1 00:00:05,172 --> 00:00:09,309 《ココロワヒメ:サクナさんが鬼島に 旅立ってからというもの➡ 2 00:00:09,309 --> 00:00:13,814 私の日々は 目まぐるしく変わっていった。 3 00:00:13,814 --> 00:00:19,520 カムヒツキ様より大役をいただき 他の神々からも称賛された》 4 00:00:21,655 --> 00:00:24,291 《これではまるで 友と引き換えに➡ 5 00:00:24,291 --> 00:00:26,793 名誉を 得たようなものではないか》 6 00:00:28,795 --> 00:00:33,800 《でもそれは 心のどこかで 私が望んでいた日々》 7 00:00:33,800 --> 00:00:37,771 (カムヒツキ)うむ サクナヒメより文が届いてな➡ 8 00:00:37,771 --> 00:00:42,142 一度 呼び戻してみようと思う。 ははっ! 9 00:00:42,142 --> 00:00:46,146 《激しい動揺に私は気づいた。 10 00:00:46,146 --> 00:00:49,550 地位と名誉を得ても 私はまだ➡ 11 00:00:49,550 --> 00:00:52,219 サクナさんの影におびえている》 12 00:02:34,121 --> 00:02:36,123 (サクナヒメ)このたびは お呼び立ていただき➡ 13 00:02:36,123 --> 00:02:38,091 恐悦至極に存じ上げます。 14 00:02:38,091 --> 00:02:41,094 (カムヒツキ)して この文に書かれておることは➡ 15 00:02:41,094 --> 00:02:43,597 誠なのか? はっ。 16 00:02:43,597 --> 00:02:47,434 確かにヨモツホムスビは そのような言葉を口にして➡ 17 00:02:47,434 --> 00:02:49,436 消えたのでございます。 18 00:02:49,436 --> 00:02:53,440 ふむ つまり こたびの鬼の大量発生には➡ 19 00:02:53,440 --> 00:02:55,442 人が関わっていると? 20 00:02:55,442 --> 00:02:58,745 (タマ爺)断定するのは 早計でございますが➡ 21 00:02:58,745 --> 00:03:02,949 それも ありうべき一つ ということではなかろうかと。 22 00:03:02,949 --> 00:03:06,787 麓の世の飢きんと関わりがある ということかもしれぬ。 23 00:03:06,787 --> 00:03:10,590 引き続き 鬼がいずる理由を調べるよう➡ 24 00:03:10,590 --> 00:03:13,360 頼んだぞ。 ははっ! 25 00:03:15,462 --> 00:03:17,764 ん? それはなんじゃ? 26 00:03:17,764 --> 00:03:21,435 おそれながら 鬼島でとれた米にございます。 27 00:03:21,435 --> 00:03:24,104 米? サクナヒメ様が➡ 28 00:03:24,104 --> 00:03:28,475 おん自ら初めて苗を植え 収穫した米にございます。 29 00:03:28,475 --> 00:03:31,645 ちょうど 都に戻ることになりましたゆえ。 30 00:03:31,645 --> 00:03:34,614 お口に合うかは存じませぬが。 31 00:03:34,614 --> 00:03:39,953 ほう。 豊穣神としての自覚が 少しは芽生えたということか。 32 00:03:39,953 --> 00:03:43,323 ありがたく納めておこう。 33 00:03:43,323 --> 00:03:45,292 はは~っ。 34 00:03:47,594 --> 00:03:51,098 首が痛い 足がしびれた。 35 00:03:51,098 --> 00:03:54,501 カムヒツキ様の前は どうも疲れるわい。 36 00:03:54,501 --> 00:03:56,536 それだけふだん➡ 37 00:03:56,536 --> 00:03:59,272 だらしなく過ごしている ということでございますぞ。 38 00:03:59,272 --> 00:04:03,610 これを機に 豊穣神として 少しは姿勢を正し…。 39 00:04:03,610 --> 00:04:06,279 ん? おひい様! 40 00:04:06,279 --> 00:04:09,950 それにしても カムヒツキ様もご無体な。 41 00:04:09,950 --> 00:04:12,352 大好きな米を渡せば…。 42 00:04:12,352 --> 00:04:15,589 ((サクナヒメよ この米の褒美に➡ 43 00:04:15,589 --> 00:04:18,458 しばし都にとどまることを 許可する。 44 00:04:18,458 --> 00:04:20,494 羽を伸ばすがよい) 45 00:04:20,494 --> 00:04:23,530 となると思っていたのじゃが。 46 00:04:23,530 --> 00:04:26,099 カムヒツキ様への献上米は➡ 47 00:04:26,099 --> 00:04:29,436 本来 最も上等なものに かぎられております。 48 00:04:29,436 --> 00:04:32,772 お納めいただけただけでも 感謝しなければ。 49 00:04:32,772 --> 00:04:34,808 米は米じゃろ? 50 00:04:34,808 --> 00:04:37,444 それよりも せっかく来たのじゃ。 51 00:04:37,444 --> 00:04:40,914 ココロワの顔のひとつも見なくては。 52 00:04:40,914 --> 00:04:43,116 ココロワヒメ様。 53 00:04:43,116 --> 00:04:46,453 本殿の警備についてご相談が。 54 00:04:46,453 --> 00:04:48,522 ココロワ? 55 00:04:48,522 --> 00:04:50,924 さ サクナさん? なぜここに? 56 00:04:50,924 --> 00:04:54,094 ココロワ! 会いたかったぞ! 57 00:04:54,094 --> 00:04:56,096 サクナさん…。 58 00:04:56,096 --> 00:04:58,064 おぉ 懐かしきこの感触! 59 00:04:58,064 --> 00:05:00,767 やはりココロワは落ち着くのう。 60 00:05:00,767 --> 00:05:02,736 どうしたのですか? 急に。 61 00:05:02,736 --> 00:05:06,239 カムヒツキ様に ご報告がございましてな。 62 00:05:06,239 --> 00:05:09,910 年の末でもございますゆえ ちょうどよいと。 63 00:05:09,910 --> 00:05:13,914 そ それで このまま都に戻られると? 64 00:05:13,914 --> 00:05:15,916 そうなればよいのじゃが…。 65 00:05:15,916 --> 00:05:19,853 また明日には鬼島に戻ることに なっております。 66 00:05:19,853 --> 00:05:21,755 そうですか。 67 00:05:21,755 --> 00:05:25,592 よし 酒じゃ。 久々に今日は飲み明かすぞ。 68 00:05:25,592 --> 00:05:27,627 えっ? で ですが…。 69 00:05:27,627 --> 00:05:31,164 遠慮することはない。 船が出るのは明日じゃ。 70 00:05:31,164 --> 00:05:33,233 さぁ ワシの部屋に参るぞ。 71 00:05:33,233 --> 00:05:35,969 ココロワヒメ様 お話が。 72 00:05:35,969 --> 00:05:38,905 あぁ 面倒じゃのう。 話は部屋で聞く。 73 00:05:38,905 --> 00:05:41,107 おぬしも一緒に参れ。 74 00:05:43,743 --> 00:05:46,746 わぁ 久々じゃ! 75 00:05:46,746 --> 00:05:49,115 爺 酒じゃ 酒をもて。 76 00:05:49,115 --> 00:05:52,419 おひい様 なりませぬ。 そう申すな。 77 00:05:52,419 --> 00:05:55,088 せっかく自分の部屋に 戻ってきたのじゃぞ。 78 00:05:55,088 --> 00:06:00,260 自分の部屋? ここは ココロワヒメ様のお部屋では? 79 00:06:00,260 --> 00:06:02,229 ん? 80 00:06:04,931 --> 00:06:07,434 ココロワ 今 隠したのは…。 81 00:06:07,434 --> 00:06:10,303 い いえ これは…。 82 00:06:10,303 --> 00:06:13,440 これは お役目の…。 83 00:06:13,440 --> 00:06:16,610 では ココロワがワシのあと お役目を? 84 00:06:16,610 --> 00:06:19,179 いえ それは…。 85 00:06:21,982 --> 00:06:23,984 よかったのう! 86 00:06:23,984 --> 00:06:28,088 おぬし ずっとお役目を賜りたいと 申しておったではないか。 87 00:06:28,088 --> 00:06:30,924 カムヒツキ様が やっとその日々の努力を➡ 88 00:06:30,924 --> 00:06:33,126 お認めになったということじゃろ。 89 00:06:33,126 --> 00:06:35,962 これはめでたい! サクナさん…。 90 00:06:35,962 --> 00:06:38,265 どうして 教えてくれなかったのじゃ? 91 00:06:38,265 --> 00:06:41,801 爺 酒じゃ! おひい様 酒は…。 92 00:06:41,801 --> 00:06:44,437 うるさいわ! 爺が持ってこぬのなら➡ 93 00:06:44,437 --> 00:06:49,309 ワシが取ってくる。 ココロワ 今日は祝いじゃ よいな。 94 00:06:49,309 --> 00:06:51,378 サクナさん。 95 00:06:51,378 --> 00:06:53,280 なんじゃ? 96 00:06:53,280 --> 00:06:55,282 いえ…。 97 00:06:55,282 --> 00:06:57,284 うむ。 98 00:06:57,284 --> 00:07:01,288 おひい様 勅を果たしたわけでは ありませんぞ。 99 00:07:01,288 --> 00:07:05,191 明日にはまた鬼島に…。 わかっておる わかっておる。 100 00:07:08,094 --> 00:07:10,597 (ココロワヒメ)『片恋物語』が? 101 00:07:10,597 --> 00:07:14,267 うむ。 きんたとゆいという者がな。 102 00:07:14,267 --> 00:07:17,270 そのおかげで縁を取り持つことが できたのじゃ。 103 00:07:17,270 --> 00:07:21,207 さすが朧月香子。 まさに天才じゃな。 104 00:07:21,207 --> 00:07:23,943 グフッ…。 ん? なにゆえ笑う? 105 00:07:23,943 --> 00:07:25,912 い いえ…。 106 00:07:25,912 --> 00:07:30,083 それで その後 朧月香子の新刊は 出ておらぬのか? 107 00:07:30,083 --> 00:07:33,887 残念ながら お役目が忙しいこともあり…。 108 00:07:33,887 --> 00:07:35,922 お役目? い いえ。 109 00:07:35,922 --> 00:07:40,760 おそらく筆者の朧月香子様も 忙しいのではないかと。 110 00:07:40,760 --> 00:07:44,397 そうか… 一度会ってみたいがのう。 111 00:07:44,397 --> 00:07:47,233 して ココロワはどうしておったのじゃ? 112 00:07:47,233 --> 00:07:49,269 お役目は大変か? 113 00:07:49,269 --> 00:07:52,906 大変ではありますが やりがいはあります。 114 00:07:52,906 --> 00:07:57,410 これまで以上に都の警備には 力を入れておりますし。 115 00:07:57,410 --> 00:07:59,446 そうなのか? 116 00:07:59,446 --> 00:08:04,751 最近 都の中で鬼を見たという話が いくつかありまして。 117 00:08:04,751 --> 00:08:09,255 鬼? そうか ここにまで 現れるようになったのか。 118 00:08:09,255 --> 00:08:12,092 はい。 狙いはわかりませんが➡ 119 00:08:12,092 --> 00:08:17,230 カムヒツキ様からは 1匹も通さぬようにと。 120 00:08:17,230 --> 00:08:19,566 勅も進めねばならぬな。 121 00:08:19,566 --> 00:08:22,902 アシグモも気にしておったし。 122 00:08:22,902 --> 00:08:27,240 サクナさんは 都に戻りたくはないのですか? 123 00:08:27,240 --> 00:08:31,611 はっ? 早く戻りたくて戻りたくて しかたがないわ! 124 00:08:31,611 --> 00:08:33,580 あったりまえじゃろう! 125 00:08:33,580 --> 00:08:37,183 鬼島は それはそれは ひどいところじゃぞ。 126 00:08:37,183 --> 00:08:40,553 食べるものはなく 夏は暑く 冬は寒い。 127 00:08:40,553 --> 00:08:42,589 そうですか。 128 00:08:42,589 --> 00:08:44,624 じゃが それゆえ➡ 129 00:08:44,624 --> 00:08:50,296 一つのことを成す喜びも 大きくはあるが…。 130 00:08:50,296 --> 00:08:53,133 それでも ワシはやはり都が好きじゃ。 131 00:08:53,133 --> 00:08:57,137 ココロワがおるからの。 132 00:08:57,137 --> 00:08:59,172 覚えていますか? 133 00:08:59,172 --> 00:09:02,942 2人で鬼島に 向かおうとしたときのこと。 134 00:09:05,578 --> 00:09:08,081 ((ここに隠れておれば じきに着く。 135 00:09:08,081 --> 00:09:10,750 おひい様! 136 00:09:10,750 --> 00:09:14,421 何度申し上げれば おわかりいただけるのですか? 137 00:09:14,421 --> 00:09:17,090 おひい様の年では 無理でございます。 138 00:09:17,090 --> 00:09:19,058 爺は 父上と母上は➡ 139 00:09:19,058 --> 00:09:21,594 島で暮らしておると 申したではないか。 140 00:09:21,594 --> 00:09:25,565 そのとおりでございますが。 なら会えるではないか。 141 00:09:25,565 --> 00:09:29,235 この船で行けば よいだけではないか。 142 00:09:29,235 --> 00:09:31,237 違うなら違うと申せ。 143 00:09:31,237 --> 00:09:33,239 ウソならウソと申せ。 144 00:09:33,239 --> 00:09:37,110 父上と母上が もうおらぬなら➡ 145 00:09:37,110 --> 00:09:39,679 おらぬと申せ!) 146 00:09:42,082 --> 00:09:45,919 あのとき思ったのです。 サクナさんは…。 147 00:09:45,919 --> 00:09:49,389 (寝息) 148 00:09:49,389 --> 00:09:54,594 《私より ずっと先を 歩いているかもしれないと》 149 00:09:58,231 --> 00:10:03,102 (カムヒツキ)サクナヒメ サクナヒメよ! 150 00:10:03,102 --> 00:10:06,272 ギャー! カカ… カムヒツキ様! 151 00:10:06,272 --> 00:10:11,578 かしこまらなくてもよいぞ。 これは朕の気まぐれ。 152 00:10:11,578 --> 00:10:13,580 あ いや これは…。 153 00:10:13,580 --> 00:10:15,582 怒っておるわけではない。 154 00:10:15,582 --> 00:10:19,085 ひとつ そなたに食わせてやろうと 思うただけじゃ。 155 00:10:19,085 --> 00:10:21,387 食わせる? 156 00:10:26,893 --> 00:10:28,895 これは…。 157 00:10:28,895 --> 00:10:32,432 (カムヒツキ)一つは その方が こたび献上した米。 158 00:10:32,432 --> 00:10:36,102 もう一つは トヨハナヒメが作っていた米じゃ。 159 00:10:36,102 --> 00:10:38,771 味を比べてみるがよい。 160 00:10:38,771 --> 00:10:41,774 母上が…。 161 00:10:57,457 --> 00:11:01,394 どうじゃ? 同じ米とは思えぬであろう。 162 00:11:01,394 --> 00:11:07,133 その甘み 粘り気 かみ応え すべてが一級品じゃ。 163 00:11:07,133 --> 00:11:09,602 これが…。 164 00:11:12,138 --> 00:11:14,274 今まで 米の違いなど➡ 165 00:11:14,274 --> 00:11:16,643 考えたことも なかったようじゃが➡ 166 00:11:16,643 --> 00:11:19,946 作る者によって こうも変わるのじゃ。 167 00:11:19,946 --> 00:11:21,948 覚えておくがよい。 168 00:11:21,948 --> 00:11:24,450 どうして カムヒツキ様が? 169 00:11:24,450 --> 00:11:30,123 豊穣神 トヨハナの娘の米 楽しみにしておるぞ。 170 00:11:43,937 --> 00:11:47,440 《どうしてじゃ? 何が違うのじゃ? 171 00:11:47,440 --> 00:11:49,442 元の種もみか? 172 00:11:49,442 --> 00:11:54,280 いや アシグモからもらった種もみは 母上が作っていたもの。 173 00:11:54,280 --> 00:11:57,784 同じ場所 同じ土のはずじゃ。 174 00:11:57,784 --> 00:12:00,453 なのに あんなに違うというのか》 175 00:12:02,422 --> 00:12:06,125 肥やしが違ったのか? それとも水か? 176 00:12:06,125 --> 00:12:10,029 いや 中干し… 刈り入れの時期も味に関わると➡ 177 00:12:10,029 --> 00:12:12,832 田右衛門は申しておったが…。 178 00:12:26,613 --> 00:12:28,748 サクナさん? 179 00:12:28,748 --> 00:12:34,287 ハァ ハァ ハァ ハァ…。 180 00:12:34,287 --> 00:12:36,889 サクナさ~ん! 181 00:12:36,889 --> 00:12:38,925 ココロワ? 182 00:12:38,925 --> 00:12:40,893 サクナさん! 183 00:12:40,893 --> 00:12:42,895 達者で暮らすのじゃぞ! 184 00:12:42,895 --> 00:12:47,900 ワシも勅と共によき米を作れるよう 頑張ってみるぞ。 185 00:12:47,900 --> 00:12:51,804 豊穣神の名に恥じぬ米を 作ってみせる。 186 00:12:51,804 --> 00:12:56,776 次に会うときは ココロワも食うてくれ 約束じゃ! 187 00:12:56,776 --> 00:12:59,178 サクナさん…。 188 00:13:06,052 --> 00:13:09,689 (ゆい)うぅ 寒いっちゃ。 189 00:13:09,689 --> 00:13:12,392 (かいまる)あ~い。 190 00:13:12,392 --> 00:13:14,727 あい~! ひっ…。 191 00:13:14,727 --> 00:13:16,763 (きんた)あっちさ行け! 192 00:13:16,763 --> 00:13:18,765 ニャニャニャ…。 193 00:13:18,765 --> 00:13:21,534 ありがとう。 お お…。 194 00:13:21,534 --> 00:13:25,538 あっ。 ん? 195 00:13:25,538 --> 00:13:30,209 ふぅ なんという寒さじゃ。 都とは大違い。 196 00:13:30,209 --> 00:13:32,211 あ 神様。 197 00:13:32,211 --> 00:13:34,714 おぉ 今戻ったぞ。 198 00:13:34,714 --> 00:13:37,216 土産じゃ。 199 00:13:37,216 --> 00:13:41,688 ふぅ やっとあったまってきたわい。 200 00:13:41,688 --> 00:13:43,723 ニャ! 201 00:13:43,723 --> 00:13:48,561 なんじゃ 途端に寄ってくるとは 調子のよいヤツめ。 202 00:13:48,561 --> 00:13:53,399 (ミルテ)お待たせしました。 量少ないので粥にしました。 203 00:13:53,399 --> 00:13:56,469 おぉ 皆も食うてみよ。 (きんた)米か? 204 00:13:56,469 --> 00:14:00,606 ただの米ではない。 母上が作っておった米じゃ。 205 00:14:00,606 --> 00:14:03,576 わずかじゃが 持ってくることができたのでな。 206 00:14:03,576 --> 00:14:06,612 なんか 光っててきれいだっちゃ。 207 00:14:06,612 --> 00:14:12,719 (田右衛門)こうしているだけで 香りが口に広がりまする。 208 00:14:12,719 --> 00:14:14,721 これは…。 209 00:14:14,721 --> 00:14:17,390 ゾー おいしい! あ~い! 210 00:14:17,390 --> 00:14:20,560 たまげた。 オイラたちがこさえてた米とは➡ 211 00:14:20,560 --> 00:14:23,863 大違いだべ。 体がとろけそう。 212 00:14:23,863 --> 00:14:27,967 そうじゃろう ワシもひと口食うて驚いたのじゃ。 213 00:14:27,967 --> 00:14:30,703 かようにもうまい米が あるものなのかと。 214 00:14:30,703 --> 00:14:33,539 なんだべ? 食ったことなかったのかや? 215 00:14:33,539 --> 00:14:36,209 いや そういうわけではないのじゃが。 216 00:14:36,209 --> 00:14:39,712 いつも食うていたのでな。 なんだべ そいは。 217 00:14:39,712 --> 00:14:41,881 (田右衛門)こ これは…。 218 00:14:41,881 --> 00:14:43,883 ただの米にござらぬ。 219 00:14:43,883 --> 00:14:48,287 米を作るものが夢見る 神の米といえるもの…。 220 00:14:48,287 --> 00:14:51,724 お お… オオオオ~! 221 00:14:51,724 --> 00:14:53,726 泣くほどのことか? 222 00:14:53,726 --> 00:14:57,864 神の米って ほんに神様が作った米だっちゃ。 223 00:14:57,864 --> 00:15:00,700 田右衛門よ。 224 00:15:00,700 --> 00:15:03,770 な なんでござりまするか? 225 00:15:03,770 --> 00:15:07,407 ワシも このような米を作ってみたい。 226 00:15:07,407 --> 00:15:09,375 おひい様…。 227 00:15:09,375 --> 00:15:12,712 一年かけて米を作ってみて思うた。 228 00:15:12,712 --> 00:15:17,049 これだけ手間がかかるのならば できるだけよいものを作りたい。 229 00:15:17,049 --> 00:15:20,219 食する者が喜ぶものを作りたい。 230 00:15:20,219 --> 00:15:24,557 な なんというご立派な志。 オオオオ~! 231 00:15:24,557 --> 00:15:26,726 また泣いてるべ。 232 00:15:26,726 --> 00:15:29,729 や やっと… やっとおひい様が➡ 233 00:15:29,729 --> 00:15:32,231 豊穣神の心を…。 234 00:15:32,231 --> 00:15:36,102 こっちも泣いてるよ。 ゾー かわいいです。 235 00:15:36,102 --> 00:15:38,070 できるか? 236 00:15:38,070 --> 00:15:43,075 農書には この米が作られた過程が すべて記されておりまする。 237 00:15:43,075 --> 00:15:45,578 そうか なら…。 238 00:15:45,578 --> 00:15:50,750 しかし 実際に同じものを作るのは たやすくはありませぬ。 239 00:15:50,750 --> 00:15:55,922 米作りは自然や天気との調和 戦いでもござりまする。 240 00:15:55,922 --> 00:15:59,091 同じ種もみ 同じ土であっても➡ 241 00:15:59,091 --> 00:16:03,462 年ごとに日ざし 雨 暑さ 寒さ…。 242 00:16:03,462 --> 00:16:06,265 一つとして同じものは ございませぬ。 243 00:16:06,265 --> 00:16:09,402 その経験を重ね 試行錯誤して➡ 244 00:16:09,402 --> 00:16:12,905 最もよき米を 作っていく必要がございます。 245 00:16:12,905 --> 00:16:17,310 つまり 月日がかかるということか? 246 00:16:17,310 --> 00:16:21,247 おそれながら そのとおりにござりまする。 247 00:16:21,247 --> 00:16:25,751 致し方ないな。 サクナ様。 248 00:16:25,751 --> 00:16:30,156 冬の間にやっておけることは 何かないのか? 249 00:16:36,429 --> 00:16:39,398 種もみを? はっ。 250 00:16:39,398 --> 00:16:43,402 ここに種もみを入れ 泥とともに混ぜ➡ 251 00:16:43,402 --> 00:16:46,572 浮いてきた悪いもみを取っていく。 252 00:16:46,572 --> 00:16:48,574 おぉ! 253 00:16:48,574 --> 00:16:52,511 こうして 沈んでゆく 実の詰まった種もみを選び➡ 254 00:16:52,511 --> 00:16:56,749 春に向けて苗作りの備えを しておくのでござりまする。 255 00:16:56,749 --> 00:17:00,419 なるほど。 しかし 不思議なものじゃな。 256 00:17:00,419 --> 00:17:02,588 こうした備えの一つ一つ➡ 257 00:17:02,588 --> 00:17:05,591 すべてが 米の出来につながっていく。 258 00:17:05,591 --> 00:17:08,094 さようにござりまする。 259 00:17:08,094 --> 00:17:11,497 そして 春になれば➡ 260 00:17:11,497 --> 00:17:16,769 また始まるのじゃな 米作りが。 261 00:17:16,769 --> 00:18:26,739 ♪~ 262 00:18:34,413 --> 00:18:37,083 (田右衛門) いやぁ 4年目の収穫量は➡ 263 00:18:37,083 --> 00:18:39,051 ものすごうござりましたな。 264 00:18:39,051 --> 00:18:42,254 あの厳しい日々がウソのようだ。 265 00:18:42,254 --> 00:18:45,057 河童どもめ 実にやりおるわ。 266 00:18:45,057 --> 00:18:49,128 ワシが働いた以上に 世話になってしもうたし➡ 267 00:18:49,128 --> 00:18:51,163 何ぞ贈るとするか。 268 00:18:51,163 --> 00:18:54,400 河童といえばキュウリでございますか。 269 00:18:54,400 --> 00:18:56,535 キュウリか。 しかし➡ 270 00:18:56,535 --> 00:18:59,405 この島に生えておるものは 苦すぎる。 271 00:18:59,405 --> 00:19:03,042 米を売り 都から買い付けては いかがでしょう。 272 00:19:03,042 --> 00:19:05,044 おお それはよいぞ。 273 00:19:05,044 --> 00:19:07,880 特に今年の米はうまくできたはず。 274 00:19:07,880 --> 00:19:10,249 味がよければ カムヒツキ様に➡ 275 00:19:10,249 --> 00:19:12,551 献上しようと 思っていたところじゃ。 276 00:19:12,551 --> 00:19:15,521 できたべ! (2人)おぉ! 277 00:19:18,391 --> 00:19:22,495 (田右衛門)おぉ! 278 00:19:22,495 --> 00:19:25,564 うん いい艶じゃ。 香りも十分。 279 00:19:25,564 --> 00:19:27,566 うぅ…。 280 00:19:27,566 --> 00:19:30,336 何年たっても相変わらずだべな。 281 00:19:32,371 --> 00:19:36,375 どうやら 銘をつけるときが 来たようでございますな。 282 00:19:36,375 --> 00:19:39,378 銘? 米の名でございます。 283 00:19:39,378 --> 00:19:43,716 カムヒツキ様に献上し 都で売るのでございましょう? 284 00:19:43,716 --> 00:19:47,720 おお… 何かないか? よい名前。 285 00:19:47,720 --> 00:19:50,056 急に言われてもな。 286 00:19:50,056 --> 00:19:54,660 例えば 鬼島でとれた米で鬼じ米 とかだべか。 287 00:19:54,660 --> 00:19:58,697 安直すぎじゃ! 蛍雪の功 などいかがでしょう? 288 00:19:58,697 --> 00:20:02,368 世俗より離れたこの地での 艱難辛苦が…。 289 00:20:02,368 --> 00:20:04,370 ひねりすぎじゃ。 次! 290 00:20:04,370 --> 00:20:09,041 んじゃ 神様が作った米で 神さ米 なんてどうだ? 291 00:20:09,041 --> 00:20:11,544 買い手も神しかおらんわい。 次! 292 00:20:11,544 --> 00:20:13,546 サクナオンテンバ…。 次! 293 00:20:13,546 --> 00:20:17,216 って 人ばっか頼ってねえで オメエも考えろ! 294 00:20:17,216 --> 00:20:20,886 ここはやはり 豊穣神として おひい様が…。 295 00:20:20,886 --> 00:20:23,556 ふむ そうじゃのう。 296 00:20:23,556 --> 00:20:28,227 ここはやはり 朧月香子作 『片恋物語』を読破した➡ 297 00:20:28,227 --> 00:20:31,630 このワシの豊かな言の葉で。 298 00:20:31,630 --> 00:20:35,601 ここは頂の世 つまりテン…。 299 00:20:35,601 --> 00:20:38,671 いや アマ… 稲穂…。 300 00:20:38,671 --> 00:20:41,407 そうじゃな。 301 00:20:41,407 --> 00:20:43,743 天穂の誉なんてどうじゃ? 302 00:20:43,743 --> 00:20:47,379 あまほほ~! あまほほか いいでねえか。 303 00:20:47,379 --> 00:20:50,382 覚えやすいっちゃ。 実に親しみがある。 304 00:20:50,382 --> 00:20:52,384 い いや ワシは 天穂の誉と…。 305 00:20:52,384 --> 00:20:55,588 では あまほほ いただきましょう! 306 00:20:55,588 --> 00:20:57,556 (一同)いただきま~す! 307 00:21:08,734 --> 00:21:10,736 《サクナさんが…》 308 00:21:10,736 --> 00:21:14,373 ((うむ 先に献上された あまほほ。 309 00:21:14,373 --> 00:21:16,575 これが大変美味でな。 310 00:21:16,575 --> 00:21:22,047 これは長きにわたり根気強く 米と向き合わねば作れぬ。 311 00:21:22,047 --> 00:21:27,019 以前のサクナヒメでは到底できぬもの。 312 00:21:27,019 --> 00:21:30,890 朕は 米を何よりも好んでおる。 313 00:21:30,890 --> 00:21:36,061 よき米を作れる者は それだけで 役を与えるにふさわしい。 314 00:21:36,061 --> 00:21:38,731 お役目を…。 うむ。 315 00:21:38,731 --> 00:21:43,702 サクナヒメを呼び戻し 役を与えようと思うておる) 316 00:21:46,705 --> 00:21:48,707 《なぜだろう? 317 00:21:48,707 --> 00:21:52,778 ぐうたらで寝てばかり。 ワガママ放題で何もしない。 318 00:21:52,778 --> 00:21:56,882 なのに なぜ私より 認められるのだろう? 319 00:21:56,882 --> 00:22:01,587 なぜ 私より 大きく感じるのだろう? 320 00:22:01,587 --> 00:22:05,491 私のほうが 何倍も努力しているのに。 321 00:22:05,491 --> 00:22:08,227 何倍も 仕事をしてきたというのに➡ 322 00:22:08,227 --> 00:22:11,230 なぜこんなにも おびえるのだろう? 323 00:22:11,230 --> 00:22:15,134 かなわないと感じるのだろう》 324 00:22:15,134 --> 00:22:17,102 (物音) 325 00:22:21,073 --> 00:22:23,075 誰? 326 00:22:27,079 --> 00:22:29,048 鬼? 327 00:22:29,048 --> 00:22:43,028 ♪~