1 00:01:53,789 --> 00:01:57,292 (ミスリル)なぁなぁなぁ シャル・フェン・シャル。 2 00:01:57,292 --> 00:02:01,230 お前って 女の子は きちんと 髪を結んでるほうが好きか? 3 00:02:01,230 --> 00:02:04,733 それとも 結んでないほうが好きか? 4 00:02:04,733 --> 00:02:07,569 (シャル)フゥ。 おい! シャル・フェン・シャル! 5 00:02:07,569 --> 00:02:10,739 なんでもいいから なんとか言え! やかましい。 6 00:02:10,739 --> 00:02:15,077 何? なんでもいいとは言ったが なんでもはよくない! 7 00:02:15,077 --> 00:02:18,080 真面目に答えろ! そんなバカバカしい質問に 8 00:02:18,080 --> 00:02:20,082 真面目に答える義務はない。 ぐぅ~。 9 00:02:20,082 --> 00:02:23,752 (アン)2人とも 見て! 久しぶりのルイストンよ! 10 00:02:23,752 --> 00:02:28,090 思い出すな 1年前のこと。 11 00:02:28,090 --> 00:02:31,760 品評会に出て フィラックスへ行って…。 12 00:02:31,760 --> 00:02:35,760 プル・ソウル・デイにママの魂を送って…。 13 00:02:39,268 --> 00:02:42,271 どうした? かかし。 えっ? 14 00:02:42,271 --> 00:02:46,108 熱でもあるのか? なっ! なんでもない。 15 00:02:46,108 --> 00:02:49,778 《相変わらず シャルは かかし呼ばわり。 16 00:02:49,778 --> 00:02:52,948 前より ちょっとは優しいけど…。 17 00:02:52,948 --> 00:02:58,948 でも 今は そばにいてくれるだけでいい》 18 00:03:00,889 --> 00:03:04,893 あっ… あぁ~! 19 00:03:04,893 --> 00:03:08,397 (キャット)どこ見て 馬歩かせてやがる! このトンマ! 20 00:03:08,397 --> 00:03:10,399 ん? あっ! 21 00:03:10,399 --> 00:03:12,734 キャットさんに ベンジャミン? 22 00:03:12,734 --> 00:03:16,405 さんづけするんじゃねえって 教えてやったのを忘れたか? 23 00:03:16,405 --> 00:03:19,241 この鶏頭! す… すみません。 24 00:03:19,241 --> 00:03:23,745 ったく 1年ぶりに再会して これがテメエの挨拶か? 25 00:03:23,745 --> 00:03:25,747 (ベンジャミン)久しぶり~。 26 00:03:25,747 --> 00:03:29,751 寒さに弱いネコが どうして 秋のルイストンをうろついてる? 27 00:03:29,751 --> 00:03:32,921 冬眠の準備か? キャットさん。 28 00:03:32,921 --> 00:03:35,424 シャル! テメエ! 29 00:03:35,424 --> 00:03:38,760 でも 本当に どうしてルイストンにいるんですか? 30 00:03:38,760 --> 00:03:40,762 何か用事でも? 31 00:03:40,762 --> 00:03:43,765 何言ってやがる! 今年は特別だ。 32 00:03:43,765 --> 00:03:47,102 今来なきゃ 来年の商売ができねえだろうが。 33 00:03:47,102 --> 00:03:49,104 え? 34 00:03:49,104 --> 00:03:51,607 もしかして 知らねえのか? 35 00:03:51,607 --> 00:03:54,109 何をですか? ハァー。 36 00:03:54,109 --> 00:03:58,947 まったく どいつもこいつも ケツの穴のちいせぇことしやがるぜ。 37 00:03:58,947 --> 00:04:02,718 なじみの店がある。 ついてきな。 38 00:04:02,718 --> 00:04:07,389 あら 久しぶり! アンタたちが知り合いだったとはね。 39 00:04:07,389 --> 00:04:11,226 こう見えて面倒見がいいんだよ。 40 00:04:11,226 --> 00:04:15,063 それで? この1年 お嬢ちゃんはどうしてたんだい? 41 00:04:15,063 --> 00:04:17,900 仕事は順調かい? はい。 42 00:04:17,900 --> 00:04:22,237 ルイストンで冬を越したあと 小さな町や村を回って 43 00:04:22,237 --> 00:04:24,907 砂糖菓子を売ってました。 44 00:04:24,907 --> 00:04:27,743 そうかい 頑張ったんだね。 45 00:04:27,743 --> 00:04:30,078 戻ってきたのは 品評会に出るためかい? 46 00:04:30,078 --> 00:04:32,748 はい。 そういう季節だもんね。 47 00:04:32,748 --> 00:04:35,751 おかみさん! 今行くよ! 48 00:04:35,751 --> 00:04:38,086 はぁう~。 49 00:04:38,086 --> 00:04:41,757 あの キャット それで… うっ。 50 00:04:41,757 --> 00:04:45,594 去年の冬から こっち いろいろ回ってきたんだよな? 51 00:04:45,594 --> 00:04:48,597 その間に 砂糖林檎の木を見ただろ? 52 00:04:48,597 --> 00:04:51,397 何か気付かなかったか? 53 00:04:53,769 --> 00:04:55,771 行くさきざき 54 00:04:55,771 --> 00:04:59,274 どの砂糖林檎の木も 花のつき具合が悪かったです。 55 00:04:59,274 --> 00:05:04,212 今年の収穫量は かなり減るんじゃないかって。 56 00:05:04,212 --> 00:05:06,715 そうだ。 今年は信じられねえくらい 57 00:05:06,715 --> 00:05:08,717 砂糖林檎の実りが悪い。 58 00:05:08,717 --> 00:05:11,720 例年どおり それぞれが 勝手に収穫しましょう 59 00:05:11,720 --> 00:05:15,891 なんてしちまったら 派閥間で抗争が起きるくらいにな。 60 00:05:15,891 --> 00:05:18,226 そこで混乱を避けるために 61 00:05:18,226 --> 00:05:21,229 あのボケなす野郎が 取り決めをしたんだ。 62 00:05:21,229 --> 00:05:23,398 ボケなす? ヒュー・マーキュリー! 63 00:05:23,398 --> 00:05:27,903 銀砂糖子爵のボケなす野郎だ。 あぁ そうでしたね。 64 00:05:27,903 --> 00:05:30,072 それで 取り決めって? 65 00:05:30,072 --> 00:05:36,244 今年の砂糖林檎の収穫と精製を 個人で行うことを禁止する。 66 00:05:36,244 --> 00:05:39,247 禁止って…。 67 00:05:39,247 --> 00:05:42,417 (キャット)今年 王国全土の 砂糖林檎はすべて 68 00:05:42,417 --> 00:05:46,421 銀砂糖子爵の名のもとに 収穫され 精製される。 69 00:05:46,421 --> 00:05:49,758 作業に携わった 砂糖菓子職人だけに 70 00:05:49,758 --> 00:05:53,929 その労働に見合った銀砂糖を 分配する とのお達しだ。 71 00:05:53,929 --> 00:05:56,431 (アン)なら 銀砂糖を確保するには 72 00:05:56,431 --> 00:05:58,934 ヒューにお願いしなくちゃ ならないんですか? 73 00:05:58,934 --> 00:06:02,871 そんな単純な話じゃねえ。 決めたのはアイツだが 74 00:06:02,871 --> 00:06:07,771 この仕事を一手に取りしきるのは ラドクリフ派だ。 75 00:06:09,711 --> 00:06:13,215 すでに 王国各地にある ラドクリフ派の工房に 76 00:06:13,215 --> 00:06:16,885 それぞれ近隣で収穫された 砂糖林檎が集められてる。 77 00:06:16,885 --> 00:06:20,722 ペイジ派や マーキュリー派も それらの工房に集まり 78 00:06:20,722 --> 00:06:22,724 精製作業を手伝う。 79 00:06:22,724 --> 00:06:25,727 他に銀砂糖を 手に入れる方法はない。 80 00:06:25,727 --> 00:06:30,232 でも 私は そんな話 聞いてなかった。 81 00:06:30,232 --> 00:06:34,236 みてぇだな。 あのボケなす野郎の指示で 82 00:06:34,236 --> 00:06:38,073 俺やお前みたいな根なし草にも ラドクリフ派の職人が 83 00:06:38,073 --> 00:06:40,242 知らせに行く手はずに なっていたはずだ。 84 00:06:40,242 --> 00:06:43,412 わざと知らせなかったな。 85 00:06:43,412 --> 00:06:47,416 コイツは 行くさきざきで ヤツらから嫌がらせを受けた。 86 00:06:47,416 --> 00:06:50,752 出て行けと言われたことも 一度や二度じゃない。 87 00:06:50,752 --> 00:06:55,424 ハァー。 だから ケツの穴が ちいせぇって言ったんだよ。 88 00:06:55,424 --> 00:06:59,094 俺の耳にも 前フィラックス公の砂糖菓子を作った 89 00:06:59,094 --> 00:07:03,198 アン・ハルフォードのうわさは届いてた。 妬まれても不思議はねえ。 90 00:07:03,198 --> 00:07:06,868 要するに お前は のけ者にされてんだよ。 91 00:07:06,868 --> 00:07:11,707 あの キャット 砂糖菓子品評会に 参加したい場合は 92 00:07:11,707 --> 00:07:14,543 どうすればいいんですか? そうだよ! 93 00:07:14,543 --> 00:07:17,713 参加者は自分で精製した銀砂糖が 必要なんだろ? 94 00:07:17,713 --> 00:07:19,881 それがないと参加できないって! 95 00:07:19,881 --> 00:07:24,386 そのことも伝わってねえよな 当然。 96 00:07:24,386 --> 00:07:27,222 品評会への参加希望者は 97 00:07:27,222 --> 00:07:31,393 ラドクリフ派の本工房に 一時的に寄宿する決まりだ。 98 00:07:31,393 --> 00:07:35,897 そこで砂糖林檎が分配され 自分で銀砂糖を精製し 99 00:07:35,897 --> 00:07:38,734 作品を作る手はずになってる。 100 00:07:38,734 --> 00:07:42,738 でもそれは 共同の精製作業を 手伝いながらが条件だ。 101 00:07:42,738 --> 00:07:44,906 時間がない。 そう 102 00:07:44,906 --> 00:07:49,745 自分が作業できるのは 夜中だけ。 だから参加希望の連中は 103 00:07:49,745 --> 00:07:52,748 半月以上前から 本工房に入ってるはずだ。 104 00:07:52,748 --> 00:07:57,252 《今年こそ 祝祭にふさわしい 砂糖菓子を作って 105 00:07:57,252 --> 00:08:01,690 銀砂糖師になるって 決めてたのに。 106 00:08:01,690 --> 00:08:07,195 こんなことで 私は 立ち止まってなんかいられない》 107 00:08:07,195 --> 00:08:11,867 私 ラドクリフ派の本工房に 行かなきゃならないみたい。 108 00:08:11,867 --> 00:08:15,871 どうかな… 2人とも つきあってもらえる? 109 00:08:15,871 --> 00:08:19,708 アンが行くなら 俺は地獄の底だってついていくぞ。 110 00:08:19,708 --> 00:08:24,708 一緒に行く。 バカを放っておくと ろくなことがないからな。 111 00:08:27,716 --> 00:08:31,219 それじゃ 行くか。 案内してやる。 112 00:08:31,219 --> 00:08:33,722 けど それだけだ。 113 00:08:33,722 --> 00:08:38,059 お前も職人なら 何があっても1人で切り抜けろ。 114 00:08:38,059 --> 00:08:40,729 はい! 115 00:08:40,729 --> 00:08:44,399 それじゃあ 案内してもらおうか キャットさん。 116 00:08:44,399 --> 00:08:47,799 (キャット)だから テメエは 俺をネコさん呼びするな! 117 00:08:52,741 --> 00:08:56,912 (アン)この塀の内側全部が 本工房の敷地? 118 00:08:56,912 --> 00:08:59,112 すげぇ! 119 00:09:01,016 --> 00:09:04,519 (ジョナス)では そちらの机で サインをお願いします。 120 00:09:04,519 --> 00:09:06,855 (キャット)おい 俺も作業に参加だ。 121 00:09:06,855 --> 00:09:10,525 あっ はい。 えっと お名前は… ぐっ! 122 00:09:10,525 --> 00:09:12,527 ア… アン。 123 00:09:12,527 --> 00:09:15,697 ハァー。 ジョナス。 知り合いか? 124 00:09:15,697 --> 00:09:18,700 彼は その…。 (サミー)おい ジョナス! 125 00:09:18,700 --> 00:09:22,037 あっ! うっ。 (サミー) お待たせしちゃ失礼じゃないか! 126 00:09:22,037 --> 00:09:26,708 すみません。 俺が受付責任者のサミー・ジョーンズです。 127 00:09:26,708 --> 00:09:29,377 銀砂糖師の アルフ・ヒングリーさんですよね? 128 00:09:29,377 --> 00:09:31,379 俺 存じ上げています。 129 00:09:31,379 --> 00:09:35,383 こちらで サインだけお願いします。 部屋まで ご案内しますから。 130 00:09:35,383 --> 00:09:37,385 ベー。 (キャット)俺のことはいい。 131 00:09:37,385 --> 00:09:40,722 それより 後ろにいる もう一人を対応してやれ。 132 00:09:40,722 --> 00:09:43,225 なんだよ お前! 133 00:09:43,225 --> 00:09:46,228 私も銀砂糖の精製作業に来ました。 134 00:09:46,228 --> 00:09:50,065 それに 砂糖菓子品評会にも 参加するつもりです。 135 00:09:50,065 --> 00:09:55,904 はぁ? 女が? ハッ いるんだよな~ ろくに砂糖菓子も作れない 136 00:09:55,904 --> 00:09:58,740 自称 砂糖菓子職人ってヤツが。 137 00:09:58,740 --> 00:10:02,410 そんな女を 工房に入れるわけには いかないなぁ。 138 00:10:02,410 --> 00:10:06,915 私は砂糖菓子職人です。 ちゃんと認めてくれた人もいます。 139 00:10:06,915 --> 00:10:09,084 (サミー)誰だよ? お前の母ちゃんか? 140 00:10:09,084 --> 00:10:11,784 前フィラックス公です。 141 00:10:14,089 --> 00:10:17,425 お前がアン・ハルフォードかよ。 142 00:10:17,425 --> 00:10:21,429 聞いたぜ 去年の品評会で ジョナスをハメたんだってな。 143 00:10:21,429 --> 00:10:24,099 なっ! しかも あの銀砂糖子爵を 144 00:10:24,099 --> 00:10:26,935 たらしこんだんだって? フィラックス公にだって 145 00:10:26,935 --> 00:10:29,437 どうやって気に入られたのか わかったもんじゃない! 146 00:10:29,437 --> 00:10:32,440 何言って…。 (サミー)まぁ お前が何者であれ 147 00:10:32,440 --> 00:10:35,277 中には入れられないけどな。 どうしてよ!? 148 00:10:35,277 --> 00:10:38,947 んっ。 愛玩妖精を連れてるじゃないか。 149 00:10:38,947 --> 00:10:41,283 工房には作業に関わる人間や 150 00:10:41,283 --> 00:10:44,119 労働妖精しか入れない 規則なんだよ。 151 00:10:44,119 --> 00:10:48,290 工房で作業したけりゃ まず その妖精を売ってこいよ! 152 00:10:48,290 --> 00:10:50,792 シャルは愛玩妖精じゃ…。 規則だ! 153 00:10:50,792 --> 00:10:55,130 さぁ 帰れ 帰れ! 顔を洗って出直してこいよ! 154 00:10:55,130 --> 00:10:58,967 (キース)見苦しいマネはもうよせ サミー。 155 00:10:58,967 --> 00:11:01,569 なっ キース 俺は…。 156 00:11:01,569 --> 00:11:04,406 ラドクリフ工房の名に傷がつく。 157 00:11:04,406 --> 00:11:08,910 僕が不愉快になる前に 黙ってくれ。 158 00:11:08,910 --> 00:11:11,110 うっ。 159 00:11:13,748 --> 00:11:15,748 あなたは? 160 00:11:28,763 --> 00:11:31,266 仲間が失礼なことを言った。 161 00:11:31,266 --> 00:11:34,269 許してくれ。 162 00:11:34,269 --> 00:11:38,606 キース・パウエル。 砂糖菓子職人だ。 よろしく。 163 00:11:38,606 --> 00:11:42,777 あぁっ こちらこそ。 アン・ハルフォードです。 164 00:11:42,777 --> 00:11:47,115 よぉ パウエル。 お前がラドクリフ派に 所属していたとはな。 165 00:11:47,115 --> 00:11:50,285 お久しぶりです ヒングリーさん。 166 00:11:50,285 --> 00:11:54,122 キース あの女は 愛玩妖精を連れてるんだ。 167 00:11:54,122 --> 00:11:57,125 中には入れられない。 規則があるだろう? 168 00:11:57,125 --> 00:12:00,729 彼は愛玩妖精じゃなくて 戦士妖精よ! 169 00:12:00,729 --> 00:12:04,733 これは… すごいな。 170 00:12:04,733 --> 00:12:08,733 こんなキレイな妖精 見たことない。 171 00:12:10,739 --> 00:12:15,410 ねぇ アン。 君は この妖精を 手放したくはないんだよね? 172 00:12:15,410 --> 00:12:18,580 彼は私が使役してるんじゃないの。 173 00:12:18,580 --> 00:12:22,751 大切な友達で ただ離れたくなくて…。 174 00:12:22,751 --> 00:12:26,588 それなら 一緒に 本工房に入れる方法があるよ。 175 00:12:26,588 --> 00:12:32,260 僕は今年 砂糖菓子品評会に 参加する予定なんだけど 176 00:12:32,260 --> 00:12:35,764 彼をモデルにして 作品を作りたい。 177 00:12:35,764 --> 00:12:37,932 モデル? 178 00:12:37,932 --> 00:12:41,269 だから 必要な時に 彼を借り受けたい。 179 00:12:41,269 --> 00:12:44,773 それを了承してくれるなら 彼は入れるよ。 180 00:12:44,773 --> 00:12:48,109 借りるって 彼は私の持ち物なんかじゃ…。 181 00:12:48,109 --> 00:12:50,779 それでいい。 書類を出せ。 シャル? 182 00:12:50,779 --> 00:12:53,782 そのくらいのこと やってやる。 あっ あぁ。 183 00:12:53,782 --> 00:12:57,786 離れていたいか? 184 00:12:57,786 --> 00:12:59,788 あっ。 185 00:12:59,788 --> 00:13:03,788 あっ あぁ! あっ。 186 00:13:10,398 --> 00:13:12,398 わかったわ! 187 00:13:14,402 --> 00:13:18,239 ここが 職人たちが寝起きする寮だよ。 188 00:13:18,239 --> 00:13:20,408 一般の職人は大部屋に。 189 00:13:20,408 --> 00:13:24,412 個室は銀砂糖師 もしくは それと同等の技量だと 190 00:13:24,412 --> 00:13:28,416 工房のオサが認めた人が 使えることになってるんだ。 191 00:13:28,416 --> 00:13:31,252 アン 君の部屋はここだよ。 192 00:13:31,252 --> 00:13:33,755 えっ 私も個室…。 193 00:13:33,755 --> 00:13:37,755 女性の君を大部屋で 寝かせることはできないからね。 194 00:13:39,928 --> 00:13:44,265 僕の部屋はここだから 何かあったら声をかけて。 195 00:13:44,265 --> 00:13:47,769 ベッドだ~! ハハハハ~ ハハ…。 196 00:13:47,769 --> 00:13:50,271 ん~。 どうした? 197 00:13:50,271 --> 00:13:54,776 キースも個室なんだと思って。 実力を認められているのね。 198 00:13:54,776 --> 00:13:58,446 ジョナスのヤツは違うんだな。 偉そうなくせにさ。 199 00:13:58,446 --> 00:14:03,218 キースはキャットとも知り合いみたいだし 何者なのかしら? 200 00:14:03,218 --> 00:14:05,720 (ニワトリの鳴き声) 201 00:14:05,720 --> 00:14:07,720 うっ! 202 00:14:10,058 --> 00:14:12,727 おっとっと。 203 00:14:12,727 --> 00:14:14,729 お前はリスに似てる。 204 00:14:14,729 --> 00:14:17,899 リス? かかしより ずっと かわいいじゃない! 205 00:14:17,899 --> 00:14:22,237 落ち着きなく あちこちで 餌をあさっている姿にソックリだ。 206 00:14:22,237 --> 00:14:25,740 やっぱり そんな意味ね。 207 00:14:25,740 --> 00:14:29,244 《髪 下ろしたほうが 大人っぽいかな。 208 00:14:29,244 --> 00:14:32,247 シャルは どっちが好きなんだろう》 209 00:14:32,247 --> 00:14:34,249 ん~。 210 00:14:34,249 --> 00:14:36,251 (シャル)念力で鏡を割るつもりか? あっ! 211 00:14:36,251 --> 00:14:39,751 か… 髪形がちゃんとしてるか 見てただけよ。 212 00:14:43,424 --> 00:14:46,924 いつもどおりだ。 問題ない。 213 00:14:49,264 --> 00:14:54,602 ねぇ シャル。 シャルって 髪を結んでるほうが…。 214 00:14:54,602 --> 00:14:58,106 髪を? 215 00:14:58,106 --> 00:15:02,877 なんでもない! 気にしないで! じゃあ 行ってくる! 216 00:15:02,877 --> 00:15:05,377 (ドアの開閉音) 217 00:15:07,382 --> 00:15:10,552 これじゃ ミスリル・リッド・ポッドと同じね。 218 00:15:10,552 --> 00:15:13,721 今日から張り切って作業しないと。 219 00:15:13,721 --> 00:15:15,721 よし! 220 00:15:20,395 --> 00:15:22,397 アン おはよう。 221 00:15:22,397 --> 00:15:25,567 おはよう キース。 あなたもこれから作業? 222 00:15:25,567 --> 00:15:27,569 僕は今日 非番だよ。 223 00:15:27,569 --> 00:15:30,738 7日に一度 順番に休みがもらえるんだ。 224 00:15:30,738 --> 00:15:33,241 それで シャルを借りたいと思って。 225 00:15:33,241 --> 00:15:37,245 キース。 シャルは貸したり 借りたりするんじゃないのよ。 226 00:15:37,245 --> 00:15:40,915 そうか シャルはアンの大切な友達だったね。 227 00:15:40,915 --> 00:15:42,917 ごめん イヤな言い方をした。 228 00:15:42,917 --> 00:15:46,087 ううん。 それよりキース 昨日はありがとう。 229 00:15:46,087 --> 00:15:50,925 本当に助かった。 でも どうして そんなに親切にしてくれるの? 230 00:15:50,925 --> 00:15:54,762 アンは前フィラックス公にも認められた 職人じゃないか。 231 00:15:54,762 --> 00:15:57,432 意地悪する理由なんてないよ。 232 00:15:57,432 --> 00:16:01,869 それに 君と僕 境遇が似てるから。 233 00:16:01,869 --> 00:16:04,038 境遇が? 234 00:16:04,038 --> 00:16:08,209 アン 君のお母さんは エマ・ハルフォードだよね? 235 00:16:08,209 --> 00:16:10,878 知ってるの? 236 00:16:10,878 --> 00:16:14,382 僕が まだ4つか5つの時かな。 237 00:16:14,382 --> 00:16:17,218 ハルフォードさんに会ったんだ。 238 00:16:17,218 --> 00:16:23,224 女性の銀砂糖師がいるんだって ビックリした。 239 00:16:23,224 --> 00:16:26,728 ママと会って…。 240 00:16:26,728 --> 00:16:29,897 僕の父は エドワード・パウエル。 241 00:16:29,897 --> 00:16:33,568 君のお母さんと同じ 銀砂糖師なんだ。 242 00:16:33,568 --> 00:16:39,574 エドワード・パウエル? あっ 前銀砂糖子爵の? 243 00:16:39,574 --> 00:16:44,412 そうだよ。 だから銀砂糖師と 知り合う機会が多くてね。 244 00:16:44,412 --> 00:16:48,750 ヒングリーさんとも それで。 ママが言ってた。 245 00:16:48,750 --> 00:16:53,254 任期20年を超えた すばらしい銀砂糖子爵だったって。 246 00:16:53,254 --> 00:16:58,426 その… たしか ママが亡くなる半年ほど前に…。 247 00:16:58,426 --> 00:17:01,195 うん 病気で死んだ。 248 00:17:01,195 --> 00:17:04,866 でも すばらしいかどうか 僕には わからないな。 249 00:17:04,866 --> 00:17:07,368 父が銀砂糖子爵だったとき 250 00:17:07,368 --> 00:17:11,205 今年と同じような 砂糖林檎の凶作の年があってね。 251 00:17:11,205 --> 00:17:14,208 その時は だいぶ混乱したらしくて 252 00:17:14,208 --> 00:17:16,210 父は そのことを ずっと悔やんでた。 253 00:17:16,210 --> 00:17:19,714 そういえば お父様って ペイジ派の出身よね? 254 00:17:19,714 --> 00:17:24,052 どうしてキースはラドクリフ派に? ペイジ工房に入ったら 255 00:17:24,052 --> 00:17:27,555 パウエルの息子だって 特別扱いされるだろう? 256 00:17:27,555 --> 00:17:29,724 それが イヤだったんだ。 257 00:17:29,724 --> 00:17:33,895 ここなら僕も いち職人として扱ってもらえる 258 00:17:33,895 --> 00:17:38,232 そう思ったんだけど あんまり変わらないかな。 259 00:17:38,232 --> 00:17:42,737 僕は父を尊敬していたけど 窮屈でもあったんだ。 260 00:17:42,737 --> 00:17:46,240 父が生きていたときは 品評会にも出られなかったしね。 261 00:17:46,240 --> 00:17:48,242 どうして? 262 00:17:48,242 --> 00:17:50,745 だって 王家勲章を取ってしまったら 263 00:17:50,745 --> 00:17:54,749 口さがない連中は言うはずだ。 銀砂糖子爵の息子だから 264 00:17:54,749 --> 00:17:57,919 王家の覚えが めでたかったってね。 265 00:17:57,919 --> 00:18:02,523 逆に取れなくても 銀砂糖子爵の息子のくせにって。 266 00:18:02,523 --> 00:18:06,027 父の名誉のために 参加できなかった。 267 00:18:06,027 --> 00:18:09,030 けど それも去年までのことだ。 268 00:18:09,030 --> 00:18:15,370 喪が明けた今年 僕は 品評会に参加することができる。 269 00:18:15,370 --> 00:18:19,207 それで 今日はこれから 作品を作ろうと思って。 270 00:18:19,207 --> 00:18:21,209 シャルは部屋かな? 271 00:18:21,209 --> 00:18:25,713 あっ うん。 声をかければ 協力してくれると思う。 272 00:18:25,713 --> 00:18:29,713 わかった。 じゃあ アン 頑張ってね。 273 00:18:31,719 --> 00:18:36,224 《キースは どんな境遇も乗り越えて 前に進んでる。 274 00:18:36,224 --> 00:18:39,727 私も… 負けてられない!》 275 00:18:39,727 --> 00:18:42,227 (ドアが閉まる音) 276 00:18:45,400 --> 00:18:47,568 朝早くから 悪いね。 277 00:18:47,568 --> 00:18:50,738 約束したからな。 なんでもしてやる。 278 00:18:50,738 --> 00:18:54,075 逆立ちでもするか? それとも服でも脱ぐか? 279 00:18:54,075 --> 00:18:57,078 さっさと命じろ 坊や。 280 00:18:57,078 --> 00:19:00,681 君と僕 あまり違わない年に見えるけど。 281 00:19:00,681 --> 00:19:04,685 君は そこの窓辺に立ってて。 それだけでいいよ。 282 00:19:04,685 --> 00:19:08,689 雰囲気と容姿を 詳しく見たいだけだから。 フゥー。 283 00:19:08,689 --> 00:19:10,691 アンは大変だね。 284 00:19:10,691 --> 00:19:14,695 僕たちはもう 品評会用の 銀砂糖の精製は終わってるんだ。 285 00:19:14,695 --> 00:19:17,365 出遅れた彼女は これからだよね。 286 00:19:17,365 --> 00:19:20,701 お前のお仲間が アイツに今年の特殊な事情を 287 00:19:20,701 --> 00:19:23,704 伝えなかったおかげだ。 うれしいか? 288 00:19:23,704 --> 00:19:29,710 伝わってなかった? まったく どいつもこいつも…。 289 00:19:29,710 --> 00:19:32,380 ひきょうなマネは見苦しい。 290 00:19:32,380 --> 00:19:39,387 僕はイヤだ。 でも アンが今年の 品評会に出てくれてよかった。 291 00:19:39,387 --> 00:19:45,059 ここに集まっている職人たちじゃ 僕の競争相手にはならないからね。 292 00:19:45,059 --> 00:19:48,563 今年の王家勲章は サミーだってうわさもあるけど 293 00:19:48,563 --> 00:19:52,066 僕に言わせれば 彼は お話にならない。 294 00:19:52,066 --> 00:19:56,404 ジョナスもいいものを作るけど 彼には決定的なものが欠けてる。 295 00:19:56,404 --> 00:19:59,907 アンが参加してくれるなら やりがいがある。 296 00:19:59,907 --> 00:20:03,411 僕は対等な相手が欲しかったから。 297 00:20:03,411 --> 00:20:10,084 それに 品評会でアンと競えるのは 今年だけだろうから。 298 00:20:10,084 --> 00:20:15,089 アンにとっては 最後のチャンスに 僕は巡り合えたわけだ。 299 00:20:15,089 --> 00:20:18,259 最後のチャンス? そうだよ。 300 00:20:18,259 --> 00:20:22,263 彼女は今年 銀砂糖師になれなければ 301 00:20:22,263 --> 00:20:26,767 永久になれないかもしれない。 302 00:20:26,767 --> 00:20:30,271 アンは目立ちすぎたんだ。 303 00:20:30,271 --> 00:20:33,774 昨年の品評会と 前フィラックス公の件で 304 00:20:33,774 --> 00:20:36,444 嫉妬の対象になってる。 305 00:20:36,444 --> 00:20:40,281 例年どおり 砂糖林檎を各自で 確保することになっていたら 306 00:20:40,281 --> 00:20:43,951 アンは絶対に妨害を受けていた。 307 00:20:43,951 --> 00:20:46,787 だから 今回は幸運だったんだ。 308 00:20:46,787 --> 00:20:50,625 共同の精製作業に参加すれば 手に入るからね。 309 00:20:50,625 --> 00:20:53,294 でも 次からは こうはいかない。 310 00:20:53,294 --> 00:20:56,464 砂糖林檎は絶対手に入らない。 311 00:20:56,464 --> 00:21:00,468 このこと アンには黙っていて。 312 00:21:00,468 --> 00:21:04,238 彼女に余計な重圧を与えたくない。 313 00:21:04,238 --> 00:21:07,738 アンとはフェアな戦いをしたいんだ。