1 00:00:02,635 --> 00:00:05,304 (鳥のさえずり) 2 00:00:05,304 --> 00:00:07,306 (アニスフィア)え え~。 3 00:00:07,306 --> 00:00:10,643 今日から 新しいお友達が増えました。 4 00:00:10,643 --> 00:00:13,145 シアン男爵家の レイニ嬢です! 5 00:00:13,145 --> 00:00:15,147 みんな 仲よくしよう! 6 00:00:15,147 --> 00:00:17,147 (レイニ)ぐ…。 7 00:00:20,653 --> 00:00:23,656 あ~ あ…。 8 00:00:23,656 --> 00:00:26,158 (イリア)これは失礼。 お茶ですね。 9 00:00:26,158 --> 00:00:28,160 少々 お待ちください。 10 00:00:28,160 --> 00:00:30,162 はああ…。 11 00:00:30,162 --> 00:00:33,165 (ユフィリア)レイニ嬢。 はっ…。 12 00:00:33,165 --> 00:00:35,835 あなたの事情は うかがいました。 13 00:00:35,835 --> 00:00:40,339 私が それに関して思うところは 何もありません。 14 00:00:40,339 --> 00:00:42,508 え…。 15 00:00:42,508 --> 00:00:45,678 (ユフィリア)ですが あなたは気にするでしょうね。 16 00:00:45,678 --> 00:00:49,849 責めたほうが よいのか 許したほうが よいのか…。 17 00:00:49,849 --> 00:00:53,686 難しいものです 申し訳ありません。 18 00:00:53,686 --> 00:00:56,522 はっ… そんな… おやめください! 19 00:00:56,522 --> 00:00:58,691 ユフィリア様が 謝られることなど! 20 00:00:58,691 --> 00:01:00,626 すべては 私が悪いのです! 21 00:01:00,626 --> 00:01:06,132 レイニ嬢 あなたは害意があって 私を陥れたのですか? 22 00:01:06,132 --> 00:01:09,969 いえ まさか! そのようなつもりは まったく…。 23 00:01:09,969 --> 00:01:13,305 であれば あなたの生まれ持つ不幸を 24 00:01:13,305 --> 00:01:15,305 罪には問えません。 25 00:01:17,309 --> 00:01:19,311 あ…。 26 00:01:19,311 --> 00:01:21,313 あなたにも事情があり 27 00:01:21,313 --> 00:01:23,983 助けが必要で ここへ来たのでしょう。 28 00:01:23,983 --> 00:01:28,483 それなら 私は この手を はじくことなどできません。 29 00:01:30,823 --> 00:01:33,826 あ…。 30 00:01:33,826 --> 00:01:35,828 ふ ぐぅ…。 31 00:01:35,828 --> 00:01:41,528 (泣く声) 32 00:03:24,136 --> 00:03:26,138 (ティルティ)ふ~ん。 33 00:03:26,138 --> 00:03:28,140 (ティルティ)その子が例の…。 34 00:03:28,140 --> 00:03:31,143 (ティルティ)心臓に 魔石があるんですって? 35 00:03:31,143 --> 00:03:33,312 ぐ…。 ティルティ。 36 00:03:33,312 --> 00:03:36,815 レイニは 繊細なんだから あんまり怖がらせないで。 37 00:03:36,815 --> 00:03:41,487 あなた あまたの貴族令息を とりこ にしたそうね。 38 00:03:41,487 --> 00:03:44,657 (ティルティ)そんなこと どうやって… あ…。 39 00:03:44,657 --> 00:03:46,825 んっ? どしたの? 40 00:03:46,825 --> 00:03:48,994 …なるほどね。 41 00:03:48,994 --> 00:03:51,664 先に言われてなかったら 危なかったわ。 42 00:03:51,664 --> 00:03:56,001 いま私 その子に対して 申し訳ないって思わされた。 43 00:03:56,001 --> 00:04:00,606 へえ~ 人格破綻者でも 影響 受けるんだ~。 44 00:04:00,606 --> 00:04:03,442 やっぱり すごいね レイニの魅了。 45 00:04:03,442 --> 00:04:06,612 いえ 私には何が何だか…。 46 00:04:06,612 --> 00:04:09,782 本能的に発動しているわけね。 47 00:04:09,782 --> 00:04:11,982 (ティルティ)いかにも 魔石の固有魔法らしいわ。 48 00:04:13,953 --> 00:04:15,955 ていうか これってやっぱり…。 49 00:04:15,955 --> 00:04:17,957 あれじゃないかしら。 50 00:04:17,957 --> 00:04:20,960 あ~ ティルティも そう思った? 51 00:04:20,960 --> 00:04:25,297 魔石持ちの人間なんて そうそう存在しないもの…。 52 00:04:25,297 --> 00:04:27,800 (ティルティ)間違いないわね。 あ…。 53 00:04:27,800 --> 00:04:30,500 ちょっと あれとってくるわね。 54 00:04:38,477 --> 00:04:41,313 それは? 禁書よ。 55 00:04:41,313 --> 00:04:45,985 禁書!? あの… 禁書って? 56 00:04:45,985 --> 00:04:48,988 危険な思想や 技術が記されているから 57 00:04:48,988 --> 00:04:51,323 閲覧を禁じられている本よ。 58 00:04:51,323 --> 00:04:53,659 そんなものが なぜここに!? 59 00:04:53,659 --> 00:04:56,662 いつだったかしら アニス様が持ってきたのよ。 60 00:04:56,662 --> 00:05:00,165 アニス様…。 あ まぁまぁ…。 61 00:05:00,165 --> 00:05:03,435 その辺の話は いま置いといて~。 62 00:05:03,435 --> 00:05:05,437 これは昔々の 63 00:05:05,437 --> 00:05:08,137 とある魔法使いが遺した 研究資料なの。 64 00:05:10,109 --> 00:05:12,111 (ティルティ)その魔法使いの目的は 65 00:05:12,111 --> 00:05:14,947 魔法の真理を 追求することでした。 66 00:05:14,947 --> 00:05:17,783 (ティルティ)しかし その道は果てしなく 67 00:05:17,783 --> 00:05:21,120 生涯をかけても たどりつける境地ではありません。 68 00:05:21,120 --> 00:05:24,123 そこで魔法使いは 足りない命を 69 00:05:24,123 --> 00:05:26,625 他人の命で 補うことにしました。 70 00:05:26,625 --> 00:05:29,795 それは どのように…。 71 00:05:29,795 --> 00:05:32,965 魔法使いは 魔石の力を使ったんだ。 72 00:05:32,965 --> 00:05:35,801 私の「魔薬」みたいな形ではなく 73 00:05:35,801 --> 00:05:38,303 もっと直接的に 74 00:05:38,303 --> 00:05:41,640 奪ってきた魔石を 直接 体内に埋め込んで 75 00:05:41,640 --> 00:05:44,143 自ら 魔物そのものになった。 76 00:05:44,143 --> 00:05:47,146 そして 人々の命を吸った。 77 00:05:47,146 --> 00:05:50,482 あなたたちも 子どものころ 聞いたことがあるでしょう? 78 00:05:50,482 --> 00:05:54,319 人間を惑わし 自らの同胞を増やしながら 79 00:05:54,319 --> 00:05:57,990 闇夜にまぎれて 人に あだなす者。 80 00:05:57,990 --> 00:06:00,325 恐い恐い おとぎ話の怪物。 81 00:06:00,325 --> 00:06:02,525 ヴァンパイア…。 82 00:06:05,597 --> 00:06:08,434 お待ちください 何の話でしょう。 83 00:06:08,434 --> 00:06:12,438 今は レイニ様の問題について 話し合っていたはずでは。 84 00:06:12,438 --> 00:06:14,773 ヴァンパイアに血を吸われた者は 85 00:06:14,773 --> 00:06:16,942 ヴァンパイアになる っていうよね。 86 00:06:16,942 --> 00:06:18,944 その本によると 87 00:06:18,944 --> 00:06:21,613 それってどうも 洗脳のことだったみたいで。 88 00:06:21,613 --> 00:06:23,615 洗脳…。 89 00:06:23,615 --> 00:06:26,618 つまり ヴァンパイアが 同族を増やすっていうのは 90 00:06:26,618 --> 00:06:28,954 自分にとって 都合のいいように 91 00:06:28,954 --> 00:06:31,957 「他人の認識を書き換える」 ことだったんだ。 92 00:06:31,957 --> 00:06:34,960 (ティルティ)かの魔法使いは こう考えた。 93 00:06:34,960 --> 00:06:38,464 自らの思想を受け継ぐ予備を たくさん用意して 94 00:06:38,464 --> 00:06:42,301 いつかどれかが 真理に たどりつけば それでいいと。 95 00:06:42,301 --> 00:06:44,970 外道ですね。 96 00:06:44,970 --> 00:06:48,974 (ティルティ)魔石の力で 他人の思考を操作する人間…。 97 00:06:48,974 --> 00:06:52,311 最近どこかで 聞いた話よね。 98 00:06:52,311 --> 00:06:57,149 私… ヴァンパイアなんですか…。 あ…。 99 00:06:57,149 --> 00:06:59,485 あ…。 んっ…。 100 00:06:59,485 --> 00:07:04,590 ああ うん… ヴァンパイアっていうか まぁ その子孫的なやつ? 101 00:07:04,590 --> 00:07:07,259 禁書によると 体内に取り込んだ魔石は 102 00:07:07,259 --> 00:07:10,429 遺伝するみたいだから たぶん レイニのお母さんの 103 00:07:10,429 --> 00:07:13,432 お母さんの そのまたお母さんの…。 104 00:07:13,432 --> 00:07:17,102 あ… もしレイニが自分の力を 制御できるようになったら 105 00:07:17,102 --> 00:07:19,271 逆にそれは すごいことになるよ! 106 00:07:19,271 --> 00:07:21,273 そうなんでしょうか…。 107 00:07:21,273 --> 00:07:23,442 それ おもしろそうね。 108 00:07:23,442 --> 00:07:26,945 さっそく実験… いえ 特訓をしましょう。 109 00:07:26,945 --> 00:07:30,445 (ティルティ)魔石の力を 制御したいんでしょ? あ…。 110 00:07:33,452 --> 00:07:36,288 魔力の流れが滞ってるわね…。 111 00:07:36,288 --> 00:07:38,790 今から 私の言うようにしてみて。 112 00:07:38,790 --> 00:07:42,190 は はい! すぅ…。 113 00:07:47,633 --> 00:07:49,635 ふぅ…。 114 00:07:49,635 --> 00:07:52,304 うん 初めてにしては 上々だわ。 115 00:07:52,304 --> 00:07:54,306 今日は ここまでにしましょう。 116 00:07:54,306 --> 00:07:56,475 ありがとうございました。 117 00:07:56,475 --> 00:08:00,175 おっ? レイニ その目…。 え…。 118 00:08:02,414 --> 00:08:04,416 お…。 119 00:08:04,416 --> 00:08:08,086 あ あれ… 何これ 歯が…。 120 00:08:08,086 --> 00:08:10,589 歯? あっ 牙! 121 00:08:10,589 --> 00:08:12,591 レイニ どう? 122 00:08:12,591 --> 00:08:14,760 魅了は意識して 抑えられそうかしら。 123 00:08:14,760 --> 00:08:18,931 あ はい! なんだか モヤが取れたような…。 124 00:08:18,931 --> 00:08:21,433 今なら 力の使い方が 125 00:08:21,433 --> 00:08:23,769 はっきりわかるような 気がします! 126 00:08:23,769 --> 00:08:28,273 ヴァンパイアの魔石が活性化した… 思ったとおりだわ。 127 00:08:28,273 --> 00:08:30,943 これなら あとはレイニしだいだね! 128 00:08:30,943 --> 00:08:32,945 この子の場合 魔石は 129 00:08:32,945 --> 00:08:35,447 体内にあって 当たり前のものだった。 130 00:08:35,447 --> 00:08:39,117 (ティルティ)そんな不活性化状態の方が 健全ではなかったのよ。 131 00:08:39,117 --> 00:08:43,121 だから 一度魔力の流れを…。 あの2人は すごいですね…。 132 00:08:43,121 --> 00:08:45,123 ん…。 133 00:08:45,123 --> 00:08:48,627 (ティルティ)今のレイニが 何かしている感じはしないわ。 134 00:08:48,627 --> 00:08:52,464 となると たぶん…。 ん ユフィ? どうかした? 135 00:08:52,464 --> 00:08:55,300 あ いえ… 何でも…。 136 00:08:55,300 --> 00:08:57,636 ん…。 137 00:08:57,636 --> 00:09:01,573 ああ そうだ。 これ書庫に返してこなきゃ。 138 00:09:01,573 --> 00:09:04,243 でも1人じゃ つまんないわね。 139 00:09:04,243 --> 00:09:07,246 アニス様 ちょっとユフィリア様を 借りるわよ。 140 00:09:07,246 --> 00:09:09,246 (アニスフィア/ユフィリア)はあ? 141 00:09:14,920 --> 00:09:19,424 (ティルティ)さて… それで? えっ? 142 00:09:19,424 --> 00:09:23,428 私 ただならぬ視線を 向けられていたわけだけど。 143 00:09:23,428 --> 00:09:26,265 (ティルティ)何か言いたいことが あるんじゃないかしら。 144 00:09:26,265 --> 00:09:28,433 はあ… 特には…。 145 00:09:28,433 --> 00:09:31,103 嫉妬? 146 00:09:31,103 --> 00:09:33,105 あ…。 147 00:09:33,105 --> 00:09:37,109 え 何このお嬢様 自覚なしなの? 148 00:09:37,109 --> 00:09:39,278 そう見えたのでしょうか? 149 00:09:39,278 --> 00:09:42,778 ほかの何に見えるのか 逆に聞きたいぐらいよ。 150 00:09:44,783 --> 00:09:49,283 そうですか… 私は嫉妬をしていたのですね…。 151 00:09:51,290 --> 00:09:54,459 ああ もう やりにくい子ね。 ん…。 152 00:09:54,459 --> 00:09:57,462 あなた アニス様の何なの? 153 00:09:57,462 --> 00:10:00,299 助手 ですけど…。 154 00:10:00,299 --> 00:10:04,136 だから 本気で助手のつもりなの って聞いてるの。 155 00:10:04,136 --> 00:10:06,972 あ… んっ。 156 00:10:06,972 --> 00:10:09,308 ちょっとやめてよ そんな顔。 157 00:10:09,308 --> 00:10:12,144 まるで私 悪者みたいじゃない。 158 00:10:12,144 --> 00:10:15,314 アニス様が ユフィリア様を助手にしたのは 159 00:10:15,314 --> 00:10:19,151 あなたの名誉を 回復するためなんでしょう? 160 00:10:19,151 --> 00:10:23,322 その目的はドラゴン討伐で ある程度 達成されてるし 161 00:10:23,322 --> 00:10:27,159 騒動の原因だった レイニのなぞも解明された。 162 00:10:27,159 --> 00:10:31,163 もう あなたが助手を 続ける理由なんてないじゃない。 163 00:10:31,163 --> 00:10:33,665 あ それは…。 164 00:10:33,665 --> 00:10:37,169 別に あなたの立場を 奪うつもりはないわ。 165 00:10:37,169 --> 00:10:40,505 私 アニス様の魔学や魔導具は 166 00:10:40,505 --> 00:10:42,841 おもしろいから 手を貸してるけど 167 00:10:42,841 --> 00:10:44,843 魔法使いになりたいとかいう 168 00:10:44,843 --> 00:10:48,180 アイツの馬鹿みたいな夢に 寄り添うつもりはないもの。 169 00:10:48,180 --> 00:10:50,349 そうなんですか? 170 00:10:50,349 --> 00:10:53,018 私の話は いいのよ。 171 00:10:53,018 --> 00:10:55,520 あなた自身は どうなのって話。 172 00:10:55,520 --> 00:10:58,023 どう とは…。 173 00:10:58,023 --> 00:11:01,626 たとえば アルガルド王子が 次の国王になったら 174 00:11:01,626 --> 00:11:04,296 彼に毛嫌いされてる アニス王女は 175 00:11:04,296 --> 00:11:07,466 遠い辺境の地に 追放されるかもしれない。 176 00:11:07,466 --> 00:11:10,135 あなた それに付き合えるの? 177 00:11:10,135 --> 00:11:12,137 あ…。 178 00:11:12,137 --> 00:11:16,141 そうよね 感情任せに 即答はできないわよね。 179 00:11:16,141 --> 00:11:20,741 あなたの言動には マゼンタ公爵家の 行く末が かかわるんだから。 180 00:11:22,814 --> 00:11:24,816 アニス様は 異端なのよ。 181 00:11:24,816 --> 00:11:28,320 中途半端なままで そばにいると 後悔するわ。 182 00:11:28,320 --> 00:11:31,520 (ティルティ)しっかり 考えておきなさい。 ん…。 183 00:11:33,492 --> 00:11:35,492 そうですね…。 184 00:11:43,168 --> 00:11:45,170 (ノック) 185 00:11:45,170 --> 00:11:47,172 どうぞ。 (扉が開く音) 186 00:11:47,172 --> 00:11:49,341 ヘヘッ…。 187 00:11:49,341 --> 00:11:52,511 アニス様 どうされました? (扉が閉まる音) 188 00:11:52,511 --> 00:11:57,015 うん うん~ 別に用とかは ないんだけど…。 189 00:11:57,015 --> 00:12:01,119 まぁ ちょっと ユフィの元気がなかったかな~って。 190 00:12:01,119 --> 00:12:03,419 あ… フッ。 191 00:12:06,958 --> 00:12:09,628 ユフィ いま何してた? 192 00:12:09,628 --> 00:12:11,630 なんでしょう…。 193 00:12:11,630 --> 00:12:14,633 これからのことを考えていました。 194 00:12:14,633 --> 00:12:16,635 え~? なにそれ。 195 00:12:16,635 --> 00:12:19,638 一連の騒動も 落ち着いてきましたから。 196 00:12:19,638 --> 00:12:23,642 その先のことを…。 そっか…。 197 00:12:23,642 --> 00:12:26,642 中途半端は 私も嫌ですから。 198 00:12:28,647 --> 00:12:31,447 え なに? 何でもありません。 199 00:12:34,319 --> 00:12:37,656 私は… 私自身は 200 00:12:37,656 --> 00:12:41,660 何を本気でしたいんだろうって 考えていたんです。 201 00:12:41,660 --> 00:12:43,660 答えは見つかった? 202 00:12:45,997 --> 00:12:49,167 アニス様は どうしてそんなに 魔法が好きなのですか? 203 00:12:49,167 --> 00:12:52,671 フッフフ… 突然だね~。 んん~。 204 00:12:52,671 --> 00:12:56,341 それはもう好きだからって理由に 尽きるかな~。 205 00:12:56,341 --> 00:13:00,241 たぶん 恋みたいなものだよ。 知らないけどね! 206 00:13:02,113 --> 00:13:04,213 私も 好きになりたいです。 207 00:13:06,952 --> 00:13:08,954 ねぇ ユフィ。 208 00:13:08,954 --> 00:13:11,289 私 今日ここで寝ていい? 209 00:13:11,289 --> 00:13:14,189 あ… フッ…。 210 00:13:17,629 --> 00:13:20,629 (鳥のさえずり) 211 00:13:23,134 --> 00:13:26,638 (レイニ)あ あの…。 ん…。 212 00:13:26,638 --> 00:13:28,974 ん んん…。 213 00:13:28,974 --> 00:13:32,143 レイニ様 どうかなさいましたか。 214 00:13:32,143 --> 00:13:36,314 え えと 私その…。 215 00:13:36,314 --> 00:13:41,486 また… お願いしても いいですか? 216 00:13:41,486 --> 00:13:43,655 はあ…。 217 00:13:43,655 --> 00:13:47,255 (イリア)かまいません どうぞ。 218 00:13:50,662 --> 00:13:52,664 (ティルティ)吸血衝動? 219 00:13:52,664 --> 00:13:54,666 はい…。 220 00:13:54,666 --> 00:13:58,670 レイニの魔石 私たちが 活性化させちゃったからね。 221 00:13:58,670 --> 00:14:02,607 今までよりも 魔力を消耗しやすいんだと思う。 222 00:14:02,607 --> 00:14:04,776 体が魔力不足を感じると 223 00:14:04,776 --> 00:14:08,280 吸血衝動っていう形で 現れちゃうみたいで。 224 00:14:08,280 --> 00:14:10,282 さすが ヴァンパイア。 225 00:14:10,282 --> 00:14:12,450 血に含まれてる魔力を 自分のものとして 226 00:14:12,450 --> 00:14:14,452 取り込めるってわけね。 227 00:14:14,452 --> 00:14:16,454 で 血は吸わせてるの? 228 00:14:16,454 --> 00:14:20,292 うん イリアが。 あ…。 229 00:14:20,292 --> 00:14:22,794 私たちも協力するって 言ったんだけど 230 00:14:22,794 --> 00:14:25,964 身分を考えろって しかられちゃってさ。 231 00:14:25,964 --> 00:14:30,969 イリア様には 本当に感謝しています。 (扉の開閉音) 232 00:14:30,969 --> 00:14:32,971 (イリア)姫様。 233 00:14:32,971 --> 00:14:35,807 ああ イリア。 えっ どしたの? 234 00:14:35,807 --> 00:14:37,809 暗い顔して…。 235 00:14:37,809 --> 00:14:40,645 このようなものを 預かってしまいました…。 236 00:14:40,645 --> 00:14:42,981 (イリア)魔法省からです。 237 00:14:42,981 --> 00:14:47,152 う~わ… めんどくさ…。 238 00:14:47,152 --> 00:14:50,155 クソ魔法省 なんですって? 239 00:14:50,155 --> 00:14:54,159 アニス様に講演会を 開いていただきたいとのことです。 240 00:14:54,159 --> 00:14:57,162 講演会? アニス様すごいです! 241 00:14:57,162 --> 00:14:59,998 あ~ そういうんじゃなくてね。 242 00:14:59,998 --> 00:15:03,268 要は ドラゴンの素材を いったい何に使うのか 243 00:15:03,268 --> 00:15:06,104 大勢の前で説明しろってこと。 244 00:15:06,104 --> 00:15:08,106 そうなんですか? 245 00:15:08,106 --> 00:15:11,109 あ…。 246 00:15:11,109 --> 00:15:15,113 あ… なかなか挑戦的な文面ですね。 247 00:15:15,113 --> 00:15:19,117 ねっ かかわりたくないでしょ? え えっと…。 248 00:15:19,117 --> 00:15:22,787 伝統を重んじる魔法省の エリートさん方は 249 00:15:22,787 --> 00:15:26,291 王女殿下の魔学やら 魔導具やらが 気に入らないのよ。 250 00:15:26,291 --> 00:15:31,129 精霊信仰に そぐわないだの 国民に 悪影響を及ぼすだの 251 00:15:31,129 --> 00:15:33,465 ま~た ゴチャゴチャ難癖つけて 252 00:15:33,465 --> 00:15:36,968 私の素材を取りあげようって つもりなんだよ どうせ。 253 00:15:36,968 --> 00:15:39,804 ん…。 で どうするの? 254 00:15:39,804 --> 00:15:42,307 面倒だからって 講演を断れば 255 00:15:42,307 --> 00:15:44,309 勝手に邪推されて 256 00:15:44,309 --> 00:15:47,812 よからぬウワサが 広がることになるわよねぇ? 257 00:15:47,812 --> 00:15:50,482 (ティルティ)アニス様はもちろん 周囲の人間も 258 00:15:50,482 --> 00:15:52,484 まとめて ブッたたかれちゃうんだわ~。 259 00:15:52,484 --> 00:15:54,653 それはダメだ! 260 00:15:54,653 --> 00:15:57,822 といっても どうしたもんか…。 261 00:15:57,822 --> 00:16:02,222 貴重なドラゴンの素材… 一片たりとも取られたくないぞ。 262 00:16:04,262 --> 00:16:06,931 よし こうなったら 魔法省も納得する 263 00:16:06,931 --> 00:16:09,768 壮大な 新プロダクトを打ちたてよう! 264 00:16:09,768 --> 00:16:12,604 異端児の姫様が 何を言ったところで 265 00:16:12,604 --> 00:16:15,440 納得しますかね… あの方々…。 266 00:16:15,440 --> 00:16:17,442 それな。 267 00:16:17,442 --> 00:16:20,612 ああ~ もう 魔法省め~! 268 00:16:20,612 --> 00:16:23,114 アニス様。 んっ? 269 00:16:23,114 --> 00:16:27,114 私に 任せてもらえませんか? えっ? 270 00:16:34,292 --> 00:16:39,792 (ざわめき) 271 00:16:50,475 --> 00:16:52,477 皆様 ごきげんよう。 272 00:16:52,477 --> 00:16:56,147 本日の講演を務めます アニスフィア・ウィン・パレッティアです。 273 00:16:56,147 --> 00:16:58,483 (数人の拍手) 274 00:16:58,483 --> 00:17:01,419 あら ノリの悪いお客さんたち。 275 00:17:01,419 --> 00:17:04,589 でしょうね。 ん…。 276 00:17:04,589 --> 00:17:08,259 それでは 私が討伐した ドラゴンの素材 277 00:17:08,259 --> 00:17:11,096 その用途について 開示させていただきます。 278 00:17:11,096 --> 00:17:14,265 が 本題へ入る前に 279 00:17:14,265 --> 00:17:16,935 まずは こちらの魔導具を ご覧ください。 280 00:17:16,935 --> 00:17:20,605 魔導具… あの魔学とかいう怪しげな…。 281 00:17:20,605 --> 00:17:24,776 魔法の真似事など 精霊への冒涜ではないのか? 282 00:17:24,776 --> 00:17:26,778 これは 魔女ボウキ。 283 00:17:26,778 --> 00:17:30,949 私が魔学によって編み出した 飛行用 魔導具です。 284 00:17:30,949 --> 00:17:32,951 これによって我々は 285 00:17:32,951 --> 00:17:36,287 空という 未踏の領域へ 踏み出すことができます。 286 00:17:36,287 --> 00:17:41,126 あんなもの キテレツ王女のほかに 誰が使えるというのだ バカバカしい。 287 00:17:41,126 --> 00:17:44,226 やはり 魔法も使えぬ王女様では 話になりませんな。 288 00:17:46,297 --> 00:17:49,134 《う~わ いちゃもんつける気しかないな 289 00:17:49,134 --> 00:17:51,136 このおっちゃんたち…》 290 00:17:51,136 --> 00:17:54,472 アニス様。 あ…。 291 00:17:54,472 --> 00:17:56,972 (シャルトルーズ)ん~? (足音) 292 00:17:58,977 --> 00:18:01,746 アニスフィア王女の 助手を務めております 293 00:18:01,746 --> 00:18:03,915 ユフィリア・マゼンタです。 294 00:18:03,915 --> 00:18:07,919 ここからは私が 魔法使いとしての観点を交えて 295 00:18:07,919 --> 00:18:09,921 ご説明させていただきます。 296 00:18:09,921 --> 00:18:12,924 (モーリッツ)マゼンタ公爵家の天才令嬢…。 297 00:18:12,924 --> 00:18:14,926 ぬぅ…。 298 00:18:14,926 --> 00:18:16,928 皆様 ご承知のとおり 299 00:18:16,928 --> 00:18:20,598 飛行魔法は習得も制御も 極めて困難であり 300 00:18:20,598 --> 00:18:22,767 誰もが 自由に空を飛ぶことは 301 00:18:22,767 --> 00:18:25,436 実質的に不可能とされてきました。 302 00:18:25,436 --> 00:18:29,274 しかし 飛行用魔導具は それを可能にします。 303 00:18:29,274 --> 00:18:34,279 王女殿下の研究を間近に 見てきた私が 断言いたします。 304 00:18:34,279 --> 00:18:39,450 誰でも飛べるですと? ふむ 興味深い話ですな…。 305 00:18:39,450 --> 00:18:41,452 この魔女ボウキ 306 00:18:41,452 --> 00:18:44,455 すでに開発者自身によって 実用化されています。 307 00:18:44,455 --> 00:18:46,457 しかし…。 んっ? 308 00:18:46,457 --> 00:18:48,626 この形状は いただけません。 309 00:18:48,626 --> 00:18:50,962 開発者の趣味のようですが 310 00:18:50,962 --> 00:18:53,631 安全面の観点から 問題があります。 311 00:18:53,631 --> 00:18:57,468 え~ 魔法使いが飛ぶって言ったら 普通 ホウキじゃん。 312 00:18:57,468 --> 00:18:59,804 どこの普通よ それ…。 313 00:18:59,804 --> 00:19:01,739 そこで王女殿下は 314 00:19:01,739 --> 00:19:05,243 より汎用性の高い魔導具の開発に 踏み切りました。 315 00:19:05,243 --> 00:19:07,745 こちらをご覧ください。 316 00:19:07,745 --> 00:19:11,583 (聴衆たち)おお…。 それは? 317 00:19:11,583 --> 00:19:14,252 空を舞うドラゴンのように という意味で 318 00:19:14,252 --> 00:19:16,254 「エアドラ」と名づけられました。 319 00:19:16,254 --> 00:19:20,258 こちらであれば 馬に乗る要領で 身体を固定するため 320 00:19:20,258 --> 00:19:24,095 操作性・安全性ともに 申し分ありません。 321 00:19:24,095 --> 00:19:26,931 研究が進み 量産化が実現すれば 322 00:19:26,931 --> 00:19:30,268 我が国の交通網は めざましい発展を遂げ 323 00:19:30,268 --> 00:19:34,606 それによって 莫大な経済効果を もたらすことになるでしょう。 324 00:19:34,606 --> 00:19:38,206 そういうことであれば…。 無視できぬ 研究ですな…。 325 00:19:40,278 --> 00:19:42,947 このエアドラの開発には ドラゴンの素材が 326 00:19:42,947 --> 00:19:44,949 必要不可欠となります。 327 00:19:44,949 --> 00:19:47,952 そりゃそうよね。 そもそも ドラゴンの素材を 328 00:19:47,952 --> 00:19:51,122 横取りされないために 考え出した魔導具なんだし。 329 00:19:51,122 --> 00:19:54,292 ティルティ うるさい。 …固有魔法に着想を得たものです。 330 00:19:54,292 --> 00:19:59,464 また皆様 ご承知のとおり…。 チッ。 んん…。 331 00:19:59,464 --> 00:20:03,468 むぅ 理にはかなっている…。 332 00:20:03,468 --> 00:20:08,640 だが しかしこれは 旧来の精霊信仰に対する…。 333 00:20:08,640 --> 00:20:13,140 ドラゴンの素材の用途説明については おおむね以上となります。 334 00:20:15,146 --> 00:20:18,650 まずまず だったわね。 うん さすが ユフィだ。 335 00:20:18,650 --> 00:20:20,652 ですが。 (ティルティ/アニスフィア)んっ? 336 00:20:20,652 --> 00:20:24,822 こうした革新的な研究が 魔法省の方々には 337 00:20:24,822 --> 00:20:28,159 精霊や神々への 冒涜と 捉えられてしまうことを 338 00:20:28,159 --> 00:20:30,161 私は懸念しております。 339 00:20:30,161 --> 00:20:34,499 な なんだと? 事実 冒涜ではないか! 340 00:20:34,499 --> 00:20:38,002 へっ? へぇ そこまで切り込むんだぁ? 341 00:20:38,002 --> 00:20:40,004 いや 聞いてないし…。 342 00:20:40,004 --> 00:20:42,006 あら 彼女の独断? 343 00:20:42,006 --> 00:20:45,006 やるじゃない あなたの助手。 あ…。 344 00:20:47,011 --> 00:20:50,181 世を知り ことわりを知り 魔法を知り… 345 00:20:50,181 --> 00:20:54,351 そのすべてが総合されて 魔学は 生まれています。 346 00:20:54,351 --> 00:20:57,855 それは学問であって 決して信仰や 伝統を 347 00:20:57,855 --> 00:21:00,024 ないがしろにするものでは ありません。 348 00:21:00,024 --> 00:21:04,628 たしかに王女殿下の魔学は 既存の枠を外れた 大胆な 349 00:21:04,628 --> 00:21:06,630 言い換えれば 異端で 350 00:21:06,630 --> 00:21:09,466 理解しがたいものに 見えるかもしれません。 351 00:21:09,466 --> 00:21:13,470 しかしそれは 精霊たちへの 敬意の表れなのです。 352 00:21:13,470 --> 00:21:16,306 な…。 いえ むしろ 353 00:21:16,306 --> 00:21:20,477 今まで 我らが受け継いできた 信仰や伝統あってこそ 354 00:21:20,477 --> 00:21:22,677 生まれたものなのです。 あ…。 355 00:21:24,982 --> 00:21:27,985 王女殿下が精霊の加護を 賜らなかったのは 356 00:21:27,985 --> 00:21:30,154 無才だったからでは ありません。 357 00:21:30,154 --> 00:21:34,491 その才を 精霊が お認めになったがゆえなのだと 358 00:21:34,491 --> 00:21:37,161 私は 皆様に お伝えしたく思います。 359 00:21:37,161 --> 00:21:40,164 ユフィ…。 私は思うのです。 360 00:21:40,164 --> 00:21:44,168 今こそ 我らは 変化とともに 歩むべきなのだと。 361 00:21:44,168 --> 00:21:46,837 ここまで歩んできた 礎とともに 362 00:21:46,837 --> 00:21:50,507 皆様とともに 未来を目指したく思うのです。 363 00:21:50,507 --> 00:21:53,510 本日は そのよき未来のための 364 00:21:53,510 --> 00:21:56,710 第一歩になればと 願うばかりでございます。 365 00:21:59,016 --> 00:22:04,516 (大きな拍手) 366 00:22:09,460 --> 00:22:12,660 ありがとう ユフィ…。