1 00:00:14,014 --> 00:00:17,017 《鳳蝶:父と母が帰ってくる。 2 00:00:17,017 --> 00:00:20,020 本当に久しぶりの再会》 3 00:00:22,022 --> 00:00:26,026 《2人とも どんな顔だったっけ》 4 00:02:06,994 --> 00:02:09,997 《声すら 思い出せない。 5 00:02:09,997 --> 00:02:14,701 いやいや 記憶の底をさらえば うっすらとは…。 6 00:02:14,701 --> 00:02:16,703 う~ん えっと。 7 00:02:16,703 --> 00:02:19,039 少しも思い出せないって➨ 8 00:02:19,039 --> 00:02:22,209 私 ちょっとアホの子すぎるだろ》 9 00:02:22,209 --> 00:02:25,212 (ロマノフ)待ってください。 菊乃井伯爵は 婿養子で。 10 00:02:25,212 --> 00:02:29,082 (ロッテンマイヤー)ロマノフ先生 お声が高うございます。 んっ? 11 00:02:31,051 --> 00:02:33,520 父は 婿養子だったんですか? 12 00:02:36,023 --> 00:02:39,860 母のほうが 伯爵令嬢 だったということですか? 13 00:02:39,860 --> 00:02:42,863 (ロマノフ)やはり 鳳蝶くんに 話したほうがいいと思います。 14 00:02:42,863 --> 00:02:46,033 (ロッテンマイヤー)ですが 若様は まだ5歳ですよ。 15 00:02:46,033 --> 00:02:49,036 こんなことをお話ししても。 16 00:02:49,036 --> 00:02:52,205 鳳蝶くんは こちらが思うより 聡明なお子です。 17 00:02:52,205 --> 00:02:54,708 いずれ 口さがない者たちから➨ 18 00:02:54,708 --> 00:02:57,711 尾ひれがついた 話を聞かされるよりは。 19 00:02:57,711 --> 00:02:59,713 ですが…。 20 00:02:59,713 --> 00:03:02,315 《えっ 何? 気になるんですけど》 21 00:03:02,315 --> 00:03:08,488 ハァ… 少しだけ お時間をくださいませ。 22 00:03:08,488 --> 00:03:10,590 失礼いたします。 23 00:03:12,993 --> 00:03:14,995 (ドアの開閉音) 24 00:03:14,995 --> 00:03:18,165 (ロマノフ)鳳蝶くん。 25 00:03:18,165 --> 00:03:20,667 今日は これから どうするんですか? 26 00:03:20,667 --> 00:03:22,669 はい お針子のエリーゼと➨ 27 00:03:22,669 --> 00:03:26,006 腰につける ポーチを作ろうかと思ってます。 28 00:03:26,006 --> 00:03:30,210 あと少しで完成なんです。 どれどれ。 29 00:03:30,210 --> 00:03:32,879 ほう… なかなか使いやすそうですね。 30 00:03:32,879 --> 00:03:35,182 取り口が大きくていい。 31 00:03:35,182 --> 00:03:38,351 菜園で使う道具や 万一 けがしたときの➨ 32 00:03:38,351 --> 00:03:41,855 包帯などを入れて 持ち歩こうと思って。 33 00:03:41,855 --> 00:03:46,193 少し お勉強をしましょうか。 えっ 今ですか? 34 00:03:46,193 --> 00:03:48,595 はい 魔術の話です。 35 00:03:50,530 --> 00:03:54,868 この世界には 魔術の体系が いくつかあります。 36 00:03:54,868 --> 00:03:57,904 治癒魔術 攻撃魔術➨ 37 00:03:57,904 --> 00:04:00,474 補助魔術 空間魔術➨ 38 00:04:00,474 --> 00:04:03,143 そして 秘蹟精霊術。 39 00:04:03,143 --> 00:04:05,979 これら 5つが代表格です。 40 00:04:05,979 --> 00:04:10,317 魔術は 魔力を四大元素の 精霊に譲渡することで➨ 41 00:04:10,317 --> 00:04:12,652 その属性をもつ さまざまな効果を➨ 42 00:04:12,652 --> 00:04:15,655 引き起こしてもらう ものなんです。 43 00:04:15,655 --> 00:04:20,327 じゃあ 空間魔術は 空間の精霊に魔力を譲渡する? 44 00:04:20,327 --> 00:04:22,662 そこなんですけどね➨ 45 00:04:22,662 --> 00:04:28,168 空間というものは 今 私たちが存在する世界そのもの。 46 00:04:28,168 --> 00:04:32,005 ですので 空間魔術は 四大元素すべての精霊に➨ 47 00:04:32,005 --> 00:04:34,007 手伝って もらわなければなりません。 48 00:04:34,007 --> 00:04:36,676 難しそうですね。 49 00:04:36,676 --> 00:04:39,346 使うのは 容易ではないですね。 50 00:04:39,346 --> 00:04:43,016 使う魔力量が 尋常ではありませんし。 51 00:04:43,016 --> 00:04:47,020 つまり 使える人はとても少ない? 52 00:04:47,020 --> 00:04:50,357 正解です。 ですが 使えれば便利で➨ 53 00:04:50,357 --> 00:04:55,162 一度使えば 効果を持続させ 繰り返し使えるものもあります。 54 00:05:03,503 --> 00:05:06,006 ふう。 55 00:05:06,006 --> 00:05:09,576 先生。 ありがとう。 56 00:05:13,313 --> 00:05:16,149 見事な刺繍ですね。 57 00:05:16,149 --> 00:05:19,986 では このポーチと ハンカチを交換しましょう。 58 00:05:19,986 --> 00:05:21,988 ふぇ? 59 00:05:21,988 --> 00:05:24,825 《いや ポーチもハンカチも 私のなんですけど?》 60 00:05:24,825 --> 00:05:28,995 今 空間魔術で このポーチを異空間につなげました。 61 00:05:28,995 --> 00:05:32,165 えっ? 中は 時間が止まっているので➨ 62 00:05:32,165 --> 00:05:34,167 食べ物を入れても腐りません。 63 00:05:34,167 --> 00:05:37,170 半永久的に使用可能です。 64 00:05:37,170 --> 00:05:40,340 まぁ だいたい 鳳蝶くんの部屋のたんすの➨ 65 00:05:40,340 --> 00:05:42,676 中くらい 収まると思ってください。 66 00:05:42,676 --> 00:05:44,711 え~っ! 67 00:05:44,711 --> 00:05:49,683 何を隠そう 私は レアな空間魔術の使い手なのです。 68 00:05:49,683 --> 00:05:53,186 《つまり これは アイテムボックス的な?》 69 00:05:53,186 --> 00:05:56,356 でも そんなすごいのと ハンカチ1枚を交換って➨ 70 00:05:56,356 --> 00:05:59,192 釣り合わないですよ。 いいえ。 71 00:05:59,192 --> 00:06:01,795 私にしてみれば 等価交換ですよ。 72 00:06:01,795 --> 00:06:05,298 だ だって ただハンカチに 私が刺繍しただけで…。 73 00:06:05,298 --> 00:06:08,301 その刺繍が 大事なんです。 74 00:06:08,301 --> 00:06:12,138 精霊は 緑の手や 青の手を持つ者が作った➨ 75 00:06:12,138 --> 00:06:14,975 植物や ものを とても好むんです。 76 00:06:14,975 --> 00:06:17,811 そういうものを 1つでも身に着けていると➨ 77 00:06:17,811 --> 00:06:21,815 精霊が 勝手に魔術の 補強をしてくれるんですよ。 78 00:06:21,815 --> 00:06:26,152 このマントには 鳳蝶くんに 刺繍してもらったエルフ紋様の➨ 79 00:06:26,152 --> 00:06:28,154 コンドルが10羽。 80 00:06:28,154 --> 00:06:31,992 軽く見積もっても 5割増し くらいの補助が見込めるのです。 81 00:06:31,992 --> 00:06:34,327 5割増し? 82 00:06:34,327 --> 00:06:37,163 このハンカチがあれば 更に補助が見込める。 83 00:06:37,163 --> 00:06:39,666 立派な対価ですよ。 84 00:06:39,666 --> 00:06:43,336 《マジか!》 85 00:06:43,336 --> 00:06:48,341 <驚きで 両親の件は すっかり頭から抜け落ちていた> 86 00:06:50,844 --> 00:06:54,514 え~っと 今日は 惚れた腫れたのが➨ 87 00:06:54,514 --> 00:06:58,184 いいということですので 『ハバネラ』を歌います。 88 00:06:58,184 --> 00:07:02,656 (百華)うむ。 聴いてやるゆえ はよ。 89 00:07:02,656 --> 00:07:09,996 (歌声) 90 00:07:09,996 --> 00:07:14,000 《『ハバネラ』は オペラ 『カルメン』でヒロインが歌うラブソング。 91 00:07:14,000 --> 00:07:17,837 前世の私が好んでいた曲。 92 00:07:17,837 --> 00:07:20,840 生まれ変わっても心に➨ 93 00:07:20,840 --> 00:07:25,345 こびりついて 離れないほどに覚えている》 94 00:07:25,345 --> 00:07:32,852 (歌声) 95 00:07:32,852 --> 00:07:34,854 オペラとは なんじゃ。 96 00:07:34,854 --> 00:07:37,857 《また 心読まれた》 97 00:07:37,857 --> 00:07:39,859 だだ漏れぞよ。 98 00:07:39,859 --> 00:07:43,029 オペラというのは 楽団の演奏や歌➨ 99 00:07:43,029 --> 00:07:45,999 踊りを 芝居に取り入れたものです。 100 00:07:45,999 --> 00:07:50,337 もっと庶民的なもので ミュージカルというものもあります。 101 00:07:50,337 --> 00:07:54,341 ほお… 芝居に歌と踊りとな。 102 00:07:54,341 --> 00:07:58,011 《姫君 お芝居に興味があるのかな。 103 00:07:58,011 --> 00:08:01,281 それなら 前世で私が好きだった➨ 104 00:08:01,281 --> 00:08:04,784 菫の園の 歌劇も気に入るだろうな。 105 00:08:04,784 --> 00:08:09,322 男役も女役も すべて女性が演じる➨ 106 00:08:09,322 --> 00:08:12,993 華やかで独特で美しい劇団。 107 00:08:12,993 --> 00:08:18,164 あぁ… 私の頭の中にある 記憶をお見せしたいな。 108 00:08:18,164 --> 00:08:22,168 言葉だけじゃ あの すばらしさを表現しきれない》 109 00:08:22,168 --> 00:08:25,005 なるほど では 見せてもらおうかの。 110 00:08:25,005 --> 00:08:26,973 へっ? 111 00:08:29,009 --> 00:08:31,845 《あ~ あ~ 困ります姫君! 112 00:08:31,845 --> 00:08:35,682 ちょちょ… お顔が近すぎて おめめが チカチカします! 113 00:08:35,682 --> 00:08:40,487 あ~ 姫君困ります!》 やかましい! 114 00:08:40,487 --> 00:08:42,655 そなたの記憶を 今のぞいておるんじゃ! 115 00:08:42,655 --> 00:08:45,558 集中せい! ひゃい! 116 00:08:48,194 --> 00:08:50,530 なんと 異世界には➨ 117 00:08:50,530 --> 00:08:54,034 このような きらびやかな世界があるのか。 118 00:08:54,034 --> 00:08:58,538 ふぁい! わらしも よく知りましぇんが。 119 00:08:58,538 --> 00:09:02,275 《つか 姫君のお顔も 同じくらいきらびやかで➨ 120 00:09:02,275 --> 00:09:05,445 白豚は おめめが痛いです》 121 00:09:05,445 --> 00:09:09,783 そなたは 存外 よい拾い物であるな。 122 00:09:09,783 --> 00:09:12,452 しょ しょのようなことは…。 123 00:09:12,452 --> 00:09:14,454 時折 そなたの記憶を見せよ。 124 00:09:14,454 --> 00:09:16,956 これは褒美じゃ。 125 00:09:16,956 --> 00:09:19,292 (鳳蝶)わっ 桃。 126 00:09:19,292 --> 00:09:22,796 ありがとうございます。 おいしそう。 127 00:09:22,796 --> 00:09:25,799 うむ 味は わらわが保証してやろう。 128 00:09:25,799 --> 00:09:29,469 では また明日参れ。 129 00:09:29,469 --> 00:09:33,973 そうだ 早速ポーチにしまおう。 130 00:09:33,973 --> 00:09:36,309 《おぉ すごい》 131 00:09:36,309 --> 00:09:39,145 ただいま戻りました。 132 00:09:39,145 --> 00:09:42,148 (ロッテンマイヤー)若様。 んっ? 133 00:09:42,148 --> 00:09:45,051 お話がございます。 134 00:09:48,655 --> 00:09:52,659 <昔 男ありけり。 135 00:09:52,659 --> 00:09:55,662 いや ぶっちゃけ そんな昔でもなく➨ 136 00:09:55,662 --> 00:09:58,164 遡ること6~7年前。 137 00:09:58,164 --> 00:10:02,502 とあるパーティーで 男と女が出会った。 138 00:10:02,502 --> 00:10:04,838 男は 貧乏貴族の次男坊。 139 00:10:04,838 --> 00:10:08,508 女は 帝国でも裕福な伯爵令嬢。 140 00:10:08,508 --> 00:10:12,846 女は 明日の食事にも 事欠くようなその男に➨ 141 00:10:12,846 --> 00:10:15,849 一目で心を奪われた。 142 00:10:15,849 --> 00:10:19,185 女は さまざまな手段で迫るが➨ 143 00:10:19,185 --> 00:10:23,022 男には 将来を誓い合った 相手がいた。 144 00:10:23,022 --> 00:10:26,025 女は 男を手に入れるために➨ 145 00:10:26,025 --> 00:10:30,029 男と相手の女の家に圧力をかけた。 146 00:10:30,029 --> 00:10:32,365 伯爵家を敵に回しては➨ 147 00:10:32,365 --> 00:10:35,034 帝国では 生きていけるはずもなく➨ 148 00:10:35,034 --> 00:10:38,538 男は 大切な 女性の身を守るために➨ 149 00:10:38,538 --> 00:10:41,374 伯爵家に婿養子に入り➨ 150 00:10:41,374 --> 00:10:44,878 翌年 女は男児をもうける。 151 00:10:44,878 --> 00:10:48,047 これで すべて 自分のいいようになった。 152 00:10:48,047 --> 00:10:50,884 女は そう思っていた。 153 00:10:50,884 --> 00:10:52,886 嫡子をもうけた貴族は➨ 154 00:10:52,886 --> 00:10:55,722 決して離婚ができないことに なっていたからだ。 155 00:10:55,722 --> 00:11:00,527 だが 男はそれを逆手に取り 妻を顧みずに➨ 156 00:11:00,527 --> 00:11:04,030 かつて将来を誓った女性を 側室に迎え➨ 157 00:11:04,030 --> 00:11:07,033 別邸へと去っていった> 158 00:11:07,033 --> 00:11:11,371 それが 私の父と母の事情なんですね。 159 00:11:11,371 --> 00:11:13,706 さようでございます。 160 00:11:13,706 --> 00:11:17,377 私は 2人が離婚できない原因。 161 00:11:19,679 --> 00:11:24,684 《つまり 少なくとも 父にとって私は邪魔な子ども》 162 00:11:27,020 --> 00:11:29,022 旦那様のお手紙では➨ 163 00:11:29,022 --> 00:11:32,358 先ごろ 別邸のお方が 病でお亡くなりになり➨ 164 00:11:32,358 --> 00:11:37,197 遺された 3歳のお子を伴われるそうです。 165 00:11:37,197 --> 00:11:41,367 養育の準備を 万端 整えるようにと。 166 00:11:41,367 --> 00:11:44,704 お子って。 弟様だそうです。 167 00:11:44,704 --> 00:11:47,540 弟…。 168 00:11:47,540 --> 00:11:51,377 世話係のメイドも 1人 こちらに移すとのことです。 169 00:11:51,377 --> 00:11:54,881 なんでまた? ここは 父が憎んでいる母の➨ 170 00:11:54,881 --> 00:11:59,385 伯爵家の本邸ですよ。 それは…。 171 00:11:59,385 --> 00:12:02,155 《これは あれか? 172 00:12:02,155 --> 00:12:05,825 私に廃嫡の可能性が 出てきたってことか。 173 00:12:05,825 --> 00:12:08,828 よかった 手に職つけてて。 174 00:12:08,828 --> 00:12:11,164 でも 前世はともかく➨ 175 00:12:11,164 --> 00:12:13,166 今の私は5歳だ。 176 00:12:13,166 --> 00:12:16,002 放り出されて行くところなんて》 177 00:12:16,002 --> 00:12:18,338 大丈夫ですよ 鳳蝶くん。 178 00:12:18,338 --> 00:12:21,674 婿養子が 側室に 生ませた子どもに➨ 179 00:12:21,674 --> 00:12:25,345 家督を継がせることは 国法で禁じられています。 180 00:12:25,345 --> 00:12:27,847 何より そんなことをすれば➨ 181 00:12:27,847 --> 00:12:29,849 乗っ取りとみなされて➨ 182 00:12:29,849 --> 00:12:32,352 社交界から 総スカンを食らいますから。 183 00:12:32,352 --> 00:12:36,689 鳳蝶くんが心配している ようなことには なりませんよ。 184 00:12:36,689 --> 00:12:40,193 《そうだとしたら なおさら どうして?》 185 00:12:40,193 --> 00:12:44,197 おそらく 狙いは私ですね。 ハァ? 186 00:12:44,197 --> 00:12:46,866 いや~ 実はこう見えて私➨ 187 00:12:46,866 --> 00:12:49,202 結構 有名人なんですよ。 188 00:12:49,202 --> 00:12:52,038 個人としても 教育者としても。 189 00:12:52,038 --> 00:12:54,540 えっ そうなんですか? 190 00:12:54,540 --> 00:12:57,043 私 鳳蝶くんに会うまで➨ 191 00:12:57,043 --> 00:13:01,147 エルフの冒険者 アレクセイ・ロマノフを 知らない子どもがいるなんて➨ 192 00:13:01,147 --> 00:13:05,318 思ってもみませんでした。 慢心は いけませんね。 193 00:13:05,318 --> 00:13:07,654 な なんかごめんなさい。 194 00:13:07,654 --> 00:13:09,656 (ロマノフ)えいっ。 いだだ…。 195 00:13:09,656 --> 00:13:15,328 最初は 鳳蝶くんの家庭教師も 断ろうと思ってたんです。 196 00:13:15,328 --> 00:13:17,330 事情は 聞いていましたが➨ 197 00:13:17,330 --> 00:13:21,334 あまり興味を そそられなかったので。 198 00:13:21,334 --> 00:13:23,503 でも 実際の君は不思議な子で➨ 199 00:13:23,503 --> 00:13:30,009 今は 君以外の先生になるのは ちょっと考えつかないんですが。 200 00:13:30,009 --> 00:13:32,011 旦那様は そのお子➨ 201 00:13:32,011 --> 00:13:36,849 レグルス様の家庭教師に ロマノフ先生をお望みだそうです。 202 00:13:36,849 --> 00:13:39,852 《レグルスというのか その子は》 う~ん。 203 00:13:39,852 --> 00:13:43,523 《ロマノフ先生の気持ちは うれしいし ありがたい。 204 00:13:43,523 --> 00:13:48,227 けど 婿養子とはいえ 伯爵家の当主の望みを➨ 205 00:13:48,227 --> 00:13:52,398 雇われている側が 避けられるはずがない。 206 00:13:52,398 --> 00:13:56,235 私が 死にかけても 会いに来てくれなかったのに➨ 207 00:13:56,235 --> 00:13:58,571 弟の教育のためには➨ 208 00:13:58,571 --> 00:14:02,341 憎んでいる女の屋敷に来るのか。 209 00:14:02,341 --> 00:14:07,346 今日こそは 明日こそはと 何日も待っていた。 210 00:14:07,346 --> 00:14:13,019 こないまま 今では2人の顔も 思い出せないというのに。 211 00:14:13,019 --> 00:14:18,024 弟かぁ… 気まずくてしようがないよ。 212 00:14:18,024 --> 00:14:20,693 でも 知らなかったとはいえ➨ 213 00:14:20,693 --> 00:14:22,862 私は お兄ちゃんなのだ。 214 00:14:22,862 --> 00:14:26,032 弟の面倒を しっかり見てあげないと。 215 00:14:26,032 --> 00:14:29,369 兄とは そういうものだから。 216 00:14:29,369 --> 00:14:31,370 いや そうじゃなくて➨ 217 00:14:31,370 --> 00:14:33,706 弟の話が出てから 今起きてることが➨ 218 00:14:33,706 --> 00:14:36,209 ひと事みたいで現実味がない。 219 00:14:36,209 --> 00:14:40,713 前世の自分の感覚に 浸食されている気がする。 220 00:14:40,713 --> 00:14:44,217 これは なんかよくないような》 221 00:14:44,217 --> 00:14:48,554 父が 私を嫌うのは なんとなくわかりました。 222 00:14:48,554 --> 00:14:54,394 じゃあ 母は? 223 00:14:54,394 --> 00:14:58,064 母は 私をどう思ってるんです? 224 00:14:58,064 --> 00:15:01,634 奥様は…。 225 00:15:01,634 --> 00:15:05,304 妊娠中に 旅行に行こうとなさって➨ 226 00:15:05,304 --> 00:15:09,308 それが もとで 早産の危機に陥られました。 227 00:15:09,308 --> 00:15:11,310 えっ。 228 00:15:11,310 --> 00:15:16,149 一時は 母子ともに お命が危うく それで…。 229 00:15:16,149 --> 00:15:20,653 死にかけたのは 私のせいだと思っていると? 230 00:15:20,653 --> 00:15:23,823 さようにございます。 231 00:15:23,823 --> 00:15:28,628 《ハァ… 詰んでる。 どう考えても》 232 00:15:35,334 --> 00:15:39,505 シーツは すべて取り替えましたか? はい 滞りなく。 233 00:15:39,505 --> 00:15:43,176 料理の準備は? まもなく整います。 234 00:15:43,176 --> 00:15:45,678 奥様のお気に入りの ティーセットは そろえました? 235 00:15:45,678 --> 00:15:49,348 あっ まだです。 急いでそろえて! 私がやります。 236 00:15:49,348 --> 00:15:53,686 あの~ お茶をいただいても? 《あっ はい! ただいま。 237 00:15:53,686 --> 00:15:56,856 (百華)今日 小童の両親が 帰ってくるのか。 238 00:15:56,856 --> 00:16:00,960 なんというか 芝居になりそうな話よのう。 239 00:16:00,960 --> 00:16:04,564 はい なんか いまいち実感がわかなくて。 240 00:16:06,966 --> 00:16:10,636 《私は 父にも 母にも好かれていない。 241 00:16:10,636 --> 00:16:13,639 なのに 前世の私がどこかで➨ 242 00:16:13,639 --> 00:16:17,310 家族なんだからって なんだか期待してて。 243 00:16:17,310 --> 00:16:19,312 会いにこられなかったのは➨ 244 00:16:19,312 --> 00:16:22,315 本当は 理由が あったんじゃないかって。 245 00:16:22,315 --> 00:16:27,620 期待しちゃだめなのに でも もしかしたらなんて》 246 00:16:29,655 --> 00:16:32,491 もうよい 今日は下がれ。 247 00:16:32,491 --> 00:16:35,161 えっ でもまだ歌ってないです。 248 00:16:35,161 --> 00:16:37,163 そんな調子では➨ 249 00:16:37,163 --> 00:16:40,500 魔素神経を意識して 歌うなど無理であろう。 250 00:16:40,500 --> 00:16:44,837 歌っても 喉を痛めるだけじゃ。 251 00:16:44,837 --> 00:16:47,540 早々に帰って 喉を休めよ。 252 00:16:51,711 --> 00:16:55,381 お帰りなさいませ 奥様。 (メイドたち)お帰りなさいませ。 253 00:17:06,792 --> 00:17:11,130 若様 お帰りなさいませ。 254 00:17:11,130 --> 00:17:15,134 ロッテンマイヤー それをどっかにやって! 不愉快よ! 255 00:17:17,637 --> 00:17:20,973 奥様。 早く どこかへやってください。 256 00:17:20,973 --> 00:17:23,976 無礼なことを! 従僕ごときが➨ 257 00:17:23,976 --> 00:17:26,979 若様に なんという 口の利き方をするのです! 258 00:17:26,979 --> 00:17:28,981 これは 失礼しました。 259 00:17:28,981 --> 00:17:32,151 ですが 奥様は ご不快に思われております。 260 00:17:32,151 --> 00:17:36,656 あるじの意に従うのが 従僕の役目ですゆえ。 261 00:17:36,656 --> 00:17:41,494 お部屋の ご用意はできております。 262 00:17:41,494 --> 00:17:44,797 連れて行って セバスチャン。 (セバスチャン)御意。 263 00:17:49,335 --> 00:17:53,172 《部屋に戻ろう》 264 00:17:53,172 --> 00:17:57,376 ロマノフ先生。 お勉強しましょうか。 265 00:17:59,512 --> 00:18:02,114 はい。 266 00:18:04,116 --> 00:18:07,286 お帰りなさいませ旦那様。 (ロッテンマイヤー)お帰りなさいませ。 267 00:18:07,286 --> 00:18:09,989 レグルス おいで。 268 00:18:23,302 --> 00:18:26,005 《あれが…。 269 00:18:26,005 --> 00:18:29,775 私の父と… 弟》 270 00:18:31,844 --> 00:18:34,013 んっ? 271 00:18:38,484 --> 00:18:42,655 貴殿が 高名な アレクセイ・ロマノフ卿か。 272 00:18:42,655 --> 00:18:46,192 はい 閣下。 高いところから失礼いたします。 273 00:18:46,192 --> 00:18:48,828 かまわない。 早速だが➨ 274 00:18:48,828 --> 00:18:52,331 我が子 レグルスの 家庭教師の件について。 275 00:18:52,331 --> 00:18:54,500 申し訳ありませんが閣下➨ 276 00:18:54,500 --> 00:18:57,670 これから鳳蝶くんの 授業がありますので。 277 00:18:57,670 --> 00:19:00,773 ロマノフ卿 その子どもに授業など➨ 278 00:19:00,773 --> 00:19:03,776 貴殿にとっても 時間の無駄というもの。 279 00:19:03,776 --> 00:19:06,612 私が 期待しているのはレグルスだけ。 280 00:19:06,612 --> 00:19:09,615 私は レグルスの話がしたい。 281 00:19:09,615 --> 00:19:12,451 先生 私 自習してますから➨ 282 00:19:12,451 --> 00:19:17,123 先にお話なさってください。 283 00:19:17,123 --> 00:19:19,125 (ロマノフ)鳳蝶くん…。 284 00:19:21,293 --> 00:19:23,796 《それをどっかにやって! 285 00:19:23,796 --> 00:19:27,967 私が期待しているのは レグルスだけ》 286 00:19:27,967 --> 00:19:31,470 うわっ! キャッ! 287 00:19:31,470 --> 00:19:36,008 若様? ハァ ハァ…。 288 00:19:36,008 --> 00:19:40,179 《私は 明確に彼らの敵だった。 289 00:19:40,179 --> 00:19:43,349 両親の顔も声も 覚えていなかったのも➨ 290 00:19:43,349 --> 00:19:45,351 当然だったんだ。 291 00:19:45,351 --> 00:19:48,487 だって 1年どころじゃない。 292 00:19:48,487 --> 00:19:51,824 そもそも私は 両親とまともに➨ 293 00:19:51,824 --> 00:19:55,494 顔を合わせたことなど 一度もなかったのだから。 294 00:19:55,494 --> 00:20:00,366 ロッテンマイヤーさんは 事前に ちゃんと話してくれたのに。 295 00:20:00,366 --> 00:20:05,204 私が 傷つかないように 希望をもたないように。 296 00:20:05,204 --> 00:20:08,207 なのに…。 297 00:20:08,207 --> 00:20:14,880 私が 期待なんかしたから 浅ましい 恥ずかしい》 298 00:20:14,880 --> 00:20:20,553 ご ごめんなさい。 ちゃんと事情 教えてくれたのに➨ 299 00:20:20,553 --> 00:20:22,521 私…。 300 00:20:22,521 --> 00:20:25,024 《だめだ このままここにいたら➨ 301 00:20:25,024 --> 00:20:27,693 彼女に すがってしまいそうになる》 302 00:20:27,693 --> 00:20:30,529 若さ…。 303 00:20:30,529 --> 00:20:33,532 泣いたりして ごめんなさい。 304 00:20:33,532 --> 00:20:36,335 顔を洗ってきますね。 305 00:20:43,375 --> 00:20:45,377 ふう…。 306 00:20:56,922 --> 00:21:00,659 《レグルスくん なんで あんなところに? 307 00:21:00,659 --> 00:21:02,862 しかも 一人で》 308 00:21:05,164 --> 00:21:08,334 《レグルスくん 私の弟。 309 00:21:08,334 --> 00:21:11,837 あの子は いったい どんな子なのだろう》 310 00:21:11,837 --> 00:21:14,540 (レグルス)は はくちゅっ…。 311 00:21:19,345 --> 00:21:21,647 《あれは 母の従僕》 312 00:21:24,350 --> 00:21:26,352 おおっ。 313 00:21:26,352 --> 00:21:28,354 レグルスくん! 314 00:21:28,354 --> 00:21:31,157 うあ~。 《間に合わない!》 315 00:21:33,526 --> 00:21:36,362 うっ…。 316 00:21:36,362 --> 00:21:39,865 きゃあ 若様! (宇都宮)レグルス様! 317 00:21:45,538 --> 00:21:48,641 《レグルスくん よかった》 318 00:21:53,212 --> 00:21:57,383 兄と呼ぶのも 汚らわしい豚め。 319 00:21:57,383 --> 00:21:59,885 覚悟してもらおう》 320 00:21:59,885 --> 00:22:03,189 《鳳蝶:これは レグルスくん? 321 00:22:03,189 --> 00:22:09,061 あぁ 私はいつか レグルスくんに殺されるんだ》