1 00:00:04,519 --> 00:00:08,829 <(鎖々美)夕暮れの町で お母さんを見た> 2 00:00:08,829 --> 00:00:10,859 <いつもと同じ巫女装束で> 3 00:00:10,859 --> 00:00:12,899 <夕闇の中をゆっくりと> 4 00:00:12,899 --> 00:00:14,929 <漂うように歩いていた> 5 00:00:14,929 --> 00:00:17,839 <その姿を目にした私は> 6 00:00:17,839 --> 00:00:19,849 <なぜか疑問よりも先に> 7 00:00:19,849 --> 00:00:22,839 <久しぶりに会えた喜びの方が 込み上げてしまい> 8 00:00:22,839 --> 00:00:25,179 <思わず声をかけてしまった> 9 00:00:25,179 --> 00:00:28,499 <しかし お母さんは 振り向きもせず> 10 00:00:28,499 --> 00:00:31,849 <一歩一歩 どこかへ向かって歩いていく> 11 00:00:31,849 --> 00:00:33,829 <私は慌てて後を追いかけて> 12 00:00:33,829 --> 00:00:36,849 <お母さんについて 曲がり角を曲がった> 13 00:00:36,849 --> 00:00:38,889 <すると…> 14 00:00:38,889 --> 00:00:41,939 <そこには誰もいなかった> 15 00:00:41,939 --> 00:00:43,839 <見間違えだったのだろうか> 16 00:00:43,839 --> 00:00:45,849 <そう 見間違えだ> 17 00:00:45,849 --> 00:00:49,849 <こんな所にお母さんが いるはずがないのだから> 18 00:00:49,849 --> 00:00:52,849 <なぜなら お母さんは…> 19 00:00:56,839 --> 00:01:01,929 <そのとき 切れかけた街灯が チカチカと点滅したかと思うと> 20 00:01:01,929 --> 00:01:05,849 <蛍光灯の青白い明かりの中に ぼんやりと> 21 00:01:05,849 --> 00:01:08,849 <お母さんの後ろ姿が 照らし出された> 22 00:01:09,839 --> 00:01:11,859 <手にした錫杖の音が響き> 23 00:01:11,859 --> 00:01:15,829 <ほんのりと 薬草と香草の香りが漂う> 24 00:01:15,829 --> 00:01:19,829 <それは私の知っている お母さんの匂いだ> 25 00:01:19,829 --> 00:01:23,869 <街灯がチカチカと点滅すると それに合わせて> 26 00:01:23,869 --> 00:01:27,919 <お母さんの姿が 現れたり消えたりする> 27 00:01:27,919 --> 00:01:31,839 <私はお母さんを呼び止めようと 後を追った> 28 00:01:31,839 --> 00:01:34,829 <しかし 街灯が点滅するたびに> 29 00:01:34,829 --> 00:01:37,849 <お母さんは遠く遠く離れていく> 30 00:01:37,849 --> 00:01:40,839 <私は必死に走っているのに 追いつかない> 31 00:01:40,839 --> 00:01:43,839 <ゆっくりと足を運ぶお母さんは> 32 00:01:43,839 --> 00:01:45,839 <街灯が点滅するたびに> 33 00:01:45,839 --> 00:01:48,839 <遠く手の届かない所へ 離れていく> 34 00:01:48,839 --> 00:01:52,909 <私は また会えなくなる怖さに かられて> 35 00:01:52,909 --> 00:01:55,829 <大きな声でお母さんを呼んだ> 36 00:01:55,829 --> 00:01:59,839 <すると お母さんは私の方に振り返った> 37 00:01:59,839 --> 00:02:04,839 <瞬間 まばゆい光が 辺りを照らしたかと思うと> 38 00:02:04,839 --> 00:02:08,849 <それを最後にフィラメントが切れたのか 街灯は消え> 39 00:02:08,849 --> 00:02:12,849 <お母さんの姿は闇の中に消えた> 40 00:02:12,849 --> 00:02:18,519 <私は何が起きたのか理解できず ぼう然と立ち尽くした> 41 00:02:18,519 --> 00:02:22,839 <懐かしくて 愛しくて もう一度会いたくて> 42 00:02:22,839 --> 00:02:27,499 <それでも決して二度と会うことの できないお母さんが> 43 00:02:27,499 --> 00:02:29,849 <今 私の目の前にいた> 44 00:02:29,849 --> 00:02:34,839 <そして そんなことは絶対に ありえないことも理解していた> 45 00:02:34,839 --> 00:02:36,839 <なぜなら…> 46 00:02:37,889 --> 00:02:40,889 <お母さんは もう…> 47 00:02:44,849 --> 00:04:08,849 ♪♪~ 48 00:04:16,990 --> 00:04:20,990 ねえ かがみ かがみ! 49 00:04:21,990 --> 00:04:26,980 (かがみ)ふにゃあ 何ですか? 今は大事な朝寝の時間なのです 50 00:04:26,980 --> 00:04:29,000 邪魔しないでください 51 00:04:29,000 --> 00:04:31,030 かがみ 聞いて 52 00:04:31,030 --> 00:04:35,990 あなたも人の話を聞いてください 昨日 お母さんを見たの 53 00:04:35,990 --> 00:04:37,990 バカも休み休み言ってください 54 00:04:37,990 --> 00:04:39,990 昨日 55 00:04:39,990 --> 00:04:42,000 お母さんを 56 00:04:42,000 --> 00:04:44,000 バカなのですか 死ぬのですか 57 00:04:44,000 --> 00:04:46,980 本当に 休みながら言わなくていいのです 58 00:04:46,980 --> 00:04:52,040 とにかく そのような与太話に つきあう暇はないのです 59 00:04:52,040 --> 00:04:54,320 睡眠の邪魔をしないでください 60 00:04:54,320 --> 00:04:58,000 それじゃ かがみ 放課後 買い物につきあって 61 00:04:58,000 --> 00:05:02,000 何ですか 唐突に 自転車が欲しいんだけどね 62 00:05:02,000 --> 00:05:03,980 どんなのがいいかなって 63 00:05:03,980 --> 00:05:05,990 話の脈絡がないのです 64 00:05:05,990 --> 00:05:07,990 マイペースにも程があるのです 65 00:05:07,990 --> 00:05:11,010 毎日お兄ちゃんに 送ってもらうのも何だし 66 00:05:11,010 --> 00:05:13,030 二人乗り怒られるし だからッ 67 00:05:13,030 --> 00:05:16,080 かがみ 一緒に買いに行って選んでよ 68 00:05:16,080 --> 00:05:21,990 残念ですが 今日は肉ちゃんを 健康診断に連れて行かないと… 69 00:05:21,990 --> 00:05:23,990 肉ちゃん? はいッ→ 70 00:05:23,990 --> 00:05:25,990 白くて フワフワして モフモフした→ 71 00:05:25,990 --> 00:05:27,990 愛くるしい生き物なのです→ 72 00:05:27,990 --> 00:05:31,400 一匹で放っておくと 寂しさで死んでしまうので 73 00:05:31,400 --> 00:05:35,000 私が ついていてあげないと いけないのです 74 00:05:35,000 --> 00:05:39,050 それは私も同じだよ 無理なものは無理なのです→ 75 00:05:39,050 --> 00:05:42,050 たまには一人で 冒険の旅に出るといいのです 76 00:05:44,990 --> 00:05:46,990 かがみの薄情者 77 00:05:46,990 --> 00:05:51,670 私と うさぎが同レベルってわけ? 信じらんない 78 00:05:51,670 --> 00:05:53,670 (錫杖の音) 79 00:06:00,060 --> 00:06:03,060 お母さん? 80 00:06:08,000 --> 00:06:10,980 (呪々)どうした 鎖々美 買い物か? 81 00:06:10,980 --> 00:06:12,990 えッ? ああ うん 82 00:06:12,990 --> 00:06:17,990 何を買うのか? ええと その… 自転車を 83 00:06:17,990 --> 00:06:21,060 なるほど 通学用ならば 84 00:06:21,060 --> 00:06:24,000 あのようにカゴが ついているものがよいだろう 85 00:06:24,000 --> 00:06:26,320 やだ かわいくない 86 00:06:26,320 --> 00:06:28,990 月読の巫女に かわいさは不要 87 00:06:28,990 --> 00:06:31,390 外在の物に癒やしを 88 00:06:31,390 --> 00:06:34,980 救いを求める気持ちは 弱さとなり隙になる 89 00:06:34,980 --> 00:06:36,980 好悪の感情もまた 90 00:06:36,980 --> 00:06:42,980 世界の正しき運営を行う上での 決断力を鈍らせる隘路でしかない 91 00:06:45,000 --> 00:06:49,010 <お母さんとの思い出は少ないが とてもよく覚えている> 92 00:06:49,010 --> 00:06:53,010 <術を習ったり 技の稽古をしたり> 93 00:06:53,010 --> 00:06:56,010 <幼い頃 私は お母さんにべったりだった> 94 00:06:58,000 --> 00:07:00,020 どうした? 鎖々美 95 00:07:00,020 --> 00:07:02,020 ううん 何でもない 96 00:07:03,990 --> 00:07:07,990 何だ このピコピコうるさい物体は ああ これはね 97 00:07:07,990 --> 00:07:10,990 このボタンを操作して クレーンを動かすの 98 00:07:10,990 --> 00:07:14,000 それで 中のぬいぐるみを ゲットするわけ 99 00:07:14,000 --> 00:07:16,980 やってみる? 人形は邪である 100 00:07:16,980 --> 00:07:21,670 生き物に似せたひな型には 魂を込めやすく 101 00:07:21,670 --> 00:07:25,080 敵対勢力が仕掛けた 呪物である危険性が高い 102 00:07:25,080 --> 00:07:26,980 よしッ 103 00:07:26,980 --> 00:07:28,980 人の話を聞け うわッ 104 00:07:28,980 --> 00:07:32,000 クソッ 難しいな 105 00:07:32,000 --> 00:07:34,000 母に任せるとよい 106 00:07:36,990 --> 00:07:38,990 わ~ッ! それダメ 107 00:07:38,990 --> 00:07:41,990 月読の巫女は拙速を尊ぶのである 108 00:07:41,990 --> 00:07:46,060 ルールだから! 店員さんがメッチャ見てる 109 00:07:46,060 --> 00:07:48,100 では 呪をことほぎ→ 110 00:07:48,100 --> 00:07:51,100 ぬいぐるみそのものを 動かすのである 111 00:07:52,990 --> 00:07:55,010 あッ 落ちた 112 00:07:55,010 --> 00:07:57,990 これ いいのかな? わしが許そう 113 00:07:57,990 --> 00:08:00,990 月読の巫女が許可を与えると… ヤバッ 店員さんが来る 114 00:08:00,990 --> 00:08:03,000 行くよ お母さん 115 00:08:03,000 --> 00:08:06,980 急に走るな 母は運動が苦手である 116 00:08:06,980 --> 00:08:10,000 <お母さんは 生まれつき体が弱くて> 117 00:08:10,000 --> 00:08:12,040 <よく病の床に伏せていた> 118 00:08:12,040 --> 00:08:15,990 <私も よく看病で付き添っていた> 119 00:08:15,990 --> 00:08:18,980 もう 下手したら捕まるよ 120 00:08:18,980 --> 00:08:22,980 公権力ごときに屈する 月読の巫女では… 121 00:08:22,980 --> 00:08:25,990 ふう 母は休憩を所望するのである 122 00:08:25,990 --> 00:08:31,010 お母さん 私より体力ないって 人間としてヤバイよ 123 00:08:31,010 --> 00:08:35,050 母は身体能力に 意義を見いだせぬだけである 124 00:08:35,050 --> 00:08:37,080 ちょっと待ってて 125 00:08:37,080 --> 00:08:39,000 はい 126 00:08:39,000 --> 00:08:41,990 不穏な冷気を感じる それは何か? 127 00:08:41,990 --> 00:08:44,990 アイスクリーム 冷たいお菓子だよ 128 00:08:44,990 --> 00:08:48,010 嗜好品を摂取するのは邪である 129 00:08:48,010 --> 00:08:51,010 あらゆる快楽は他者への好悪を… いいから はい 130 00:08:52,000 --> 00:08:53,980 ヒャッ! ちゅべたッ 131 00:08:53,980 --> 00:08:57,050 お母さんがかわいい声出した 132 00:08:57,050 --> 00:09:00,090 母はいつも かわいいのである 133 00:09:00,090 --> 00:09:01,990 うん? 134 00:09:01,990 --> 00:09:04,990 これは なかなか… 135 00:09:07,990 --> 00:09:11,650 お母さん パソコン持ってる? あると便利だよ 136 00:09:11,650 --> 00:09:14,990 ≪(呪々)月読の巫女は 利便性に価値を見いださない 137 00:09:14,990 --> 00:09:17,020 お母さん これ買って~ 138 00:09:17,020 --> 00:09:20,070 否である 物欲は邪である 139 00:09:20,070 --> 00:09:22,990 お兄ちゃんなら 余裕で買ってくれるのに 140 00:09:22,990 --> 00:09:27,000 ≪(呪々)あれは論外である あれに頼るな 心が腐るぞ 141 00:09:27,000 --> 00:09:31,990 お母さん 服を選んであげるね いつも巫女服だと 飽きるでしょ 142 00:09:31,990 --> 00:09:35,020 ≪(呪々)わしは巫女ゆえに 巫女服を着て当然→ 143 00:09:35,020 --> 00:09:37,020 俗世の衣類など不要である 144 00:09:40,980 --> 00:09:43,000 ああ~ 楽しかった 145 00:09:43,000 --> 00:09:46,330 お母さん 時間は平気? よかったら晩ご飯食べよっか 146 00:09:46,330 --> 00:09:49,350 自分では 何もできなかった ひよっこが 147 00:09:49,350 --> 00:09:51,990 偉そうな口を叩くようになった 148 00:09:51,990 --> 00:09:54,990 食べたいものはある? 不要である 149 00:09:54,990 --> 00:09:58,010 それより わしはお前に話が… あッ 150 00:09:58,010 --> 00:10:01,030 イタリアンはどう? 食べたことないでしょ 151 00:10:01,030 --> 00:10:04,080 待て 鎖々美 待てというのに 152 00:10:04,080 --> 00:10:07,000 <そんなお母さんとの 最後の思い出は> 153 00:10:07,000 --> 00:10:08,990 <今でも時々 思い出す> 154 00:10:08,990 --> 00:10:11,990 ≪(たま)見て見て! 動物さんがいっぱいだお 155 00:10:11,990 --> 00:10:17,000 ≪(かがみ)フワフワのモフモフがこんなに たくさん ここは天国ですか? 156 00:10:17,000 --> 00:10:19,980 さあ 肉ちゃん ここがお医者さんでちゅ~ 157 00:10:19,980 --> 00:10:23,040 怖くないので おとなしくするのでちゅ~ 158 00:10:23,040 --> 00:10:26,990 (つるぎ)うさぎに赤ちゃんプレイとは かがみも分かってる 159 00:10:26,990 --> 00:10:30,990 さすが私の妹 ウザいです 早く死ねばいいのです 160 00:10:30,990 --> 00:10:32,980 はッ! 161 00:10:32,980 --> 00:10:36,000 フワフワのモフモフがお洋服を 162 00:10:36,000 --> 00:10:38,990 はッ! これは… 163 00:10:38,990 --> 00:10:44,010 私に肉ちゃんとラブラブしなさい という天の啓示に違いない 164 00:10:44,010 --> 00:10:48,080 違うと思うけどな 肉ちゃん これはどうでちゅか? 165 00:10:48,080 --> 00:10:51,080 こりゃ当分 動かねえな 166 00:10:58,000 --> 00:11:00,990 鎖々美 何? 167 00:11:00,990 --> 00:11:03,990 ここでは誰が 食べさせてくれるのじゃ? 168 00:11:03,990 --> 00:11:07,000 いつもだと お兄ちゃんが 169 00:11:07,000 --> 00:11:10,000 大丈夫だよ 簡単だから 170 00:11:10,000 --> 00:11:13,000 見てて こうやって… 171 00:11:17,970 --> 00:11:21,970 それより鎖々美 母には話がある 172 00:11:22,980 --> 00:11:24,980 何? 173 00:11:26,980 --> 00:11:30,990 先ほど 楽しかったと言ったな 鎖々美 174 00:11:30,990 --> 00:11:34,020 母には それが好ましいのである 175 00:11:34,020 --> 00:11:38,980 思えばこうして どこにでもいる 親子のように買い物をし 176 00:11:38,980 --> 00:11:42,980 会話をし 同じ時間を 共有したことはなかった 177 00:11:42,980 --> 00:11:45,990 わしは よい母親ではなかった 178 00:11:45,990 --> 00:11:48,990 すまぬ 鎖々美 179 00:11:48,990 --> 00:11:50,990 そんな… 180 00:11:54,010 --> 00:11:57,060 謝らないで お母さん 私 嬉しいの 181 00:11:57,060 --> 00:12:00,980 ちょっとだけでも こうして親子として過ごせて 182 00:12:00,980 --> 00:12:04,980 ずっと夢だったから こういうの 183 00:12:05,990 --> 00:12:08,990 寂しい思いをさせたな 184 00:12:08,990 --> 00:12:13,000 いいの お母さんは お役目で手いっぱいなのに 185 00:12:13,000 --> 00:12:15,670 それでも私を立派な後継者として 186 00:12:15,670 --> 00:12:19,070 育てようとしてくれてたのは 知ってるから 187 00:12:19,070 --> 00:12:21,000 鎖々美 188 00:12:21,000 --> 00:12:24,010 ありがとう ほんとに感謝してるの 189 00:12:24,010 --> 00:12:26,010 お母さんが大好き 190 00:12:28,980 --> 00:12:31,000 だけど だからこそ 191 00:12:31,000 --> 00:12:34,990 お母さんには言わなくちゃ いけないことがあるんだ 192 00:12:34,990 --> 00:12:37,320 何じゃ? 193 00:12:37,320 --> 00:12:40,970 なぜなら お母さんは もう 194 00:12:40,970 --> 00:12:43,270 死んでるの 195 00:12:54,030 --> 00:12:59,030 わしが 死んでいる と? 196 00:13:01,040 --> 00:13:03,070 鎖々美 197 00:13:03,070 --> 00:13:07,130 わしがそれに 気づかずにいるとでも思ったか? 198 00:13:07,130 --> 00:13:10,030 えッ? むろん わしは死者である 199 00:13:10,030 --> 00:13:13,030 お母さん それじゃ… 200 00:13:13,030 --> 00:13:16,020 改変によって 見た目を取り繕っておるが 201 00:13:16,020 --> 00:13:18,040 この体も屍である 202 00:13:18,040 --> 00:13:23,030 緩やかに腐敗しておる 周りの者は それを感知できないだけである 203 00:13:23,030 --> 00:13:25,030 (錫杖の音) 204 00:13:27,030 --> 00:13:29,050 これが わしの本当の姿である 205 00:13:29,050 --> 00:13:31,050 うわ~ッ! 206 00:13:35,020 --> 00:13:38,020 ≪(呪々)人間は必ず死ぬ→ 207 00:13:38,020 --> 00:13:43,030 死者の魂は黄泉平坂を下り 根の国へと向かう→ 208 00:13:43,030 --> 00:13:47,030 輪廻はせぬ 生き返ることもない→ 209 00:13:47,030 --> 00:13:51,030 それはルールである だが抜け道はある 210 00:13:52,090 --> 00:13:55,040 わしは黄泉の果実を食う前に 211 00:13:55,040 --> 00:13:59,050 つまり 死者の世界の住民となる前に 212 00:13:59,050 --> 00:14:02,050 根の国の王と交渉をした 213 00:14:02,050 --> 00:14:04,030 彼とわしの利害は一致し 214 00:14:04,030 --> 00:14:08,020 わしの体が完全に 腐りきるまでという条件で 215 00:14:08,020 --> 00:14:11,070 この浮世に 帰還させてくれたのである 216 00:14:11,070 --> 00:14:14,130 どうしてそんな… 黄泉がえりなんて 217 00:14:14,130 --> 00:14:18,030 創造神も失敗した 忌まわしいことなのに 218 00:14:18,030 --> 00:14:21,030 どうしてと問うか? 鎖々美 219 00:14:21,030 --> 00:14:25,020 本来なら わしも満足して逝けたのである 220 00:14:25,020 --> 00:14:28,020 だが わしは見てしまった→ 221 00:14:28,020 --> 00:14:33,030 お前が神社を飛び出し 月読の巫女の役目を放棄し 222 00:14:33,030 --> 00:14:35,030 遊び暮らしている その姿を 223 00:14:36,080 --> 00:14:39,140 わしは死んではいられなくなった 224 00:14:39,140 --> 00:14:41,040 わしは言い残したはずだ 225 00:14:41,040 --> 00:14:43,690 この世界を頼むと→ 226 00:14:43,690 --> 00:14:47,030 そして お前はうなずいた そして 言ったはずだ→ 227 00:14:47,030 --> 00:14:50,050 「任せて お母さん」と→ 228 00:14:50,050 --> 00:14:53,070 だが お前は約束を破った→ 229 00:14:53,070 --> 00:14:58,020 そのことを責めはせぬ お前だけが 罪を犯したわけではない→ 230 00:14:58,020 --> 00:15:01,040 お前の努力が 修行が実る前に 231 00:15:01,040 --> 00:15:06,040 お前が一人前にならないうちに 死んだ わしの罪でもある 232 00:15:08,030 --> 00:15:11,030 月読神社に帰れ 鎖々美 233 00:15:11,030 --> 00:15:13,690 そこで修行のやり直しである 234 00:15:13,690 --> 00:15:16,040 神社は潰れたよ 235 00:15:16,040 --> 00:15:20,090 承知している 肝要なのは建物ではない 236 00:15:20,090 --> 00:15:22,130 くだらぬ俗世から離れ 237 00:15:22,130 --> 00:15:25,030 静かに修行できる 環境があればよい→ 238 00:15:25,030 --> 00:15:28,020 帰るぞ いやッ! 239 00:15:28,020 --> 00:15:31,040 私は帰らない 血を吐いて泣きながら 240 00:15:31,040 --> 00:15:35,040 人間に都合のいい世界なんて 維持しなくてもいいじゃん 241 00:15:35,040 --> 00:15:37,030 私はもう 月読の巫女じゃない! 242 00:15:37,030 --> 00:15:39,030 勘違いするな 鎖々美→ 243 00:15:39,030 --> 00:15:42,030 お前の意見は 聞いていないのである→ 244 00:15:42,030 --> 00:15:44,070 人類のためである→ 245 00:15:44,070 --> 00:15:48,120 お前の幸福が 自由が 安楽が 246 00:15:48,120 --> 00:15:51,040 人間の未来よりも 価値があるとでも? 247 00:15:51,040 --> 00:15:56,030 お前の双肩にかかっているのは お前だけの命ではない 248 00:15:56,030 --> 00:16:00,030 人生ではない もっと巨大で崇高なものである 249 00:16:00,030 --> 00:16:03,020 グダグダと わがままをぬかすな そんな… 250 00:16:03,020 --> 00:16:05,040 甘えるな 愚か者! 251 00:16:05,040 --> 00:16:08,020 いつまで子供のつもりかッ 252 00:16:08,020 --> 00:16:11,080 月読の巫女でないお前に 存在している価値などない 253 00:16:11,080 --> 00:16:14,110 漫然と日々を暮らし 役目を怠り 254 00:16:14,110 --> 00:16:17,370 惰眠をむさぼることは 罪悪に等しい 255 00:16:17,370 --> 00:16:20,040 なぜ理解できぬ!? 256 00:16:20,040 --> 00:16:24,040 甘やかして育てたのが 間違いだったのである→ 257 00:16:24,040 --> 00:16:26,030 この バカ娘が! 258 00:16:26,030 --> 00:16:28,030 うおーい→ 259 00:16:28,030 --> 00:16:31,030 あんま興奮すんなよ お母さん 260 00:16:33,020 --> 00:16:36,040 ちょいと 三者面談といきませんかい? 261 00:16:36,040 --> 00:16:39,060 お母さん つるぎ 262 00:16:39,060 --> 00:16:42,110 話には聞いてたけど 初めて見たな 263 00:16:42,110 --> 00:16:45,030 自力で根の国から 黄泉がえったやつは 264 00:16:45,030 --> 00:16:48,030 人間のようにしゃべるな 悪神ごときが 265 00:16:48,030 --> 00:16:52,020 そうやって笑いかけて 耳に心地よい言葉を語って 266 00:16:52,020 --> 00:16:55,020 鎖々美を かどわかしたか 私は悪神じゃねえよ 267 00:16:55,020 --> 00:16:58,370 てめえこそが 黄泉がえりのバケモンだろうが→ 268 00:16:58,370 --> 00:17:03,030 神々ですら いわんや人間も 生きかえっちゃいけねえんだ 269 00:17:03,030 --> 00:17:06,370 それが おやっさんが決めた この世界のルールだ 270 00:17:06,370 --> 00:17:10,020 限られた命だからこそ 悔いのないように全力で生きる 271 00:17:10,020 --> 00:17:15,020 私はこの世界を管理する役目を 自ら放棄した怠けもんだが 272 00:17:15,020 --> 00:17:20,030 それでも ひどすぎるルール違反は 見過ごすわけにはいかねえ 273 00:17:20,030 --> 00:17:22,070 修正させてもらうぜ 274 00:17:22,070 --> 00:17:25,130 鎖々美は誰に たぶらかされたわけでもなく 275 00:17:25,130 --> 00:17:27,020 自分で生き方を選んだんだ 276 00:17:27,020 --> 00:17:30,370 こいつを置いて 今まで死んでた分際で 277 00:17:30,370 --> 00:17:33,690 今さら のこのこ出てきて 母親面してんな! 278 00:17:33,690 --> 00:17:37,030 超特急で根の国へ帰りやがれ 279 00:17:37,030 --> 00:17:39,030 侮られたものだな 280 00:17:40,370 --> 00:17:44,690 わしはあらゆる怪異の駆逐を 請け負う月読神社の頂点 281 00:17:44,690 --> 00:17:49,030 月読の巫女 悪神退治はお家芸である 282 00:17:49,030 --> 00:17:52,050 私は悪神じゃねえーッ! 283 00:17:52,050 --> 00:17:56,050 神話どおりケンカは苦手か 太陽神 284 00:17:58,050 --> 00:18:00,040 (つるぎ)うわあッ! 285 00:18:00,040 --> 00:18:02,710 つるぎ! 286 00:18:02,710 --> 00:18:04,710 姉さん! (たま)つるぎ姉! 287 00:18:04,710 --> 00:18:08,110 こっちくんな こいつ強えぞ お前らじゃ相手にならん 288 00:18:08,110 --> 00:18:10,350 一人で突っ走らないで 289 00:18:10,350 --> 00:18:14,030 姉さんは本来の力を発揮できない 抜け殻なのだから 290 00:18:14,030 --> 00:18:17,700 うるせえ 子供に暴力振るう親に 291 00:18:17,700 --> 00:18:21,040 文句の一つもつけなくて 何が教師だ 292 00:18:21,040 --> 00:18:23,040 気が抜ける連中である 293 00:18:23,040 --> 00:18:26,080 この国の神々は享楽的にすぎる 294 00:18:26,080 --> 00:18:30,020 お前らに この国を 任せるわけにはいかぬ 295 00:18:30,020 --> 00:18:35,020 この世界は人間が管理してこそ 発展と繁栄を得るのである 296 00:18:35,020 --> 00:18:38,040 全ては世のため人のため 297 00:18:38,040 --> 00:18:40,030 鎖々美を教育し 298 00:18:40,030 --> 00:18:43,460 月読の巫女としての本分を 全うさせることが 299 00:18:43,460 --> 00:18:46,370 わしが果たすべき 最後のお役目である 300 00:18:46,370 --> 00:18:49,040 邪魔をするならば 恨みはないが 301 00:18:49,040 --> 00:18:51,020 死んでもらう 302 00:18:51,020 --> 00:18:53,040 私は根の国には行かねえぞ 303 00:18:53,040 --> 00:18:56,040 あそこには 嫌いなやつがいるんでな 304 00:18:58,030 --> 00:19:02,030 何? さすがは神剣・アメノムラクモ 305 00:19:02,030 --> 00:19:06,040 なかなかの威力である だが しょせんは守護の剣 306 00:19:06,040 --> 00:19:11,090 護身のための草刈り道具では 他者を討滅するには悪意が足りぬ 307 00:19:11,090 --> 00:19:13,130 まさか そいつは… 308 00:19:13,130 --> 00:19:16,050 ≪(呪々)八岐大蛇を倒し 呪いにより一度折れ→ 309 00:19:16,050 --> 00:19:20,020 死後の世界で研がれていた 不遇の刃・アメノハバキリ→ 310 00:19:20,020 --> 00:19:24,020 根の国の王より授かりし 神殺しの魔剣 311 00:19:25,020 --> 00:19:28,690 アメノハバキリに根の国の王だと? そういうことか→ 312 00:19:28,690 --> 00:19:33,050 人間にしちゃ強すぎると思ったら 合点がいったぜ→ 313 00:19:33,050 --> 00:19:36,050 あのマザコン野郎 余計なまねしやがって 314 00:19:38,130 --> 00:19:40,020 ああッ! 315 00:19:40,020 --> 00:19:43,020 姉さん よくも! 316 00:19:44,020 --> 00:19:46,030 そんな… 317 00:19:46,030 --> 00:19:48,030 根の国の王の加護を受け 318 00:19:48,030 --> 00:19:51,010 神格化された魔剣を持つ このわしに→ 319 00:19:51,010 --> 00:19:55,010 お前ごときの品格では 触れることもかなわぬ 320 00:19:58,040 --> 00:20:01,040 ≪(たま)かがみ姉! かがみ! 321 00:20:08,030 --> 00:20:11,030 てめえ! お前らは弱すぎる 322 00:20:13,040 --> 00:20:16,040 黄泉がえりのわしの周りでは 323 00:20:16,040 --> 00:20:19,030 根の国への経路が開きやすい 324 00:20:19,030 --> 00:20:22,040 一度 黄泉平坂を転がり落ちれば 325 00:20:22,040 --> 00:20:25,040 神であろうと戻るのは至難 326 00:20:26,070 --> 00:20:29,070 ああッ キャーッ! 327 00:20:31,040 --> 00:20:36,040 お前の時代は とうの昔に 終わっているのだ 太陽神よ 328 00:20:36,040 --> 00:20:39,040 沈んで 月に世界を明け渡せ 329 00:20:42,030 --> 00:20:44,030 さて… 330 00:20:46,040 --> 00:20:48,040 どけ 雑魚 331 00:20:53,040 --> 00:20:57,030 お前らは そうやって 正義の味方のような顔をして 332 00:20:57,030 --> 00:21:01,700 わがまま娘を守っているつもりで よい気分かもしれぬが 333 00:21:01,700 --> 00:21:04,370 何の意味もない 価値もないのだ 334 00:21:04,370 --> 00:21:09,360 世のため人のためには 鎖々美は 立派な月読の巫女となり→ 335 00:21:09,360 --> 00:21:13,030 この国を 正しく導かねばならぬのである 336 00:21:13,030 --> 00:21:17,030 分かんないよ たま バカだから 337 00:21:17,030 --> 00:21:19,690 でも 何でひどいことするの? 338 00:21:19,690 --> 00:21:22,690 せっかく みんな幸せだったんだよ→ 339 00:21:22,690 --> 00:21:25,060 つるぎ姉 楽しそうだった→ 340 00:21:25,060 --> 00:21:27,090 かがみ姉 よく笑うようになった→ 341 00:21:27,090 --> 00:21:29,130 ママりんのおかげで 342 00:21:29,130 --> 00:21:33,020 それなのに あんた何言ってるか分かんない 343 00:21:33,020 --> 00:21:35,030 たまには分かんない! 344 00:21:35,030 --> 00:21:38,040 では 分かりやすく言ってやろう 345 00:21:38,040 --> 00:21:40,040 邪魔である 346 00:21:40,040 --> 00:21:44,040 やめて! もうやめて 帰るから! 347 00:21:44,040 --> 00:21:47,030 神社に帰る 月読の巫女に戻るから 348 00:21:47,030 --> 00:21:51,030 もうやめてよ! だから… 349 00:21:58,040 --> 00:22:01,040 お帰り 人間の世界へ 350 00:22:10,020 --> 00:22:13,040 (神臣)♪♪~チャラダダンチャラ チャラダンダン 351 00:22:13,040 --> 00:22:16,080 さあ 本日もやってまいりました 352 00:22:16,080 --> 00:22:18,110 エンディングテーマのお時間だ 353 00:22:18,110 --> 00:22:21,030 今日こそは 鎖々美さんの麗しい歌声を 354 00:22:21,030 --> 00:22:23,370 全国のお茶の間にお届けしますよ 355 00:22:23,370 --> 00:22:25,700 …と思いましたが どうも皆さん 356 00:22:25,700 --> 00:22:28,020 それどころじゃない状況ですね 357 00:22:28,020 --> 00:22:30,020 ああ どうしたもんでしょうか 358 00:22:30,020 --> 00:22:34,080 またお兄ちゃんが一人で がんばるしかないのでしょうか 359 00:22:34,080 --> 00:22:36,700 ああッ (呪々)何である? 360 00:22:36,700 --> 00:22:39,020 お母さん ちょうどいいところに 361 00:22:39,020 --> 00:22:41,680 ちょっと こっちに来て (呪々)何なのである? 362 00:22:41,680 --> 00:22:43,690 マイク持って 準備はいいですか? 363 00:22:43,690 --> 00:22:46,020 さあ どうぞ歌ってください 364 00:22:46,020 --> 00:22:49,080 (呪々)待て 状況が 理解できぬ→ 365 00:22:49,080 --> 00:22:51,090 大体 歌など歌わぬ→ 366 00:22:51,090 --> 00:22:54,010 月読の巫女に歌は不要 大丈夫ですって 367 00:22:54,010 --> 00:22:56,680 今回は本編が シリアスだったから 368 00:22:56,680 --> 00:23:00,020 エンディングはカットして 余韻を残そうって話です 369 00:23:00,020 --> 00:23:03,040 これ収録しても 多分使われませんから 370 00:23:03,040 --> 00:23:05,090 でもまあ 念のため歌ってください 371 00:23:05,090 --> 00:23:08,030 はい 大きく息を吸って (呪々)はあ~→ 372 00:23:08,030 --> 00:23:11,030 ♪♪~…でも 響く 373 00:23:11,030 --> 00:23:14,030 ♪♪~シ シ シンフォニー? 374 00:23:14,030 --> 00:23:18,040 ♪♪~さ…差す濃い色→ 375 00:23:18,040 --> 00:23:21,020 …ってだまされるか!→ 376 00:23:21,020 --> 00:23:23,030 何で わしがこんなこと!→ 377 00:23:23,030 --> 00:23:25,700 神臣 そこに居直れ→ 378 00:23:25,700 --> 00:23:28,110 そっ首 叩き落としてくれる 379 00:23:28,110 --> 00:23:31,030 あいたーッ マイクで殴らないで 380 00:23:31,030 --> 00:23:33,040 それ毎回使うんですから 381 00:23:33,040 --> 00:23:35,040 では また 次回 382 00:23:42,000 --> 00:23:45,000 さあ がんばらない体操の時間です 383 00:23:45,000 --> 00:23:47,010 まずは大きく深呼吸 384 00:23:47,010 --> 00:23:50,680 鎖々美さんの匂いを 胸いっぱいに吸い込むつもりで 385 00:23:50,680 --> 00:23:54,010 イチニ スーハー ニーニー スーハー 386 00:23:54,010 --> 00:23:56,030 次は腕を大きく開いて 387 00:23:56,030 --> 00:23:58,080 鎖々美さんを抱きしめるように 388 00:23:58,080 --> 00:24:02,000 はい イチニ 鎖々美さん ニーニー 大好きです 389 00:24:02,000 --> 00:24:05,000 さあ 今日も一日がんばりましょう