1 00:00:40,117 --> 00:00:42,954 西暦199年3月 2 00:00:42,954 --> 00:00:47,658 幽州易京 公孫さんの居城 3 00:00:47,658 --> 00:00:54,265 この居城は幾重の塹壕と 土塁で築かれた不落の城砦である 4 00:00:54,265 --> 00:00:57,835 城を包囲する袁紹軍は 地中を掘削し 5 00:00:57,835 --> 00:01:02,773 土塁を一挙に土中に埋没させる 奇襲に出た 6 00:01:02,773 --> 00:01:06,878 そして 袁紹軍は 公孫さんの籠城する城へ 7 00:01:06,878 --> 00:01:10,181 猛攻撃をかけた 8 00:01:10,181 --> 00:01:14,585 袁紹軍の猛攻に対し 敗北を悟った公孫さんは 9 00:01:14,585 --> 00:01:19,585 自らの手で妻子を殺害し 自決する道を選んだ 10 00:01:22,793 --> 00:01:26,163 かくして袁紹は 公孫さんの軍を吸収し 11 00:01:26,163 --> 00:01:31,463 冀州・并州・青州・幽州の 4州を手中に収めた 12 00:01:33,971 --> 00:01:38,543 その兵力は数十万 名だたる武将・軍師をそろえ 13 00:01:38,543 --> 00:01:42,914 曹操の拠点・許都攻略に 着手する 14 00:01:42,914 --> 00:01:46,914 この時 袁紹は 力に満ちて雄大であった 15 00:01:57,929 --> 00:02:03,234 下ひ城の戦いの後 再び曹操の下に降った劉備たちは 16 00:02:03,234 --> 00:02:06,904 自宅にこもり くすぶっていた 17 00:02:06,904 --> 00:02:10,274 呂布も公孫さんも死んだ 18 00:02:10,274 --> 00:02:14,745 天下に野心を持っていた奴らが 次々に逝っちまった 19 00:02:14,745 --> 00:02:17,748 だが オイラは… うわー! 20 00:02:17,748 --> 00:02:22,053 ほら父上 ほーら こんなに でっけえ! 21 00:02:22,053 --> 00:02:26,757 うおー おー ほっほー!ハッハ… 22 00:02:26,757 --> 00:02:31,457 今が乱世だって事が まるで夢か幻みたいじゃねえか 23 00:02:34,031 --> 00:02:38,469 こんな風に生きてくのも 悪くはねえかもな 24 00:02:38,469 --> 00:02:41,372 ケッ 今日も土いじりかよ 25 00:02:41,372 --> 00:02:43,841 兄者は巨大な風車だ 26 00:02:43,841 --> 00:02:46,877 大きな風が吹かねば動かぬ 27 00:02:46,877 --> 00:02:51,282 天下が袁紹と曹操に 二分されようとしている今 28 00:02:51,282 --> 00:02:55,920 この劉備という男が このまま 時代に取り残されるかどうかは 29 00:02:55,920 --> 00:02:59,223 吹く風の強さ次第 だー 30 00:02:59,223 --> 00:03:05,129 で 関兄は そのでけえ風が 兄貴に必ず吹くと思ってんのか? 31 00:03:05,129 --> 00:03:07,229 ああ 悪いか? 32 00:03:09,367 --> 00:03:11,869 ふんっ 33 00:03:11,869 --> 00:03:15,740 劉備殿はこちらか? 何の用だ? 34 00:03:15,740 --> 00:03:20,578 そ… そう気色ばむでない 異例の大抜擢だ 35 00:03:20,578 --> 00:03:24,315 劉備殿が左将軍に 任命されたのだぞ 36 00:03:24,315 --> 00:03:28,185 あーん? 左将軍だと? 37 00:03:28,185 --> 00:03:32,123 今の兄者は そのような 重臣の器ではないはず 38 00:03:32,123 --> 00:03:35,459 来る端午の儀にて 共に参内せよとの 39 00:03:35,459 --> 00:03:38,062 司空・曹操殿の仰せじゃ 40 00:03:38,062 --> 00:03:41,532 確かに伝えたぞ 41 00:03:41,532 --> 00:03:44,402 曹操 貴様の魂胆は何だ? 42 00:03:44,402 --> 00:03:47,402 ハッハッハッ… どうだ わー すげえー! 43 00:03:52,143 --> 00:03:55,046 はあ… 44 00:03:55,046 --> 00:03:57,782 許に都を構えて3年 45 00:03:57,782 --> 00:04:03,087 未だに私が漢王朝の 天子であるという実感がない 46 00:04:03,087 --> 00:04:08,287 私が発する詔勅はすべて 曹操から上がってきたものだ 47 00:04:10,828 --> 00:04:16,200 董卓と違い 曹操のまつりごとは すべて理にかなっているし 48 00:04:16,200 --> 00:04:18,602 異の唱えようがない 49 00:04:18,602 --> 00:04:20,905 それだけに私は 50 00:04:20,905 --> 00:04:26,644 以前にも増して ただの 操り人形に見えるであろうな 51 00:04:26,644 --> 00:04:30,247 私の意志は私自身でさえも 触れられぬ 52 00:04:30,247 --> 00:04:34,118 天上世界のものだと曹操は言った 53 00:04:34,118 --> 00:04:39,390 しかし 火のように煌々と 自らの意志を天下に示し 54 00:04:39,390 --> 00:04:43,360 まつりごとを行った帝は いにしえに何人もいる 55 00:04:43,360 --> 00:04:47,131 天子として この地上に 降り立ったからには 56 00:04:47,131 --> 00:04:49,831 歴史に名を残したいではないか 57 00:04:57,208 --> 00:04:59,977 曹操を誅殺? 58 00:04:59,977 --> 00:05:02,546 しかる後に袁紹をも 59 00:05:02,546 --> 00:05:06,946 と… 董承 朕は曹操が嫌いではないぞ 60 00:05:09,153 --> 00:05:15,493 今や天下の勢力は 袁紹と曹操の 2強に集約されつつあります 61 00:05:15,493 --> 00:05:17,428 名家を驕る袁紹 62 00:05:17,428 --> 00:05:22,333 陛下を奉じつつも 朝廷を 意のままに動かそうとする曹操 63 00:05:22,333 --> 00:05:26,704 どちらが勝っても その勝者の驕りはさらに極まり 64 00:05:26,704 --> 00:05:31,475 自らを覇王と称し 陛下の玉座を 脅かす事になるは必定 65 00:05:31,475 --> 00:05:37,047 だが 朕は傀儡じゃ 動かせる軍を持たぬ 66 00:05:37,047 --> 00:05:39,016 ご安心ください 67 00:05:39,016 --> 00:05:42,753 曹操直属の配下でないのに そのそばに侍り 68 00:05:42,753 --> 00:05:47,953 陛下に累を及ぼさず 曹操に 手を下せる者が1人おります 69 00:06:00,704 --> 00:06:03,340 関さんの言うように 70 00:06:03,340 --> 00:06:05,943 オイラは 二度と抜けられねえ穴に 71 00:06:05,943 --> 00:06:09,780 引きずり込まれようと してるのかもしれねえ 72 00:06:09,780 --> 00:06:13,651 だが いきなり左将軍に 抜擢されて 73 00:06:13,651 --> 00:06:17,388 こうやって参内するのが 嬉しくねえかってえと 74 00:06:17,388 --> 00:06:20,688 情けねえが それなりに嬉しいんだよなあ 75 00:06:27,698 --> 00:06:32,369 劉備殿の左将軍拝命を祝し 76 00:06:32,369 --> 00:06:37,169 陛下より玉帯下賜! 77 00:06:40,744 --> 00:06:45,549 董承 その者が討ち損じる事は 万が一にもないのか? 78 00:06:45,549 --> 00:06:50,387 その者には 命をかけて従う 2人の豪傑が付いております 79 00:06:50,387 --> 00:06:53,290 曹操の護衛など この2人にかかれば 80 00:06:53,290 --> 00:06:55,390 ひとたまりも ありますまい 81 00:07:07,271 --> 00:07:09,271 ああ! 82 00:07:13,577 --> 00:07:15,577 ほおー 83 00:07:25,823 --> 00:07:28,726 こ… これはすげえ 84 00:07:28,726 --> 00:07:30,961 これ全部 兵法の書かい? 85 00:07:30,961 --> 00:07:35,232 ここにあるのは 俺が注釈を付けて選り分けた分だけだ 86 00:07:35,232 --> 00:07:37,301 注釈?選り分け? 87 00:07:37,301 --> 00:07:40,037 ああ はあー 88 00:07:40,037 --> 00:07:42,506 やっぱ 兵法ってのは 必要なもんかね? 89 00:07:42,506 --> 00:07:44,875 知らずに強い奴もいるだろうが 90 00:07:44,875 --> 00:07:47,578 最後には やはり 知っている奴が勝つ 91 00:07:47,578 --> 00:07:51,882 そっか 1年もあれば読破できるぞ 92 00:07:51,882 --> 00:07:54,652 1年?そんな無理だよ 93 00:07:54,652 --> 00:07:58,389 じゃあ諦めろ 94 00:07:58,389 --> 00:08:02,026 曹操どん 改めて聞くけどよ 95 00:08:02,026 --> 00:08:04,828 なんで オイラを左将軍にした? 96 00:08:04,828 --> 00:08:08,432 中山靖王・劉勝の末裔を 名乗るお前には 97 00:08:08,432 --> 00:08:10,367 関羽 張飛を筆頭として 98 00:08:10,367 --> 00:08:13,137 人々を惹きつける 不思議な力がある 99 00:08:13,137 --> 00:08:16,707 それは この曹操にとっても 有用であるはず 100 00:08:16,707 --> 00:08:18,642 それだけの事だ 101 00:08:18,642 --> 00:08:21,612 だから 役につけて 試そうってのかい? 102 00:08:21,612 --> 00:08:24,481 オイラがあんたの下で 忠実に生きるんなら 103 00:08:24,481 --> 00:08:26,750 左将軍である事に意味がある 104 00:08:26,750 --> 00:08:30,154 逆だったら 何の意味もない そういう事か 105 00:08:30,154 --> 00:08:33,757 ああ そういう事だ 106 00:08:33,757 --> 00:08:36,457 曹操どん あんたすげえよ 107 00:08:40,197 --> 00:08:45,669 兵器に宮殿 なんか分かんねえ器具の設計図 108 00:08:45,669 --> 00:08:48,205 これは詩文か 109 00:08:48,205 --> 00:08:50,708 すごいね 何でもできちゃうんだ 110 00:08:50,708 --> 00:08:53,610 で 何もできねえけど 人を惹きつける事だけは 111 00:08:53,610 --> 00:08:56,814 できるオイラを そばに置いておくと 112 00:08:56,814 --> 00:08:58,814 なんか分かるような気が… 113 00:09:01,118 --> 00:09:03,754 ちょ… ちょっとだけする 114 00:09:03,754 --> 00:09:06,690 でもな 自分じゃ気づかねえかな? 115 00:09:06,690 --> 00:09:08,690 あんた とんでもなく おっかねえんだ 116 00:09:10,828 --> 00:09:13,764 あんたの下で忠実に 生きるってことは 117 00:09:13,764 --> 00:09:16,364 たまんなく辛えんだろうなあ 118 00:09:26,810 --> 00:09:30,581 確かにオイラは 天下の何だって入れちまえる 119 00:09:30,581 --> 00:09:32,916 でっけえ袋かもしんねえ 120 00:09:32,916 --> 00:09:35,316 みんなオイラの袋に入ってくる 121 00:09:38,322 --> 00:09:41,225 関さん 張飛に始まり 122 00:09:41,225 --> 00:09:45,429 陶謙 徐州の領民 123 00:09:45,429 --> 00:09:47,829 あの呂布だって そうだった 124 00:09:50,134 --> 00:09:53,834 おまけに今度は天子様だよ 125 00:09:59,810 --> 00:10:05,015 ああ オイラはでっけえ袋だ 126 00:10:05,015 --> 00:10:09,853 そう それがオイラの 可能性でもある 127 00:10:09,853 --> 00:10:14,758 となると 曹操にこの袋を 使わせてやるなんざ もったいねえ 128 00:10:14,758 --> 00:10:16,760 オイラはオイラで天下に向かって 129 00:10:16,760 --> 00:10:19,560 この大袋を 広げてやろうじゃねえか 130 00:10:24,001 --> 00:10:27,938 車騎将軍・董承からの祝い文か 131 00:10:27,938 --> 00:10:33,110 これは あさっての端午の宴の 演目じゃねえか 132 00:10:33,110 --> 00:10:37,448 ほう オイラが剣舞を 舞う事になってる 133 00:10:37,448 --> 00:10:40,748 てことは そこで曹操を 殺れって事なのか 134 00:10:44,555 --> 00:10:48,425 はっはっは さすが宮中からの祝い酒じゃ 135 00:10:48,425 --> 00:10:51,025 うまい とろけるのう 136 00:10:53,163 --> 00:10:55,833 あー… 137 00:10:55,833 --> 00:10:59,103 曹操を誅殺せよ 138 00:10:59,103 --> 00:11:02,606 こりゃ天意ってやつなのか 139 00:11:02,606 --> 00:11:04,608 兄者 どうかしたのか? 140 00:11:04,608 --> 00:11:06,610 ん?ああ いやあ 141 00:11:06,610 --> 00:11:09,446 あんまり うめえんで ついつい飲みすぎちまった 142 00:11:09,446 --> 00:11:11,746 ハハハ… 143 00:11:21,558 --> 00:11:26,230 本日は 端午の節句にござりまする 144 00:11:26,230 --> 00:11:29,030 おお! 145 00:11:54,224 --> 00:12:00,864 演目は屈原・作 国殤 146 00:12:00,864 --> 00:12:06,664 演者は左将軍 劉備殿 147 00:13:33,824 --> 00:13:38,024 曹操を誅殺せよ 曹操を誅殺せよ 148 00:13:43,433 --> 00:13:45,433 これが天意か 149 00:13:51,174 --> 00:13:53,174 今ならやれる! 150 00:14:08,292 --> 00:14:10,692 俺は なぜ迷う 151 00:14:15,966 --> 00:14:18,935 関さん 張飛 152 00:14:18,935 --> 00:14:24,675 兄者 大それたものを ただ一人で抱え込むつもりか? 153 00:14:24,675 --> 00:14:28,879 こんな面白え事を 俺に言わねえたあ 義にもとるぜ 154 00:14:28,879 --> 00:14:30,814 これではっきりした 155 00:14:30,814 --> 00:14:33,216 オイラを突き動かしてるのは あんたらじゃねえ 156 00:14:33,216 --> 00:14:35,185 オイラに対する天意だ 157 00:14:35,185 --> 00:14:37,621 オイラの袋は おめえらで満たされてる 158 00:14:37,621 --> 00:14:40,924 そのおめえたちに 勅の事を 話さなかったってことは 159 00:14:40,924 --> 00:14:43,524 天意というには 足りねえもんがあるぞ 160 00:14:46,630 --> 00:14:48,999 いいか 俺たちはあんたらに 161 00:14:48,999 --> 00:14:52,736 扱えるようなシロモノじゃ ねえんだよ 162 00:14:52,736 --> 00:14:57,036 それが たとえ漢王朝400年の 天子様であろうともだ! 163 00:15:04,648 --> 00:15:07,417 胸が痛いぜ 天子様 164 00:15:07,417 --> 00:15:09,720 勅は人目をはばかり 165 00:15:09,720 --> 00:15:12,689 吹けば消えちまうように 出すもんじゃねえ 166 00:15:12,689 --> 00:15:17,094 天涯万里を真っ二つに切り裂いて 発せられるもんだ 167 00:15:17,094 --> 00:15:21,498 あんたじゃ無理だ あんたじゃ漢王朝の再興はねえ 168 00:15:21,498 --> 00:15:27,738 曹操誅殺の勅は この大袋の中で封印だ 169 00:15:27,738 --> 00:15:32,038 オイラ 気を吐くぜ 吸う時ゃ 丸ごと飲み込むぜ 170 00:15:33,944 --> 00:15:37,681 だが曹操ってものすげえ男が 171 00:15:37,681 --> 00:15:40,717 オイラの袋に 入りきらねえ時ゃよう 172 00:15:40,717 --> 00:15:44,917 オイラに下された天意として 曹操を殺す 173 00:15:47,991 --> 00:15:51,628 劉備 屈原の詩には まだ後がある 174 00:15:51,628 --> 00:15:55,928 出でて敵を倒さずば 生きて帰らず 175 00:16:01,605 --> 00:16:05,108 劉備 即興で舞は続かんか? 176 00:16:05,108 --> 00:16:07,811 もうすぐ嵐になるぞ 177 00:16:07,811 --> 00:16:12,048 こ… こいつは すべてを知っているのか 178 00:16:12,048 --> 00:16:14,718 だとしたら 俺たちは殺される 179 00:16:14,718 --> 00:16:17,621 ここで死んだら オイラたちの覇業なんてねえ 180 00:16:17,621 --> 00:16:20,357 やっぱり ここで殺るしかねえか 181 00:16:20,357 --> 00:16:25,796 関さん 張飛 行くぜえ! 182 00:16:25,796 --> 00:16:28,496 うりゃあ! 183 00:16:32,102 --> 00:16:35,972 剣を捨てろ! 184 00:16:35,972 --> 00:16:38,572 うわー! 185 00:16:54,958 --> 00:16:56,893 いや よかった 186 00:16:56,893 --> 00:17:00,893 3人の有能なる人間を 危うく失うところであった 187 00:17:02,999 --> 00:17:04,999 曹操どん 188 00:17:06,903 --> 00:17:08,903 ありがとう 189 00:17:14,711 --> 00:17:19,449 翌朝早く 劉備は一族と 従う兵たちを引き連れ 190 00:17:19,449 --> 00:17:22,319 逃げるように許都を後にした 191 00:17:22,319 --> 00:17:26,890 ケッ 情けねえ 雷ごときで 曹操を討ち漏らしやがって 192 00:17:26,890 --> 00:17:30,093 そんでまた逃亡生活に 逆戻りかよ 193 00:17:30,093 --> 00:17:32,996 いや あの雷こそ天命であろう 194 00:17:32,996 --> 00:17:35,265 その通りだ 195 00:17:35,265 --> 00:17:37,968 かっ 見ろ この蒼天を 196 00:17:37,968 --> 00:17:42,768 オイラたちの行く先にゃ 一点の曇りもねえぜ! 197 00:17:44,774 --> 00:17:49,346 以上25の儀 上奏たてまつります 198 00:17:49,346 --> 00:17:52,916 い… 生きた心地がせぬ 199 00:17:52,916 --> 00:17:56,286 顔色が麗しくございませんな 200 00:17:56,286 --> 00:17:59,556 曹操 端午の宴の 201 00:17:59,556 --> 00:18:02,325 あの雷は吉兆か? 202 00:18:02,325 --> 00:18:04,261 凶にして吉 203 00:18:04,261 --> 00:18:08,598 春雷の年は日照りが多く 民にとっては凶 204 00:18:08,598 --> 00:18:10,534 天下国家のまつりごとは 205 00:18:10,534 --> 00:18:15,171 細心の配慮を持って 計らうべしとの知らせです 206 00:18:15,171 --> 00:18:19,109 まるで天に問うたように 答えを返す 207 00:18:19,109 --> 00:18:23,980 おのが悪名を後世に残そうとも それを意に介さず 208 00:18:23,980 --> 00:18:28,852 朕を奉じながら 漢王朝の権威に頼ろうともせず 209 00:18:28,852 --> 00:18:32,052 ただ超然と 天と向かい合っている 210 00:18:34,491 --> 00:18:39,195 曹操 そちは天にまつわる あらゆる事を知りながら 211 00:18:39,195 --> 00:18:42,766 まるで天を畏れておらぬ なぜじゃ? 212 00:18:42,766 --> 00:18:47,137 なぜ 天の意に背く事を 畏れずに生きてゆける? 213 00:18:47,137 --> 00:18:50,840 人間にとって天は 畏れ敬うものにあらず 214 00:18:50,840 --> 00:18:53,443 全身全霊にて愛おしむもの 215 00:18:53,443 --> 00:18:57,343 天子もまた 愛おしまれるもので あればよいのです 216 00:19:02,819 --> 00:19:05,221 曹操は陛下を畏れず 217 00:19:05,221 --> 00:19:09,621 ただ千年の世を求めて おのが生に没頭いたします 218 00:19:11,661 --> 00:19:17,161 曹操 そちは千年の王として 天に対峙しているのだな 219 00:19:20,704 --> 00:19:23,506 それに比べて朕は 220 00:19:23,506 --> 00:19:26,242 ただ おのが身の上を嘆き 221 00:19:26,242 --> 00:19:29,012 なぜ民に畏れ敬われないかと 222 00:19:29,012 --> 00:19:33,516 中身のない脆弱な欲望に 捕らわれていた 223 00:19:33,516 --> 00:19:35,485 私より天を知り 224 00:19:35,485 --> 00:19:38,885 天下にふさわしい男が 目の前にいるではないか 225 00:19:41,691 --> 00:19:43,627 曹操 朕はそちに… 226 00:19:43,627 --> 00:19:49,299 曹操の道は 人に畏れ敬われる事を目的としております 227 00:19:49,299 --> 00:19:54,704 天子様は 天下万民の無条件の 愛おしみを奪ってはなりません 228 00:19:54,704 --> 00:19:59,075 私は民の首席として 天子様を愛おしみ奉り 229 00:19:59,075 --> 00:20:04,275 天下の諸事は 畏れと敬いによってまつりごとつかまつります 230 00:20:06,583 --> 00:20:10,854 曹操 朕は染まりやすい天のようじゃ 231 00:20:10,854 --> 00:20:16,493 そちと話していると まるで 自分が おなごになったかのように 232 00:20:16,493 --> 00:20:20,096 朕が まことに天を 抱いているかのように感ずる 233 00:20:20,096 --> 00:20:23,967 しかし曹操 朕はそちを… 234 00:20:23,967 --> 00:20:27,367 天子は ありのままであれば 間違わぬのです 235 00:20:33,643 --> 00:20:37,914 天子に誤りがなければ 俗塵に誤りがあります 236 00:20:37,914 --> 00:20:41,514 それを厳格に正すのが まつりごとでございます 237 00:20:51,428 --> 00:20:56,566 天子に道を説き おのが道を進まんとする曹操 238 00:20:56,566 --> 00:21:02,372 その覇業の先に立ちはだかるは かつての盟友 袁紹 239 00:21:02,372 --> 00:21:07,572 今 決戦の時は 刻一刻と近づいている 240 00:25:25,935 --> 00:25:31,708 曹操誅殺の密勅を反故にし 逃れるように許都を離れた劉備は 241 00:25:31,708 --> 00:25:35,078 徐州の下ひ城に向かっていた 242 00:25:35,078 --> 00:25:37,981 お… ヒヒ… 243 00:25:37,981 --> 00:25:42,485 下ひ城 そこは曹操と呂布の 最終決戦地であり 244 00:25:42,485 --> 00:25:47,757 劉備たちが民を引き連れ 曹操に投降した地でもある 245 00:25:47,757 --> 00:25:52,695 突然の訪問を受けた民たちは 劉備のもとに集まってきた 246 00:25:52,695 --> 00:25:55,498 しかし 劉備は曹操の命を受けた 247 00:25:55,498 --> 00:25:59,235 徐州刺使・車冑に 捕らえられようとしていた 248 00:25:59,235 --> 00:26:02,505 うりゃあ! 249 00:26:02,505 --> 00:26:07,043 うしっ ああ… 250 00:26:07,043 --> 00:26:09,543 うおりゃあ! 251 00:26:12,849 --> 00:26:18,449 まさに 曹操と劉備が 永遠に袂を分かつ瞬間であった 252 00:26:26,896 --> 00:26:30,666 劉備は車冑を殺し 下ひ城に入った 253 00:26:30,666 --> 00:26:33,136 しかも 勅を持ったままだぞ 254 00:26:33,136 --> 00:26:35,838 下ひ城には 1000の兵しか出せない 255 00:26:35,838 --> 00:26:38,641 これ以上出せば 袁紹に背後を突かれてしまう 256 00:26:38,641 --> 00:26:41,544 しかし 劉備を叩くのは 早いほどいい 257 00:26:41,544 --> 00:26:43,846 あの男 やはり難物です 258 00:26:43,846 --> 00:26:46,849 だから 劉備を野に放つのは 反対だったのだ 259 00:26:46,849 --> 00:26:50,520 聞いておりませんよ いつ進言なされたのですか? 260 00:26:50,520 --> 00:26:52,920 座が暗いな 261 00:27:03,399 --> 00:27:06,302 暗くさせる原因を作ったのは 殿です 262 00:27:06,302 --> 00:27:10,473 劉備に対する甘やかし 過分な待遇が背景にござる 263 00:27:10,473 --> 00:27:12,475 初めから 劉備が人の下に 落ち着く男では 264 00:27:12,475 --> 00:27:15,175 ない事は分かっておりました はっ 265 00:27:17,246 --> 00:27:20,283 殿 なんと… すまん 266 00:27:20,283 --> 00:27:23,453 お前を見つけた時と 同じなんだ 郭嘉 267 00:27:23,453 --> 00:27:26,355 稀に珍しい光を放つ原石を 見つけると 268 00:27:26,355 --> 00:27:28,357 すぐに それを磨いてみたくなる 269 00:27:28,357 --> 00:27:31,160 黄河の南岸 白馬津において 270 00:27:31,160 --> 00:27:34,063 袁紹と我が軍の にらみ合いが続いています 271 00:27:34,063 --> 00:27:36,365 劉備は袁紹と盟を結べば 272 00:27:36,365 --> 00:27:40,036 天下の形勢は一気に 袁紹に傾きます 273 00:27:40,036 --> 00:27:43,436 郭嘉 お前は激している時が 最高だ 274 00:27:46,609 --> 00:27:48,544 で 教えてくれ 275 00:27:48,544 --> 00:27:51,481 お前もまた 劉備が持つ勅が 276 00:27:51,481 --> 00:27:54,350 袁紹の手に渡るのを 案じているのか? 277 00:27:54,350 --> 00:27:57,687 そ… それは… 無論 278 00:27:57,687 --> 00:28:02,558 どうした?郭嘉 なぜ先を読まん この手が邪魔か? 279 00:28:02,558 --> 00:28:07,797 面白いな 言葉は発した者の 体から離れて飛んでいくが 280 00:28:07,797 --> 00:28:11,734 肩に触っただけで止まりもする 281 00:28:11,734 --> 00:28:15,972 勅というものは 天子から 切り離されて飛び出してゆけば 282 00:28:15,972 --> 00:28:18,272 ただの言葉になる 283 00:28:21,777 --> 00:28:25,414 劉備の持つ勅に天子の意志が 乗り続けなければ 284 00:28:25,414 --> 00:28:28,217 じきに意味を失う 285 00:28:28,217 --> 00:28:32,588 袁紹が ただの言葉となった勅を 戦の大義とするならば 286 00:28:32,588 --> 00:28:34,524 これからの戦いはおそらく 287 00:28:34,524 --> 00:28:38,394 面白味のないものに なってしまおう 288 00:28:38,394 --> 00:28:40,630 天子から別の勅をいただき 289 00:28:40,630 --> 00:28:44,030 袁紹に献上してやるのは いかがだ?郭嘉君 290 00:28:59,682 --> 00:29:04,187 翌日 曹操は四天王と許ちょら わずかな手勢を引き連れ 291 00:29:04,187 --> 00:29:06,387 白馬津に向かった 292 00:29:10,459 --> 00:29:14,964 戦う者の勝敗を必ず分かつ水面 293 00:29:14,964 --> 00:29:18,864 今や黄河だけが 俺と袁紹をとどめている 294 00:29:20,770 --> 00:29:24,540 おい曹操 船遊びに なぜ馬を積んで行く 295 00:29:24,540 --> 00:29:28,311 まさか 対岸に上陸しようと いうんじゃあるまいな 296 00:29:28,311 --> 00:29:30,880 大河は両岸より見るべし 297 00:29:30,880 --> 00:29:34,483 対岸のすぐ先は黎陽 袁紹の一大拠点だ 298 00:29:34,483 --> 00:29:38,020 敵の先陣の中に この6騎で上がるつもりか 299 00:29:38,020 --> 00:29:41,657 上がるだけではない その黎陽を攻撃する 300 00:29:41,657 --> 00:29:43,657 ええー! 301 00:29:51,834 --> 00:29:55,171 ヘヘヘッ ハッハ… ハッ 302 00:29:55,171 --> 00:29:59,542 お… お… おい ありゃ敵か? 303 00:29:59,542 --> 00:30:02,942 たった4艘で攻めてくる敵が あるもんか 304 00:30:07,850 --> 00:30:10,753 おいおい えれえ立派な 御仁じゃねえか 305 00:30:10,753 --> 00:30:12,688 みんな将軍っちゅう感じだな 306 00:30:12,688 --> 00:30:14,690 おい ひょっとして 閲兵じゃねえのか 307 00:30:14,690 --> 00:30:18,127 それじゃあ 粗相ができねえな 308 00:30:18,127 --> 00:30:23,032 ご苦労 粉骨砕身 先陣の防備に尽くすがよい! 309 00:30:23,032 --> 00:30:25,032 ははー 310 00:30:43,286 --> 00:30:46,789 曹操 天下の覇を競うように なっても 311 00:30:46,789 --> 00:30:49,992 どこか 遊びのように楽しまないと気が済まんのか 312 00:30:49,992 --> 00:30:52,728 しかし 敵も兵卒ばかりじゃない 313 00:30:52,728 --> 00:30:54,664 面が割れた時にどうなさる 314 00:30:54,664 --> 00:30:58,901 その時のために お前たちを 連れて来たのだ 315 00:30:58,901 --> 00:31:00,901 では 行くぞ 316 00:31:06,175 --> 00:31:09,045 おい どうした? ああー! 317 00:31:09,045 --> 00:31:11,047 あの眼帯の男 318 00:31:11,047 --> 00:31:14,317 あれは 確か夏侯惇じゃねえか 何? 319 00:31:14,317 --> 00:31:18,821 ってことは あの先頭は… 曹操! 320 00:31:18,821 --> 00:31:22,591 おお 間違いねえ 昔 洛陽で曹操を見た 321 00:31:22,591 --> 00:31:27,430 あいつだ あれは曹操だ 曹操だぞ! 322 00:31:27,430 --> 00:31:29,365 もうバレちまったか 323 00:31:29,365 --> 00:31:33,369 夏侯惇 お前を連れて来た ばかりに 見つかってしまったぞ 324 00:31:33,369 --> 00:31:36,138 ずいぶん天下を狭く使っているな ああ? 325 00:31:36,138 --> 00:31:39,375 はっ! あれだけ悪名を垂れ流しておいて 326 00:31:39,375 --> 00:31:41,310 今さら何をほざくか 327 00:31:41,310 --> 00:31:45,010 曹操 そのセリフは そのまま返すからな 328 00:31:55,791 --> 00:31:58,728 おお! 329 00:31:58,728 --> 00:32:02,865 顔良将軍 て… 敵らしき奴らが こちらに向かってきます 330 00:32:02,865 --> 00:32:04,800 ほう 数は? 331 00:32:04,800 --> 00:32:08,003 わずか6騎ですが 曹操らしき奴が率いております 332 00:32:08,003 --> 00:32:10,503 何じゃ 「らしき らしき」などと 333 00:32:12,575 --> 00:32:17,075 なんと なんと なんとお! 本物の曹操じゃあ 334 00:32:19,348 --> 00:32:21,851 曹操が宣戦を布告する 335 00:32:21,851 --> 00:32:25,588 一言一句違えず 袁紹に申し伝えい 336 00:32:25,588 --> 00:32:29,091 この戦にて袁紹は この曹操に からかい尽くされた後 337 00:32:29,091 --> 00:32:31,026 必ずや死に至るとな 338 00:32:31,026 --> 00:32:33,729 何じゃとお! よいか? 339 00:32:33,729 --> 00:32:36,529 一言一句 違えて伝えるでないぞ 340 00:32:40,169 --> 00:32:43,969 魔天を開けたぞ 帰途を遮る者は皆殺しにせい! 341 00:32:45,975 --> 00:32:51,781 これが 曹操・袁紹が覇を競う 官渡の戦いの前兆であった 342 00:32:51,781 --> 00:32:56,585 この袁紹をからかい尽くした後 死に至らしめるだと! 343 00:32:56,585 --> 00:33:02,291 ぬう… 344 00:33:02,291 --> 00:33:05,995 ぬう… ああ… 345 00:33:05,995 --> 00:33:08,397 よくぞ伝えてくれたな 顔良 346 00:33:08,397 --> 00:33:11,233 口も腐る思いで お伝え申しました 347 00:33:11,233 --> 00:33:15,771 願わくば この顔良に 先陣の命を直ちに下さりますよう 348 00:33:15,771 --> 00:33:20,376 その前に名案がございます 349 00:33:20,376 --> 00:33:22,778 むっ 350 00:33:22,778 --> 00:33:24,778 ち… 陳琳 351 00:33:27,616 --> 00:33:31,487 殿が望んでおられるのは 圧倒的な勝利 352 00:33:31,487 --> 00:33:34,487 ことごとく勝つという事でしょう 353 00:33:40,095 --> 00:33:42,965 からかいの言葉には 言葉で勝つ 354 00:33:42,965 --> 00:33:46,268 宣戦布告を宣戦誣告と 変じさせて 355 00:33:46,268 --> 00:33:48,468 曹操を負かしてやりましょう 356 00:33:50,539 --> 00:33:54,310 はあっは よくぞ申した 陳琳 357 00:33:54,310 --> 00:33:59,048 あの唯我独尊の曹操の脳天を 言葉でぶち切ってやれい 358 00:33:59,048 --> 00:34:02,551 天に向かって高らかに 書き綴るがよいぞ! 359 00:34:02,551 --> 00:34:06,351 はっはっははは うわっはっはっは 360 00:34:13,295 --> 00:34:17,967 この文が あちこちに バラまかれたのか 361 00:34:17,967 --> 00:34:21,770 亡き祖父や父の 誹謗中傷に始まり 362 00:34:21,770 --> 00:34:25,107 この曹操の半生をここまで おとしめ蔑み 363 00:34:25,107 --> 00:34:29,745 愚弄するか! 364 00:34:29,745 --> 00:34:34,250 この文言を記した者を 目の前に引っ立てい! 365 00:34:34,250 --> 00:34:39,722 と申されますと これを記した 袁紹をでございますか? 366 00:34:39,722 --> 00:34:45,194 この麗しき文言 この美しき配列 韻律 音調 367 00:34:45,194 --> 00:34:49,598 苛烈な行間に潜む 才能 洒脱 品格 368 00:34:49,598 --> 00:34:51,634 言葉というのは学べるようでいて 369 00:34:51,634 --> 00:34:54,436 才なき者には 永遠に身につかぬのだ 370 00:34:54,436 --> 00:34:57,773 この言葉は袁紹とは 何の関係もない 371 00:34:57,773 --> 00:35:03,445 この才人の筆で宣戦布告が 受け止められた事は 実に喜ばしい 372 00:35:03,445 --> 00:35:08,284 と… 殿!あっ… み… 皆様方 何だ! 373 00:35:08,284 --> 00:35:12,154 か… かか… 賈くと張繍の軍が 降ってまいりました 374 00:35:12,154 --> 00:35:15,057 な… 何? 375 00:35:15,057 --> 00:35:17,857 いよいよ 戦が動き始めたな 376 00:35:24,333 --> 00:35:27,069 ふんっ 張繍に賈くめ 377 00:35:27,069 --> 00:35:29,572 のこのこ くびり殺されに 来おったか 378 00:35:29,572 --> 00:35:32,107 こいつらだけは 八つ裂きでも足りんくらいだ 379 00:35:32,107 --> 00:35:35,978 おのれら 殿の嫡子・曹昂殿を 殺した事を 380 00:35:35,978 --> 00:35:38,778 忘れてるわけではあるまいな 381 00:35:40,816 --> 00:35:43,619 え… 怨嗟が とぐろを巻いておるぞ 382 00:35:43,619 --> 00:35:47,156 か… 賈くよ 本当に大丈夫なんだろうな 383 00:35:47,156 --> 00:35:50,159 張繍殿 曹操軍に降る機会は 384 00:35:50,159 --> 00:35:52,728 今を置いてござらんのです 385 00:35:52,728 --> 00:35:56,565 我々の投降は 天下に分け目を付けるものであり 386 00:35:56,565 --> 00:36:01,537 曹操殿であれば 最大限の評価を下されるはず 387 00:36:01,537 --> 00:36:03,537 か… 賈く 388 00:36:07,209 --> 00:36:10,079 なぜ これを俺に 389 00:36:10,079 --> 00:36:13,979 知っておろう 袁紹の発した布告文だ 390 00:36:17,186 --> 00:36:20,723 賈く この布告文を 声に出して読み上げい 391 00:36:20,723 --> 00:36:23,623 聞こえようによっては お前を殺すぞ 392 00:36:25,561 --> 00:36:28,397 智略で挑み 智略で敗れた者は 393 00:36:28,397 --> 00:36:31,667 生死をかけた戦の前 最中 戦の後まで 394 00:36:31,667 --> 00:36:35,537 敵を尊重する気持ちをはぐくみ 続けているようなものなのです 395 00:36:35,537 --> 00:36:38,273 この賈くは 自分を上回る智略に遭遇 396 00:36:38,273 --> 00:36:41,176 何を取りつくろった物言いを している 397 00:36:41,176 --> 00:36:44,713 命に従おうとするならば その文を読めい! 398 00:36:44,713 --> 00:36:48,584 曹操殿 この者は 貴公との戦を通して 399 00:36:48,584 --> 00:36:52,287 ただ純粋に貴公に 敬服しているのでございます 400 00:36:52,287 --> 00:36:54,790 どうか過去のいきさつを お許しいただき 401 00:36:54,790 --> 00:36:56,725 我が2万の騎馬軍と共に 402 00:36:56,725 --> 00:36:59,194 貴軍の端に お加えいただきますれば 403 00:36:59,194 --> 00:37:01,597 来る決戦において 死力を尽くして 404 00:37:01,597 --> 00:37:04,900 戦います事を お誓い申し上げまする 405 00:37:04,900 --> 00:37:08,103 張繍 お前の言は信じる 406 00:37:08,103 --> 00:37:13,475 曹操を上回る恐怖と出会うまで お前は 俺を裏切る事はない 407 00:37:13,475 --> 00:37:18,681 だが賈く お前は曹操を 恐れぬがゆえ ここに来ている 408 00:37:18,681 --> 00:37:23,585 天下を俺と共に担うほどの傲慢な ゆとりが お前の心中にはある 409 00:37:23,585 --> 00:37:26,388 その不敵さが ゆがんだ性根であるならば 410 00:37:26,388 --> 00:37:29,825 お前はこれを しれっとして読んだであろう 411 00:37:29,825 --> 00:37:31,760 我らの怒りをかいくぐり 412 00:37:31,760 --> 00:37:34,630 なお曹操と天下を 担おうとする不敵さと 413 00:37:34,630 --> 00:37:37,430 智略の雄大さを俺は許す 414 00:37:41,804 --> 00:37:44,904 張繍 賈く 曹操に仕えい! 415 00:37:48,210 --> 00:37:50,210 ははー! 416 00:37:56,518 --> 00:37:58,518 賈く… 417 00:38:07,162 --> 00:38:11,366 曹操は 袁紹との天下分け目の 戦いを前にして 418 00:38:11,366 --> 00:38:15,204 密かに軍を動かした 419 00:38:15,204 --> 00:38:19,007 一方 劉備は袁紹との 同盟を成立させ 420 00:38:19,007 --> 00:38:22,411 徐州を平定し 関羽に下ひ城を託し 421 00:38:22,411 --> 00:38:25,714 徐州北部 曹操の配下の軍を討つべく 422 00:38:25,714 --> 00:38:29,118 小沛城を出陣していた 423 00:38:29,118 --> 00:38:32,454 しかし 袁紹と同盟を 交わしたもんの 424 00:38:32,454 --> 00:38:34,923 オイラ一体どういう具合に 曹操と袁紹の戦に 425 00:38:34,923 --> 00:38:37,159 割り込んできゃいいんだ? 426 00:38:37,159 --> 00:38:41,597 なあ張飛 やっぱ孫子も 一巻だけじゃ足りねえかあ 427 00:38:41,597 --> 00:38:43,665 なあ張飛 うるせえな 428 00:38:43,665 --> 00:38:47,002 曹操んとこからチョロまかして きたもんに頼るんじゃねえ 429 00:38:47,002 --> 00:38:49,338 だって オメエしかいねえんだぜ 430 00:38:49,338 --> 00:38:51,573 だから頼りたくなっちゃうんだよ なあ張飛 431 00:38:51,573 --> 00:38:55,077 なあなあなあなあ うるせえんだよ俺は軍師じゃねえんだ 432 00:38:55,077 --> 00:38:57,880 うまい知恵が欲しいなら 関兄を呼びやがれ 433 00:38:57,880 --> 00:39:00,149 なら 誰が下ひ城を守んだよ 434 00:39:00,149 --> 00:39:02,651 まさか あっという間に城を 奪い取られた誰かさんに 435 00:39:02,651 --> 00:39:05,251 頼むわけにゃいかねえだろ い! 436 00:39:10,392 --> 00:39:13,962 クッソー 古い話を 引っ張り出しやがって 437 00:39:13,962 --> 00:39:17,362 劉備殿 前方に砂塵を発見 あん? 438 00:39:19,735 --> 00:39:23,005 あー あれは いつもの曹操軍の奴らだ 439 00:39:23,005 --> 00:39:25,340 チョロチョロ出て来たかと思やあ あっという間に逃げちまう 440 00:39:25,340 --> 00:39:29,077 王忠とか何とかって 曹操の下っ端だあ 441 00:39:29,077 --> 00:39:31,914 よし 今日はとことん追い詰めて ギッタンギッタンに 442 00:39:31,914 --> 00:39:35,317 してやろうじゃねえか! おうよ! 443 00:39:35,317 --> 00:39:37,586 はあ! 444 00:39:37,586 --> 00:39:40,186 行けー!ん? 445 00:39:42,791 --> 00:39:45,661 この嫌な感じは 446 00:39:45,661 --> 00:39:48,964 もしかして もしかして 曹操? 447 00:39:48,964 --> 00:39:51,764 あそこに あそこに 曹操がいるのか? 448 00:39:55,804 --> 00:39:59,608 い… いた!ほんとにいた! 449 00:39:59,608 --> 00:40:01,543 引け!引け引け! 450 00:40:01,543 --> 00:40:03,512 何言ってやがる ちょうどいいじゃねえか 451 00:40:03,512 --> 00:40:07,316 いや!だめだ だめだ 逃げるぞ!おい! 452 00:40:07,316 --> 00:40:13,088 うおー 怖え!なんで曹操が ここにいるんだ 453 00:40:13,088 --> 00:40:15,023 そうか あいつは 454 00:40:15,023 --> 00:40:18,894 袁紹と同盟を結んだオイラを 真っ先に殺しに来たんだ 455 00:40:18,894 --> 00:40:22,598 うう怖え!怖え! 456 00:40:22,598 --> 00:40:25,634 おお し… 城に火の手が! 457 00:40:25,634 --> 00:40:29,034 ぐわっ! 小沛城にも戻れねえ 458 00:40:31,907 --> 00:40:34,810 これが 曹操に背くって事だ 459 00:40:34,810 --> 00:40:36,778 何のゆとりも与えてくれねえ 460 00:40:36,778 --> 00:40:40,249 これが 覇をかけて曹操と 敵対するってことだあ 461 00:40:40,249 --> 00:40:42,184 怖え! 462 00:40:42,184 --> 00:40:46,054 張飛 青州に入り 冀州に向かうぞ! 463 00:40:46,054 --> 00:40:49,458 何だとお?関兄や劉冀は どうすんだあ? 464 00:40:49,458 --> 00:40:54,730 あいつらなら 自分で何とかすらあ行くぞお! 465 00:40:54,730 --> 00:40:57,332 劉備はまたしても逃走した 466 00:40:57,332 --> 00:41:00,235 小沛城には 自らの家族を残し 467 00:41:00,235 --> 00:41:03,435 下ひ城には 関羽を置いての 遁走であった 468 00:41:33,735 --> 00:41:35,737 劉備の息子だな 469 00:41:35,737 --> 00:41:38,573 そ… そ… そうだ 470 00:41:38,573 --> 00:41:42,411 父劉備より 乱世の処方を 教わっているか? 471 00:41:42,411 --> 00:41:45,847 当然である 主である劉備を生かすため 472 00:41:45,847 --> 00:41:50,218 まず 子が死を覚悟し 次に女が覚悟するという処方だ 473 00:41:50,218 --> 00:41:52,788 さあ 私から殺せ 474 00:41:52,788 --> 00:41:56,188 うかつな事を言うと 親子共に汚名を残すぞ 475 00:41:58,226 --> 00:42:02,064 乱世における子の死は 親とは何の関係もなく 476 00:42:02,064 --> 00:42:05,667 お前の死も 劉備とは 何の関係もない 477 00:42:05,667 --> 00:42:10,372 ただ自分一人で覚悟し 自分一人で死んでゆく 478 00:42:10,372 --> 00:42:12,572 それが乱世の死だ 479 00:42:15,077 --> 00:42:17,077 名を聞こう 480 00:42:18,947 --> 00:42:23,819 姓は劉 名は冀 字名は公徳だ 481 00:42:23,819 --> 00:42:27,055 劉冀 過酷に生きる事は 482 00:42:27,055 --> 00:42:29,455 過酷に死せるより 何倍も力が要るぞ 483 00:42:31,526 --> 00:42:33,826 俺と共に来い 劉冀 484 00:42:36,331 --> 00:42:38,734 礼を言うぞ 曹操 485 00:42:38,734 --> 00:42:41,534 ここはひとまず お前に 降ることにする 486 00:42:49,444 --> 00:42:52,280 一方 下ひ城の関羽は 487 00:42:52,280 --> 00:42:55,780 曹操を迎え撃つべく 陣を整えていた 488 00:42:57,786 --> 00:43:01,423 敵軍です 曹操が現れました 489 00:43:01,423 --> 00:43:06,028 よいか 合図をしたら 真一文字に俺を追ってこい 490 00:43:06,028 --> 00:43:09,231 それまでは 一歩たりとも 城門を出るでないぞ 491 00:43:09,231 --> 00:43:11,166 御意! 492 00:43:11,166 --> 00:43:13,166 開門! 493 00:43:23,745 --> 00:43:28,345 探すまでもなく 軍のど真ん中に曹操が 494 00:43:36,058 --> 00:43:38,326 曹操殿に お尋ね申す 495 00:43:38,326 --> 00:43:41,526 我が兄者 劉備の生死やいかに 496 00:43:44,599 --> 00:43:48,470 関羽 俺の目的はお前だ 497 00:43:48,470 --> 00:43:51,907 お前の兄劉備は この曹操の影を見るや 498 00:43:51,907 --> 00:43:54,207 すべてを放り出し 遁走したぞ 499 00:43:57,546 --> 00:44:00,148 ならば 存分に戦える 500 00:44:00,148 --> 00:44:03,051 俺が目的と言ったな 曹操 501 00:44:03,051 --> 00:44:05,420 我が兄者 劉備が無事ならば 502 00:44:05,420 --> 00:44:08,824 この侠の命 ここで果てようと悔いはない 503 00:44:08,824 --> 00:44:10,924 いざ戦おうぞ 504 00:44:14,196 --> 00:44:16,196 うん? 505 00:44:21,937 --> 00:44:23,872 劉冀! 506 00:44:23,872 --> 00:44:27,109 乱世の死は 己のみの死 507 00:44:27,109 --> 00:44:31,947 だけど 私が戦えと言えば 関羽殿は戦い ここで死ぬ 508 00:44:31,947 --> 00:44:38,420 関羽 俺の狙いは侠の命ではなく お前自身 509 00:44:38,420 --> 00:44:40,388 お前の本質は理であり 510 00:44:40,388 --> 00:44:44,126 その行動考えは 実に 理路整然としたものである 511 00:44:44,126 --> 00:44:46,361 うん 佞言 512 00:44:46,361 --> 00:44:49,331 佞言にあらず お前は天下の才 513 00:44:49,331 --> 00:44:51,333 天下の度量を持ちながら 514 00:44:51,333 --> 00:44:54,936 自らの器を 侠という曖昧な規範に閉じ込め 515 00:44:54,936 --> 00:44:56,938 そこに安住しているのだ 516 00:44:56,938 --> 00:45:01,638 関羽 お前の才は この曹操の下 民のために使え! 517 00:45:04,012 --> 00:45:06,848 読めたぞ 曹操 518 00:45:06,848 --> 00:45:09,084 あの時 俺たちを生かし 519 00:45:09,084 --> 00:45:12,284 逃亡を許したのは このためであったか 520 00:45:14,389 --> 00:45:18,989 関羽 侠の武に任せ ここで果てるのか 521 00:45:24,633 --> 00:45:29,933 兄者は 息子劉冀を残す事により 我が命を長らえさせたか… 522 00:45:31,973 --> 00:45:34,809 曹操殿 あんたに降ろう 523 00:45:34,809 --> 00:45:36,745 ならば よし 524 00:45:36,745 --> 00:45:41,416 天下の才を持つ者は 天下に対して責を持つのだ 525 00:45:41,416 --> 00:45:43,418 あんたに降った身だ 526 00:45:43,418 --> 00:45:47,088 この命 好きに使われるがよい 527 00:45:47,088 --> 00:45:52,060 かくして 劉備の右腕関羽を 掌中に収めた曹操は 528 00:45:52,060 --> 00:45:56,160 いよいよ袁紹との決戦の場へと 突き進んでいく