1 00:00:03,136 --> 00:00:08,041 (田右衛門)このように まず もみに水を吸わせまする。 2 00:00:08,041 --> 00:00:10,677 (サクナヒメ)そしたら 田にまけばよいのじゃな? 3 00:00:10,677 --> 00:00:15,115 (田右衛門)いえいえ しばし待てば もみから芽が出てきますゆえ。 4 00:00:15,115 --> 00:00:17,784 そしたら 田にまけばよいのじゃな? 5 00:00:17,784 --> 00:00:22,289 いえいえ それでは 他の雑草に 負けてしまいますゆえ➡ 6 00:00:22,289 --> 00:00:25,726 苗床にて しばし成長させるのです。 7 00:00:25,726 --> 00:00:28,795 なかなかに面倒くさいのう。 8 00:00:28,795 --> 00:00:32,633 パッと育ち パッと収穫できるような 米はないのか? 9 00:00:32,633 --> 00:00:35,302 残念ながら。 10 00:00:35,302 --> 00:00:38,639 (タマ爺)おひい様 それが稲作でございますぞ。 11 00:00:38,639 --> 00:00:41,775 時間をかけ 汗水を垂らし➡ 12 00:00:41,775 --> 00:00:45,612 日々 物言わぬ稲たちと 向き合いながら育ててゆく…。 13 00:00:45,612 --> 00:00:48,949 なにゆえ 爺がうれしそうなのじゃ? 14 00:00:48,949 --> 00:00:52,252 やっとおひい様が 豊穣神本来の務めを➡ 15 00:00:52,252 --> 00:00:54,454 始められようとしているのです。 16 00:00:54,454 --> 00:00:57,791 これ以上 喜ばしいことがありましょうか。 17 00:00:57,791 --> 00:01:01,762 ワシは全然 喜ばしくないがの。 18 00:01:04,364 --> 00:01:07,234 まあ やってみるしかないか。 19 00:02:47,140 --> 00:02:51,310 やわらかい。 もう十分じゃろ。 20 00:02:51,310 --> 00:02:53,780 おひい様 まだこちらのほうに➡ 21 00:02:53,780 --> 00:02:55,620 少しやり残しがあるようで ございます。 22 00:02:55,620 --> 00:02:57,620 (きんた)ここも 全然まだだっぺ。 23 00:02:57,620 --> 00:03:01,630 うるさい! だったら見てないで おぬしがやればよかろう。 24 00:03:01,630 --> 00:03:04,560 皆が食べる米を作るのじゃぞ。 25 00:03:04,560 --> 00:03:07,960 ししゃねえべ。 くわは それ一つしかねえんだ。 26 00:03:07,960 --> 00:03:10,470 うぅ… あっ そうじゃ。 27 00:03:10,470 --> 00:03:13,970 ならば 1人半時ごと交代で行おう。 28 00:03:13,970 --> 00:03:16,470 (ゆい)オラ くわ持ったことねえべ。 29 00:03:16,470 --> 00:03:19,310 (ミルテ)デキル? 難カシイデス…。 30 00:03:19,310 --> 00:03:23,150 では ここは それがしが。 31 00:03:23,150 --> 00:03:26,280 おひい様 ここは豊穣神としての務めを➡ 32 00:03:26,280 --> 00:03:28,950 果たすときでございますぞ。 33 00:03:28,950 --> 00:03:32,660 あぁ! もう わかったわい! 34 00:03:35,330 --> 00:03:37,730 オォ! ん? 35 00:03:42,430 --> 00:03:44,470 育ちマシタ? 苗。 36 00:03:44,470 --> 00:03:48,510 田植えまでは あと少しといったところか。 37 00:03:48,510 --> 00:03:51,270 ふむ なるほど。 38 00:03:51,270 --> 00:03:54,810 サクナ様! なんじゃ? 39 00:03:54,810 --> 00:03:57,950 それが終わりましたら 肥やし作りについて➡ 40 00:03:57,950 --> 00:04:00,150 相談申し上げたく存じまする。 41 00:04:00,150 --> 00:04:02,620 肥やし? この田にまく➡ 42 00:04:02,620 --> 00:04:06,090 簡単に申せば 土の養分にございます。 43 00:04:06,090 --> 00:04:09,260 しかし それだけではございませぬ。 44 00:04:09,260 --> 00:04:14,660 根を張らせたい春には なるべく根の養分となるものを。 45 00:04:14,660 --> 00:04:19,770 冬になれば レンゲのような土に 糧を与える草を育て➡ 46 00:04:19,770 --> 00:04:24,440 春にすき込むことで 肥沃な土壌となる地力を高めて➡ 47 00:04:24,440 --> 00:04:27,380 稲が育つのを手助けしていく。 48 00:04:27,380 --> 00:04:30,280 いつどのようなものを作り まくかによって➡ 49 00:04:30,280 --> 00:04:34,620 米の質や味にも関わる 大事な作業にございます。 50 00:04:34,620 --> 00:04:36,650 なるほどな。 51 00:04:36,650 --> 00:04:39,460 して それはどのように作るのじゃ? 52 00:04:39,460 --> 00:04:43,130 本来は牛や馬のふんなどを 用いるようでございますが➡ 53 00:04:43,130 --> 00:04:46,600 ここにはおりませぬ。 ゆえ…。 54 00:04:46,600 --> 00:04:49,100 ゆえ? 55 00:04:49,100 --> 00:04:52,040 (かいまる)あ~い。 まさか…。 56 00:04:52,040 --> 00:04:53,940 臭ぇ。 あ~い。 57 00:04:53,940 --> 00:04:57,470 ネイ ストップ! 大変 落チマス! 58 00:04:57,470 --> 00:05:00,110 これをまけというのか? 59 00:05:00,110 --> 00:05:04,450 いえいえ これはあくまで 元となるものにございます。 60 00:05:04,450 --> 00:05:07,280 これを田の横にある あちらに移し➡ 61 00:05:07,280 --> 00:05:11,290 必要なものを加えて寝かせ 肥料とするのでござりまする。 62 00:05:11,290 --> 00:05:13,660 こいなもんがあったぞ。 63 00:05:13,660 --> 00:05:16,730 うっ まさか…。 64 00:05:16,730 --> 00:05:19,960 さぁ おひい様。 初めての肥料作り➡ 65 00:05:19,960 --> 00:05:22,470 気合いを入れてまいりましょうぞ。 66 00:05:22,470 --> 00:05:25,870 待て やらん! ワシはやらんぞ! 67 00:05:25,870 --> 00:05:29,610 そうじゃ おぬしじゃ。 いいかげん 少しは働け! 68 00:05:29,610 --> 00:05:31,610 こいな臭ぇことできるか! 69 00:05:31,610 --> 00:05:35,050 そもそも オイラは 手細工でかしいできたから➡ 70 00:05:35,050 --> 00:05:37,110 野良仕事は向いてねえんだ。 71 00:05:37,110 --> 00:05:41,450 それに ゆいとミルテは おなごにございますぞ。 72 00:05:41,450 --> 00:05:44,290 このような力仕事 無理にございます。 73 00:05:44,290 --> 00:05:47,420 それを言うなら ワシじゃって立派なおなごじゃ! 74 00:05:47,420 --> 00:05:49,430 しかし 神にございます。 75 00:05:49,430 --> 00:05:52,730 何かといえば神 神と。 76 00:05:54,800 --> 00:05:57,770 この作業 それがしにお任せを。 77 00:05:57,770 --> 00:06:00,470 おめが? できるすか? 78 00:06:00,470 --> 00:06:05,640 ハハハハッ このおけにて これを あちらに移すだけでござろう。 79 00:06:05,640 --> 00:06:07,610 いくら不器用とはいえ➡ 80 00:06:07,610 --> 00:06:10,110 そのくらいのことはできましょう。 81 00:06:10,110 --> 00:06:14,080 まあ さすがに このくらいであればできるか。 82 00:06:14,080 --> 00:06:18,860 はっ しばらくはお茶でも飲んで 休んでいてくださいませ。 83 00:06:21,460 --> 00:06:25,460 ハァ…。 84 00:06:25,460 --> 00:06:28,370 粗茶? デスガ…。 85 00:06:28,370 --> 00:06:31,470 うむ…。 86 00:06:31,470 --> 00:06:34,440 まことに何の味もせんの。 87 00:06:34,440 --> 00:06:37,110 ウフフ…。 何を笑っておる? 88 00:06:37,110 --> 00:06:41,110 一つ 覚えマシタ。 ヤナトノ挨拶。 89 00:06:41,110 --> 00:06:43,280 粗茶は挨拶ではないぞ。 90 00:06:43,280 --> 00:06:45,780 ほんに大丈夫すかや? 91 00:06:45,780 --> 00:06:48,290 あんだけ でけぇずうたいしてんだ。 92 00:06:48,290 --> 00:06:53,460 力仕事の一つくらい…。 (田右衛門)うお~! 93 00:06:53,460 --> 00:06:58,360 おぉ 全部 全部こぼしてしまった! 94 00:06:58,360 --> 00:07:01,030 おぉ~! 95 00:07:03,100 --> 00:07:06,100 (田右衛門)サクナ様 サクナ様! 入るでない! 96 00:07:06,100 --> 00:07:09,110 体中臭くて どうしようもありませぬ。 97 00:07:09,110 --> 00:07:12,440 まずは川じゃ。 川に行って すべて流してまいれ。 98 00:07:12,440 --> 00:07:16,610 しかし な 何か 何か拭き取るものを…。 99 00:07:16,610 --> 00:07:20,620 誰が 持ってイキマスカ? う~。 100 00:07:23,490 --> 00:07:27,120 まったく 結局 すべてワシではないか。 101 00:07:27,120 --> 00:07:29,290 立派でございますぞ。 102 00:07:29,290 --> 00:07:31,760 虫拳で負けたのは おめだべ。 103 00:07:31,760 --> 00:07:33,800 やかましいわい! 104 00:07:33,800 --> 00:07:36,970 何か気になるかや? 105 00:07:36,970 --> 00:07:41,940 近づくなって言ってるべ。 106 00:07:41,940 --> 00:07:43,940 まったく…。 107 00:07:43,940 --> 00:07:48,110 爺 もう少し右じゃ。 腰が痛くてかなわん。 108 00:07:48,110 --> 00:07:51,280 かしこまりました。 109 00:07:51,280 --> 00:07:53,280 あの…。 110 00:07:53,280 --> 00:07:55,290 サクナ。 111 00:07:57,290 --> 00:07:59,790 また 失敗したのか。 112 00:07:59,790 --> 00:08:03,630 あむ…。 ヤナトの食材 難シイ…。 113 00:08:03,630 --> 00:08:07,300 どうやら 蓄えてあった肉も 底を尽きた様子。 114 00:08:07,300 --> 00:08:09,300 田植えが終わりましたら➡ 115 00:08:09,300 --> 00:08:11,430 また狩りに行かねばなりませぬな。 116 00:08:11,430 --> 00:08:14,270 このうえ 狩りにまで出ろと申すのか? 117 00:08:14,270 --> 00:08:18,140 まんず ここの大人は何一つ使えねえ。 118 00:08:18,140 --> 00:08:21,440 料理もダメなら 力仕事もダメ。 119 00:08:21,440 --> 00:08:24,010 ダメダメづくしだべ。 120 00:08:24,010 --> 00:08:26,520 なら食うでない! あ? 121 00:08:26,520 --> 00:08:29,950 おぬし ここに来て 何もしておらぬではないか。 122 00:08:29,950 --> 00:08:33,620 そのような者に 文句を言われる筋合いなどないぞ。 123 00:08:33,620 --> 00:08:38,130 フン できもしねえことを 無理にやろうとしねえだけだ。 124 00:08:38,130 --> 00:08:42,400 やれば コイツらみてぇに 面倒しか起こさねえからな。 125 00:08:44,800 --> 00:08:49,940 あやつめ いったん懲らしめねば わからぬようじゃな。 126 00:08:49,940 --> 00:08:53,610 うお~! 面目次第もござりませぬ! 127 00:08:53,610 --> 00:08:57,280 それがしが それがしが 不甲斐ないばかりに。 128 00:08:57,280 --> 00:08:59,280 泣くな! 129 00:09:04,690 --> 00:09:07,960 痛っ! イタタタ…。 130 00:09:07,960 --> 00:09:10,760 ハァ ココロワ…。 131 00:09:12,830 --> 00:09:17,900 ⦅ココロワ 『片恋物語』のここの一節 ワシは感動したぞ。 132 00:09:17,900 --> 00:09:23,010 書いた者は天才じゃな。 (ココロワヒメ)クフフフ…⦆ 133 00:09:23,010 --> 00:09:26,510 都は 楽しかったのう…。 134 00:09:35,150 --> 00:09:37,190 (アシグモ)なるほどな。 135 00:09:37,190 --> 00:09:40,020 ぶしつけに そのような願いを申しても➡ 136 00:09:40,020 --> 00:09:43,490 やはり聞き入れるのは 難しいとは思うが。 137 00:09:43,490 --> 00:09:46,700 いや 考えてみよう。 138 00:09:50,830 --> 00:09:52,800 おぉ! 139 00:09:56,970 --> 00:10:00,480 こうして 水を入れ土をならす。 140 00:10:00,480 --> 00:10:06,420 代かきを行い 田植えの備えが 整いましてござりまする。 141 00:10:06,420 --> 00:10:08,420 田んぼっぽくなりすたね。 142 00:10:08,420 --> 00:10:12,320 やっとか。 だが 美しいの。 143 00:10:12,320 --> 00:10:14,790 さすがワシが耕した田じゃ。 144 00:10:14,790 --> 00:10:18,330 (田右衛門)サクナ様。 145 00:10:18,330 --> 00:10:20,800 これが幼き苗でござりまする。 146 00:10:20,800 --> 00:10:24,170 おお こんなに育ったのか。 147 00:10:24,170 --> 00:10:28,640 おひい様 最初の苗は ぜひともおひい様が。 148 00:10:28,640 --> 00:10:30,640 うむ。 149 00:10:37,810 --> 00:10:39,820 やわらかいのう。 150 00:10:39,820 --> 00:10:43,220 そして ほのかにぬくもりを感じる。 151 00:10:43,220 --> 00:10:45,150 それが田にございます。 152 00:10:45,150 --> 00:10:47,160 おひい様は豊穣神。 153 00:10:47,160 --> 00:10:51,830 土の力を より感じられているので ございましょう。 154 00:10:51,830 --> 00:10:55,330 普通に挿せばよいのか? 155 00:10:55,330 --> 00:10:58,800 筆を持つるときのごとく 指は3本添え➡ 156 00:10:58,800 --> 00:11:00,840 と書いてありまする。 157 00:11:00,840 --> 00:11:04,670 筆を持つときのように… こうか。 158 00:11:04,670 --> 00:11:07,610 それを 浅すぎず 深すぎぬよう➡ 159 00:11:07,610 --> 00:11:10,810 おおよそ 指の節2つ分くらいの位置まで➡ 160 00:11:10,810 --> 00:11:12,820 土の中に挿する。 161 00:11:12,820 --> 00:11:16,720 ええと こうじゃな。 162 00:11:16,720 --> 00:11:18,760 おぉ 倒れてきたぞ。 163 00:11:18,760 --> 00:11:22,330 代かきが終わったあとの やわらかい土では➡ 164 00:11:22,330 --> 00:11:24,330 倒れてくることもあるゆえ➡ 165 00:11:24,330 --> 00:11:28,460 土に拳で大きな穴を開けぬように 気をつけつつ…。 166 00:11:28,460 --> 00:11:31,470 難しいのう。 167 00:11:31,470 --> 00:11:33,640 最後に軽く手前に引きて➡ 168 00:11:33,640 --> 00:11:37,540 土に引っかけるようにするとよし とありまする。 169 00:11:37,540 --> 00:11:40,510 軽く手前に…。 170 00:11:44,950 --> 00:11:46,950 おぉ! 171 00:11:46,950 --> 00:11:51,450 おひい様 それが米となる稲でございます。 172 00:11:51,450 --> 00:11:56,960 豊穣神が育むべき ヤナトの心とも言える作物。 173 00:11:56,960 --> 00:11:58,960 これが…。 174 00:11:58,960 --> 00:12:02,500 米は豊穣神にとって特別なもの。 175 00:12:02,500 --> 00:12:08,970 食すことによって おひい様に 更なる力を与えもするでしょう。 176 00:12:08,970 --> 00:12:10,940 力…。 177 00:12:10,940 --> 00:12:15,350 より強き神の力。 神気にございます。 178 00:12:15,350 --> 00:12:19,150 その力が強くなれば 鬼たちとの戦いや➡ 179 00:12:19,150 --> 00:12:22,120 勅を果たす手助けにも なりましょう。 180 00:12:22,120 --> 00:12:25,120 まことか? さすれば都に…。 181 00:12:25,120 --> 00:12:28,420 いずれ…。 よし やるぞ! 182 00:12:28,420 --> 00:12:33,130 これを育てれば たらふく米が食えるのじゃな。 183 00:12:33,130 --> 00:12:36,800 たらふく…。 大飯食らいのおめには➡ 184 00:12:36,800 --> 00:12:39,470 こればっこ米じゃ まったく足りねえべ。 185 00:12:39,470 --> 00:12:42,810 いや そういうことではなく。 ん? 186 00:12:42,810 --> 00:12:46,180 いや 何でもない。 187 00:12:55,180 --> 00:12:57,580 お~い 戻ったぞ。 188 00:12:57,580 --> 00:12:59,580 ん? 189 00:13:01,590 --> 00:13:04,590 何をしておる? おぉ サクナ様。 190 00:13:04,590 --> 00:13:06,620 おかえりなさいませ。 191 00:13:06,620 --> 00:13:09,260 そろそろ雑草が 生えてまいりましたゆえ➡ 192 00:13:09,260 --> 00:13:12,260 取り除こうと… おぉ! 193 00:13:12,260 --> 00:13:14,770 何をしておる! 稲は無事か? 194 00:13:14,770 --> 00:13:17,440 お おぉ かろうじて…。 195 00:13:17,440 --> 00:13:20,270 ハァ まったく。 196 00:13:20,270 --> 00:13:23,110 おぬしはもうよい ワシがやる。 197 00:13:23,110 --> 00:13:25,610 それで 雑草というのは? 198 00:13:25,610 --> 00:13:28,750 あそこと あそこにもありすよ。 199 00:13:28,750 --> 00:13:31,250 あれから たった数日ではないか。 200 00:13:31,250 --> 00:13:33,250 なのに こんなに…。 201 00:13:33,250 --> 00:13:36,920 たっぷりと 養分が蓄えられた土ですからな。 202 00:13:36,920 --> 00:13:41,430 あらゆる草木が育ちやすいのです。 こまめに省き➡ 203 00:13:41,430 --> 00:13:45,100 稲に養分が集まるようにするのが 肝心ですぞ。 204 00:13:45,100 --> 00:13:48,770 ハァ いちいち面倒じゃのう。 205 00:13:48,770 --> 00:13:52,240 これか。 206 00:13:52,240 --> 00:13:54,640 そして よっと…。 207 00:13:54,640 --> 00:13:57,440 サクナ。 おっ ミルテ。 208 00:13:57,440 --> 00:14:01,250 鹿肉を持ってきたぞ。 こよいは鹿三昧じゃ! 209 00:14:04,580 --> 00:14:06,580 これは? 210 00:14:06,580 --> 00:14:09,250 テクサリの団子にござりまする。 211 00:14:09,250 --> 00:14:13,090 それがしの地方では 彼岸花と呼んでおりました。 212 00:14:13,090 --> 00:14:16,930 毒はありますが 根をすり潰して水にさらせば➡ 213 00:14:16,930 --> 00:14:18,930 食すことができまする。 214 00:14:18,930 --> 00:14:21,430 し 鹿は? 215 00:14:21,430 --> 00:14:23,430 すみません。 216 00:14:23,430 --> 00:14:26,440 かいまるが泣きだし あやしておったところ➡ 217 00:14:26,440 --> 00:14:29,610 焦げ付かせてしまったようで。 218 00:14:29,610 --> 00:14:33,610 ワシが獲ってきたものを 無駄にしたというのか。 219 00:14:33,610 --> 00:14:36,280 それで このような毒団子に…。 220 00:14:36,280 --> 00:14:38,920 毒ダンゴ…。 221 00:14:38,920 --> 00:14:41,750 オラは これ好きだけんども。 222 00:14:41,750 --> 00:14:43,920 そういうことを 申しておるのではな…。 223 00:14:43,920 --> 00:14:46,120 おひい様! 224 00:14:48,430 --> 00:14:52,600 次からは 困ったときはきちんと申せ。 225 00:14:52,600 --> 00:14:56,730 うん。 226 00:14:56,730 --> 00:14:58,740 どちらへ? 227 00:15:01,940 --> 00:15:06,410 米ができるまでの辛抱じゃ。 228 00:15:06,410 --> 00:15:09,210 立っているのもつらいの…。 229 00:15:17,920 --> 00:15:19,920 徒長に注意するよう…。 230 00:15:19,920 --> 00:15:22,990 徒長とはなんじゃ? 231 00:15:22,990 --> 00:15:25,030 ん? なんじゃ? 232 00:15:25,030 --> 00:15:29,630 サクナ様 少々 お伝えしとうことがござります。 233 00:15:29,630 --> 00:15:33,670 わびならよいぞ。 いくらわびられても腹は膨れぬ。 234 00:15:33,670 --> 00:15:36,410 それよりも…。 そのことにござりまする。 235 00:15:36,410 --> 00:15:38,440 そのこと? 236 00:15:38,440 --> 00:15:41,080 おひい様 もしや今年の稲が➡ 237 00:15:41,080 --> 00:15:44,580 たらふく食べられるだけ 収穫をもたらすとお思いでは? 238 00:15:44,580 --> 00:15:46,580 違うのか? 239 00:15:46,580 --> 00:15:50,560 やはり。 どういう意味じゃ? 240 00:15:50,560 --> 00:15:55,760 ここにある稲すべてが育ち 収穫したとしてもおそらく➡ 241 00:15:55,760 --> 00:16:00,300 とれる量は もって数日でしょう。 は? 242 00:16:00,300 --> 00:16:03,730 それに質も まだまだにございます。 243 00:16:03,730 --> 00:16:07,810 おそらく おひい様に 十分な力を与えるような力は➡ 244 00:16:07,810 --> 00:16:09,770 この米には…。 245 00:16:09,770 --> 00:16:12,140 は 話が違うではないか。 246 00:16:12,140 --> 00:16:14,780 たらふく食べられると 申したではないか。 247 00:16:14,780 --> 00:16:18,280 米がワシに力を与えると 申したではないか。 248 00:16:18,280 --> 00:16:20,280 ワシをだましたのか? 249 00:16:20,280 --> 00:16:22,720 ゆくゆくはでございます。 250 00:16:22,720 --> 00:16:27,960 それがしも そのつもりで 申しておったのですが…。 251 00:16:27,960 --> 00:16:33,930 何年かかる? たらふく食い 質のいい米を作るのに何年じゃ? 252 00:16:33,930 --> 00:16:36,630 2年か 3年か? 253 00:16:36,630 --> 00:16:39,270 それは なんとも…。 254 00:16:39,270 --> 00:16:43,270 稲作とは本来 長い年月をかけて➡ 255 00:16:43,270 --> 00:16:46,940 少しずつ改め 工夫し よくしていくもの。 256 00:16:46,940 --> 00:16:50,110 一朝一夕には できないものにございます。 257 00:16:50,110 --> 00:16:52,120 何年じゃと聞いておる! 258 00:16:52,120 --> 00:16:57,120 おそらく10年以上は…。 259 00:16:57,120 --> 00:16:59,090 おひい様! 260 00:16:59,090 --> 00:17:01,130 もうたくさんじゃ。 261 00:17:01,130 --> 00:17:03,130 ワシは何も怠けとらんぞ。 262 00:17:03,130 --> 00:17:07,160 爺の申すとおり 怒りをこらえ 体にむち打ち➡ 263 00:17:07,160 --> 00:17:09,430 空腹にも耐えて やってきたではないか。 264 00:17:09,430 --> 00:17:11,440 なのに この仕打ちか! 265 00:17:11,440 --> 00:17:14,110 違います 爺は そのようなつもりでは…。 266 00:17:14,110 --> 00:17:16,110 黙れ! 267 00:17:16,110 --> 00:17:18,110 おひい様! 268 00:17:18,110 --> 00:17:21,550 なじょすんのっしゃ? 269 00:17:21,550 --> 00:17:23,550 もう限界じゃ。 270 00:17:23,550 --> 00:17:27,450 どいつもこいつも よってたかって ワシを苦しめおって。 271 00:17:27,450 --> 00:17:29,450 もう我慢ならん。 272 00:17:29,450 --> 00:17:34,830 都に帰って 広い部屋で 大の字になって寝てやる。 273 00:17:34,830 --> 00:17:36,890 勅命など知らん。 274 00:17:36,890 --> 00:17:39,760 何もかも知らん! 知らん知らん知らん知らん! 275 00:17:39,760 --> 00:17:42,170 知らんぞ~! 276 00:17:47,440 --> 00:17:49,610 わ~! 277 00:17:49,610 --> 00:17:52,110 死ぬかと思った…。 278 00:17:52,110 --> 00:17:56,010 夜の荒れた海が これほど恐ろしいとは。 279 00:17:56,010 --> 00:17:59,680 とても都など無理じゃ。 280 00:18:06,960 --> 00:18:10,630 (田右衛門)サクナ様 サクナ様! 281 00:18:13,860 --> 00:18:17,030 やはり ここでござりましたか。 282 00:18:20,300 --> 00:18:22,970 これ。 オラも。 283 00:18:26,280 --> 00:18:30,210 これは… きれいになっておる。 284 00:18:30,210 --> 00:18:34,290 言ったべ。 うちは 手細工でかしいできたって。 285 00:18:34,290 --> 00:18:37,620 材料ねえから できんのは そんくれぇだけんども。 286 00:18:37,620 --> 00:18:40,620 オラも 織機があれば➡ 287 00:18:40,620 --> 00:18:42,590 もっといろんなもん こさえられっけど➡ 288 00:18:42,590 --> 00:18:45,100 今はそいだけす。 289 00:18:45,100 --> 00:18:48,430 いつの間に? 290 00:18:48,430 --> 00:18:53,100 ヘロークトした鹿肉 くん製デス。 291 00:18:53,100 --> 00:18:55,870 保存食ヨイ 思イマシタ。 292 00:18:57,940 --> 00:19:01,250 それだけではございませぬぞ。 293 00:19:04,250 --> 00:19:06,280 これは…。 294 00:19:06,280 --> 00:19:09,120 アシグモ族が トヨハナ様とともに➡ 295 00:19:09,120 --> 00:19:11,760 かつて開いた 水田にござりまする。 296 00:19:11,760 --> 00:19:14,760 それがしが アシグモ族に相談したところ➡ 297 00:19:14,760 --> 00:19:16,930 使わせてくれると。 298 00:19:16,930 --> 00:19:19,600 しかし もみはどうする? 299 00:19:19,600 --> 00:19:22,100 まいたもの以外には ないのじゃろ? 300 00:19:22,100 --> 00:19:26,400 それも アシグモ族のねぐらに 残されていたものを➡ 301 00:19:26,400 --> 00:19:28,110 分けてもらいました。 302 00:19:28,110 --> 00:19:33,280 この田すべてから収穫できれば かなりの量になりまする。 303 00:19:33,280 --> 00:19:37,780 なにゆえ 先に申さなかった? 304 00:19:37,780 --> 00:19:40,920 いや またそれがしが すべてをダメにし➡ 305 00:19:40,920 --> 00:19:44,090 サクナ様をガッカリさせてしまうのでは ないかと。 306 00:19:44,090 --> 00:19:46,090 できあがるまで➡ 307 00:19:46,090 --> 00:19:49,760 黙っておるつもりだったようで ありますぞ。 308 00:19:49,760 --> 00:19:55,170 人の子が 神に気を遣うでない。 309 00:19:59,270 --> 00:20:02,740 さぁ 田植えを始めようぞ。 310 00:20:06,580 --> 00:20:10,450 とは申したものの…。 311 00:20:10,450 --> 00:20:15,250 さすが広いだけあって これはなかなか…。 312 00:20:15,250 --> 00:20:17,290 ふぅ ふぅ…。 313 00:20:17,290 --> 00:20:20,760 腰が 痛いデス。 314 00:20:20,760 --> 00:20:23,160 う~い う~い! 315 00:20:25,430 --> 00:20:29,100 や~い や~い! 316 00:20:29,100 --> 00:20:32,600 やめせ かいまる! あっち行きさい! 317 00:20:32,600 --> 00:20:34,970 オメエも寄るなって言ってるべ。 318 00:20:34,970 --> 00:20:39,040 もうダメじゃ。 ワシは狩りもあるのじゃ。 319 00:20:39,040 --> 00:20:40,950 残りはおぬしらでやれ。 320 00:20:40,950 --> 00:20:44,280 おだづなよ。 ここの田起こししたの➡ 321 00:20:44,280 --> 00:20:47,590 誰だと思ってんだっぺ? なんじゃと! 322 00:20:47,590 --> 00:20:50,920 あ~い! 323 00:20:50,920 --> 00:20:53,760 静ねごだ あっちいけって言ってるべ! 324 00:20:53,760 --> 00:20:56,090 ケンカ ヤめましょう。 325 00:20:56,090 --> 00:20:58,930 タウエするタノしく。 326 00:20:58,930 --> 00:21:01,770 ヤメナサイ! 327 00:21:01,770 --> 00:21:07,610 ♬「根付きの悪さぁヨー」 328 00:21:07,610 --> 00:21:13,540 ♬「心根弱さぁヨー」 329 00:21:13,540 --> 00:21:24,420 ♬「泥に足沈め 腰を折る」 330 00:21:24,420 --> 00:21:27,090 と! 331 00:21:27,090 --> 00:21:29,090 なんじゃ 今のは。 332 00:21:29,090 --> 00:21:31,100 田植唄だ。 333 00:21:31,100 --> 00:21:34,600 さよう。 百姓仕事とは➡ 334 00:21:34,600 --> 00:21:38,600 喜びにたどり着くまでが 長く険しいものにござる。 335 00:21:38,600 --> 00:21:42,240 話し込むと不平も増え 気が滅入る。 336 00:21:42,240 --> 00:21:45,910 そこで先人たちは 歌うことにしたのですな。 337 00:21:45,910 --> 00:21:48,950 歌えばつらさも紛れる。 338 00:21:48,950 --> 00:21:55,350 ♬「苗の細さぁヨー」 339 00:21:55,350 --> 00:22:00,590 ♬「吾が身細さぁヨー」 340 00:22:00,590 --> 00:22:05,600 たまげたな。 オイラとおっさんは つがう国の生まれだけんとも➡ 341 00:22:05,600 --> 00:22:08,600 歌は同じだ。 続きは…。 342 00:22:08,600 --> 00:22:19,610 ♬「空き腹で願う 黄金原」 343 00:22:19,610 --> 00:22:22,610 ほう。 いい歌デス! 344 00:22:22,610 --> 00:22:28,020 いかがですか? サクナ様も。 345 00:22:28,020 --> 00:22:30,750 ええい こうなりゃヤケじゃ! 346 00:22:30,750 --> 00:22:33,920 では ご一緒に。 347 00:22:33,920 --> 00:22:45,940 ♬「植えよ根付けよ」 348 00:22:45,940 --> 00:22:51,610 ♬「根付きの悪さぁヨー(ホイホイ)」 349 00:22:51,610 --> 00:22:57,780 ♬「心根弱さぁヨー(ホイセ)」 350 00:22:57,780 --> 00:23:03,950 ♬「泥に足沈め(ホイホイ)」 351 00:23:03,950 --> 00:23:09,590 ♬「腰を折る(ヨッホイセー)」 352 00:23:09,590 --> 00:23:15,800 ♬「苗の細さぁヨー(ホイホイ)」 353 00:23:15,800 --> 00:23:21,970 ♬「吾が身細さぁヨー(ホイセ)」 354 00:23:21,970 --> 00:23:27,950 ♬「空き腹で願う (ホイホイ)」 355 00:23:27,950 --> 00:23:33,980 ♬「黄金原(ヨッホイセー)」 356 00:23:33,980 --> 00:23:41,760 ♬「植えよ根付けよ」 357 00:23:46,130 --> 00:23:49,930 ♬「茎の伸びるはぁヨー(ホイホイ)」 358 00:23:49,930 --> 00:23:56,970 ♬「詫びし 意気地だぁヨー(ホイセ)」 359 00:23:56,970 --> 00:24:02,750 ♬「畔にはもたれず(ホイホイ)」 360 00:24:02,750 --> 00:24:08,150 ♬「日を受ける(ヨッホイセー)」