1 00:00:05,005 --> 00:00:08,675 (きんた)こいが 鍛冶小屋かや? 2 00:00:08,675 --> 00:00:12,012 (ミルテ)スバらしい! (サクナヒメ)感謝するのじゃぞ。 3 00:00:12,012 --> 00:00:15,682 まったく ここまで大変じゃとは 思わなんだぞ。 4 00:00:15,682 --> 00:00:18,852 アシグモの手まで借りるとは。 5 00:00:18,852 --> 00:00:20,854 あ おい こら。 6 00:00:20,854 --> 00:00:24,191 おい 礼くらいしろと 申しておるのじゃ。 7 00:00:24,191 --> 00:00:28,362 今 手離せねえべ。 あとにしてくんねえか? 8 00:00:28,362 --> 00:00:32,532 おぬしな…。 (ゆい)きんた 水持ってきたよ。 9 00:00:32,532 --> 00:00:34,535 そこに置いてけろ。 10 00:00:34,535 --> 00:00:37,871 あと 2人とも邪魔だ。 出てってくんねえか。 11 00:00:37,871 --> 00:00:40,207 なっ… おぬしな! 12 00:00:40,207 --> 00:00:42,409 わかった。 えっ? 13 00:00:45,045 --> 00:00:47,047 あ おい! 14 00:02:30,017 --> 00:02:33,353 少しは言い返したほうがよいぞ。 15 00:02:33,353 --> 00:02:37,190 (ゆい)いいんすよ。 オラが勝手にやってることだから。 16 00:02:37,190 --> 00:02:39,192 じゃがのう…。 17 00:02:39,192 --> 00:02:43,030 やりてぇこと 見つけられて よかったっちゃ。 18 00:02:43,030 --> 00:02:47,534 (タマ爺)聞くに きんたと ゆいは 田右衛門と出会う前から➡ 19 00:02:47,534 --> 00:02:49,536 共に旅していたとのこと。 20 00:02:49,536 --> 00:02:51,538 いろいろあるのでございましょう。 21 00:02:51,538 --> 00:02:53,540 じゃがな…。 22 00:02:53,540 --> 00:02:56,209 ん? これは…。 23 00:02:56,209 --> 00:02:59,713 おい でかいの! 水じゃ 水がないぞ! 24 00:02:59,713 --> 00:03:03,650 (田右衛門)おぉ そろそろ よき頃でござりまするな。 25 00:03:03,650 --> 00:03:05,819 何をのんびりしておる? 26 00:03:05,819 --> 00:03:09,156 いえ これは巻物にあった中干し。 27 00:03:09,156 --> 00:03:11,825 わざと 水を抜いたのでござりまする。 28 00:03:11,825 --> 00:03:13,827 わざと? 29 00:03:13,827 --> 00:03:16,830 こうして水を抜くことで 分けつを抑え➡ 30 00:03:16,830 --> 00:03:19,100 稲の根も元気になるのでござる。 31 00:03:19,100 --> 00:03:23,303 ミルテ! ワカりました! 32 00:03:26,673 --> 00:03:30,010 しかし 稲というのは つくづく面倒くさいのう。 33 00:03:30,010 --> 00:03:32,012 いい米を作るというのは➡ 34 00:03:32,012 --> 00:03:35,015 それだけ手間ひまがかかる ということですぞ。 35 00:03:35,015 --> 00:03:39,853 (鳴き声) 36 00:03:39,853 --> 00:03:42,522 おぉ なんじゃこれは? 37 00:03:42,522 --> 00:03:45,358 かいまるが連れてきた 鴨にござりまする。 38 00:03:45,358 --> 00:03:47,694 ん? (かいまる)や~い! 39 00:03:47,694 --> 00:03:50,197 その鴨は稲のため。 40 00:03:50,197 --> 00:03:53,033 土をかくはんし 稲につく虫や雑草を➡ 41 00:03:53,033 --> 00:03:56,870 食うのでござりまする。 虫や雑草を…。 42 00:03:56,870 --> 00:04:02,142 夏はとりわけ 雑草も虫も 増える季節でござりますゆえ➡ 43 00:04:02,142 --> 00:04:05,812 人の手では 到底 虫取りが追いつきませぬ。 44 00:04:05,812 --> 00:04:09,149 それで鴨を…。 (猫の鳴き声) 45 00:04:09,149 --> 00:04:11,151 ね~う~。 46 00:04:11,151 --> 00:04:13,153 猫? いつの間に? 47 00:04:13,153 --> 00:04:15,989 いかん 合鴨から離さねば。 48 00:04:15,989 --> 00:04:19,159 ニャー! 49 00:04:19,159 --> 00:04:21,828 ワンワン ワンワン! 50 00:04:21,828 --> 00:04:23,830 大騒ぎでございますな。 51 00:04:23,830 --> 00:04:26,166 手分けして集めねば。 52 00:04:26,166 --> 00:04:30,504 まったく手が足りんぞ。 他の者はどうしておるのじゃ。 53 00:04:30,504 --> 00:04:32,506 きんたは アソコ…。 54 00:04:32,506 --> 00:04:37,010 またか。 かいまる その猫を押さえておくのじゃぞ。 55 00:04:37,010 --> 00:04:39,012 あ~い! 56 00:04:39,012 --> 00:04:41,014 おい! きん…。 57 00:04:41,014 --> 00:04:43,850 熱っ! よくこの暑い最中に➡ 58 00:04:43,850 --> 00:04:47,687 このようなところに こもっておられるな。 59 00:04:47,687 --> 00:04:52,359 おい 聞いておるのか? きんた! こら きんた! 60 00:04:52,359 --> 00:04:55,362 ん? なんだ おめか。 61 00:04:55,362 --> 00:04:57,364 なんだとはなんじゃ。 62 00:04:57,364 --> 00:04:59,866 よいか? 鍛冶小屋ができたからといって➡ 63 00:04:59,866 --> 00:05:03,470 ここに こもっておって よいわけではないぞ。 稲作は…。 64 00:05:03,470 --> 00:05:06,807 今 大切なところだ。 あとにしてくんねえか? 65 00:05:06,807 --> 00:05:08,975 なっ… ん? 66 00:05:08,975 --> 00:05:12,646 なんじゃ。 ちゃんと飲んだのではないか。 67 00:05:12,646 --> 00:05:14,648 あ? なにゆえ➡ 68 00:05:14,648 --> 00:05:16,817 ゆいに ああきつく当たるのじゃ? 69 00:05:16,817 --> 00:05:19,486 すべて おぬしを思ってのことじゃぞ。 70 00:05:19,486 --> 00:05:23,490 別に…。 おめには関わりねえことだべ。 71 00:05:23,490 --> 00:05:26,993 ゆいのことが嫌いなのか? 72 00:05:26,993 --> 00:05:30,830 麓の世にいるときから ずっと一緒におったのであろう? 73 00:05:30,830 --> 00:05:33,333 それであれば…。 74 00:05:33,333 --> 00:05:36,670 出てけ。 75 00:05:36,670 --> 00:05:39,673 解せぬ。 ゆいは もともと➡ 76 00:05:39,673 --> 00:05:42,676 あのような性格で ございますからな。 77 00:05:42,676 --> 00:05:45,178 じゃが あれだけの仕打ちを受けて➡ 78 00:05:45,178 --> 00:05:48,682 文句の一つも出ぬというのは いったい…。 79 00:05:48,682 --> 00:05:50,684 む? 何か? 80 00:05:50,684 --> 00:05:52,686 もしや…。 81 00:05:54,854 --> 00:05:58,858 恋? オラが きんたに? 82 00:05:58,858 --> 00:06:01,962 その赤らめた頬が 何よりの証し。 83 00:06:01,962 --> 00:06:05,966 いや で でも…。 そうであれば話は早い。 84 00:06:05,966 --> 00:06:09,636 ここにすべて どうすればよいかは書いてある。 85 00:06:09,636 --> 00:06:12,806 『片恋物語』? 86 00:06:12,806 --> 00:06:14,808 朧月香子の傑作じゃ。 87 00:06:14,808 --> 00:06:19,479 恋するおなごと おのこの心が こと細かに書かれておる。 88 00:06:19,479 --> 00:06:22,649 これによるとじゃな…。 89 00:06:22,649 --> 00:06:27,153 ゆい 何か得意なことはないか? 得意なこと? 90 00:06:27,153 --> 00:06:29,656 そうじゃ まず得意なことを極め➡ 91 00:06:29,656 --> 00:06:31,992 おぬしが 魅力あるおなごになることじゃ。 92 00:06:31,992 --> 00:06:35,829 さすれば おのこもしぜんと おぬしを気にかけるとある。 93 00:06:35,829 --> 00:06:37,831 ま 待ってけらい。 94 00:06:37,831 --> 00:06:41,334 オラ 別に きんたに 気にかけてほしいわけじゃ…。 95 00:06:41,334 --> 00:06:45,338 では 今のままでよいと申すのか? そいは…。 96 00:06:45,338 --> 00:06:48,008 せっかく ここまで尽くしておるのじゃ。 97 00:06:48,008 --> 00:06:50,677 仲よくなりたいのではないのか? 98 00:06:50,677 --> 00:06:53,346 そいは そう思うけんども…。 99 00:06:53,346 --> 00:06:58,852 じゃろう? ささ 申せ申せ! 得意なものは何じゃ? 100 00:06:58,852 --> 00:07:02,856 特にねえけど しいて語んなら…。 101 00:07:04,791 --> 00:07:07,961 おぉ! ありがとうござりす。 102 00:07:07,961 --> 00:07:10,463 まさか ほんに 機織り小屋 建ててもらえるとは➡ 103 00:07:10,463 --> 00:07:12,632 思ってなかったっちゃ。 104 00:07:12,632 --> 00:07:16,636 おぬしが 織機だけでなく 小屋も欲しいと申したのじゃろが。 105 00:07:16,636 --> 00:07:20,974 機織りするのに どうしても 部屋をこさえてほしかったっす。 106 00:07:20,974 --> 00:07:24,978 なにゆえじゃ? まあ いろいろ理由はありすけど。 107 00:07:24,978 --> 00:07:28,481 とにかく そういうわけだから 機織りしてるときは➡ 108 00:07:28,481 --> 00:07:31,484 必ず声をかけてから入ってけらい。 109 00:07:31,484 --> 00:07:33,486 なんだべ こいは! 110 00:07:33,486 --> 00:07:36,823 きんた…。 ええとじゃな…。 111 00:07:36,823 --> 00:07:40,160 笑顔じゃ 大切なのは笑顔。 112 00:07:40,160 --> 00:07:44,331 か 神様 機織り小屋 こさえてくれたっちゃ。 113 00:07:44,331 --> 00:07:48,001 なすて こいな近くに こさえたんだ? 114 00:07:48,001 --> 00:07:50,503 ごめんなしてけらいん。 115 00:07:53,173 --> 00:07:55,175 はよう はよう呼び止めい。 116 00:07:55,175 --> 00:07:58,378 き きんた! なんだべ? 117 00:08:00,947 --> 00:08:04,551 ゆいに何か 織ってほしいものなどないか? 118 00:08:07,620 --> 00:08:10,290 別に。 119 00:08:10,290 --> 00:08:13,626 前のめりでいかねば事は進まぬぞ。 120 00:08:13,626 --> 00:08:16,629 恋は戦と この本にも記してある。 121 00:08:16,629 --> 00:08:20,467 ささ 聞いてまいれ。 でも…。 122 00:08:20,467 --> 00:08:24,637 ハァ… しかたないのう。 123 00:08:24,637 --> 00:08:26,639 おい きんた。 124 00:08:26,639 --> 00:08:30,310 何の用だべ? いや そのじゃな…。 125 00:08:30,310 --> 00:08:33,646 何か困っていることは ないかと思ってのう。 126 00:08:33,646 --> 00:08:35,648 別に。 127 00:08:35,648 --> 00:08:38,818 そう申すな。 何か一つくらいはあるじゃろう? 128 00:08:38,818 --> 00:08:41,988 これが足りておらぬとか これが欲しいとか。 129 00:08:41,988 --> 00:08:44,324 そいじゃ 黒曜石かな。 130 00:08:44,324 --> 00:08:46,326 黒曜石? んだ。 131 00:08:46,326 --> 00:08:49,996 かなり山のほうさ行かねえと ねえかもしんねえけど。 132 00:08:49,996 --> 00:08:53,166 あ いや そういうことではなく。 133 00:08:53,166 --> 00:08:55,168 わっ な なんじゃ? 134 00:08:55,168 --> 00:08:58,338 見りゃわかんべ。 おめにやるよ。 135 00:08:58,338 --> 00:09:00,940 よ よいのか? ああ。 136 00:09:00,940 --> 00:09:04,277 オイラが興味あんのは そいをこさえることだかんな。 137 00:09:04,277 --> 00:09:07,614 あとで 使い心地 教えてくんねえか? 138 00:09:07,614 --> 00:09:09,616 これはすごい。 139 00:09:09,616 --> 00:09:13,520 これなら 今まで以上に でかい鬼とも渡り合える。 140 00:09:15,455 --> 00:09:18,625 おお これはよい! 141 00:09:18,625 --> 00:09:20,627 ん? 142 00:09:20,627 --> 00:09:25,298 どうなりすた? どうって? 143 00:09:25,298 --> 00:09:28,635 あ いや そ そ それはじゃな…。 144 00:09:28,635 --> 00:09:30,637 そうじゃ 手ぬぐいじゃ。 145 00:09:30,637 --> 00:09:32,639 手ぬぐい? 146 00:09:32,639 --> 00:09:34,641 鍛冶は汗をかくのでな。 147 00:09:34,641 --> 00:09:37,811 汗をふく手ぬぐいを おそらく所望しておる。 148 00:09:37,811 --> 00:09:40,313 ほんに? あ ああ。 149 00:09:40,313 --> 00:09:44,651 ん… オラ こさえてくる。 150 00:09:44,651 --> 00:09:48,321 あ のぞいたらダメだっちゃ。 151 00:09:48,321 --> 00:09:51,324 これでよいはずじゃが…。 152 00:09:51,324 --> 00:09:54,494 誠の思いとは ことのはにあらず。 153 00:09:54,494 --> 00:09:58,832 心をつなげしものは ことのはではない。 154 00:09:58,832 --> 00:10:00,834 わからん。 155 00:10:00,834 --> 00:10:04,671 また 『片恋物語』にございますか? 156 00:10:04,671 --> 00:10:07,006 勝手に入ってくるでない! 157 00:10:07,006 --> 00:10:09,843 まことに熱心にございますのう。 158 00:10:09,843 --> 00:10:13,680 あたりまえじゃ。 朧月香子は天才じゃからな。 159 00:10:13,680 --> 00:10:16,516 何度も読むに値する書物じゃ。 160 00:10:16,516 --> 00:10:21,020 ん? ゆいは こんな遅くまで 機織りでございますか? 161 00:10:21,020 --> 00:10:23,022 おそらくな。 162 00:10:27,360 --> 00:10:31,364 あ~あ なんだべ もう朝か。 163 00:10:31,364 --> 00:10:35,568 ん? (機織り機の音) 164 00:10:37,537 --> 00:10:39,539 (きんた)ゆい いるかや? 165 00:10:39,539 --> 00:10:42,375 (ゆい)ダメ! 今行くから 来ないでけれ。 166 00:10:42,375 --> 00:10:44,677 なんだ 着替え中か? 167 00:10:47,046 --> 00:10:49,048 お おはよう。 168 00:10:49,048 --> 00:10:52,152 ああ ずいぶん早くから… ん? 169 00:10:54,220 --> 00:10:56,222 こいは…。 170 00:10:56,222 --> 00:10:58,224 ゆいめ 結局 朝まで戻ってこな…。 171 00:10:58,224 --> 00:11:01,327 (きんた) なに勝手なことしてんだ! 172 00:11:01,327 --> 00:11:03,496 なんもいらねえっつったべ! 173 00:11:03,496 --> 00:11:07,167 ひと晩もかけて なに こいなもん こさえてんだ! 174 00:11:07,167 --> 00:11:10,003 お オラ ただ…。 175 00:11:10,003 --> 00:11:12,805 もう余計なことすんでね! 176 00:11:23,349 --> 00:11:27,020 すまぬ。 ワシが思いつきで申したせいで。 177 00:11:27,020 --> 00:11:29,022 神様…。 178 00:11:29,022 --> 00:11:31,691 じゃが いくら必要がないとはいえ➡ 179 00:11:31,691 --> 00:11:34,527 今の言葉は許せるものではないぞ。 180 00:11:34,527 --> 00:11:37,197 ダメ! ゆい…。 181 00:11:37,197 --> 00:11:39,866 きんたも神様も悪くありせん。 182 00:11:39,866 --> 00:11:43,069 全部 オラが 勝手にやったことだから。 183 00:11:45,038 --> 00:11:50,543 ドウゾ。 タクサン食べる 元気なります。 184 00:11:56,382 --> 00:12:00,153 いったい どうすればよいのじゃ? 185 00:12:00,153 --> 00:12:02,322 気にしないでけらい。 186 00:12:02,322 --> 00:12:04,324 ゆい…。 187 00:12:04,324 --> 00:12:08,328 オラの この気持ちは やっぱり恋でねえみてぇだ。 188 00:12:08,328 --> 00:12:10,330 では なんだと申すのじゃ? 189 00:12:10,330 --> 00:12:13,499 よくわかんねえすけど➡ 190 00:12:13,499 --> 00:12:17,837 ただそばにいて 少しでも 恩返しできればいいんす。 191 00:12:17,837 --> 00:12:20,673 オン返し! あ…。 192 00:12:20,673 --> 00:12:23,509 どういうことじゃ? 193 00:12:23,509 --> 00:12:28,181 オラ 前に命ば助けてもらいすた。 194 00:12:28,181 --> 00:12:31,851 オラを助けたら きんた 寺にいらんなくなるって➡ 195 00:12:31,851 --> 00:12:33,853 わかってたのに。 196 00:12:33,853 --> 00:12:37,023 寺? きんたのヤツは寺におったのか? 197 00:12:37,023 --> 00:12:41,861 だから オラ きんたさ 少しでも恩返ししてぇと思って。 198 00:12:41,861 --> 00:12:45,198 でも きんたは 気味悪い 邪魔だって。 199 00:12:45,198 --> 00:12:48,534 やはり どう考えても 悪いのは あやつではないか。 200 00:12:48,534 --> 00:12:53,039 我慢ならん! 違うっちゃ きんたは…。 201 00:12:53,039 --> 00:12:58,044 覚えちゃねえのっしゃ オラを助けたこと。 202 00:13:09,989 --> 00:13:13,326 助けた相手のことを 覚えておらんじゃと? 203 00:13:13,326 --> 00:13:15,495 どういうことじゃ? 204 00:13:15,495 --> 00:13:18,331 う~む…。 どうした? 205 00:13:18,331 --> 00:13:21,167 やや 虫が多いようにござりまするな。 206 00:13:21,167 --> 00:13:24,504 なんじゃと? 虫よけとなるものをまき➡ 207 00:13:24,504 --> 00:13:28,675 様子を見ようと思いまするが…。 なんじゃ? 208 00:13:28,675 --> 00:13:31,511 いや 気休めでしかないかも しれませぬが➡ 209 00:13:31,511 --> 00:13:35,348 虫送りを行ってみることも。 虫送り? 210 00:13:35,348 --> 00:13:39,519 麓の世で行われる 祭りの一種でございますな。 211 00:13:39,519 --> 00:13:43,523 夜に火などをたき 虫を田から送り出すという。 212 00:13:43,523 --> 00:13:49,195 お~ ヤナトのマツリ。 ミルテ 見たいです! あ~い あ~い! 213 00:13:49,195 --> 00:13:51,597 (きんた)うわぁ な なんだ! 214 00:13:55,535 --> 00:13:58,538 なっ…。 215 00:13:58,538 --> 00:14:01,808 どうした? なんじゃ今の鶴は? 216 00:14:01,808 --> 00:14:04,310 お オイラが知るわけねえべ。 217 00:14:04,310 --> 00:14:07,146 小屋さ入って 奥のぞいたら急に…。 218 00:14:07,146 --> 00:14:09,816 声もかけずに のぞいたと申すのか? 219 00:14:09,816 --> 00:14:11,818 して ゆいは? 220 00:14:11,818 --> 00:14:14,320 (きんた)さぁ…。 221 00:14:14,320 --> 00:14:17,523 (みんな)ゆい! ゆい! 222 00:14:19,659 --> 00:14:23,996 下の田にもおらぬようですな。 やはり家出かと。 223 00:14:23,996 --> 00:14:26,499 家出? ゆいが? なすて? 224 00:14:26,499 --> 00:14:30,503 おぬしのせいじゃろうが! えっ? 225 00:14:30,503 --> 00:14:33,673 なにゆえ いつもいつも あのような態度をとる? 226 00:14:33,673 --> 00:14:36,676 わざわざ おぬしのために ひと晩かけて作ったのじゃぞ。 227 00:14:36,676 --> 00:14:38,678 それを…。 228 00:14:38,678 --> 00:14:40,680 まさか そのせい? 229 00:14:40,680 --> 00:14:44,350 答えよ! 答えしだいでは容赦せぬぞ。 230 00:14:44,350 --> 00:14:47,019 気味悪かったんだべ。 231 00:14:47,019 --> 00:14:50,356 突然現れて オイラの力さなりてぇって➡ 232 00:14:50,356 --> 00:14:52,525 つきまとわれて。 なんじゃと! 233 00:14:52,525 --> 00:14:54,527 そうでねえか? 234 00:14:54,527 --> 00:14:57,196 命ば助けられたなんて デタラメ語って。 235 00:14:57,196 --> 00:14:59,966 最初は だまされてんでねえかって 思った。 236 00:14:59,966 --> 00:15:03,636 どこかに売られんだべかって。 237 00:15:03,636 --> 00:15:07,140 でも まったく そいなことはなくて。 238 00:15:07,140 --> 00:15:09,809 ウソ語ってるようにも見えなくて。 239 00:15:09,809 --> 00:15:14,647 ほんにオイラのためにそばさいて ずっと…。 240 00:15:14,647 --> 00:15:16,649 だから言ったんだ。 241 00:15:16,649 --> 00:15:20,153 自分と一緒さいても 幸せなんかなれねえぞって。 242 00:15:20,153 --> 00:15:22,989 貧乏で なんもできねえ。 243 00:15:22,989 --> 00:15:26,826 オイラのそばさいたら 不幸になるだけだって。 244 00:15:26,826 --> 00:15:30,496 ちゃっちゃど離れろって。 近づくなって。 245 00:15:30,496 --> 00:15:35,001 邪魔にして嫌われて オイラのそばさ いなければ➡ 246 00:15:35,001 --> 00:15:37,837 白い肌で うっつくて➡ 247 00:15:37,837 --> 00:15:41,340 いくらでも金持ちに もらわれることできるからって。 248 00:15:41,340 --> 00:15:43,843 幸せになれるからって。 249 00:15:43,843 --> 00:15:49,015 なのに どこまでも どこまでも…。 250 00:15:49,015 --> 00:15:51,350 おひい様…。 251 00:15:51,350 --> 00:15:55,021 参るぞ。 どこにでございますか? 252 00:15:55,021 --> 00:15:59,625 手がかりは あの鶴のみ。 追いかけてみるしかあるまい。 253 00:16:06,132 --> 00:16:08,634 はっ そこっ! 254 00:16:10,970 --> 00:16:13,472 なすて オイラが こいなこと…。 255 00:16:13,472 --> 00:16:18,578 文句を申すな。 元はといえば おぬし自身がまいた種じゃ。 256 00:16:20,813 --> 00:16:23,482 ほんに こっちなんだべな? 257 00:16:23,482 --> 00:16:26,486 さあな。 ただ以前➡ 258 00:16:26,486 --> 00:16:30,323 この渓谷に立ち寄った際 美しい泉があった。 259 00:16:30,323 --> 00:16:32,325 おそらく鶴は そこじゃ。 260 00:16:32,325 --> 00:16:35,328 もっとも そこに参るには➡ 261 00:16:35,328 --> 00:16:38,831 鬼も倒さねばならぬがな。 262 00:16:38,831 --> 00:16:40,833 (咆哮) 263 00:16:40,833 --> 00:16:43,002 (きんた)か 貝か? しじみじゃ。 264 00:16:43,002 --> 00:16:47,173 案ずるな おぬしが打ったこれ 思いのほか➡ 265 00:16:47,173 --> 00:16:50,009 使い勝手はよいようじゃぞ。 266 00:16:50,009 --> 00:16:52,511 はぁ~! 267 00:16:56,515 --> 00:16:58,518 (咆哮) 268 00:16:58,518 --> 00:17:00,519 イカヅチよ! 269 00:17:10,963 --> 00:17:14,800 ここじゃ。 おひい様 あれを。 270 00:17:14,800 --> 00:17:16,802 鶴…。 271 00:17:16,802 --> 00:17:20,806 あの鶴っこ もしかして。 272 00:17:20,806 --> 00:17:24,644 なんじゃ? オイラが前に逃がした鶴っこだべ。 273 00:17:24,644 --> 00:17:28,147 逃がした? 274 00:17:28,147 --> 00:17:31,317 (きんた)寺の小僧たちが 仕掛けた罠に➡ 275 00:17:31,317 --> 00:17:34,320 鶴っこが 捕まってたことがあってな。 276 00:17:34,320 --> 00:17:36,322 ((鶴っこか) 277 00:17:38,324 --> 00:17:40,326 なんか真っ白で➡ 278 00:17:40,326 --> 00:17:43,829 夜の森の中で 光ってるみてぇだった。 279 00:17:43,829 --> 00:17:46,499 ((おい なんか捕まったみてぇだぞ。 280 00:17:46,499 --> 00:17:48,601 行くど 行くど!) 281 00:17:53,506 --> 00:17:57,510 それがきっかけで おぬしは 寺を出ることになった…。 282 00:17:57,510 --> 00:18:00,112 なすて そいをおめが知ってんだべ? 283 00:18:00,112 --> 00:18:04,116 なるほど そういうことか。 ゆい。 284 00:18:04,116 --> 00:18:08,287 ゆい? なに語ってんだ? そいは鶴っこだ。 285 00:18:08,287 --> 00:18:11,791 (訪れしもの)その者は もう話すことはできません。 286 00:18:11,791 --> 00:18:17,129 禁秘の契約を破ったことにより 元の姿に戻ったのです。 287 00:18:17,129 --> 00:18:19,131 何者じゃ? 288 00:18:19,131 --> 00:18:23,636 神気をまったく感じぬ。 こやつ 神ではございませぬぞ。 289 00:18:23,636 --> 00:18:28,808 なんだ? なんも聞こえねえぞ。 誰と話してんだ? 290 00:18:28,808 --> 00:18:30,810 はっ! 291 00:18:30,810 --> 00:18:35,815 (訪れしもの)私たちは 滅びに瀕した故郷を救うため➡ 292 00:18:35,815 --> 00:18:39,652 創世樹によって つなげられた世界を渡る者➡ 293 00:18:39,652 --> 00:18:42,321 訪れしもの。 294 00:18:42,321 --> 00:18:44,323 羽衣が? 295 00:18:44,323 --> 00:18:47,994 もしや トヨハナ様に この羽衣を授けた…。 296 00:18:47,994 --> 00:18:50,663 (訪れしもの) その者は 一羽の鶴が➡ 297 00:18:50,663 --> 00:18:53,666 強き願いにより人となった変化。 298 00:18:53,666 --> 00:18:58,838 私たちが授けたのは 糸を紡ぎ 人とつながる力。 299 00:18:58,838 --> 00:19:02,108 すなわち 「ゆい」。 300 00:19:02,108 --> 00:19:05,444 人のゆいに戻す方法はないのか? 301 00:19:05,444 --> 00:19:07,446 (訪れしもの) ゆいの名を取り戻すには➡ 302 00:19:07,446 --> 00:19:10,783 つながりの力を 取り戻す必要があります。 303 00:19:10,783 --> 00:19:14,787 それを示すことができれば あるいは…。 304 00:19:14,787 --> 00:19:16,789 つながり…。 305 00:19:16,789 --> 00:19:19,625 おい きんたよ。 ゆいをどう思っておる? 306 00:19:19,625 --> 00:19:21,961 な なんだ 急に? 307 00:19:21,961 --> 00:19:24,964 早くせんか ゆいがどうなっても知らんぞ。 308 00:19:24,964 --> 00:19:27,633 そ そいなこと急に語られても…。 309 00:19:27,633 --> 00:19:29,635 早くせんか! 310 00:19:29,635 --> 00:19:31,971 おぬしの ゆいへの思いを ここで申すのじゃ! 311 00:19:31,971 --> 00:19:34,640 わかった わかったっちゃ。 312 00:19:34,640 --> 00:19:37,810 え ええっと…。 313 00:19:37,810 --> 00:19:43,315 ゆいには なにかとつきまとわれて がおったもんだべなぁ…。 314 00:19:43,315 --> 00:19:45,618 んでも…。 315 00:19:51,323 --> 00:19:56,829 んでも ゆいと出会って なんか変わった気がした。 316 00:20:00,100 --> 00:20:05,838 同じなまりで話してくれて 一緒にいて 落ち着いた。 317 00:20:05,838 --> 00:20:09,542 生きてて初めて ありがてぇって思った。 318 00:20:14,847 --> 00:20:17,349 変わりないようでございますな。 319 00:20:17,349 --> 00:20:23,355 なにゆえじゃ? これで示したことにはならぬと。 320 00:20:23,355 --> 00:20:26,192 誠の思いとは…。 321 00:20:26,192 --> 00:20:28,527 きんた 何か持っておらぬか? 322 00:20:28,527 --> 00:20:30,529 何かって? 323 00:20:30,529 --> 00:20:32,865 ゆいへの思いを込めた何かじゃ。 324 00:20:32,865 --> 00:20:36,702 そ そいなもの…。 (何かが落ちる音) 325 00:20:36,702 --> 00:20:38,704 それは? 326 00:20:38,704 --> 00:20:42,374 ゆ ゆいに 渡そうとこさえた くしだ。 327 00:20:42,374 --> 00:20:46,545 大したもんじゃねえけど ゆい 鶴っこみてぇに白いから➡ 328 00:20:46,545 --> 00:20:48,848 似合うかと思って。 329 00:20:52,218 --> 00:20:55,721 (訪れしもの)どうやら 大きなつながりのようですね。 330 00:20:55,721 --> 00:20:59,058 「ゆい」の力 ここに示されました。 331 00:20:59,058 --> 00:21:01,060 (2人)うわっ! 332 00:21:04,163 --> 00:21:07,166 神様 きんた。 333 00:21:07,166 --> 00:21:10,836 ゆい! 334 00:21:10,836 --> 00:21:13,839 ゆい! 335 00:21:13,839 --> 00:21:15,841 きんた…。 336 00:21:15,841 --> 00:21:19,678 ほんに いいのか? 337 00:21:19,678 --> 00:21:21,680 うん。 338 00:21:36,362 --> 00:21:38,697 よいの~ よいの~。 339 00:21:38,697 --> 00:21:41,534 やはり恋じゃ これは恋じゃ。 340 00:21:41,534 --> 00:21:44,036 尊きにございます。 341 00:21:46,038 --> 00:21:50,876 ♪(みんな)「泥虫ほーい 泥虫ほい」 342 00:21:50,876 --> 00:21:55,047 こいなので ほんに虫 追い出されるかや。 343 00:21:55,047 --> 00:21:57,049 もう朝でねすか。 344 00:21:57,049 --> 00:21:59,051 あっ ごめん。 345 00:21:59,051 --> 00:22:02,655 別に 構わねえべ。 346 00:22:09,161 --> 00:22:11,497 すべては これのおかげ。 347 00:22:11,497 --> 00:22:16,502 さすが朧月香子。 一度会ってみたいものじゃ。 348 00:22:18,504 --> 00:22:21,006 おお 朝日でござる。 349 00:22:21,006 --> 00:22:23,676 ん? なんじゃ これは。 350 00:22:23,676 --> 00:22:27,012 (田右衛門) 出穂。 稲の穂にござりまする。 351 00:22:27,012 --> 00:22:29,014 稲の…。 352 00:22:29,014 --> 00:22:31,684 これが秋に向け 大きくなり➡ 353 00:22:31,684 --> 00:22:35,087 米となってゆくのでござりまする。