際そのとおりでした” 86 00:05:05,800 --> 00:05:07,033 ざけんなコラ! 87 00:05:07,133 --> 00:05:08,700 日記に怒ってどうする 88 00:05:08,800 --> 00:05:12,466 (フウ) “確かに 代官のバカ息子が やり放題やってて—” 89 00:05:12,566 --> 00:05:14,866 “困ってたのは 確かなんだけど” 90 00:05:14,966 --> 00:05:16,333 “だからって…” 91 00:05:18,166 --> 00:05:20,100 “暴れだしたら止まんなくて” 92 00:05:20,200 --> 00:05:21,766 “ちょっと いくらなんでもやりすぎ” 93 00:05:22,733 --> 00:05:24,700 “これじゃあ 代官のバカ息子のほうが—” 94 00:05:24,800 --> 00:05:26,300 “よっぽどマシって感じ” 95 00:05:26,400 --> 00:05:28,366 (ムゲン)こいつ… 96 00:05:28,466 --> 00:05:33,300 (フウ)“そこに現れたのが 長髪に眼鏡姿の もう1人の男” 97 00:05:33,400 --> 00:05:34,666 (ムゲン)なんだ てめえかよ 98 00:05:34,766 --> 00:05:38,066 (フウ)“さっきのと違って ちょっといい男かなあ なんて” 99 00:05:38,166 --> 00:05:39,433 あ? 100 00:05:40,533 --> 00:05:43,700 (フウ)“でも この人も 戦いだしたら止まらないみたい” 101 00:05:44,700 --> 00:05:48,533 “結局 中身は2人とも 似たようなもんなのかしら” 102 00:05:48,633 --> 00:05:50,500 (ジン)無礼な こんな男と… 103 00:05:50,600 --> 00:05:52,433 (ムゲン)一緒にすんじゃねえよ 104 00:05:52,533 --> 00:05:55,033 (フウ)“まっ そんなわけで この2人—” 105 00:05:55,133 --> 00:05:59,033 “ムゲンとジンをお供にして 旅に出ることになったのでした” 106 00:05:59,133 --> 00:06:00,333 “終わり” 107 00:06:01,866 --> 00:06:04,266 “7月11日 晴れ” 108 00:06:04,366 --> 00:06:07,933 “昨日 あいつらが暴れたおかげで ひどい目に遭った” 109 00:06:08,833 --> 00:06:11,933 “ムゲンに腕斬られたとかいうのが やって来て…” 110 00:06:12,033 --> 00:06:13,166 (竜二郎(りゅうじろう))よお 111 00:06:13,266 --> 00:06:14,233 はっ… 112 00:06:14,733 --> 00:06:17,100 お目覚めには まだ早いぜ 113 00:06:18,266 --> 00:06:19,200 (フウ)うっ… 114 00:06:19,300 --> 00:06:23,166 (フウ)“…って感じで いきなり人質生活だよ もお” 115 00:06:23,833 --> 00:06:26,766 “まっ 酔っ払っちゃって よく覚えてないんだけどね” 116 00:06:26,866 --> 00:06:28,100 “終わり” 117 00:06:28,200 --> 00:06:29,666 終わりかよ! 118 00:06:29,766 --> 00:06:31,233 短い… 119 00:06:31,333 --> 00:06:35,100 (フウ)“追伸 上州名物 焼きまんじゅう おいしかった” 120 00:06:36,666 --> 00:06:39,866 “7月14日 晴れのち曇り” 121 00:06:39,966 --> 00:06:42,700 “今日は またあいつらのせいで ひどい目に遭った” 122 00:06:42,800 --> 00:06:46,166 “そもそも 私を捨てて逃げやがった” 123 00:06:46,266 --> 00:06:49,300 “おかげで今度は 女郎生活だよ もおっ” 124 00:06:50,200 --> 00:06:52,466 “ヘンタイ男にヤラれそうに なったりしたけど—” 125 00:06:52,566 --> 00:06:55,266 “占いのおばあさんのおかげで 助かった” 126 00:06:56,700 --> 00:06:58,933 (占い師)壺(つぼ)に気をつけるがよい 127 00:06:59,033 --> 00:06:59,566 あっ… 128 00:06:59,666 --> 00:07:00,633 (割れた音) 129 00:07:00,733 --> 00:07:01,866 壺… 130 00:07:02,633 --> 00:07:03,333 壺… 131 00:07:04,166 --> 00:07:05,000 壺… 132 00:07:05,100 --> 00:07:07,400 チェースト! 133 00:07:10,100 --> 00:07:12,366 (フウ)“7月19日” 134 00:07:12,933 --> 00:07:15,633 “いきなり拉致監禁だよ もおっ” 135 00:07:16,400 --> 00:07:20,666 “なんか私 意外と 波乱万丈な人生 送ってない?” 136 00:07:20,766 --> 00:07:24,866 “つーか よく考えたら 2人も用心棒がいるのに—” 137 00:07:24,966 --> 00:07:26,900 “しょっちゅう こんな目に遭うなんて—” 138 00:07:27,000 --> 00:07:30,000 “あいつら 全然 役に立ってなくない?” 139 00:07:31,000 --> 00:07:34,700 “なんか人選 間違えたのかと 思ったりする今日このごろ” 140 00:07:35,200 --> 00:07:39,266 “そもそもは 川を渡るために バイトしたのがきっかけ” 141 00:07:40,933 --> 00:07:45,366 僕は菱川師宣(ひしかわもろのぶ) まだ 駆け出しの芸術家さ 142 00:07:47,400 --> 00:07:48,266 よろしく 143 00:07:49,266 --> 00:07:51,900 (フウ)“キザだけど ちょっといい男かも—” 144 00:07:52,000 --> 00:07:54,933 “なんて思っちゃったのが いけなかったのかなあ” 145 00:07:55,700 --> 00:07:58,466 “浮世絵モデルのバイトとか しちゃったけど—” 146 00:07:58,566 --> 00:08:02,333 “今思うと なんで あんな男がよかったのかなあ” 147 00:08:02,900 --> 00:08:06,600 “でも悪口ばっか言ってる あいつらと違って—” 148 00:08:06,700 --> 00:08:08,600 “優しいこと言ってくれたしね” 149 00:08:09,666 --> 00:08:13,166 “そう やっぱりこれも あいつらのせいだ” 150 00:08:13,266 --> 00:08:15,400 (ムゲン) 人のせいにすんじゃねえよ 151 00:08:15,500 --> 00:08:18,933 (フウ)“彼 蘭の国に渡るとか 言ってたけど” 152 00:08:19,033 --> 00:08:20,766 “どうしたのかなあ” 153 00:08:20,866 --> 00:08:23,600 “今ごろ 船の上かな” 154 00:08:23,700 --> 00:08:26,766 “それとも もう向こうに着いたかな” 155 00:08:28,866 --> 00:08:33,733 (坂見万蔵(さかみまんぞう)) “彼”こと菱川師宣は あのあと すぐにとっ捕まったため— 156 00:08:33,833 --> 00:08:35,299 蘭の国には渡れず— 157 00:08:35,866 --> 00:08:38,900 実は まだ その辺にいるのであった 158 00:08:39,000 --> 00:08:40,866 …が のちに彼が— 159 00:08:40,966 --> 00:08:44,700 浮世絵の創始者として 後世に名を残すことを— 160 00:08:44,800 --> 00:08:47,066 彼女は知るよしもなかった 161 00:08:47,933 --> 00:08:53,566 かのごとく 才能と人間性は しばしば反比例するのである 162 00:08:54,500 --> 00:08:55,200 (フウ)“追伸” 163 00:08:55,766 --> 00:08:59,766 “おごってもらった焼きイカと 焼きゲソ おいしかった” 164 00:09:00,300 --> 00:09:02,633 そもそも 今 気が付いたんだけどなあ 165 00:09:02,733 --> 00:09:03,700 何だ 166 00:09:03,800 --> 00:09:06,433 ここまで なんで 江戸に向かってたんだよ 167 00:09:06,533 --> 00:09:07,533 知らぬが 168 00:09:07,633 --> 00:09:09,966 何か書いてねえのかよ 169 00:09:11,100 --> 00:09:14,566 (フウ)“今日は久しぶりに おなかいっぱい食べられた” 170 00:09:14,666 --> 00:09:15,733 “うれしい” 171 00:09:15,833 --> 00:09:18,800 “また食べられなくなるかも しんないから—” 172 00:09:18,900 --> 00:09:20,733 “あとあとの分まで 食いだめした” 173 00:09:20,833 --> 00:09:22,000 (ジン)動物か? 174 00:09:22,566 --> 00:09:24,266 (フウ) “昨日と今日 食べたもの” 175 00:09:24,366 --> 00:09:25,433 “アナゴ丼” 176 00:09:25,533 --> 00:09:26,500 “ドジョウ鍋” 177 00:09:26,600 --> 00:09:27,800 “江戸前ずし” 178 00:09:27,900 --> 00:09:30,133 “どれもおいしかった” 179 00:09:30,233 --> 00:09:33,533 “よく 甘いものは入るとこ別 とか言うけど—” 180 00:09:33,633 --> 00:09:34,666 “私の場合—” 181 00:09:34,766 --> 00:09:38,500 “タダでおごってもらったものは 入るとこ別みたい” 182 00:09:38,866 --> 00:09:40,233 “みんなも そうなのかしら” 183 00:09:40,333 --> 00:09:42,600 (ムゲン)お前だけだよ (ジン)うむ 184 00:09:43,066 --> 00:09:45,566 (フウ)“歌舞伎とか花火も見れて おもしろかった” 185 00:09:45,866 --> 00:09:47,400 “終わり” 186 00:09:47,833 --> 00:09:48,900 ちょっと待てよ 187 00:09:49,000 --> 00:09:51,533 ヒマワリの侍のことは 書いてねえのかよ 188 00:09:51,633 --> 00:09:52,466 (ジン)ん… 189 00:09:52,566 --> 00:09:55,400 食いもんの話ばっかじゃねえかよ 190 00:09:55,800 --> 00:09:59,533 (フウ)“そうそう 今日から長崎に行くことになった” 191 00:09:59,933 --> 00:10:01,766 “まあ江戸に来たのも—” 192 00:10:01,866 --> 00:10:05,200 “どうやら江戸にいるらしいって うわさを耳にしたからで—” 193 00:10:05,300 --> 00:10:07,766 “大した根拠も なかったんだけどね” 194 00:10:07,866 --> 00:10:09,200 まさか… 195 00:10:09,300 --> 00:10:12,366 (ムゲン)こいつ… そんな適当な情報だけで 196 00:10:12,466 --> 00:10:14,000 信じられぬ 197 00:10:21,566 --> 00:10:24,200 (フウ)“また人質だよ もおっ” 198 00:10:25,100 --> 00:10:27,066 “世の中で こんなに人質になってんの—” 199 00:10:27,166 --> 00:10:28,633 “私ぐらいじゃない?” 200 00:10:29,100 --> 00:10:32,433 “財布はスラれて ごはんも食べられないし…” 201 00:10:38,166 --> 00:10:40,800 “今日は母さんの夢を見た” 202 00:10:41,333 --> 00:10:44,333 “久しぶりに 母さんのこと 思い出した” 203 00:10:46,033 --> 00:10:48,600 “この旅で いろんな目に遭ってばっかで—” 204 00:10:48,700 --> 00:10:52,166 “さみしいなんて気持ちになる暇も なかったから” 205 00:10:52,266 --> 00:10:54,000 “こんな気持ち久しぶり” 206 00:10:55,933 --> 00:11:00,233 “新輔(しんすけ)君のことは なんか うまく書けない” 207 00:11:01,000 --> 00:11:04,566 “新輔君のお母さんにも 何にも言えなかった” 208 00:11:05,966 --> 00:11:10,333 “でも きっと時間がたって 気持ちの整理がついたら—” 209 00:11:10,900 --> 00:11:13,300 “お母さんに手紙を書きたい” 210 00:11:13,966 --> 00:11:17,933 “あのとき言いたくて 言えなかったいろんなことを” 211 00:11:20,266 --> 00:11:24,800 (万蔵) 将来のことを予想するのは 誰にとっても難しい 212 00:11:24,900 --> 00:11:29,200 ちなみにこれは 江戸の黄表紙作家 恋川春町(こいかわはるまち)の書いた— 213 00:11:29,300 --> 00:11:33,700 未来予測本「無益委記(むだいき)」による 未来人の予想図である 214 00:11:34,900 --> 00:11:39,933 見てのとおり未来の予測とは かくも困難なものなのである 215 00:11:40,033 --> 00:11:41,700 …というか 216 00:11:41,933 --> 00:11:45,100 こんなトンチキな髪形が あるかってんでい! 217 00:11:47,166 --> 00:11:50,966 (フウ)“江戸を出て 長崎に向かった… はずが—” 218 00:11:51,066 --> 00:11:52,233 “まだ江戸にいる” 219 00:11:52,966 --> 00:11:56,066 “お金がなくて 全然 進めないよお” 220 00:11:56,800 --> 00:11:59,600 “でも ジンの眼鏡を 質入れしたおかげで—” 221 00:11:59,700 --> 00:12:03,000 “ごはん食べられた おいしかった” 222 00:12:03,400 --> 00:12:05,200 “でも あいつらときたら—” 223 00:12:05,300 --> 00:12:08,933 “年増の女に フラフラ付いてっちゃって最悪” 224 00:12:09,033 --> 00:12:11,900 “いや べつにヤキモチとか そういうんじゃなくて—” 225 00:12:12,533 --> 00:12:15,533 “ちゃんと用心棒としての役割を 果たしてもらわなきゃ—” 226 00:12:15,633 --> 00:12:16,933 “困るってこと” 227 00:12:17,600 --> 00:12:20,166 “そりゃあ ちょっと色気っていうか—” 228 00:12:20,266 --> 00:12:21,766 “胸とか大きかったし…” 229 00:12:23,133 --> 00:12:25,700 “ああいうのが好みなのかなあ” 230 00:12:26,333 --> 00:12:29,233 “でも 今日は私も ナンパされちゃった” 231 00:12:29,633 --> 00:12:33,166 “相手はちょっと わけ分かんない人だったけど…” 232 00:12:35,000 --> 00:12:37,733 (永光(ながみつ)) 手間のかかる女だ だがな… 233 00:12:38,266 --> 00:12:40,566 それでこそ 落としがいがあるってもんよ 234 00:12:40,933 --> 00:12:41,766 よお ハニー 235 00:12:41,866 --> 00:12:44,433 俺か? 俺はビッグになる男 236 00:12:44,533 --> 00:12:48,100 俺の名は… 左近将監(さこんしょうげん)永光 237 00:12:48,766 --> 00:12:52,533 (フウ) “なーんか 変な人にばっか モテてる気がする” 238 00:12:52,633 --> 00:12:54,133 “あー ヤダヤダ” 239 00:12:54,633 --> 00:12:59,433 “結局 大道芸でお金を稼いで 江戸を出られることになった” 240 00:12:59,866 --> 00:13:04,066 “でも なんか 目的を見失ってる気がする” 241 00:13:04,700 --> 00:13:07,966 “ヒマワリの匂いのするお侍さんを 探すはずが—” 242 00:13:08,066 --> 00:13:11,133 “いっつも生活費を稼ぐのに 追われてるし—” 243 00:13:11,700 --> 00:13:16,400 “生きていくって大変なことなのね とか書いてみたりして” 244 00:13:16,933 --> 00:13:18,166 “終わり” 245 00:13:18,666 --> 00:13:21,333 “追伸 梨おいしかった” 246 00:13:22,900 --> 00:13:27,733 (万蔵) ところで 若者たちの性の乱れが 叫ばれる昨今だが— 247 00:13:27,833 --> 00:13:31,333 元来 日本人というのは 性に対して鷹揚(おうよう)であり— 248 00:13:31,933 --> 00:13:36,466 特に江戸時代においては あっけらかんと開放的であった 249 00:13:36,566 --> 00:13:39,300 禁欲的になっていったのは明治時代 250 00:13:39,400 --> 00:13:42,133 西洋文化が入ってきて 以後であり— 251 00:13:42,233 --> 00:13:46,933 逆に江戸時代の感覚に戻っただけ とも言えるのである 252 00:13:47,700 --> 00:13:50,733 そして 世界の歴史をひもといてみても— 253 00:13:50,833 --> 00:13:52,633 江戸時代の日本というのは— 254 00:13:53,033 --> 00:13:57,666 古代のギリシャと並び 最も男色の盛んな時代であり— 255 00:13:57,766 --> 00:14:00,666 異性愛よりも同性愛のほうが— 256 00:14:00,766 --> 00:14:04,666 より高尚な趣味として ステータスを持っていたのである 257 00:14:05,500 --> 00:14:07,766 ちなみに大変申し遅れたが— 258 00:14:08,200 --> 00:14:10,366 私の名は のこぎり万蔵 259 00:14:11,033 --> 00:14:16,233 日夜 平和のために戦い続ける 隠密同心である 260 00:14:17,466 --> 00:14:20,200 (フウ) “また捕まったよ もおっ” 261 00:14:20,533 --> 00:14:23,333 “やっと江戸を出て 箱根関所まで来たのに—” 262 00:14:23,433 --> 00:14:25,600 “ダフ屋にだまされたあ” 263 00:14:26,466 --> 00:14:29,700 “なんか この旅で ずいぶん だまされてる気がする” 264 00:14:30,466 --> 00:14:32,966 “ちょっと 人を信じすぎんのかなあ” 265 00:14:33,066 --> 00:14:35,666 “もっと人を 疑ったほうがいいのかな” 266 00:14:35,766 --> 00:14:37,500 “人を見る目がないのかな” 267 00:14:38,800 --> 00:14:40,866 “いろいろ考えた日でした” 268 00:14:40,966 --> 00:14:44,000 “大体 一番ひどいのが ムゲンのやつ” 269 00:14:44,533 --> 00:14:46,333 “帰ってくるって 信じてたのに…” 270 00:14:46,733 --> 00:14:49,200 “ミイラ取りがミイラになって どうすんのよ” 271 00:14:50,133 --> 00:14:53,200 “とりあえず あいつはもう信じないことに決定” 272 00:14:53,300 --> 00:14:54,766 (ムゲン)上等だ 273 00:14:54,866 --> 00:14:57,833 てめえなんかに信じてもらえなくて 結構だよ 274 00:14:57,933 --> 00:15:01,400 (フウ) “ところで ムゲンのやつが 帰ってこないから—” 275 00:15:01,500 --> 00:15:03,400 “ずっとジンと過ごした” 276 00:15:03,933 --> 00:15:05,366 “よく考えたら—” 277 00:15:05,466 --> 00:15:08,733 “ジンと2人きりで こんなに過ごしたのは初めて” 278 00:15:08,833 --> 00:15:09,666 (ムゲン)は? 279 00:15:10,200 --> 00:15:13,766 (フウ)2人で しんみり いろんなことを話したり… 280 00:15:14,000 --> 00:15:16,066 “するかと思ったんだけど—” 281 00:15:16,166 --> 00:15:18,933 “ジンのやつ ずーっと黙ったまま” 282 00:15:19,466 --> 00:15:20,900 “普通そういうときって—” 283 00:15:21,000 --> 00:15:24,000 “男のほうから いろいろ話しかけたりしない?” 284 00:15:24,100 --> 00:15:25,500 “私がいろいろ言っても—” 285 00:15:25,600 --> 00:15:28,866 “あーとか うーとか 言うばっかり” 286 00:15:28,966 --> 00:15:30,433 “どういうこと?” 287 00:15:30,533 --> 00:15:32,766 “ひょっとして私 嫌われてる?” 288 00:15:32,866 --> 00:15:35,133 “それとも単なる人見知り?” 289 00:15:35,933 --> 00:15:39,733 “だってさあ もう旅始めてから 結構たってんのに—” 290 00:15:39,833 --> 00:15:43,033 “いつになったら 心を開いてくれるのかなあ” 291 00:15:43,133 --> 00:15:44,933 “ちょっと切ないなあ” 292 00:15:45,033 --> 00:15:46,366 “終わり” 293 00:15:46,900 --> 00:15:49,766 おい どうよ 男としてよ 294 00:15:50,533 --> 00:15:51,600 (ジン)ん… 295 00:15:51,700 --> 00:15:53,800 ハア… ダメだこら 296 00:15:55,333 --> 00:15:58,433 (万蔵)1950年代 サンフランシスコ 297 00:15:59,266 --> 00:16:02,033 ビート・ジェネレーション と呼ばれた若者たちは— 298 00:16:02,133 --> 00:16:05,533 禅から多大な影響を受け取っていた 299 00:16:05,633 --> 00:16:06,766 そして それは— 300 00:16:06,866 --> 00:16:11,033 1960年代のヒッピーたちへと 受け継がれていった 301 00:16:11,600 --> 00:16:14,333 社会から ドロップアウトした若者たちは— 302 00:16:14,433 --> 00:16:16,266 文明社会を否定し— 303 00:16:16,366 --> 00:16:21,033 サイケデリックな音楽に酔いしれ 真の自由を求めた 304 00:16:21,133 --> 00:16:25,166 その中にはカウンター・カルチャー としての禅に近づき— 305 00:16:25,266 --> 00:16:30,666 読経をあげ 香をたき 座禅を組んだ者たちもいたという 306 00:16:31,366 --> 00:16:34,233 一方 江戸時代の日本 307 00:16:34,333 --> 00:16:37,266 べつに何かを 求めているわけでもないが— 308 00:16:37,366 --> 00:16:40,500 なぜか 座禅を組んでいる者たちがいた 309 00:16:41,466 --> 00:16:45,700 彼らが なぜこんなことを しているかというと… 310 00:16:49,700 --> 00:16:50,533 (ムゲン)あ? 311 00:16:52,000 --> 00:16:56,233 (ジン)すまぬが こちらも宿代すら ままならぬ身 312 00:16:56,333 --> 00:16:58,433 托鉢(たくはつ)するような余裕は… 313 00:16:58,533 --> 00:17:01,300 (瑞光(ずいこう)) ほう そいつは好都合だ 314 00:17:01,400 --> 00:17:02,533 (3人)え? 315 00:17:04,700 --> 00:17:07,700 (フウ)“今日から この禅寺に 寝泊まりすることになった” 316 00:17:08,833 --> 00:17:11,266 “タダで泊まれて ごはんも付いてるから—” 317 00:17:11,366 --> 00:17:13,066 “言うことなしと 思ったんだけど…” 318 00:17:13,566 --> 00:17:17,433 “その代わり このお寺の決まりに 従わないといけない” 319 00:17:18,133 --> 00:17:21,266 “今日も朝早くから ずっと働きづめ” 320 00:17:21,366 --> 00:17:23,066 “しんどいよお” 321 00:17:23,166 --> 00:17:24,566 (鐘の音) 322 00:17:25,000 --> 00:17:28,566 人は 本来 自由に生まれてくるものであり— 323 00:17:28,666 --> 00:17:31,800 何かに従うために 生まれてきたんじゃない 324 00:17:32,333 --> 00:17:34,666 私は そう考えました 325 00:17:34,766 --> 00:17:40,466 しかしそれは 武士の本分とは 相反することではないのでしょうか 326 00:17:40,933 --> 00:17:47,000 自由とは苦労して勝ち取ったり 無理してなるものではない 327 00:17:47,566 --> 00:17:52,500 また どんな身分や どんな職業を持っていようと— 328 00:17:52,600 --> 00:17:54,933 全く関係がない 329 00:17:56,133 --> 00:17:59,800 ただ あるがままの自分を 受け入れ— 330 00:18:00,366 --> 00:18:03,033 なすがままに生きること 331 00:18:03,366 --> 00:18:05,733 それこそが自由だ 332 00:18:06,266 --> 00:18:07,666 (鐘の音) 333 00:18:07,766 --> 00:18:10,233 私 あいつらのせいで— 334 00:18:10,333 --> 00:18:12,733 ホントさんざんな目に 遭ってるんです 335 00:18:13,133 --> 00:18:15,166 時々 考えるんです 336 00:18:15,566 --> 00:18:19,166 旅の相手があいつらで よかったのかなあって 337 00:18:19,266 --> 00:18:22,600 (瑞光) すべての出会いは一期一会 338 00:18:22,700 --> 00:18:27,400 あなたが彼らに会って 共に 旅することになったのなら— 339 00:18:27,500 --> 00:18:29,566 それが運命 340 00:18:29,666 --> 00:18:33,833 たとえ このあと どのようなことになろうとね 341 00:18:35,266 --> 00:18:36,666 (鐘の音) 342 00:18:36,766 --> 00:18:38,866 (ムゲン)おい 俺はな— 343 00:18:38,966 --> 00:18:42,466 もっと強くなりてえんだよ タコ坊主 344 00:18:43,533 --> 00:18:45,800 あの野郎に勝ちてえんだ 345 00:18:45,900 --> 00:18:48,333 聞いてんのかよ タコ野郎 346 00:18:48,433 --> 00:18:52,666 どうすりゃ勝てんのか教えてくれよ タコチュウ 347 00:18:54,233 --> 00:18:55,866 (瑞光)渇! (ムゲン)イテッ… 348 00:18:58,966 --> 00:19:01,500 おっきな お月様 349 00:19:02,666 --> 00:19:04,600 (ムゲン) ちょっくら出かけてくらあ 350 00:19:04,700 --> 00:19:06,733 ねえ 忘れてないよね 351 00:19:06,833 --> 00:19:07,666 (ムゲン)あ? 352 00:19:08,466 --> 00:19:13,666 ヒマワリの匂いのするお侍さん 一緒に探してくれるんだよね 353 00:19:14,700 --> 00:19:16,466 分かってるよ 354 00:19:16,566 --> 00:19:18,400 (ジン)忘れるな (ムゲン)ん? 355 00:19:18,500 --> 00:19:20,866 お前を斬るのは私だ 356 00:19:21,966 --> 00:19:23,633 (フウ) “振り返ってみると—” 357 00:19:23,733 --> 00:19:25,933 “ひどい目に 遭ったりもしたけど—” 358 00:19:26,033 --> 00:19:28,233 “いろいろあって おもしろかった” 359 00:19:28,800 --> 00:19:32,100 “あのとき茶屋で あいつらに会わなかったら—” 360 00:19:32,200 --> 00:19:35,100 “今でも あそこで バイトしてたかもしれない” 361 00:19:35,666 --> 00:19:39,033 “そう思うと やっぱり 瑞光さんの言うとおり—” 362 00:19:39,366 --> 00:19:41,900 “かけがえのない 出会いだったのかな” 363 00:19:42,800 --> 00:19:44,500 “これから長崎まで—” 364 00:19:44,600 --> 00:19:46,966 “あと どれだけかかるか 分かんないけど—” 365 00:19:47,600 --> 00:19:51,533 “ずっと この3人で 最後まで旅できればいいな” 366 00:19:52,700 --> 00:19:56,400 “きっと あの2人も そう思ってるに違いない” 367 00:19:56,933 --> 00:19:59,133 “うん そう決めた” 368 00:20:01,066 --> 00:20:04,266 (ムゲン) 勝手に決めやがって なあ? 369 00:20:04,366 --> 00:20:05,133 (ジン)ん… 370 00:20:05,233 --> 00:20:06,866 (フウ)“なーんてね” 371 00:20:06,966 --> 00:20:08,166 “ひょっとして あいつら—” 372 00:20:08,266 --> 00:20:10,966 “私の日記を勝手に 見たりするかもしんないから—” 373 00:20:11,066 --> 00:20:12,733 “こんなふうに書いとこっと” 374 00:20:13,133 --> 00:20:15,433 “ざまーみろ バーカ” 375 00:20:15,900 --> 00:20:16,733 こっ… 376 00:20:17,700 --> 00:20:20,733 こんのアマー! 377 00:20:21,133 --> 00:20:21,966 え? 378 00:20:22,633 --> 00:20:29,633 ♪〜 379 00:23:13,466 --> 00:23:20,466 〜♪