1 00:02:28,849 --> 00:02:30,851 (レグルス)にぃに! 2 00:02:41,294 --> 00:02:43,296 (レグルス)にぃに? 3 00:02:45,799 --> 00:02:50,804 うっ… うぐっ…。 4 00:02:50,804 --> 00:02:54,474 (鳳蝶)レグルスくん どうしたの? 5 00:02:54,474 --> 00:02:59,146 (泣き声) 6 00:02:59,146 --> 00:03:04,151 《そうか また倒れたんだ…》 7 00:03:04,151 --> 00:03:06,319 (ノック) 8 00:03:06,319 --> 00:03:08,488 (宇都宮)失礼しま~す。 9 00:03:08,488 --> 00:03:11,491 レグルス様 いませんかぁ? 10 00:03:11,491 --> 00:03:14,161 あ! やっぱりいた! 11 00:03:14,161 --> 00:03:17,164 ダメじゃないですか レグルス様。 12 00:03:17,164 --> 00:03:19,499 お兄様は おやすみ中です。 13 00:03:19,499 --> 00:03:23,503 お腹に乗っちゃ め~ですよ。 降りてください。 14 00:03:23,503 --> 00:03:26,173 め? め~ですよ! 15 00:03:26,173 --> 00:03:28,341 め~なの? 16 00:03:28,341 --> 00:03:31,511 降りてくれると助かるかな。 17 00:03:31,511 --> 00:03:33,780 若様 お気づきに!? 18 00:03:33,780 --> 00:03:37,784 ちょっと頭が痛いので 声を小さめに…。 19 00:03:37,784 --> 00:03:40,787 あっ! すみません。 20 00:03:40,787 --> 00:03:46,460 若様 散歩中に お倒れになったの 覚えてらっしゃいますか? 21 00:03:46,460 --> 00:03:48,462 あぁ… はい。 22 00:03:48,462 --> 00:03:51,465 宇都宮さんが 見つけてくれたんですか? 23 00:03:51,465 --> 00:03:56,136 いえ ロマノフ先生が 若様を 連れてきてくださったんです。 24 00:03:56,136 --> 00:03:58,305 ロマノフ先生が。 25 00:03:58,305 --> 00:04:01,808 (宇都宮)レグルス様が 泣きながら庭から出てきたのを➡ 26 00:04:01,808 --> 00:04:03,977 偶然 見つけてくださって。 27 00:04:03,977 --> 00:04:07,314 そうですか。 28 00:04:07,314 --> 00:04:10,484 レグルスくんが。 エヘヘ。 29 00:04:10,484 --> 00:04:13,487 《なんて賢いんだろう》 30 00:04:17,824 --> 00:04:20,994 宇都宮さん どうしたんですか? 31 00:04:20,994 --> 00:04:26,166 若様 レグルス様のために 無理をなさっていませんか? 32 00:04:26,166 --> 00:04:29,169 聞きました。 最近 夜遅くまで➡ 33 00:04:29,169 --> 00:04:32,172 若様の部屋の明かりが消えない。 34 00:04:32,172 --> 00:04:35,442 翌朝には レグルス様の絵本が増えているって。 35 00:04:35,442 --> 00:04:38,111 だから今日も お倒れに…。 36 00:04:38,111 --> 00:04:42,282 あぁ いえ そんなんじゃないです。 楽しいんです。 37 00:04:42,282 --> 00:04:45,786 お裁縫 つい時間を忘れちゃって。 38 00:04:49,289 --> 00:04:51,458 う… ぐすっ…。 39 00:04:51,458 --> 00:04:53,960 えぇ!? 私 何かしました!? 40 00:04:53,960 --> 00:04:57,464 レ… レグルス様のために 夜更かし…。 41 00:04:57,464 --> 00:04:59,966 ちがっ! だから してないよ!? 42 00:04:59,966 --> 00:05:02,135 あぁ レグルスくん! 43 00:05:02,135 --> 00:05:04,304 ほら あっち あっち あっち! 44 00:05:04,304 --> 00:05:06,473 それをアレして~ うわぁ~。 45 00:05:06,473 --> 00:05:09,643 め~よ にぃに こまってる。 46 00:05:09,643 --> 00:05:12,813 うぅ… あいぃ…。 47 00:05:12,813 --> 00:05:15,482 失礼しました。 48 00:05:15,482 --> 00:05:18,485 若様… 若様はどうして➡ 49 00:05:18,485 --> 00:05:21,822 レグルス様に そこまでしてくださるんですか? 50 00:05:21,822 --> 00:05:25,659 いや 布絵本作りは 私の趣味の一環で。 51 00:05:25,659 --> 00:05:27,661 それだけじゃありません。 52 00:05:27,661 --> 00:05:30,830 レグルス様が お勉強できるように してくださったり➡ 53 00:05:30,830 --> 00:05:34,768 奥様から あまり疎まれないように してくださったり。 54 00:05:34,768 --> 00:05:37,771 そのせいで若様は ご両親に…。 55 00:05:37,771 --> 00:05:42,609 私は このお屋敷には レグルス様の敵しかいないから➡ 56 00:05:42,609 --> 00:05:46,279 しっかり お守りするようにと 仰せつかってきました。 57 00:05:46,279 --> 00:05:49,115 それなのに若様は…。 58 00:05:49,115 --> 00:05:52,118 私 わからなくて。 59 00:05:52,118 --> 00:05:54,788 《ふぅ… 失敗したな。 60 00:05:54,788 --> 00:05:58,792 もっと早くに 宇都宮さんとは じっくり話すべきだった》 61 00:05:58,792 --> 00:06:02,462 宇都宮さん 話をしましょう。 62 00:06:02,462 --> 00:06:04,631 私は そもそも➡ 63 00:06:04,631 --> 00:06:07,467 望まれて生まれてきた 子どもじゃない。 64 00:06:07,467 --> 00:06:10,637 レグルスくんのせいで こうなってるわけじゃないです。 65 00:06:10,637 --> 00:06:14,474 だから そこは気にしないでください。 66 00:06:14,474 --> 00:06:17,811 《宇都宮さんは レグルスくんの守役。 67 00:06:17,811 --> 00:06:21,815 少しだけ伝えておいたほうが いいかもしれないな》 68 00:06:21,815 --> 00:06:24,150 ここだけの話 私➡ 69 00:06:24,150 --> 00:06:27,988 あんまり長生きしない気が するんですよね。 70 00:06:27,988 --> 00:06:31,157 な… な… 何をおっしゃってるんですか!? 71 00:06:31,157 --> 00:06:34,261 レグルスくんを迎え入れる時も 言ったでしょ。 72 00:06:34,261 --> 00:06:39,766 人間 何が起こるかわからない。 代わりは必要だって。 73 00:06:39,766 --> 00:06:44,771 私 つい半年前に 流行り病で死にかけたんですよね。 74 00:06:44,771 --> 00:06:47,107 それで なんとなく➡ 75 00:06:47,107 --> 00:06:51,611 長生きしないんじゃないかと 思うようになりまして。 76 00:06:51,611 --> 00:06:55,282 《すべて本当のことを 言うわけにも…》 77 00:06:55,282 --> 00:06:58,118 だからね 私が死んだあと➡ 78 00:06:58,118 --> 00:07:01,788 レグルスくんに 菊乃井の 領主になってもらいたいんです。 79 00:07:01,788 --> 00:07:04,457 し… 死んだあと…。 80 00:07:04,457 --> 00:07:06,459 え!? でも そんな…。 81 00:07:06,459 --> 00:07:08,795 ハハハ 大丈夫ですよ。 82 00:07:08,795 --> 00:07:12,632 私が死んでも 両親は 何の感慨も抱かないでしょう。 83 00:07:12,632 --> 00:07:15,802 そんな!? そんなこと…。 あるんですよ。 84 00:07:15,802 --> 00:07:18,138 だって死にかけた時➡ 85 00:07:18,138 --> 00:07:21,141 枕元にいてくれたのは 両親じゃなくて➡ 86 00:07:21,141 --> 00:07:25,478 屋敷に勤める 使用人の皆さんだけなんですよ。 87 00:07:25,478 --> 00:07:28,481 でも レグルスくんは違う。 88 00:07:28,481 --> 00:07:32,152 父は レグルスくんに 最高の教師を得るために➡ 89 00:07:32,152 --> 00:07:34,754 来たくもない場所へ乗り込んで➡ 90 00:07:34,754 --> 00:07:38,091 レグルスくんを守るために プライドを捨てて➡ 91 00:07:38,091 --> 00:07:41,428 母に頭を下げて お金を稼ごうとしている。 92 00:07:41,428 --> 00:07:46,433 だからきっと レグルスくんが 菊乃井の当主になったほうが➡ 93 00:07:46,433 --> 00:07:50,437 喜ぶ人は多いです。 あっ こういうのは➡ 94 00:07:50,437 --> 00:07:53,773 最大多数の最大幸福 って言ってですね…。 95 00:07:53,773 --> 00:07:57,110 長生きなさるかも しれないじゃないですか! 96 00:07:57,110 --> 00:08:02,282 その時は レグルスくんに家督を譲って 私は…。 97 00:08:02,282 --> 00:08:07,454 そうだな 裁縫とかをして 生きていければいいな。 98 00:08:07,454 --> 00:08:11,958 《そんな未来は きっと来ないけど…》 99 00:08:11,958 --> 00:08:16,796 それでね 宇都宮さんにも やってほしいことがあるんです。 100 00:08:16,796 --> 00:08:19,799 レグルスくんの味方を 増やしてください。 101 00:08:19,799 --> 00:08:22,635 私が死んでも 誰もその死に➡ 102 00:08:22,635 --> 00:08:25,472 レグルスくんが関係してると 疑わないほどに。 103 00:08:25,472 --> 00:08:27,974 若様 何を…。 104 00:08:27,974 --> 00:08:31,144 万が一にも レグルスくんが疑われたら➡ 105 00:08:31,144 --> 00:08:34,581 母やセバスチャンの思うつぼです。 106 00:08:34,581 --> 00:08:37,917 あの野郎は… セバスチャンは➡ 107 00:08:37,917 --> 00:08:42,088 私に レグルスくんを追い出す 手伝いをさせようとした。 108 00:08:42,088 --> 00:08:46,926 そうすれば 母が私に 目をかけるかもとチラつかせて。 109 00:08:46,926 --> 00:08:52,432 自分より弱い者をイジめなければ 私は愛される価値がないと? 110 00:08:52,432 --> 00:08:56,436 あなどるなよ 私にだって 意地くらいはあるんだ! 111 00:09:02,442 --> 00:09:07,113 《私の弟 かわいいか かわいくないかで言えば➡ 112 00:09:07,113 --> 00:09:09,115 きっと かわいい。 113 00:09:09,115 --> 00:09:12,118 複雑な気持ちが わずかばかりあるのは➡ 114 00:09:12,118 --> 00:09:14,454 前世の知識があっても➡ 115 00:09:14,454 --> 00:09:17,624 私が やっぱり 5歳児だからなんだろう》 116 00:09:17,624 --> 00:09:19,626 わかりました。 117 00:09:19,626 --> 00:09:22,462 不肖 宇都宮アリス➡ 118 00:09:22,462 --> 00:09:27,167 若様とレグルス様をお守りすべく 全力で尽くさせていただきます。 119 00:09:29,135 --> 00:09:31,137 いや 宇都宮さんは➡ 120 00:09:31,137 --> 00:09:34,073 レグルスくんのために働いてくれたら いいんですよ。 121 00:09:34,073 --> 00:09:36,910 いいえ 若様のお望みを叶えることは➡ 122 00:09:36,910 --> 00:09:39,078 レグルス様のおためでもあります。 123 00:09:39,078 --> 00:09:42,082 えぇ…。 若様。 124 00:09:42,082 --> 00:09:46,753 若様 どうかレグルス様と 仲よくなさってくださいね。 125 00:09:46,753 --> 00:09:48,755 そうすれば 宇都宮は➡ 126 00:09:48,755 --> 00:09:51,925 必ず お二人を守ってみせますから。 127 00:09:51,925 --> 00:09:55,762 若様も 長生きしないなんて 言わないでください。 128 00:09:55,762 --> 00:09:58,932 宇都宮さん。 それにしても若様も➡ 129 00:09:58,932 --> 00:10:02,268 意外に激しいんですね 「あの野郎」だなんて! 130 00:10:02,268 --> 00:10:04,771 宇都宮 ビックリしました。 131 00:10:04,771 --> 00:10:08,107 まさに… 宇都宮は見た! 132 00:10:08,107 --> 00:10:11,111 じゃっ 若様がお目覚めになられたこと➡ 133 00:10:11,111 --> 00:10:13,446 お知らせしてきま~す! 134 00:10:13,446 --> 00:10:15,448 あぁ…。 135 00:10:15,448 --> 00:10:19,452 《もしかして宇都宮さんって…。 136 00:10:19,452 --> 00:10:22,789 いや 考え過ぎか? でも…。 137 00:10:22,789 --> 00:10:27,093 宇都宮さん なんか うさんくさいな~》 138 00:10:29,129 --> 00:10:31,798 (ロマノフ) ちょっとない経験でしたよ。 139 00:10:31,798 --> 00:10:34,634 頭に虹色の蝶をとまらせた 幼児に➡ 140 00:10:34,634 --> 00:10:37,637 いきなり抱きつかれて 大泣きされるとか。 141 00:10:37,637 --> 00:10:39,806 お世話をかけました。 142 00:10:39,806 --> 00:10:42,642 レグルスくん 蝶をのせていたんですか? 143 00:10:42,642 --> 00:10:46,813 ただの蝶ではないですよ 姫君の分霊です。 144 00:10:46,813 --> 00:10:51,150 君が倒れたので 姫君がレグルスくんに指示を出して➡ 145 00:10:51,150 --> 00:10:53,319 屋敷まで導いたそうです。 146 00:10:53,319 --> 00:10:55,989 ((百華:あっちじゃ 屋敷へ走るのじゃ)) 147 00:10:55,989 --> 00:10:58,825 そうだったんですか。 フフフッ。 148 00:10:58,825 --> 00:11:00,827 鳳蝶くん。 149 00:11:00,827 --> 00:11:04,998 姫君がおっしゃるには あなたは流行り病の後遺症で➡ 150 00:11:04,998 --> 00:11:08,334 倒れやすくなっているそうです。 後遺症? 151 00:11:08,334 --> 00:11:11,504 半年前に 流行り病で死にかけたでしょう。 152 00:11:11,504 --> 00:11:13,506 一度 死にかけた者は➡ 153 00:11:13,506 --> 00:11:16,843 魂と肉体のつながりが 細くなることがあるのだと➡ 154 00:11:16,843 --> 00:11:19,345 姫君が。 そして…。 155 00:11:19,345 --> 00:11:23,349 ((百華:詳しく調べるゆえ 7日間 休みをやる。 156 00:11:23,349 --> 00:11:25,351 英気を養うがよい)) 157 00:11:25,351 --> 00:11:28,354 との仰せでした。 7日間も!? 158 00:11:28,354 --> 00:11:32,025 姫君も留守にされるそうですので その間。 159 00:11:32,025 --> 00:11:34,794 ((ひよこに 子守唄を歌って聞かせ➡ 160 00:11:34,794 --> 00:11:37,463 あとは魔術の修練でもしておれ)) 161 00:11:37,463 --> 00:11:40,133 とも。 子守唄? 162 00:11:40,133 --> 00:11:43,469 更に これも 姫君が仰せだったのですが…。 163 00:11:43,469 --> 00:11:46,139 ((ひよこに棒振りをさせておけ)) 164 00:11:46,139 --> 00:11:48,141 つまり剣術ですね。 165 00:11:48,141 --> 00:11:50,810 《剣術? レグルスくんに? 166 00:11:50,810 --> 00:11:53,479 なんで突然そんなことを…》 167 00:11:53,479 --> 00:11:55,481 ていっ! いっ! 168 00:11:55,481 --> 00:11:58,484 眉間にシワ 寄っちゃってますよ~。 169 00:11:58,484 --> 00:12:00,820 姫君の見立てでは➡ 170 00:12:00,820 --> 00:12:03,823 彼は才能がある部類らしいですよ。 171 00:12:03,823 --> 00:12:07,827 姫君の むき出しの神気にも ひるまなかったらしいですし。 172 00:12:07,827 --> 00:12:10,830 神気? 簡単に言えば➡ 173 00:12:10,830 --> 00:12:13,100 神様の圧力ですね。 174 00:12:13,100 --> 00:12:18,504 姫君は 思わずひざまずいてしまう 雰囲気をお持ちでしょ? 175 00:12:18,504 --> 00:12:23,009 でも あれでも ふだんは かなり抑えてらっしゃるんですよ。 176 00:12:23,009 --> 00:12:26,512 今回は レグルスくんを導くのと➡ 177 00:12:26,512 --> 00:12:28,848 倒れた鳳蝶くんを守るために➡ 178 00:12:28,848 --> 00:12:31,851 姫君ご自身の分霊を作られました。 179 00:12:31,851 --> 00:12:34,120 その際に 一瞬とはいえ➡ 180 00:12:34,120 --> 00:12:37,457 姫君の むき出しの神気を 浴びたのだとか。 181 00:12:37,457 --> 00:12:40,126 しかし彼は 怯えるどころか➡ 182 00:12:40,126 --> 00:12:42,795 姫君の望むところをなした。 183 00:12:42,795 --> 00:12:46,466 ((肝が太い。 英雄の気風を感じた)) 184 00:12:46,466 --> 00:12:50,136 そうおっしゃってましたよ。 はわ… やだ~。 185 00:12:50,136 --> 00:12:52,472 レグルスくん 天才ですか? 186 00:12:52,472 --> 00:12:55,308 うちの子 すごぉ~い! うちの子って…。 187 00:12:55,308 --> 00:12:58,311 《もう私 開き直りました。 188 00:12:58,311 --> 00:13:01,481 レグルスくんを 立派な領主に育てます! 189 00:13:01,481 --> 00:13:05,151 えぇ レグルスくんの 亡きお母さまに代わって!》 190 00:13:05,151 --> 00:13:07,153 まあ つまり➡ 191 00:13:07,153 --> 00:13:10,490 よく遊び よく寝かせろ ってことじゃないですかね。 192 00:13:10,490 --> 00:13:13,826 寝る子は育つと言いますし。 ふん! 193 00:13:13,826 --> 00:13:18,331 鳳蝶くん 君は毎日のように 姫君にお会いしているから➡ 194 00:13:18,331 --> 00:13:21,334 感覚が マヒしているかもしれませんが➡ 195 00:13:21,334 --> 00:13:25,338 普通は人間の前に姿を現さない。 えっ? 196 00:13:25,338 --> 00:13:30,009 異世界の歌だって 他の歌い手に 歌わせてもいいのです。 197 00:13:30,009 --> 00:13:32,011 それが そうせずに➡ 198 00:13:32,011 --> 00:13:34,781 君に歌わせ ご指導までなさっている。 199 00:13:34,781 --> 00:13:38,084 それはつまり 君に才能があるからです。 200 00:13:40,119 --> 00:13:42,455 《それは 異世界の歌を知っているのが➡ 201 00:13:42,455 --> 00:13:45,625 私だけだからですよ とは言えない》 202 00:13:45,625 --> 00:13:50,296 きっと君は 100年か200年に一度の 歌い手なのです。 203 00:13:50,296 --> 00:13:54,634 《こんなことなら あの時 本当のことを言えばよかった。 204 00:13:54,634 --> 00:13:56,636 ばつが悪い…》 205 00:13:56,636 --> 00:13:59,472 はぁ… 疑り深いですねぇ。 206 00:13:59,472 --> 00:14:01,808 君くらいの歳の子は➡ 207 00:14:01,808 --> 00:14:04,477 褒められたら調子に乗るくらいで ちょうどいいのに。 208 00:14:04,477 --> 00:14:06,646 あ~ え~と…。 209 00:14:06,646 --> 00:14:10,483 だって私 自分以外の歌 聞いたことないので➡ 210 00:14:10,483 --> 00:14:13,820 うまいって言われてもなぁ みたいな? 211 00:14:13,820 --> 00:14:18,324 そうか… 君は この屋敷から 出たことがないんでしたね。 212 00:14:18,324 --> 00:14:22,829 それじゃあ比較対象がなく 自分の力量は測れませんね。 213 00:14:22,829 --> 00:14:26,165 わかりました 帝都に行きましょう。 214 00:14:26,165 --> 00:14:29,335 《ん~? なんでやねん!》 215 00:14:29,335 --> 00:14:31,838 帝都には音楽家がいます。 216 00:14:31,838 --> 00:14:35,108 旅芸人の一座が 公演してたりもしますね。 217 00:14:35,108 --> 00:14:37,110 そうなんでふか? 218 00:14:37,110 --> 00:14:40,446 菊乃井領は よく言えば のどかですが➡ 219 00:14:40,446 --> 00:14:44,117 まあ ド田舎なので 旅芸人も来ないでしょう。 220 00:14:44,117 --> 00:14:46,619 待つよりも行くほうが早いです。 221 00:14:46,619 --> 00:14:48,788 《あれ? 待てよ。 222 00:14:48,788 --> 00:14:52,625 姫君は ミュージカルは初めて見たって 言ってたけど…》 223 00:14:52,625 --> 00:14:55,128 ((なんと 異世界には➡ 224 00:14:55,128 --> 00:14:58,131 このような きらびやかな世界があるのか)) 225 00:14:58,131 --> 00:15:01,968 《先生の言い方だと お芝居は あるっぽい》 226 00:15:01,968 --> 00:15:04,971 先生 ちょっとお聞きしますけど➡ 227 00:15:04,971 --> 00:15:08,141 ミュージカルやオペラって ご存じですか? 228 00:15:08,141 --> 00:15:11,811 芝居に 歌やダンスが 混じってるやつなんですけど。 229 00:15:11,811 --> 00:15:14,647 (ロマノフ)さて… 私には覚えがありませんが。 230 00:15:14,647 --> 00:15:16,649 そうなんですか。 231 00:15:16,649 --> 00:15:19,819 姫君が 観たいと おっしゃってたんですが。 232 00:15:19,819 --> 00:15:23,656 ふむ それは 異世界の話かもしれませんね。 233 00:15:23,656 --> 00:15:26,826 たとえ そういったものが 帝都で流行っていても➡ 234 00:15:26,826 --> 00:15:30,329 菊乃井には 何年か遅れてくるのではないかと。 235 00:15:30,329 --> 00:15:32,832 《なるほど 菊乃井って➡ 236 00:15:32,832 --> 00:15:36,102 芸術系の人にとっては そんなド田舎なのか。 237 00:15:36,102 --> 00:15:41,274 でも 帝都には お芝居もあるし 音楽家もいるんだなぁ。 238 00:15:41,274 --> 00:15:44,777 レグルスくんも 連れていってあげたいな。 239 00:15:44,777 --> 00:15:47,113 たしか 菊乃井から帝都までは➡ 240 00:15:47,113 --> 00:15:50,783 馬車で10日 往復20日で…》 241 00:15:50,783 --> 00:15:53,286 先生。 はい? 242 00:15:53,286 --> 00:15:57,623 レグルスくんも連れていくとしたら 旅費は いかほどですかね? 243 00:15:57,623 --> 00:16:01,461 そうですねぇ 安くはないですね。 244 00:16:01,461 --> 00:16:04,130 ですよねぇ? 245 00:16:04,130 --> 00:16:08,134 劇場は 小さな子どもは 入れないところもありますし➡ 246 00:16:08,134 --> 00:16:12,138 今回は 私と鳳蝶くんだけに しておきましょう。 247 00:16:12,138 --> 00:16:15,475 それから 旅費は気にしなくて結構ですよ。 248 00:16:15,475 --> 00:16:17,476 えっ! いいんですか? 249 00:16:17,476 --> 00:16:22,148 でも お土産を買うお小遣いは 自分で用意しましょうか。 250 00:16:22,148 --> 00:16:25,818 《お小遣い? つまり私のお金…》 251 00:16:25,818 --> 00:16:30,490 あの 無一文なので 働き口はありますか? 252 00:16:30,490 --> 00:16:32,825 プフッ ハハハハハハハ! 253 00:16:32,825 --> 00:16:36,929 普通は ないかもですが 鳳蝶くんにはありますよ。 えっ? 254 00:16:36,929 --> 00:16:40,433 君には すてきなスキルが あるじゃないですか。 255 00:16:40,433 --> 00:16:43,936 その青の手が。 《青の手?》 256 00:16:43,936 --> 00:16:46,439 そうですね とりあえず➡ 257 00:16:46,439 --> 00:16:51,110 ハンカチ5枚ほどに エルフ紋様の コンドルを刺繍してもらえますか? 258 00:16:51,110 --> 00:16:54,280 それができたら とある所にお連れします。 259 00:16:54,280 --> 00:16:57,283 予定より 少し早くなってしまいましたが➡ 260 00:16:57,283 --> 00:16:59,285 まあ いいでしょう。 261 00:16:59,285 --> 00:17:01,787 《とある所って どこだろ。 262 00:17:01,787 --> 00:17:04,624 というか ロマノフ先生って…》 263 00:17:04,624 --> 00:17:08,961 あの 先生 いつもありがとうございます。 264 00:17:08,961 --> 00:17:11,297 ん? なんですか? 急に。 265 00:17:11,297 --> 00:17:15,134 だって先生 魔素神経の習得時期のこととか➡ 266 00:17:15,134 --> 00:17:17,803 予想しながら 勉強させてくれたり➡ 267 00:17:17,803 --> 00:17:20,806 課題のある場所に 行く予定を立ててくれたり➡ 268 00:17:20,806 --> 00:17:26,145 結構 長いスパンで 私の教育計画を 立ててくれているんだなって。 269 00:17:26,145 --> 00:17:28,814 それって 私の家庭教師を➡ 270 00:17:28,814 --> 00:17:32,318 長く続ける気で いてくれてるってことですよね。 271 00:17:32,318 --> 00:17:35,755 ボランティアなのに。 ふむ… あぁ…。 272 00:17:35,755 --> 00:17:40,760 まあ 私たちエルフは 短くても 2,000年は生きますからね。 273 00:17:40,760 --> 00:17:43,095 そのうち 5年や10年を➡ 274 00:17:43,095 --> 00:17:46,766 家庭教師として過ごすのも 冒険者として過ごすのも➡ 275 00:17:46,766 --> 00:17:49,101 そう変わりあることでは ありませんよ。 276 00:17:49,101 --> 00:17:51,771 それでも 先生の5年や10年を➡ 277 00:17:51,771 --> 00:17:55,608 無駄にしたと思われないような 生徒でありたいと思いますので➡ 278 00:17:55,608 --> 00:18:00,279 よろしくお願いします。 いやいや 5年や10年と言わず➡ 279 00:18:00,279 --> 00:18:04,283 100年くらい使ってもらって 大丈夫ですからね。 280 00:18:04,283 --> 00:18:08,287 先生 私 確かにアホの子ですけど➡ 281 00:18:08,287 --> 00:18:11,791 さすがに 100年もアホの子とかは ないかなって。 282 00:18:11,791 --> 00:18:14,627 いや そういうことじゃ ないんですけど…。 283 00:18:14,627 --> 00:18:18,297 はあ… まあ おいおいね。 284 00:18:18,297 --> 00:18:23,135 ともかく刺繍は急ぎませんから 今日は ちゃんと休むんですよ。 285 00:18:23,135 --> 00:18:25,338 (鳳蝶)は~い。 286 00:18:27,306 --> 00:18:32,144 (鼻歌) 287 00:18:32,144 --> 00:18:35,081 源三さん おはようございます! 288 00:18:35,081 --> 00:18:38,751 おはようございます! (源三)おぉ。 289 00:18:38,751 --> 00:18:41,754 若様方 よう来んさった。 290 00:18:44,423 --> 00:18:48,427 夏野菜は そろそろ終わりにせんとですな。 291 00:18:48,427 --> 00:18:52,932 そうですねぇ 秋になったら 違うの植えたいですね。 292 00:18:52,932 --> 00:18:57,603 そう言うと思いましてな 白菜を用意してみましたじゃ。 293 00:18:57,603 --> 00:19:00,606 《わぁ 白菜! 冬には欠かせない➡ 294 00:19:00,606 --> 00:19:03,776 野菜じゃないですか! やった~》 295 00:19:03,776 --> 00:19:07,780 じゃがいもや白ネギなどの苗も 育てておりますのじゃ。 296 00:19:07,780 --> 00:19:10,116 じゃあ その苗が育ったら➡ 297 00:19:10,116 --> 00:19:12,618 夏野菜は おしまいにしなきゃですね。 298 00:19:12,618 --> 00:19:15,121 (源三)改めて 土を用意せにゃならんので➡ 299 00:19:15,121 --> 00:19:17,456 植える しばらく前から 準備はせんと。 300 00:19:17,456 --> 00:19:20,126 あと ひと月ほどかかりますなぁ。 301 00:19:20,126 --> 00:19:23,963 (鳳蝶)それじゃあ 苗を 植えつけるのは九の月ですかね。 302 00:19:23,963 --> 00:19:27,967 えぇ。 じゃあ始めるとしますか。 (鳳蝶)はい! 303 00:19:27,967 --> 00:19:30,302 ふふっ。 304 00:19:30,302 --> 00:19:33,739 《この世界の暦は 前の世界と変わらないから➡ 305 00:19:33,739 --> 00:19:36,042 混乱しなくて助かる~》 306 00:19:39,578 --> 00:19:44,083 レグルスくん こっち! 野菜を収穫するよ。 307 00:19:44,083 --> 00:19:48,087 レグルスくんは まだハサミを使えないから➡ 308 00:19:48,087 --> 00:19:51,090 小さくて赤いのを こうやって。 309 00:19:51,090 --> 00:19:53,092 はい。 わあ! 310 00:19:53,092 --> 00:19:55,428 そして ここにのせる。 311 00:19:55,428 --> 00:19:58,764 さあ やってごらん。 うん! 312 00:19:58,764 --> 00:20:03,769 (鳳蝶)おっ! 上手 上手! (レグルス)やった~! 313 00:20:03,769 --> 00:20:06,939 (鳳蝶)いっぱいとれたね~! (レグルス)うん! 314 00:20:06,939 --> 00:20:11,444 レグルスくん あ~ん。 あ~ん。 315 00:20:11,444 --> 00:20:14,447 ん~っ しゅっぱあまい! 316 00:20:14,447 --> 00:20:16,449 すっぱあまいかな? 317 00:20:16,449 --> 00:20:19,452 それは 甘酸っぱいって言うんだよ。 318 00:20:19,452 --> 00:20:23,789 にぃにも あ~ん! あ~ん。 319 00:20:23,789 --> 00:20:26,625 ん~! おいしい! 320 00:20:26,625 --> 00:20:30,629 若様方は 仲がよろしゅうござんすなぁ。 321 00:20:30,629 --> 00:20:32,798 何かありましたか? 322 00:20:32,798 --> 00:20:36,469 いやぁ ワシにも孫がいましてな。 323 00:20:36,469 --> 00:20:40,473 若様の1つ上と レグルス様の1つ下でして。 324 00:20:40,473 --> 00:20:45,644 子ども返りというのか 弟に ひどく当たりましてのう。 325 00:20:45,644 --> 00:20:50,483 親に相手にされないうっぷんが 弟に向けられておるのでしょうが。 326 00:20:50,483 --> 00:20:53,819 それで更に叱られては 不憫でのう。 327 00:20:53,819 --> 00:20:58,157 そうですか それは逃げ道が必要ですね。 328 00:20:58,157 --> 00:21:00,826 あっ なんだったら気晴らしに➡ 329 00:21:00,826 --> 00:21:03,496 お孫さんに この菜園を手伝わせては? 330 00:21:03,496 --> 00:21:05,831 いいんですか? えぇ。 331 00:21:05,831 --> 00:21:10,169 レグルスくんの遊び相手にも なってもらえるかもだし。 332 00:21:10,169 --> 00:21:13,672 ありがとうごぜえますだ。 333 00:21:13,672 --> 00:21:18,511 源三さん よかったらこれ お孫さんにも。 334 00:21:18,511 --> 00:21:21,514 ん? そういえば➡ 335 00:21:21,514 --> 00:21:24,517 ここの野菜と うちで作っとる野菜➡ 336 00:21:24,517 --> 00:21:27,853 種類も肥料も同じなんですがの➡ 337 00:21:27,853 --> 00:21:31,690 ここのが育ちがよくて 味も格段に違いますのじゃ。 338 00:21:31,690 --> 00:21:35,294 そうなんですか? 土が違うのかしら。 339 00:21:35,294 --> 00:21:38,797 そう思いましての 白菜の苗用に➡ 340 00:21:38,797 --> 00:21:41,801 こちらの土を 使わせてもらっておりますじゃ。 341 00:21:41,801 --> 00:21:44,470 事後承諾で申し訳ねえですが。 342 00:21:44,470 --> 00:21:48,974 大丈夫ですよ。 白菜 よろしくお願いします! 343 00:21:48,974 --> 00:21:51,310 (レグルス)えい! 344 00:21:51,310 --> 00:21:53,813 んっ! ふっ! やっ! 345 00:21:53,813 --> 00:21:56,148 ((ひよこに棒振りをさせよ)) 346 00:21:56,148 --> 00:21:58,984 はっ! 347 00:21:58,984 --> 00:22:02,321 剣術かぁ どうしようかな…。 348 00:22:02,321 --> 00:22:04,323 ん? 349 00:22:04,323 --> 00:22:10,329 なるほど ならばレグルス様の剣術 この源三にお任せを! 350 00:22:10,329 --> 00:22:14,833 実は ワシは 先代のご領主様に拾われる前は➡ 351 00:22:14,833 --> 00:22:17,169 冒険者をやっておりましての。 352 00:22:17,169 --> 00:22:19,471 えっ!? そうなんですか!? 353 00:22:22,007 --> 00:22:25,010 《よく見ると 筋骨隆々》 354 00:22:25,010 --> 00:22:27,012 歳はとりましたが➡ 355 00:22:27,012 --> 00:22:30,182 今でも朝は 素振りをしておりますじゃ。 356 00:22:30,182 --> 00:22:34,119 位階は上の下 これでも名うてじゃった。 357 00:22:34,119 --> 00:22:36,822 《これは 願ったり叶ったりじゃん》 358 00:22:38,791 --> 00:22:43,095 《やったね レグルスくん! 先生が増えるよ!》