1 00:00:06,039 --> 00:00:13,046 (風鈴の音) (セミの鳴き声) 2 00:00:13,046 --> 00:00:16,049 ⚟いらっしゃいまし。 3 00:00:16,049 --> 00:00:21,054 (しゃぼん売り) たま~やぁ たまやぁ。 4 00:00:21,054 --> 00:00:26,059 (子供たち)あっ! ハハハハ…。 5 00:00:26,059 --> 00:00:30,063 ⚟(子供たち)ハハハハ… うわ~。 6 00:00:30,063 --> 00:00:32,065 ハァ…。 7 00:00:32,065 --> 00:00:35,068 ⚟(親戚)ねえ 聞いた? 一太郎坊ちゃん➡ 8 00:00:35,068 --> 00:00:38,071 もう ひとつきも 寝込んでいるんだって。➡ 9 00:00:38,071 --> 00:00:42,075 あの子は この店の跡取りに なれるのかねぇ。 10 00:00:42,075 --> 00:00:46,079 (親戚)けど もう女将さんには 次の子を望むのは無理だろうし。➡ 11 00:00:46,079 --> 00:00:49,082 養子でももらうしかないかね。 12 00:00:49,082 --> 00:00:54,087 (親戚)だとしたら うちは 4人も子供がいるんだから…。 13 00:00:54,087 --> 00:00:57,090 このまま死ぬんだろうか。 14 00:00:57,090 --> 00:00:59,059 ⚟(床のきしむ音) あっ。 15 00:01:06,033 --> 00:01:09,036 もし そうなったら きっと➡ 16 00:01:09,036 --> 00:01:13,040 おっかさんも おとっつぁんも じいさまも泣くだろう。 17 00:01:13,040 --> 00:01:15,042 それは やだな…。 18 00:01:15,042 --> 00:01:18,045 (鳴家たち)きゅわきゅわきゅわ。 19 00:01:18,045 --> 00:01:22,015 (鳴家たち)きゅわきゅわきゅわ…。 20 00:01:30,057 --> 00:01:33,060 (伊三郎)一太郎 起きているかい? 21 00:01:33,060 --> 00:01:35,028 (鳴家たち)きゅわ…。 じいさま…。 22 00:01:50,077 --> 00:01:53,046 (伊三郎) お前たち ここに来なさい。 23 00:02:00,087 --> 00:02:03,023 今度 うちに奉公に来た子らだよ。 24 00:02:03,023 --> 00:02:09,029 佐助でございます。 (仁吉)仁吉でございます。 25 00:02:09,029 --> 00:02:13,033 小僧が離れに来るなんて 初めてだけど。 26 00:02:13,033 --> 00:02:16,036 じいさま 何で この2人だけ連れてきたの? 27 00:02:16,036 --> 00:02:18,038 なかなか利発なお子だ。 28 00:02:18,038 --> 00:02:20,040 気に入りましてございます。 29 00:02:20,040 --> 00:02:24,044 お仕えすること お約束申し上げる。 30 00:02:24,044 --> 00:02:27,047 これこれ お前たちは十の子供なんだ。 31 00:02:27,047 --> 00:02:30,050 そんな物言いをするものかね。 32 00:02:30,050 --> 00:02:32,052 (仁吉・佐助)はい すみません。 33 00:02:32,052 --> 00:02:35,055 お前に 死んだ兄さんがいたことは 知っているね。 34 00:02:35,055 --> 00:02:39,059 うん。 兄さんが死んだ後➡ 35 00:02:39,059 --> 00:02:42,062 おっかさんは なかなか 子供に恵まれなかったんだよ。 36 00:02:42,062 --> 00:02:45,065 子供が欲しかった おっかさんは➡ 37 00:02:45,065 --> 00:02:48,068 お稲荷様に 願を懸けることにしてね。➡ 38 00:02:48,068 --> 00:02:50,070 庭に ほこらをつくって➡ 39 00:02:50,070 --> 00:02:55,075 毎日毎日 そりゃあ熱心に お願いしていたのさ。➡ 40 00:02:55,075 --> 00:02:58,078 そんなおっかさんの気持ちが 伝わったんだろうね。➡ 41 00:02:58,078 --> 00:03:03,016 お稲荷様のおかげで お前を授かったんだよ。 42 00:03:03,016 --> 00:03:08,021 一太郎は お稲荷様から 生まれてこの方守られているんだ。 43 00:03:08,021 --> 00:03:10,023 (伊三郎)そう 時には ご自分の代わりに➡ 44 00:03:10,023 --> 00:03:13,026 妖を遣わしてくださって。 45 00:03:13,026 --> 00:03:18,031 妖? この子たち 人じゃあないの? 46 00:03:18,031 --> 00:03:20,367 ばぁ~! ひっ! 47 00:03:20,367 --> 00:03:22,369 あてっ。 48 00:03:22,369 --> 00:03:26,039 お前は 体の弱い子だから 心配なんだよ。 49 00:03:26,039 --> 00:03:29,042 できる限り 私が ついていようと思っているが➡ 50 00:03:29,042 --> 00:03:31,044 年だからね。 51 00:03:31,044 --> 00:03:34,047 それで お稲荷様にお願いしたんだ。➡ 52 00:03:34,047 --> 00:03:38,051 孫を守る者を お遣わしになってくださいと。➡ 53 00:03:38,051 --> 00:03:45,058 一生 そばにいられるように 今は若い姿でお願いしますと。 54 00:03:45,058 --> 00:03:47,060 遊んでくれるの? 55 00:03:47,060 --> 00:03:49,029 (仁吉・佐助)うん。 56 00:03:51,064 --> 00:03:55,068 (伊三郎)弱った体に 大層よく効く薬が頂けたんだよ。➡ 57 00:03:55,068 --> 00:03:58,071 飲み込むには 大きいかもしれないけど➡ 58 00:03:58,071 --> 00:04:01,041 我慢して飲んでおくれ。 59 00:04:04,010 --> 00:04:10,016 ねえ 佐助と仁吉は 何ていう妖なの? 60 00:04:10,016 --> 00:04:14,020 犬神と申します。 (仁吉)白沢と申します。 61 00:04:14,020 --> 00:04:18,992 いぬがみ… はく… たく…。 62 00:04:21,027 --> 00:04:25,999 (寝息) 63 00:04:32,038 --> 00:04:36,042 若だんな。 お目覚めですか? 64 00:04:36,042 --> 00:04:38,011 うん…。 65 00:04:39,713 --> 00:04:42,048 おはようございます。 若だんな。 66 00:04:42,048 --> 00:04:46,052 よく眠れましたか? 67 00:04:46,052 --> 00:04:51,057 おはよう。 仁吉 佐助。 68 00:04:51,057 --> 00:05:01,034 ♬~ 69 00:06:34,027 --> 00:06:37,030 おっかさん。 70 00:06:37,030 --> 00:06:38,999 ⚟ありがとうございました。 71 00:06:44,037 --> 00:06:48,041 若だんな お体の具合はいかがですか? 72 00:06:48,041 --> 00:06:50,043 今日は いいよ。 73 00:06:50,043 --> 00:06:52,045 でしたら 店の方で あさげにしますか? 74 00:06:52,045 --> 00:06:54,014 うん そうだね。 75 00:06:57,050 --> 00:07:00,053 若だんな お体は大丈夫ですか? 76 00:07:00,053 --> 00:07:02,055 うん 心配ないよ。 77 00:07:02,055 --> 00:07:05,058 若だんな お加減はいいのですか? 78 00:07:05,058 --> 00:07:07,060 ああ ずいぶんと気分がいいんだ。 79 00:07:07,060 --> 00:07:10,063 あら 起きていて 平気なんですか? 80 00:07:10,063 --> 00:07:12,065 若だんな お体の方は。 81 00:07:12,065 --> 00:07:14,067 若だんな。 (番頭)若だんな。 82 00:07:14,067 --> 00:07:17,070 若だんな。 ありがとう。 83 00:07:17,070 --> 00:07:19,072 ハァ…。 84 00:07:19,072 --> 00:07:22,075 ⚟(おくま) おはようございます 坊ちゃん。 85 00:07:22,075 --> 00:07:24,077 おはよう。 今日は 坊ちゃんのお好きな➡ 86 00:07:24,077 --> 00:07:28,081 しじみ汁ですよ。 すぐ支度しますから。 87 00:07:28,081 --> 00:07:30,083 ありがとうね 乳母や。 88 00:07:30,083 --> 00:07:33,019 皆は とっくに済ませている というのに➡ 89 00:07:33,019 --> 00:07:35,021 二度手間をかけて すまないね。 90 00:07:35,021 --> 00:07:38,024 嫌ですよぉ~ 坊ちゃんのお世話をするのが➡ 91 00:07:38,024 --> 00:07:40,026 おくまの務めですから。 92 00:07:40,026 --> 00:07:44,030 時に坊ちゃん 今日は お加減はよろしいのですか? 93 00:07:44,030 --> 00:07:49,035 うん… いいよ。 すごくいい…。 94 00:07:49,035 --> 00:07:52,005 (仁吉)おたえさま 失礼します。 95 00:07:56,042 --> 00:07:58,044 おや 一太郎。 96 00:07:58,044 --> 00:08:01,047 おっかさん おはようございます。 97 00:08:01,047 --> 00:08:05,051 今日は こちらであさげを? それはよかったわねぇ。 98 00:08:05,051 --> 00:08:08,054 では あたしらは 仕事に戻りますんで。 99 00:08:08,054 --> 00:08:10,023 うん。 100 00:08:12,058 --> 00:08:14,060 ごちそうさまでした。 101 00:08:14,060 --> 00:08:18,064 おや まあ 今日は食が進んだこと。 102 00:08:18,064 --> 00:08:20,033 アハ…。 103 00:08:28,074 --> 00:08:30,076 (仁吉)では こちらで。 (源信)うむ。 104 00:08:30,076 --> 00:08:32,078 さすがは長崎屋さん。 105 00:08:32,078 --> 00:08:38,084 新しく始めた薬種問屋も このとおり 江戸一の品揃えだ。➡ 106 00:08:38,084 --> 00:08:41,087 廻船問屋も 相も変わらずの盛況ぶり。 107 00:08:41,087 --> 00:08:44,090 まったく大したものだな。 108 00:08:44,090 --> 00:08:46,092 へえ。 おかげさまで。 109 00:08:46,092 --> 00:08:48,094 んっ? 若だんな。 110 00:08:48,094 --> 00:08:51,097 源信先生 おはようございま…。 111 00:08:51,097 --> 00:08:53,099 ふむ。 112 00:08:53,099 --> 00:08:56,102 先生 風邪なんか ひいちゃあいませんよ。 113 00:08:56,102 --> 00:08:58,104 今日は すこぶる調子がいいんですから。 114 00:08:58,104 --> 00:09:01,107 ハハ… うむ 喉の腫れはない。 115 00:09:01,107 --> 00:09:06,112 今日は大事ないようだ。 では。 116 00:09:06,112 --> 00:09:10,116 フゥ… もう みんなして 私を病人扱いするんだから。 117 00:09:10,116 --> 00:09:13,119 心配しているんですよ。 118 00:09:13,119 --> 00:09:16,122 あさげが済んだのなら どうか 離れにお戻りください。 119 00:09:16,122 --> 00:09:18,124 え~っ。 (客)ちょいと。 120 00:09:18,124 --> 00:09:20,126 へい。 121 00:09:20,126 --> 00:09:23,129 どうか お願いしますよ。 122 00:09:23,129 --> 00:09:26,099 むぅ~。 123 00:09:30,136 --> 00:09:32,072 (小僧たち)おはようございます。 124 00:09:32,072 --> 00:09:35,074 おはよう。 125 00:09:35,074 --> 00:09:38,077 ねえ お前 何を刻んでいるの? 126 00:09:38,077 --> 00:09:40,080 センブリです。 127 00:09:40,080 --> 00:09:42,082 じゃあ 今日は私が作るよ。 128 00:09:42,082 --> 00:09:45,085 あ…。 (仁吉)若だんな! 129 00:09:45,085 --> 00:09:47,087 そんなことは あたしがしますから。 130 00:09:47,087 --> 00:09:50,090 大丈夫だよ 仁吉。 ちゃんと作れるって。 131 00:09:50,090 --> 00:09:54,093 私が薬に詳しいのは お前だって知っているだろう。 132 00:09:54,093 --> 00:09:58,097 そういう問題じゃあないんですよ。 疲れるようなことはしないで➡ 133 00:09:58,097 --> 00:10:02,101 若だんなは 休んでいてくださいまし。 134 00:10:02,101 --> 00:10:04,104 あっ。 135 00:10:04,104 --> 00:10:07,106 白冬湯 私が見ているから。 136 00:10:07,106 --> 00:10:09,109 やかんの湯をかぶったら 大やけどです。 137 00:10:09,109 --> 00:10:11,111 近寄らないでください。 138 00:10:11,111 --> 00:10:13,112 そんな間抜けはしないよ。 139 00:10:13,112 --> 00:10:15,115 駄目です。 いや でも…。 140 00:10:15,115 --> 00:10:18,084 駄目なもんは駄目です! 141 00:10:20,120 --> 00:10:23,122 ハァ~。 ここにいてくださいまし。 142 00:10:23,122 --> 00:10:26,125 あたしが仕事になりませんので。 143 00:10:26,125 --> 00:10:28,128 分かったよ。 (鳴家たち)きゅわきゅわ➡ 144 00:10:28,128 --> 00:10:32,065 きゅわきゅわ…。 若だんな われらと遊ぼう。➡ 145 00:10:32,065 --> 00:10:34,067 遊ぼう。 (仁吉)こらっ! 146 00:10:34,067 --> 00:10:38,071 鳴家 やめんか! 若だんなのお体に障るだろう。 147 00:10:38,071 --> 00:10:41,074 心配し過ぎだよ。 若だんなに限っちゃ➡ 148 00:10:41,074 --> 00:10:44,077 心配にし過ぎってことは ないんですよ。➡ 149 00:10:44,077 --> 00:10:47,080 せんだっても ちょっと調子がいいからと➡ 150 00:10:47,080 --> 00:10:50,083 油断なさって 後から ずいぶんと長い間➡ 151 00:10:50,083 --> 00:10:52,085 寝込むことになっちまったじゃあ ないですか。 152 00:10:52,085 --> 00:10:55,088 う~。 あたしは店に戻りますんで➡ 153 00:10:55,088 --> 00:10:58,057 おとなしくしていてくださいよ。 154 00:10:59,759 --> 00:11:02,095 ハァ~。 155 00:11:02,095 --> 00:11:06,065 三春屋に お団子でも買いに行こうかしら。 156 00:11:18,111 --> 00:11:20,079 あっ。 157 00:11:26,119 --> 00:11:28,087 (街の人々)ハッハッハッ。 ちょいと 一杯おくれよ。 158 00:11:43,069 --> 00:11:46,039 屏風のぞき。 159 00:11:59,085 --> 00:12:03,089 おや 何だい? 若だんな。 160 00:12:03,089 --> 00:12:06,092 ちょっと頼みがあるんだけど 聞いてくれる? 161 00:12:06,092 --> 00:12:08,094 (屏風のぞき) いつもの身代わりかい? 162 00:12:08,094 --> 00:12:10,063 ああ。 163 00:12:15,101 --> 00:12:18,071 (屏風のぞき) あたしがやってあげようね。 164 00:12:21,107 --> 00:12:23,109 三春屋へおいでかい? 165 00:12:23,109 --> 00:12:26,112 なら 団子など頂戴したいねぇ。 166 00:12:26,112 --> 00:12:29,115 団子! われらも団子欲しい! 167 00:12:29,115 --> 00:12:31,050 あっ… うん。 168 00:12:31,050 --> 00:12:34,053 (屏風のぞき)いってらっしゃい。 頼んだよ。 169 00:12:34,053 --> 00:12:36,055 ゆうげまでにはお戻りを。 170 00:12:36,055 --> 00:12:39,058 あの2人に見つかると 面倒だからねぇ。 171 00:12:39,058 --> 00:12:42,028 ああ 分かっているよ。 172 00:12:49,068 --> 00:12:52,071 (鐘の音) 173 00:12:52,071 --> 00:12:54,073 えっほ えっほ えっほ…。 174 00:12:54,073 --> 00:12:56,042 《会いたいな》 175 00:12:58,077 --> 00:13:00,046 《会えるかな》 176 00:13:28,007 --> 00:13:30,943 《結局 会えなかったな…》 177 00:13:30,943 --> 00:13:34,947 《それに ずいぶんと 遅くなってしまった》 178 00:13:34,947 --> 00:13:37,950 《これでは 仁吉たちに 出掛けたのが分かってしまう》 179 00:13:37,950 --> 00:13:43,222 《屏風のぞき… 仁吉たちに 叱られたりしていないかしら》 180 00:13:45,291 --> 00:13:48,961 (風の音) 181 00:13:48,961 --> 00:13:52,965 ⚟若だんな お一人なんですか? 182 00:13:52,965 --> 00:13:54,967 誰? 183 00:13:54,967 --> 00:13:56,969 あ…。 184 00:13:56,969 --> 00:14:01,974 ⚟私は その道の傍らにある お稲荷様にお仕えしているもので。 185 00:14:01,974 --> 00:14:05,978 (鈴の音) この鈴の音…。 186 00:14:05,978 --> 00:14:09,982 誰ぞが稲荷に納めた鈴が 妖になったと聞いた。 187 00:14:09,982 --> 00:14:13,986 名は確か… 鈴彦姫か。 188 00:14:13,986 --> 00:14:16,989 はい 若だんな。 189 00:14:16,989 --> 00:14:18,958 ホッ…。 190 00:14:20,993 --> 00:14:22,995 なぜ 今日は 犬神さんも白沢さんも➡ 191 00:14:22,995 --> 00:14:24,997 お供してないのですか?➡ 192 00:14:24,997 --> 00:14:28,000 こんな月のない夜に 危ないことで。 193 00:14:28,000 --> 00:14:30,937 おや お前 2人を知っているのかい? 194 00:14:30,937 --> 00:14:35,942 ここいらの妖ならば 大抵の者は存じ上げております。 195 00:14:35,942 --> 00:14:38,945 私のような小妖怪とは 比べものにならないくらい➡ 196 00:14:38,945 --> 00:14:42,949 力の強い方々ですから。 その2人には➡ 197 00:14:42,949 --> 00:14:45,952 今日は ついてきてもらうわけには いかなかったのさ。 198 00:14:45,952 --> 00:14:49,956 そう 少し散歩に出ただけだからね。 199 00:14:49,956 --> 00:14:51,958 この闇の中をですか? 200 00:14:51,958 --> 00:14:55,962 本当は 乳母の具合が悪くて 見舞いに行っていたのさ。 201 00:14:55,962 --> 00:14:58,965 いや… この言い訳はまずいか。 202 00:14:58,965 --> 00:15:02,935 乳母は ぴんぴんしているのに 怒られてしまう。 203 00:15:04,971 --> 00:15:08,975 ハァ… 実は 兄さんに会いに行ったんだよ。 204 00:15:08,975 --> 00:15:12,979 帰りは かごがつかまらなくてね。 それで遅くなった。 205 00:15:12,979 --> 00:15:14,981 からかっちゃいけません。 206 00:15:14,981 --> 00:15:17,984 若だんなは 一人っ子じゃありませんか。 207 00:15:17,984 --> 00:15:19,986 知っていたのかい? 物知りだね。 208 00:15:19,986 --> 00:15:21,988 そうやって ごまかすところを見ると➡ 209 00:15:21,988 --> 00:15:25,992 お二人には内緒で 他出なさったんですね? 210 00:15:25,992 --> 00:15:27,994 羽目を外して 本当に危うい目に遭っても➡ 211 00:15:27,994 --> 00:15:30,997 知りませんからね? 212 00:15:30,997 --> 00:15:33,100 妖の中には たちの悪い者もいるんですから。 213 00:15:33,100 --> 00:15:38,004 今日は 私が お店までお送りしましょう。 214 00:15:38,004 --> 00:15:41,007 この坂をすぎれば 昌平橋に出るよ。 215 00:15:41,007 --> 00:15:45,011 渡って 筋違橋御門からは 繁華な通町だ。 216 00:15:45,011 --> 00:15:47,013 心配ないよ。 217 00:15:47,013 --> 00:15:49,015 そんなふうにおっしゃったって 離れませんよ。 218 00:15:49,015 --> 00:15:52,018 ここで 若だんなを一人で行かせたら➡ 219 00:15:52,018 --> 00:15:56,022 犬神さんや白沢さんに 後で何て言えばいいんです? 220 00:15:56,022 --> 00:15:58,991 だいたい 一番危ないのは…。 221 00:16:01,027 --> 00:16:03,029 どうした? 222 00:16:03,029 --> 00:16:07,033 (鈴彦姫)急に 血の臭いがしてきたんです。 223 00:16:07,033 --> 00:16:09,035 どこから? 分かるかい? 224 00:16:09,035 --> 00:16:15,007 (鈴彦姫)たぶん その先の… 左手の路地辺りから。 225 00:16:18,044 --> 00:16:20,046 若だんな 行きましょう。 226 00:16:20,046 --> 00:16:23,049 血の臭いなんて 気味が悪いですよ。 227 00:16:23,049 --> 00:16:25,017 ああ。 228 00:16:29,055 --> 00:16:32,024 ⚟香りがする…。 229 00:16:33,993 --> 00:16:37,997 ⚟する… する…。 230 00:16:37,997 --> 00:16:45,004 ⚟(足音) 231 00:16:45,004 --> 00:16:46,973 ハッ…。 232 00:16:56,015 --> 00:16:59,018 《短い。 刀じゃないな》 233 00:16:59,018 --> 00:17:02,021 ⚟よこせ… よこせ…。➡ 234 00:17:02,021 --> 00:17:05,024 よこせ…。 235 00:17:05,024 --> 00:17:07,026 《物取りか?》 236 00:17:07,026 --> 00:17:16,035 ♬~ 237 00:17:16,035 --> 00:17:18,037 ⚟よこせ… よこせ…。 238 00:17:18,037 --> 00:17:20,006 よこせ! 239 00:17:22,041 --> 00:17:25,044 《最後に走ったのは いつだろう… 駄目だ…》 240 00:17:25,044 --> 00:17:27,046 《これじゃあ…》 241 00:17:27,046 --> 00:17:30,049 (鈴彦姫)若だんな! 提灯ですよ!➡ 242 00:17:30,049 --> 00:17:33,986 その明かりを 追ってきているんです! 243 00:17:33,986 --> 00:17:36,989 フーッ! 244 00:17:36,989 --> 00:17:39,992 ハァ ハァ ハァ…。 245 00:17:39,992 --> 00:17:42,962 フゥ…。 246 00:17:46,999 --> 00:17:51,003 《追ってくる足音は… 聞こえない…》 247 00:17:51,003 --> 00:17:54,006 《けど… まだ近くにいる》 248 00:17:54,006 --> 00:17:57,009 若だんな ここにいても 見つかっちゃいますよ! 249 00:17:57,009 --> 00:17:58,978 もっと 声を小さくして。 250 00:18:06,018 --> 00:18:07,987 《このままでは…》 251 00:18:10,022 --> 00:18:14,026 鈴彦姫。 近くにお稲荷様があるんだね? 252 00:18:14,026 --> 00:18:17,029 (鈴彦姫)はい。 ならば 呼べるかもしれないね。 253 00:18:17,029 --> 00:18:19,031 (鈴彦姫)はっ? まずいことになったら➡ 254 00:18:19,031 --> 00:18:21,033 お前だけ逃げるんだよ。 255 00:18:21,033 --> 00:18:23,002 (鈴彦姫)若だんな…。 256 00:18:25,037 --> 00:18:27,039 来い! 来い! 257 00:18:27,039 --> 00:18:29,041 来い! 来い! ふらり火! 258 00:18:29,041 --> 00:18:30,977 頼むから~!! 259 00:18:30,977 --> 00:18:33,946 (鈴彦姫)そんな大声で叫んだら…。 260 00:18:36,983 --> 00:18:38,951 (鈴彦姫)ひぃ…。 261 00:18:40,987 --> 00:18:43,956 《頼む… 間に合ってくれ…》 262 00:18:45,992 --> 00:18:48,661 鈴彦姫 逃げろ。 263 00:18:48,661 --> 00:18:50,997 (鈴彦姫)でも…。 行け。 264 00:18:50,997 --> 00:18:52,965 早く…。 265 00:18:55,001 --> 00:18:57,970 ハッ! 266 00:19:00,006 --> 00:19:03,009 呼んだか? 若だんな。 267 00:19:03,009 --> 00:19:06,012 来てくれたか… 助かったよ。 268 00:19:06,012 --> 00:19:08,014 野盗に追われて困っている。 269 00:19:08,014 --> 00:19:11,017 ふらり火。 お前の光で誘って➡ 270 00:19:11,017 --> 00:19:13,019 あいつを どこぞに連れていってくれないか。 271 00:19:13,019 --> 00:19:18,024 ああ こっちに来るあいつか。 任せてくれ。 272 00:19:18,024 --> 00:19:19,992 頼んだよ。 273 00:19:28,034 --> 00:19:31,003 うわっ! うう…。 274 00:19:32,972 --> 00:19:36,976 逃がしはしない! 逃がすものか! 275 00:19:36,976 --> 00:19:39,979 (遠ざかる足音) 276 00:19:39,979 --> 00:19:43,983 フゥ… やれやれ 何とか助かったね。 277 00:19:43,983 --> 00:19:45,985 怖い怖い。 278 00:19:45,985 --> 00:19:49,989 まったく 妖より恐ろしいのは 人でございますよ。 279 00:19:49,989 --> 00:19:53,993 先刻 私が申し上げたかったのは そのことで…。 280 00:19:53,993 --> 00:19:56,996 アハ…。 ホントに いとわしい。 281 00:19:56,996 --> 00:19:58,998 まだ 血の臭いが 濃く残ってますよ。 282 00:19:58,998 --> 00:20:02,001 あいつ 何をやったんだか。 283 00:20:02,001 --> 00:20:05,004 こっちの顔 見られただろうか? 284 00:20:05,004 --> 00:20:11,010 この暗さですからね… 分かっちゃいないと思いますが。 285 00:20:11,010 --> 00:20:14,013 しばらくは これを使っちゃまずいかな。 286 00:20:14,013 --> 00:20:17,683 私が提灯代わりに 若だんなをお連れしますよ。 287 00:20:17,683 --> 00:20:22,021 もう少しで 橋に行き着きますから 明かりも そこでともせます。 288 00:20:22,021 --> 00:20:25,991 それまで。 そうだね お願いするかな。 289 00:20:28,027 --> 00:20:30,029 では 参りましょう。 290 00:20:30,029 --> 00:20:31,964 うん。 291 00:20:31,964 --> 00:20:49,982 ♬~ 292 00:20:49,982 --> 00:20:52,985 月が出たね。 そうですねぇ…。 293 00:20:52,985 --> 00:20:55,988 ありがとう。 ここまで助かったよ。 294 00:20:55,988 --> 00:20:59,959 でも お店まではお供しますので。 295 00:21:01,994 --> 00:21:03,996 あれ? 296 00:21:03,996 --> 00:21:08,000 んっ? (鈴彦姫)また… 血の臭いが。 297 00:21:08,000 --> 00:21:10,970 えっ? 298 00:21:14,006 --> 00:21:18,010 (鈴彦姫)あそこ…。 うん。 299 00:21:18,010 --> 00:21:20,980 若だんな 待ってください。 300 00:21:30,022 --> 00:21:31,991 あっ。 301 00:21:38,964 --> 00:21:40,933 ハッ!? 302 00:21:45,971 --> 00:21:48,941 あっ…。 303 00:21:54,980 --> 00:22:04,957 ♬~