1 00:00:33,567 --> 00:00:40,574 ♬~ 2 00:02:18,605 --> 00:02:26,613 (ヒツジの鳴き声) 3 00:02:26,613 --> 00:02:29,616 ⚟(侍女)お嬢さまー! 4 00:02:30,617 --> 00:02:33,620 ⚟(侍女)お嬢さまー! 5 00:02:34,554 --> 00:02:38,558 (侍女)まあ… 何をなさってるんですか? 6 00:02:38,558 --> 00:02:40,560 お支度の時間ですよ。 7 00:02:42,562 --> 00:02:44,564 (ドレゲネ)行くわ。 8 00:02:47,567 --> 00:02:49,569 (ため息) 9 00:02:49,569 --> 00:02:51,571 (風の音) 10 00:02:51,571 --> 00:02:54,574 さようなら ナイマン。 11 00:02:56,576 --> 00:03:02,582 〈ここより ずっと西の国 ナイマン族の縁者だった私は→ 12 00:03:02,582 --> 00:03:07,587 同盟関係にあるメルキト族の下に嫁ぐことが 決まっていた〉 13 00:03:07,587 --> 00:03:11,591 (ドレゲネの声) メルキト族って どんな人たちなのかしら? 14 00:03:11,591 --> 00:03:13,593 (兄嫁)北の森に住んでいて→ 15 00:03:13,593 --> 00:03:16,596 メルゲンと呼ばれる 弓の名手が多いそうよ。 16 00:03:16,596 --> 00:03:18,598 メルゲン…。 17 00:03:18,598 --> 00:03:21,601 「メルゲンの民」だから 「メルキト」なんだとか。 18 00:03:21,601 --> 00:03:24,604 《要するに 野蛮な狩人ね》 19 00:03:25,605 --> 00:03:27,607 《まあ いいわ》 20 00:03:27,607 --> 00:03:30,610 《私は高価な贈り物》 21 00:03:30,610 --> 00:03:34,614 《貴重な宝石や 美しい毛皮と同じ》 22 00:03:35,549 --> 00:03:37,551 《それでいい…》 23 00:03:37,551 --> 00:03:41,555 《それが私の誇りだもの》 24 00:03:52,566 --> 00:03:54,568 《ここが メルキト族の…》 25 00:03:55,569 --> 00:03:58,572 《思った以上に寂しい所ね》 26 00:03:58,572 --> 00:04:00,574 《男の人が少ない…?》 27 00:04:00,574 --> 00:04:02,576 (ダイル)ドレゲネ。 あっ…。 28 00:04:02,576 --> 00:04:04,578 よく来たね。 29 00:04:04,578 --> 00:04:07,581 大した歓迎もできず 悪いな。 30 00:04:07,581 --> 00:04:11,585 旦那が こんなじじいで 驚いたかい? いえ…。 31 00:04:14,588 --> 00:04:16,590 《まあ いいわ》 32 00:04:16,590 --> 00:04:19,593 《年の差なんて 珍しい話でもないし…》 33 00:04:21,595 --> 00:04:27,601 〈けれど 夫婦になったダイルは 私に全く近づこうとしなかった〉 34 00:04:29,603 --> 00:04:31,605 〈それどころか…〉 35 00:04:32,539 --> 00:04:34,541 今日も お出かけですか? 36 00:04:34,541 --> 00:04:36,543 留守ばっかで すまねえな。 37 00:04:37,544 --> 00:04:39,546 それに もう移営って…。 38 00:04:39,546 --> 00:04:42,549 まだ ここに来たばかりですよ。 39 00:04:43,550 --> 00:04:46,553 (先輩妻)同じ所に長くいられないの。 40 00:04:46,553 --> 00:04:48,555 早く行ってやってください。 41 00:04:48,555 --> 00:04:50,557 (ダイル)うん…。 チュウ! 42 00:04:54,561 --> 00:04:56,563 何かあったら言ってね。 43 00:04:56,563 --> 00:04:58,565 はい。 あの…。 44 00:04:58,565 --> 00:05:01,568 (侍女)奥さま! これ どうなさいます? 45 00:05:01,568 --> 00:05:03,570 (先輩妻)ああ それはね…。 46 00:05:04,571 --> 00:05:08,575 《他の部族って こんな短い間に移動し続けるの?》 47 00:05:09,576 --> 00:05:12,579 《いいえ 何か… 何か変だわ》 48 00:05:12,579 --> 00:05:15,582 《まるで 何かから逃げ回ってるみたい》 49 00:05:18,585 --> 00:05:22,589 《まあ 私が考えても仕方ないか》 50 00:05:22,589 --> 00:05:25,592 《私は宝石でいればいいのよ》 51 00:05:25,592 --> 00:05:29,596 《宝石が ものを考えたところで 何になるの?》 52 00:05:33,533 --> 00:05:35,535 《ナイマンに帰りたい…》 53 00:05:37,537 --> 00:05:44,544 (荒い息) 54 00:05:45,545 --> 00:05:49,549 《私なんか いなくなったって 誰も気が付きやしないんだわ》 55 00:05:49,549 --> 00:05:53,553 《ダイルさまだって 他の人たちだって…》 56 00:05:53,553 --> 00:05:55,555 (クラン)待って! 57 00:05:56,556 --> 00:05:58,558 (クラン)そこを動かないで! 58 00:05:58,558 --> 00:06:00,560 キャアッ! 59 00:06:05,565 --> 00:06:07,567 危なかった~。 60 00:06:07,567 --> 00:06:09,569 けがはない? 61 00:06:10,570 --> 00:06:12,572 あっ…。 62 00:06:12,572 --> 00:06:14,574 さすが メルゲンね クルトガン。 63 00:06:14,574 --> 00:06:17,577 (クルトガン)別に? 普通だし。 64 00:06:17,577 --> 00:06:20,580 あら? あなた ドレゲネさんね! 65 00:06:20,580 --> 00:06:22,582 私の新しいお義母さま! 66 00:06:22,582 --> 00:06:24,584 (においを嗅ぐ音) 67 00:06:24,584 --> 00:06:26,586 (においを嗅ぐ音) 68 00:06:26,586 --> 00:06:28,588 私 クラン。 ダイルの娘よ。 69 00:06:28,588 --> 00:06:31,591 クルトガン! …です。 70 00:06:34,527 --> 00:06:39,532 〈クランはダイルの クルトガンは別の族長の 子供だった〉 71 00:06:39,532 --> 00:06:44,537 (クラン)見て! この川は もっと下流で カラ川とダル川に分かれるのよ。 72 00:06:44,537 --> 00:06:48,541 でね もっともっと流れていくと セレンゲ川に流れ込むの。 73 00:06:48,541 --> 00:06:51,544 私もクルトガンも そこで生まれたのよ。 74 00:06:51,544 --> 00:06:53,546 へえ~…。 75 00:06:53,546 --> 00:06:57,550 じゃあ もっと ずーっと先 川の最後はどうなってるか 知ってる? 76 00:06:57,550 --> 00:06:59,552 うーん…。 77 00:07:00,553 --> 00:07:04,557 北の空に 動かない星があるでしょ? 78 00:07:04,557 --> 00:07:07,560 その下には 大きな大きな穴があって→ 79 00:07:07,560 --> 00:07:11,564 世界中の川は みーんな そこに流れ込むのよ! 80 00:07:11,564 --> 00:07:15,568 まあ…! 知らなかったわ。 81 00:07:15,568 --> 00:07:17,570 フフフフフ…。 82 00:07:17,570 --> 00:07:19,572 自分じゃ見たことないくせに。 ぐっ…。 83 00:07:19,572 --> 00:07:22,575 もう… クルトガン! そうなの? 84 00:07:22,575 --> 00:07:26,579 (クルトガン)俺たちには 精霊と話せる カムの力がないからね。 85 00:07:26,579 --> 00:07:28,581 お父さまは カムでね→ 86 00:07:28,581 --> 00:07:32,519 何度も 川の果てに行ったことがあるんだって! 87 00:07:32,519 --> 00:07:35,522 魂が鳥になって 飛んでいくのよ。 88 00:07:35,522 --> 00:07:37,524 カム…。 89 00:07:38,525 --> 00:07:41,528 私にも カムの力があれば良かったのに。 90 00:07:41,528 --> 00:07:44,531 それか もっと弓がうまかったら…。 91 00:07:44,531 --> 00:07:46,533 確かに ひどいもんな。 92 00:07:46,533 --> 00:07:49,536 何よ! うるさいわね。 (クルトガン)自分で言ったんだろ! 93 00:07:49,536 --> 00:07:51,538 (クラン)何よ! (クルトガン)なんだよ! 94 00:07:51,538 --> 00:07:55,542 プッ… フフフフ…! (クラン)あっ! 笑った 笑った。 95 00:07:55,542 --> 00:07:58,545 ごめんなさい。 フフフフフ…! 96 00:07:58,545 --> 00:08:01,548 (3人の笑い声) 97 00:08:02,549 --> 00:08:07,554 〈その日から 私の中で 何かが変わったの〉 98 00:08:09,556 --> 00:08:15,562 〈周りの景色 一つ一つが 心の中に飛び込んでくるみたいだった〉 99 00:08:15,562 --> 00:08:25,572 ♬~ 100 00:08:25,572 --> 00:08:28,575 〈おかしさや喜びを感じた〉 101 00:08:28,575 --> 00:08:39,519 ♬~ 102 00:08:39,519 --> 00:08:43,523 〈不満や悲しみを感じた〉 103 00:08:43,523 --> 00:08:55,535 ♬~ 104 00:08:55,535 --> 00:09:00,540 〈私は ここでの日常を愛するようになった〉 105 00:09:00,540 --> 00:09:10,550 ♬~ 106 00:09:10,550 --> 00:09:13,553 〈そして 初めて理解したの〉 107 00:09:19,559 --> 00:09:21,561 みんな 起きろ! 108 00:09:21,561 --> 00:09:24,564 火を落とせ! すぐ逃げるんだ! 109 00:09:24,564 --> 00:09:27,567 どうしたの!? 族長たちの軍が突破された! 110 00:09:27,567 --> 00:09:29,569 奴らが ここまで来る! 111 00:09:30,570 --> 00:09:32,505 (いななき) うわっ…! 112 00:09:32,505 --> 00:09:35,508 ⚟(太鼓) 113 00:09:35,508 --> 00:09:37,510 (人々の悲鳴) 114 00:09:37,510 --> 00:09:39,512 (クラン)林の中へ! 115 00:09:39,512 --> 00:09:41,514 (人々の悲鳴) 116 00:09:41,514 --> 00:09:44,517 (クルトガン)クラン! ドレゲネさん! こっち! 117 00:09:44,517 --> 00:09:46,519 (クラン)クルトガン! 118 00:09:50,523 --> 00:09:52,525 (クルトガンの兄)どのくらい奪われた? 119 00:09:52,525 --> 00:09:54,527 (クルトガン)クドゥの家族がいない。 120 00:09:54,527 --> 00:09:56,529 チラウンの妻たちも…。 121 00:09:56,529 --> 00:09:58,531 (ダイル)ドレゲネ! 122 00:09:58,531 --> 00:10:00,533 (クラン)お父さま! 123 00:10:00,533 --> 00:10:02,535 怖かったろう。 124 00:10:02,535 --> 00:10:05,538 よく クランを守ってくれたな。 125 00:10:05,538 --> 00:10:08,541 守られたのは 私のほうです。 126 00:10:08,541 --> 00:10:10,543 あの… 一体 何が? 127 00:10:10,543 --> 00:10:15,548 (ダイル)やっぱり ナイマンで 何も知らされてなかったんだな。 128 00:10:15,548 --> 00:10:18,551 無理もねえか こんな話。 129 00:10:19,552 --> 00:10:21,554 俺たちには 敵がいる。 130 00:10:21,554 --> 00:10:23,556 モンゴル族のテムジン。 131 00:10:25,558 --> 00:10:28,561 (ダイル)今は チンギス・カンと呼ばれてる男だ。 132 00:10:32,565 --> 00:10:34,567 チンギス・カン…。 133 00:10:34,567 --> 00:10:40,573 (ダイル)俺たちメルキト族と モンゴル族は 昔から 小競り合いが絶えなくてな…。 134 00:10:40,573 --> 00:10:44,577 奴らには 家族や財産を散々奪われたし→ 135 00:10:44,577 --> 00:10:47,580 俺たちも 同じぐらい奪ってきた。 136 00:10:47,580 --> 00:10:53,586 ところが あのテムジンが おさになって 草原の均衡が崩れたんだ。 137 00:10:54,587 --> 00:10:58,591 (ダイル)あんたが ナイマンから こんなじじいのとこに よこされたのも→ 138 00:10:58,591 --> 00:11:01,594 対モンゴル同盟のためだったんだよ。 139 00:11:02,595 --> 00:11:06,599 でも もう限界かもしれねえなあ…。 140 00:11:07,600 --> 00:11:11,604 (クルトガン)ねえ 兄さん モンゴルに負けたら 俺たち どうなる? 141 00:11:11,604 --> 00:11:13,606 (クルトガンの兄)決まってるだろ。 142 00:11:13,606 --> 00:11:17,610 男は皆殺し 女や子供は奴らのものだ。 143 00:11:18,611 --> 00:11:21,614 (クルトガン) 怖い…。 俺 まだ死にたくない。 144 00:11:21,614 --> 00:11:24,617 (クルトガンの兄) 馬鹿! メルキトの男が情けねえ。 145 00:11:32,559 --> 00:11:34,561 (兵士)ウスン…。 146 00:11:34,561 --> 00:11:36,563 ウスン…。 147 00:11:36,563 --> 00:11:39,566 (クラン)ウスン。 「流れる川」。 148 00:11:39,566 --> 00:11:43,570 大地から頂いた カムとしてのお父さまの称号よ。 149 00:11:43,570 --> 00:11:47,574 いいか。 終わるまで 誰も立ち入っちゃなんねえよ。 150 00:11:48,575 --> 00:11:52,579 (ダイル)精霊に 俺たちの未来を問うてくる。 151 00:11:53,580 --> 00:11:57,584 (風の音) 152 00:11:57,584 --> 00:12:00,587 (ダイル)《精霊よ 天へ連れていってくれ》 153 00:12:00,587 --> 00:12:04,591 《われわれの未来を教えてくれ》 154 00:12:05,592 --> 00:12:10,597 ♬~(太鼓) 155 00:12:10,597 --> 00:12:29,616 ♬~ 156 00:12:29,616 --> 00:12:47,634 ♬~ 157 00:12:50,570 --> 00:13:08,588 ♬~ 158 00:13:08,588 --> 00:13:23,603 ♬~ 159 00:13:23,603 --> 00:13:25,605 (ダイル)ううっ…。 160 00:13:25,605 --> 00:13:27,607 ウスン! 161 00:13:29,609 --> 00:13:32,612 クラン… いるか…? 162 00:13:33,546 --> 00:13:36,549 (クラン)ここにいます お父さま。 163 00:13:36,549 --> 00:13:38,551 豊かな草原が見えた。 164 00:13:38,551 --> 00:13:42,555 川が いくつも分かれて流れていた…。 165 00:13:42,555 --> 00:13:45,558 そして その川をさかのぼると→ 166 00:13:45,558 --> 00:13:51,564 天にも届きそうな高い山に 清らかな源流があった。 167 00:13:51,564 --> 00:13:54,567 川は血脈…→ 168 00:13:54,567 --> 00:13:58,571 草原の民 モンゴルの血が広がっていく という意味だ。 169 00:13:58,571 --> 00:14:00,573 じゃあ…。 170 00:14:00,573 --> 00:14:02,575 俺たちは モンゴルに負ける。 171 00:14:05,578 --> 00:14:09,582 それじゃあ 俺たちは みんな 殺されるんですか? 172 00:14:09,582 --> 00:14:12,585 いや そんなことはさせねえ。 173 00:14:12,585 --> 00:14:14,587 精霊は こう言ってるんだ。 174 00:14:14,587 --> 00:14:17,590 モンゴルへ下っても メルキトの血は続くと。 175 00:14:17,590 --> 00:14:21,594 しかし チンギス・カンは 俺たちを許すでしょうか? 176 00:14:21,594 --> 00:14:26,599 もちろん それには 相応のものを差し出して わびるしかねえ。 177 00:14:27,600 --> 00:14:29,602 (ダイル)清らかな源流…→ 178 00:14:29,602 --> 00:14:33,539 俺の娘をチンギス・カンにささげる。 179 00:14:33,539 --> 00:14:35,541 クラン。 180 00:14:36,542 --> 00:14:40,546 駄目よ! クランを犠牲にするなんて 絶対駄目! 181 00:14:40,546 --> 00:14:42,548 この子は 心ある人間よ。 182 00:14:42,548 --> 00:14:45,551 宝石や毛皮じゃないのよ! 183 00:14:47,553 --> 00:14:51,557 私とは違うのよ…。 184 00:14:53,559 --> 00:14:55,561 (クラン)ドレゲネ。 185 00:14:55,561 --> 00:14:58,564 ありがとう。 大丈夫よ。 186 00:14:58,564 --> 00:15:00,566 クラン…? 187 00:15:01,567 --> 00:15:05,571 お父さま クランはうれしいです。 188 00:15:05,571 --> 00:15:09,575 今まで 守られるばかりの女の身が 悔しかった。 189 00:15:09,575 --> 00:15:13,579 でも 今度は 私が みんなを守る矢となりましょう。 190 00:15:13,579 --> 00:15:15,581 おまえ…。 191 00:15:15,581 --> 00:15:17,583 メルキト族は 弓の名手。 192 00:15:17,583 --> 00:15:21,587 メルゲンの民の娘が オオカミを仕留めてご覧に入れます。 193 00:15:26,592 --> 00:15:31,531 〈こうして私たちは モンゴルに下った〉 194 00:15:31,531 --> 00:15:33,533 〈クランは→ 195 00:15:33,533 --> 00:15:39,539 モンゴルとメルキトの間に連なる 長い長い憎しみの連鎖を断ち切って→ 196 00:15:39,539 --> 00:15:42,542 メルキト人たちの命を救ったの〉 197 00:15:45,545 --> 00:15:49,549 〈一方 クルトガンたち 別のメルキトの氏族は→ 198 00:15:49,549 --> 00:15:52,552 あくまで モンゴルに抵抗する道を選び→ 199 00:15:52,552 --> 00:15:54,554 西へ逃れていった〉 200 00:15:58,558 --> 00:16:00,560 みんな 集まったな。 201 00:16:00,560 --> 00:16:03,563 (女性)どうしたのです? 急に。 202 00:16:03,563 --> 00:16:05,565 《若い女ばかり》 203 00:16:05,565 --> 00:16:07,567 (イルケ)あなたが ダイル・ウスンか。 204 00:16:07,567 --> 00:16:11,571 われわれは カンの第三皇子 オゴタイさまに 仕えている者だ。 205 00:16:11,571 --> 00:16:15,575 今は 軍の後方で待機し 補給を担っている。 206 00:16:15,575 --> 00:16:18,578 そうかい。 なら 安心だ。 207 00:16:18,578 --> 00:16:20,580 この女たちを頼むよ。 208 00:16:20,580 --> 00:16:22,582 ダイルさま!? 209 00:16:22,582 --> 00:16:27,587 おまえたちの身は モンゴルの身分ある方々に 引き取ってもらう。 210 00:16:27,587 --> 00:16:29,589 そんな…! 211 00:16:29,589 --> 00:16:32,525 ドレゲネ… みんな 聞きなさい。 212 00:16:32,525 --> 00:16:36,529 モンゴルが許してくれたのは あくまで命だけだ。 213 00:16:36,529 --> 00:16:40,533 今までの争いまで 水に流したわけじゃねえ。 214 00:16:40,533 --> 00:16:43,536 俺たちは 奴隷の身に落ちるだろう。 215 00:16:43,536 --> 00:16:45,538 だが おまえたちは違う。 216 00:16:45,538 --> 00:16:48,541 おまえたち女の人生は これからだ。 217 00:16:48,541 --> 00:16:50,543 ここで幸せにおなり。 218 00:16:52,545 --> 00:16:54,547 なあ あんた。 219 00:16:54,547 --> 00:16:57,550 ちゃんと 皇子やカンに伝えるんだぜ。 220 00:16:57,550 --> 00:17:02,555 この女たちは メルキトとは もう無関係。 この先も ずっとな。 221 00:17:02,555 --> 00:17:04,557 こ… 心得た。 222 00:17:07,560 --> 00:17:10,563 (ダイル)ドレゲネ 手を出しな。 223 00:17:16,569 --> 00:17:19,572 (ダイル)ジャダ石。 嵐を呼ぶ石だ。 224 00:17:20,573 --> 00:17:24,577 こんなものしかやれねえが 餞別だよ。 225 00:17:25,578 --> 00:17:29,582 あんたがうちに来てくれて 楽しかった。 226 00:17:30,583 --> 00:17:32,585 (ダイル)じゃあな。 227 00:17:33,519 --> 00:17:35,521 笑って生きなさい。 228 00:17:44,530 --> 00:17:48,534 (ドレゲネの声) その日の夜は ひどく静かだった。 229 00:17:50,536 --> 00:17:53,539 ⚞(兵士)馬を回せ! 早く! ⚞(兵士)りょ… 了解。 230 00:17:58,544 --> 00:18:02,548 〈燃えているような 血のような…→ 231 00:18:02,548 --> 00:18:05,551 あんな不気味な空は 見たことがなかった〉 232 00:18:05,551 --> 00:18:07,553 (兵士)何が起きたんすか? 233 00:18:07,553 --> 00:18:11,557 (兵士)反乱だ。 捕虜兵が山に立てこもりやがった! 234 00:18:11,557 --> 00:18:14,560 既に オゴタイさまの軍が 討伐に向かっている。 235 00:18:14,560 --> 00:18:16,562 クソッ! ダイル・ウスンめ。 236 00:18:16,562 --> 00:18:18,564 これだから メルキト族は信用できん。 237 00:18:19,565 --> 00:18:21,567 どいて! チュウ! 238 00:18:21,567 --> 00:18:23,569 おい! 待て! 239 00:18:27,573 --> 00:18:31,577 〈そうよ モンゴルが彼らを許しても…〉 240 00:18:33,512 --> 00:18:37,516 〈彼らは モンゴルを許してなんかいなかったの〉 241 00:18:37,516 --> 00:18:40,519 (ダイル)俺たちは 森の狩人だ。 242 00:18:40,519 --> 00:18:43,522 羊飼いどもの奴隷にはならねえ。 243 00:18:43,522 --> 00:18:46,525 (ダイルの声)ここで幸せにおなり。 244 00:18:46,525 --> 00:18:49,528 〈じゃあ あの言葉も嘘?〉 245 00:18:49,528 --> 00:18:53,532 〈いいえ きっと 全部 彼の本心だった〉 246 00:18:53,532 --> 00:18:57,536 〈だからこそ 私に何も教えてくれなかったんだわ〉 247 00:19:00,539 --> 00:19:05,544 〈でもね ダイルさまは 一つ 大きな見落としをしていた〉 248 00:19:05,544 --> 00:19:11,550 〈あの方が思うより ずっと 私は あの方を…〉 249 00:19:11,550 --> 00:19:16,555 (荒い息) 250 00:19:17,556 --> 00:19:20,559 (荒い息) 251 00:19:21,560 --> 00:19:23,562 あっ…! あっ…。 252 00:19:23,562 --> 00:19:26,565 (オゴタイ)ああ そうか。 253 00:19:26,565 --> 00:19:30,569 (オゴタイ)カムの魂は 天に昇れるんだった。 254 00:19:31,504 --> 00:19:35,508 体に穴を開けちゃ 取り逃がすわけだ。 255 00:19:36,509 --> 00:19:38,511 (オゴタイ)赤い川のようだね。 256 00:19:39,512 --> 00:19:41,514 あっ…。 257 00:19:43,516 --> 00:19:45,518 (オゴタイ)君は…。 258 00:19:50,523 --> 00:19:52,525 (イルケ)貴様 なぜ ここにいる! 259 00:19:53,526 --> 00:19:56,529 〈反乱は あっけなく鎮圧された〉 260 00:19:57,530 --> 00:20:02,535 〈クルトガンたちも 殺されてしまったって 後になって聞いたわ〉 261 00:20:04,537 --> 00:20:07,540 〈そして チンギス・カンが帰還した時→ 262 00:20:07,540 --> 00:20:10,543 反乱のことは クランの耳にも届いた〉 263 00:20:11,544 --> 00:20:13,546 〈あの子は それを聞いた時…〉 264 00:20:16,549 --> 00:20:20,553 愚かな父の招いた 当然の報いです。 265 00:20:20,553 --> 00:20:24,557 カンのご威光は 何人にも傷つけられません。 266 00:20:25,558 --> 00:20:30,563 〈クラン… あなたは あの時 どうして笑っていられたの?〉 267 00:20:30,563 --> 00:20:35,568 〈その後 私はオゴタイに嫁ぎ 生かされた〉 268 00:20:38,571 --> 00:20:40,573 (グユクの泣き声) 269 00:20:40,573 --> 00:20:42,575 〈彼の子供も産んだわ〉 270 00:20:43,576 --> 00:20:47,580 〈過ぎていく日々は穏やかだった〉 271 00:20:47,580 --> 00:20:50,583 〈けれど 私は ずっと→ 272 00:20:50,583 --> 00:20:55,588 この帝国を めちゃくちゃにするような嵐を 待っているの〉 273 00:20:56,589 --> 00:21:00,593 さっき 助けたのは あなたが笑っていたからよ。 274 00:21:00,593 --> 00:21:03,596 あの時のクランと似ていたの。 275 00:21:03,596 --> 00:21:05,598 今なら もう分かる。 276 00:21:05,598 --> 00:21:09,602 本当は どれほど悲しくて 悔しかったか 知れない。 277 00:21:10,603 --> 00:21:14,607 けれど あの子は 自分の役割を ちゃんと知っていたんだわ。 278 00:21:14,607 --> 00:21:19,612 あの時 誰よりも私が それを分かってあげるべきだったのに…。 279 00:21:21,614 --> 00:21:24,617 それで? あなた 本当は誰? 280 00:21:25,618 --> 00:21:27,620 (シタラ)私は…。 281 00:21:27,620 --> 00:21:29,622 まあ いいわ。 282 00:21:29,622 --> 00:21:31,557 あなたが誰であろうと どうせ…。 283 00:21:31,557 --> 00:21:33,559 ソルコクタニさまが おっしゃいました。 284 00:21:33,559 --> 00:21:35,561 トルイさまと大カアン。 285 00:21:35,561 --> 00:21:40,566 軍事力と権威のねじれは きっと 不幸の種になると。 286 00:21:40,566 --> 00:21:44,570 つまり 今 この国は かつてなく もろい…。 287 00:21:44,570 --> 00:21:46,572 あなた…。 288 00:21:47,573 --> 00:21:51,577 私の名はシタラ。 奴隷です。 289 00:21:51,577 --> 00:21:54,580 お仕えしていた奥さまを モンゴル軍に殺され→ 290 00:21:54,580 --> 00:21:56,582 あの方の大切な本も奪われました。 291 00:21:56,582 --> 00:22:00,586 本を取り戻すことが 私にできる最後のつとめだと。 292 00:22:00,586 --> 00:22:05,591 けれど むやみに抵抗すれば また不幸が起こるかもと…。 293 00:22:05,591 --> 00:22:10,596 それが恐ろしくて 今日まで 漫然と生きてまいりましたが→ 294 00:22:10,596 --> 00:22:13,599 きっと 私も この時を待っていたのです。 295 00:22:14,600 --> 00:22:17,603 しかし 私たちに何ができると? 296 00:22:17,603 --> 00:22:24,610 ♬~ 297 00:22:24,610 --> 00:22:26,612 知恵がございます。 298 00:22:27,613 --> 00:22:31,550 私が あなたさまの新たなジャダ石と なりましょう。 299 00:22:31,550 --> 00:22:34,553 どうか 力をお貸しください。 300 00:22:36,555 --> 00:22:40,559 2人でなら 嵐も起こせましょう。 301 00:22:41,560 --> 00:22:43,562 ♬~