1 00:00:02,002 --> 00:00:05,672 (ディオン)落としたかんざしを 捜しに森へ行きたい… ですか。 2 00:00:05,672 --> 00:00:10,344 (ミーア)ええ。 わがままだ ということは存じておりますわ。 3 00:00:10,344 --> 00:00:13,180 ですが…。 (ディオン)別に構いませんけどね。 4 00:00:13,180 --> 00:00:16,683 へっ? (ディオン)姫殿下には 兵を引くきっかけを➡ 5 00:00:16,683 --> 00:00:21,188 つくっていただいた 恩がありますから。 あ…。 6 00:00:21,188 --> 00:00:23,857 僕一人でよろしければ お連れしますよ。 7 00:00:23,857 --> 00:00:26,193 兵を戻すわけにはいかないのでね。 8 00:00:26,193 --> 00:00:29,529 あっ あなたと二人きり… ですの!? 9 00:00:29,529 --> 00:00:33,200 《ミーア:そもそも この男は わたくしを…》 10 00:00:33,200 --> 00:00:36,904 冗談じゃありませんわ…。 11 00:02:19,006 --> 00:02:21,174 (ルードヴィッヒ)ディオン隊長。 うん? 12 00:02:21,174 --> 00:02:23,844 ああ ルードヴィッヒ殿か。 13 00:02:23,844 --> 00:02:26,847 (ルードヴィッヒ)一つ お願いしたいことがあるのだ。 14 00:02:26,847 --> 00:02:30,851 何かな? 今回のことが無事に片づいたら➡ 15 00:02:30,851 --> 00:02:34,187 あなたにも姫様の協力者に なっていただきたいのだ。 16 00:02:34,187 --> 00:02:40,694 協力者? 近衛兵団にでも入って 姫殿下を守り奉ればいいのかな? 17 00:02:40,694 --> 00:02:45,032 いや あなたには 将軍になっていただきたい。 18 00:02:45,032 --> 00:02:48,535 はあ? 僕が しょ… 将軍? 19 00:02:48,535 --> 00:02:53,540 ミーア様のやりたいことのためには 軍部にも協力者が必要になる。 20 00:02:53,540 --> 00:02:57,044 そのために軍で出世しろと? 21 00:02:57,044 --> 00:03:00,814 出世には 興味なかったんだけどなあ。 22 00:03:00,814 --> 00:03:05,652 まあ それも楽しそうかもしれないな。 23 00:03:05,652 --> 00:03:07,821 ディオン殿…。 24 00:03:07,821 --> 00:03:11,324 なんにせよ 今は何を言っても無意味だね。 25 00:03:11,324 --> 00:03:14,161 森から無事に帰ってこられる 保証もないし。 26 00:03:14,161 --> 00:03:16,163 フッ。 27 00:03:16,163 --> 00:03:19,166 って 何を笑っているのかな? 28 00:03:19,166 --> 00:03:22,669 いや なに 大したことではないさ。 29 00:03:22,669 --> 00:03:25,172 姫殿下なら 確実にうまくやるだろうから➡ 30 00:03:25,172 --> 00:03:27,674 心配するだけ損とか➡ 31 00:03:27,674 --> 00:03:30,010 もしかして そういうこと思ってる? 32 00:03:30,010 --> 00:03:34,514 そう思っているのが 他ならぬ ディオン殿のように見えたのでね。 33 00:03:43,190 --> 00:03:46,359 《はあ… ただでさえ怖い夜の森を➡ 34 00:03:46,359 --> 00:03:50,864 この血も涙もない男と 二人きりだなんて…》 35 00:03:50,864 --> 00:03:52,866 しかし…。 《えっ!?》 36 00:03:52,866 --> 00:03:56,870 肝心なところが抜けてますね 姫殿下。 うん? 37 00:03:56,870 --> 00:04:00,140 (ディオン)そもそも夜に捜し物を しようというところからして➡ 38 00:04:00,140 --> 00:04:04,311 ダメですよ。 夜の森に行く口実としては雑。 39 00:04:04,311 --> 00:04:07,481 詰めが甘いですね。 えっ? 40 00:04:07,481 --> 00:04:11,151 こっそり一人で 向こうの部族と話をつけに行く➡ 41 00:04:11,151 --> 00:04:13,987 っていうんでしょう? はあ? 42 00:04:13,987 --> 00:04:16,156 あれ? 違うんですか? 43 00:04:16,156 --> 00:04:18,992 ゆっくり酒飲んでるところを 呼び出されたからには➡ 44 00:04:18,992 --> 00:04:22,329 そのぐらいは期待してもいいと 思ってたんですけどね。 45 00:04:22,329 --> 00:04:25,499 そっ そうですわ もちろんですわ。 46 00:04:25,499 --> 00:04:29,836 だと思った。 まあ どうするつもり なのか知らないけど➡ 47 00:04:29,836 --> 00:04:34,341 お供しますよ。 場合によっては地獄までね。 48 00:04:34,341 --> 00:04:39,513 《あら…? これって もしかして ちょっとヤバい状況なんじゃ?》 49 00:04:39,513 --> 00:04:41,848 (ギロちん)やあ 久しぶり。 50 00:04:41,848 --> 00:04:45,519 姫殿下。 ひいぃ~! なっ なんですの!? 51 00:04:45,519 --> 00:04:49,523 昼間 襲われた場所に着いたので お呼びしただけですよ。 52 00:04:49,523 --> 00:04:54,027 あ… そ… そうですの。 わかりましたわ。 53 00:04:54,027 --> 00:04:57,364 ここ 本当に昼間の場所ですの? 54 00:04:57,364 --> 00:05:03,136 間違いありませんよ。 ほら そこの木に 矢の跡が。 55 00:05:03,136 --> 00:05:06,973 《とにかく 早く 捜し出さなくては…》 56 00:05:06,973 --> 00:05:11,311 姫殿下 どうやら狙いどおりに 事が運びそうですよ。 57 00:05:11,311 --> 00:05:15,482 へっ? おい 見てないで 出てきたらどうだい? 58 00:05:15,482 --> 00:05:17,651 (茂みが揺れる音) 59 00:05:17,651 --> 00:05:19,986 ひいっ! ひいぃ…! 60 00:05:19,986 --> 00:05:22,822 いきなり撃ってこないところを みると➡ 61 00:05:22,822 --> 00:05:25,492 戦いに来たってわけじゃ ないんだろう? 62 00:05:25,492 --> 00:05:28,662 あれが ルールー族? 63 00:05:28,662 --> 00:05:32,999 (族長)さすがに 帝国の戦士たちの長であるな。 64 00:05:32,999 --> 00:05:37,671 娘 お前は昼間 ここに来た者だな? 65 00:05:37,671 --> 00:05:40,507 そ… そうですわ わたくしは…。 66 00:05:40,507 --> 00:05:44,344 娘。 これはどこで手に入れた? 67 00:05:44,344 --> 00:05:46,513 あっ… それは…。 68 00:05:46,513 --> 00:05:51,318 どこで手に入れたか聞いている。 答え次第では…。 69 00:05:53,353 --> 00:05:55,355 ひっ! ひいぃ~! 70 00:05:55,355 --> 00:05:59,025 (ディオン)あ~ あまり 無礼なことをされると困るな。 71 00:05:59,025 --> 00:06:02,295 こちらにおわすのは この帝国の姫君で➡ 72 00:06:02,295 --> 00:06:06,299 僕が守らないといけない方なんだ。 一応ね。 73 00:06:08,301 --> 00:06:11,638 場合によっては こちらが容赦しない。 74 00:06:11,638 --> 00:06:13,640 貴様…。 75 00:06:13,640 --> 00:06:17,477 《快感ですわ…! わたくしを殺したこの男が➡ 76 00:06:17,477 --> 00:06:21,815 今は身をていして わたくしを かばおうとしているなんて》 77 00:06:21,815 --> 00:06:26,319 (ディオン)ところで姫殿下 これ 当然 収拾をつける算段は➡ 78 00:06:26,319 --> 00:06:29,155 できてるんでしょうね? へっ? 79 00:06:29,155 --> 00:06:31,658 (ディオン)もし これも計算の内ならば➡ 80 00:06:31,658 --> 00:06:34,661 僕が アイツらを 斬っていいのかダメなのか➡ 81 00:06:34,661 --> 00:06:37,330 交戦か撤退か➡ 82 00:06:37,330 --> 00:06:41,167 指示をいただけると うれしいんですがね。 83 00:06:41,167 --> 00:06:43,670 < この笑顔の意味は こうである。 84 00:06:43,670 --> 00:06:46,840 「何も考えていなかったら 許さない」> 85 00:06:46,840 --> 00:06:49,342 《そうでしたわ あちらのお方は➡ 86 00:06:49,342 --> 00:06:51,678 なんだか いたく お怒りのご様子ですし…。 87 00:06:51,678 --> 00:06:54,347 この男も別に 忠誠を誓う部下でもない。 88 00:06:54,347 --> 00:06:56,683 というか どちらかというと 敵?》 89 00:06:56,683 --> 00:06:59,019 (リオラ)待ってほしい です! 90 00:06:59,019 --> 00:07:01,121 あなたは リオラさん!? 91 00:07:01,121 --> 00:07:05,292 姫殿下… ご機嫌うるわしゅう です。 92 00:07:05,292 --> 00:07:10,964 実は この人は ルールー族の族長様 です。 それで…。 93 00:07:10,964 --> 00:07:14,801 (族長)このかんざしは 我が 妻に贈りしものだ。 94 00:07:14,801 --> 00:07:18,305 そして 妻が死んだあと 娘が継いだ。 95 00:07:18,305 --> 00:07:20,607 娘さん… ですの? 96 00:07:22,642 --> 00:07:26,479 大変言いにくいことなのですが➡ 97 00:07:26,479 --> 00:07:31,484 あなたの娘さんは残念ながら お亡くなりになっておりますわ。 98 00:07:31,484 --> 00:07:33,486 死んだ…? 99 00:07:33,486 --> 00:07:36,323 それは たぶん あなたのお孫さんから➡ 100 00:07:36,323 --> 00:07:38,992 わたくしが いただいたものですの。 101 00:07:38,992 --> 00:07:44,164 貧民街の路上で倒れている ところを助けたお礼に と…。 102 00:07:44,164 --> 00:07:46,333 むぅ…。 103 00:07:46,333 --> 00:07:50,837 族長様 姫殿下は ウソを言われる方ではない です。 104 00:07:50,837 --> 00:07:55,175 僕たちの軍が引いたのも 姫殿下のお計らいだから。 105 00:07:55,175 --> 00:07:58,345 その娘 我らの木 蹴っただけ。 106 00:07:58,345 --> 00:08:02,615 軍隊ってのは 引くのにも 相応の理由が必要でね。 107 00:08:02,615 --> 00:08:06,119 族長殿には わかってもらえると思うけど。 108 00:08:06,119 --> 00:08:08,788 うん… 確かに。 109 00:08:08,788 --> 00:08:12,459 だが すべて信じろというのも 難しい。 110 00:08:12,459 --> 00:08:14,794 これは チャ~ンス! 111 00:08:14,794 --> 00:08:18,798 それなら あの子に 来ていただいたらよろしいですわ。 112 00:08:18,798 --> 00:08:20,800 あのまま貧民街にいるのも➡ 113 00:08:20,800 --> 00:08:23,636 あの子のためになるとは 思いませんし。 114 00:08:23,636 --> 00:08:26,639 それで判断なさると よろしいですわ。 115 00:08:26,639 --> 00:08:29,476 デタラメだ! 116 00:08:29,476 --> 00:08:31,478 ん…。 117 00:08:34,981 --> 00:08:39,486 敵地に部下一人のみを連れてきた 勇敢なる者だ。 118 00:08:39,486 --> 00:08:42,322 ウソをつくとは思えない。 119 00:08:42,322 --> 00:08:47,827 孫が世話になった。 先ほどの無礼 謝罪する。 120 00:08:47,827 --> 00:08:50,830 不要ですわ。 うん? 121 00:08:50,830 --> 00:08:54,167 わたくしも あなたたちの 大切な この森の木を➡ 122 00:08:54,167 --> 00:08:56,503 蹴ってしまいましたし。 123 00:08:56,503 --> 00:09:00,607 それで おあいこ ということで どうかしら? 124 00:09:00,607 --> 00:09:05,111 それより お孫さんに きちんと 優しくしてあげるんですわよ。 125 00:09:05,111 --> 00:09:07,280 うん…。 126 00:09:07,280 --> 00:09:09,616 《あの子は貧民街にいるよりも➡ 127 00:09:09,616 --> 00:09:12,285 この森に戻っていただくのが ベスト。 128 00:09:12,285 --> 00:09:16,289 何が紛争の火種になるか わかりませんものね》 129 00:09:16,289 --> 00:09:19,292 うん…。 130 00:09:19,292 --> 00:09:24,130 《族長:私は 族長としての 意地と誇りに縛られ➡ 131 00:09:24,130 --> 00:09:27,634 他部族の男と一緒になりたいと 願う娘を➡ 132 00:09:27,634 --> 00:09:30,136 許すことができなかった…。 133 00:09:30,136 --> 00:09:34,474 だから せめて孫には 同じ過ちを犯すなと➡ 134 00:09:34,474 --> 00:09:39,145 この若き姫君は 諭しているのだ…!》 135 00:09:39,145 --> 00:09:43,650 姫殿下のお心遣い 痛み入る。 136 00:09:43,650 --> 00:09:46,820 《こんな偶然があるはずない…。 137 00:09:46,820 --> 00:09:50,323 森に来る前に すでに情報を握っていたんだ。 138 00:09:50,323 --> 00:09:54,661 もしかして かんざしを 落としたのも わざと…? 139 00:09:54,661 --> 00:09:57,497 帝国の英知か…。 140 00:09:57,497 --> 00:10:02,101 このお姫さんのためなら ちょっと 頑張ってみてもいいかねぇ》 141 00:10:04,170 --> 00:10:06,840 <後日 帝都に戻ったミーアは➡ 142 00:10:06,840 --> 00:10:11,511 父であるティアムーン帝国皇帝陛下に 呼び出された> 143 00:10:11,511 --> 00:10:14,514 陛下 ご機嫌うるわしゅう。 144 00:10:14,514 --> 00:10:18,351 (マティアス) おお いとしき我が娘 ミーアよ。 145 00:10:18,351 --> 00:10:21,688 「陛下」などと申すでない! 気軽に 「お父様」か➡ 146 00:10:21,688 --> 00:10:24,691 もっとくだけた感じで 「パパ」などとね…。 147 00:10:24,691 --> 00:10:28,695 それでお父様 お話というのは? 148 00:10:28,695 --> 00:10:32,532 ベルマン子爵領の 紛争地帯へ行ったそうだな。 149 00:10:32,532 --> 00:10:36,035 驚きのあまり 気を失いそうになったぞ。 150 00:10:36,035 --> 00:10:39,873 あら 危険など 何もございませんでしたわ。 151 00:10:39,873 --> 00:10:43,042 そうは言うがな 周辺警備の兵を➡ 152 00:10:43,042 --> 00:10:46,045 すべて引き連れて戻ってきた というではないか。 153 00:10:46,045 --> 00:10:48,882 《あらあら 余計なことを チクりやがったのは➡ 154 00:10:48,882 --> 00:10:51,384 どなたかしら?》 155 00:10:51,384 --> 00:10:53,553 (ミーア)お恥ずかしい話ですわ。 156 00:10:53,553 --> 00:10:57,557 木に足をとられて すっかり 動転してしまいましたの。 157 00:10:57,557 --> 00:11:01,494 何!? ミーアを転ばせるとは けしからん木だ! 158 00:11:01,494 --> 00:11:03,496 森ごと焼き尽くしてしまえ! 159 00:11:03,496 --> 00:11:07,500 いえ お父様。 わたくし あの森のこと➡ 160 00:11:07,500 --> 00:11:10,169 とても気に入ってしまいましたの。 161 00:11:10,169 --> 00:11:12,672 そんなに いいところなのか? 162 00:11:12,672 --> 00:11:15,341 ええ。 ですので お父様➡ 163 00:11:15,341 --> 00:11:20,179 あの森を わたくしの直轄領に 加えていただきたいのです。 164 00:11:20,179 --> 00:11:23,516 《確かに 皇女直轄領にしてしまえば➡ 165 00:11:23,516 --> 00:11:26,019 セイレントの森は救われる。 166 00:11:26,019 --> 00:11:30,523 だが ベルマン子爵からは 確実に恨みを買ってしまう。 167 00:11:30,523 --> 00:11:33,526 これでは不十分だ。 168 00:11:33,526 --> 00:11:38,197 俺は ミーア様のことを 買いかぶっていたのか? 169 00:11:38,197 --> 00:11:44,037 もしかして ミーア様は 別に 英知でもなく 聖女でもなく…》 170 00:11:44,037 --> 00:11:46,539 <彼がとうとう真実に到達し➡ 171 00:11:46,539 --> 00:11:50,877 曇ったメガネが徐々に 晴れようとしていた そのとき> 172 00:11:50,877 --> 00:11:52,879 ならば ベルマンよ。 173 00:11:52,879 --> 00:11:55,715 その森のそばに プリンセス・タウンをつくれ。 174 00:11:55,715 --> 00:11:58,051 ミーアのために 城を建てるのだ。 175 00:11:58,051 --> 00:11:59,986 (ベルマン)はあ!? 176 00:11:59,986 --> 00:12:03,990 《火に油だ! 自分の領地を 減らされたばかりか➡ 177 00:12:03,990 --> 00:12:08,328 自腹で町をつくり あげくに城まで建てよとは…》 178 00:12:08,328 --> 00:12:11,497 陛下! ありがたき幸せ! 179 00:12:11,497 --> 00:12:15,668 えっ? このベルマン 全身全霊をもって➡ 180 00:12:15,668 --> 00:12:19,339 この名誉ある任務を 全うする所存であります! 181 00:12:19,339 --> 00:12:23,843 《そうか! 貴族は名誉を 何よりも重んじる生き物。 182 00:12:23,843 --> 00:12:27,180 皇女直轄領を任されたという 名誉の前では➡ 183 00:12:27,180 --> 00:12:30,016 領土問題など微々たるもの。 184 00:12:30,016 --> 00:12:33,519 やはり ミーア様は帝国の英知! 185 00:12:33,519 --> 00:12:36,856 一瞬でも疑ってしまった 自分が恥ずかしい…!》 186 00:12:36,856 --> 00:12:39,859 < いや 君は惜しかった> 187 00:12:42,028 --> 00:12:47,367 そういえば最近 アベル王子から お手紙ありませんわね。 188 00:12:47,367 --> 00:12:49,369 あっ。 (ドアが開く音) 189 00:12:49,369 --> 00:12:51,537 (アンヌ)ミーア様 お手紙が。 190 00:12:51,537 --> 00:12:55,875 アベル王子ですの? (アンヌ)いえ ティオーナ様からです。 191 00:12:55,875 --> 00:12:57,877 ああ…? 192 00:12:59,879 --> 00:13:04,984 ふむ。 ティオーナさんの弟君が…。 193 00:13:04,984 --> 00:13:08,488 ⦅「革命軍の聖女 ティオーナ・ルドルフォン。 194 00:13:08,488 --> 00:13:12,992 飢きんにあえぐ民衆に 食糧を分け与える」。 195 00:13:12,992 --> 00:13:17,330 どうして あの女は あんなにも 食べ物を持っておりますの? 196 00:13:17,330 --> 00:13:21,501 新種の小麦が開発されたこと ご存じないんですか? 197 00:13:21,501 --> 00:13:24,003 新種の小麦? 198 00:13:24,003 --> 00:13:29,842 ティオーナ嬢の弟 セロ・ルドルフォンが開発した 寒さに強い麦です。 199 00:13:29,842 --> 00:13:32,345 聞いてませんわ そんなの! 200 00:13:32,345 --> 00:13:36,015 まあ セロ殿は ラフィーナ公爵令嬢の庇護のもと➡ 201 00:13:36,015 --> 00:13:39,352 聖ヴェールガ公国の 研究機関にいましたから。 202 00:13:39,352 --> 00:13:42,689 ずるいですわ! わたくしも欲しいですわ! 203 00:13:42,689 --> 00:13:45,525 優秀な弟が!⦆ 204 00:13:45,525 --> 00:13:51,364 天才児 セロ・ルドルフォン… ずるい弟。 205 00:13:51,364 --> 00:13:53,533 どうかされましたか? 206 00:13:53,533 --> 00:13:56,703 ティオーナさんの弟君のことですわ。 207 00:13:56,703 --> 00:13:59,872 とても優秀なのですが どうやら財政難で➡ 208 00:13:59,872 --> 00:14:03,476 学校に行けないらしいんですの。 (アンヌ)まあ…。 209 00:14:03,476 --> 00:14:06,979 それで わたくしに ラフィーナ公爵令嬢へのとりなしを➡ 210 00:14:06,979 --> 00:14:10,316 お願いしてきたんですの。 なるほど。 211 00:14:10,316 --> 00:14:16,155 聖ヴェールガ公国に 弟君も留学 できるように ということですね。 212 00:14:16,155 --> 00:14:19,826 もちろん そんなことさせませんわ。 213 00:14:19,826 --> 00:14:22,161 え…? 214 00:14:22,161 --> 00:14:24,664 (ルドルフォン)さすがは姫殿下だな。 215 00:14:24,664 --> 00:14:28,668 一滴の血も流さずに 今回の件を収めるとは。 216 00:14:28,668 --> 00:14:32,839 (ティオーナ)あの方の英知は 学園内でも さえ渡っていたわ。 217 00:14:32,839 --> 00:14:35,174 (セロ)でも 父上 いいの? 218 00:14:35,174 --> 00:14:38,010 森の土地を 不当に取られちゃったのに…。 219 00:14:38,010 --> 00:14:40,012 (ルドルフォン)不当ではないな。 220 00:14:40,012 --> 00:14:43,850 王室の方々には そうした権限が与えられている。 221 00:14:43,850 --> 00:14:46,853 何より民が苦しまずに 済むのであれば➡ 222 00:14:46,853 --> 00:14:50,189 悪いことではないさ。 そうなんだ…。 223 00:14:50,189 --> 00:14:53,693 それで ミーア姫殿下は 何をしに来るの? 224 00:14:53,693 --> 00:14:58,698 おそらくは 先日の森での一件に ついての話だとは思うのだが…。 225 00:14:58,698 --> 00:15:01,134 確かに お手紙は出したけど➡ 226 00:15:01,134 --> 00:15:04,804 まさか こんな辺境の地へ 直接いらっしゃるなんて➡ 227 00:15:04,804 --> 00:15:07,507 姫殿下らしいわ。 228 00:15:09,809 --> 00:15:14,313 《父上と姉様が あれだけ評価する ミーア皇女殿下って➡ 229 00:15:14,313 --> 00:15:16,649 どんな人なんだろう》 230 00:15:16,649 --> 00:15:20,486 あら なかなか すてきなお花ですわね。 231 00:15:20,486 --> 00:15:24,657 これは スイートムーン… だったかしら? 232 00:15:24,657 --> 00:15:27,493 ウフフ…。 233 00:15:27,493 --> 00:15:30,496 あ… うん そうです…。 234 00:15:30,496 --> 00:15:33,166 ミーア様 そろそろ…。 235 00:15:33,166 --> 00:15:36,502 《ミーア様!? こ… この人が?》 236 00:15:36,502 --> 00:15:39,505 フフ…。 237 00:15:39,505 --> 00:15:42,341 《ウッフフ ウフフフ…》 238 00:15:42,341 --> 00:15:44,844 <時は少し遡り…> 239 00:15:46,846 --> 00:15:49,682 ⦅花をめでる少年…。 240 00:15:49,682 --> 00:15:52,351 《ミーア:新種の小麦を 生み出したということは➡ 241 00:15:52,351 --> 00:15:54,520 植物に詳しいはず! 242 00:15:54,520 --> 00:15:56,689 花! イコール! 植物! 243 00:15:56,689 --> 00:15:59,692 あの子が セロ・ルドルフォン!》⦆ 244 00:15:59,692 --> 00:16:02,595 《これで好感度ゲットですわ!》 245 00:16:04,463 --> 00:16:07,800 学園では 娘が ご寵愛を賜っているとのこと➡ 246 00:16:07,800 --> 00:16:10,470 重ねて感謝を申し上げます。 247 00:16:10,470 --> 00:16:13,139 いえいえ 寵愛などと。 248 00:16:13,139 --> 00:16:16,809 それと 先日のセイレントの森の件でも。 249 00:16:16,809 --> 00:16:19,479 そんなことよりも ルドルフォン卿。 250 00:16:19,479 --> 00:16:23,816 本日 わたくし あなたに 提案があって来ましたの。 251 00:16:23,816 --> 00:16:26,652 ほう… ご提案ですか。 252 00:16:26,652 --> 00:16:30,823 ご子息のセロくんは とてもそうめいな子だとか。 253 00:16:30,823 --> 00:16:33,159 あ…。 ハッ! 254 00:16:33,159 --> 00:16:36,662 もしや セントノエル学園に セロを入学させるために➡ 255 00:16:36,662 --> 00:16:38,998 お口添えをいただけると…。 256 00:16:38,998 --> 00:16:42,001 いいえ。 我が国が誇る人材を➡ 257 00:16:42,001 --> 00:16:44,670 わざわざ 国外に流出させるような➡ 258 00:16:44,670 --> 00:16:48,007 愚を犯すわけにはいきませんわ。 259 00:16:48,007 --> 00:16:50,176 と… おっしゃいますと? 260 00:16:50,176 --> 00:16:53,513 (ミーア)ベルマン子爵領に プリンセス・タウンができること➡ 261 00:16:53,513 --> 00:16:57,016 ご存じかしら? あ… ええ。 262 00:16:57,016 --> 00:17:01,621 わたくし その町に学校を つくろうと思っておりますの。 263 00:17:01,621 --> 00:17:06,792 (ルドルフォン)学校を でございますか? そう。 セントノエルのような学園が➡ 264 00:17:06,792 --> 00:17:10,296 帝国内にもあったら すてきだと思いません? 265 00:17:10,296 --> 00:17:12,298 はあ…。 あ…。 266 00:17:12,298 --> 00:17:16,802 どうでしょう? セロくんを わたくしの学校の生徒第1号に➡ 267 00:17:16,802 --> 00:17:19,305 してみる気はありませんかしら? 268 00:17:19,305 --> 00:17:21,307 《僕を!?》 269 00:17:21,307 --> 00:17:23,976 《ここからでも十分通える距離だ。 270 00:17:23,976 --> 00:17:27,480 しかも 国立となれば 学費も抑えられよう。 271 00:17:27,480 --> 00:17:30,149 財政難の 我がルドルフォン家にとっては➡ 272 00:17:30,149 --> 00:17:33,152 非常にありがたい…》 ああ…。 273 00:17:33,152 --> 00:17:36,656 (ルドルフォン)かようなご配慮 身に余る光栄です。 274 00:17:36,656 --> 00:17:41,494 お礼に 何か当家にできることが ございましたら なんなりと。 275 00:17:41,494 --> 00:17:46,165 では ご当家で保有されている 小麦が欲しいですわ。 276 00:17:46,165 --> 00:17:49,168 はあ? 小麦ですか? 277 00:17:49,168 --> 00:17:51,504 ふだんから安売りすることなく➡ 278 00:17:51,504 --> 00:17:54,674 できるだけ蓄えておいて いただきたいんですの。 279 00:17:54,674 --> 00:17:57,677 そして 飢きんが起きた際には…。 280 00:17:57,677 --> 00:18:02,615 それは もちろん ご下命あれば 王室に供出いたしますが。 281 00:18:02,615 --> 00:18:06,285 そうではありませんわ 辺土伯。 282 00:18:06,285 --> 00:18:10,289 《それでは 結局 民衆の恨みを買うだけ》 283 00:18:10,289 --> 00:18:15,795 小麦は ルドルフォン家から直接 民衆に 配っていただきたいんですの。 284 00:18:15,795 --> 00:18:19,465 その際に わたくしの名前を 出していただければ…。 285 00:18:19,465 --> 00:18:24,136 あっ それは ミーア姫殿下の お名前を使ってもよいと…。 286 00:18:24,136 --> 00:18:26,973 そうですわ。 ぜひ大々的に➡ 287 00:18:26,973 --> 00:18:30,142 わたくしの名前で やっていただきたいですわ。 288 00:18:30,142 --> 00:18:33,980 あ~…。 感服いたしました。 289 00:18:33,980 --> 00:18:36,148 《えっ?》 290 00:18:36,148 --> 00:18:38,484 《ルドルフォン:これまでも 不作の年はあった。 291 00:18:38,484 --> 00:18:43,155 すると決まって 大貴族が やって来て 小麦を奪っていった。 292 00:18:43,155 --> 00:18:48,160 それでも 無償で民に食糧を 配ろうとした私に彼らは言った。 293 00:18:48,160 --> 00:18:51,330 「これは帝国に対する反逆だ」と。 294 00:18:51,330 --> 00:18:54,834 そのことを見越して 姫殿下は おっしゃったのだ。 295 00:18:54,834 --> 00:18:58,170 皇女の命令として それをなせ と…!》 296 00:18:58,170 --> 00:19:02,441 おお なんたる英知 なんたる慈愛…。 297 00:19:02,441 --> 00:19:05,444 《えっ!? なんですの? この反応? 298 00:19:05,444 --> 00:19:07,613 面倒事は そちらでやっていただいて➡ 299 00:19:07,613 --> 00:19:11,784 手柄だけ よこしなさいと 言ってるに等しいですのに!》 300 00:19:11,784 --> 00:19:15,621 <実は 内心ドキドキのミーアであった> 301 00:19:15,621 --> 00:19:19,458 (ミーア)ンンッ… 誤解がないように 言っておきますけど➡ 302 00:19:19,458 --> 00:19:21,794 セロくんを通わせる学校➡ 303 00:19:21,794 --> 00:19:25,965 大貴族の方が通うような 豪華さはございませんわよ? 304 00:19:25,965 --> 00:19:28,634 近隣のルールー族や民衆からも➡ 305 00:19:28,634 --> 00:19:32,138 広く生徒を受け入れようと 思っておりますの。 306 00:19:32,138 --> 00:19:34,140 < だから お前の息子を ことさら➡ 307 00:19:34,140 --> 00:19:36,475 取り立ててやるわけじゃないぞ。 308 00:19:36,475 --> 00:19:39,812 ミーアは そんなつもりで 口にしたのだが> 309 00:19:39,812 --> 00:19:44,150 それは… 重ねてのご配慮 感謝に堪えません。 310 00:19:44,150 --> 00:19:46,152 《え~っ!?》 311 00:19:46,152 --> 00:19:49,989 《セロが中央の大貴族の子弟に 気兼ねなく学べるよう➡ 312 00:19:49,989 --> 00:19:53,159 環境を整えてくださる というのか…。 313 00:19:53,159 --> 00:19:57,997 しかも ルールー族との友好関係にも ご配慮いただけるとは…》 314 00:19:57,997 --> 00:20:00,332 こ… この人 もしかして あれかしら? 315 00:20:00,332 --> 00:20:02,835 意地悪とか 痛いこととかされると➡ 316 00:20:02,835 --> 00:20:05,671 気持ちよくなってしまう みたいなタイプの…。 317 00:20:05,671 --> 00:20:07,673 はい? 318 00:20:07,673 --> 00:20:11,677 《ミーア様… 美しいうえに そうめいだなんて…》 319 00:20:11,677 --> 00:20:15,514 《ま… まあ これで セロくんも手中に収めましたし➡ 320 00:20:15,514 --> 00:20:20,019 この家の所有する穀物類も 実質わたくしのものですわ》 321 00:20:20,019 --> 00:20:23,522 <見事なまでの結果オーライである> 322 00:20:23,522 --> 00:20:26,692 ふ~! 323 00:20:26,692 --> 00:20:31,197 さすがに少し疲れましたわ…。 324 00:20:31,197 --> 00:20:36,202 《そういえば 最近 確認していませんでしたわね》 325 00:20:38,537 --> 00:20:40,539 へっ!? 326 00:20:45,044 --> 00:20:48,647 あ… ああ… え…? 327 00:20:52,551 --> 00:20:57,723 これは どういうことですの? なぜ日記帳が? 328 00:20:57,723 --> 00:21:03,329 あれがなければ わたくしは どうやって ギロチンを回避…。 329 00:21:03,329 --> 00:21:06,165 って あら? 逆ですわ。 330 00:21:06,165 --> 00:21:08,167 あの日記帳がある限り➡ 331 00:21:08,167 --> 00:21:11,337 わたくしは ギロチンに かけられることが決まっていて➡ 332 00:21:11,337 --> 00:21:14,840 その日記帳が消えた ということは…。 333 00:21:14,840 --> 00:21:16,842 (ギロちん)さら~…。 (ミーア)もしかして➡ 334 00:21:16,842 --> 00:21:18,844 ギロチンの未来も消えたと…!? 335 00:21:18,844 --> 00:21:22,348 やりましたわ! ついにやりましたわ! 336 00:21:22,348 --> 00:21:26,018 この喜びを 今すぐ誰かに伝えたいですわ! 337 00:21:26,018 --> 00:21:31,023 でも一番に伝えたいのは やっぱり… アベル王子! 338 00:21:36,362 --> 00:21:40,199 帝国は どうやら 持ち直してしまいそうだな。 339 00:21:40,199 --> 00:21:43,869 あの金月省の文官 ルードヴィッヒなる若者は➡ 340 00:21:43,869 --> 00:21:46,038 なかなかに優秀なようで…。 341 00:21:46,038 --> 00:21:49,542 飢きんの一つでも起きればと 思っておりましたが…。 342 00:21:49,542 --> 00:21:54,213 皇女ミーアとシオン王子との関係も 良好だと聞く。 343 00:21:54,213 --> 00:21:57,883 分断工作に失敗したと 考えるべきだろう。 344 00:21:57,883 --> 00:22:02,988 フンッ! 帝国の英知か。 まったくいまいましいガキだ。 345 00:22:02,988 --> 00:22:07,660 いずれにせよ 我々がなすべきことは変わらん。 346 00:22:07,660 --> 00:22:11,664 帝国に対する計画はいったん凍結。 347 00:22:11,664 --> 00:22:14,166 標的を変える…。