1 00:00:47,147 --> 00:00:51,652 (ロッテンマイヤー) ハァ ハァ ハァ 若様! ハァ ハァ…。 2 00:00:51,652 --> 00:00:53,987 (ロッテンマイヤー)若様! (宇都宮)ハァ ハァ ハァ…。 3 00:00:53,987 --> 00:00:56,156 (鳳蝶)あっ。 4 00:00:56,156 --> 00:00:59,826 ロッテンマイヤーさん ただいま帰りま…。 5 00:00:59,826 --> 00:01:02,329 (ロッテンマイヤー)若様! ご無事ですか!? 6 00:01:02,329 --> 00:01:05,499 えっ? レグルス様に はねられませんでしたか!? 7 00:01:05,499 --> 00:01:07,501 はねられる? 8 00:01:07,501 --> 00:01:10,170 (レグルス)にぃに~! 9 00:01:10,170 --> 00:01:12,673 どぅわぁ!! 10 00:01:12,673 --> 00:01:15,509 うぅ~。 11 00:01:15,509 --> 00:01:18,845 あ… え? レグルスく…。 12 00:01:18,845 --> 00:01:20,847 (レグルス)にぃに! 13 00:01:20,847 --> 00:01:24,351 《何? 何 この かわいい生き物!》 14 00:01:24,351 --> 00:01:27,354 れ~のこと おいてっちゃ め~でしょ! 15 00:01:27,354 --> 00:01:30,691 《や… や…。 16 00:01:30,691 --> 00:01:34,828 やだぁ~! 私の弟だった~! 17 00:01:34,828 --> 00:01:37,831 弟だった~! にぃに おへんじは? 18 00:01:37,831 --> 00:01:41,802 弟だった~ だった~ だった~。 にぃに! にぃに! 19 00:03:30,877 --> 00:03:34,815 《今日も見事な白豚ですね。 20 00:03:34,815 --> 00:03:37,818 私こと菊乃井鳳蝶は➡ 21 00:03:37,818 --> 00:03:42,289 麒凰帝国 菊乃井伯爵家の長男で 今年5歳。 22 00:03:42,289 --> 00:03:46,126 5歳に見えないと よく言われるけど➡ 23 00:03:46,126 --> 00:03:48,829 この体形じゃ しかたないか…》 24 00:03:51,965 --> 00:03:56,503 《実際 精神年齢は今の6倍くらい。 25 00:03:56,503 --> 00:04:00,841 実は私には 前世の記憶がある》 26 00:04:00,841 --> 00:04:05,178 ((ハァ… ハァ…。 27 00:04:05,178 --> 00:04:07,848 《あぁ 熱い…。 28 00:04:07,848 --> 00:04:11,518 体が熱いのに 寒気が止まらない》 29 00:04:11,518 --> 00:04:13,520 (ロッテンマイヤー)先生 若様は!? 30 00:04:13,520 --> 00:04:16,356 この一両日中がヤマでしょう。 31 00:04:16,356 --> 00:04:18,825 《どうして こんなことに。 32 00:04:18,825 --> 00:04:22,529 私は 死ぬのだろうか…》)) 33 00:04:22,529 --> 00:04:27,200 < その瞬間 前世の記憶が生えた> 34 00:04:27,200 --> 00:04:48,788 ♬~ 35 00:04:48,788 --> 00:04:52,092 < あれは 前世の私> 36 00:04:54,294 --> 00:04:59,466 <日本に生まれた 普通の男性。 37 00:04:59,466 --> 00:05:05,472 趣味は 料理に裁縫 DIY ミュージカル鑑賞。 38 00:05:05,472 --> 00:05:07,808 いわゆる オトメン。 39 00:05:07,808 --> 00:05:12,813 親友の好きなアニメやラノベの コスプレ衣装制作を手伝ったり➡ 40 00:05:12,813 --> 00:05:15,982 同人誌の原稿を手伝ったり➡ 41 00:05:15,982 --> 00:05:20,320 夏の それも記録的猛暑の日➡ 42 00:05:20,320 --> 00:05:23,824 3徹明けのテンションでコミケに参加し➡ 43 00:05:23,824 --> 00:05:28,128 帰宅したところでブッ倒れ 記憶がとんだ> 44 00:05:34,134 --> 00:05:36,469 《その時 死んだのだろう。 45 00:05:36,469 --> 00:05:38,839 たぶん熱中症で…》 46 00:05:41,141 --> 00:05:46,479 ((《そうか 私は 彼の生まれ変わりだったんだ》 47 00:05:46,479 --> 00:05:48,815 若様!)) 48 00:05:48,815 --> 00:05:52,152 <私は1週間も高熱にうなされ➡ 49 00:05:52,152 --> 00:05:55,422 ギリギリのところで 命を取り留めたらしい> 50 00:05:59,125 --> 00:06:01,294 < はっきりしているのは➡ 51 00:06:01,294 --> 00:06:03,830 前世の記憶を むさぼり食らうことで➡ 52 00:06:03,830 --> 00:06:05,832 生き長らえたということ> 53 00:06:05,832 --> 00:06:07,801 《よし!》 54 00:06:07,801 --> 00:06:09,803 (呼び鈴) 55 00:06:20,513 --> 00:06:24,351 ボタンもズレてはおられません。 合格です。 56 00:06:24,351 --> 00:06:26,853 はい… チェックありがとう。 57 00:06:26,853 --> 00:06:29,422 職務でございますから。 58 00:06:37,430 --> 00:06:44,437 《両親の顔 もう1年くらい見てないなぁ》 59 00:06:44,437 --> 00:06:51,778 (鼻歌) 60 00:06:51,778 --> 00:06:55,782 《これでも 以前よりは マシになったんだけどな~。 61 00:06:55,782 --> 00:06:57,951 ダイエット 頑張らなきゃ! 62 00:06:57,951 --> 00:07:01,788 運動を始めた当初は ずいぶんと騒がれた。 63 00:07:01,788 --> 00:07:04,124 そりゃ驚くよね。 64 00:07:04,124 --> 00:07:08,128 前の私では 考えられないことだったから。 65 00:07:08,128 --> 00:07:11,298 前世の記憶が生える前は…》 66 00:07:11,298 --> 00:07:14,134 ((うぅ~! 67 00:07:14,134 --> 00:07:17,137 イヤ~! 野菜やだ! 68 00:07:17,137 --> 00:07:19,806 若様! おいしくない! お菓子持ってきて!)) 69 00:07:19,806 --> 00:07:22,809 《そりゃ~もう 当時は 暴れれば➡ 70 00:07:22,809 --> 00:07:26,313 大人が言うこと聞いてくれると 本気で思っていた。 71 00:07:26,313 --> 00:07:30,483 けど 前世の記憶や知識に 触れたらわかる。 72 00:07:30,483 --> 00:07:36,122 要するに 私の両親が彼らの雇い主だから。 73 00:07:36,122 --> 00:07:38,291 ただ それだけのこと。 74 00:07:38,291 --> 00:07:43,463 そういうの 親がちゃんと教えて しつけるものだと思うんだけど➡ 75 00:07:43,463 --> 00:07:46,132 私の両親は それをせず➡ 76 00:07:46,132 --> 00:07:49,135 私が床にふせても会いにも来ず》 77 00:07:49,135 --> 00:07:54,140 ((ハァ… うぅ…)) 78 00:07:54,140 --> 00:07:56,476 《見舞ってくれたのは➡ 79 00:07:56,476 --> 00:08:00,780 ロッテンマイヤーさんが声をかけた 屋敷の勤め人ばかり。 80 00:08:00,780 --> 00:08:04,951 それもたぶん 職務として。 81 00:08:04,951 --> 00:08:10,123 つまり私は 誰からも愛されていないのだ。 82 00:08:10,123 --> 00:08:12,792 前世では両親に愛されていて➡ 83 00:08:12,792 --> 00:08:15,462 親友との間に友情もあった。 84 00:08:15,462 --> 00:08:19,132 それだけに 愛されていないという事実が➡ 85 00:08:19,132 --> 00:08:21,434 胸につきささった…》 86 00:08:24,804 --> 00:08:27,107 ((あの ロッテンマイヤーさん。 87 00:08:33,747 --> 00:08:38,752 私を見捨てずにいてくれて ありがとうございました。 88 00:08:38,752 --> 00:08:42,255 今まで私が愚かでした。 89 00:08:42,255 --> 00:08:45,258 これからは心を入れ替えるから➡ 90 00:08:45,258 --> 00:08:48,762 どうか 見捨てないでください!)) 91 00:08:54,467 --> 00:08:56,469 《もちろん そのあと➡ 92 00:08:56,469 --> 00:08:58,471 屋敷に勤めている人たちにも➡ 93 00:08:58,471 --> 00:09:01,141 全力で ごめんなさいしましたよ。 94 00:09:01,141 --> 00:09:03,810 そして心を入れ替えた証しに➡ 95 00:09:03,810 --> 00:09:07,480 みんなの仕事を 学ばせてもらうことにした。 96 00:09:07,480 --> 00:09:12,986 1か月 2か月続いたころには 受け入れてくれた… と思う。 97 00:09:12,986 --> 00:09:17,323 何より 掃除も料理も裁縫も楽しい。 98 00:09:17,323 --> 00:09:21,161 だって 前世の自分の趣味だったから》 99 00:09:21,161 --> 00:09:33,740 ♬~ 100 00:09:33,740 --> 00:09:38,077 《ここは 庭師以外は誰も来ない➡ 101 00:09:38,077 --> 00:09:40,580 庭の最奥の花園だ》 102 00:09:50,423 --> 00:09:59,432 ♬「わらべは見たり 野なかのばら」 103 00:09:59,432 --> 00:10:08,441 ♬「清らに咲ける その色愛でつ」 104 00:10:08,441 --> 00:10:13,446 ♬「飽かずながむ」 105 00:10:13,446 --> 00:10:23,122 ♬「くれないにおう 野なかのばら」 106 00:10:23,122 --> 00:10:26,125 《シューベルトの 『野ばら』。 107 00:10:26,125 --> 00:10:30,964 前の世界で作られた歌だけど 野にあっても薔薇は薔薇。 108 00:10:30,964 --> 00:10:36,135 花の美しさをたたえるのに 世界線は関係ない》 109 00:10:36,135 --> 00:10:41,341 ♬「思い出ぐさに」 110 00:10:43,309 --> 00:10:45,311 (ロマノフ)麒凰帝国は➡ 111 00:10:45,311 --> 00:10:49,149 表向きは東西融和を掲げた 平和国家ですが➡ 112 00:10:49,149 --> 00:10:53,486 一部の腐った貴族の搾取によって 民草は疲弊しています。 113 00:10:53,486 --> 00:10:57,157 残念ながら 菊乃井家は搾取する側…。 114 00:10:57,157 --> 00:11:00,326 ということになりますね。 115 00:11:00,326 --> 00:11:04,163 フフッ… なんて お教えしたのがバレたら➡ 116 00:11:04,163 --> 00:11:06,466 私はクビになってしまいますね。 117 00:11:08,501 --> 00:11:11,504 《家庭教師のロマノフ先生は➡ 118 00:11:11,504 --> 00:11:13,506 見てのとおりのエルフだ。 119 00:11:13,506 --> 00:11:16,176 この世界には ドワーフやワーキャット➡ 120 00:11:16,176 --> 00:11:18,678 精霊やモンスターもいる。 121 00:11:18,678 --> 00:11:23,516 もちろん魔術だって存在する ファンタジーな世界である》 122 00:11:23,516 --> 00:11:25,852 ところで 鳳蝶くん。 はい? 123 00:11:25,852 --> 00:11:29,188 お願いしていたマントの刺繍は できていますか? 124 00:11:29,188 --> 00:11:31,524 はい。 125 00:11:31,524 --> 00:11:33,459 ん~。 126 00:11:33,459 --> 00:11:37,163 鳳蝶くんは 本当に刺繍が上手ですね。 127 00:11:37,163 --> 00:11:40,333 これは エルフに伝わる魔除けの意匠。 128 00:11:40,333 --> 00:11:43,169 この刺繍を上手にできることが➡ 129 00:11:43,169 --> 00:11:46,172 いいお嫁さんになる 第一条件なんですよ。 130 00:11:46,172 --> 00:11:48,141 はぁ…。 フフッ。 131 00:11:48,141 --> 00:11:51,144 鳳蝶くんは いいお嫁さんになれます。 132 00:11:51,144 --> 00:11:55,648 私 男なんですけど! では ステータスを見てみましょう。 133 00:11:55,648 --> 00:11:57,951 あ はい。 オープン。 134 00:12:09,362 --> 00:12:11,864 ハハハハハハハハ! 135 00:12:11,864 --> 00:12:13,866 いや~ いつ見ても➡ 136 00:12:13,866 --> 00:12:17,036 貴族のご子息とは 思えないスキルですね。 137 00:12:17,036 --> 00:12:21,207 調理や裁縫 栽培工芸って 普通は見ないですよ。 138 00:12:21,207 --> 00:12:23,710 はあ…。 おまけに➡ 139 00:12:23,710 --> 00:12:26,546 緑の手 青の手って…。 140 00:12:26,546 --> 00:12:30,850 先生 笑いすぎでは!? だって 貴族のご子息が➡ 141 00:12:30,850 --> 00:12:34,787 植物の成長を助け 実りを約束する緑の手に➡ 142 00:12:34,787 --> 00:12:39,292 裁縫 料理や工芸など 手を使う仕事の青の手ですよ? 143 00:12:39,292 --> 00:12:41,294 クククク…。 144 00:12:41,294 --> 00:12:44,297 趣味なんだから しかたないじゃないですか! 145 00:12:44,297 --> 00:12:46,299 《しかも前世からの! 146 00:12:46,299 --> 00:12:49,802 もう魂に染みついているとしか 思えないし》 147 00:12:49,802 --> 00:12:51,804 うぅ! その歳で➡ 148 00:12:51,804 --> 00:12:55,475 特殊スキルをお持ちなんて 誇っていいことですから。 149 00:12:55,475 --> 00:12:58,978 あの… 先生 もちもちしないで…。 150 00:12:58,978 --> 00:13:01,314 アハッ ダメだ! おなか痛い! 151 00:13:01,314 --> 00:13:05,151 《笑ってる!? すごく笑ってる!?》 152 00:13:05,151 --> 00:13:07,320 では…。 153 00:13:07,320 --> 00:13:10,823 今日も 魔術習得の 基礎から始めましょう。 154 00:13:10,823 --> 00:13:13,159 はい。 いつものように➡ 155 00:13:13,159 --> 00:13:17,830 ヘソの下から全身に 細い糸を 張り巡らせるイメージを描いて…。 156 00:13:17,830 --> 00:13:21,501 ハァ… フゥ…。 157 00:13:21,501 --> 00:13:25,171 張り巡らせたら 今度は それが根を張り➡ 158 00:13:25,171 --> 00:13:28,174 定着するようにイメージしてください。 159 00:13:28,174 --> 00:13:32,345 《要は瞑想なんだけど 難しいんだよなぁ…。 160 00:13:32,345 --> 00:13:35,148 とと 集中集中》 161 00:13:37,817 --> 00:13:41,321 そういえば ロッテンマイヤーさんのメガネって➡ 162 00:13:41,321 --> 00:13:43,990 取れることあるんですかね? 163 00:13:43,990 --> 00:13:47,493 取ったとこ見たことないんですよ。 164 00:13:47,493 --> 00:13:50,330 根が生えてたりして。 165 00:13:50,330 --> 00:13:52,332 《こわっ!》 166 00:13:52,332 --> 00:13:55,835 ハッ!? まだまだですね。 167 00:13:55,835 --> 00:13:57,804 はい。 168 00:13:59,839 --> 00:14:03,509 ♬「わらべは見たり」 169 00:14:03,509 --> 00:14:07,980 《ここに来て歌うの すっかり日課になっちゃったな》 170 00:14:11,150 --> 00:14:13,486 《これは…。 171 00:14:13,486 --> 00:14:17,824 牡丹? 昨日までは なかったはずだけど》 172 00:14:17,824 --> 00:14:21,160 (百華) これ こわっぱ! 歌をやめるな。 173 00:14:21,160 --> 00:14:23,162 え!? わぁ! 174 00:14:28,201 --> 00:14:41,814 ♬~ 175 00:14:41,814 --> 00:14:46,385 《は… 花から人が~!?》 176 00:14:48,788 --> 00:14:53,126 《は… 花から人が~!? 177 00:14:53,126 --> 00:14:55,294 人間じゃないよね!? 178 00:14:55,294 --> 00:14:57,797 エルフ? いや でもエルフって飛ぶっけ!? 179 00:14:57,797 --> 00:14:59,966 ロマノフ先生 飛んでたっけ!? 180 00:14:59,966 --> 00:15:05,805 っていうか… オーラが違う 威圧感がすごい》 181 00:15:05,805 --> 00:15:10,476 ふむ 礼儀正しきこわっぱは 好むところであるぞ。 182 00:15:10,476 --> 00:15:12,979 名乗りを許す。 183 00:15:12,979 --> 00:15:18,151 はい 菊乃井伯爵家の長男 菊乃井鳳蝶と申します。 184 00:15:18,151 --> 00:15:20,653 うむ。 我が名は百華公主。 185 00:15:20,653 --> 00:15:22,655 当然 知っておろうが。 186 00:15:22,655 --> 00:15:24,657 《え! 知らない》 187 00:15:24,657 --> 00:15:26,826 あ あの…。 なんじゃ。 188 00:15:26,826 --> 00:15:29,495 もしや そなた わらわの名を知らぬと? 189 00:15:29,495 --> 00:15:32,498 申し訳ございません! 私は まだ学が足りず➡ 190 00:15:32,498 --> 00:15:36,102 面目次第もございません。 フン まあよいわ。 191 00:15:36,102 --> 00:15:39,772 先ほどの歌に免じて許そう。 192 00:15:39,772 --> 00:15:42,775 わらわは大地の豊穣を司る➡ 193 00:15:42,775 --> 00:15:45,778 癒やしと恵みの女神じゃ。 194 00:15:49,482 --> 00:15:51,984 7日前から 事情があって➡ 195 00:15:51,984 --> 00:15:54,821 この庭の野ばらに 宿っておったのじゃが➡ 196 00:15:54,821 --> 00:15:57,824 そなたの歌 聞いたことのない歌じゃ。 197 00:15:57,824 --> 00:16:00,159 たいそう気に入った。 え? 198 00:16:00,159 --> 00:16:03,963 褒美をとらす。 ほうび!? 私に!? 199 00:16:03,963 --> 00:16:08,334 《でも あの歌は 前の世界の他人が作ったもの。 200 00:16:08,334 --> 00:16:10,837 それを自分のものと言うなんて》 201 00:16:10,837 --> 00:16:13,673 前の世界とはなんじゃ? え? 202 00:16:13,673 --> 00:16:17,143 声に出さずとも そなたの心は だだもれじゃ。 203 00:16:17,143 --> 00:16:20,346 わらわは神ぞ。 《神 すご!》 204 00:16:20,346 --> 00:16:24,650 なるほどのう 異世界の歌であったか。 205 00:16:24,650 --> 00:16:27,520 どうりで 聞いたことがないわけじゃ。 206 00:16:27,520 --> 00:16:31,190 はい ですので私が 褒美をいただくなんて…。 207 00:16:31,190 --> 00:16:33,426 アホなこわっぱめ。 はい? 208 00:16:33,426 --> 00:16:35,761 誰が作った歌であっても➡ 209 00:16:35,761 --> 00:16:38,764 わらわに歌って捧げたのは そなたじゃ。 210 00:16:38,764 --> 00:16:41,434 そして わらわは それが気に入った。 211 00:16:41,434 --> 00:16:44,270 その褒美を くれてやるというのじゃ。 212 00:16:44,270 --> 00:16:47,874 ありがたく賜るがよい。 は はい。 213 00:16:51,110 --> 00:16:53,112 ん!? いったぁ~! 214 00:16:53,112 --> 00:16:57,283 大きな声を出しおって。 だって えんずいブスッて! 215 00:16:57,283 --> 00:17:01,287 首で伸び悩んでいた 魔素神経の経路を押した。 は? 216 00:17:01,287 --> 00:17:05,458 これで 伸び悩んでいた魔術が 使えるようになるはずじゃ。 217 00:17:05,458 --> 00:17:08,961 あ! ありがとうございます! では➡ 218 00:17:08,961 --> 00:17:11,797 明日からも 毎日歌いにくるがよい。 219 00:17:11,797 --> 00:17:15,801 わらわの無聊を慰めよ。 え… でも…。 220 00:17:15,801 --> 00:17:18,304 わらわが 来いと言うておるのだ! はいぃ! 221 00:17:18,304 --> 00:17:21,307 必ずじゃぞ。 はい。 222 00:17:21,307 --> 00:17:24,310 《逆らってはいけない気がする》 223 00:17:27,480 --> 00:17:30,983 これは…。 はい…。 224 00:17:30,983 --> 00:17:34,420 (ロマノフ)魔術 生えてますね。 225 00:17:34,420 --> 00:17:37,423 (鳳蝶)生えてますね。 226 00:17:37,423 --> 00:17:39,425 (ロマノフ)それに…。 227 00:17:44,764 --> 00:17:48,301 うぅ… ちょ 先生…。 228 00:17:48,301 --> 00:17:52,305 いつもと同じ もちもち具合だ。 夢じゃなかった! 229 00:17:52,305 --> 00:17:56,475 や~ とりみだしてしまいました。 申し訳ない。 230 00:17:56,475 --> 00:18:00,646 はぁ~。 ただ…。 231 00:18:00,646 --> 00:18:03,783 百華公主のお気に入りですか。 232 00:18:03,783 --> 00:18:08,621 あの… そのお方って やっぱり有名なのでしょうか。 233 00:18:08,621 --> 00:18:10,623 え? 234 00:18:10,623 --> 00:18:12,792 有名なんですね。 235 00:18:12,792 --> 00:18:14,794 鳳蝶くんは本当に➡ 236 00:18:14,794 --> 00:18:17,797 知っていることと知らないことの 差が激しいですね。 237 00:18:17,797 --> 00:18:19,966 申し訳ありません。 238 00:18:19,966 --> 00:18:22,802 生物無機物を問わず➡ 239 00:18:22,802 --> 00:18:26,138 この世のすべてのものに 神が宿ります。 240 00:18:26,138 --> 00:18:28,174 その中でも➡ 241 00:18:28,174 --> 00:18:32,511 豊穣と癒やしを司る大地の神が 百華公主。 242 00:18:32,511 --> 00:18:37,783 麒凰帝国は農業が主産業なので 主神として崇めていますね。 243 00:18:37,783 --> 00:18:42,455 そうだったんですね。 その主神のお気に入り。 244 00:18:42,455 --> 00:18:45,424 鳳蝶くん 何をしたんですか? 245 00:18:45,424 --> 00:18:47,460 あ… えと…。 246 00:18:47,460 --> 00:18:50,262 《前の世界のことなんて 言えないし!》 247 00:18:50,262 --> 00:18:54,133 話すなと言われているんですね。 は はい! 248 00:18:54,133 --> 00:18:56,602 《先生 ごめんなさい!》 249 00:18:56,602 --> 00:18:59,472 毎日 庭園で歌っていたんですけど➡ 250 00:18:59,472 --> 00:19:02,808 それを偶然お聞きになり 気に入っていただけて➡ 251 00:19:02,808 --> 00:19:06,312 魔素神経はその褒美に と。 252 00:19:06,312 --> 00:19:08,280 ふむ。 253 00:19:10,282 --> 00:19:20,459 ♬「くれないにおう 野なかのばら」 254 00:19:20,459 --> 00:19:23,295 ふむ なかなかであった。 255 00:19:23,295 --> 00:19:25,297 ありがとうございます。 256 00:19:25,297 --> 00:19:27,466 しかし 音程が甘い! え! 257 00:19:27,466 --> 00:19:30,136 音楽の師が ついておらぬというから➡ 258 00:19:30,136 --> 00:19:32,905 大目に見てやるが それでも甘々じゃ。 259 00:19:32,905 --> 00:19:37,743 申し訳ございません! もっと 魔素神経を意識して歌ってみよ。 260 00:19:37,743 --> 00:19:40,746 ある程度 音程が補正されるはずじゃ。 261 00:19:40,746 --> 00:19:43,249 は はい! 262 00:19:43,249 --> 00:19:46,419 (雷鳴) 263 00:19:46,419 --> 00:19:50,089 《さっきまで晴れてたのに…》 そなた。 264 00:19:50,089 --> 00:19:52,925 天界に興味はあるかえ? 265 00:19:52,925 --> 00:19:54,927 天界… ですか? 266 00:19:54,927 --> 00:20:00,266 そなたが望むなら 連れていくのも やぶさかではないぞよ。 267 00:20:00,266 --> 00:20:02,268 来よ こわっぱ。 268 00:20:02,268 --> 00:20:05,271 えぇ? 269 00:20:05,271 --> 00:20:07,773 ロマノフ先生! 270 00:20:07,773 --> 00:20:11,277 許しもなく わらわの前に出るとは 何やつじゃ。 271 00:20:11,277 --> 00:20:13,779 ご無礼の段 ご容赦を。 272 00:20:13,779 --> 00:20:18,384 わたくしは そちらの方の 家庭教師を務める者にございます。 273 00:20:21,287 --> 00:20:23,456 何しに来やった? 274 00:20:23,456 --> 00:20:25,458 姫君が この方を➡ 275 00:20:25,458 --> 00:20:28,294 天界にお召しになろうと なさいましたゆえ➡ 276 00:20:28,294 --> 00:20:31,797 一大事と思い 御前にまかり越しました。 277 00:20:31,797 --> 00:20:35,134 その前から コソコソ隠れておったであろうに。 278 00:20:35,134 --> 00:20:38,804 昨日 あなた様から 恩寵を賜ったことを➡ 279 00:20:38,804 --> 00:20:42,308 この方から伺いました。 ただ その時に少し➡ 280 00:20:42,308 --> 00:20:45,644 不安そうな顔をなさっていたのが 気がかりで。 281 00:20:45,644 --> 00:20:47,813 不安そうな顔のう? 282 00:20:47,813 --> 00:20:50,983 《だって! 前世の記憶のこととか 言えなくて。 283 00:20:50,983 --> 00:20:55,154 歌のこと聞かれたら 何て答えていいかって…》 284 00:20:55,154 --> 00:20:58,824 それは わらわが教えた歌のせいよ。 285 00:20:58,824 --> 00:21:01,160 え? さっきの歌は➡ 286 00:21:01,160 --> 00:21:04,163 わらわが 異世界の神に教わったものでの。 287 00:21:04,163 --> 00:21:06,832 こちらの世界にはないものじゃ。 288 00:21:06,832 --> 00:21:12,505 わらわの許しもなく他言できず 気に病んでいたのであろう。 289 00:21:12,505 --> 00:21:14,507 そうでしたか。 290 00:21:14,507 --> 00:21:19,345 《うぅ… 女神様にウソの片棒を 担がせてしまった罪悪感が》 291 00:21:19,345 --> 00:21:21,514 アホ。 あだっ。 292 00:21:21,514 --> 00:21:26,352 わらわは それなりに楽しんでおる。 293 00:21:26,352 --> 00:21:30,022 それはそれとして わらわは そこのエルフに➡ 294 00:21:30,022 --> 00:21:32,958 不敬の詫びを所望するぞ。 は…。 295 00:21:32,958 --> 00:21:36,295 わらわが こやつに教えた 異世界の歌は➡ 296 00:21:36,295 --> 00:21:38,797 そなたが教えたことにせよ。 297 00:21:38,797 --> 00:21:43,302 エルフならば 神代の歌を 継いでいても不思議ではあるまい。 298 00:21:43,302 --> 00:21:46,472 わらわの教えたことが 他の者に知られれば➡ 299 00:21:46,472 --> 00:21:48,474 大騒ぎになるからな。 300 00:21:48,474 --> 00:21:53,479 歌の修行をするなら 人目を忍ぶのも限度があるしのう。 301 00:21:53,479 --> 00:21:59,151 つまり この方の歌の才能を磨け との思し召しでございますか? 302 00:21:59,151 --> 00:22:01,821 え!? 承知いたしました。 303 00:22:01,821 --> 00:22:05,124 では こわっぱ 励むのじゃぞ。 304 00:22:07,159 --> 00:22:09,829 青田買いか。 え? 305 00:22:09,829 --> 00:22:13,832 さ 屋敷に戻りましょうか。 306 00:22:13,832 --> 00:22:16,135 はい。 307 00:22:18,838 --> 00:22:21,874 《あたたかくて大きな手。 308 00:22:21,874 --> 00:22:25,444 包み込まれる感覚が くすぐったい…》 309 00:22:28,547 --> 00:22:30,516 若様 大変です! 310 00:22:30,516 --> 00:22:33,452 旦那様と奥様が お戻りになります! 311 00:22:33,452 --> 00:22:35,454 え!? 312 00:22:40,292 --> 00:22:43,395 父と… 母が…。