1 00:00:15,349 --> 00:00:18,352 (鳳蝶)んん… ん…。 2 00:00:18,352 --> 00:00:20,687 《私の部屋だ…》 3 00:00:20,687 --> 00:00:22,689 いっ!! 4 00:00:22,689 --> 00:00:26,026 《なんじゃこりゃ~ 体じゅう痛っ! 5 00:00:26,026 --> 00:00:30,364 起き上がれない! 私 どうなっちゃったの?》 6 00:00:30,364 --> 00:00:34,368 ハッ? いやぁ~ 腹肉が~っ! 7 00:00:34,368 --> 00:00:37,538 うぅ… えいっ! えっ!! 8 00:00:37,538 --> 00:00:41,041 はあ? (レグルス)もち もち もち もち…。 9 00:00:41,041 --> 00:00:44,044 いっだ! いだだだだだ いや~っ。 10 00:00:44,044 --> 00:00:46,046 誰か~っ!! 11 00:02:28,015 --> 00:02:30,684 (宇都宮)たいへん 申し訳ございませんでした! 12 00:02:30,684 --> 00:02:33,186 (ロッテンマイヤー) あなたは1度ならず2度までも。 13 00:02:33,186 --> 00:02:36,523 昨日も あなたが レグルス様から目を離したせいで➨ 14 00:02:36,523 --> 00:02:38,692 若様が怪我をされたのですよ! 15 00:02:38,692 --> 00:02:42,696 レグルス様だって 若様がいなければ どうなっていたか! 16 00:02:42,696 --> 00:02:45,699 (宇都宮)はい 本当に深く反省…。 (レグルス)にぃに。 17 00:02:45,699 --> 00:02:48,869 おなかすいた! 18 00:02:48,869 --> 00:02:51,038 レグルスくん。 ん? 19 00:02:51,038 --> 00:02:54,374 あそこにかかっているカバンを 持ってきてくれますか? 20 00:02:54,374 --> 00:02:56,543 はあ~い! 21 00:02:56,543 --> 00:02:58,712 んしょ~ あ~い! 22 00:02:58,712 --> 00:03:03,316 はい これ! ありがと~。 たしか この中に…。 23 00:03:03,316 --> 00:03:06,486 《百華:これは褒美じゃ》 24 00:03:06,486 --> 00:03:08,989 (鳳蝶)姫君からもらった桃! 25 00:03:11,024 --> 00:03:16,329 (鳳蝶)おぉ~ さすが姫君の桃 勝手に食べやすい大きさに! 26 00:03:16,329 --> 00:03:18,331 はい! 27 00:03:18,331 --> 00:03:21,201 おいち~! 28 00:03:21,201 --> 00:03:23,203 《やっ やだ やめて~。 29 00:03:23,203 --> 00:03:26,707 美幼児が喜ぶまぶしさで 豚が焼けてしまうよ~》 30 00:03:26,707 --> 00:03:28,708 はあ… はい。 31 00:03:28,708 --> 00:03:32,345 《いや ホント美幼児まぶしい》 あ~ん。 32 00:03:32,345 --> 00:03:38,385 《ってか 体じゅう痛いし めまいはするし もう限界…》 33 00:03:38,385 --> 00:03:41,054 にぃに! ふえ? んん…。 34 00:03:41,054 --> 00:03:43,023 おいちい? 35 00:03:45,058 --> 00:03:48,061 お… おぉ! ありがとう! 36 00:03:48,061 --> 00:03:50,397 どういたちまして。 37 00:03:50,397 --> 00:03:55,068 このたびは 私がレグルス様から 目を離したばっかりに➨ 38 00:03:55,068 --> 00:03:57,571 若君様におかれましては…。 39 00:03:57,571 --> 00:04:00,974 あぁ いや 謝らなくていいですよ。 それに…。 40 00:04:00,974 --> 00:04:03,977 レグルスくんを突き落としたのは…。 41 00:04:03,977 --> 00:04:06,480 《おぉっ…。 42 00:04:06,480 --> 00:04:08,482 (セバスチャン)チッ》 43 00:04:08,482 --> 00:04:12,319 母の従僕のセバスチャンです。 44 00:04:12,319 --> 00:04:14,488 (ロマノフ)見たんですか 鳳蝶くん。 45 00:04:14,488 --> 00:04:16,823 はい ハッキリと。 46 00:04:16,823 --> 00:04:20,327 でも私以外は 誰も見ていなかったとなると➨ 47 00:04:20,327 --> 00:04:22,996 真実を突きつけたところで➨ 48 00:04:22,996 --> 00:04:26,333 あれこれ理由をつけて 言い逃れされそうですね。 49 00:04:26,333 --> 00:04:30,837 逆に 世話役の宇都宮さんの 監督不行届きを突いて➨ 50 00:04:30,837 --> 00:04:35,342 責任転嫁されるかもしれませんよ。 (鳳蝶)そうですね。 51 00:04:35,342 --> 00:04:37,677 安心してください 宇都宮さん。 52 00:04:37,677 --> 00:04:40,514 そんなことにはさせませんから。 えっ! 53 00:04:40,514 --> 00:04:44,351 どうしたんですか? い… いえ… その…。 54 00:04:44,351 --> 00:04:47,854 私が向こうのお屋敷で 聞いていた話とは➨ 55 00:04:47,854 --> 00:04:50,023 違うなって…。 (鳳蝶)えっ? 56 00:04:50,023 --> 00:04:53,026 こちらでは レグルス様は疎まれているから➨ 57 00:04:53,026 --> 00:04:55,862 お守りするようにと 仰せつかっていたんです。 58 00:04:55,862 --> 00:04:58,698 《まあ そうなるだろうな~》 59 00:04:58,698 --> 00:05:02,969 実はですね 私は当家の事情を知らなくて➨ 60 00:05:02,969 --> 00:05:06,973 レグルスくんのことも つい先日 知ったばかりなんです。 61 00:05:06,973 --> 00:05:09,476 なので 疎みようもないというか…。 62 00:05:09,476 --> 00:05:12,479 では レグルス様をお知りになった今は? 63 00:05:12,479 --> 00:05:15,982 う~ん そうですね 正直に言うと…。 64 00:05:15,982 --> 00:05:19,686 少し うらやましくは あるかもしれません。 65 00:05:19,686 --> 00:05:24,024 レグルスくんを見る父の目は とても優しかった。 66 00:05:24,024 --> 00:05:27,360 私を あんなふうには見ないでしょう。 67 00:05:27,360 --> 00:05:30,363 抱き上げられてもいましたね。 68 00:05:30,363 --> 00:05:36,036 それに比べ私は 両親の顔と声も まともには知らなかった。 69 00:05:36,036 --> 00:05:38,205 でもそれは ないものねだりです。 70 00:05:38,205 --> 00:05:41,041 レグルスくんに ぶつけるものではありません。 71 00:05:41,041 --> 00:05:44,711 複雑ではありますが 私と両親の事情は➨ 72 00:05:44,711 --> 00:05:47,047 この子には関係のないことです。 73 00:05:47,047 --> 00:05:49,049 そう言われても➨ 74 00:05:49,049 --> 00:05:52,052 すぐに安心できるものでは ないでしょうが➨ 75 00:05:52,052 --> 00:05:56,723 不安ならば 私からはレグルスくんに 近づかないようにしましょう。 76 00:05:56,723 --> 00:05:59,059 ところで あの…。 77 00:05:59,059 --> 00:06:00,961 レグルスくんは さっきから➨ 78 00:06:00,961 --> 00:06:04,464 なぜ私のおなかを もちもちしているんですかね? 79 00:06:04,464 --> 00:06:07,300 わかりかねます。 えぇ…。 80 00:06:07,300 --> 00:06:11,972 鳳蝶くん 弟君は 2~3日こちらに滞在して➨ 81 00:06:11,972 --> 00:06:14,140 帝都に お帰りになるそうですよ。 82 00:06:14,140 --> 00:06:16,643 そうなんですか? はい。 83 00:06:16,643 --> 00:06:20,647 ですから今後のことは さほど 難しいことではありませんよ。 84 00:06:20,647 --> 00:06:23,817 なにせ めったにお会いしない 距離なんですから。 85 00:06:23,817 --> 00:06:26,653 《それじゃあ レグルスくんに関しては➨ 86 00:06:26,653 --> 00:06:29,656 あのセバスチャンとやらの動向に 目を光らせておけば➨ 87 00:06:29,656 --> 00:06:31,658 何とかなりそうだな》 88 00:06:31,658 --> 00:06:33,994 勝手に お決めにならないでください! 89 00:06:33,994 --> 00:06:37,497 本気で レグルス様の家庭教師を 断るおつもりですか!? 90 00:06:37,497 --> 00:06:40,834 宇都宮さん! 私 納得いたしかねます! 91 00:06:40,834 --> 00:06:42,836 おかしなことを…。 92 00:06:42,836 --> 00:06:46,006 なぜ あなたに納得して いただかねばならないのです? 93 00:06:46,006 --> 00:06:49,009 旦那様も納得されていません! 94 00:06:49,009 --> 00:06:52,512 ですから どうして 納得していただく必要が? 95 00:06:52,512 --> 00:06:54,514 あなたが仕える あるじは➨ 96 00:06:54,514 --> 00:06:57,183 菊乃井家の当主 旦那様だからです! 97 00:06:57,183 --> 00:06:59,953 当然ではないですか! 宇都宮さん! 98 00:06:59,953 --> 00:07:04,291 ロマノフ先生 菊乃井家の使用人が ご無礼いたしました。 99 00:07:04,291 --> 00:07:07,961 どうか お許しを。 あぁ ロッテンマイヤーさん。 100 00:07:07,961 --> 00:07:10,297 あなたから 謝罪していただかなくても➨ 101 00:07:10,297 --> 00:07:13,633 結構ですよ。 彼女は 正式にはまだ➨ 102 00:07:13,633 --> 00:07:16,336 菊乃井家の 使用人ではないのでしょう? 103 00:07:16,336 --> 00:07:19,673 それに 菊乃井家の 使用人であるならなおさら➨ 104 00:07:19,673 --> 00:07:21,841 この場合は あなたではなく➨ 105 00:07:21,841 --> 00:07:25,512 伯爵か伯爵夫人が 謝罪するものです。 106 00:07:25,512 --> 00:07:28,348 《これは なんか地雷を踏んだっぽい》 107 00:07:28,348 --> 00:07:33,353 フッ… たかが伯爵家の当主風情が 私のあるじ? 108 00:07:33,353 --> 00:07:35,355 冗談も大概にしなさい。 109 00:07:35,355 --> 00:07:39,326 しっ… 失礼します! 110 00:07:39,326 --> 00:07:41,828 あ…。 111 00:07:41,828 --> 00:07:46,166 どうしました? ロマノフ先生って もしかして➨ 112 00:07:46,166 --> 00:07:48,835 とっても偉い人だったり するんですか? 113 00:07:48,835 --> 00:07:52,005 ナイショです 今はまだ ねっ。 114 00:07:52,005 --> 00:07:55,008 ふあぁ~ 美しさで豚を焼くの➨ 115 00:07:55,008 --> 00:07:57,610 禁止して! まぶしい…。 116 00:07:59,713 --> 00:08:01,948 (鳳蝶)あれ? おかしい。 117 00:08:01,948 --> 00:08:05,285 さっきまで地獄かと思うほど 痛かったのに…。 118 00:08:05,285 --> 00:08:07,787 鳳蝶くん? 119 00:08:07,787 --> 00:08:10,490 おぉ もう全然痛くない。 120 00:08:12,459 --> 00:08:14,461 (ロマノフ)傷がない! 121 00:08:14,461 --> 00:08:18,131 うそ! アザも きれいに消えている。 どうして? 122 00:08:18,131 --> 00:08:22,969 ちょ… 太い脚を そんなに まじまじと見ないでほしい。 123 00:08:22,969 --> 00:08:27,307 あっ もしかして さっき弟君と食べていた桃! 124 00:08:27,307 --> 00:08:30,143 あれは 姫君から賜った仙桃ですか? 125 00:08:30,143 --> 00:08:32,145 はい… あれ? 126 00:08:32,145 --> 00:08:35,982 姫君にいただいた桃のこと 先生に話しましたっけ? 127 00:08:35,982 --> 00:08:38,485 今朝 姫君に お会いしにいったのです。 128 00:08:38,485 --> 00:08:41,654 鳳蝶くんが怪我で 今日は来られないのでね。 129 00:08:41,654 --> 00:08:43,656 その際に…。 130 00:08:43,656 --> 00:08:48,495 《わらわが授けた桃を食べれば すぐに傷など消えようぞ。 131 00:08:48,495 --> 00:08:52,499 養生に努め 早う わらわのために歌いに来い》 132 00:08:52,499 --> 00:08:54,667 と おっしゃっていました。 133 00:08:54,667 --> 00:08:59,172 あ~ なるほど。 姫君? 桃? 仙桃? 134 00:08:59,172 --> 00:09:02,942 一切れ食べただけで 全身の傷が治るなんて➨ 135 00:09:02,942 --> 00:09:06,946 すごい桃だったんですね。 もらってよかったのかな? 136 00:09:06,946 --> 00:09:09,949 ん? 一切れだけ? はい。 137 00:09:09,949 --> 00:09:12,952 レグルスくんが おなかが すいていたみたいだったので➨ 138 00:09:12,952 --> 00:09:15,288 ほとんど 食べさせてしまいましたが。 139 00:09:15,288 --> 00:09:17,457 (宇都宮)え~っ! 仙桃って!? 140 00:09:17,457 --> 00:09:20,460 鳳蝶くんは 本当にもう大丈夫なんですね? 141 00:09:20,460 --> 00:09:23,463 はい もうすっかり! ならよし! 142 00:09:23,463 --> 00:09:25,465 (ノック) 143 00:09:25,465 --> 00:09:27,634 (ロッテンマイヤー)若様 レグルス様。 144 00:09:27,634 --> 00:09:30,970 旦那様と奥様が 応接間でお待ちです。 145 00:09:30,970 --> 00:09:36,009 ロマノフ先生と宇都宮さんも 一緒にいらっしゃるようにと。 146 00:09:36,009 --> 00:09:38,011 はい。 147 00:09:38,011 --> 00:09:41,848 (ロッテンマイヤー)お連れしました。 あぁ。 148 00:09:41,848 --> 00:09:44,484 おぉ…。 149 00:09:44,484 --> 00:09:48,021 あの 先生 私ひとりで座れます。 150 00:09:48,021 --> 00:09:51,991 鳳蝶くんは怪我をしているんです。 無理しちゃダメですよ。 151 00:09:51,991 --> 00:09:55,328 いやいや そんな 重いですから。 152 00:09:55,328 --> 00:09:57,997 まあ 羽のように軽いとは 言いませんが➨ 153 00:09:57,997 --> 00:10:00,834 別段 気になりませんよ。 アハハハハ! 154 00:10:00,834 --> 00:10:03,636 《ぐぬぬ 細マッチョめ》 155 00:10:10,677 --> 00:10:14,714 《でも こうやって 膝に乗せてくれてるってことは➨ 156 00:10:14,714 --> 00:10:19,552 先生は私の味方で いてくれるってことなのかな…》 157 00:10:19,552 --> 00:10:22,388 話は ロッテンマイヤーから聞いた。 158 00:10:22,388 --> 00:10:25,225 当家の宇都宮の無礼を謝罪する。 159 00:10:25,225 --> 00:10:28,394 まあっ 当家のだなんて ロマノフ卿。 160 00:10:28,394 --> 00:10:31,564 その娘は 当家とは何のゆかりもない娘。 161 00:10:31,564 --> 00:10:34,567 煮るなり焼くなり お好きになさればよろしいわ。 162 00:10:34,567 --> 00:10:38,571 これだから 下賤な家の使用人は困るのよ! 163 00:10:38,571 --> 00:10:42,408 帝国認定英雄である アレクセイ・ロマノフ卿のあるじが➨ 164 00:10:42,408 --> 00:10:44,744 たかだか婿養子の当主ですって? 165 00:10:44,744 --> 00:10:47,413 《帝国認定英雄?》 166 00:10:47,413 --> 00:10:50,416 まったく なんて無知で 恥知らずなのかしら。 167 00:10:50,416 --> 00:10:54,087 その男を手に入れるために なりふりかまわなかった醜女が➨ 168 00:10:54,087 --> 00:10:57,090 よく言うものだな! なんですって! 169 00:10:57,090 --> 00:10:59,592 誰のおかげで 食うや食わずの生活から➨ 170 00:10:59,592 --> 00:11:01,494 抜け出せたと思っているの! 171 00:11:01,494 --> 00:11:03,663 犬でも恩義を忘れないというのに。 172 00:11:03,663 --> 00:11:06,332 あら? 犬と比べたら 犬に失礼だったかしら? 173 00:11:06,332 --> 00:11:09,335 言うに事欠いて犬畜生以下だと!? 174 00:11:09,335 --> 00:11:11,671 《あ~ こういうのを➨ 175 00:11:11,671 --> 00:11:15,008 家庭教師とはいえ お客様に見せるってのは➨ 176 00:11:15,008 --> 00:11:17,343 どうなんだろう…。 177 00:11:17,343 --> 00:11:21,681 この男はこの男で 母に忠実というより➨ 178 00:11:21,681 --> 00:11:26,352 他人の不幸が蜜の味に思える たぐいの人種っぽいし…》 179 00:11:26,352 --> 00:11:29,355 あらあら 羽虫が騒々しいこと。 180 00:11:29,355 --> 00:11:32,358 知性のない虫は 騒ぐことしかできないのかしら? 181 00:11:32,358 --> 00:11:35,695 いいかげん やかましく鳴くのは やめたらどうだ? 182 00:11:35,695 --> 00:11:39,532 まあ 豚に人間の言葉が 理解できるとは思わんが。 183 00:11:39,532 --> 00:11:42,368 あの~ 質問していいですか? 184 00:11:42,368 --> 00:11:44,370 はい 鳳蝶くん 何でしょう? 185 00:11:44,370 --> 00:11:49,542 帝国認定英雄って 何ですか? 186 00:11:49,542 --> 00:11:52,378 帝国認定英雄とはですね➨ 187 00:11:52,378 --> 00:11:56,049 皇帝陛下が 英雄であると お認めになった証しである➨ 188 00:11:56,049 --> 00:11:58,551 免状を持つ人物のことです。 189 00:11:58,551 --> 00:12:02,855 国家に対して膨大な寄与や功績が ある者に対して➨ 190 00:12:02,855 --> 00:12:05,024 与えられる免状なんですよ。 191 00:12:05,024 --> 00:12:07,694 へぇ~ そうなんですか。 192 00:12:07,694 --> 00:12:10,530 先生 すごいエルフさんなんですね。 193 00:12:10,530 --> 00:12:12,532 ちなみに免状には➨ 194 00:12:12,532 --> 00:12:15,368 「余に刃を向ける以外のことを ゆるし➨ 195 00:12:15,368 --> 00:12:17,370 意にそぐわぬ者には➨ 196 00:12:17,370 --> 00:12:20,039 頭を垂れずとも よいことを明言す」➨ 197 00:12:20,039 --> 00:12:23,376 「汝のあるじは 汝が求むる以外は皇帝のみ➨ 198 00:12:23,376 --> 00:12:28,348 何人も汝に臣従を迫るを許さず」 とあります。 199 00:12:28,348 --> 00:12:31,017 つまり私が望まない限り➨ 200 00:12:31,017 --> 00:12:34,020 私の上位者は 皇帝のみってことですね。 201 00:12:37,357 --> 00:12:39,359 まあ 鳳蝶くんが知らないのは➨ 202 00:12:39,359 --> 00:12:42,528 致し方ないと思うんですよ。 5歳ですし。 203 00:12:42,528 --> 00:12:46,032 私も あえて 教えてませんでした… し? 204 00:12:46,032 --> 00:12:48,701 ぐっ。 しかしねえ➨ 205 00:12:48,701 --> 00:12:52,538 伯爵家の使用人としては どうなんでしょうね。 206 00:12:52,538 --> 00:12:57,243 しかも 仕えるあるじの家庭教師に なるかもしれない人物の素性を➨ 207 00:12:57,243 --> 00:13:00,613 何も調べないなんて… ねぇ? 208 00:13:03,516 --> 00:13:07,687 《なるほど これは宇都宮さんの分が悪いよ。 209 00:13:07,687 --> 00:13:11,524 知らなかったとはいえ 帝国認定英雄に対して…》 210 00:13:11,524 --> 00:13:13,693 《あなたが仕える あるじは➨ 211 00:13:13,693 --> 00:13:16,696 菊乃井家の当主 旦那様だからです!》 212 00:13:16,696 --> 00:13:20,033 《なんて 侮辱にも等しい》 213 00:13:20,033 --> 00:13:23,536 まったく あちらは どういう教育をしていたのかしら。 214 00:13:23,536 --> 00:13:26,372 だから今 当家の責任として! 215 00:13:26,372 --> 00:13:29,709 《で その責任は どちらのものか➨ 216 00:13:29,709 --> 00:13:33,046 この2人は今 なすりつけ合ってるわけか。 217 00:13:33,046 --> 00:13:35,715 別居したって どちらも菊乃井家。 218 00:13:35,715 --> 00:13:40,720 貴族社会的に 菊乃井家として 無関係では済まないでしょうよ。 219 00:13:40,720 --> 00:13:44,390 さて どう収拾を図るのか…。 220 00:13:44,390 --> 00:13:47,393 今はまず これ以上 恥の上塗りしないために➨ 221 00:13:47,393 --> 00:13:50,229 どうすればいいかを 考えるべきでは? 222 00:13:50,229 --> 00:13:53,399 あんたら 頭おかしいんじゃないか? 223 00:13:53,399 --> 00:13:56,736 小さなレグルスくんの未来が かかってるのに。 224 00:13:56,736 --> 00:13:59,739 そして親父 あんたは レグルスくんが➨ 225 00:13:59,739 --> 00:14:02,975 先生の生徒になることに 全力を尽くせ! 226 00:14:02,975 --> 00:14:06,979 親父にできないのなら私が! うぅ…》 227 00:14:06,979 --> 00:14:08,981 (レグルス)うちゅのみや。 228 00:14:08,981 --> 00:14:11,584 あっち行こ あそぼ。 229 00:14:15,988 --> 00:14:17,990 ロマノフ先生。 230 00:14:17,990 --> 00:14:20,993 先生が レグルスくんの家庭教師になる話を➨ 231 00:14:20,993 --> 00:14:23,996 断った理由を 伺ってもいいですか? 232 00:14:23,996 --> 00:14:26,666 単に 興味がわかなかっただけですよ。 233 00:14:26,666 --> 00:14:31,003 興味? だってねぇ ちょっと目を離したら➨ 234 00:14:31,003 --> 00:14:34,006 おもしろいスキルが ポンポン生えてくる子が➨ 235 00:14:34,006 --> 00:14:36,008 身近にいるんですから。 236 00:14:36,008 --> 00:14:39,345 よそ見してる余裕は ないかな~って。 237 00:14:39,345 --> 00:14:41,514 《あぁ 私のせいか…》 238 00:14:41,514 --> 00:14:43,850 でも レグルスくんも➨ 239 00:14:43,850 --> 00:14:46,853 突然スキルが生える子かも しれないじゃないですか。 240 00:14:46,853 --> 00:14:50,356 半分は私と 血がつながっているわけですし。 241 00:14:50,356 --> 00:14:53,025 (ロマノフ)そうかもしれませんが➨ 242 00:14:53,025 --> 00:14:57,363 5歳で緑の手と青の手を 持ってる子を見てしまうとねぇ。 243 00:14:57,363 --> 00:15:02,001 レグルスくんも ここで過ごせば 同じスキルが生えるかもですよ? 244 00:15:02,001 --> 00:15:05,338 それじゃあ 鳳蝶くんの 二番煎じじゃないですか。 245 00:15:05,338 --> 00:15:08,975 なので その線からの説得は無理ですよ。 246 00:15:08,975 --> 00:15:11,978 ダメか バレてた…。 247 00:15:11,978 --> 00:15:14,647 じゃあ 正攻法でいきます! 248 00:15:14,647 --> 00:15:18,317 先生と菊乃井は どんな契約を 結んでいるのですか? 249 00:15:18,317 --> 00:15:20,486 ん~ それについては➨ 250 00:15:20,486 --> 00:15:23,990 ロッテンマイヤーさんに お願いしましょうか。 251 00:15:23,990 --> 00:15:28,027 その件でございますが アレクセイ・ロマノフ卿は➨ 252 00:15:28,027 --> 00:15:32,698 もともと私のほうから お声がけさせていただきました。 253 00:15:32,698 --> 00:15:35,535 しかし 家庭教師として➨ 254 00:15:35,535 --> 00:15:38,704 菊乃井家とは 一切 雇用関係はございません。 255 00:15:38,704 --> 00:15:41,374 《えっ うちの家庭教師じゃない?》 256 00:15:41,374 --> 00:15:44,544 (ロッテンマイヤー) 帝国では 帝国認定英雄に➨ 257 00:15:44,544 --> 00:15:47,547 宿と食事の提供を 求められた貴族は➨ 258 00:15:47,547 --> 00:15:49,715 これを拒否することはできません。 259 00:15:49,715 --> 00:15:54,720 我が菊乃井が ロマノフ卿から 宿と食事の提供を求められ➨ 260 00:15:54,720 --> 00:15:57,056 その見返りとして ご厚意で➨ 261 00:15:57,056 --> 00:16:00,126 家庭教師をしていただいているに すぎないのです。 262 00:16:00,126 --> 00:16:02,462 《つまり ボランティア? 263 00:16:02,462 --> 00:16:06,299 ボランティアじゃ 正攻法も通用しないし 強制もできない。 264 00:16:06,299 --> 00:16:08,301 ダメだ! 早速詰んだ!》 265 00:16:08,301 --> 00:16:13,306 うふふ はははは。 ん~。 266 00:16:13,306 --> 00:16:15,641 《うぅ~ 応援されている。 267 00:16:15,641 --> 00:16:19,645 よし もうちょい頑張るか。 何より レグルスくんのため! 268 00:16:19,645 --> 00:16:22,148 ロマノフ先生は 私のやることなすことに➨ 269 00:16:22,148 --> 00:16:24,984 興味があると言っている。 270 00:16:24,984 --> 00:16:26,986 突破口は そこだな》 271 00:16:26,986 --> 00:16:31,657 家庭教師が 実はご厚意だった というのは よくわかりました。 272 00:16:31,657 --> 00:16:37,330 それに甘えて レグルスくんの教育まで というのは確かに厚かましい。 273 00:16:37,330 --> 00:16:41,167 おや 諦めますか? そうですね。 274 00:16:41,167 --> 00:16:44,837 これ以上お願いするのは 私としても気が引けます。 275 00:16:44,837 --> 00:16:47,506 若様 そんな…。 276 00:16:47,506 --> 00:16:51,344 なので私が ロマノフ先生に教わったことを➨ 277 00:16:51,344 --> 00:16:54,847 レグルスくんに教えます! (ロマノフ)おやまあ…。 278 00:16:54,847 --> 00:16:58,851 人に教えるのは 真に その物事を理解しているかの➨ 279 00:16:58,851 --> 00:17:01,954 確認になります。 だから私は➨ 280 00:17:01,954 --> 00:17:05,992 レグルスくんに授業する時は 先生に そばについてもらって➨ 281 00:17:05,992 --> 00:17:10,830 私が間違ったことを言ったら 私に指導してくださったら と。 282 00:17:10,830 --> 00:17:14,500 考えましたねぇ… というか➨ 283 00:17:14,500 --> 00:17:18,137 君は やっぱり おもしろいことを言い出しますね。 284 00:17:18,137 --> 00:17:20,473 ダメ… ですか? 285 00:17:20,473 --> 00:17:25,478 そうですねぇ ただ鳳蝶くんは 剣術や弓術は苦手でしょう? 286 00:17:25,478 --> 00:17:29,649 そちらは… 私が レグルスくんに負けたら➨ 287 00:17:29,649 --> 00:17:33,653 仇を討って レグルスくんを コテンパンに負かしてやってください。 288 00:17:33,653 --> 00:17:37,156 あはは そうきましたか。 まあいいでしょう。 289 00:17:37,156 --> 00:17:40,826 ただし あくまで教えるのは 鳳蝶くんですからね。 290 00:17:40,826 --> 00:17:43,029 よっしゃ! うふふふ。 291 00:17:46,666 --> 00:17:49,335 いやはや 若様はお優しい。 292 00:17:49,335 --> 00:17:51,837 このセバスチャン 感服いたしました。 293 00:17:51,837 --> 00:17:53,839 ありがとうございます。 294 00:17:53,839 --> 00:17:56,008 しかし 果たしてそれが➨ 295 00:17:56,008 --> 00:17:59,045 若様のおために なりますでしょうか。 296 00:17:59,045 --> 00:18:02,315 レグルス様は奥様の ご心痛の象徴。 297 00:18:02,315 --> 00:18:05,117 その方を この屋敷に留め置くのは➨ 298 00:18:05,117 --> 00:18:07,954 ご子息であられる鳳蝶様は当然➨ 299 00:18:07,954 --> 00:18:12,124 奥様のお気持ちを お察しくださるものと存じますが。 300 00:18:12,124 --> 00:18:17,663 《こいつ 私にレグルスくんを 追い出す手伝いをさせたいのか》 301 00:18:17,663 --> 00:18:20,100 それは両親が話し合って 解決することで➨ 302 00:18:20,100 --> 00:18:24,003 私が口出しすることでは ありません。 303 00:18:24,003 --> 00:18:28,474 母親を亡くして 知らない場所に 連れてこられた小さな子どもに➨ 304 00:18:28,474 --> 00:18:31,644 私が同情して何が悪いのですか。 305 00:18:31,644 --> 00:18:36,849 さすがは奥様のご子息 立派なお心構えかと。 306 00:18:36,849 --> 00:18:39,352 《ぐぬぬ… 嫌味な笑い方だ》 307 00:18:39,352 --> 00:18:42,355 しかし やはりレグルス様を受け入れるのは➨ 308 00:18:42,355 --> 00:18:45,691 早計ではございませんか? 意味がわかりかねます。 309 00:18:45,691 --> 00:18:49,528 確かに 婚姻外のお子に 家督を継がせるのは➨ 310 00:18:49,528 --> 00:18:52,031 国法で禁じられておりますが➨ 311 00:18:52,031 --> 00:18:55,868 恐れながら 恩を仇で返される可能性も。 312 00:18:55,868 --> 00:18:59,372 物事には例外というものが ございますゆえ。 313 00:18:59,372 --> 00:19:01,273 貴様 どういう意味だ! 314 00:19:01,273 --> 00:19:03,776 《それって つまり➨ 315 00:19:03,776 --> 00:19:07,613 私が殺される可能性を考えろと。 316 00:19:07,613 --> 00:19:11,784 なぜか私にはわかる あの時 見えた光景が…》 317 00:19:11,784 --> 00:19:16,455 《兄と呼ぶのも汚らわしい豚め 覚悟してもらおう》 318 00:19:16,455 --> 00:19:19,792 《鳳蝶:確定された未来なのだと》 319 00:19:19,792 --> 00:19:22,294 だから何だというのです。 320 00:19:22,294 --> 00:19:24,964 そんなこと こっちは百も承知ですが。 321 00:19:24,964 --> 00:19:26,966 (3人)うっ! 322 00:19:26,966 --> 00:19:31,303 実際 私は半年前に 病で死にかけた身ですしね。 323 00:19:31,303 --> 00:19:34,140 人間 何があるかわからない。 324 00:19:34,140 --> 00:19:36,976 そういう意味でも 代わりは必要です。 325 00:19:36,976 --> 00:19:40,312 別に代わりは レグルスくんに限りません。 326 00:19:40,312 --> 00:19:43,649 仮に 新たに弟や妹ができたとしても➨ 327 00:19:43,649 --> 00:19:46,652 同じ対応をすると約束します。 328 00:19:46,652 --> 00:19:48,988 ただ セバスチャン。 329 00:19:48,988 --> 00:19:52,324 あなたがレグルスくんを 階段から突きとばしたのを➨ 330 00:19:52,324 --> 00:19:54,660 私は この目で しっかりと見ています。 331 00:19:54,660 --> 00:19:58,330 なんだと! まさか そのような。 332 00:19:58,330 --> 00:20:01,500 きっと 鳳蝶様の見間違いにございます。 333 00:20:01,500 --> 00:20:04,336 (鳳蝶)誰かの差し金とは 思っていませんが➨ 334 00:20:04,336 --> 00:20:07,173 あなたが そういう人だ ということについては➨ 335 00:20:07,173 --> 00:20:09,341 記憶に残します。 336 00:20:09,341 --> 00:20:13,679 しかるべき形 遺言書にして ロマノフ先生にお渡ししますから➨ 337 00:20:13,679 --> 00:20:16,515 そのおつもりで。 338 00:20:16,515 --> 00:20:19,018 そして父上は➨ 339 00:20:19,018 --> 00:20:23,022 母上に レグルスくんの教育費を 払って差し上げてください。 340 00:20:23,022 --> 00:20:26,525 それも 父個人の収入から。 はっ? 341 00:20:26,525 --> 00:20:30,029 菊乃井家の財産は もともと母上のもの。 342 00:20:30,029 --> 00:20:33,866 レグルスくんは 父上と あちらの方の子どもです。 343 00:20:33,866 --> 00:20:37,036 母上が教育費を出すいわれは ないですよね。 344 00:20:37,036 --> 00:20:40,539 そうよ! 鳳蝶 もっと言って差し上げなさい! 345 00:20:40,539 --> 00:20:44,043 なので 菊乃井家の領地を ちゃんと経営し➨ 346 00:20:44,043 --> 00:20:48,047 できたお金を きちんと 借用書を書いて借り受け➨ 347 00:20:48,047 --> 00:20:52,718 それを元手に 父上個人の事業を 起こされたらどうでしょう。 348 00:20:52,718 --> 00:20:55,054 事業が成功したら➨ 349 00:20:55,054 --> 00:20:58,224 レグルスくんに譲られて しかるべき家として➨ 350 00:20:58,224 --> 00:21:01,327 独立させるのも 可能かと思いますし。 351 00:21:01,327 --> 00:21:03,696 くっ…。 352 00:21:03,696 --> 00:21:07,333 《あとは 大人で話し合ってほしい。 353 00:21:07,333 --> 00:21:11,003 前世の私の記憶を フル回転させたせいか➨ 354 00:21:11,003 --> 00:21:14,340 なんだか頭がクラクラする》 355 00:21:14,340 --> 00:21:17,343 うぅ…。 356 00:21:17,343 --> 00:21:22,014 ロマノフ先生 ロッテンマイヤーさん。 357 00:21:22,014 --> 00:21:26,218 父上と母上の証人を お願いいたします。 358 00:21:26,218 --> 00:21:30,389 2人が出した結論を 文章にしたためて➨ 359 00:21:30,389 --> 00:21:33,392 威力を持つような形にして➨ 360 00:21:33,392 --> 00:21:39,064 お手数ですが ロマノフ先生に お預かりいただきたいのです。 361 00:21:42,535 --> 00:21:46,038 私には 頼れる大人は➨ 362 00:21:46,038 --> 00:21:51,377 ロマノフ先生とロッテンマイヤーさんより他に いないのです。 363 00:21:51,377 --> 00:21:54,046 ご厄介とは思いますが➨ 364 00:21:54,046 --> 00:21:57,216 重ねて お願い… いた し…。 365 00:21:57,216 --> 00:21:59,418 若様! 366 00:22:02,988 --> 00:22:05,491 <私は熱を出し➨ 367 00:22:05,491 --> 00:22:09,595 このあと丸一日 寝込むこととなった>