1 00:00:06,173 --> 00:00:11,345 (羽依里)なぁ これって そんな古い船じゃないよな? 2 00:00:11,345 --> 00:00:14,014 えっ? (鴎)私➨ 3 00:00:14,014 --> 00:00:16,517 今 やっと全部 思い出したの。 4 00:00:16,517 --> 00:00:19,186 スーツケースを見つけて。 5 00:00:19,186 --> 00:00:24,191 スーツケース? そこに 本当の私がいるから。 6 00:00:24,191 --> 00:00:26,193 はっ? どういう意味だ? 7 00:00:26,193 --> 00:00:29,029 羽依里 ありがとう。 8 00:00:29,029 --> 00:00:33,834 私に つきあってくれて。 私の夢を叶えてくれて。 9 00:00:36,370 --> 00:00:41,041 あのね 私ね… きっと あなたのこと! 10 00:00:41,041 --> 00:00:47,714 (風の音) 11 00:00:47,714 --> 00:00:49,716 バイバイ。 12 00:00:49,716 --> 00:01:02,362 ♬~ 13 00:01:02,362 --> 00:01:05,866 鴎! 鴎? 14 00:01:05,866 --> 00:01:08,035 鴎!! 15 00:01:23,850 --> 00:01:27,020 (美希)鷹原 ゴーグルの調子はどうだ? 16 00:01:27,020 --> 00:01:29,189 (羽依里)すごく 役に立っているが➨ 17 00:01:29,189 --> 00:01:32,693 なんで 暗視ゴーグルなんて持っているんだ? 18 00:01:32,693 --> 00:01:34,695 (美希)もしものときのためだ。 19 00:01:34,695 --> 00:01:37,364 (天善)それで スーツケースをなくしたのは➨ 20 00:01:37,364 --> 00:01:41,034 どのへんなんだ? (羽依里)このへんのはずなんだが。 21 00:01:41,034 --> 00:01:45,872 たしか このへんで 脚をとられて溺れたんだ。 22 00:01:45,872 --> 00:01:48,709 (良一)おい あれじゃないか? 23 00:01:48,709 --> 00:01:51,545 (羽依里)あっ! 24 00:01:51,545 --> 00:01:54,214 (天善)しかし 立派な洞窟だな。 25 00:01:54,214 --> 00:01:57,551 (蒼)これだけのものなら 観光客も呼べそうよね。 26 00:01:57,551 --> 00:02:00,187 (美希)役場も そのつもりだったらしいぞ。 27 00:02:00,187 --> 00:02:04,691 しかし まぁ 安全の確認や いろいろ大変だからな。 28 00:02:04,691 --> 00:02:07,861 それで 企業を誘致して 調査に乗り出したらしい。 29 00:02:07,861 --> 00:02:09,863 (蒼)ねぇ ちょっと! 30 00:02:09,863 --> 00:02:14,034 これ 何のスイッチかな? (美希)明かりかもしれんな。 31 00:02:14,034 --> 00:02:17,004 お前たち ゴーグルを外すんだ。 32 00:02:19,706 --> 00:02:23,043 (美希)鷹原は ここで溺れたのか? 33 00:02:23,043 --> 00:02:25,045 (羽依里)そう みたいだけど…。 34 00:02:25,045 --> 00:02:28,715 さすがに こんな 小さな川じゃなかった。 35 00:02:28,715 --> 00:02:32,185 いくらなんでも こんな深さで溺れない。 36 00:02:35,389 --> 00:02:38,358 じゃあ あれは何だったんだ? 37 00:02:46,733 --> 00:02:50,237 《これが… 本当の私?》 38 00:02:50,237 --> 00:02:52,572 (うみ)それ 女性の下着ですか? 39 00:02:52,572 --> 00:02:54,741 うわぁ~! あっ…。 40 00:02:54,741 --> 00:02:58,078 あっ あれ~ ホントだ! 41 00:02:58,078 --> 00:03:01,348 なんで こんなところに? 不思議だね~。 42 00:03:01,348 --> 00:03:03,517 (うみ)なるほど なるほどな~。 43 00:03:05,519 --> 00:03:08,522 ごめんなさい! これ以上 何も聞かないでください。 44 00:03:08,522 --> 00:03:12,025 はぁ そうします。 45 00:03:12,025 --> 00:03:14,528 あまり関わりたくありませんし。 46 00:03:14,528 --> 00:03:18,498 はぁ~ ふぅ…。 (立ち去る音) 47 00:03:24,371 --> 00:03:26,373 これは…。 48 00:03:26,373 --> 00:03:28,842 『ひげ猫団の冒険』? 49 00:03:37,884 --> 00:03:40,220 これ 知ってるぞ。 50 00:03:40,220 --> 00:03:43,056 《昔 この本を読んだことがある。 51 00:03:43,056 --> 00:03:46,893 カモメという少女が サマーキャンプにやってくる。 52 00:03:46,893 --> 00:03:49,896 彼女は 他の子供たちになじめず➨ 53 00:03:49,896 --> 00:03:51,898 いつも一人だった。 54 00:03:51,898 --> 00:03:56,236 あるとき 彼女は 考古学者の 父親の書斎に忍び込み➨ 55 00:03:56,236 --> 00:03:58,238 ある地図を見つける。 56 00:03:58,238 --> 00:04:02,476 彼女は 勇気をもって 子供たちに声をかける。 57 00:04:02,476 --> 00:04:07,481 そして ひげ猫団を結成して 冒険に出かける…》 58 00:04:10,484 --> 00:04:13,987 まさか…。 (ページをめくる音) 59 00:04:13,987 --> 00:04:17,991 《本の中では カモメは 島から離れた小島に➨ 60 00:04:17,991 --> 00:04:20,827 家を借りて住んでいた》 61 00:04:20,827 --> 00:04:23,330 📱(美希)人が住んでる小島か…。 62 00:04:23,330 --> 00:04:27,667 📱わかった 調べてみよう。 ありがとう。 63 00:04:27,667 --> 00:04:32,839 《美希:鷹原がたどり着いたという 入り江の近くに小島がある。 64 00:04:32,839 --> 00:04:36,143 その島は 私有地なんだ》 65 00:05:01,001 --> 00:05:03,069 (羽依里)あの…。 66 00:05:06,006 --> 00:05:08,008 (鷺)誰ですか? あっ…。 67 00:05:08,008 --> 00:05:10,010 えっ えと…。 68 00:05:10,010 --> 00:05:12,012 すみません 俺は…。 69 00:05:12,012 --> 00:05:14,181 あっ それ…。 70 00:05:14,181 --> 00:05:18,518 えっ? (鷺)そのスーツケースを 届けに来てくれたんですか? 71 00:05:18,518 --> 00:05:20,687 えっ… あの…。 72 00:05:20,687 --> 00:05:24,191 それは 私のものです。 73 00:05:24,191 --> 00:05:27,027 えっ? 74 00:05:27,027 --> 00:05:30,197 それじゃあ あなたは鴎の…。 75 00:05:30,197 --> 00:05:32,365 鴎を知ってるんですか? 76 00:05:32,365 --> 00:05:39,206 えっ あの… 鷹原羽依里といいます。 77 00:05:39,206 --> 00:05:42,709 私は 久島鷺と申します。 78 00:05:42,709 --> 00:05:46,680 鴎は 私の娘です。 79 00:05:49,549 --> 00:05:51,718 フィンランド? はい。 80 00:05:51,718 --> 00:05:54,721 2年前から 鴎は ずっとそこに。 81 00:05:54,721 --> 00:05:56,890 あなたの知る鴎が➨ 82 00:05:56,890 --> 00:05:59,793 あなたに どこまで 話したのかは知りません。 83 00:05:59,793 --> 00:06:06,466 でも あなたは 鴎に会うために こんなところまで来てくれた。 84 00:06:06,466 --> 00:06:10,637 だったら お話ししても いいような気がします。 85 00:06:10,637 --> 00:06:13,807 母として。 86 00:06:13,807 --> 00:06:17,310 10年前 あの子の父親は➨ 87 00:06:17,310 --> 00:06:21,648 大学で 動植物の生態を 研究する学者でした。 88 00:06:21,648 --> 00:06:24,317 ある会社から フィールドワークの依頼を受けて➨ 89 00:06:24,317 --> 00:06:27,487 この島に 滞在したことがありました。 90 00:06:27,487 --> 00:06:32,659 あの子は 小さな頃から体が弱くて 友達もいませんでした。 91 00:06:32,659 --> 00:06:36,329 ほとんどの時間 本を読んで過ごしていたんです。 92 00:06:36,329 --> 00:06:39,100 本当は いろんなところを 探検したかったのに➨ 93 00:06:39,100 --> 00:06:42,502 出歩くことはできません。 94 00:06:42,502 --> 00:06:46,840 よく このスーツケースの上に座って 本を読んでいました。 95 00:06:46,840 --> 00:06:50,010 これは もとは 父親のスーツケースでしたが➨ 96 00:06:50,010 --> 00:06:53,013 世界中を旅したスーツケースだから…。 97 00:06:53,013 --> 00:06:55,682 それで 鴎も 気に入ったのでしょう。 98 00:06:55,682 --> 00:07:00,487 私は 小説家で あるとき あの子をモデルにした➨ 99 00:07:00,487 --> 00:07:03,657 女の子を主人公にして 小説を書いたんです。 100 00:07:03,657 --> 00:07:07,994 それが 『ひげ猫団の冒険』。 101 00:07:07,994 --> 00:07:11,665 きっかけは 鴎の言葉だったんですよ。 102 00:07:11,665 --> 00:07:16,670 《この島には海賊船があって 財宝が眠ってるんだよ!》 103 00:07:16,670 --> 00:07:19,506 (鷺)もちろん 子供の空想ですが➨ 104 00:07:19,506 --> 00:07:22,008 聞いてるうちに 私も楽しくなって➨ 105 00:07:22,008 --> 00:07:24,177 本を書くことにしたんです。 106 00:07:24,177 --> 00:07:27,347 あの本に出てくる場所のモデルが➨ 107 00:07:27,347 --> 00:07:30,183 鳥白島だったんですね。 ええ。 108 00:07:30,183 --> 00:07:35,522 そして あの本が発刊されて 翌年の夏のことです。 109 00:07:35,522 --> 00:07:39,359 《ママ! 私 船が欲しいの!》 110 00:07:39,359 --> 00:07:41,861 (羽依里)それじゃあ あの船は…。 111 00:07:41,861 --> 00:07:44,864 (鷺)鴎が 私に頼んで 取り寄せたものです。 112 00:07:44,864 --> 00:07:47,534 あの子は 海賊船にしたかったんです。 113 00:07:50,036 --> 00:07:54,040 あの子の中には 壮大な計画があったんです。 114 00:07:54,040 --> 00:07:57,544 それは 小説家の私でも かなわないくらい➨ 115 00:07:57,544 --> 00:07:59,479 途方もない物語です。 116 00:07:59,479 --> 00:08:03,650 《あのね ママ! あの本の冒険を再現するんだよ。 117 00:08:03,650 --> 00:08:05,652 冒険を再現? 118 00:08:05,652 --> 00:08:08,154 うん! 本の中じゃなくて➨ 119 00:08:08,154 --> 00:08:12,125 実際に地図を持って 海賊船を見つけるの!》 120 00:08:16,496 --> 00:08:18,498 鷹原さん。 はい。 121 00:08:18,498 --> 00:08:22,002 船の船長室を のぞいてみましたか? 122 00:08:22,002 --> 00:08:24,337 いえ 鍵がかかっていたので。 123 00:08:24,337 --> 00:08:29,809 あそこには あの子の 一番の宝物が隠されています。 124 00:08:40,820 --> 00:08:44,824 《鷺:10年前 私に 小説の着想を与えてくれた➨ 125 00:08:44,824 --> 00:08:49,496 あの洞窟と入り江を 私有地として買い取りました。 126 00:08:49,496 --> 00:08:52,332 そして今年 すべてが完成して…。 127 00:08:52,332 --> 00:08:57,203 あの子が元気なら みんなを 招待する予定だったんです》 128 00:08:57,203 --> 00:09:00,106 んっ これは? 129 00:09:00,106 --> 00:09:02,108 「おもしろかったです! 130 00:09:02,108 --> 00:09:04,611 読んでる間 ずっと ワクワクしました!」。 131 00:09:04,611 --> 00:09:06,613 「忘れられない 思い出になりました。 132 00:09:06,613 --> 00:09:08,615 僕も こんな仲間が欲しいです!」。 133 00:09:08,615 --> 00:09:10,950 「この本の舞台は どこなんですか? 134 00:09:10,950 --> 00:09:14,120 私も カモメちゃんたちと 冒険したいです!」。 135 00:09:14,120 --> 00:09:16,122 「この本の続きが見たいです。 136 00:09:16,122 --> 00:09:18,458 僕は 一生待ってます」。 137 00:09:18,458 --> 00:09:20,960 「タカくんが好きです。 結婚したいです」。 138 00:09:20,960 --> 00:09:24,464 「カモメちゃん 僕も ひげ猫団に入れてください!」。 139 00:09:29,636 --> 00:09:31,638 (羽依里)「カモメちゃんは ゆうかんな子で➨ 140 00:09:31,638 --> 00:09:34,474 すごいと思いました。 こんな子は クラスにいません。 141 00:09:34,474 --> 00:09:36,810 こんな女の子なら 僕は➨ 142 00:09:36,810 --> 00:09:39,612 友達になっても いいと思いました」。 143 00:09:47,320 --> 00:09:49,322 ああ 速達で頼む。 144 00:09:51,491 --> 00:09:54,794 母さん ありがとう。 145 00:09:57,997 --> 00:10:00,667 (うみ)鷹原さん おうちに電話したんですか? 146 00:10:00,667 --> 00:10:04,170 うおっ! 帰るんですか? 147 00:10:08,341 --> 00:10:11,511 (羽依里)帰らないよ。 そうですか。 148 00:10:11,511 --> 00:10:14,013 (羽依里)荷物を届けてくれって 頼んだんだ。 149 00:10:14,013 --> 00:10:16,015 荷物? 150 00:10:16,015 --> 00:10:18,017 (段ボールのテープをはがす音) 151 00:10:20,854 --> 00:10:22,856 あった。 152 00:10:28,695 --> 00:10:30,697 (鴎)「お手紙 ありがとうございます。 153 00:10:30,697 --> 00:10:33,700 最後に カモメたちは いつか再会して➨ 154 00:10:33,700 --> 00:10:37,036 再び 海賊船を見つける 約束をします。 155 00:10:37,036 --> 00:10:40,039 今度は もっとすごい 冒険に出ようって。 156 00:10:40,039 --> 00:10:44,711 もし あなたが思い出を 大切に覚えていてくれるなら➨ 157 00:10:44,711 --> 00:10:48,381 10年後 とっておきの冒険に招待します。 158 00:10:48,381 --> 00:10:52,085 そのとき 会えたら うれしいです」。 159 00:10:54,053 --> 00:10:59,859 《10年後 とっておきの冒険に 招待するって 鴎は➨ 160 00:10:59,859 --> 00:11:03,696 本当に それを 叶えようとしていた。 でも》 161 00:11:03,696 --> 00:11:06,866 《鴎が 倒れた…。 162 00:11:06,866 --> 00:11:10,703 もともと 体の弱い子でした。 163 00:11:10,703 --> 00:11:14,541 あの子の父親も 早くに亡くなりました。 164 00:11:14,541 --> 00:11:16,543 同じ病気です。 165 00:11:16,543 --> 00:11:21,881 鷹原さんは このスーツケースを 洞窟で見つけたんですね? 166 00:11:21,881 --> 00:11:25,218 ええ。 どうして そんなところに…。 167 00:11:25,218 --> 00:11:29,055 この スーツケースは 私が持ってきたんです。 168 00:11:29,055 --> 00:11:33,226 ただ この島に着いたときに なくしてしまいました。 169 00:11:33,226 --> 00:11:35,728 なくしたんですか? ええ。 170 00:11:35,728 --> 00:11:40,066 この島に着いたとき 不思議な体験をしました。 171 00:11:40,066 --> 00:11:43,903 そのあと 一瞬 目を離しているうちに➨ 172 00:11:43,903 --> 00:11:47,907 スーツケースが消えていたんです。 いったい何が? 173 00:11:47,907 --> 00:11:53,079 あの蝶は 以前にも見たことがありました。 174 00:11:53,079 --> 00:11:57,417 今思えば あの蝶と鴎には➨ 175 00:11:57,417 --> 00:12:01,321 何か 関係があったのでしょうか?》 176 00:12:01,321 --> 00:12:06,826 《もしも 鴎が思い描いたとおり 洞窟を抜けて➨ 177 00:12:06,826 --> 00:12:10,330 本当に海賊船があったとしたら。 178 00:12:10,330 --> 00:12:14,834 鴎が思い描いたとおりの 仕掛けが完成していたとしたら。 179 00:12:14,834 --> 00:12:17,170 あいつに感心する。 180 00:12:17,170 --> 00:12:19,505 すごいことを考えるやつだ。 181 00:12:19,505 --> 00:12:21,674 でも時間が足りなかった。 182 00:12:21,674 --> 00:12:24,510 鴎が もうひと夏 ここで過ごせたら➨ 183 00:12:24,510 --> 00:12:27,013 完成させられたはずなのに》 184 00:12:27,013 --> 00:12:30,683 (蒼)なんか 海賊船っていうより幽霊船ね。 185 00:12:30,683 --> 00:12:33,186 (美希)とりあえず 上から色を塗り直すか。 186 00:12:33,186 --> 00:12:35,188 (良一)こりゃ 新調しないと…。 187 00:12:35,188 --> 00:12:37,690 (天善)資材が 安く 手に入らないか当たってみよう。 188 00:12:37,690 --> 00:12:40,093 ああ 頼む。 189 00:12:56,209 --> 00:12:58,711 んっ…。 (物音) 190 00:13:01,681 --> 00:13:04,183 かも め? 191 00:13:04,183 --> 00:13:06,686 やっ 起きた? 192 00:13:06,686 --> 00:13:09,188 そのはずだけど…。 193 00:13:09,188 --> 00:13:11,858 むしろ 眠ってるんじゃないだろうな。 194 00:13:11,858 --> 00:13:14,360 夢の中かもしれないね。 195 00:13:14,360 --> 00:13:16,863 (羽依里)お前 どこに行ってたんだ? 196 00:13:16,863 --> 00:13:20,199 どこにも。 ここで見ていたよ。 197 00:13:20,199 --> 00:13:23,703 ずっと見てた。 198 00:13:23,703 --> 00:13:27,206 そうか。 ふぅ まったく…。 199 00:13:27,206 --> 00:13:31,044 鍵も船も お前が 用意したものだったんだな。 200 00:13:31,044 --> 00:13:35,214 ごめん。 でも 私も忘れてたんだよ。 201 00:13:35,214 --> 00:13:40,219 全部 忘れてた。 私は 外国の病院で➨ 202 00:13:40,219 --> 00:13:43,056 一日のほとんどを 寝て過ごしてたの。 203 00:13:43,056 --> 00:13:47,393 だんだん 自分が 眠っているのか起きているのか➨ 204 00:13:47,393 --> 00:13:49,896 わからなくなっていって…。 205 00:13:49,896 --> 00:13:52,732 そうしたら 何がホントで 嘘なのかも➨ 206 00:13:52,732 --> 00:13:55,068 曖昧になっていくの。 207 00:13:55,068 --> 00:13:59,238 不思議だね ベッドの中で…。 208 00:13:59,238 --> 00:14:02,842 小説の中にしかなかった思い出は いつの間にか➨ 209 00:14:02,842 --> 00:14:05,345 本物の思い出になって。 210 00:14:05,345 --> 00:14:08,347 《みんな 元気かな? 211 00:14:08,347 --> 00:14:13,519 私のこと 覚えて くれてるかな? 212 00:14:13,519 --> 00:14:18,191 元気になって みんなと また会うの…。 213 00:14:18,191 --> 00:14:24,697 10年前 私たちが見つけた あの海賊船で…》 214 00:14:24,697 --> 00:14:29,202 この夏 私は島にやってきた。 215 00:14:29,202 --> 00:14:32,705 お母さんが持ってきた あのスーツケースと一緒に➨ 216 00:14:32,705 --> 00:14:34,707 夢を追いかけて…。 217 00:14:34,707 --> 00:14:38,378 私自身が 夢の一部になって➨ 218 00:14:38,378 --> 00:14:42,882 本当に 小説の ヒロインのカモメになっていた。 219 00:14:42,882 --> 00:14:47,220 でも 羽依里と この船に着いたとき➨ 220 00:14:47,220 --> 00:14:53,226 思い出したよ。 全部 小説のお話だった。 221 00:14:53,226 --> 00:14:55,728 羽依里…。 222 00:14:55,728 --> 00:14:59,899 あなたのおかげで 夢が 叶ったんだよ。 223 00:15:03,136 --> 00:15:05,638 そう… か。 224 00:15:05,638 --> 00:15:09,308 今 こうして あなたの前にいるのは➨ 225 00:15:09,308 --> 00:15:12,979 最後に どうしても 会いたかったから。 226 00:15:12,979 --> 00:15:14,981 最後? 227 00:15:14,981 --> 00:15:19,152 あのね お別れにきたんだ。 228 00:15:19,152 --> 00:15:22,655 行かないといけないんだ。 どこに…。 229 00:15:22,655 --> 00:15:27,660 鴎は 外国にいるはずなんだよな? そこに帰るのか? 230 00:15:27,660 --> 00:15:30,830 ううん…。 231 00:15:30,830 --> 00:15:34,500 もっと 遠いところ。 232 00:15:34,500 --> 00:15:36,502 (羽依里)遠いところって…。 233 00:15:40,173 --> 00:15:43,843 羽依里 ありがとう。 234 00:15:43,843 --> 00:15:46,512 私の夢を叶えてくれて。 235 00:15:46,512 --> 00:15:49,682 それに 友達になってくれて。 236 00:15:49,682 --> 00:16:20,179 ♬~ 237 00:16:20,179 --> 00:16:22,849 (鴎)「むごっほ」の意味➨ 238 00:16:22,849 --> 00:16:25,017 わかった。 えっ? 239 00:16:25,017 --> 00:16:27,520 「むっちゃかわいい」 って言いかけて➨ 240 00:16:27,520 --> 00:16:31,023 せきこんでいたんだね。 241 00:16:31,023 --> 00:16:33,593 エヘヘ…。 242 00:16:36,863 --> 00:16:38,831 鴎! 243 00:16:45,037 --> 00:16:49,709 《この夏のことが 夢でも幻でも…。 244 00:16:49,709 --> 00:16:55,381 俺は 俺の信じたもののために 残りの時間を使おう》 245 00:16:57,884 --> 00:17:00,786 鷹原さん お昼ご飯 できましたよ。 246 00:17:00,786 --> 00:17:04,123 あっ うん。 何を書いてるんですか? 247 00:17:04,123 --> 00:17:07,793 手紙。 すごい たくさん書くんですね。 248 00:17:07,793 --> 00:17:09,795 うん。 249 00:17:09,795 --> 00:17:12,465 《海賊船で ひげ猫団の 仲間たちと もう一度会う。 250 00:17:12,465 --> 00:17:15,268 あいつの願いを 叶えてやるんだ》 251 00:17:20,806 --> 00:17:22,808 (羽依里)なんで 10年後だったんですか? 252 00:17:22,808 --> 00:17:25,311 ファンレターをもらったときに ここにいるよって➨ 253 00:17:25,311 --> 00:17:27,313 返事をすればよかったのに。 254 00:17:27,313 --> 00:17:29,982 それは 私も提案したんです。 255 00:17:29,982 --> 00:17:32,318 でも 鴎が嫌がったので。 256 00:17:32,318 --> 00:17:35,988 自分は 小説のカモメのモデルだから➨ 257 00:17:35,988 --> 00:17:39,659 もし 自分を見たら がっかりするんじゃないかって。 258 00:17:39,659 --> 00:17:44,330 《私ね いつか元気になって カモメみたいに➨ 259 00:17:44,330 --> 00:17:46,832 みんなを ひっぱれるような 女の子になって…。 260 00:17:46,832 --> 00:17:49,669 そのときに会えたらいいな》 261 00:17:49,669 --> 00:17:52,004 (鷺)内気な子だったんです。 262 00:17:52,004 --> 00:17:54,840 けど 頑張ったんです。 263 00:17:54,840 --> 00:17:58,844 少しずつですが元気になって…。 264 00:17:58,844 --> 00:18:04,817 普通の子と変わらないくらい 動けるようになっていたんです。 265 00:18:04,817 --> 00:18:09,655 (すすり泣き) 266 00:18:09,655 --> 00:18:14,160 すみません…。 267 00:18:14,160 --> 00:18:18,664 実は あなたに 黙っていたことがあります。 268 00:18:18,664 --> 00:18:21,834 この夏が始まる前➨ 269 00:18:21,834 --> 00:18:25,338 鴎は 二度と 覚めない眠りにつきました。 270 00:18:25,338 --> 00:18:27,340 えっ…。 271 00:18:27,340 --> 00:18:32,678 ありがとうございます 鷹原さん あなたに会えただけでも➨ 272 00:18:32,678 --> 00:18:35,047 この島に来てよかった。 273 00:18:44,857 --> 00:18:46,826 俺も黙っていたことがあります。 274 00:18:49,028 --> 00:18:54,533 そうですか。 鴎と この島で冒険を…。 275 00:18:54,533 --> 00:18:57,203 俺のほうこそ ありがとうって➨ 276 00:18:57,203 --> 00:19:01,974 あいつに伝えたくて。 277 00:19:01,974 --> 00:19:04,977 船を完成させたくて…。 278 00:19:04,977 --> 00:19:07,813 あいつに 見てもらいたかったから➨ 279 00:19:07,813 --> 00:19:11,584 俺は… 俺は きっと…。 280 00:19:15,955 --> 00:19:18,958 あいつのことが 好きでした。 281 00:19:23,329 --> 00:19:25,498 (鏡子)大きな布? はい。 282 00:19:25,498 --> 00:19:29,668 さすがの おばあちゃんも 保管はしてないみたいだね。 283 00:19:29,668 --> 00:19:31,670 そうですか。 284 00:19:31,670 --> 00:19:35,174 そういえば うみちゃんを見かけませんね。 285 00:19:35,174 --> 00:19:37,176 昨日 帰ったよ。 えっ? 286 00:19:37,176 --> 00:19:42,515 何も言わず… 寂しいですね。 287 00:19:42,515 --> 00:19:45,017 (鏡子)でも 羽依里くんのこと 気にしてたよ。 288 00:19:45,017 --> 00:19:47,019 なんですか それ。 289 00:19:47,019 --> 00:19:48,988 フフ…。 290 00:19:51,023 --> 00:19:53,693 《ここまで どうにか 準備できたが…。 291 00:19:53,693 --> 00:19:56,195 本当に来てくれるのか? 292 00:19:56,195 --> 00:19:58,697 もし 誰も来なかったら…。 293 00:19:58,697 --> 00:20:02,535 いや 信じるんだ… 鴎の思いを。 294 00:20:02,535 --> 00:20:06,372 しろは! (しろは)な… なに? 295 00:20:06,372 --> 00:20:08,374 大きな布 ないかな? 296 00:20:08,374 --> 00:20:10,709 えっ 何に使うの? 297 00:20:10,709 --> 00:20:12,711 旗! 298 00:20:12,711 --> 00:20:15,047 そうだ! しろは 絵は得意か? 299 00:20:15,047 --> 00:20:17,049 えっ? 300 00:20:17,049 --> 00:20:20,820 (ざわめき) 301 00:20:27,393 --> 00:20:29,395 (良一)しっかし すごい人数だな。 302 00:20:29,395 --> 00:20:31,397 (天善)お前が 呼んだのか? 303 00:20:31,397 --> 00:20:34,066 違う。 呼んだのは俺じゃないよ。 304 00:20:34,066 --> 00:20:36,068 (蒼)じゃあ 誰? 305 00:20:36,068 --> 00:20:38,070 鴎。 306 00:20:38,070 --> 00:20:40,239 なに この人たち…。 307 00:20:40,239 --> 00:20:42,908 しろは! 頼んでいたものは? 308 00:20:42,908 --> 00:20:46,745 出来た けど…。 309 00:20:46,745 --> 00:20:50,216 見ていいか? どうぞ。 310 00:20:52,251 --> 00:20:55,921 おお。 も… 文句があるなら やんわりとお願いします。 311 00:20:55,921 --> 00:20:58,424 これは…。 312 00:20:58,424 --> 00:21:00,326 すばらしい! ごめん! 313 00:21:00,326 --> 00:21:03,496 えっ? すばらしい すごいよ! 314 00:21:03,496 --> 00:21:06,665 どうも ありがとう。 315 00:21:06,665 --> 00:21:10,336 いや お礼を言うのは俺だけど。 316 00:21:10,336 --> 00:21:13,339 (歓声) 317 00:21:19,512 --> 00:21:23,849 《なぁ 鴎… もし 今も 遠い国のどこかで➨ 318 00:21:23,849 --> 00:21:26,352 眠りながら この光景を 見ているなら➨ 319 00:21:26,352 --> 00:21:28,354 これは 夢じゃない。 320 00:21:28,354 --> 00:21:30,856 お前が 叶えた現実だ。 321 00:21:30,856 --> 00:21:34,026 本当の思い出だ》 322 00:21:34,026 --> 00:21:36,028 (鴎)見てるよ。 323 00:21:36,028 --> 00:21:40,199 お前…。 やっ! 324 00:21:40,199 --> 00:21:43,202 まったく ずっといたんだな。 325 00:21:43,202 --> 00:21:45,538 やっぱり 見たかったから。 326 00:21:45,538 --> 00:21:47,706 この船が 完成するところ。 327 00:21:47,706 --> 00:21:50,209 (羽依里)当然だ! でもね➨ 328 00:21:50,209 --> 00:21:53,045 私は もう本当は➨ 329 00:21:53,045 --> 00:21:55,381 ここにいちゃ いけないの。 330 00:21:55,381 --> 00:21:57,550 そっか。 331 00:21:57,550 --> 00:22:03,022 あのね 私 まだまだ たくさん冒険したかった。 332 00:22:03,022 --> 00:22:06,859 この夏 羽依里と 島を冒険したみたいに➨ 333 00:22:06,859 --> 00:22:10,029 もっと もっと…。 334 00:22:10,029 --> 00:22:12,198 (羽依里)じゃあ 冒険しようぜ! 335 00:22:12,198 --> 00:22:14,700 えっ? 約束だろ? 336 00:22:14,700 --> 00:22:17,203 10年後に再会して➨ 337 00:22:17,203 --> 00:22:20,706 この船で 次の冒険に 出発するって。 338 00:22:20,706 --> 00:22:25,211 うん 私 旅に出るよ。 339 00:22:25,211 --> 00:22:29,715 この船に乗って 海を越えて それで…。 340 00:22:29,715 --> 00:22:31,884 それで いつか会おう! 341 00:22:31,884 --> 00:22:35,054 うん! (風の音) 342 00:22:35,054 --> 00:22:39,391 それじゃあ ちょうど いい風が吹いてるし➨ 343 00:22:39,391 --> 00:22:41,894 号令だ。 私が? 344 00:22:41,894 --> 00:22:44,230 もちろん! リーダーだろ? 345 00:22:44,230 --> 00:22:47,733 エヘヘ… そうだね。 じゃあ➨ 346 00:22:47,733 --> 00:22:51,704 ひげ猫団 しゅっぱ~つ!! 347 00:23:11,490 --> 00:23:14,293 《また 夏が終わるんだ》 348 00:23:27,506 --> 00:23:31,176 (鴎)「7つの海を越えて あなたに会いに行きます。 349 00:23:31,176 --> 00:23:36,582 愛をこめて 海賊ひげ猫団 久島鴎」。