1 00:01:36,667 --> 00:01:40,971 <(鎖々美)夕暮れの町で お母さんを見た> 2 00:01:40,971 --> 00:01:43,006 <いつもと同じ巫女装束で> 3 00:01:43,006 --> 00:01:45,042 <夕闇の中をゆっくりと> 4 00:01:45,042 --> 00:01:47,077 <漂うように歩いていた> 5 00:01:47,077 --> 00:01:49,980 <その姿を目にした私は> 6 00:01:49,980 --> 00:01:51,999 <なぜか疑問よりも先に> 7 00:01:51,999 --> 00:01:54,985 <久しぶりに会えた喜びの方が 込み上げてしまい> 8 00:01:54,985 --> 00:01:57,321 <思わず声をかけてしまった> 9 00:01:57,321 --> 00:02:00,641 <しかし お母さんは 振り向きもせず> 10 00:02:00,641 --> 00:02:03,994 <一歩一歩 どこかへ向かって歩いていく> 11 00:02:03,994 --> 00:02:05,979 <私は慌てて後を追いかけて> 12 00:02:05,979 --> 00:02:08,999 <お母さんについて 曲がり角を曲がった> 13 00:02:08,999 --> 00:02:11,034 <すると…> 14 00:02:11,034 --> 00:02:14,087 <そこには誰もいなかった> 15 00:02:14,087 --> 00:02:15,989 <見間違えだったのだろうか> 16 00:02:15,989 --> 00:02:17,991 <そう 見間違えだ> 17 00:02:17,991 --> 00:02:21,995 <こんな所にお母さんが いるはずがないのだから> 18 00:02:21,995 --> 00:02:24,995 <なぜなら お母さんは…> 19 00:02:28,986 --> 00:02:34,074 <そのとき 切れかけた街灯が チカチカと点滅したかと思うと> 20 00:02:34,074 --> 00:02:37,995 <蛍光灯の青白い明かりの中に ぼんやりと> 21 00:02:37,995 --> 00:02:40,995 <お母さんの後ろ姿が 照らし出された> 22 00:02:41,982 --> 00:02:44,001 <手にした錫杖の音が響き> 23 00:02:44,001 --> 00:02:47,971 <ほんのりと 薬草と香草の香りが漂う> 24 00:02:47,971 --> 00:02:51,975 <それは私の知っている お母さんの匂いだ> 25 00:02:51,975 --> 00:02:56,013 <街灯がチカチカと点滅すると それに合わせて> 26 00:02:56,013 --> 00:03:00,067 <お母さんの姿が 現れたり消えたりする> 27 00:03:00,067 --> 00:03:03,987 <私はお母さんを呼び止めようと 後を追った> 28 00:03:03,987 --> 00:03:06,974 <しかし 街灯が点滅するたびに> 29 00:03:06,974 --> 00:03:09,993 <お母さんは遠く遠く離れていく> 30 00:03:09,993 --> 00:03:12,980 <私は必死に走っているのに 追いつかない> 31 00:03:12,980 --> 00:03:15,983 <ゆっくりと足を運ぶお母さんは> 32 00:03:15,983 --> 00:03:17,985 <街灯が点滅するたびに> 33 00:03:17,985 --> 00:03:20,988 <遠く手の届かない所へ 離れていく> 34 00:03:20,988 --> 00:03:25,058 <私は また会えなくなる怖さに かられて> 35 00:03:25,058 --> 00:03:27,978 <大きな声でお母さんを呼んだ> 36 00:03:27,978 --> 00:03:31,982 <すると お母さんは私の方に振り返った> 37 00:03:31,982 --> 00:03:36,987 <瞬間 まばゆい光が 辺りを照らしたかと思うと> 38 00:03:36,987 --> 00:03:40,991 <それを最後にフィラメントが切れたのか 街灯は消え> 39 00:03:40,991 --> 00:03:44,995 <お母さんの姿は闇の中に消えた> 40 00:03:44,995 --> 00:03:50,667 <私は何が起きたのか理解できず ぼう然と立ち尽くした> 41 00:03:50,667 --> 00:03:54,988 <懐かしくて 愛しくて もう一度会いたくて> 42 00:03:54,988 --> 00:03:59,643 <それでも決して二度と会うことの できないお母さんが> 43 00:03:59,643 --> 00:04:01,995 <今 私の目の前にいた> 44 00:04:01,995 --> 00:04:06,984 <そして そんなことは絶対に ありえないことも理解していた> 45 00:04:06,984 --> 00:04:08,984 <なぜなら…> 46 00:04:10,037 --> 00:04:13,037 <お母さんは もう…> 47 00:04:16,994 --> 00:05:40,994 ♪♪~ 48 00:06:58,972 --> 00:07:02,972 ねえ かがみ かがみ! 49 00:07:03,977 --> 00:07:08,965 (かがみ)ふにゃあ 何ですか? 今は大事な朝寝の時間なのです 50 00:07:08,965 --> 00:07:10,984 邪魔しないでください 51 00:07:10,984 --> 00:07:13,019 かがみ 聞いて 52 00:07:13,019 --> 00:07:17,974 あなたも人の話を聞いてください 昨日 お母さんを見たの 53 00:07:17,974 --> 00:07:19,976 バカも休み休み言ってください 54 00:07:19,976 --> 00:07:21,978 昨日 55 00:07:21,978 --> 00:07:23,980 お母さんを 56 00:07:23,980 --> 00:07:25,982 バカなのですか 死ぬのですか 57 00:07:25,982 --> 00:07:28,969 本当に 休みながら言わなくていいのです 58 00:07:28,969 --> 00:07:34,024 とにかく そのような与太話に つきあう暇はないのです 59 00:07:34,024 --> 00:07:36,309 睡眠の邪魔をしないでください 60 00:07:36,309 --> 00:07:39,980 それじゃ かがみ 放課後 買い物につきあって 61 00:07:39,980 --> 00:07:43,984 何ですか 唐突に 自転車が欲しいんだけどね 62 00:07:43,984 --> 00:07:45,969 どんなのがいいかなって 63 00:07:45,969 --> 00:07:47,971 話の脈絡がないのです 64 00:07:47,971 --> 00:07:49,973 マイペースにも程があるのです 65 00:07:49,973 --> 00:07:52,993 毎日お兄ちゃんに 送ってもらうのも何だし 66 00:07:52,993 --> 00:07:55,011 二人乗り怒られるし だからッ 67 00:07:55,011 --> 00:07:58,064 かがみ 一緒に買いに行って選んでよ 68 00:07:58,064 --> 00:08:03,970 残念ですが 今日は肉ちゃんを 健康診断に連れて行かないと… 69 00:08:03,970 --> 00:08:05,972 肉ちゃん? はいッ→ 70 00:08:05,972 --> 00:08:07,974 白くて フワフワして モフモフした→ 71 00:08:07,974 --> 00:08:09,976 愛くるしい生き物なのです→ 72 00:08:09,976 --> 00:08:13,380 一匹で放っておくと 寂しさで死んでしまうので 73 00:08:13,380 --> 00:08:16,983 私が ついていてあげないと いけないのです 74 00:08:16,983 --> 00:08:21,037 それは私も同じだよ 無理なものは無理なのです→ 75 00:08:21,037 --> 00:08:24,037 たまには一人で 冒険の旅に出るといいのです 76 00:08:26,977 --> 00:08:28,979 かがみの薄情者 77 00:08:28,979 --> 00:08:33,650 私と うさぎが同レベルってわけ? 信じらんない 78 00:08:33,650 --> 00:08:35,650 (錫杖の音) 79 00:08:42,042 --> 00:08:45,042 お母さん? 80 00:08:49,983 --> 00:08:52,969 (呪々)どうした 鎖々美 買い物か? 81 00:08:52,969 --> 00:08:54,971 えッ? ああ うん 82 00:08:54,971 --> 00:08:59,976 何を買うのか? ええと その… 自転車を 83 00:08:59,976 --> 00:09:03,046 なるほど 通学用ならば 84 00:09:03,046 --> 00:09:05,982 あのようにカゴが ついているものがよいだろう 85 00:09:05,982 --> 00:09:08,301 やだ かわいくない 86 00:09:08,301 --> 00:09:10,971 月読の巫女に かわいさは不要 87 00:09:10,971 --> 00:09:13,373 外在の物に癒やしを 88 00:09:13,373 --> 00:09:16,960 救いを求める気持ちは 弱さとなり隙になる 89 00:09:16,960 --> 00:09:18,962 好悪の感情もまた 90 00:09:18,962 --> 00:09:24,962 世界の正しき運営を行う上での 決断力を鈍らせる隘路でしかない 91 00:09:26,987 --> 00:09:30,991 <お母さんとの思い出は少ないが とてもよく覚えている> 92 00:09:30,991 --> 00:09:34,995 <術を習ったり 技の稽古をしたり> 93 00:09:34,995 --> 00:09:37,995 <幼い頃 私は お母さんにべったりだった> 94 00:09:39,983 --> 00:09:42,002 どうした? 鎖々美 95 00:09:42,002 --> 00:09:44,002 ううん 何でもない 96 00:09:45,972 --> 00:09:49,976 何だ このピコピコうるさい物体は ああ これはね 97 00:09:49,976 --> 00:09:52,979 このボタンを操作して クレーンを動かすの 98 00:09:52,979 --> 00:09:55,982 それで 中のぬいぐるみを ゲットするわけ 99 00:09:55,982 --> 00:09:58,969 やってみる? 人形は邪である 100 00:09:58,969 --> 00:10:03,657 生き物に似せたひな型には 魂を込めやすく 101 00:10:03,657 --> 00:10:07,060 敵対勢力が仕掛けた 呪物である危険性が高い 102 00:10:07,060 --> 00:10:08,962 よしッ 103 00:10:08,962 --> 00:10:10,964 人の話を聞け うわッ 104 00:10:10,964 --> 00:10:13,984 クソッ 難しいな 105 00:10:13,984 --> 00:10:15,984 母に任せるとよい 106 00:10:18,972 --> 00:10:20,974 わ~ッ! それダメ 107 00:10:20,974 --> 00:10:23,977 月読の巫女は拙速を尊ぶのである 108 00:10:23,977 --> 00:10:28,048 ルールだから! 店員さんがメッチャ見てる 109 00:10:28,048 --> 00:10:30,083 では 呪をことほぎ→ 110 00:10:30,083 --> 00:10:33,083 ぬいぐるみそのものを 動かすのである 111 00:10:34,971 --> 00:10:36,990 あッ 落ちた 112 00:10:36,990 --> 00:10:39,976 これ いいのかな? わしが許そう 113 00:10:39,976 --> 00:10:42,979 月読の巫女が許可を与えると… ヤバッ 店員さんが来る 114 00:10:42,979 --> 00:10:44,981 行くよ お母さん 115 00:10:44,981 --> 00:10:48,969 急に走るな 母は運動が苦手である 116 00:10:48,969 --> 00:10:51,988 <お母さんは 生まれつき体が弱くて> 117 00:10:51,988 --> 00:10:54,024 <よく病の床に伏せていた> 118 00:10:54,024 --> 00:10:57,978 <私も よく看病で付き添っていた> 119 00:10:57,978 --> 00:11:00,964 もう 下手したら捕まるよ 120 00:11:00,964 --> 00:11:04,968 公権力ごときに屈する 月読の巫女では… 121 00:11:04,968 --> 00:11:07,971 ふう 母は休憩を所望するのである 122 00:11:07,971 --> 00:11:12,993 お母さん 私より体力ないって 人間としてヤバイよ 123 00:11:12,993 --> 00:11:17,030 母は身体能力に 意義を見いだせぬだけである 124 00:11:17,030 --> 00:11:19,065 ちょっと待ってて 125 00:11:19,065 --> 00:11:20,984 はい 126 00:11:20,984 --> 00:11:23,970 不穏な冷気を感じる それは何か? 127 00:11:23,970 --> 00:11:26,973 アイスクリーム 冷たいお菓子だよ 128 00:11:26,973 --> 00:11:29,993 嗜好品を摂取するのは邪である 129 00:11:29,993 --> 00:11:32,993 あらゆる快楽は他者への好悪を… いいから はい 130 00:11:33,980 --> 00:11:35,965 ヒャッ! ちゅべたッ 131 00:11:35,965 --> 00:11:39,035 お母さんがかわいい声出した 132 00:11:39,035 --> 00:11:42,072 母はいつも かわいいのである 133 00:11:42,072 --> 00:11:43,973 うん? 134 00:11:43,973 --> 00:11:46,973 これは なかなか… 135 00:11:49,979 --> 00:11:53,633 お母さん パソコン持ってる? あると便利だよ 136 00:11:53,633 --> 00:11:56,970 ≪(呪々)月読の巫女は 利便性に価値を見いださない 137 00:11:56,970 --> 00:11:59,005 お母さん これ買って~ 138 00:11:59,005 --> 00:12:02,058 否である 物欲は邪である 139 00:12:02,058 --> 00:12:04,978 お兄ちゃんなら 余裕で買ってくれるのに 140 00:12:04,978 --> 00:12:08,982 ≪(呪々)あれは論外である あれに頼るな 心が腐るぞ 141 00:12:08,982 --> 00:12:13,970 お母さん 服を選んであげるね いつも巫女服だと 飽きるでしょ 142 00:12:13,970 --> 00:12:17,006 ≪(呪々)わしは巫女ゆえに 巫女服を着て当然→ 143 00:12:17,006 --> 00:12:19,006 俗世の衣類など不要である 144 00:12:22,962 --> 00:12:24,981 ああ~ 楽しかった 145 00:12:24,981 --> 00:12:28,318 お母さん 時間は平気? よかったら晩ご飯食べよっか 146 00:12:28,318 --> 00:12:31,337 自分では 何もできなかった ひよっこが 147 00:12:31,337 --> 00:12:33,973 偉そうな口を叩くようになった 148 00:12:33,973 --> 00:12:36,976 食べたいものはある? 不要である 149 00:12:36,976 --> 00:12:39,996 それより わしはお前に話が… あッ 150 00:12:39,996 --> 00:12:43,016 イタリアンはどう? 食べたことないでしょ 151 00:12:43,016 --> 00:12:46,069 待て 鎖々美 待てというのに 152 00:12:46,069 --> 00:12:48,988 <そんなお母さんとの 最後の思い出は> 153 00:12:48,988 --> 00:12:50,974 <今でも時々 思い出す> 154 00:12:50,974 --> 00:12:53,977 ≪(たま)見て見て! 動物さんがいっぱいだお 155 00:12:53,977 --> 00:12:58,982 ≪(かがみ)フワフワのモフモフがこんなに たくさん ここは天国ですか? 156 00:12:58,982 --> 00:13:01,968 さあ 肉ちゃん ここがお医者さんでちゅ~ 157 00:13:01,968 --> 00:13:05,021 怖くないので おとなしくするのでちゅ~ 158 00:13:05,021 --> 00:13:08,975 (つるぎ)うさぎに赤ちゃんプレイとは かがみも分かってる 159 00:13:08,975 --> 00:13:12,979 さすが私の妹 ウザいです 早く死ねばいいのです 160 00:13:12,979 --> 00:13:14,964 はッ! 161 00:13:14,964 --> 00:13:17,984 フワフワのモフモフがお洋服を 162 00:13:17,984 --> 00:13:20,970 はッ! これは… 163 00:13:20,970 --> 00:13:25,992 私に肉ちゃんとラブラブしなさい という天の啓示に違いない 164 00:13:25,992 --> 00:13:30,063 違うと思うけどな 肉ちゃん これはどうでちゅか? 165 00:13:30,063 --> 00:13:33,063 こりゃ当分 動かねえな 166 00:13:39,989 --> 00:13:42,976 鎖々美 何? 167 00:13:42,976 --> 00:13:45,979 ここでは誰が 食べさせてくれるのじゃ? 168 00:13:45,979 --> 00:13:48,982 いつもだと お兄ちゃんが 169 00:13:48,982 --> 00:13:51,985 大丈夫だよ 簡単だから 170 00:13:51,985 --> 00:13:54,985 見てて こうやって… 171 00:13:59,959 --> 00:14:03,959 それより鎖々美 母には話がある 172 00:14:04,964 --> 00:14:06,964 何? 173 00:14:08,968 --> 00:14:12,972 先ほど 楽しかったと言ったな 鎖々美 174 00:14:12,972 --> 00:14:16,009 母には それが好ましいのである 175 00:14:16,009 --> 00:14:20,964 思えばこうして どこにでもいる 親子のように買い物をし 176 00:14:20,964 --> 00:14:24,968 会話をし 同じ時間を 共有したことはなかった 177 00:14:24,968 --> 00:14:27,971 わしは よい母親ではなかった 178 00:14:27,971 --> 00:14:30,974 すまぬ 鎖々美 179 00:14:30,974 --> 00:14:32,974 そんな… 180 00:14:35,995 --> 00:14:39,048 謝らないで お母さん 私 嬉しいの 181 00:14:39,048 --> 00:14:42,969 ちょっとだけでも こうして親子として過ごせて 182 00:14:42,969 --> 00:14:46,969 ずっと夢だったから こういうの 183 00:14:47,974 --> 00:14:50,977 寂しい思いをさせたな 184 00:14:50,977 --> 00:14:54,981 いいの お母さんは お役目で手いっぱいなのに 185 00:14:54,981 --> 00:14:57,650 それでも私を立派な後継者として 186 00:14:57,650 --> 00:15:01,054 育てようとしてくれてたのは 知ってるから 187 00:15:01,054 --> 00:15:02,989 鎖々美 188 00:15:02,989 --> 00:15:05,992 ありがとう ほんとに感謝してるの 189 00:15:05,992 --> 00:15:07,992 お母さんが大好き 190 00:15:10,964 --> 00:15:12,982 だけど だからこそ 191 00:15:12,982 --> 00:15:16,970 お母さんには言わなくちゃ いけないことがあるんだ 192 00:15:16,970 --> 00:15:19,305 何じゃ? 193 00:15:19,305 --> 00:15:22,959 なぜなら お母さんは もう 194 00:15:22,959 --> 00:15:25,259 死んでるの 195 00:16:36,015 --> 00:16:41,015 わしが 死んでいる と? 196 00:16:43,022 --> 00:16:45,058 鎖々美 197 00:16:45,058 --> 00:16:49,112 わしがそれに 気づかずにいるとでも思ったか? 198 00:16:49,112 --> 00:16:52,015 えッ? むろん わしは死者である 199 00:16:52,015 --> 00:16:55,018 お母さん それじゃ… 200 00:16:55,018 --> 00:16:58,004 改変によって 見た目を取り繕っておるが 201 00:16:58,004 --> 00:17:00,023 この体も屍である 202 00:17:00,023 --> 00:17:05,011 緩やかに腐敗しておる 周りの者は それを感知できないだけである 203 00:17:05,011 --> 00:17:07,011 (錫杖の音) 204 00:17:09,015 --> 00:17:11,034 これが わしの本当の姿である 205 00:17:11,034 --> 00:17:13,034 うわ~ッ! 206 00:17:17,006 --> 00:17:20,009 ≪(呪々)人間は必ず死ぬ→ 207 00:17:20,009 --> 00:17:25,014 死者の魂は黄泉平坂を下り 根の国へと向かう→ 208 00:17:25,014 --> 00:17:29,018 輪廻はせぬ 生き返ることもない→ 209 00:17:29,018 --> 00:17:33,018 それはルールである だが抜け道はある 210 00:17:34,073 --> 00:17:37,026 わしは黄泉の果実を食う前に 211 00:17:37,026 --> 00:17:41,030 つまり 死者の世界の住民となる前に 212 00:17:41,030 --> 00:17:44,033 根の国の王と交渉をした 213 00:17:44,033 --> 00:17:46,018 彼とわしの利害は一致し 214 00:17:46,018 --> 00:17:50,006 わしの体が完全に 腐りきるまでという条件で 215 00:17:50,006 --> 00:17:53,059 この浮世に 帰還させてくれたのである 216 00:17:53,059 --> 00:17:56,112 どうしてそんな… 黄泉がえりなんて 217 00:17:56,112 --> 00:18:00,016 創造神も失敗した 忌まわしいことなのに 218 00:18:00,016 --> 00:18:03,019 どうしてと問うか? 鎖々美 219 00:18:03,019 --> 00:18:07,006 本来なら わしも満足して逝けたのである 220 00:18:07,006 --> 00:18:10,009 だが わしは見てしまった→ 221 00:18:10,009 --> 00:18:15,014 お前が神社を飛び出し 月読の巫女の役目を放棄し 222 00:18:15,014 --> 00:18:17,014 遊び暮らしている その姿を 223 00:18:18,067 --> 00:18:21,120 わしは死んではいられなくなった 224 00:18:21,120 --> 00:18:23,022 わしは言い残したはずだ 225 00:18:23,022 --> 00:18:25,675 この世界を頼むと→ 226 00:18:25,675 --> 00:18:29,011 そして お前はうなずいた そして 言ったはずだ→ 227 00:18:29,011 --> 00:18:32,031 「任せて お母さん」と→ 228 00:18:32,031 --> 00:18:35,051 だが お前は約束を破った→ 229 00:18:35,051 --> 00:18:40,006 そのことを責めはせぬ お前だけが 罪を犯したわけではない→ 230 00:18:40,006 --> 00:18:43,025 お前の努力が 修行が実る前に 231 00:18:43,025 --> 00:18:48,025 お前が一人前にならないうちに 死んだ わしの罪でもある 232 00:18:50,016 --> 00:18:53,019 月読神社に帰れ 鎖々美 233 00:18:53,019 --> 00:18:55,671 そこで修行のやり直しである 234 00:18:55,671 --> 00:18:58,024 神社は潰れたよ 235 00:18:58,024 --> 00:19:02,078 承知している 肝要なのは建物ではない 236 00:19:02,078 --> 00:19:04,113 くだらぬ俗世から離れ 237 00:19:04,113 --> 00:19:07,016 静かに修行できる 環境があればよい→ 238 00:19:07,016 --> 00:19:10,002 帰るぞ いやッ! 239 00:19:10,002 --> 00:19:13,022 私は帰らない 血を吐いて泣きながら 240 00:19:13,022 --> 00:19:17,026 人間に都合のいい世界なんて 維持しなくてもいいじゃん 241 00:19:17,026 --> 00:19:19,011 私はもう 月読の巫女じゃない! 242 00:19:19,011 --> 00:19:21,013 勘違いするな 鎖々美→ 243 00:19:21,013 --> 00:19:24,016 お前の意見は 聞いていないのである→ 244 00:19:24,016 --> 00:19:26,052 人類のためである→ 245 00:19:26,052 --> 00:19:30,106 お前の幸福が 自由が 安楽が 246 00:19:30,106 --> 00:19:33,025 人間の未来よりも 価値があるとでも? 247 00:19:33,025 --> 00:19:38,014 お前の双肩にかかっているのは お前だけの命ではない 248 00:19:38,014 --> 00:19:42,018 人生ではない もっと巨大で崇高なものである 249 00:19:42,018 --> 00:19:45,004 グダグダと わがままをぬかすな そんな… 250 00:19:45,004 --> 00:19:47,023 甘えるな 愚か者! 251 00:19:47,023 --> 00:19:50,009 いつまで子供のつもりかッ 252 00:19:50,009 --> 00:19:53,062 月読の巫女でないお前に 存在している価値などない 253 00:19:53,062 --> 00:19:56,098 漫然と日々を暮らし 役目を怠り 254 00:19:56,098 --> 00:19:59,352 惰眠をむさぼることは 罪悪に等しい 255 00:19:59,352 --> 00:20:02,021 なぜ理解できぬ!? 256 00:20:02,021 --> 00:20:06,025 甘やかして育てたのが 間違いだったのである→ 257 00:20:06,025 --> 00:20:08,010 この バカ娘が! 258 00:20:08,010 --> 00:20:10,012 うおーい→ 259 00:20:10,012 --> 00:20:13,012 あんま興奮すんなよ お母さん 260 00:20:15,001 --> 00:20:18,020 ちょいと 三者面談といきませんかい? 261 00:20:18,020 --> 00:20:21,040 お母さん つるぎ 262 00:20:21,040 --> 00:20:24,093 話には聞いてたけど 初めて見たな 263 00:20:24,093 --> 00:20:27,013 自力で根の国から 黄泉がえったやつは 264 00:20:27,013 --> 00:20:30,016 人間のようにしゃべるな 悪神ごときが 265 00:20:30,016 --> 00:20:34,003 そうやって笑いかけて 耳に心地よい言葉を語って 266 00:20:34,003 --> 00:20:37,006 鎖々美を かどわかしたか 私は悪神じゃねえよ 267 00:20:37,006 --> 00:20:40,359 てめえこそが 黄泉がえりのバケモンだろうが→ 268 00:20:40,359 --> 00:20:45,014 神々ですら いわんや人間も 生きかえっちゃいけねえんだ 269 00:20:45,014 --> 00:20:48,351 それが おやっさんが決めた この世界のルールだ 270 00:20:48,351 --> 00:20:52,004 限られた命だからこそ 悔いのないように全力で生きる 271 00:20:52,004 --> 00:20:57,009 私はこの世界を管理する役目を 自ら放棄した怠けもんだが 272 00:20:57,009 --> 00:21:02,014 それでも ひどすぎるルール違反は 見過ごすわけにはいかねえ 273 00:21:02,014 --> 00:21:04,050 修正させてもらうぜ 274 00:21:04,050 --> 00:21:07,119 鎖々美は誰に たぶらかされたわけでもなく 275 00:21:07,119 --> 00:21:09,005 自分で生き方を選んだんだ 276 00:21:09,005 --> 00:21:12,358 こいつを置いて 今まで死んでた分際で 277 00:21:12,358 --> 00:21:15,678 今さら のこのこ出てきて 母親面してんな! 278 00:21:15,678 --> 00:21:19,015 超特急で根の国へ帰りやがれ 279 00:21:19,015 --> 00:21:21,015 侮られたものだな 280 00:21:22,351 --> 00:21:26,672 わしはあらゆる怪異の駆逐を 請け負う月読神社の頂点 281 00:21:26,672 --> 00:21:31,010 月読の巫女 悪神退治はお家芸である 282 00:21:31,010 --> 00:21:34,030 私は悪神じゃねえーッ! 283 00:21:34,030 --> 00:21:38,030 神話どおりケンカは苦手か 太陽神 284 00:21:40,036 --> 00:21:42,021 (つるぎ)うわあッ! 285 00:21:42,021 --> 00:21:44,690 つるぎ! 286 00:21:44,690 --> 00:21:46,692 姉さん! (たま)つるぎ姉! 287 00:21:46,692 --> 00:21:50,096 こっちくんな こいつ強えぞ お前らじゃ相手にならん 288 00:21:50,096 --> 00:21:52,331 一人で突っ走らないで 289 00:21:52,331 --> 00:21:56,018 姉さんは本来の力を発揮できない 抜け殻なのだから 290 00:21:56,018 --> 00:21:59,689 うるせえ 子供に暴力振るう親に 291 00:21:59,689 --> 00:22:03,025 文句の一つもつけなくて 何が教師だ 292 00:22:03,025 --> 00:22:05,027 気が抜ける連中である 293 00:22:05,027 --> 00:22:08,064 この国の神々は享楽的にすぎる 294 00:22:08,064 --> 00:22:12,001 お前らに この国を 任せるわけにはいかぬ 295 00:22:12,001 --> 00:22:17,006 この世界は人間が管理してこそ 発展と繁栄を得るのである 296 00:22:17,006 --> 00:22:20,026 全ては世のため人のため 297 00:22:20,026 --> 00:22:22,011 鎖々美を教育し 298 00:22:22,011 --> 00:22:25,448 月読の巫女としての本分を 全うさせることが 299 00:22:25,448 --> 00:22:28,351 わしが果たすべき 最後のお役目である 300 00:22:28,351 --> 00:22:31,020 邪魔をするならば 恨みはないが 301 00:22:31,020 --> 00:22:33,005 死んでもらう 302 00:22:33,005 --> 00:22:35,024 私は根の国には行かねえぞ 303 00:22:35,024 --> 00:22:38,024 あそこには 嫌いなやつがいるんでな 304 00:22:40,012 --> 00:22:44,016 何? さすがは神剣・アメノムラクモ 305 00:22:44,016 --> 00:22:48,020 なかなかの威力である だが しょせんは守護の剣 306 00:22:48,020 --> 00:22:53,075 護身のための草刈り道具では 他者を討滅するには悪意が足りぬ 307 00:22:53,075 --> 00:22:55,111 まさか そいつは… 308 00:22:55,111 --> 00:22:58,030 ≪(呪々)八岐大蛇を倒し 呪いにより一度折れ→ 309 00:22:58,030 --> 00:23:02,001 死後の世界で研がれていた 不遇の刃・アメノハバキリ→ 310 00:23:02,001 --> 00:23:06,001 根の国の王より授かりし 神殺しの魔剣 311 00:23:07,006 --> 00:23:10,676 アメノハバキリに根の国の王だと? そういうことか→ 312 00:23:10,676 --> 00:23:15,031 人間にしちゃ強すぎると思ったら 合点がいったぜ→ 313 00:23:15,031 --> 00:23:18,031 あのマザコン野郎 余計なまねしやがって 314 00:23:20,119 --> 00:23:22,004 ああッ! 315 00:23:22,004 --> 00:23:25,004 姉さん よくも! 316 00:23:26,008 --> 00:23:28,010 そんな… 317 00:23:28,010 --> 00:23:30,012 根の国の王の加護を受け 318 00:23:30,012 --> 00:23:32,998 神格化された魔剣を持つ このわしに→ 319 00:23:32,998 --> 00:23:36,998 お前ごときの品格では 触れることもかなわぬ 320 00:23:40,022 --> 00:23:43,022 ≪(たま)かがみ姉! かがみ! 321 00:23:50,015 --> 00:23:53,015 てめえ! お前らは弱すぎる 322 00:23:55,020 --> 00:23:58,023 黄泉がえりのわしの周りでは 323 00:23:58,023 --> 00:24:01,010 根の国への経路が開きやすい 324 00:24:01,010 --> 00:24:04,029 一度 黄泉平坂を転がり落ちれば 325 00:24:04,029 --> 00:24:07,029 神であろうと戻るのは至難 326 00:24:08,050 --> 00:24:11,050 ああッ キャーッ! 327 00:24:13,022 --> 00:24:18,027 お前の時代は とうの昔に 終わっているのだ 太陽神よ 328 00:24:18,027 --> 00:24:21,027 沈んで 月に世界を明け渡せ 329 00:24:24,016 --> 00:24:26,016 さて… 330 00:24:28,020 --> 00:24:30,020 どけ 雑魚 331 00:24:35,027 --> 00:24:39,014 お前らは そうやって 正義の味方のような顔をして 332 00:24:39,014 --> 00:24:43,686 わがまま娘を守っているつもりで よい気分かもしれぬが 333 00:24:43,686 --> 00:24:46,355 何の意味もない 価値もないのだ 334 00:24:46,355 --> 00:24:51,343 世のため人のためには 鎖々美は 立派な月読の巫女となり→ 335 00:24:51,343 --> 00:24:55,014 この国を 正しく導かねばならぬのである 336 00:24:55,014 --> 00:24:59,018 分かんないよ たま バカだから 337 00:24:59,018 --> 00:25:01,670 でも 何でひどいことするの? 338 00:25:01,670 --> 00:25:04,673 せっかく みんな幸せだったんだよ→ 339 00:25:04,673 --> 00:25:07,042 つるぎ姉 楽しそうだった→ 340 00:25:07,042 --> 00:25:09,078 かがみ姉 よく笑うようになった→ 341 00:25:09,078 --> 00:25:11,113 ママりんのおかげで 342 00:25:11,113 --> 00:25:15,000 それなのに あんた何言ってるか分かんない 343 00:25:15,000 --> 00:25:17,019 たまには分かんない! 344 00:25:17,019 --> 00:25:20,022 では 分かりやすく言ってやろう 345 00:25:20,022 --> 00:25:22,024 邪魔である 346 00:25:22,024 --> 00:25:26,028 やめて! もうやめて 帰るから! 347 00:25:26,028 --> 00:25:29,014 神社に帰る 月読の巫女に戻るから 348 00:25:29,014 --> 00:25:33,014 もうやめてよ! だから… 349 00:25:40,025 --> 00:25:43,025 お帰り 人間の世界へ 350 00:25:52,004 --> 00:25:55,024 (神臣)♪♪~チャラダダンチャラ チャラダンダン 351 00:25:55,024 --> 00:25:58,060 さあ 本日もやってまいりました 352 00:25:58,060 --> 00:26:00,095 エンディングテーマのお時間だ 353 00:26:00,095 --> 00:26:03,015 今日こそは 鎖々美さんの麗しい歌声を 354 00:26:03,015 --> 00:26:05,351 全国のお茶の間にお届けしますよ 355 00:26:05,351 --> 00:26:07,686 …と思いましたが どうも皆さん 356 00:26:07,686 --> 00:26:10,005 それどころじゃない状況ですね 357 00:26:10,005 --> 00:26:12,007 ああ どうしたもんでしょうか 358 00:26:12,007 --> 00:26:16,061 またお兄ちゃんが一人で がんばるしかないのでしょうか 359 00:26:16,061 --> 00:26:18,681 ああッ (呪々)何である? 360 00:26:18,681 --> 00:26:21,000 お母さん ちょうどいいところに 361 00:26:21,000 --> 00:26:23,669 ちょっと こっちに来て (呪々)何なのである? 362 00:26:23,669 --> 00:26:25,671 マイク持って 準備はいいですか? 363 00:26:25,671 --> 00:26:28,007 さあ どうぞ歌ってください 364 00:26:28,007 --> 00:26:31,060 (呪々)待て 状況が 理解できぬ→ 365 00:26:31,060 --> 00:26:33,078 大体 歌など歌わぬ→ 366 00:26:33,078 --> 00:26:35,998 月読の巫女に歌は不要 大丈夫ですって 367 00:26:35,998 --> 00:26:38,667 今回は本編が シリアスだったから 368 00:26:38,667 --> 00:26:42,004 エンディングはカットして 余韻を残そうって話です 369 00:26:42,004 --> 00:26:45,024 これ収録しても 多分使われませんから 370 00:26:45,024 --> 00:26:47,076 でもまあ 念のため歌ってください 371 00:26:47,076 --> 00:26:50,012 はい 大きく息を吸って (呪々)はあ~→ 372 00:26:50,012 --> 00:26:53,015 ♪♪~…でも 響く 373 00:26:53,015 --> 00:26:56,018 ♪♪~シ シ シンフォニー? 374 00:26:56,018 --> 00:27:00,022 ♪♪~さ…差す濃い色→ 375 00:27:00,022 --> 00:27:03,008 …ってだまされるか!→ 376 00:27:03,008 --> 00:27:05,010 何で わしがこんなこと!→ 377 00:27:05,010 --> 00:27:07,680 神臣 そこに居直れ→ 378 00:27:07,680 --> 00:27:10,099 そっ首 叩き落としてくれる 379 00:27:10,099 --> 00:27:13,018 あいたーッ マイクで殴らないで 380 00:27:13,018 --> 00:27:15,020 それ毎回使うんですから 381 00:27:15,020 --> 00:27:17,020 では また 次回 382 00:28:53,986 --> 00:28:56,989 さあ がんばらない体操の時間です 383 00:28:56,989 --> 00:28:58,991 まずは大きく深呼吸 384 00:28:58,991 --> 00:29:02,661 鎖々美さんの匂いを 胸いっぱいに吸い込むつもりで 385 00:29:02,661 --> 00:29:05,998 イチニ スーハー ニーニー スーハー 386 00:29:05,998 --> 00:29:08,016 次は腕を大きく開いて 387 00:29:08,016 --> 00:29:10,069 鎖々美さんを抱きしめるように 388 00:29:10,069 --> 00:29:13,989 はい イチニ 鎖々美さん ニーニー 大好きです 389 00:29:13,989 --> 00:29:16,989 さあ 今日も一日がんばりましょう