1 00:01:55,048 --> 00:01:58,552 (鳳蝶)は 初めて お目にかかります。 イゴール様。 2 00:01:58,552 --> 00:02:00,487 (イゴール)面を上げるといいよ。 3 00:02:00,487 --> 00:02:03,991 堅苦しいのは 苦手なんだ。 は はい! 4 00:02:06,326 --> 00:02:10,831 《は~ この方が 空の神にして技術と医薬➨ 5 00:02:10,831 --> 00:02:15,669 風と商業を つかさどる神 イゴール様か。 6 00:02:15,669 --> 00:02:19,673 てか 神様って美形すぎて怖い》 7 00:02:19,673 --> 00:02:23,010 それって褒めてるのか けなしてるのか どっちさ。 8 00:02:23,010 --> 00:02:25,345 とっても真面目に褒めてます。 9 00:02:25,345 --> 00:02:27,681 《そうだった 神様には 考えてることなんて➨ 10 00:02:27,681 --> 00:02:29,683 筒抜けなんだった》 11 00:02:29,683 --> 00:02:32,853 あの! お聞きしたいことがございます。 12 00:02:32,853 --> 00:02:38,191 君につけた加護のことだね。 (鳳蝶)はい。 13 00:02:38,191 --> 00:02:42,696 恐れながら 私とイゴール様は 面識もございませんでした。 14 00:02:42,696 --> 00:02:45,699 なぜにと。 んふふ。 15 00:02:45,699 --> 00:02:49,369 《あっ あの折り紙は…。 16 00:02:49,369 --> 00:02:54,875 姫君に蝶を 作って差し上げたときの》 17 00:02:54,875 --> 00:02:57,377 ある日さ 百華が僕に➨ 18 00:02:57,377 --> 00:02:59,880 きれいな紙を 作ってほしいって言ってきてね➨ 19 00:02:59,880 --> 00:03:03,316 珍しいことも あるもんだと思っていたら➨ 20 00:03:03,316 --> 00:03:05,986 更に そのあと血相を変えて。 21 00:03:05,986 --> 00:03:09,823 ⸨百華:魂が離れやすくなる 病の治し方を教えよ! 22 00:03:09,823 --> 00:03:12,659 おぬし 医療をつかさどる神じゃろ! 23 00:03:12,659 --> 00:03:15,162 魂は 専門外だって!⸩ 24 00:03:15,162 --> 00:03:17,497 人間には あまり 興味のなかった百華が➨ 25 00:03:17,497 --> 00:03:22,002 あの慌てようで まぁ 何事かと思うよね。 26 00:03:22,002 --> 00:03:26,006 で 詳しく聞いてみたら 君の名前が出てきた。 27 00:03:26,006 --> 00:03:28,508 それで 私をお知りに。 28 00:03:28,508 --> 00:03:32,846 君には感謝してるんだ。 んふっ。 えっ? 29 00:03:32,846 --> 00:03:35,682 僕たち神は 信仰こそが力になる。 30 00:03:35,682 --> 00:03:39,186 生きとし生けるもの すべてから 捧げられる信仰こそが➨ 31 00:03:39,186 --> 00:03:42,689 僕たちの力の源だ。 それは わかる? 32 00:03:42,689 --> 00:03:45,525 えっと はい。 33 00:03:45,525 --> 00:03:49,529 百華や他の神は 自然そのものと 言っても差し支えがないから➨ 34 00:03:49,529 --> 00:03:51,698 それだけで十分 強い。 35 00:03:51,698 --> 00:03:54,868 だけど 僕は 人間がいて初めて➨ 36 00:03:54,868 --> 00:03:57,537 強い力を持つことができる。 37 00:03:57,537 --> 00:04:00,474 だって医療や技術 商売なんか➨ 38 00:04:00,474 --> 00:04:03,810 人間が いないと 成立しないからね。 39 00:04:03,810 --> 00:04:06,480 百華が 人間に興味を持って➨ 40 00:04:06,480 --> 00:04:08,648 何かしら恩恵を与えたら➨ 41 00:04:08,648 --> 00:04:12,652 それが 元になって 商売が起こるかもしれない。 42 00:04:12,652 --> 00:04:14,988 《それって もしかして…》 43 00:04:14,988 --> 00:04:17,824 商売が興れば 僕の力は増すし➨ 44 00:04:17,824 --> 00:04:21,495 その力で 人間に 恩恵を与えることができる。 45 00:04:21,495 --> 00:04:24,831 そうなると また経済が回るよね。 46 00:04:24,831 --> 00:04:29,669 《私の考える 菊乃井領の理想モデルと同じ》 47 00:04:29,669 --> 00:04:33,840 そうやって 巡り巡って あらゆる人を豊かにするし➨ 48 00:04:33,840 --> 00:04:37,844 豊かになった心で おのおのに 僕らを信じてくれたら➨ 49 00:04:37,844 --> 00:04:41,348 僕らは また人間に 恩恵を与えることができる。 50 00:04:41,348 --> 00:04:45,018 《そのとおり。 そうやって経済を回して➨ 51 00:04:45,018 --> 00:04:47,854 みんなが 豊かになるのが最善なのだ。 52 00:04:47,854 --> 00:04:50,524 だから 教育にも力を入れる。 53 00:04:50,524 --> 00:04:54,861 レグルスくんが その輪の中で名君と慕われ➨ 54 00:04:54,861 --> 00:04:58,532 愛し愛されて 生きていけるように》 55 00:04:58,532 --> 00:05:01,468 そう 僕と君の考えは似ている。 56 00:05:01,468 --> 00:05:06,807 そして 僕と似た考えを持っている 人間は わりと多いんだよ。 57 00:05:06,807 --> 00:05:10,810 そんな人間に 僕は恩恵を与えてきた。 58 00:05:10,810 --> 00:05:13,513 だから君にも。 んふっ。 59 00:05:16,149 --> 00:05:18,151 まぁ 未来への投資だし➨ 60 00:05:18,151 --> 00:05:20,487 当たるもはっけ 当たらぬもはっけの➨ 61 00:05:20,487 --> 00:05:22,989 気持ちでこっちはいるから 君は 気にせず➨ 62 00:05:22,989 --> 00:05:25,825 思ったように生きるといいよ。 63 00:05:25,825 --> 00:05:28,662 それに 君はもう 使命があるんでしょ? 64 00:05:28,662 --> 00:05:30,664 使命? 65 00:05:30,664 --> 00:05:32,666 百華と約束した使命だよ。 66 00:05:32,666 --> 00:05:35,335 百華に みゅーじかるを 捧げるんでしょ? 67 00:05:35,335 --> 00:05:37,837 《は 初耳だ!?》 68 00:05:37,837 --> 00:05:40,841 そ そんな約束をした 覚えがないんですが。 69 00:05:40,841 --> 00:05:42,842 えっ そうなの? 70 00:05:42,842 --> 00:05:45,345 う~ん でも君が 領地を豊かにしたら➨ 71 00:05:45,345 --> 00:05:48,014 みゅーじかるを見せてくれるって はしゃいでたけど。 72 00:05:48,014 --> 00:05:51,518 あっ でも教育が行き届けば➨ 73 00:05:51,518 --> 00:05:53,687 文字や楽譜を 読める人が増えるし➨ 74 00:05:53,687 --> 00:05:55,689 領地が 豊かになって➨ 75 00:05:55,689 --> 00:05:58,358 芝居にお金を 落とせる人が増えて➨ 76 00:05:58,358 --> 00:06:01,962 というような話は したかもしれません。 77 00:06:01,962 --> 00:06:03,964 あぁ それだね。 78 00:06:03,964 --> 00:06:06,299 百華は 思いこみが激しいから。 79 00:06:06,299 --> 00:06:08,969 《待って 神様と約束したってことは➨ 80 00:06:08,969 --> 00:06:12,138 本当に 成し遂げないと ヤバいのでは? 81 00:06:12,138 --> 00:06:15,642 だけど たしかに 私だってミュージカルが見たい。 82 00:06:15,642 --> 00:06:20,313 もっと言えば 菫の園の お芝居やレビューが観たい。 83 00:06:20,313 --> 00:06:24,150 それに必要なのは やっぱり教育だから》 84 00:06:24,150 --> 00:06:28,154 音楽学校かな。 んっ? 85 00:06:28,154 --> 00:06:31,825 音楽学校ができて そこに生徒を集められるくらい➨ 86 00:06:31,825 --> 00:06:34,160 豊かで教育が普及すれば➨ 87 00:06:34,160 --> 00:06:37,664 姫君の見たいものも お見せできるかもしれません。 88 00:06:37,664 --> 00:06:40,333 そう じゃあ まぁ➨ 89 00:06:40,333 --> 00:06:44,004 気負わず頑張れ。 はい。 90 00:06:44,004 --> 00:06:47,340 《そっか 長生きしないにしても➨ 91 00:06:47,340 --> 00:06:51,845 私にも レグルスくん以外の 生きがいがあってもいいよね》 92 00:06:51,845 --> 00:06:55,348 ところで鳳蝶 その腕輪みたいなものは何? 93 00:06:55,348 --> 00:06:57,851 えっ これですか? 94 00:06:57,851 --> 00:07:02,289 えっと この前 余計に作っていたミサンガ。 95 00:07:02,289 --> 00:07:04,291 刺繍糸で編んだんです。 96 00:07:04,291 --> 00:07:08,128 太さや 編む順番を変えれば いろいろな模様ができて。 97 00:07:08,128 --> 00:07:10,130 あっ。 じゃあ➨ 98 00:07:10,130 --> 00:07:12,632 お布施代わりに もらっていくね。 99 00:07:12,632 --> 00:07:16,970 あっ イゴール様! もうひとつ。 んっ? 100 00:07:16,970 --> 00:07:21,141 超絶技巧のスキルも イゴール様が つけてくださったんですか? 101 00:07:21,141 --> 00:07:23,476 それは僕じゃないよ。 102 00:07:23,476 --> 00:07:27,814 っていうか君 百華の前で 何か作ったろ。 えっ。 103 00:07:27,814 --> 00:07:31,651 ⸨せ~の はい。 104 00:07:31,651 --> 00:07:34,487 四角い紙から このような形に。 105 00:07:34,487 --> 00:07:38,325 なんと見事な なんとみやびな⸩ 106 00:07:38,325 --> 00:07:40,994 神の前で 神が認める技術を見せたら➨ 107 00:07:40,994 --> 00:07:43,496 そりゃ生えるさ。 108 00:07:43,496 --> 00:07:47,667 超絶技巧 あの折り紙で生えたんですか! 109 00:07:47,667 --> 00:07:50,003 鳳蝶 1人で頑張らなくても➨ 110 00:07:50,003 --> 00:07:53,173 世界中に 同じ気持ちの人間がいるんだよ。 111 00:07:53,173 --> 00:07:56,676 何より 後ろの エルフ2人も協力するっぽいし➨ 112 00:07:56,676 --> 00:08:00,113 遠慮なく手伝ってもらいなよ。 へっ? 113 00:08:00,113 --> 00:08:02,115 では またいずれ。 114 00:08:08,455 --> 00:08:10,557 ああっ。 115 00:08:13,960 --> 00:08:17,964 あの もしかして 全部見てらしたんですか? 116 00:08:17,964 --> 00:08:21,968 (ロマノフ)はい。 (ヴィクトル)僕 初めて神様に会ったよ。 117 00:08:21,968 --> 00:08:24,471 あーたん 音楽学校って何!? 118 00:08:24,471 --> 00:08:26,806 ミュージカルって? 僕も手伝う! 119 00:08:26,806 --> 00:08:29,976 絶対絶対 手伝うからね! 120 00:08:29,976 --> 00:08:31,978 <鳳蝶:いろんなことが あったものの➨ 121 00:08:31,978 --> 00:08:34,814 2週間後のマリアさんの コンサートに行くために➨ 122 00:08:34,814 --> 00:08:37,317 ヴィクトルさんと再会をお約束して➨ 123 00:08:37,317 --> 00:08:41,321 私の帝都 オノボリさん行は終わった> 124 00:08:41,321 --> 00:08:43,823 (鳳蝶)ただいま戻りました。 125 00:08:43,823 --> 00:08:47,160 よかったら これ 皆さんで召し上がってください。 126 00:08:47,160 --> 00:08:51,498 帝都名物の帝都クッキーです。 (宇都宮たち)えっ。 127 00:08:51,498 --> 00:08:54,167 遠慮しないでどうぞ。 128 00:08:54,167 --> 00:08:58,171 (エリーゼ)すご~い。 帝都のエンブレムが入ってますぅ~。 129 00:08:58,171 --> 00:09:02,442 (ヨーゼフ)ホントだ さすが帝都土産。 130 00:09:02,442 --> 00:09:05,445 (鳳蝶)料理長 こちらを。 131 00:09:05,445 --> 00:09:09,282 (モーリス)ほう これは初めて見る食材ですな。 132 00:09:09,282 --> 00:09:13,787 (鳳蝶)それは ウコンです。 乾燥させてから使います。 133 00:09:13,787 --> 00:09:16,122 ふむ。 すみません。 134 00:09:16,122 --> 00:09:19,793 皆さんに仕事があるのは 承知しているのですが。 135 00:09:19,793 --> 00:09:22,962 私も もちろん お手伝いしますぅ~。 136 00:09:22,962 --> 00:09:24,964 おいしいものが 食べられるなら➨ 137 00:09:24,964 --> 00:09:26,966 喜んで やらせていただきますよ。 138 00:09:26,966 --> 00:09:29,135 それに カレーライスでしたっけ? 139 00:09:29,135 --> 00:09:31,471 菊乃井の名物に なるってんなら➨ 140 00:09:31,471 --> 00:09:33,473 気合い入れてやりませんと! 141 00:09:33,473 --> 00:09:36,476 よろしくお願いします。 142 00:09:36,476 --> 00:09:41,147 <帝都で買ってきたものは それだけじゃない> 143 00:09:41,147 --> 00:09:45,151 これは つまみ細工にして ヘアピンの飾りにしよ。 144 00:09:45,151 --> 00:09:48,655 レグルスくんにも作ってあげよっと。 145 00:09:48,655 --> 00:09:51,658 < にわかにやることが 増えた私の作業に➨ 146 00:09:51,658 --> 00:09:53,827 新たに加わったのが…> 147 00:09:53,827 --> 00:09:58,164 (レグルス)は~っ! 148 00:09:58,164 --> 00:10:00,667 たあ~っ! (源三)ふん! 149 00:10:00,667 --> 00:10:02,836 ほれ! くっ! 150 00:10:02,836 --> 00:10:04,838 やあっ! ふん。 151 00:10:04,838 --> 00:10:08,508 《レグルスくんの 剣術の稽古の見学だ》 152 00:10:08,508 --> 00:10:10,810 うわっ! 153 00:10:12,846 --> 00:10:14,848 や~っ! 154 00:10:14,848 --> 00:10:16,850 《やわらかい土の上で 稽古してくれてるって➨ 155 00:10:16,850 --> 00:10:21,855 わかってるけど心臓に悪いよ》 んっ? 156 00:10:21,855 --> 00:10:25,024 若様 そんなに 心配なさらんでも➨ 157 00:10:25,024 --> 00:10:28,528 レグルス様のことは このじじいにお任せなされ。 158 00:10:28,528 --> 00:10:30,697 (鳳蝶)すみません。 源三さんが➨ 159 00:10:30,697 --> 00:10:33,199 気を張ってくださってるのは わかるんだけど➨ 160 00:10:33,199 --> 00:10:36,369 なんか落ち着かなくて。 (源三)ふぉっふぉっ ふぉっ。 161 00:10:36,369 --> 00:10:38,705 (鳳蝶)だって3歳ですよ。 162 00:10:38,705 --> 00:10:40,874 《3歳の小さな子が➨ 163 00:10:40,874 --> 00:10:43,543 おじいさんとはいえ 筋骨隆々の大人に➨ 164 00:10:43,543 --> 00:10:47,046 吹っ飛ばされるなんて 心臓に悪すぎる》 165 00:10:47,046 --> 00:10:51,217 あぁ 源三さん。 もうそのくらいで。 166 00:10:51,217 --> 00:10:55,555 そうですのぅ 若様が そうおっしゃるのなら。 167 00:10:55,555 --> 00:10:58,057 (レグルス)やっ! えっ? 168 00:10:58,057 --> 00:11:01,995 まだ れー負けてない。 169 00:11:01,995 --> 00:11:05,164 負けてない できる! 170 00:11:05,164 --> 00:11:08,668 え~っ。 にぃに れー負けてないの! 171 00:11:08,668 --> 00:11:11,337 いや でも けがしたら…。 嫌! 172 00:11:11,337 --> 00:11:13,840 にぃ… じゃなくて兄上! 173 00:11:13,840 --> 00:11:19,012 れーは じゃなくて! 私は まだできます! 174 00:11:19,012 --> 00:11:21,014 《私? 兄上? 175 00:11:21,014 --> 00:11:24,851 いつの間に そんな大人びた話し方に? 176 00:11:24,851 --> 00:11:30,356 こうやって子どもは 育っていくんだな うん》 177 00:11:32,525 --> 00:11:35,361 《私は 土でも耕しておくか》 (レグルス)や~っ たあ~っ! 178 00:11:35,361 --> 00:11:39,198 たあ~っ! 179 00:11:39,198 --> 00:11:42,202 おっと。 180 00:11:42,202 --> 00:11:44,604 ハァ!? 181 00:11:48,207 --> 00:11:51,110 《地面が… 割れた?》 182 00:11:53,046 --> 00:11:55,715 (源三)これは 派手にやりましたな。 183 00:11:55,715 --> 00:11:58,618 ハハハハ! 《あぁ… ハァ?》 184 00:12:00,820 --> 00:12:02,989 お手て痛い。 185 00:12:02,989 --> 00:12:07,493 にぃに お手て痛いの~。 186 00:12:07,493 --> 00:12:10,663 《この世界の幼児は 地面を割れるらしい。 187 00:12:10,663 --> 00:12:13,666 いや そんなわけあるか~い! 188 00:12:13,666 --> 00:12:17,003 と 突っ込みたいけど 宇都宮さんも》 189 00:12:17,003 --> 00:12:20,006 (宇都宮)え~っ そんなに驚くほどですかぁ? 190 00:12:20,006 --> 00:12:24,177 < みたいな反応で さすが魔術があって➨ 191 00:12:24,177 --> 00:12:28,681 神様にも会える世界だわ> 192 00:12:28,681 --> 00:12:31,517 《うん かわいい。 193 00:12:31,517 --> 00:12:34,854 青の手に加えて 超絶技巧のおかげかな。 194 00:12:34,854 --> 00:12:39,359 1つを仕上げる 速度が速くなった気がする》 195 00:12:39,359 --> 00:12:44,197 < そして姫君が お戻りになる日がきた> 196 00:12:44,197 --> 00:12:46,866 久しいの。 息災かや? 197 00:12:46,866 --> 00:12:50,203 (鳳蝶)はい おかげさまをもちまして。 198 00:12:50,203 --> 00:12:54,207 れー 私も元気です。 199 00:12:54,207 --> 00:12:59,545 うむ。 何やらひよこの頭が おもしろいことになっておるの。 200 00:12:59,545 --> 00:13:01,648 にぃにが 作ってくれたの。 201 00:13:01,648 --> 00:13:05,818 《レグルスくん あの大人びた 話し方はどこいっちゃったの》 202 00:13:05,818 --> 00:13:09,989 (百華)どれ 見せてみよ。 あっ それ れーの。 203 00:13:09,989 --> 00:13:13,159 わかっておるわ 見るだけじゃ。 204 00:13:13,159 --> 00:13:16,496 ふむ。 205 00:13:16,496 --> 00:13:19,999 《あっ この流れ覚えがある》 206 00:13:19,999 --> 00:13:22,835 ひよこの物を 取り上げる気はないぞ。 207 00:13:22,835 --> 00:13:28,341 代わりにほれ ほれ早う。 208 00:13:28,341 --> 00:13:30,677 どうした? もらってやるゆえ➨ 209 00:13:30,677 --> 00:13:35,348 差し出すがよいぞ。 うう…。 210 00:13:35,348 --> 00:13:39,519 わらわが もらってやると 言うておるのに拒むか? 211 00:13:39,519 --> 00:13:42,188 (雷の音) 212 00:13:42,188 --> 00:13:45,191 姫君 私は➨ 213 00:13:45,191 --> 00:13:47,193 姫君に差し上げるものは➨ 214 00:13:47,193 --> 00:13:50,029 姫君にお似合いのデザインを考えて➨ 215 00:13:50,029 --> 00:13:52,365 ふさわしい布を選び➨ 216 00:13:52,365 --> 00:13:55,034 私の持てる技術を すべてつぎ込んだ➨ 217 00:13:55,034 --> 00:13:58,204 最高のものでなければと 考えております。 218 00:13:58,204 --> 00:14:00,139 これは試作品です。 219 00:14:00,139 --> 00:14:03,309 わりと いいかげんな 気持ちで作ったのです。 220 00:14:03,309 --> 00:14:07,313 そんなものを姫君に 差し出すのは嫌なのです。 221 00:14:07,313 --> 00:14:09,315 ですので どうか。 222 00:14:09,315 --> 00:14:12,819 ふむ。 言われてみれば 今のは わらわが悪かった。 223 00:14:12,819 --> 00:14:15,988 許せよ。 つたなきものを差し出すなど➨ 224 00:14:15,988 --> 00:14:17,990 職人の名折れ➨ 225 00:14:17,990 --> 00:14:21,160 ましてや 相手は神なる わらわであるならば➨ 226 00:14:21,160 --> 00:14:25,832 最高のものを捧げたいと 思うのは 道理よの。 227 00:14:25,832 --> 00:14:27,834 許すも何も➨ 228 00:14:27,834 --> 00:14:29,836 姫君は 理不尽は おっしゃらないと➨ 229 00:14:29,836 --> 00:14:32,338 私 存じ上げております。 230 00:14:32,338 --> 00:14:34,674 うむ。 では改めて➨ 231 00:14:34,674 --> 00:14:38,678 これは 機織りの神が わらわのために織ったもの。 232 00:14:38,678 --> 00:14:40,680 気に入っておったが➨ 233 00:14:40,680 --> 00:14:43,349 天界のはやりから だいぶ 廃れてしまってのう。 234 00:14:43,349 --> 00:14:45,351 これをやるゆえ➨ 235 00:14:45,351 --> 00:14:48,521 わらわに似合う つまみ細工とやらを作れ。 236 00:14:48,521 --> 00:14:51,190 えっ もちろん お作りしますが➨ 237 00:14:51,190 --> 00:14:53,192 こんな きれいな布に➨ 238 00:14:53,192 --> 00:14:56,028 ハサミを入れていいんですか? かまわぬ。 239 00:14:56,028 --> 00:14:58,030 気に入ってはおるが➨ 240 00:14:58,030 --> 00:15:00,299 はやり廃りには 敏感でなくてはのう。 241 00:15:00,299 --> 00:15:03,636 わらわは 天界でも華であるゆえに。 242 00:15:03,636 --> 00:15:06,973 ほわ…。 余った布は 好きに使うがよいぞ。 243 00:15:06,973 --> 00:15:10,309 はい。 ありがとうございます。 244 00:15:10,309 --> 00:15:13,146 《そうだ もうひとつ》 245 00:15:13,146 --> 00:15:15,148 おそれながら姫君。 246 00:15:15,148 --> 00:15:17,483 お許しいただきたいことが ございまして。 247 00:15:17,483 --> 00:15:20,153 なんじゃ 申してみよ。 248 00:15:20,153 --> 00:15:23,322 (鳳蝶)このたび 宮廷音楽家の ヴィクトルさんという➨ 249 00:15:23,322 --> 00:15:27,160 エルフに歌の指導を お願いできることになりまして➨ 250 00:15:27,160 --> 00:15:29,328 彼は その対価として➨ 251 00:15:29,328 --> 00:15:33,332 異世界の歌を楽譜に起こす許可を 姫君に賜りたいと。 252 00:15:33,332 --> 00:15:38,004 楽譜か! それはみゅーじかるに 必要なものではないか! 253 00:15:38,004 --> 00:15:42,008 かまわぬ それは わらわの望みにもあたることじゃ。 254 00:15:42,008 --> 00:15:45,011 とくせよ。 ありがとうございます。 255 00:15:45,011 --> 00:15:50,016 うむ そのヴィクトルとやらと ともに励むがよいぞ。 256 00:15:50,016 --> 00:15:54,353 ゴホン では今日の歌を。 うむ。 257 00:15:54,353 --> 00:15:58,024 あっ いかん。 忘れるところであった。 えっ? 258 00:15:58,024 --> 00:16:01,961 そなたの病の話じゃ。 は はい! 259 00:16:01,961 --> 00:16:04,964 《そうだった 肉体と魂のつながりが➨ 260 00:16:04,964 --> 00:16:08,634 細くなるという病を 調べてきてくださったんだった》 261 00:16:08,634 --> 00:16:11,304 そなたの病は 離魂症じゃ。 262 00:16:11,304 --> 00:16:14,140 離婚症? 263 00:16:14,140 --> 00:16:17,143 大病など危篤に陥った 経験のある者が➨ 264 00:16:17,143 --> 00:16:19,979 ごくまれにかかる魂の病で➨ 265 00:16:19,979 --> 00:16:24,317 そなたは今 魂と肉体のつながりが 細く弱くなり➨ 266 00:16:24,317 --> 00:16:26,986 離れやすい状態になっておる。 267 00:16:26,986 --> 00:16:29,655 《違う 離婚症じゃない。 268 00:16:29,655 --> 00:16:33,159 魂が離れやすくなる 離魂症だ》 269 00:16:35,328 --> 00:16:37,830 残念ながら これの治療法はない。 270 00:16:37,830 --> 00:16:41,667 おまけに 症状が進めば 生命力が低下し➨ 271 00:16:41,667 --> 00:16:44,504 死に至ることもある。 272 00:16:44,504 --> 00:16:48,174 しかし その進行を止める方法はある。 273 00:16:48,174 --> 00:16:50,176 魔素神経を強くするのじゃ。 274 00:16:50,176 --> 00:16:53,513 魔素神経を? うむ。 275 00:16:53,513 --> 00:16:57,516 魔素神経は 魂とも 肉体ともつながっておる。 276 00:16:57,516 --> 00:17:00,953 魔素神経を鍛えて 太く強くすれば➨ 277 00:17:00,953 --> 00:17:05,958 すなわち肉体と魂のつながりも 強くなるということらしい。 278 00:17:05,958 --> 00:17:09,462 大ざっぱに言えば まぁ そういうことじゃ。 279 00:17:09,462 --> 00:17:12,465 ともかく 魔素神経を鍛えるのが➨ 280 00:17:12,465 --> 00:17:15,968 離魂症の対処法だと 氷輪にそう教わった。 281 00:17:15,968 --> 00:17:18,304 《氷輪公主様。 282 00:17:18,304 --> 00:17:21,140 死と再生をつかさどる神様》 283 00:17:21,140 --> 00:17:23,976 (百華)あやつは 魂の扱いについては➨ 284 00:17:23,976 --> 00:17:27,980 我らよりずっと長けておるし 造詣も深いからな。 285 00:17:27,980 --> 00:17:30,316 質問です! 286 00:17:30,316 --> 00:17:34,487 魔素神経って どうやって鍛えるんですか? 287 00:17:34,487 --> 00:17:38,157 よい質問であるぞ。 ひよこ それは簡単じゃ。 288 00:17:38,157 --> 00:17:40,660 よいか おぬしは今までどおり➨ 289 00:17:40,660 --> 00:17:43,663 魔素神経を 意識して歌っておけばよい。 290 00:17:43,663 --> 00:17:48,167 えっ 歌だけでいいんですか? 魔術の練習とかは? 291 00:17:48,167 --> 00:17:51,504 なんじゃ 今までも 音程の補正のために➨ 292 00:17:51,504 --> 00:17:54,507 身体強化の魔術を 使っていたであろう。 293 00:17:54,507 --> 00:17:58,010 あれをこれからも 毎日 続けるのじゃ。 294 00:17:58,010 --> 00:18:00,613 《あれ魔術だったんだ!? 295 00:18:00,613 --> 00:18:03,115 そっか~ 私知らないうちに➨ 296 00:18:03,115 --> 00:18:06,452 魔術 使ってたんだ》 297 00:18:06,452 --> 00:18:09,956 んっ? 姫様 魔術の練習したら➨ 298 00:18:09,956 --> 00:18:13,793 にぃにのご病気 悪くならないですか? 299 00:18:13,793 --> 00:18:15,962 《ギャー レグルスくん!》 300 00:18:15,962 --> 00:18:18,464 うるさいのう 大声を出すな。 301 00:18:18,464 --> 00:18:21,968 うむ ちゃんと聞いておったの ひよこ。 302 00:18:21,968 --> 00:18:24,303 兄の病は 治ることはない。 303 00:18:24,303 --> 00:18:26,639 じゃが 悪化は防げるはずじゃ。 304 00:18:26,639 --> 00:18:28,841 ほれ。 305 00:18:30,977 --> 00:18:34,814 仙桃じゃ。 これを しんぜるゆえ食すがよい。 306 00:18:34,814 --> 00:18:37,650 ひよこも分けてもらうがよいぞ。 307 00:18:37,650 --> 00:18:39,986 にぃに。 308 00:18:39,986 --> 00:18:41,988 ありがとうございます。 309 00:18:41,988 --> 00:18:43,990 ただ 今話したことは➨ 310 00:18:43,990 --> 00:18:46,158 あくまで対処療法にすぎぬ。 311 00:18:46,158 --> 00:18:50,663 基本は 健康を心がけ 危うきには近づかぬことじゃ。 312 00:18:50,663 --> 00:18:53,499 よかったね にぃに。 うん。 313 00:18:53,499 --> 00:18:55,835 まぁ そういうわけじゃから➨ 314 00:18:55,835 --> 00:18:59,171 そなた もう少し痩せよ。 315 00:18:59,171 --> 00:19:01,107 ふあい…。 316 00:19:01,107 --> 00:19:03,776 そなたが みゅーじかるのために 動き出していると➨ 317 00:19:03,776 --> 00:19:05,778 イゴールからも聞いたぞ。 318 00:19:05,778 --> 00:19:09,615 それは なんとも 難しいことだとも言うておった。 319 00:19:09,615 --> 00:19:14,453 なればこそ その体は丈夫で 長持ちさせねばのう。 320 00:19:14,453 --> 00:19:16,956 《あっ…。 321 00:19:16,956 --> 00:19:21,961 姫君 遠回しに 心配してくださってる? 322 00:19:21,961 --> 00:19:27,633 姫君は優しい。 最初からずっと。 323 00:19:27,633 --> 00:19:34,140 あぁ 姫君にあのきらびやかな 美しい舞台をお見せしたいなあ。 324 00:19:34,140 --> 00:19:36,142 だけど…》 325 00:19:36,142 --> 00:19:40,813 おそれながら姫君。 私が 長生きしたところで➨ 326 00:19:40,813 --> 00:19:45,317 事は すぐにならぬと存じます。 続けよ。 327 00:19:45,317 --> 00:19:49,155 私や姫君の憧れる かの菫の園も➨ 328 00:19:49,155 --> 00:19:52,491 かつて 私の生きた場所に 芽吹いてから根づくまで➨ 329 00:19:52,491 --> 00:19:55,494 かなりの時間が必要でした。 330 00:19:55,494 --> 00:19:59,331 私が この世界で 私の代でできることは➨ 331 00:19:59,331 --> 00:20:02,001 せめて自領の菊乃井を豊かにし➨ 332 00:20:02,001 --> 00:20:05,671 志を受け継いでくれる 次代の育成➨ 333 00:20:05,671 --> 00:20:09,008 そして仲間を 増やすことだと思うのです。 334 00:20:09,008 --> 00:20:11,343 あちらの人間ができたことです。 335 00:20:11,343 --> 00:20:14,346 きっと 同じ地平にたどりつけます。 336 00:20:14,346 --> 00:20:16,348 そのときこそ➨ 337 00:20:16,348 --> 00:20:21,187 姫君と私の望むものが 見られるときだと思うのです。 338 00:20:21,187 --> 00:20:24,690 思えば 人間が生まれたときは➨ 339 00:20:24,690 --> 00:20:27,359 今のような暮らしではなかった。 340 00:20:27,359 --> 00:20:30,196 それが 少しばかり放っておいたら➨ 341 00:20:30,196 --> 00:20:35,868 いつの間にか曲を奏で 歌を歌い 舞い踊るようになって。 342 00:20:35,868 --> 00:20:39,538 ふっ しばし待てば➨ 343 00:20:39,538 --> 00:20:42,041 わらわ好みに 変わるというのなら➨ 344 00:20:42,041 --> 00:20:45,544 見守ってやるのも やぶさかではないのう。 345 00:20:45,544 --> 00:20:49,548 菊乃井の鳳蝶よ。 そなたが 志半ばで倒れても➨ 346 00:20:49,548 --> 00:20:52,885 その魂は わらわが すくい上げてやろう。 347 00:20:52,885 --> 00:20:56,388 わらわとそなたの望みが かなった暁には➨ 348 00:20:56,388 --> 00:21:01,494 どれほどの時を超えても 必ずそれを見せてやろう。 349 00:21:01,494 --> 00:21:04,330 ゆえに励めよ。 はい。 350 00:21:04,330 --> 00:21:07,633 《このうえもない 約束をいただいてしまった》 351 00:21:10,169 --> 00:21:12,171 にぃに どこかへ行っちゃうの? 352 00:21:12,171 --> 00:21:14,673 れーも連れていってくれる? 353 00:21:14,673 --> 00:21:18,511 フフッ いや 今は行かないよ。 354 00:21:18,511 --> 00:21:22,515 《この子は 私の志を 継いでくれるだろうか? 355 00:21:22,515 --> 00:21:24,850 そして いったいいつまで➨ 356 00:21:24,850 --> 00:21:27,353 こんなふうに 慕ってくれるのかな》 357 00:21:27,353 --> 00:21:30,356 ホント? 本当じゃ。 358 00:21:30,356 --> 00:21:33,526 しかし ひよこも 兄をよく助けたならば➨ 359 00:21:33,526 --> 00:21:37,530 わらわが 同じところに 連れていってやろうぞ。 360 00:21:37,530 --> 00:21:40,633 しかと働くのじゃぞ。 あい! 361 00:21:49,375 --> 00:21:53,379 <穏やかな日ざしの中 私は歌う> 362 00:22:01,654 --> 00:22:05,057 <弟の手を握りながら>