1 00:00:40,313 --> 00:00:43,116 西暦179年 2 00:00:43,116 --> 00:00:45,518 北部尉を辞した曹操は 3 00:00:45,518 --> 00:00:49,218 冀州 頓丘に 県令として赴任していた 4 00:00:53,126 --> 00:00:58,498 頓丘は何もない田舎で 退屈なところと聞いていたが 5 00:00:58,498 --> 00:01:01,468 なんの 羽毛の心地だ 6 00:01:01,468 --> 00:01:03,470 恐れ入ります 7 00:01:03,470 --> 00:01:07,841 どうか我々の心づくしを ご笑納くださりませ 8 00:01:07,841 --> 00:01:09,941 何だ? 9 00:01:14,581 --> 00:01:16,516 ほう 10 00:01:16,516 --> 00:01:19,886 今までどおり我々にお任せあれば 11 00:01:19,886 --> 00:01:24,986 政情は安定し 県令様も上々安泰にございます 12 00:01:28,228 --> 00:01:33,066 これは我々の ほんの気持ちでございます 13 00:01:33,066 --> 00:01:35,702 そうか 14 00:01:35,702 --> 00:01:38,002 これだけではございません 15 00:01:41,508 --> 00:01:43,443 さあさあ これへ 16 00:01:43,443 --> 00:01:45,443 はい 17 00:01:53,086 --> 00:01:56,086 なるほど 頂いておこう 18 00:02:04,364 --> 00:02:07,964 県令様 どうぞ ごゆるりと 19 00:02:13,006 --> 00:02:16,676 鬼だというから どんな奴かと思っていたが 20 00:02:16,676 --> 00:02:19,579 あれなら すぐに骨抜きにできるわい 21 00:02:19,579 --> 00:02:21,579 さようですな 22 00:02:23,516 --> 00:02:27,616 曹操様は何を お考えになっているのですか 23 00:02:31,191 --> 00:02:33,693 荒ぶる龍 曹操が 24 00:02:33,693 --> 00:02:36,193 しばし休みについた頃 25 00:02:39,933 --> 00:02:44,133 もう1匹の臥龍が 眠りから覚めようとしていた 26 00:02:48,041 --> 00:02:52,041 その名を劉備 字を玄徳と言う 27 00:03:00,019 --> 00:03:03,056 分からねえ 28 00:03:03,056 --> 00:03:06,793 この空がおいらだ 29 00:03:06,793 --> 00:03:11,497 この果てしない大空が おいらの器として 30 00:03:11,497 --> 00:03:14,497 さて 中身がさっぱり分からねえ 31 00:03:24,978 --> 00:03:27,278 さっぱりした 32 00:03:40,293 --> 00:03:42,228 さあ いらっしゃい いらっしゃい 33 00:03:42,228 --> 00:03:46,900 はいはい ここんとこをしっかり 締めてやるのが肝心なのさ 34 00:03:46,900 --> 00:03:49,569 こうやって ほらね 35 00:03:49,569 --> 00:03:54,407 これで3000里は歩ける 丈夫な玄徳ワラジの出来上がり 36 00:03:54,407 --> 00:03:57,343 それ ちょうだい はいよ 37 00:03:57,343 --> 00:03:59,379 こいつはね 足をちっちゃくキレイに 38 00:03:59,379 --> 00:04:01,514 見せる効果もあるんだよ ねえさん 39 00:04:01,514 --> 00:04:03,449 あら ねえさんだなんて 40 00:04:03,449 --> 00:04:06,853 私にもちょうだい 俺は2つくれ 41 00:04:06,853 --> 00:04:10,390 毎度 ありがとよ 42 00:04:10,390 --> 00:04:12,990 へい 毎度 はいよ 43 00:04:17,897 --> 00:04:19,832 さあ らっしゃい らっしゃい 44 00:04:19,832 --> 00:04:23,436 さあさあ 皆さん 見てやってよ このブーちゃん 45 00:04:23,436 --> 00:04:26,339 そんじょそこらの豚ちゃんとは 味が違う 46 00:04:26,339 --> 00:04:29,042 エサは徐州の 肥えた大地の草を食い 47 00:04:29,042 --> 00:04:30,977 長江の水をたっぷり飲ませて 48 00:04:30,977 --> 00:04:34,280 この おいちゃんが我が子のようにかわいがったブーちゃんだよ 49 00:04:34,280 --> 00:04:36,582 ほらね プリプリしてるだろ 50 00:04:36,582 --> 00:04:40,453 桃色の肉は甘みがあって 一口 食えば とろけるみたいに柔けえ 51 00:04:40,453 --> 00:04:45,291 あ~ おまけに肉汁たっぷり 焼くと香りがたまらねえ 52 00:04:45,291 --> 00:04:47,226 こいつは中山靖王 53 00:04:47,226 --> 00:04:50,596 劉勝の末裔のおいらが 保証するからウソじゃねえ 54 00:04:50,596 --> 00:04:52,532 中山靖王? 55 00:04:52,532 --> 00:04:55,234 早い話が 天子と同じ血筋ってことよ 56 00:04:55,234 --> 00:04:59,038 おい 大丈夫かいな そんなこと言うて 57 00:04:59,038 --> 00:05:02,709 それにね このブーちゃん ただうまいだけじゃないんだな 58 00:05:02,709 --> 00:05:06,045 おいらはガキの頃から おいちゃん所の豚を食ってるから 59 00:05:06,045 --> 00:05:09,482 病なんぞしたことねえし 見てくれよ 60 00:05:09,482 --> 00:05:12,752 こんなデカさになっちまった 61 00:05:12,752 --> 00:05:15,655 そりゃすげえ 兄ちゃん 背肉をくれねえか 62 00:05:15,655 --> 00:05:19,492 はいよ おいちゃん 切ってくれ はいよ 63 00:05:19,492 --> 00:05:21,961 俺にもくれ 俺はモモをくんな 64 00:05:21,961 --> 00:05:25,461 私には豚足をくれ ありがとよ 65 00:05:39,145 --> 00:05:41,345 銀嚢酒家… 66 00:05:43,816 --> 00:05:45,816 ここじゃ 67 00:05:59,632 --> 00:06:03,536 兄貴 妙な婆さんが来ましたぜ 68 00:06:03,536 --> 00:06:05,836 済佳村から来たって言ってますが 69 00:06:12,045 --> 00:06:14,045 鬼嚢様 70 00:06:17,850 --> 00:06:20,553 済佳村の周婆さんだね 71 00:06:20,553 --> 00:06:23,890 ええ 72 00:06:23,890 --> 00:06:29,562 よく来たね 頼み事を言ってみな 73 00:06:29,562 --> 00:06:32,265 あの周婆さんの息子を殺した奴は 74 00:06:32,265 --> 00:06:36,669 表向きは役人ですが 実は悪党の孫進の身内でした 75 00:06:36,669 --> 00:06:41,307 そうか おいらがもっと早く 奴らを潰してりゃ 76 00:06:41,307 --> 00:06:44,007 あの婆さんを 悲しませずにすんだのにな 77 00:06:47,547 --> 00:06:51,784 よし!全団召集し 戦の仕度だ 78 00:06:51,784 --> 00:06:56,255 今から孫進らを血祭りにあげて うまい酒を飲もうぜ 79 00:06:56,255 --> 00:06:58,255 おう! 80 00:07:04,964 --> 00:07:10,103 しかしよ 孫進の屋敷ってのは 本当にでけえよな 81 00:07:10,103 --> 00:07:13,005 しかも たけえ所に 自慢気に立ってやがる 82 00:07:13,005 --> 00:07:15,374 役人とつるんで汚えやり方で 83 00:07:15,374 --> 00:07:18,077 農民から吸い取って やがるんですぜ 84 00:07:18,077 --> 00:07:20,746 俺たち闇の世界のもんが 85 00:07:20,746 --> 00:07:25,585 欲にボケて かたぎの衆を 泣かせちゃいけねえやな 86 00:07:25,585 --> 00:07:28,121 何だ?こっち向かってきやがるぜ 87 00:07:28,121 --> 00:07:31,023 まさか奴ら 俺たちの夜襲を 知ってやがったんじゃ… 88 00:07:31,023 --> 00:07:34,323 いや それにしちゃ 数が少なすぎる 89 00:07:39,732 --> 00:07:42,332 孫進! 90 00:07:49,542 --> 00:07:52,042 止まれ! 91 00:07:54,981 --> 00:07:57,617 あいつ 今 孫進って言ったよな? 92 00:07:57,617 --> 00:07:59,552 一瞬だったぜ 93 00:07:59,552 --> 00:08:01,888 どこのもんだ? 94 00:08:01,888 --> 00:08:05,758 ほう 鬼嚢の旗ではないか 95 00:08:05,758 --> 00:08:08,494 次の獲物が 自ら舞い込んでくるとは 96 00:08:08,494 --> 00:08:10,997 今日はなんと ついておる 97 00:08:10,997 --> 00:08:14,534 誰だ おめえは? 98 00:08:14,534 --> 00:08:18,437 我こそは タク県済佳村の出自にて 99 00:08:18,437 --> 00:08:21,837 美髯団頭目 関羽が義理の弟 100 00:08:29,115 --> 00:08:31,715 その名も張飛なるぞ! 101 00:08:38,157 --> 00:08:43,596 河東郡から入ってきた新興勢力の うわさを聞いたのは3日前だぜ 102 00:08:43,596 --> 00:08:46,098 そのうわさの集団と 事を構えるのは 103 00:08:46,098 --> 00:08:48,935 3ヵ月後と踏んでいたんだが 104 00:08:48,935 --> 00:08:51,304 我らは河東郡 解県より 105 00:08:51,304 --> 00:08:53,606 この地に入る5日間の間 106 00:08:53,606 --> 00:08:58,444 9つの村で9人の頭目の首を 取ってきた 107 00:08:58,444 --> 00:09:01,644 10番目の首も もらった! 108 00:09:03,916 --> 00:09:06,816 何をほざく!返り討ちだ 109 00:09:30,476 --> 00:09:33,179 もう やめい 110 00:09:33,179 --> 00:09:39,819 それでいい 大将ってもんは 部下の命を粗末にしちゃいけねえ 111 00:09:39,819 --> 00:09:42,355 張飛と言ったな 112 00:09:42,355 --> 00:09:44,991 貴様が鬼嚢の頭か? 113 00:09:44,991 --> 00:09:49,829 貴様の首は最後に俺の名を刻み 切り取られるのだ 114 00:09:49,829 --> 00:09:53,766 それが嫌なら我が兄 関羽のもとへ くだれ 115 00:09:53,766 --> 00:09:56,168 関羽? 116 00:09:56,168 --> 00:10:04,777 関羽か… なるほど 一度は会ってみたかった男だぜ 117 00:10:04,777 --> 00:10:09,282 よし おめえの兄のもとへ くだるぜ 118 00:10:09,282 --> 00:10:13,182 そんな… 大将 本気ですか 何 考えてんですか? 119 00:10:18,124 --> 00:10:22,295 うちの大将もこのまま 奴らの手下になっちまうのか 120 00:10:22,295 --> 00:10:26,799 あの化け物みてえに強い奴が いるんだから仕方ねえだろ 121 00:10:26,799 --> 00:10:29,699 逆らえば 俺たちも あのザマだぜ 122 00:10:43,983 --> 00:10:47,583 こいつが美髯団の頭目 関羽か 123 00:10:49,622 --> 00:10:52,522 なかなかの面構えだぜ 124 00:10:56,095 --> 00:10:58,097 人は いずれ死ぬ 125 00:10:58,097 --> 00:11:00,766 命はひとつ 身もひとつ 126 00:11:00,766 --> 00:11:03,602 共にかけがえのない ものであるように 127 00:11:03,602 --> 00:11:07,273 心もまた ひとつの尊いものである 128 00:11:07,273 --> 00:11:10,643 しかし 今の世は その心を売り物にし 129 00:11:10,643 --> 00:11:15,514 人として醜いことを 平気でする輩がはびこっている 130 00:11:15,514 --> 00:11:17,814 義憤に耐えぬ 131 00:11:21,087 --> 00:11:24,623 鬼嚢よ お前は何ゆえ戦う? 132 00:11:24,623 --> 00:11:27,927 侠の大将になっているのは 何のためだ? 133 00:11:27,927 --> 00:11:31,197 俺たちは弱い民を闇で救っている 134 00:11:31,197 --> 00:11:34,400 しかし その闇の世界まで 汚れてきた 135 00:11:34,400 --> 00:11:37,269 義侠の心を欲望に売り渡し 136 00:11:37,269 --> 00:11:40,269 民を さいなむ輩を俺は許せん! 137 00:11:43,909 --> 00:11:46,379 孫進の首かあ 138 00:11:46,379 --> 00:11:50,182 俺たちは そんなことはしねえ 139 00:11:50,182 --> 00:11:53,419 しかし 1つ教えてほしいんだが 関さんよ 140 00:11:53,419 --> 00:11:55,354 関さんだと?貴様 141 00:11:55,354 --> 00:11:58,758 張飛 話を聞いてからだ 142 00:11:58,758 --> 00:12:01,761 次から次へと現れる悪い奴らを 143 00:12:01,761 --> 00:12:04,630 片っ端から とめどなくブッ殺して 144 00:12:04,630 --> 00:12:07,533 それで結局 どうすりゃいいんだ? 145 00:12:07,533 --> 00:12:11,771 侠の心を持って力を集め 世を正す! 146 00:12:11,771 --> 00:12:15,471 鬼嚢 我が志に従え 147 00:12:23,149 --> 00:12:25,451 そりゃ できねえ相談だな 148 00:12:25,451 --> 00:12:31,056 何だと?てめえ 兄いのもとに くだると言ったじゃねえか! 149 00:12:31,056 --> 00:12:34,460 鬼嚢 なぜ従わぬ 150 00:12:34,460 --> 00:12:37,763 ならば貴様は何を望む? 151 00:12:37,763 --> 00:12:40,032 何のために生きるのだ 152 00:12:40,032 --> 00:12:44,737 おいら 自分が楽しむために 生きたいんだ 153 00:12:44,737 --> 00:12:48,007 小僧 首を出せい! 154 00:12:48,007 --> 00:12:49,942 おお 出してやろう 155 00:12:49,942 --> 00:12:52,545 だが おいらを知ってから 殺すんだぜ 156 00:12:52,545 --> 00:12:55,381 まずは おいらの名前を教えてやる 157 00:12:55,381 --> 00:12:59,084 幽州の北斗七星 名は劉備 158 00:12:59,084 --> 00:13:03,989 張飛 青龍偃月刀を持てい! 159 00:13:03,989 --> 00:13:06,959 劉備!最後にひとつ聞いてやる 160 00:13:06,959 --> 00:13:10,029 お前は何を楽しむために生きる? 161 00:13:10,029 --> 00:13:14,200 女を抱くことか? 金を儲けることか? 162 00:13:14,200 --> 00:13:17,670 財産を築き 屋敷を持つことか? 163 00:13:17,670 --> 00:13:22,508 それとも地位名誉を極め 名声を得ることか? 164 00:13:22,508 --> 00:13:26,378 ああ!もちろん それらのことは全部好きだ 165 00:13:26,378 --> 00:13:28,814 だが それよりも楽しいことがある 166 00:13:28,814 --> 00:13:30,749 何だ それは 167 00:13:30,749 --> 00:13:34,549 天下を取り 天下の民の笑顔を見ることだ 168 00:14:00,746 --> 00:14:04,583 そんな ふざけたことを ぬかす男は初めてだ 169 00:14:04,583 --> 00:14:09,483 して お前は民の笑顔のために どのように天下を取るつもりだ 170 00:14:11,891 --> 00:14:13,891 ああ… 171 00:14:22,301 --> 00:14:26,505 分からん な… なに? 172 00:14:26,505 --> 00:14:30,376 おいらには そいつが よく分からねえんだ 173 00:14:30,376 --> 00:14:35,376 分かってるのは おいらが 天下の器であるということだ 174 00:14:37,583 --> 00:14:39,518 なぜ そう言い切る? 175 00:14:39,518 --> 00:14:41,587 なぜ それが分かるのだ? 176 00:14:41,587 --> 00:14:44,987 おいら 中山靖王 劉勝の末裔なんだ 177 00:14:49,094 --> 00:14:52,298 どうだ すげえだろ 178 00:14:52,298 --> 00:14:55,601 天下に打って出るには でけえぜ この肩書は 179 00:14:55,601 --> 00:14:59,901 そのうえ おいらの中には でっけえ蒼天が広がってるんだぜ 180 00:15:02,074 --> 00:15:05,544 それを以ってして 天下の器と申すか 181 00:15:05,544 --> 00:15:07,479 うん 182 00:15:07,479 --> 00:15:10,779 だがよ 中身が分かんねえんだ 183 00:15:16,689 --> 00:15:20,526 そうだ! 184 00:15:20,526 --> 00:15:25,731 関さん おいらの器の中身にならんか? 185 00:15:25,731 --> 00:15:28,767 あんたがおいらの 器から溢れる時は 186 00:15:28,767 --> 00:15:33,105 いつでも その器を砕けばいい 187 00:15:33,105 --> 00:15:35,105 お… お前 188 00:15:37,042 --> 00:15:40,242 どうだい おいらと一緒に 天下取ってみねえか? 189 00:15:48,887 --> 00:15:51,387 いいだろう 兄い! 190 00:16:08,841 --> 00:16:11,710 ここに劉備 191 00:16:11,710 --> 00:16:13,779 関羽 192 00:16:13,779 --> 00:16:16,348 張飛 193 00:16:16,348 --> 00:16:21,520 我ら3人 姓は違えども 兄弟の契りを結ぶからには 194 00:16:21,520 --> 00:16:24,523 天下を安んずることを誓う 195 00:16:24,523 --> 00:16:28,727 同年 同月 同日に 生まれることを得ずとも 196 00:16:28,727 --> 00:16:33,127 願わくば 同年 同月 同日に死せんことを 197 00:16:40,773 --> 00:16:44,973 さあ 義兄弟の杯を交わそうぜ 198 00:16:47,946 --> 00:16:50,282 まずは兄者からだ 199 00:16:50,282 --> 00:16:52,317 関兄 何を言ってる? 200 00:16:52,317 --> 00:16:55,554 当然 兄いが長兄だ 201 00:16:55,554 --> 00:16:58,290 俺たちは兄者の器の中身だ 202 00:16:58,290 --> 00:17:01,860 とりあえずは 器のお方が長兄でよかろう 203 00:17:01,860 --> 00:17:06,365 まあ 兄いが そう言うなら仕方ねえな 204 00:17:06,365 --> 00:17:08,865 それじゃ 関さん ついでくれ 205 00:17:20,879 --> 00:17:24,149 もし俺たちを 収めるほどの器ならば 206 00:17:24,149 --> 00:17:26,085 兄者が生きている間 207 00:17:26,085 --> 00:17:28,685 決して兄者のもとを 離れないでいよう 208 00:17:47,372 --> 00:17:51,710 玄徳 母と呼ばれるのも これが最後 209 00:17:51,710 --> 00:17:57,015 不らちなお前とは 今日限り縁を切ります 210 00:17:57,015 --> 00:18:01,915 兄者 いいのか?母上殿に 別れのあいさつをせずとも 211 00:18:04,890 --> 00:18:06,890 いいんだ 関さん 212 00:18:09,928 --> 00:18:15,434 でも 頼もしい義兄弟を 作りましたね 玄徳… 213 00:18:15,434 --> 00:18:19,304 ふつつかな せがれでございますがよろしく頼みます 214 00:18:19,304 --> 00:18:21,804 関羽殿 張飛殿 215 00:18:29,448 --> 00:18:32,117 黙って出てきた方がいいんだよ 216 00:18:32,117 --> 00:18:36,417 未練を断ち切ってくれた 母上の恩に報いるためにも 217 00:18:38,891 --> 00:18:41,191 いいおふくろさんだな 218 00:18:45,497 --> 00:18:52,404 うおー! 219 00:18:52,404 --> 00:18:55,107 こうして劉備は故郷を捨て 220 00:18:55,107 --> 00:18:59,778 乱世の大海原へ 飛び出していったのである 221 00:18:59,778 --> 00:19:02,778 その頃 眠りし龍 曹操は 222 00:19:05,017 --> 00:19:09,017 よくもまあ 毎晩お盛んなことでございますな 223 00:19:12,624 --> 00:19:16,528 お前の無愛想な顔を 見るのも飽きた 224 00:19:16,528 --> 00:19:18,864 そろそろ仕事に取りかかるか? 225 00:19:18,864 --> 00:19:20,964 曹操様! 226 00:19:26,038 --> 00:19:31,877 曹操は頓丘の民を苦しめていた 副県令の左嶺らの首をはね 227 00:19:31,877 --> 00:19:37,149 彼らの蓄えた財や 自分に送られた貢物全てを処分し 228 00:19:37,149 --> 00:19:39,949 民衆に分け与えたのであった 229 00:19:52,164 --> 00:19:55,764 県令様だ 県令様がいらしたぞ 230 00:19:57,870 --> 00:20:00,670 県令様 ありがとうございました 231 00:20:05,611 --> 00:20:09,481 長生福祥!平等互恵! 232 00:20:09,481 --> 00:20:11,450 天下太平! 233 00:20:11,450 --> 00:20:15,821 長生福祥!平等互恵! 234 00:20:15,821 --> 00:20:19,291 大賢良師 張角様のもとに集まれば 235 00:20:19,291 --> 00:20:23,462 長生福祥! 天下太平の道は開かれん 236 00:20:23,462 --> 00:20:27,699 長生福祥!平等互恵! 237 00:20:27,699 --> 00:20:31,103 天下太平! 238 00:20:31,103 --> 00:20:33,538 この一団は張角が起こした 239 00:20:33,538 --> 00:20:37,209 「太平道」という 宗教集団の信者である 240 00:20:37,209 --> 00:20:39,678 後に全土を揺るがすことになる 241 00:20:39,678 --> 00:20:43,278 黄巾の乱の 元となっていくのである 242 00:20:54,760 --> 00:20:59,031 皆 胸を張って神を信じておる 243 00:20:59,031 --> 00:21:04,369 この力を統率する者が その方向を誤らねば 244 00:21:04,369 --> 00:21:07,169 漢朝400年の幕は下りるな 245 00:21:09,942 --> 00:21:14,242 蒼天に いまだ我が道は見えず 246 00:25:41,046 --> 00:25:44,946 大賢良師様 張角様 247 00:25:50,589 --> 00:25:53,289 大賢良師様 張角様 248 00:26:01,166 --> 00:26:03,666 おおー 249 00:26:07,539 --> 00:26:10,475 この男 張角という 250 00:26:10,475 --> 00:26:14,079 妖術を使い 風雨を呼び起こし 251 00:26:14,079 --> 00:26:17,949 まじないを施した水で 病に伏した人々を救い 252 00:26:17,949 --> 00:26:20,218 太平道の祖となる 253 00:26:20,218 --> 00:26:23,818 のちの黄巾の乱を 引き起こす人物である 254 00:26:33,331 --> 00:26:35,934 西暦179年 255 00:26:35,934 --> 00:26:39,571 冀州頓丘の 県令職を辞した曹操は 256 00:26:39,571 --> 00:26:42,374 その郷里 豫州ショウへ戻り 257 00:26:42,374 --> 00:26:45,274 自由奔放な日々を過ごしていた 258 00:26:47,946 --> 00:26:50,849 しかし この年の冬 259 00:26:50,849 --> 00:26:55,587 曹操の良き理解者である 祖父の曹騰が他界した 260 00:26:55,587 --> 00:26:59,257 曹騰の葬儀は 帝からの下賜をはじめ 261 00:26:59,257 --> 00:27:04,657 その規模は一宦官としては 前代未聞の壮大なものであった 262 00:27:07,799 --> 00:27:14,499 故人曹騰様を にぎやかに送るべし 263 00:27:23,882 --> 00:27:28,382 北の歌姫 卞玲瓏による 死者葬送の舞 264 00:27:45,937 --> 00:27:51,209 相変わらず何を考えておるのか 分からん奴だな 孟徳は 265 00:27:51,209 --> 00:27:54,112 県令の職をおっぽり出して 帰ってきたっきり 266 00:27:54,112 --> 00:27:58,483 病気だなんだと言って 職に就こうとしないそうだぞ 267 00:27:58,483 --> 00:28:02,320 しかし今日は奴も さすがに神妙だな 268 00:28:02,320 --> 00:28:04,356 ずっと瞑目しておる 269 00:28:04,356 --> 00:28:06,491 そりゃ そうだろう 270 00:28:06,491 --> 00:28:09,761 あれほど おじい様に 溺愛されていたんだからな 271 00:28:09,761 --> 00:28:11,696 いやいや分からんぞ 272 00:28:11,696 --> 00:28:14,396 あいつのことだ 眠っているんじゃないのか 273 00:28:25,276 --> 00:28:29,614 葬儀にはふさわしくない舞だわ 274 00:28:29,614 --> 00:28:31,614 丁美湖 275 00:28:36,388 --> 00:28:38,688 どうぞ ああ 276 00:28:49,601 --> 00:28:52,237 洛陽一のじゃじゃ馬娘が 277 00:28:52,237 --> 00:28:54,239 酌をするようになったのか 278 00:28:54,239 --> 00:28:58,139 夫と決められた人以外に お酌はしません 279 00:29:00,979 --> 00:29:05,583 俺に会えなくて寂しかったろ 丁美湖 280 00:29:05,583 --> 00:29:09,254 うぬぼれが強くて 女たらしでワガママ 281 00:29:09,254 --> 00:29:13,124 そのうえ独善的で 傲慢な世間知らず! 282 00:29:13,124 --> 00:29:16,995 おまけに心に期するとか 何とか言って職にも就かず 283 00:29:16,995 --> 00:29:20,298 毎日 狩りと読書三昧の ろくでなし! 284 00:29:20,298 --> 00:29:24,569 父が決めた相手とはいえ こんな人の妻になるのかと思えば 285 00:29:24,569 --> 00:29:27,472 本当に情けなくなります 286 00:29:27,472 --> 00:29:31,342 俺のことが嫌いなのか?丁美湖 287 00:29:31,342 --> 00:29:34,579 君は固まった 火山岩のように頑固で 288 00:29:34,579 --> 00:29:39,417 獣の皮で作った胡弓の 音色のように意地っ張りな女だ 289 00:29:39,417 --> 00:29:43,822 優しくすれば つけあがり 厳しくするとヘソを曲げてすねる 290 00:29:43,822 --> 00:29:47,492 常に自分中心に 世の中が動いていると思っている 291 00:29:47,492 --> 00:29:49,794 そ… それはあなたのことです 292 00:29:49,794 --> 00:29:52,094 だが 美しい 293 00:29:58,470 --> 00:30:01,406 あなたのような駄目な人を 放っておけません 294 00:30:01,406 --> 00:30:04,806 20歳になるのを待たず お側に置いていただきますから 295 00:30:21,993 --> 00:30:24,562 孟徳や 296 00:30:24,562 --> 00:30:28,533 わしは宦官という身分に 不相応な財を得たが 297 00:30:28,533 --> 00:30:32,203 それは決して やましいものではない 298 00:30:32,203 --> 00:30:36,174 しかし そのやり方を継いだのが 今の十常侍であり 299 00:30:36,174 --> 00:30:40,445 彼らが現朝廷を むしばんでおる 300 00:30:40,445 --> 00:30:45,049 わしもまた 歴史に禍根を残すかもしれん 301 00:30:45,049 --> 00:30:48,820 孟徳や わしが残す財を躊躇なく使え 302 00:30:48,820 --> 00:30:53,057 わしの人生の後半は お前を楽しみに生きてきた 303 00:30:53,057 --> 00:30:57,395 お前に財を残せば わしの悔いは すべてなくなる 304 00:30:57,395 --> 00:30:59,797 天下を駆けてくれ 孟徳 305 00:30:59,797 --> 00:31:04,797 わしはお前のような男にこそ 仕えたかったのだ 306 00:31:51,082 --> 00:31:55,382 この世の官能のすべてを以って 死者を弔うのか 307 00:32:00,825 --> 00:32:04,629 同じことを言った男が 北の果てにもいたわ 308 00:32:04,629 --> 00:32:08,833 いかなる天子の悼辞より 君の舞に送られ 309 00:32:08,833 --> 00:32:11,836 我が祖父は さぞ喜ばれていることだろう 310 00:32:11,836 --> 00:32:15,073 この上ない お褒めのお言葉ですわ 311 00:32:15,073 --> 00:32:18,610 私も祖父を弔っている 312 00:32:18,610 --> 00:32:22,410 お抱きになると 一生お側を離れませんわよ 313 00:32:24,415 --> 00:32:26,351 いいだろう 314 00:32:26,351 --> 00:32:30,021 でも私は妓楼の女 それが? 315 00:32:30,021 --> 00:32:32,621 噂どおりのお方ね 316 00:32:49,040 --> 00:32:52,276 北の果てのことを聞きたい 317 00:32:52,276 --> 00:32:57,982 いいわ でも あなたに負けぬ男の話よ 318 00:32:57,982 --> 00:33:01,252 おもしろそうだ 319 00:33:01,252 --> 00:33:06,958 本来 異民族を討伐する 西涼10万軍の長でありながら 320 00:33:06,958 --> 00:33:10,828 羌族や胡族の族長とも 交友を持ち 321 00:33:10,828 --> 00:33:15,767 しかも彼らから 北の怪物と呼ばれている男 322 00:33:15,767 --> 00:33:20,038 漢人なのに 「徳」という言葉とは縁遠くて 323 00:33:20,038 --> 00:33:24,342 自分の価値観だけで 生き抜く男 324 00:33:24,342 --> 00:33:28,342 そして漢王朝をつぶす機会を 狙っている男 325 00:33:33,051 --> 00:33:37,051 西涼の太守で董卓という男よ 326 00:33:47,965 --> 00:33:51,002 それほどの男に 寵愛を受けていながら 327 00:33:51,002 --> 00:33:53,905 なにゆえ 君は彼のもとを離れたのだ 328 00:33:53,905 --> 00:33:58,009 もうじき戦乱が始まるでしょ 329 00:33:58,009 --> 00:34:00,011 始まると何年続くの? 330 00:34:00,011 --> 00:34:03,247 君の胸の奥が少し見えてきたぞ 331 00:34:03,247 --> 00:34:05,883 戦乱は30年は続くだろう 332 00:34:05,883 --> 00:34:09,153 君は30年の戦乱を戦い抜いて 333 00:34:09,153 --> 00:34:11,389 覇者となる男を探している 334 00:34:11,389 --> 00:34:14,425 董卓よりも ずっと若い男だ 335 00:34:14,425 --> 00:34:18,125 はい 私は天子を産みたいのです 336 00:34:22,633 --> 00:34:25,937 関さん 張飛 あれを見ろ! 337 00:34:25,937 --> 00:34:28,439 農民が武装し訓練してるぞ 338 00:34:28,439 --> 00:34:31,342 天下太平!長生福祥! 339 00:34:31,342 --> 00:34:33,611 あれは太平道だな 340 00:34:33,611 --> 00:34:36,047 宗教がなんで武装してんだ? 341 00:34:36,047 --> 00:34:38,950 俺たち侠の力を借りず 342 00:34:38,950 --> 00:34:41,853 自分たちの力で立ち上がろうと してんだろうよ 343 00:34:41,853 --> 00:34:43,921 それにしても奴らの数の 344 00:34:43,921 --> 00:34:46,224 膨れ上がりようは ただごとじゃない 345 00:34:46,224 --> 00:34:49,927 世の中で人間の入れ替わる 時期が来たんだ 346 00:34:49,927 --> 00:34:51,896 なあ 関さん ちょっくら行って 347 00:34:51,896 --> 00:34:55,433 あいつらの大将に 道を尋ねて来てくんねえか 348 00:34:55,433 --> 00:34:57,433 うん 349 00:35:05,643 --> 00:35:09,080 こら!大賢良師様に お目通りを願うのなら 350 00:35:09,080 --> 00:35:11,015 この列に並べ! 351 00:35:11,015 --> 00:35:13,751 祈とうを望んでいるのではない 352 00:35:13,751 --> 00:35:16,420 琢県の侠「鬼嚢」の身内 関羽が 353 00:35:16,420 --> 00:35:19,991 道を尋ねに来たと伝えてくれ ははーっ 354 00:35:19,991 --> 00:35:23,027 おう 関羽ではないか 355 00:35:23,027 --> 00:35:27,365 これは羅厳の大親分 お久しぶりでございます 356 00:35:27,365 --> 00:35:29,300 よく来てくれた 357 00:35:29,300 --> 00:35:32,970 いずれ わしから 会いに行くつもりであった 358 00:35:32,970 --> 00:35:38,676 侠を結集し 世の中を正すのが 我々の志であったが 359 00:35:38,676 --> 00:35:42,947 早い話 今それが 現実のものとなりつつある 360 00:35:42,947 --> 00:35:46,818 ほう 侠は張角様という心の支えを得 361 00:35:46,818 --> 00:35:50,488 ムダな血と時間を費やすことなく 結集している 362 00:35:50,488 --> 00:35:54,425 そして私腹を肥やしている 金の亡者どもから財を奪い 363 00:35:54,425 --> 00:35:56,427 張角様を求めてやってくる 364 00:35:56,427 --> 00:35:59,297 貧民10万の生活を 助けているのじゃ 365 00:35:59,297 --> 00:36:03,167 つまり太平道の目的は 行き着くところ 366 00:36:03,167 --> 00:36:05,703 漢王朝への反乱ですか? 367 00:36:05,703 --> 00:36:08,539 いや 乱が目的にあらず 368 00:36:08,539 --> 00:36:11,943 漢の指導者も 太平道の信者になってもらえば 369 00:36:11,943 --> 00:36:14,643 それで すべてが解決する 370 00:36:19,684 --> 00:36:22,587 病はすべて天の下した罰なれば 371 00:36:22,587 --> 00:36:26,023 その懺悔により病のもとは明らか 372 00:36:26,023 --> 00:36:30,361 あなたの罪は右の臓と足を 患わせていますね 373 00:36:30,361 --> 00:36:33,461 は… はい その通りでごぜえます 374 00:36:40,037 --> 00:36:42,306 毎夜毎夜 経を唱え 375 00:36:42,306 --> 00:36:45,806 この符水を頂けば それを癒やせましょう 376 00:36:47,845 --> 00:36:50,715 ありがたき幸せにごぜえます 377 00:36:50,715 --> 00:36:54,215 はい お待たせしました 関羽殿 378 00:36:57,255 --> 00:37:01,058 私の犯した罪は 千をはるかに超えている 379 00:37:01,058 --> 00:37:05,730 はい しかし 患った病は 何ひとつないはず 380 00:37:05,730 --> 00:37:10,134 あなたは私に天下の志を 問われる おつもりのようだが 381 00:37:10,134 --> 00:37:13,070 私にそのようなものは ござらん 382 00:37:13,070 --> 00:37:17,375 ただただ私を求める声に 応じるばかりである 383 00:37:17,375 --> 00:37:22,475 逆にあなたの近くには 天下に覇を唱える方がおいでだ 384 00:37:24,515 --> 00:37:30,321 あなたと共にある限り その方は天子となられよう 385 00:37:30,321 --> 00:37:36,227 そして… そしてあなたは のちの世に神となられる お方だ 386 00:37:36,227 --> 00:37:39,827 私が神に? しかり 387 00:37:42,433 --> 00:37:44,533 佞言 絶つべし 388 00:37:47,638 --> 00:37:50,138 お見事 関羽殿! 389 00:37:59,250 --> 00:38:02,153 太平道の経文か 390 00:38:02,153 --> 00:38:05,589 これに侠の精神が 含まれてるってのか? 391 00:38:05,589 --> 00:38:07,789 さっぱり分からねえ 392 00:38:09,827 --> 00:38:11,762 なあ 関さんは頭がいいし 393 00:38:11,762 --> 00:38:14,665 これを持ってきたんだから 意味が分かってんだろうけど 394 00:38:14,665 --> 00:38:17,568 太平道の信者は どうなんだい? 395 00:38:17,568 --> 00:38:21,472 意味が分からずとも 道を求めるのが民というもの 396 00:38:21,472 --> 00:38:26,377 はあ 大したもんだね あんた 397 00:38:26,377 --> 00:38:31,115 しかし 関さんよ これは侠じゃねえな 398 00:38:31,115 --> 00:38:33,951 侠ってのは 言葉にできるもんじゃねえし 399 00:38:33,951 --> 00:38:36,751 宗教と結託するもんじゃねえだろ 400 00:38:40,424 --> 00:38:46,130 その後 漢王朝には 天変地異が続発した 401 00:38:46,130 --> 00:38:48,833 その影響もあり わずか数年で 402 00:38:48,833 --> 00:38:53,804 教祖 張角のもとに集まる 信者の数は数十万に達し 403 00:38:53,804 --> 00:38:58,109 太平道の勢力は 漢王朝13州のうち 404 00:38:58,109 --> 00:39:02,747 主要8州にまで拡大していった 405 00:39:02,747 --> 00:39:07,585 その噂は曹操の耳にも 入ろうとしていた 406 00:39:07,585 --> 00:39:10,354 地方の有力豪族はもとより 407 00:39:10,354 --> 00:39:14,959 お前と同年代の人間が すでに乱世に備えておるのだ 408 00:39:14,959 --> 00:39:20,398 いいか 孟徳!東には15年程前 わずか18歳にして 409 00:39:20,398 --> 00:39:24,268 会稽郡の反乱を平定した 孫堅の兵2万 410 00:39:24,268 --> 00:39:27,505 更に北には劉表の1万5000 411 00:39:27,505 --> 00:39:29,840 南には袁紹の1万と 412 00:39:29,840 --> 00:39:31,776 袁術の8000だ 413 00:39:31,776 --> 00:39:34,178 彼らは すでに それだけの兵と軍勢を集め 414 00:39:34,178 --> 00:39:36,881 日々 練兵に精を出しておる 415 00:39:36,881 --> 00:39:42,486 どうなんだ?これを聞いても まだ お前は動こうとしないのか 416 00:39:42,486 --> 00:39:46,057 次は張奐殿の話を聞こう 417 00:39:46,057 --> 00:39:49,527 その前に その傍らのお子は? 418 00:39:49,527 --> 00:39:52,430 縁もゆかりもない者 419 00:39:52,430 --> 00:39:56,167 玄関先で門番と 面白き押し問答をしていたゆえ 420 00:39:56,167 --> 00:39:59,070 私の一存で入れました 421 00:39:59,070 --> 00:40:03,074 曹操殿 董卓という人物はご存じかな 422 00:40:03,074 --> 00:40:06,544 10万の軍を率いる 西涼の太守だな 423 00:40:06,544 --> 00:40:12,416 その董卓 かつて私が率いた羌族の討伐軍に従していたことがある 424 00:40:12,416 --> 00:40:14,752 たしかに優れた武人であったが 425 00:40:14,752 --> 00:40:18,556 裏で羌族と内通し 羌族の侵入そのものを 426 00:40:18,556 --> 00:40:23,394 董卓が手引きしたのではないか という疑いもあった 427 00:40:23,394 --> 00:40:27,264 そして羌族に通じる 旧知の人物によれば 428 00:40:27,264 --> 00:40:30,167 董卓は西涼軍に羌族らを加えた 429 00:40:30,167 --> 00:40:32,803 精鋭騎馬軍団3万を従え 430 00:40:32,803 --> 00:40:37,708 今まさに 天下を狙うばかりの勢いとか 431 00:40:37,708 --> 00:40:41,912 いかがなさる? 事は急を要しますぞ 432 00:40:41,912 --> 00:40:43,881 辛の報告を聞こう 433 00:40:43,881 --> 00:40:48,319 驚きましたことに 太平道の教祖 張角は 434 00:40:48,319 --> 00:40:51,021 最近起こった天変地異の数々を 435 00:40:51,021 --> 00:40:53,924 事前にすべて予言しておりました 436 00:40:53,924 --> 00:40:57,461 それゆえ その後の 信者の増える勢いたるや 437 00:40:57,461 --> 00:40:59,396 すさまじいものがあります 438 00:40:59,396 --> 00:41:02,299 なんと 太平道を探っておったのか 439 00:41:02,299 --> 00:41:04,235 とうことは まさか… 440 00:41:04,235 --> 00:41:06,635 太平道も 乱を起こすと見ているのか 441 00:41:10,441 --> 00:41:15,846 張奐殿 董卓が中央と 結んでいるとすれば どの線だと? 442 00:41:15,846 --> 00:41:19,750 国の最高官僚の1人 司徒の王允かと 443 00:41:19,750 --> 00:41:25,356 辺境の大勢力の動きを 時々刻々つかむのは大変なこと 444 00:41:25,356 --> 00:41:29,793 中央とのつながりの部分の警戒を 怠りなきようされたし 445 00:41:29,793 --> 00:41:33,164 はっ 孟徳 そのようなことでは足りぬ 446 00:41:33,164 --> 00:41:38,102 そうだ 今すぐ天下に号令をかけ できる限りの兵を集めるべし! 447 00:41:38,102 --> 00:41:42,506 兵に常勢なく 水に常形なし 448 00:41:42,506 --> 00:41:45,709 よく敵により 変化して勝をとるもの 449 00:41:45,709 --> 00:41:47,709 これを神という 450 00:41:50,548 --> 00:41:54,118 官軍といえども 実戦の経験者はごくわずか 451 00:41:54,118 --> 00:41:58,656 しかも 現在は天変地異の 後始末に手をとられています 452 00:41:58,656 --> 00:42:02,092 董卓が3万の騎馬軍団を 率いて入城すれば 453 00:42:02,092 --> 00:42:04,929 洛陽陥落は いともたやすいこと 454 00:42:04,929 --> 00:42:07,498 そののちに来たるものは 戦乱の世ではなく 455 00:42:07,498 --> 00:42:10,901 董卓独裁の 暴虐の世でありましょう 456 00:42:10,901 --> 00:42:12,937 それゆえ 最優先すべきは 457 00:42:12,937 --> 00:42:15,773 いかに董卓の野望を 未然に食い止めるか 458 00:42:15,773 --> 00:42:18,642 ということになります 459 00:42:18,642 --> 00:42:21,142 君の名前を伺っていなかったな 460 00:42:23,514 --> 00:42:26,383 はい!荀いくと申します 461 00:42:26,383 --> 00:42:29,653 で 私に何の用だ? 462 00:42:29,653 --> 00:42:31,989 あなたの軍師となりに参りました 463 00:42:31,989 --> 00:42:33,989 えっ! 464 00:42:37,861 --> 00:42:40,264 軍師を希望する荀いく殿 465 00:42:40,264 --> 00:42:42,764 私の頭の中が分かるかな 466 00:42:48,072 --> 00:42:52,843 はい 乱を以って乱を制す! 467 00:42:52,843 --> 00:42:56,213 見事だ 荀いく! 今 兵を集めるよりも 468 00:42:56,213 --> 00:42:59,113 まずは この4文字を 天下に放つべし 469 00:43:05,990 --> 00:43:08,559 蒼天すでに死す 470 00:43:08,559 --> 00:43:11,395 「漢王朝は すでに死せり」と? 471 00:43:11,395 --> 00:43:15,633 大帝国とは元来 己の大きささえ分からぬもの 472 00:43:15,633 --> 00:43:18,269 董卓という武将の 希有の才能を知り 473 00:43:18,269 --> 00:43:22,069 恐れるということ自体 漢王朝は縮んでしまったのだ 474 00:43:24,074 --> 00:43:26,477 漢王朝は400年の長きにわたり 475 00:43:26,477 --> 00:43:29,013 よく大乱を逃れて ここに至ったが 476 00:43:29,013 --> 00:43:31,582 そのことは同時に 無数の眠れる龍を 477 00:43:31,582 --> 00:43:34,051 飼い殺しにしてきたということだ 478 00:43:34,051 --> 00:43:39,556 漢が縮まれば… 全土に龍が出現する 479 00:43:39,556 --> 00:43:41,492 すなわち この4文字こそ 480 00:43:41,492 --> 00:43:44,461 眠れる龍たちを いったん蒼天へ解き放ち 481 00:43:44,461 --> 00:43:47,161 再び地に戻すに至る先駆となろう 482 00:43:56,106 --> 00:43:58,842 董卓のみに目を奪われてはいかん 483 00:43:58,842 --> 00:44:03,147 まずは眠れる龍たちを 蒼天に解き放つのだ 484 00:44:03,147 --> 00:44:08,118 我もまた1匹の臥龍であろうぞ 485 00:44:08,118 --> 00:44:10,888 蒼天すでに死す 486 00:44:10,888 --> 00:44:14,692 この4文字は またたく間に 漢王朝全土に伝わり 487 00:44:14,692 --> 00:44:18,492 ここ 太平道総本山にも 伝わってきた 488 00:44:23,767 --> 00:44:26,670 大賢良師 張角様にではなく 489 00:44:26,670 --> 00:44:30,270 我が兄者 張角に対して 進言いたす! 490 00:44:32,242 --> 00:44:35,245 漢王朝の天命は すでに尽きている 491 00:44:35,245 --> 00:44:38,045 この4文字こそ天下の声なり 492 00:44:52,096 --> 00:44:56,467 兄者のお考えや いかに 493 00:44:56,467 --> 00:44:59,370 ならば 494 00:44:59,370 --> 00:45:04,675 その4文字に我が天命を 連ねて記すべし 495 00:45:04,675 --> 00:45:06,677 蒼天すでに死すべし 496 00:45:06,677 --> 00:45:09,179 黄天まさに立つべし 497 00:45:09,179 --> 00:45:12,879 歳は甲子にありて 天下大吉ならん 498 00:45:16,920 --> 00:45:19,120 黄巾をつけよ! 499 00:45:21,725 --> 00:45:25,095 張角は自らを「天公将軍」と称し 500 00:45:25,095 --> 00:45:28,999 張宝 張梁を「地公将軍」 「人公将軍」とし 501 00:45:28,999 --> 00:45:33,804 36万の全信徒に 総決起指令を発した 502 00:45:33,804 --> 00:45:38,575 漢王朝を揺るがした 黄巾の乱の勃発であった 503 00:45:38,575 --> 00:45:42,846 7州28郡で火を吹いた この武装蜂起に対し 504 00:45:42,846 --> 00:45:46,216 狼狽した朝廷は黄巾党討伐のため 505 00:45:46,216 --> 00:45:50,154 地方に散らばっていた 有能な人士に高官の職を授け 506 00:45:50,154 --> 00:45:53,090 中央に呼び戻した 507 00:45:53,090 --> 00:45:55,793 西暦184年 508 00:45:55,793 --> 00:45:59,363 曹操 騎都尉として洛陽に戻る 509 00:45:59,363 --> 00:46:04,963 齢30 彼の数十年に及ぶ 戦乱の人生の始まりであった