1 00:00:46,747 --> 00:00:49,750 《鳳蝶:父と母が帰ってくる。 2 00:00:49,750 --> 00:00:52,753 本当に久しぶりの再会》 3 00:00:54,755 --> 00:00:58,759 《2人とも どんな顔だったっけ》 4 00:02:39,726 --> 00:02:42,729 《声すら 思い出せない。 5 00:02:42,729 --> 00:02:47,434 いやいや 記憶の底をさらえば うっすらとは…。 6 00:02:47,434 --> 00:02:49,436 う~ん えっと。 7 00:02:49,436 --> 00:02:51,772 少しも思い出せないって➡ 8 00:02:51,772 --> 00:02:54,941 私 ちょっとアホの子すぎるだろ》 9 00:02:54,941 --> 00:02:57,944 (ロマノフ)待ってください。 菊乃井伯爵は 婿養子で。 10 00:02:57,944 --> 00:03:01,815 (ロッテンマイヤー)ロマノフ先生 お声が高うございます。 んっ? 11 00:03:03,784 --> 00:03:06,253 父は 婿養子だったんですか? 12 00:03:08,755 --> 00:03:12,592 母のほうが 伯爵令嬢 だったということですか? 13 00:03:12,592 --> 00:03:15,595 (ロマノフ)やはり 鳳蝶くんに 話したほうがいいと思います。 14 00:03:15,595 --> 00:03:18,765 (ロッテンマイヤー)ですが 若様は まだ5歳ですよ。 15 00:03:18,765 --> 00:03:21,768 こんなことをお話ししても。 16 00:03:21,768 --> 00:03:24,938 鳳蝶くんは こちらが思うより 聡明なお子です。 17 00:03:24,938 --> 00:03:27,441 いずれ 口さがない者たちから➡ 18 00:03:27,441 --> 00:03:30,444 尾ひれがついた 話を聞かされるよりは。 19 00:03:30,444 --> 00:03:32,446 ですが…。 20 00:03:32,446 --> 00:03:35,048 《えっ 何? 気になるんですけど》 21 00:03:35,048 --> 00:03:41,221 ハァ… 少しだけ お時間をくださいませ。 22 00:03:41,221 --> 00:03:43,323 失礼いたします。 23 00:03:45,726 --> 00:03:47,727 (ドアの開閉音) 24 00:03:47,727 --> 00:03:50,897 (ロマノフ)鳳蝶くん。 25 00:03:50,897 --> 00:03:53,400 今日は これから どうするんですか? 26 00:03:53,400 --> 00:03:55,402 はい お針子のエリーゼと➡ 27 00:03:55,402 --> 00:03:58,738 腰につける ポーチを作ろうかと思ってます。 28 00:03:58,738 --> 00:04:02,943 あと少しで完成なんです。 どれどれ。 29 00:04:02,943 --> 00:04:05,612 ほう… なかなか使いやすそうですね。 30 00:04:05,612 --> 00:04:07,914 取り口が大きくていい。 31 00:04:07,914 --> 00:04:11,084 菜園で使う道具や 万一 けがしたときの➡ 32 00:04:11,084 --> 00:04:14,588 包帯などを入れて 持ち歩こうと思って。 33 00:04:14,588 --> 00:04:18,925 少し お勉強をしましょうか。 えっ 今ですか? 34 00:04:18,925 --> 00:04:21,328 はい 魔術の話です。 35 00:04:23,263 --> 00:04:27,601 この世界には 魔術の体系が いくつかあります。 36 00:04:27,601 --> 00:04:30,637 治癒魔術 攻撃魔術➡ 37 00:04:30,637 --> 00:04:33,206 補助魔術 空間魔術➡ 38 00:04:33,206 --> 00:04:35,876 そして 秘蹟精霊術。 39 00:04:35,876 --> 00:04:38,712 これら 5つが代表格です。 40 00:04:38,712 --> 00:04:43,049 魔術は 魔力を四大元素の 精霊に譲渡することで➡ 41 00:04:43,049 --> 00:04:45,385 その属性をもつ さまざまな効果を➡ 42 00:04:45,385 --> 00:04:48,388 引き起こしてもらう ものなんです。 43 00:04:48,388 --> 00:04:53,059 じゃあ 空間魔術は 空間の精霊に魔力を譲渡する? 44 00:04:53,059 --> 00:04:55,395 そこなんですけどね➡ 45 00:04:55,395 --> 00:05:00,901 空間というものは 今 私たちが存在する世界そのもの。 46 00:05:00,901 --> 00:05:04,738 ですので 空間魔術は 四大元素すべての精霊に➡ 47 00:05:04,738 --> 00:05:06,740 手伝って もらわなければなりません。 48 00:05:06,740 --> 00:05:09,409 難しそうですね。 49 00:05:09,409 --> 00:05:12,078 使うのは 容易ではないですね。 50 00:05:12,078 --> 00:05:15,749 使う魔力量が 尋常ではありませんし。 51 00:05:15,749 --> 00:05:19,753 つまり 使える人はとても少ない? 52 00:05:19,753 --> 00:05:23,089 正解です。 ですが 使えれば便利で➡ 53 00:05:23,089 --> 00:05:27,894 一度使えば 効果を持続させ 繰り返し使えるものもあります。 54 00:05:36,236 --> 00:05:38,738 ふう。 55 00:05:38,738 --> 00:05:42,309 先生。 ありがとう。 56 00:05:46,046 --> 00:05:48,882 見事な刺繍ですね。 57 00:05:48,882 --> 00:05:52,719 では このポーチと ハンカチを交換しましょう。 58 00:05:52,719 --> 00:05:54,721 ふぇ? 59 00:05:54,721 --> 00:05:57,557 《いや ポーチもハンカチも 私のなんですけど?》 60 00:05:57,557 --> 00:06:01,728 今 空間魔術で このポーチを異空間につなげました。 61 00:06:01,728 --> 00:06:04,898 えっ? 中は 時間が止まっているので➡ 62 00:06:04,898 --> 00:06:06,900 食べ物を入れても腐りません。 63 00:06:06,900 --> 00:06:09,903 半永久的に使用可能です。 64 00:06:09,903 --> 00:06:13,073 まぁ だいたい 鳳蝶くんの部屋のたんすの➡ 65 00:06:13,073 --> 00:06:15,408 中くらい 収まると思ってください。 66 00:06:15,408 --> 00:06:17,444 え~っ! 67 00:06:17,444 --> 00:06:22,415 何を隠そう 私は レアな空間魔術の使い手なのです。 68 00:06:22,415 --> 00:06:25,919 《つまり これは アイテムボックス的な?》 69 00:06:25,919 --> 00:06:29,089 でも そんなすごいのと ハンカチ1枚を交換って➡ 70 00:06:29,089 --> 00:06:31,925 釣り合わないですよ。 いいえ。 71 00:06:31,925 --> 00:06:34,527 私にしてみれば 等価交換ですよ。 72 00:06:34,527 --> 00:06:38,031 だ だって ただハンカチに 私が刺繍しただけで…。 73 00:06:38,031 --> 00:06:41,034 その刺繍が 大事なんです。 74 00:06:41,034 --> 00:06:44,871 精霊は 緑の手や 青の手を持つ者が作った➡ 75 00:06:44,871 --> 00:06:47,707 植物や ものを とても好むんです。 76 00:06:47,707 --> 00:06:50,543 そういうものを 1つでも身に着けていると➡ 77 00:06:50,543 --> 00:06:54,547 精霊が 勝手に魔術の 補強をしてくれるんですよ。 78 00:06:54,547 --> 00:06:58,885 このマントには 鳳蝶くんに 刺繍してもらったエルフ紋様の➡ 79 00:06:58,885 --> 00:07:00,887 コンドルが10羽。 80 00:07:00,887 --> 00:07:04,724 軽く見積もっても 5割増し くらいの補助が見込めるのです。 81 00:07:04,724 --> 00:07:07,060 5割増し? 82 00:07:07,060 --> 00:07:09,896 このハンカチがあれば 更に補助が見込める。 83 00:07:09,896 --> 00:07:12,399 立派な対価ですよ。 84 00:07:12,399 --> 00:07:16,069 《マジか!》 85 00:07:16,069 --> 00:07:21,074 <驚きで 両親の件は すっかり頭から抜け落ちていた> 86 00:07:23,576 --> 00:07:27,247 え~っと 今日は 惚れた腫れたのが➡ 87 00:07:27,247 --> 00:07:30,917 いいということですので 『ハバネラ』を歌います。 88 00:07:30,917 --> 00:07:35,388 (百華)うむ。 聴いてやるゆえ はよ。 89 00:07:35,388 --> 00:07:42,729 (歌声) 90 00:07:42,729 --> 00:07:46,733 《『ハバネラ』は オペラ 『カルメン』でヒロインが歌うラブソング。 91 00:07:46,733 --> 00:07:50,570 前世の私が好んでいた曲。 92 00:07:50,570 --> 00:07:53,573 生まれ変わっても心に➡ 93 00:07:53,573 --> 00:07:58,078 こびりついて 離れないほどに覚えている》 94 00:07:58,078 --> 00:08:05,585 (歌声) 95 00:08:05,585 --> 00:08:07,587 オペラとは なんじゃ。 96 00:08:07,587 --> 00:08:10,590 《また 心読まれた》 97 00:08:10,590 --> 00:08:12,592 だだ漏れぞよ。 98 00:08:12,592 --> 00:08:15,762 オペラというのは 楽団の演奏や歌➡ 99 00:08:15,762 --> 00:08:18,732 踊りを 芝居に取り入れたものです。 100 00:08:18,732 --> 00:08:23,069 もっと庶民的なもので ミュージカルというものもあります。 101 00:08:23,069 --> 00:08:27,073 ほお… 芝居に歌と踊りとな。 102 00:08:27,073 --> 00:08:30,744 《姫君 お芝居に興味があるのかな。 103 00:08:30,744 --> 00:08:34,014 それなら 前世で私が好きだった➡ 104 00:08:34,014 --> 00:08:37,517 菫の園の 歌劇も気に入るだろうな。 105 00:08:37,517 --> 00:08:42,055 男役も女役も すべて女性が演じる➡ 106 00:08:42,055 --> 00:08:45,725 華やかで独特で美しい劇団。 107 00:08:45,725 --> 00:08:50,897 あぁ… 私の頭の中にある 記憶をお見せしたいな。 108 00:08:50,897 --> 00:08:54,901 言葉だけじゃ あの すばらしさを表現しきれない》 109 00:08:54,901 --> 00:08:57,737 なるほど では 見せてもらおうかの。 110 00:08:57,737 --> 00:08:59,706 へっ? 111 00:09:01,741 --> 00:09:04,577 《あ~ あ~ 困ります姫君! 112 00:09:04,577 --> 00:09:08,415 ちょちょ… お顔が近すぎて おめめが チカチカします! 113 00:09:08,415 --> 00:09:13,219 あ~ 姫君困ります!》 やかましい! 114 00:09:13,219 --> 00:09:15,388 そなたの記憶を 今のぞいておるんじゃ! 115 00:09:15,388 --> 00:09:18,291 集中せい! ひゃい! 116 00:09:20,927 --> 00:09:23,263 なんと 異世界には➡ 117 00:09:23,263 --> 00:09:26,766 このような きらびやかな世界があるのか。 118 00:09:26,766 --> 00:09:31,271 ふぁい! わらしも よく知りましぇんが。 119 00:09:31,271 --> 00:09:35,008 《つか 姫君のお顔も 同じくらいきらびやかで➡ 120 00:09:35,008 --> 00:09:38,178 白豚は おめめが痛いです》 121 00:09:38,178 --> 00:09:42,515 そなたは 存外 よい拾い物であるな。 122 00:09:42,515 --> 00:09:45,185 しょ しょのようなことは…。 123 00:09:45,185 --> 00:09:47,187 時折 そなたの記憶を見せよ。 124 00:09:47,187 --> 00:09:49,689 これは褒美じゃ。 125 00:09:49,689 --> 00:09:52,025 (鳳蝶)わっ 桃。 126 00:09:52,025 --> 00:09:55,528 ありがとうございます。 おいしそう。 127 00:09:55,528 --> 00:09:58,531 うむ 味は わらわが保証してやろう。 128 00:09:58,531 --> 00:10:02,202 では また明日参れ。 129 00:10:02,202 --> 00:10:06,706 そうだ 早速ポーチにしまおう。 130 00:10:06,706 --> 00:10:09,042 《おぉ すごい》 131 00:10:09,042 --> 00:10:11,878 ただいま戻りました。 132 00:10:11,878 --> 00:10:14,881 (ロッテンマイヤー)若様。 んっ? 133 00:10:14,881 --> 00:10:17,784 お話がございます。 134 00:10:21,387 --> 00:10:25,391 <昔 男ありけり。 135 00:10:25,391 --> 00:10:28,394 いや ぶっちゃけ そんな昔でもなく➡ 136 00:10:28,394 --> 00:10:30,897 遡ること6~7年前。 137 00:10:30,897 --> 00:10:35,235 とあるパーティーで 男と女が出会った。 138 00:10:35,235 --> 00:10:37,570 男は 貧乏貴族の次男坊。 139 00:10:37,570 --> 00:10:41,241 女は 帝国でも裕福な伯爵令嬢。 140 00:10:41,241 --> 00:10:45,578 女は 明日の食事にも 事欠くようなその男に➡ 141 00:10:45,578 --> 00:10:48,581 一目で心を奪われた。 142 00:10:48,581 --> 00:10:51,918 女は さまざまな手段で迫るが➡ 143 00:10:51,918 --> 00:10:55,755 男には 将来を誓い合った 相手がいた。 144 00:10:55,755 --> 00:10:58,758 女は 男を手に入れるために➡ 145 00:10:58,758 --> 00:11:02,762 男と相手の女の家に圧力をかけた。 146 00:11:02,762 --> 00:11:05,098 伯爵家を敵に回しては➡ 147 00:11:05,098 --> 00:11:07,767 帝国では 生きていけるはずもなく➡ 148 00:11:07,767 --> 00:11:11,271 男は 大切な 女性の身を守るために➡ 149 00:11:11,271 --> 00:11:14,107 伯爵家に婿養子に入り➡ 150 00:11:14,107 --> 00:11:17,610 翌年 女は男児をもうける。 151 00:11:17,610 --> 00:11:20,780 これで すべて 自分のいいようになった。 152 00:11:20,780 --> 00:11:23,616 女は そう思っていた。 153 00:11:23,616 --> 00:11:25,618 嫡子をもうけた貴族は➡ 154 00:11:25,618 --> 00:11:28,454 決して離婚ができないことに なっていたからだ。 155 00:11:28,454 --> 00:11:33,259 だが 男はそれを逆手に取り 妻を顧みずに➡ 156 00:11:33,259 --> 00:11:36,763 かつて将来を誓った女性を 側室に迎え➡ 157 00:11:36,763 --> 00:11:39,766 別邸へと去っていった> 158 00:11:39,766 --> 00:11:44,103 それが 私の父と母の事情なんですね。 159 00:11:44,103 --> 00:11:46,439 さようでございます。 160 00:11:46,439 --> 00:11:50,109 私は 2人が離婚できない原因。 161 00:11:52,412 --> 00:11:57,417 《つまり 少なくとも 父にとって私は邪魔な子ども》 162 00:11:59,752 --> 00:12:01,754 旦那様のお手紙では➡ 163 00:12:01,754 --> 00:12:05,091 先ごろ 別邸のお方が 病でお亡くなりになり➡ 164 00:12:05,091 --> 00:12:09,929 遺された 3歳のお子を伴われるそうです。 165 00:12:09,929 --> 00:12:14,100 養育の準備を 万端 整えるようにと。 166 00:12:14,100 --> 00:12:17,437 お子って。 弟様だそうです。 167 00:12:17,437 --> 00:12:20,273 弟…。 168 00:12:20,273 --> 00:12:24,110 世話係のメイドも 1人 こちらに移すとのことです。 169 00:12:24,110 --> 00:12:27,614 なんでまた? ここは 父が憎んでいる母の➡ 170 00:12:27,614 --> 00:12:32,118 伯爵家の本邸ですよ。 それは…。 171 00:12:32,118 --> 00:12:34,887 《これは あれか? 172 00:12:34,887 --> 00:12:38,558 私に廃嫡の可能性が 出てきたってことか。 173 00:12:38,558 --> 00:12:41,561 よかった 手に職つけてて。 174 00:12:41,561 --> 00:12:43,896 でも 前世はともかく➡ 175 00:12:43,896 --> 00:12:45,898 今の私は5歳だ。 176 00:12:45,898 --> 00:12:48,735 放り出されて行くところなんて》 177 00:12:48,735 --> 00:12:51,070 大丈夫ですよ 鳳蝶くん。 178 00:12:51,070 --> 00:12:54,407 婿養子が 側室に 生ませた子どもに➡ 179 00:12:54,407 --> 00:12:58,077 家督を継がせることは 国法で禁じられています。 180 00:12:58,077 --> 00:13:00,580 何より そんなことをすれば➡ 181 00:13:00,580 --> 00:13:02,582 乗っ取りとみなされて➡ 182 00:13:02,582 --> 00:13:05,084 社交界から 総スカンを食らいますから。 183 00:13:05,084 --> 00:13:09,422 鳳蝶くんが心配している ようなことには なりませんよ。 184 00:13:09,422 --> 00:13:12,925 《そうだとしたら なおさら どうして?》 185 00:13:12,925 --> 00:13:16,929 おそらく 狙いは私ですね。 ハァ? 186 00:13:16,929 --> 00:13:19,599 いや~ 実はこう見えて私➡ 187 00:13:19,599 --> 00:13:21,934 結構 有名人なんですよ。 188 00:13:21,934 --> 00:13:24,771 個人としても 教育者としても。 189 00:13:24,771 --> 00:13:27,273 えっ そうなんですか? 190 00:13:27,273 --> 00:13:29,776 私 鳳蝶くんに会うまで➡ 191 00:13:29,776 --> 00:13:33,880 エルフの冒険者 アレクセイ・ロマノフを 知らない子どもがいるなんて➡ 192 00:13:33,880 --> 00:13:38,051 思ってもみませんでした。 慢心は いけませんね。 193 00:13:38,051 --> 00:13:40,386 な なんかごめんなさい。 194 00:13:40,386 --> 00:13:42,388 (ロマノフ)えいっ。 いだだ…。 195 00:13:42,388 --> 00:13:48,061 最初は 鳳蝶くんの家庭教師も 断ろうと思ってたんです。 196 00:13:48,061 --> 00:13:50,063 事情は 聞いていましたが➡ 197 00:13:50,063 --> 00:13:54,067 あまり興味を そそられなかったので。 198 00:13:54,067 --> 00:13:56,235 でも 実際の君は不思議な子で➡ 199 00:13:56,235 --> 00:14:02,742 今は 君以外の先生になるのは ちょっと考えつかないんですが。 200 00:14:02,742 --> 00:14:04,744 旦那様は そのお子➡ 201 00:14:04,744 --> 00:14:09,582 レグルス様の家庭教師に ロマノフ先生をお望みだそうです。 202 00:14:09,582 --> 00:14:12,585 《レグルスというのか その子は》 う~ん。 203 00:14:12,585 --> 00:14:16,255 《ロマノフ先生の気持ちは うれしいし ありがたい。 204 00:14:16,255 --> 00:14:20,960 けど 婿養子とはいえ 伯爵家の当主の望みを➡ 205 00:14:20,960 --> 00:14:25,131 雇われている側が 避けられるはずがない。 206 00:14:25,131 --> 00:14:28,968 私が 死にかけても 会いに来てくれなかったのに➡ 207 00:14:28,968 --> 00:14:31,304 弟の教育のためには➡ 208 00:14:31,304 --> 00:14:35,074 憎んでいる女の屋敷に来るのか。 209 00:14:35,074 --> 00:14:40,079 今日こそは 明日こそはと 何日も待っていた。 210 00:14:40,079 --> 00:14:45,752 こないまま 今では2人の顔も 思い出せないというのに。 211 00:14:45,752 --> 00:14:50,757 弟かぁ… 気まずくてしようがないよ。 212 00:14:50,757 --> 00:14:53,426 でも 知らなかったとはいえ➡ 213 00:14:53,426 --> 00:14:55,595 私は お兄ちゃんなのだ。 214 00:14:55,595 --> 00:14:58,765 弟の面倒を しっかり見てあげないと。 215 00:14:58,765 --> 00:15:02,101 兄とは そういうものだから。 216 00:15:02,101 --> 00:15:04,103 いや そうじゃなくて➡ 217 00:15:04,103 --> 00:15:06,439 弟の話が出てから 今起きてることが➡ 218 00:15:06,439 --> 00:15:08,941 ひと事みたいで現実味がない。 219 00:15:08,941 --> 00:15:13,446 前世の自分の感覚に 浸食されている気がする。 220 00:15:13,446 --> 00:15:16,949 これは なんかよくないような》 221 00:15:16,949 --> 00:15:21,287 父が 私を嫌うのは なんとなくわかりました。 222 00:15:21,287 --> 00:15:27,126 じゃあ 母は? 223 00:15:27,126 --> 00:15:30,797 母は 私をどう思ってるんです? 224 00:15:30,797 --> 00:15:34,367 奥様は…。 225 00:15:34,367 --> 00:15:38,037 妊娠中に 旅行に行こうとなさって➡ 226 00:15:38,037 --> 00:15:42,041 それが もとで 早産の危機に陥られました。 227 00:15:42,041 --> 00:15:44,043 えっ。 228 00:15:44,043 --> 00:15:48,881 一時は 母子ともに お命が危うく それで…。 229 00:15:48,881 --> 00:15:53,386 死にかけたのは 私のせいだと思っていると? 230 00:15:53,386 --> 00:15:56,556 さようにございます。 231 00:15:56,556 --> 00:16:01,360 《ハァ… 詰んでる。 どう考えても》 232 00:16:08,067 --> 00:16:12,238 シーツは すべて取り替えましたか? はい 滞りなく。 233 00:16:12,238 --> 00:16:15,908 料理の準備は? まもなく整います。 234 00:16:15,908 --> 00:16:18,411 奥様のお気に入りの ティーセットは そろえました? 235 00:16:18,411 --> 00:16:22,081 あっ まだです。 急いでそろえて! 私がやります。 236 00:16:22,081 --> 00:16:26,419 あの~ お茶をいただいても? ⚟あっ はい! ただいま。 237 00:16:26,419 --> 00:16:29,589 (百華)今日 小童の両親が 帰ってくるのか。 238 00:16:29,589 --> 00:16:33,693 なんというか 芝居になりそうな話よのう。 239 00:16:33,693 --> 00:16:37,296 はい なんか いまいち実感がわかなくて。 240 00:16:39,699 --> 00:16:43,369 《私は 父にも 母にも好かれていない。 241 00:16:43,369 --> 00:16:46,372 なのに 前世の私がどこかで➡ 242 00:16:46,372 --> 00:16:50,042 家族なんだからって なんだか期待してて。 243 00:16:50,042 --> 00:16:52,044 会いにこられなかったのは➡ 244 00:16:52,044 --> 00:16:55,047 本当は 理由が あったんじゃないかって。 245 00:16:55,047 --> 00:17:00,353 期待しちゃだめなのに でも もしかしたらなんて》 246 00:17:02,388 --> 00:17:05,224 もうよい 今日は下がれ。 247 00:17:05,224 --> 00:17:07,894 えっ でもまだ歌ってないです。 248 00:17:07,894 --> 00:17:09,896 そんな調子では➡ 249 00:17:09,896 --> 00:17:13,232 魔素神経を意識して 歌うなど無理であろう。 250 00:17:13,232 --> 00:17:17,570 歌っても 喉を痛めるだけじゃ。 251 00:17:17,570 --> 00:17:20,273 早々に帰って 喉を休めよ。 252 00:17:24,443 --> 00:17:28,114 お帰りなさいませ 奥様。 (メイドたち)お帰りなさいませ。 253 00:17:39,525 --> 00:17:43,863 若様 お帰りなさいませ。 254 00:17:43,863 --> 00:17:47,867 ロッテンマイヤー それをどっかにやって! 不愉快よ! 255 00:17:50,369 --> 00:17:53,706 奥様。 早く どこかへやってください。 256 00:17:53,706 --> 00:17:56,709 無礼なことを! 従僕ごときが➡ 257 00:17:56,709 --> 00:17:59,712 若様に なんという 口の利き方をするのです! 258 00:17:59,712 --> 00:18:01,714 これは 失礼しました。 259 00:18:01,714 --> 00:18:04,884 ですが 奥様は ご不快に思われております。 260 00:18:04,884 --> 00:18:09,388 あるじの意に従うのが 従僕の役目ですゆえ。 261 00:18:09,388 --> 00:18:14,226 お部屋の ご用意はできております。 262 00:18:14,226 --> 00:18:17,530 連れて行って セバスチャン。 (セバスチャン)御意。 263 00:18:22,068 --> 00:18:25,905 《部屋に戻ろう》 264 00:18:25,905 --> 00:18:30,109 ロマノフ先生。 お勉強しましょうか。 265 00:18:32,244 --> 00:18:34,847 はい。 266 00:18:36,849 --> 00:18:40,019 お帰りなさいませ旦那様。 (ロッテンマイヤー)お帰りなさいませ。 267 00:18:40,019 --> 00:18:42,722 レグルス おいで。 268 00:18:56,035 --> 00:18:58,738 《あれが…。 269 00:18:58,738 --> 00:19:02,508 私の父と… 弟》 270 00:19:04,577 --> 00:19:06,746 んっ? 271 00:19:11,217 --> 00:19:15,388 貴殿が 高名な アレクセイ・ロマノフ卿か。 272 00:19:15,388 --> 00:19:18,924 はい 閣下。 高いところから失礼いたします。 273 00:19:18,924 --> 00:19:21,560 かまわない。 早速だが➡ 274 00:19:21,560 --> 00:19:25,064 我が子 レグルスの 家庭教師の件について。 275 00:19:25,064 --> 00:19:27,233 申し訳ありませんが閣下➡ 276 00:19:27,233 --> 00:19:30,403 これから鳳蝶くんの 授業がありますので。 277 00:19:30,403 --> 00:19:33,506 ロマノフ卿 その子どもに授業など➡ 278 00:19:33,506 --> 00:19:36,509 貴殿にとっても 時間の無駄というもの。 279 00:19:36,509 --> 00:19:39,345 私が 期待しているのはレグルスだけ。 280 00:19:39,345 --> 00:19:42,348 私は レグルスの話がしたい。 281 00:19:42,348 --> 00:19:45,184 先生 私 自習してますから➡ 282 00:19:45,184 --> 00:19:49,855 先にお話なさってください。 283 00:19:49,855 --> 00:19:51,857 (ロマノフ)鳳蝶くん…。 284 00:19:54,026 --> 00:19:56,529 ((それをどっかにやって! 285 00:19:56,529 --> 00:20:00,699 私が期待しているのは レグルスだけ)) 286 00:20:00,699 --> 00:20:04,203 うわっ! キャッ! 287 00:20:04,203 --> 00:20:08,741 若様? ハァ ハァ…。 288 00:20:08,741 --> 00:20:12,912 《私は 明確に彼らの敵だった。 289 00:20:12,912 --> 00:20:16,082 両親の顔も声も 覚えていなかったのも➡ 290 00:20:16,082 --> 00:20:18,084 当然だったんだ。 291 00:20:18,084 --> 00:20:21,220 だって 1年どころじゃない。 292 00:20:21,220 --> 00:20:24,557 そもそも私は 両親とまともに➡ 293 00:20:24,557 --> 00:20:28,227 顔を合わせたことなど 一度もなかったのだから。 294 00:20:28,227 --> 00:20:33,099 ロッテンマイヤーさんは 事前に ちゃんと話してくれたのに。 295 00:20:33,099 --> 00:20:37,937 私が 傷つかないように 希望をもたないように。 296 00:20:37,937 --> 00:20:40,940 なのに…。 297 00:20:40,940 --> 00:20:47,613 私が 期待なんかしたから 浅ましい 恥ずかしい》 298 00:20:47,613 --> 00:20:53,285 ご ごめんなさい。 ちゃんと事情 教えてくれたのに➡ 299 00:20:53,285 --> 00:20:55,254 私…。 300 00:20:55,254 --> 00:20:57,756 《だめだ このままここにいたら➡ 301 00:20:57,756 --> 00:21:00,426 彼女に すがってしまいそうになる》 302 00:21:00,426 --> 00:21:03,262 若さ…。 303 00:21:03,262 --> 00:21:06,265 泣いたりして ごめんなさい。 304 00:21:06,265 --> 00:21:09,068 顔を洗ってきますね。 305 00:21:16,108 --> 00:21:18,110 ふう…。 306 00:21:29,655 --> 00:21:33,392 《レグルスくん なんで あんなところに? 307 00:21:33,392 --> 00:21:35,594 しかも 一人で》 308 00:21:37,897 --> 00:21:41,066 《レグルスくん 私の弟。 309 00:21:41,066 --> 00:21:44,570 あの子は いったい どんな子なのだろう》 310 00:21:44,570 --> 00:21:47,273 (レグルス)は はくちゅっ…。 311 00:21:52,077 --> 00:21:54,380 《あれは 母の従僕》 312 00:21:57,082 --> 00:21:59,084 おおっ。 313 00:21:59,084 --> 00:22:01,086 レグルスくん! 314 00:22:01,086 --> 00:22:03,889 うあ~。 《間に合わない!》 315 00:22:06,258 --> 00:22:09,094 うっ…。 316 00:22:09,094 --> 00:22:12,598 きゃあ 若様! (宇都宮)レグルス様! 317 00:22:18,270 --> 00:22:21,373 《レグルスくん よかった》 318 00:22:25,945 --> 00:22:30,115 兄と呼ぶのも 汚らわしい豚め。 319 00:22:30,115 --> 00:22:32,618 覚悟してもらおう》 320 00:22:32,618 --> 00:22:35,921 《鳳蝶:これは レグルスくん? 321 00:22:35,921 --> 00:22:41,794 あぁ 私はいつか レグルスくんに殺されるんだ》