1 00:00:04,969 --> 00:00:24,923 ・~ 2 00:00:24,923 --> 00:00:44,959 ・~ 3 00:00:44,959 --> 00:00:58,656 ・~ 4 00:00:58,656 --> 00:01:03,128 ・~ 5 00:01:03,128 --> 00:01:11,228 ・~ 6 00:01:15,156 --> 00:01:33,256 ・~ 7 00:01:34,976 --> 00:01:37,812 (コメンテーター)問題はね 彼の経歴ですよ。・ 8 00:01:37,812 --> 00:01:40,298 吉切組といえば あの辺りを 束ねている・ 9 00:01:40,298 --> 00:01:42,350 一大組織だ。 そんな所に・ 10 00:01:42,350 --> 00:01:44,385 出入りしてた 人間ですよ?・ 11 00:01:44,385 --> 00:01:47,355 しかも 彼は 前科があるそうじゃないですか。・ 12 00:01:47,355 --> 00:01:50,825 だいたいね 落語界っていう…。 パチッ(スイッチ音) 13 00:01:50,825 --> 00:01:53,625 (小夏) 毎日 毎日 よく飽きないもんね。 14 00:01:54,979 --> 00:01:57,549 (与太郎) アネさん オイラの羽織 どこ? 15 00:01:57,549 --> 00:01:59,551 (小夏)これ! おわっ! 16 00:01:59,551 --> 00:02:02,770 せっかく きれぇに畳んでんのに 投げたんじゃ意味ねぇぞ。 17 00:02:02,770 --> 00:02:05,306 (小夏)朝から ドタバタやかましいんだよ。 18 00:02:05,306 --> 00:02:08,877 こっちは 赤ん坊もいるし 口うるさい じじいもいるんだ。 19 00:02:08,877 --> 00:02:10,912 もう少し 気ぃ遣いな。 20 00:02:10,912 --> 00:02:14,816 (信之助)すぅ… すぅ…。 21 00:02:14,816 --> 00:02:17,035 んん~ ふふふっ。 22 00:02:17,035 --> 00:02:19,938 アネさんも すっかり いいおっかさんだねぇ。 23 00:02:19,938 --> 00:02:23,575 オイラも 家族がいるって思うと 仕事に 精が出るってもんだ。 24 00:02:23,575 --> 00:02:26,361 うっさい。 あんたなんか まだ仮免だよ。 25 00:02:26,361 --> 00:02:28,363 嫌んなったら すぐ追い出してやるよ。 26 00:02:28,363 --> 00:02:32,283 ええ~ そりゃないぜ! もう 婚姻届も出したってのに。 27 00:02:32,283 --> 00:02:34,919 だったら もうちっと 親らしく しっかりしやがれ! 28 00:02:34,919 --> 00:02:37,555 いつまでたっても与太郎じゃ こちとら困るんだよ! 29 00:02:37,555 --> 00:02:39,574 だから もう助六だってぇの! 30 00:02:39,574 --> 00:02:41,626 ちっとも 呼んじゃくれねぇんだもんな。 31 00:02:41,626 --> 00:02:43,695 (小夏) いいから さっさと 仕事 行きな! 32 00:02:43,695 --> 00:02:47,398 へい! 行ってめぇりやす。 ・(信之助)うわぁ~ん! 33 00:02:47,398 --> 00:02:50,235 おお~ よしよしよし。 ・師匠 行ってめぇりやす! 34 00:02:50,235 --> 00:02:54,289 あんな問題が出たってのに てんで気にしちゃいないよ。・ 35 00:02:54,289 --> 00:02:57,942 大した真打ち。 ・(有楽亭八雲)小夏さん! 36 00:02:57,942 --> 00:03:01,913 ・ちょいと来とくれ。 早く! (小夏)はぁ…。・ 37 00:03:01,913 --> 00:03:05,183 ったく… 子供が 2人も3人もいるみたいで・ 38 00:03:05,183 --> 00:03:07,202 嫌んなるね。 39 00:03:07,202 --> 00:03:09,320 「だからね うちの寺で・ 40 00:03:09,320 --> 00:03:12,106 葬ってやろうと思ってね」。 「おう おう。・ 41 00:03:12,106 --> 00:03:14,359 ・そりゃあ そうしてやっとくれ」。 「ほんとはな・ 42 00:03:14,359 --> 00:03:16,911 ・大家のあたしが やんなきゃいけないことなんだが」。 43 00:03:16,911 --> 00:03:19,914 (師匠) やれやれ。 今更 こんな昔のこと・ 44 00:03:19,914 --> 00:03:21,950 つっついてぇきやがるとは。・ 45 00:03:21,950 --> 00:03:25,236 無粋だねぇ。 まあ 与太ちゃんのことだから・ 46 00:03:25,236 --> 00:03:27,755 大して気にしてねぇみてぇだけど。 47 00:03:27,755 --> 00:03:31,893 (師匠)なんだか怪しいヤツも 入り込んでるみてぇだし・ 48 00:03:31,893 --> 00:03:33,978 心配だね。 49 00:03:33,978 --> 00:03:37,382 心配なのは それだけじゃねぇけどなぁ。 50 00:03:37,382 --> 00:03:41,382 こう言っちゃなんだが 最近の与太ちゃんは どうもな…。 51 00:03:42,921 --> 00:03:44,939 みんなで ワイワイ ワイワイ言いながら・ 52 00:03:44,939 --> 00:03:48,142 下谷の山崎町を出まして あれから 上野の山下に寄ってまいりまして・ 53 00:03:48,142 --> 00:03:50,828 三枚橋を渡って 上野広小路へ出ました。 54 00:03:50,828 --> 00:03:53,298 あれから 御成街道を まっつぐに参りまして そのころ・ 55 00:03:53,298 --> 00:03:55,733 堀様と鳥居様のお屋敷の前を まっつぐに・ 56 00:03:55,733 --> 00:03:58,770 筋違御門から大通り 神田須田町へ出てまいりまして・ 57 00:03:58,770 --> 00:04:02,156 新石町から鍛冶町 今川橋を…。 ふんっ。 58 00:04:02,156 --> 00:04:04,642 ちっ! どうしたぃ 助六! 59 00:04:04,642 --> 00:04:08,079 先代のまねにしちゃ つまんねぇぞ! この三文野郎!・ 60 00:04:08,079 --> 00:04:11,833 ・それでも真打ちか! ・(観客)なんだ てめぇ!・ 61 00:04:11,833 --> 00:04:14,352 三代目の落語に ケチつけんのか・ 62 00:04:14,352 --> 00:04:17,338 つまんねぇもんに つまんねぇっつって 何が悪ぃ!・ 63 00:04:17,338 --> 00:04:19,474 てめぇこそ こんなもん面白がりやがって・ 64 00:04:19,474 --> 00:04:22,076 耳掃除してんのか? (観客)んだと このやろう! 65 00:04:22,076 --> 00:04:24,512 (観客)やんのか・ (観客)おう 面白ぇ!・ 66 00:04:24,512 --> 00:04:27,765 やってやろうじゃねぇか! (2人)んん~! 67 00:04:27,765 --> 00:04:31,853 (観客)手は なし! 口で勝負だ。 ええ~ 麻布絶口釜無村の・ 68 00:04:31,853 --> 00:04:35,053 木蓮寺に着いた頃には みんな 随分くたぶれた…。 69 00:04:37,492 --> 00:04:41,492 降板? 世間が どうも うるさくてね。 70 00:04:43,414 --> 00:04:46,050 スポンサーも気にしてるし 悪いね。 71 00:04:46,050 --> 00:04:48,970 けど オイラ ほんとに 吉切組とは縁切って…。 72 00:04:48,970 --> 00:04:51,039 もう決まったことだから。 73 00:04:51,039 --> 00:04:53,675 まっ 今は 寄席に引っ込んでた方がいいよ・ 74 00:04:53,675 --> 00:04:55,675 真打ちちゃん。 75 00:05:00,498 --> 00:05:03,351 「うるさいねぇ。 黙って あたしの言うとおりに・ 76 00:05:03,351 --> 00:05:06,904 動いてればいいの ほんとに。 大家さんところに行くの。・ 77 00:05:06,904 --> 00:05:10,124 それでね その鮑 持ってって」…。 パン パン(手をたたく音) 78 00:05:10,124 --> 00:05:14,312 今んとこ もう一度やってみな。 へ… へい。 79 00:05:14,312 --> 00:05:16,848 (裏声で) 「そ… それでね その鮑を」…。 80 00:05:16,848 --> 00:05:20,585 ダメ。 何度 言ったら 分かるんだい。 81 00:05:20,585 --> 00:05:23,521 お前さんのやる女房は思慮が浅い。 82 00:05:23,521 --> 00:05:25,723 裏声もやめろ! みっともねぇ。 83 00:05:25,723 --> 00:05:28,760 地声で 女を表現しなさい。 84 00:05:28,760 --> 00:05:31,863 でも オイラ 師匠みてぇな いい声出ねぇし…。 85 00:05:31,863 --> 00:05:35,883 痛っ! 口答えできる ご身分かぇ! 86 00:05:35,883 --> 00:05:38,786 す… すいやせん! はぁ…。 87 00:05:38,786 --> 00:05:40,888 今日は もう おしまい。 88 00:05:40,888 --> 00:05:44,542 もっぺん お願いしやす! 何を じれてんのか知らねぇが・ 89 00:05:44,542 --> 00:05:49,864 一朝一夕でうまくなるほど 噺家は 楽な商売じゃありませんよ。 90 00:05:49,864 --> 00:05:53,301 お前さんも そいつは よく分かってんだろ。 91 00:05:53,301 --> 00:05:57,021 仕事が減って 暇んなったんなら ちょうどいいじゃねぇか。 92 00:05:57,021 --> 00:05:59,121 しっかり稽古なさい。 93 00:06:05,496 --> 00:06:07,965 ・~(三味線の演奏「柳の雨」) 94 00:06:07,965 --> 00:06:16,090 ・ 行く水に 95 00:06:16,090 --> 00:06:19,460 (信之助)あっ あっ。 96 00:06:19,460 --> 00:06:24,515 ・ 雨は 97 00:06:24,515 --> 00:06:30,788 ・ そぼ降る 98 00:06:30,788 --> 00:06:35,927 ・ 河岸の灯よ 99 00:06:35,927 --> 00:06:37,962 ああ~! 100 00:06:37,962 --> 00:06:39,997 うう~。 101 00:06:39,997 --> 00:06:43,768 なんだぇ お前さん… 一人で はってきたのかぇ? 102 00:06:43,768 --> 00:06:46,454 うっ あう。 あぁ~。 これ! 103 00:06:46,454 --> 00:06:48,856 ばっちい手で触るんじゃない! 104 00:06:48,856 --> 00:06:52,677 おっかさんは どうしたの? ううっ…。 105 00:06:52,677 --> 00:06:56,130 なんだぇ その面? 急に固まって。 106 00:06:56,130 --> 00:07:00,034 ちょいと 赤ん坊が 何か考ぇてるよ! 107 00:07:00,034 --> 00:07:02,220 ・小夏さん! 108 00:07:02,220 --> 00:07:07,208 はぁ…。 なんで あたしが こんなことしなきゃなんねぇんだか。 109 00:07:07,208 --> 00:07:11,879 泣くわ 暴れるわ 汚ぇわ…。 ああ~あっ! うう~ あっ。 110 00:07:11,879 --> 00:07:14,379 これじゃ 小言三味線だね。 111 00:07:21,472 --> 00:07:26,177 小夏! 起きなさい。 だらしのない。 112 00:07:26,177 --> 00:07:28,177 何? あっ あっ…。 113 00:07:32,366 --> 00:07:35,086 あぁ…。 114 00:07:35,086 --> 00:07:41,008 ・~ 115 00:07:41,008 --> 00:07:44,428 夏は 船中のあくびでございます。 116 00:07:44,428 --> 00:07:49,016 では お稽古にかかりましょう。 心持ちは八つ下がり・ 117 00:07:49,016 --> 00:07:52,503 大川の首尾の松辺りに 船を舫って・ 118 00:07:52,503 --> 00:07:56,991 胴の方に客1人 艫の方に船頭が1人・ 119 00:07:56,991 --> 00:08:00,428 ぼんやり タバコを吸っている。 120 00:08:00,428 --> 00:08:05,766 「おい 船頭さん 船を 上手の方へやっつくんな。・ 121 00:08:05,766 --> 00:08:09,604 船もいいが 一日 乗っていると・ 122 00:08:09,604 --> 00:08:12,190 退屈で 退屈で…・ 123 00:08:12,190 --> 00:08:17,361 ふぁ~あ… ならねぇなぁ」。 124 00:08:17,361 --> 00:08:20,915 おや 起きちまった。 何? 125 00:08:20,915 --> 00:08:23,017 お前さんが 放さねぇんだろ。 126 00:08:23,017 --> 00:08:25,870 (小夏)あ… あたしが・ 冗談じゃないよ! 127 00:08:25,870 --> 00:08:29,740 子供の時分は こうやったら 寝入っちまったもんだが。 128 00:08:29,740 --> 00:08:33,077 びっくりした…。 なんで 昼からいるのよ? 129 00:08:33,077 --> 00:08:37,498 与太のお披露目で すっかり くたぶれちまってね。 130 00:08:37,498 --> 00:08:42,837 この夏は 協会にお願いして 出番を減らしてもらったんだよ。 131 00:08:42,837 --> 00:08:45,656 嫌だ… すっかり じいさんだね。 132 00:08:45,656 --> 00:08:48,860 お前さん さんざんっぱら いきまいといて・ 133 00:08:48,860 --> 00:08:51,729 ついぞ あたしを殺しちゃくれねぇな。 134 00:08:51,729 --> 00:08:56,267 (小夏)殺したいわよ 今も。 一生 許すわけないわ。・ 135 00:08:56,267 --> 00:08:58,436 あんたのしたことは殺人よ。・ 136 00:08:58,436 --> 00:09:02,240 あれが事故だからって あんたへの恨みは変わんない。 137 00:09:02,240 --> 00:09:04,275 全部 あんたのせいよ。・ 138 00:09:04,275 --> 00:09:07,712 でも あたしが あんたを殺したら・ 139 00:09:07,712 --> 00:09:10,412 この子に あんたの落語を 聴かせられなくなる。 140 00:09:11,983 --> 00:09:13,983 それだけは嫌なの。 141 00:09:16,637 --> 00:09:21,842 ずっと待ってるんだよ お前さんが あたしを殺しとくれんのを。 142 00:09:21,842 --> 00:09:25,196 チリン チリン チリン… ゴロゴロ…(雷鳴) 143 00:09:25,196 --> 00:09:28,466 ザァーー(雨音) あの日から ずっと待ってる。 144 00:09:28,466 --> 00:09:32,670 お前さんは もっともっと あたしを憎むといい。 145 00:09:32,670 --> 00:09:36,290 お前がいたから てめぇじゃできねぇんだ。 146 00:09:36,290 --> 00:09:40,227 今度は そのガキのために 死ねねぇってのかい。 147 00:09:40,227 --> 00:09:42,847 ははっ ああ~! 後生だよ。 148 00:09:42,847 --> 00:09:46,734 このガキが 静寂を壊すんだ。 149 00:09:46,734 --> 00:09:49,434 心を乱さないでくれ。 150 00:09:51,639 --> 00:09:55,643 ザァーー 151 00:09:55,643 --> 00:09:59,630 (アニさん)すごい大雨。 お客さん 来られるのかな?・ 152 00:09:59,630 --> 00:10:02,133 ねえ 与太さ… あっ! 153 00:10:02,133 --> 00:10:06,454 まだ 半分も埋まってねぇって。 オイラのせいだ。 154 00:10:06,454 --> 00:10:09,256 もう気にすんのやめなって。 155 00:10:09,256 --> 00:10:13,094 この雨で 遅れてるだけかもしれないだろ。 156 00:10:13,094 --> 00:10:16,731 (アマケン)ごきげんよう 与太郎君! 来てやったよ。 157 00:10:16,731 --> 00:10:19,867 アマケン~! 158 00:10:19,867 --> 00:10:22,536 くっ! てめぇ なんで来た・ 159 00:10:22,536 --> 00:10:25,106 何って そりゃあ… これだよ。 160 00:10:25,106 --> 00:10:27,141 かぁ~~・ 161 00:10:27,141 --> 00:10:30,745 ひゃっひゃっひゃっひゃっ! ざまぁねぇですな。 162 00:10:30,745 --> 00:10:35,633 ほれ ほれ。 あっ ほ~れ ほれ。 ちょっと やめてくださいよ!・ 163 00:10:35,633 --> 00:10:38,436 さっき ようやく落ち着いたところなのに。 164 00:10:38,436 --> 00:10:41,772 寄席じゃ みんな 知ってることなのに なんで今更…。 165 00:10:41,772 --> 00:10:44,275 (アマケン) まっ 有名税ってやつでしょ。・ 166 00:10:44,275 --> 00:10:46,661 君も 売れっ子になったもんだね。 167 00:10:46,661 --> 00:10:49,480 このせいで テレビの仕事が半分になった。 168 00:10:49,480 --> 00:10:52,266 (アマケン)妙なやり方で 悪目立ちするからですよ。・ 169 00:10:52,266 --> 00:10:55,736 助六なんて襲名して 調子に乗って。・ 170 00:10:55,736 --> 00:10:59,707 由緒のない小さい名だし 僕は 全く評価できないが・ 171 00:10:59,707 --> 00:11:03,177 根強いファンが たくさんいる名前さ。・ 172 00:11:03,177 --> 00:11:05,946 そういうのに 手を出しては いかんのだよ。・ 173 00:11:05,946 --> 00:11:08,766 君なんて どう考えても 与太郎止まり…。 174 00:11:08,766 --> 00:11:11,385 ううっ! (アマケン)な… なんだね?・ 175 00:11:11,385 --> 00:11:13,421 殴っていいのかね? そんなことしたら・ 176 00:11:13,421 --> 00:11:15,439 取り返しがつかないぞ。 177 00:11:15,439 --> 00:11:18,409 ・~ 178 00:11:18,409 --> 00:11:22,113 (アマケン)わあ~ わあ~ わあ~! (アニさん)与太さん 落ち着いて! 179 00:11:22,113 --> 00:11:24,782 ふんっ…。 (アマケン)八つ当たりは やめたまえ。 180 00:11:24,782 --> 00:11:27,868 イラだちの原因は この記事だけじゃないはずだ。 181 00:11:27,868 --> 00:11:30,871 どうせ 君 行き詰まってるんだろ?・ 182 00:11:30,871 --> 00:11:34,075 八雲 助六 双方の影響が強すぎるが・ 183 00:11:34,075 --> 00:11:37,378 中途半端に どちらの本質にも迫っていない。・ 184 00:11:37,378 --> 00:11:40,498 あまたの落語を 聴いてきた者として断言しよう。 185 00:11:40,498 --> 00:11:43,698 君には 自分の落語が まだない! 186 00:11:45,553 --> 00:11:48,572 (アマケン) 名人の弟子の永遠の命題なのだ。・ 187 00:11:48,572 --> 00:11:50,941 二つ目までは許されても 真打ちってのは・ 188 00:11:50,941 --> 00:11:53,711 師匠以上のものを 見せてくれなくては。・ 189 00:11:53,711 --> 00:11:56,347 こんなくだらない記事で 落語が侮辱されるのは・ 190 00:11:56,347 --> 00:11:58,382 僕も不愉快だ。 191 00:11:58,382 --> 00:12:00,985 昔のことは とやかく言わぬ。 192 00:12:00,985 --> 00:12:04,905 落語の正念場に 潰し合いはしたくないんだ。・ 193 00:12:04,905 --> 00:12:09,460 ただ一点 弟子として 八雲の名に泥は塗るな。 194 00:12:09,460 --> 00:12:11,879 それだけ忠告しに来たんだ。 195 00:12:11,879 --> 00:12:13,914 善かれ悪しかれ 今日の落語会のことは・ 196 00:12:13,914 --> 00:12:17,514 記事に取り上げてやろう。 頑張りたまえ。 197 00:14:28,599 --> 00:14:30,651 (アニさん)「とにかく 一番 やっちゃいましょう」。・ 198 00:14:30,651 --> 00:14:34,288 「そうですか。 じゃあ 伺いますが 3年前の暮れの28日・ 199 00:14:34,288 --> 00:14:36,307 覚えてますか?」 「3年前の暮れの」…。 200 00:14:36,307 --> 00:14:39,960 はぁ~あ。 「忘れちゃいけませんよ。・ 201 00:14:39,960 --> 00:14:42,012 あたしは はっきりと覚えてる。・ 202 00:14:42,012 --> 00:14:44,331 3年前の暮れの28日・ 203 00:14:44,331 --> 00:14:48,152 午後6時半 あなたは 真っ青な顔で突っ立ってる。・ 204 00:14:48,152 --> 00:14:51,639 どうしたんです?と聞いたら これこれの金がなければ・ 205 00:14:51,639 --> 00:14:53,807 どうしても この暮れは越せません。・ 206 00:14:53,807 --> 00:14:57,211 うちはダメんなると。 そりゃあ お気の毒だ」…。 207 00:14:57,211 --> 00:14:59,813 (心の声) ≪アニさん スベりまくってらぁ≫ 208 00:14:59,813 --> 00:15:02,413 ≪さっきのあれ 引きずっちまってんだ…≫ 209 00:15:05,102 --> 00:15:08,055 はぁ…。 210 00:15:08,055 --> 00:15:12,543 ≪オイラの落語 オイラの落語…≫ 211 00:15:12,543 --> 00:15:15,079 ≪オイラの落語…≫ 212 00:15:15,079 --> 00:15:18,332 ≪そうだ こんなに ジメッとした天気だし・ 213 00:15:18,332 --> 00:15:21,635 思いっ切りバカな噺で スカッと笑かしてやろう≫ 214 00:15:21,635 --> 00:15:25,272 (アニさん)「お~い 屋根屋 屋根屋 呼んで 屋根屋!・ 215 00:15:25,272 --> 00:15:28,242 大変だ 雨漏りが大変ですよ。・ 216 00:15:28,242 --> 00:15:32,296 あれ? ほかは漏ってないのに 盤の上だけ…・ 217 00:15:32,296 --> 00:15:35,232 お前さん 笠 かぶったまんまだ」。 218 00:15:35,232 --> 00:15:39,732 ・~(受け囃子) 219 00:15:42,172 --> 00:15:44,191 (アニさん)ごめん 与太さん…。 220 00:15:44,191 --> 00:15:49,680 ・~(出囃子) 221 00:15:49,680 --> 00:15:52,533 いよっ! パチパチパチ…(拍手) 222 00:15:52,533 --> 00:15:54,533 待ってました! 223 00:15:59,173 --> 00:16:01,442 本日は お足元のお悪い中・ 224 00:16:01,442 --> 00:16:03,811 誠に誠に おありがとうございます。 225 00:16:03,811 --> 00:16:05,829 こんな日は あたしも家で・ 226 00:16:05,829 --> 00:16:08,632 お道楽をしていたいもんですが…。 (観客たち)はははっ。 227 00:16:08,632 --> 00:16:11,468 昔は 道楽ってぇと 若ぇ衆が集まって・ 228 00:16:11,468 --> 00:16:13,737 「おう いっちょ遊びに行こう」 って言うだけで・ 229 00:16:13,737 --> 00:16:17,141 吉原で女郎買いと 相場は決まっていたようで…。 230 00:16:17,141 --> 00:16:20,444 「なあ 聞いたかい。 こないだ 隣町の連中が・ 231 00:16:20,444 --> 00:16:23,297 吉原でもって 派手に遊んだそうじゃねぇか」。 232 00:16:23,297 --> 00:16:26,266 「へえ」。 「なんでも 真っ赤な長襦袢のおそろいで・ 233 00:16:26,266 --> 00:16:28,302 わあっと かっぽれ 踊ったってぇんだ。・ 234 00:16:28,302 --> 00:16:30,671 悔しいだろ お前?」。 「う~ん」。 235 00:16:30,671 --> 00:16:33,841 「そこで こちとら珍趣向! 上等な布で ふんどし締めて・ 236 00:16:33,841 --> 00:16:36,844 吉原で 裸踊りをしてやろうってんだ」。 237 00:16:36,844 --> 00:16:40,714 「何・ 面白ぇ。 そいつは どういう布がいいんだい?」。 238 00:16:40,714 --> 00:16:44,251 「どうだい? 思い切って 錦のふんどしの そろいってのぁ」。 239 00:16:44,251 --> 00:16:46,737 「錦・」。 「錦の布地は・ 240 00:16:46,737 --> 00:16:50,107 なかなか お目に掛かれねぇ。 カラッと なんでも 金巾で・ 241 00:16:50,107 --> 00:16:52,126 模様が織り成してあるやつだ。・ 242 00:16:52,126 --> 00:16:55,746 いつか 高島屋の陳列で見た なんとか錦の丸帯で・ 243 00:16:55,746 --> 00:16:58,646 380円の札が 付いてたんだぜ?」。 244 00:17:01,001 --> 00:17:05,039 「そういう布が10枚ばっかり 質の流れにあるってんだ。・ 245 00:17:05,039 --> 00:17:08,492 そいつを借りよう」。 「いいね! みんな行くだろ?・ 246 00:17:08,492 --> 00:17:11,078 六ちゃん 清ちゃん 源ちゃん 鉄ちゃん。・ 247 00:17:11,078 --> 00:17:14,581 えっ えっ えっ… あっ こいつはいけねぇや。・ 248 00:17:14,581 --> 00:17:17,801 布は10 俺らは11 1人 余っちまう」。 249 00:17:17,801 --> 00:17:19,837 ふぅ…。 「誰?」。 250 00:17:19,837 --> 00:17:22,706 「誰って ほら 与太郎だよ。・ 251 00:17:22,706 --> 00:17:25,676 おい 与太 与太!」。 252 00:17:25,676 --> 00:17:29,463 「ん? うへへへっ ぐへへっ…。 あたいのこと呼んだ?」。 253 00:17:29,463 --> 00:17:32,549 「おう 話は聞いてたか?」。 「聞いてた 聞いてた。・ 254 00:17:32,549 --> 00:17:36,470 み み み… みんな 吉原へ お女郎 買いに行こうっての?・ 255 00:17:36,470 --> 00:17:39,440 ずるいや ずるいや。 あたいだってさ・ 256 00:17:39,440 --> 00:17:43,994 殊の外 行きたいよ。 けどね 女将さんに聞いてみないとね」。 257 00:17:43,994 --> 00:17:46,380 「吉原に行くってのに てめぇのかかあに・ 258 00:17:46,380 --> 00:17:49,266 断るヤツがあるかい。 まあ いいや。 聞いてみな。・ 259 00:17:49,266 --> 00:17:51,535 けどな 錦のふんどし 締めてこなくっちゃ・ 260 00:17:51,535 --> 00:17:54,705 連れてかねぇよ?」。 「分かったぁ 算段してくるよ。・ 261 00:17:54,705 --> 00:17:56,740 絶対 置いてかないでくれよ。・ 262 00:17:56,740 --> 00:17:58,776 ごめんくださ~い」。 263 00:17:58,776 --> 00:18:01,562 (裏声で)「なんだい あんた」…。 264 00:18:01,562 --> 00:18:04,465 「自分のうちには 普通に入ってきなさいよ。・ 265 00:18:04,465 --> 00:18:06,500 どうしたんだい? 何?・ 266 00:18:06,500 --> 00:18:10,304 つきあいで吉原へ? 錦のふんどし締めて?・ 267 00:18:10,304 --> 00:18:13,907 また バカを請け負ってきたね この人は まったく。・ 268 00:18:13,907 --> 00:18:16,143 どこの世界に 吉原に行くのに・ 269 00:18:16,143 --> 00:18:18,996 自分の嫁さんに断るヤツが あるんだよ。・ 270 00:18:18,996 --> 00:18:22,499 だけど 出さないと 今度は あたしが悪く言われるんだろ?・ 271 00:18:22,499 --> 00:18:25,799 悔しいねぇ」。 (観客たち)ははっ…。 272 00:18:27,137 --> 00:18:30,707 「けどね 錦のふんどしね…。・ 273 00:18:30,707 --> 00:18:34,061 そうだ。 お寺へ行って 和尚さんから・ 274 00:18:34,061 --> 00:18:37,498 錦の袈裟を借りたらどうだい? 今から あたしがね・ 275 00:18:37,498 --> 00:18:40,267 どう言ったらいいか 教えてあげるから。・ 276 00:18:40,267 --> 00:18:43,437 和尚さん 今日は お願いがあって 参りました。・ 277 00:18:43,437 --> 00:18:46,223 実は 手前どもの娘に キツネが憑きまして・ 278 00:18:46,223 --> 00:18:49,660 ある方に伺いましたら ありがた~い和尚さんの・ 279 00:18:49,660 --> 00:18:53,280 錦の袈裟を掛けると キツネが落ちると聞きました。・ 280 00:18:53,280 --> 00:18:55,299 ひと晩で よろしゅうございますから・ 281 00:18:55,299 --> 00:18:58,602 どうぞ お貸しください こう言うんだよ」。 282 00:18:58,602 --> 00:19:01,371 「分かったよ。 行ってくるよぉ!・ 283 00:19:01,371 --> 00:19:04,074 ・ ふふふん ふふ~ん(ハミング)」。 284 00:19:04,074 --> 00:19:06,343 「これは与太さん ご無沙汰をしたな。・ 285 00:19:06,343 --> 00:19:10,597 ・今日は また 何用じゃな?」。 「へえ。 実は和尚さん あの~・ 286 00:19:10,597 --> 00:19:12,950 ・今日は お願いがあって 参りまして。・ 287 00:19:12,950 --> 00:19:16,370 実は あの~ 手前どもの親類のキツネに・ 288 00:19:16,370 --> 00:19:18,370 娘が憑きまして…」。 289 00:19:20,040 --> 00:19:24,044 「ええ~ 手前どもの親類のキツネに・ 290 00:19:24,044 --> 00:19:27,114 娘が憑きまして…」。 291 00:19:27,114 --> 00:19:29,700 「与太さん そりゃ あべこべだ」。 292 00:19:29,700 --> 00:19:32,569 「そう! そのあべこべが憑いたんだ。・ 293 00:19:32,569 --> 00:19:36,039 ありがた~い和尚さんの 錦の袈裟を掛けると・ 294 00:19:36,039 --> 00:19:39,710 キツネが落ちると伺いました。 どうか ひと晩 錦の袈裟を・ 295 00:19:39,710 --> 00:19:42,162 お貸しいただければと 思いまして。・ 296 00:19:42,162 --> 00:19:46,366 だから 貸せ!」。 「乱暴な男だな。・ 297 00:19:46,366 --> 00:19:49,903 しかし 明日は檀家の法事が 昼からあってなぁ」。 298 00:19:49,903 --> 00:19:53,357 「朝一番で返しますから お願いしますよ」。 299 00:19:53,357 --> 00:19:56,143 「ひと晩でよいのか?」。 「ひと晩でいいんですよ。・ 300 00:19:56,143 --> 00:19:59,496 そんなに幾晩もいたら 金がかかってしょうがねぇ」。 301 00:19:59,496 --> 00:20:02,165 「時々 訳の分からんことを言うなぁ。・ 302 00:20:02,165 --> 00:20:07,387 よかろう。 では 必ず明日の法事に 間に合うように返しておくれ。・ 303 00:20:07,387 --> 00:20:09,406 それなら貸してやろう」。 ふぅ~。 304 00:20:09,406 --> 00:20:11,742 ゴォー(風の音) カタカタ…(障子が揺れる音) 305 00:20:11,742 --> 00:20:15,279 「なあ 与太郎なんか待つの よそうよ。・ 306 00:20:15,279 --> 00:20:18,565 あすこのかかあがさ 出すわけねぇじゃねぇ…・ 307 00:20:18,565 --> 00:20:21,602 あっ あれ? 来た。・ 308 00:20:21,602 --> 00:20:24,238 お… おい 不思議な歩き方してるね。・ 309 00:20:24,238 --> 00:20:26,273 まるでカニだね」。 310 00:20:26,273 --> 00:20:30,410 「うへへっ お待たせしやした! 行こう 行こう!」。 311 00:20:30,410 --> 00:20:34,698 「うれしそうだね こいつは。 ちゃんと着けてきただろうね・ 312 00:20:34,698 --> 00:20:37,884 錦のふんどし」。 「もちろんだよ!・ 313 00:20:37,884 --> 00:20:42,573 とびっきりだよ! あたいのはねぇ あたいのはねぇ・ 314 00:20:42,573 --> 00:20:44,973 あたいのは… これだ!」。 315 00:20:46,410 --> 00:20:48,410 ううっ。 (観客たち)あぁ…。 316 00:20:50,731 --> 00:20:53,000 かっぽれ! 317 00:20:53,000 --> 00:20:56,670 (下座)・ ヨー かっぽれ かっぽれ 318 00:20:56,670 --> 00:20:59,906 (与太郎・下座) ・ ヨーイトナ ヨイヨイ 319 00:20:59,906 --> 00:21:05,429 (下座)・ 沖の暗いのに 320 00:21:05,429 --> 00:21:09,383 ははっ。 (下座)・ 白帆が 321 00:21:09,383 --> 00:21:12,869 あっ…。 高座で裸になるなんて・ 322 00:21:12,869 --> 00:21:16,573 こんな醜態を記事にしたら 私にも落語の名にも傷が付く。 323 00:21:16,573 --> 00:21:19,173 期待外れも甚だしいですな! 324 00:21:21,979 --> 00:21:25,182 あっ あっ…。 (観客たち)はぁ~あ。 325 00:21:25,182 --> 00:21:27,182 (下座)・ ヨイトサッサッサ 326 00:21:29,853 --> 00:21:31,853 (樋口)与太さ~ん。 327 00:21:33,657 --> 00:21:37,711 (樋口)やっと仕事終わってさ 途中からだけど 見に来れたよ。・ 328 00:21:37,711 --> 00:21:41,081 ふふっ。 どうして あんなバカやっちゃったの?・ 329 00:21:41,081 --> 00:21:44,751 こんなおかしな会は 僕も初めて見ましたよ。・ 330 00:21:44,751 --> 00:21:48,021 よし 今晩は バァ~っと飲みに行こう。 331 00:21:48,021 --> 00:21:50,707 いや とても そんな気には なれねぇんで。 332 00:21:50,707 --> 00:21:53,907 (樋口)いいから ほら 仕事終わりは飲みたいんだよ。 333 00:21:56,930 --> 00:21:59,933 (お栄) あら ひーさん いらっしゃい。 334 00:21:59,933 --> 00:22:03,770 雨ん中 よく来たわね。 空いてる? 335 00:22:03,770 --> 00:22:07,107 ええ この雨で キャンセルばっかり。・ 336 00:22:07,107 --> 00:22:09,407 あらまあ 与太さんも。 337 00:22:11,728 --> 00:22:14,428 今 ちょうど お見送りしてたんだよ。 338 00:22:16,400 --> 00:22:21,505 やあ これは奇遇ですな。 どこぞのお大尽のお座敷ですか? 339 00:22:21,505 --> 00:22:25,008 それが なんでか この晩は振られちまいましてな。 340 00:22:25,008 --> 00:22:27,194 まったく 上がったりですよ。 341 00:22:27,194 --> 00:22:29,229 (樋口)八雲師匠 それなら僕に・ 342 00:22:29,229 --> 00:22:31,531 ひと晩 買わせていただけませんか?・ 343 00:22:31,531 --> 00:22:33,600 ご祝儀なら弾みます。 344 00:22:33,600 --> 00:22:36,670 失礼ですが・ 345 00:22:36,670 --> 00:22:40,807 初めてのお客様に 不見転で 買われるわけにゃいきませんから・ 346 00:22:40,807 --> 00:22:42,843 ご祝儀は頂けません。 347 00:22:42,843 --> 00:22:46,046 けど どうも うちのが ご厄介になってるようで・ 348 00:22:46,046 --> 00:22:49,346 ご挨拶ぐらいでしたら。 (樋口)やった! 349 00:22:53,270 --> 00:22:57,340 師匠 すいやせんでした! 350 00:22:57,340 --> 00:23:00,610 なんだぇ このバカは 入りしなに。 351 00:23:00,610 --> 00:23:04,164 さっきのキャンセル きっと オイラのせいなんです。 352 00:23:04,164 --> 00:23:06,199 あんな記事 出ちゃったから。 353 00:23:06,199 --> 00:23:09,019 珍しく青い顔してると思ったよ。 354 00:23:09,019 --> 00:23:11,371 まだ あんな記事 気にしてんのかい。 355 00:23:11,371 --> 00:23:14,074 この子ね さっき 高座の途中で・ 356 00:23:14,074 --> 00:23:17,274 裸んなっちゃって。 それで大コケしたんです。 357 00:23:18,678 --> 00:23:20,714 すいやせん。 358 00:23:20,714 --> 00:23:22,714 はぁ~。 359 00:23:24,101 --> 00:23:28,105 与太 背中の彫り物 見せてみな。 360 00:23:28,105 --> 00:23:30,140 みっともねぇ古傷で…。 361 00:23:30,140 --> 00:23:33,009 芸人なんて 見られてなんぼだろ。 362 00:23:33,009 --> 00:23:36,179 お前さんに 何を隠すことがあるんだい。 363 00:23:36,179 --> 00:23:51,445 ・~ 364 00:23:51,445 --> 00:23:54,531 なんだぇ。 筋彫りだけど・ 365 00:23:54,531 --> 00:23:57,017 見事な鯉金じゃねぇか。 366 00:23:57,017 --> 00:24:01,021 お前さんは これから 過去と向き合わねぇとならねぇ。 367 00:24:01,021 --> 00:24:05,742 決別じゃなく 抱ぇて生きろ。 罪を忘れるな。 368 00:24:05,742 --> 00:24:08,642 それが 人間の業ってもんさ。 369 00:24:11,348 --> 00:24:13,348 ありがとうございやす。 370 00:24:14,885 --> 00:24:16,903 師匠 先生 すいやせん! 371 00:24:16,903 --> 00:24:19,406 やっぱり 今日は お先に失礼させていただきやす。 372 00:24:19,406 --> 00:24:22,442 (樋口)えっ? 飲むより稽古がしてぇんで。 373 00:24:22,442 --> 00:24:24,945 さいなら~! わはっ! 374 00:24:24,945 --> 00:24:27,097 いいもの見せていただいて。・ 375 00:24:27,097 --> 00:24:29,197 美しい師弟愛。 376 00:24:32,102 --> 00:24:35,489 どうも ご無沙汰しまして。 あの学生さんが・ 377 00:24:35,489 --> 00:24:40,026 こんな立派な旦さんになって。 (樋口)ご記憶で? 378 00:24:40,026 --> 00:24:42,612 先代の倒れた日の 親子会ですから・ 379 00:24:42,612 --> 00:24:45,615 よく覚えてます。 覚えるのが・ 380 00:24:45,615 --> 00:24:48,168 商売みてぇなもんですから。 381 00:24:48,168 --> 00:24:51,004 あの先代の 最後の高座を見て・ 382 00:24:51,004 --> 00:24:53,807 私は 故郷に帰ろうと 決意しました。・ 383 00:24:53,807 --> 00:24:55,842 演芸好きが たたって・ 384 00:24:55,842 --> 00:24:57,994 結局 今も こんな仕事をしていますが・ 385 00:24:57,994 --> 00:25:01,481 僕は与太さんと 100年先にも残る・ 386 00:25:01,481 --> 00:25:04,467 新作落語を 作るつもりです。・ 387 00:25:04,467 --> 00:25:07,003 本当は あなたにも 新作をやってほしい。・ 388 00:25:07,003 --> 00:25:10,140 でも それは 酷というものでしょう。・ 389 00:25:10,140 --> 00:25:13,243 僕は 後世に 残したいんです。・ 390 00:25:13,243 --> 00:25:17,681 あなたの落語を あなたの人生の全てを。 391 00:25:17,681 --> 00:25:20,567 あらゆることを 残したい。・ 392 00:25:20,567 --> 00:25:23,336 あなたに 落語は 殺させませんよ。・ 393 00:25:23,336 --> 00:25:25,438 もし あなたから 語ってくれないなら・ 394 00:25:25,438 --> 00:25:27,574 与太郎君から。・ 395 00:25:27,574 --> 00:25:30,143 人は いやおうなく そういうものを・ 396 00:25:30,143 --> 00:25:32,679 伝えてしまう 生き物です。・ 397 00:25:32,679 --> 00:25:35,415 明治 大正 戦前の名人・ 398 00:25:35,415 --> 00:25:37,434 寄席や七代目のことも・ 399 00:25:37,434 --> 00:25:39,836 知りたいことは 山とあります。・ 400 00:25:39,836 --> 00:25:43,907 小夏さんのこと 助六師匠のこと…・ 401 00:25:43,907 --> 00:25:45,907 みよ吉さんのことも。 402 00:25:47,394 --> 00:25:49,494 なぜ その名を? 403 00:27:32,632 --> 00:27:40,974 ・~ 404 00:27:40,974 --> 00:27:50,500 ・~ 405 00:27:50,500 --> 00:27:55,972 次回 「昭和元禄落語心中 -助六再び篇-」 第3話。 406 00:27:55,972 --> 00:27:58,372 どうぞ ご贔屓 ご鞭撻のほどを。