1 00:00:08,108 --> 00:00:12,679 <東京に中華料理店は 星の数ほどもあるだろう> 2 00:00:14,781 --> 00:00:17,751 < だが その中で 頂点に立つのが➨ 3 00:00:17,751 --> 00:00:21,188 ここ 銀座 五番町飯店であることは➨ 4 00:00:21,188 --> 00:00:25,425 間違いない! 五番町飯店こそ 中華の王! 5 00:00:25,425 --> 00:00:27,794 そして その厨房では➨ 6 00:00:27,794 --> 00:00:34,167 今日も 第一級の料理人たちが 炎と闘っているのである> 7 00:00:53,754 --> 00:00:55,756 (ドアの開く音) 8 00:00:55,756 --> 00:00:58,091 (小林)あっ オーナー! (みんな)おはようございます。 9 00:00:58,091 --> 00:01:00,394 (睦十)うん… みんな おはよう。 10 00:01:00,394 --> 00:01:03,096 (弥一)おはようございます。 うむ…。 11 00:01:03,096 --> 00:01:06,466 精が出るのう 弥一。 総料理長自ら➨ 12 00:01:06,466 --> 00:01:08,735 陣頭に立っているのか。 はい。 13 00:01:08,735 --> 00:01:12,072 今日は パーティーも重なってますので。 うむ…。 14 00:01:12,072 --> 00:01:14,374 店のほうも繁盛しとるようだし➨ 15 00:01:14,374 --> 00:01:16,743 お前たちが 頑張っているおかげだよ。 16 00:01:16,743 --> 00:01:20,080 (弥一)ありがとうございます。 (お腹の鳴る音) 17 00:01:20,080 --> 00:01:24,051 おや…。 ハハハ… すぐに 昼食を作らせましょう。 18 00:01:24,051 --> 00:01:26,653 何か リクエストはありますか? 19 00:01:32,059 --> 00:01:34,027 (小此木)ハァ ハァ ハァ…。 20 00:01:43,603 --> 00:01:45,572 (小此木)キリコさん! 21 00:01:45,572 --> 00:01:47,574 あ~ キリコさん いた いた! 22 00:01:47,574 --> 00:01:50,477 総料理長が呼んでます。 来てください! 23 00:01:50,477 --> 00:01:53,046 キリコさん? 24 00:01:53,046 --> 00:01:57,584 あの… どうかしましたか? キリコさん… キリコさ~ん! 25 00:01:57,584 --> 00:01:59,620 (霧子)小此木! 26 00:01:59,620 --> 00:02:02,389 何度も言ってるだろ! 細工物をやってるときは➨ 27 00:02:02,389 --> 00:02:05,425 大声 出すんじゃない! あたしの手元が狂うだろ! 28 00:02:05,425 --> 00:02:07,427 この アホーッ! 29 00:02:07,427 --> 00:02:11,832 えっ… あっ すみません…。 30 00:02:11,832 --> 00:02:17,070 はぁ… 見習いだって 気の抜けたマネは許されないんだぞ。 31 00:02:17,070 --> 00:02:21,508 ここが 中華の最高峰 五番町飯店だってこと➨ 32 00:02:21,508 --> 00:02:23,477 忘れないで。 33 00:02:25,412 --> 00:02:27,381 (小此木)はい。 34 00:02:29,583 --> 00:02:34,755 (江藤)白飯に溶き卵 万能ネギ…。 (太田)つまり オーナーのリクエストは…。 35 00:02:34,755 --> 00:02:36,790 <炒飯! 36 00:02:36,790 --> 00:02:41,928 五番町では ネギ 焼豚 卵 ショウガ グリーンピースを使った➨ 37 00:02:41,928 --> 00:02:44,431 オーソドックスなものを出す。 38 00:02:44,431 --> 00:02:48,835 だが オーナーの五番町睦十が 炒飯と言った場合…。 39 00:02:48,835 --> 00:02:51,772 使える具材は ネギと卵のみ。 40 00:02:51,772 --> 00:02:57,944 最も単純で 最も難しいといわれる 黄金炒飯をさす> 41 00:02:57,944 --> 00:03:00,447 (弥一)用意は いいか? はい。 42 00:03:00,447 --> 00:03:02,716 では やれ。 はい! 43 00:03:09,589 --> 00:03:12,459 手早く かきまぜる。 スピードが命! 44 00:03:12,459 --> 00:03:14,461 (弥一)そうだ。 45 00:03:17,230 --> 00:03:19,766 (みんな)おぉ…。 ネギのみじん切りを入れて…。 46 00:03:19,766 --> 00:03:22,135 塩 コショウで味を調える。 47 00:03:22,135 --> 00:03:24,171 手早く! 48 00:03:24,171 --> 00:03:26,773 しょうゆは 色をつけない。 あくまで 香りづけ。 49 00:03:26,773 --> 00:03:30,143 酒… 卵と飯が フワッとするように。 50 00:03:38,585 --> 00:03:40,587 フンフン…。 51 00:03:40,587 --> 00:03:45,459 黄金炒飯とは 半熟の卵と白飯を まぜたもの。 52 00:03:45,459 --> 00:03:49,062 ただ それだけのことだが それだけではない。 53 00:03:49,062 --> 00:03:51,064 はい! まず 飯は➨ 54 00:03:51,064 --> 00:03:55,102 完璧に バラバラになっていなければ 炒飯とはいえない。 55 00:03:55,102 --> 00:03:57,738 更に その バラけた飯粒の 一つずつに➨ 56 00:03:57,738 --> 00:04:00,407 卵が コーティングされていること。 57 00:04:00,407 --> 00:04:04,111 それでこそ 五番町の名物となり得るのだ。 58 00:04:16,423 --> 00:04:22,062 フフフ… フハハハハ! 59 00:04:22,062 --> 00:04:24,264 いい腕だ キリコ! 60 00:04:24,264 --> 00:04:29,136 百発百中で これができる者は 日本に5人といないだろう。 61 00:04:29,136 --> 00:04:32,672 ありがとうございます! 叔父である 私の仕込みが➨ 62 00:04:32,672 --> 00:04:36,576 よいのですな。 いやいや 祖父である 私の血が…。 63 00:04:36,576 --> 00:04:40,447 まぁ なんにせよ よい味が出とるわ。 64 00:04:40,447 --> 00:04:42,449 休憩時間にすまなかったな。 65 00:04:42,449 --> 00:04:44,518 下がっていいぞ。 はい! 66 00:04:44,518 --> 00:04:46,920 弥一 お前は残ってくれ。 67 00:04:46,920 --> 00:04:49,089 まだ 話がある。 はっ。 68 00:04:58,064 --> 00:05:00,066 ⚟お疲れ~! 69 00:05:00,066 --> 00:05:02,068 はい お疲れさまです。 お疲れさまです。 70 00:05:02,068 --> 00:05:05,772 おい 誰か 総料理長に 店のほう 終わりました と➨ 71 00:05:05,772 --> 00:05:07,741 言ってこい。 ⚟は~い! 72 00:05:07,741 --> 00:05:09,743 (呼び鈴の音) 73 00:05:18,051 --> 00:05:24,424 あの お客様… すみませんが 当店は もう 閉店となりまして…。 74 00:05:24,424 --> 00:05:26,493 (醤)炒飯。 75 00:05:26,493 --> 00:05:29,563 いえ… あの 営業時間が もう…。 (テーブルをたたく音) 76 00:05:29,563 --> 00:05:31,898 いいから さっさと持ってこい。 77 00:05:31,898 --> 00:05:34,734 (弥一)客? すみません…。 78 00:05:34,734 --> 00:05:37,571 しようがねぇな… 火 落としちゃったのに。 79 00:05:37,571 --> 00:05:39,573 望月! (望月)うん? 80 00:05:39,573 --> 00:05:41,575 (弥一)お前 作れ! へ~い。 81 00:05:46,079 --> 00:05:49,049 お待たせしました。 どうぞ ごゆっくり…。 82 00:06:05,732 --> 00:06:08,401 ⚟ちょっ! お客様!? お客様 困ります! 83 00:06:08,401 --> 00:06:11,071 ⚟そっちは厨房で…。 84 00:06:11,071 --> 00:06:13,406 お客さんってば~! 85 00:06:13,406 --> 00:06:17,077 なんすか? お客さん。 料理に何か? 86 00:06:19,045 --> 00:06:21,715 パサパサの卵 しょっぱい飯…。 87 00:06:21,715 --> 00:06:24,751 火の通し過ぎ 塩もいいかげん。 88 00:06:24,751 --> 00:06:27,587 そのうえ バラけてない飯が 3パーセントもある。 89 00:06:27,587 --> 00:06:29,923 いったい なに作ったんだ? これは。 90 00:06:29,923 --> 00:06:33,393 なんだと このヤロウ! 俺が作った炒飯だぞ! 91 00:06:33,393 --> 00:06:35,395 いきなり 文句か! 92 00:06:49,476 --> 00:06:54,080 これ もしかして…。 93 00:06:54,080 --> 00:06:57,083 料理? 94 00:06:57,083 --> 00:07:00,654 てめえ! 95 00:07:00,654 --> 00:07:04,758 なっ!? なんだ? てめえも料理人なのか!? 96 00:07:07,894 --> 00:07:11,564 お… おい! 人ん所の厨房で 何しようってんだよ! 97 00:07:11,564 --> 00:07:15,568 いい! そいつにやらせてみろ。 え~っ! 98 00:07:15,568 --> 00:07:18,071 ちょっと 叔父さん… 誰なの? あいつ。 99 00:07:18,071 --> 00:07:20,473 ここでは 総料理長と呼べ。 100 00:07:20,473 --> 00:07:23,743 総料理長 あいつ 誰? 知り合い? 101 00:07:23,743 --> 00:07:28,748 今日 お前が戻ったあと オヤジ… オーナーに言われたんだ。 102 00:07:28,748 --> 00:07:32,152 若いのが来るってな。 たぶん あいつのことだろう。 103 00:07:32,152 --> 00:07:36,723 秋山階一郎の孫… 秋山醤。 104 00:07:36,723 --> 00:07:38,758 秋山…。 105 00:07:38,758 --> 00:07:44,064 (弥一)五番町睦十にとって 唯一のライバルだった男 秋山階一郎。 106 00:07:44,064 --> 00:07:47,067 10年以上前に 突然 行方をくらました。 107 00:07:47,067 --> 00:07:50,704 お前は まだ小さかったから 知らないだろうがな。 108 00:07:50,704 --> 00:07:53,406 つい この間 死んだとさ。 109 00:07:53,406 --> 00:07:57,777 まぁ 秋山の名を知ってる現役は だいぶ少なくなっちまったが➨ 110 00:07:57,777 --> 00:08:02,549 中華の覇王 と呼ばれていたよ。 そいつの孫ってこと? 111 00:08:02,549 --> 00:08:05,385 そんなやつが なんで うちに? 知るか。 112 00:08:05,385 --> 00:08:07,954 だが 見ろ! あの手際の良さ。 113 00:08:07,954 --> 00:08:11,491 階一郎に徹底的に 中華をたたき込まれている。 114 00:08:11,491 --> 00:08:13,426 しかも あいつは…。 115 00:08:13,426 --> 00:08:17,097 たぶん 炒飯を作ってるぞ。 炒飯!? 116 00:08:19,099 --> 00:08:22,102 炒飯…。 117 00:08:22,102 --> 00:08:26,673 《干し貝柱と豆腐を塩で味付けし 鍋で煮て…》 118 00:08:29,743 --> 00:08:33,947 《豆腐の半分を もっと細かく切って 油で揚げる》 119 00:08:33,947 --> 00:08:38,118 総料理長… ホントにいいんですか? あんなやつ…。 120 00:08:38,118 --> 00:08:41,454 (李)彼… 本当に 炒飯を作りますかね? 121 00:08:41,454 --> 00:08:43,523 炒飯? 122 00:08:43,523 --> 00:08:46,426 (望月)まさか… 豆腐を使った炒飯なんて➨ 123 00:08:46,426 --> 00:08:49,095 聞いたことないっスよ。 炒めりゃ 崩れる。 124 00:08:49,095 --> 00:08:51,131 水があふれて 台無しですよ。 125 00:08:51,131 --> 00:08:54,768 いや… 秋山の孫なら 炒飯を作る。 126 00:08:54,768 --> 00:08:58,772 秋山にとって 料理は 勝負なんだからな。 127 00:09:04,611 --> 00:09:08,748 《熱したフライパンに 別々に 豆腐とご飯を入れて…。 128 00:09:08,748 --> 00:09:10,750 どうする? あっ》 129 00:09:16,756 --> 00:09:19,192 痛っ! おい おい おい おい! 130 00:09:19,192 --> 00:09:23,763 み… 水漬け炒飯!? ハッ! 131 00:09:23,763 --> 00:09:25,765 ハァッ! 132 00:09:25,765 --> 00:09:29,469 ハッ! ハッ! ハッ ハッ ハッ ハッ! 133 00:09:29,469 --> 00:09:34,641 な… 何やってんだ!? あれ~! ハァーッ! 134 00:09:39,446 --> 00:09:42,048 どうしたの? みんな! 食べさせてもらおうよ。 135 00:09:42,048 --> 00:09:44,517 えっ…。 いや…。 いいから! 136 00:09:44,517 --> 00:09:46,786 あいつは うちに挑戦してきたんだ。 137 00:09:46,786 --> 00:09:48,788 チッ! 138 00:09:58,364 --> 00:10:00,400 んっ… わぁ…。 139 00:10:00,400 --> 00:10:05,705 なるほど… 望月の作る物より うまい。 140 00:10:05,705 --> 00:10:07,740 (望月)ちょっ! そんな! 141 00:10:07,740 --> 00:10:12,612 干し貝柱のダシの染みこんだ豆腐… 海鮮風味の炒飯ね。 142 00:10:12,612 --> 00:10:16,382 多過ぎた水は フライパンのジャッグルで きれいに飛ばされ➨ 143 00:10:16,382 --> 00:10:19,219 乾いた飯は 酒で ふっくらとしている。 144 00:10:19,219 --> 00:10:22,555 炒飯の周りには 錦糸卵と紅ショウガ。 145 00:10:22,555 --> 00:10:27,727 ダシに使った 干し貝柱は スープになり 揚げた豆腐を クルトンにする。 146 00:10:27,727 --> 00:10:31,731 豆腐の表面は 油で パリッと 香ばしくなっていながら➨ 147 00:10:31,731 --> 00:10:35,401 干し貝柱のうまみが 豆腐に封じこめられている。 148 00:10:35,401 --> 00:10:37,904 こんな炒飯を作るなんてね。 149 00:10:37,904 --> 00:10:40,073 ここまでやるのが 料理だ。 150 00:10:40,073 --> 00:10:42,075 (弥一)おい 秋山! 151 00:10:42,075 --> 00:10:45,445 お前 秋山醤だろう? 自己紹介くらいしろ。 152 00:10:45,445 --> 00:10:48,748 みんな! こいつは 明日から一緒に働く仲間だ。 153 00:10:48,748 --> 00:10:51,417 (みんな)えっ? くっ…。 154 00:10:53,419 --> 00:10:56,422 ジジイが死ぬときに言ったんだ ここへ行け と。 155 00:10:56,422 --> 00:11:00,093 ここは 中華の最高なんだと。 156 00:11:00,093 --> 00:11:02,428 だけど 来るんじゃなかった! 157 00:11:02,428 --> 00:11:05,598 中華の最高は 五番町じゃない! 158 00:11:05,598 --> 00:11:11,104 秋山こそ 最高! 秋山こそ 中華の王だ!! 159 00:11:21,047 --> 00:11:23,349 (目覚まし時計の音) 160 00:11:25,552 --> 00:11:30,723 《ジジイ… 睦十の店なんて 大したことなかったぜ。 161 00:11:30,723 --> 00:11:33,693 なんで 俺を あんな店によこしたんだ? 162 00:11:33,693 --> 00:11:36,563 何があるってんだよ?》 163 00:11:54,380 --> 00:11:58,518 すごいね 秋山くん… なんで そんなに速く 皮がむけるの? 164 00:11:58,518 --> 00:12:00,553 さぁね。 165 00:12:00,553 --> 00:12:03,523 (谷)おう 速いな! じゃ 次は こっちで➨ 166 00:12:03,523 --> 00:12:05,558 鍋 洗ってくれるか。 チッ! 167 00:12:05,558 --> 00:12:08,328 見習いのくせに 面白くねぇヤローだぜ! 168 00:12:13,633 --> 00:12:16,035 (望月)おう 秋山! 洗え! 169 00:12:16,035 --> 00:12:18,071 《使ったばかりの熱い鍋を!》 170 00:12:18,071 --> 00:12:20,540 《あ… 秋山くん つかんじゃ ダメだ!》 171 00:12:26,045 --> 00:12:30,049 <料理人の制服は 袖を長く作ってある。 172 00:12:30,049 --> 00:12:32,051 ふだんは 折り畳んであるが➨ 173 00:12:32,051 --> 00:12:35,221 鍋をつかむときは 伸ばして使うのだ> 174 00:12:35,221 --> 00:12:38,157 (原沢)おぉ…。 (岩田)やる~。 175 00:12:38,157 --> 00:12:40,126 チッ! 176 00:12:42,061 --> 00:12:46,399 何を ボーッとしてやがんだ! おめえも さっさと皿でも洗え! 177 00:12:46,399 --> 00:12:48,701 (柏原)おい 望月! 178 00:12:48,701 --> 00:12:53,706 しようがねぇな あいつ…。 最近 荒れ気味っスよね 望月さん。 179 00:12:53,706 --> 00:12:56,609 まぁ 気持ちは わからなくもねぇけど…。 180 00:12:56,609 --> 00:12:59,045 あの新入りは たしかに 腕はいい。 181 00:12:59,045 --> 00:13:01,381 ダテに 秋山を 名乗っちゃいねぇな。 182 00:13:01,381 --> 00:13:03,716 有能にして 傲慢。 183 00:13:03,716 --> 00:13:08,721 妙なやつが 入ってきましたね。 フン… 大したことじゃない。 184 00:13:08,721 --> 00:13:11,624 おい お前… 小此木。 185 00:13:11,624 --> 00:13:13,660 あの女は いったい なんなんだ? 186 00:13:13,660 --> 00:13:16,229 キリコさんのこと? ここに来たときから➨ 187 00:13:16,229 --> 00:13:19,565 見てたんだが 調理場の 全ての部署をこなしている。 188 00:13:19,565 --> 00:13:24,537 教えろ! あいつ 何者だ? ここの跡取り娘だよ。 189 00:13:24,537 --> 00:13:26,706 五番町霧子。 190 00:13:26,706 --> 00:13:31,377 男以上の腕と気性… どの仕事もこなす腕前なのに➨ 191 00:13:31,377 --> 00:13:34,747 僕らと同じ見習いなのは いずれ 上に立つ時のために➨ 192 00:13:34,747 --> 00:13:38,551 全ての仕事に 精通してなければならないからさ。 193 00:13:38,551 --> 00:13:41,220 13歳のときから この調理場に入って➨ 194 00:13:41,220 --> 00:13:44,090 鍛えられたって話だよ。 へぇ…。 195 00:13:44,090 --> 00:13:47,393 でも 君だって 中華の覇王と 呼ばれた おじいさんに➨ 196 00:13:47,393 --> 00:13:51,431 育てられたんだろ? すごいよ! ところで➨ 197 00:13:51,431 --> 00:13:54,400 さっきから なんで 同じ皿同士に分けておいてんの? 198 00:13:54,400 --> 00:13:57,737 仕事を速くするためだよ。 199 00:13:57,737 --> 00:13:59,739 (瀬我)ほう…。 (柏原)なるほど。 200 00:13:59,739 --> 00:14:03,409 見習いの仕事なんか じいさんに さんざんやらされたって感じだな。 201 00:14:03,409 --> 00:14:06,079 (星)ランチタイム 注文 全て終わりました。 202 00:14:06,079 --> 00:14:08,414 各自 休憩に入ってください。 203 00:14:08,414 --> 00:14:12,585 (みんな)オース! おい! 今日のまかない 誰だ? 204 00:14:12,585 --> 00:14:14,587 < まかない! 205 00:14:14,587 --> 00:14:16,723 まかないとは 料理人たちが➨ 206 00:14:16,723 --> 00:14:19,692 休憩時間に食べる 食事のことである。 207 00:14:19,692 --> 00:14:22,695 作り手は 料理人たちのもちまわりで➨ 208 00:14:22,695 --> 00:14:24,697 そして 皆 このときに➨ 209 00:14:24,697 --> 00:14:28,201 自分が習い覚えた味や 調理法を試し➨ 210 00:14:28,201 --> 00:14:33,072 力を アピールする。 時ならぬ 品評会となったりする。 211 00:14:33,072 --> 00:14:35,575 もちろん まずいものなどを作ったら➨ 212 00:14:35,575 --> 00:14:38,978 クソミソに罵倒されたあげく てめえが食え! と➨ 213 00:14:38,978 --> 00:14:41,080 全員が 外に行ってしまい➨ 214 00:14:41,080 --> 00:14:45,385 手つかずの料理の前で 茫然とすることになるのだ> 215 00:14:45,385 --> 00:14:49,422 はい! 今 やります! おぉ! 今日は キリコさんか。 216 00:14:49,422 --> 00:14:52,725 (江藤)楽しみ 楽しみ。 で 何を作る? 217 00:14:54,727 --> 00:14:56,729 内臓料理。 218 00:14:56,729 --> 00:14:59,732 す… すみません! 臭いの苦手なんです 僕。 219 00:14:59,732 --> 00:15:01,734 外に食べにいっても…。 バカヤロウ! 220 00:15:01,734 --> 00:15:04,404 料理人に好き嫌いがあって どうすんだ! 221 00:15:04,404 --> 00:15:07,907 大丈夫。 食べられないものは あたしは 作らない。 222 00:15:07,907 --> 00:15:11,077 内臓料理を作るにあたっての ポイントは? 223 00:15:11,077 --> 00:15:13,079 手間ヒマを惜しまない! 224 00:15:13,079 --> 00:15:16,082 おいしく食べていただく心が ポイントです。 225 00:15:16,082 --> 00:15:18,384 (弥一)よし やってみろ。 はい! 226 00:15:20,419 --> 00:15:23,556 使うのは 仔牛の胃。 臭みがないからです。 227 00:15:23,556 --> 00:15:26,726 花切りにしたものを 小麦粉でもみ洗いします。 228 00:15:26,726 --> 00:15:28,728 念入りに。 229 00:15:28,728 --> 00:15:31,697 小麦粉の粒子が 臭みをとってくれるからです。 230 00:15:31,697 --> 00:15:34,200 水で洗い流して…。 231 00:15:34,200 --> 00:15:36,702 次に トリの砂ギモ! 232 00:15:36,702 --> 00:15:41,407 こちらも花切りにし 流水にさらして 臭みを抜きます。 233 00:15:41,407 --> 00:15:43,876 2つとも しっかりと 水気を切ったあと➨ 234 00:15:43,876 --> 00:15:47,547 下味をつけて… 湯通しします。 235 00:15:47,547 --> 00:15:50,049 これで 更に 内臓臭さが取れます。 236 00:15:50,049 --> 00:15:53,719 へぇ…。 (星)念入りに臭み抜きするんだな。 237 00:15:53,719 --> 00:15:56,122 ネギ油に具材を投入。 238 00:16:03,362 --> 00:16:05,364 以上! 239 00:16:11,037 --> 00:16:13,039 小此木! 食べてみろ。 240 00:16:22,048 --> 00:16:24,684 (小此木)うまっ! えっ でも なんで!? 241 00:16:24,684 --> 00:16:29,222 全然 臭くない… それどころか すごく 上品な味で。 242 00:16:29,222 --> 00:16:32,725 たしかに… 内臓じゃないみたいに 臭みがないね。 243 00:16:32,725 --> 00:16:36,529 そのくせ ミノや砂ギモの歯ざわりは そのままで…。 244 00:16:36,529 --> 00:16:40,366 まかないどころか 立派に 店に出せる味ですよ。 245 00:16:40,366 --> 00:16:42,535 プロの仕事です。 246 00:16:42,535 --> 00:16:47,039 内臓料理は 臭みを出さない。 ポイントは これにつきます。 247 00:16:47,039 --> 00:16:50,042 仔牛を使ったのも 臭みがないからです。 248 00:16:50,042 --> 00:16:53,112 料理にとって敵である 内臓独特の臭みは➨ 249 00:16:53,112 --> 00:16:55,715 小麦粉や片栗粉で洗い流せます。 250 00:16:55,715 --> 00:16:59,385 これは 臭みの元である ぬめりが 小麦粉のほうにくっつき➨ 251 00:16:59,385 --> 00:17:01,387 肉から離れるためです。 252 00:17:01,387 --> 00:17:05,057 更に それを湯通しすることで 臭み抜きを完璧にします。 253 00:17:05,057 --> 00:17:07,059 わかった? 小此木。 254 00:17:07,059 --> 00:17:10,563 きちんと材料を選び きちんと調理すれば➨ 255 00:17:10,563 --> 00:17:13,466 こんなに おいしくなる。 はい! 256 00:17:13,466 --> 00:17:16,535 料理は心! プロとして 手間を惜しまず➨ 257 00:17:16,535 --> 00:17:21,874 少しでもおいしいものを出す! それが 料理人の心ってものよ。 258 00:17:21,874 --> 00:17:24,710 違うな。 259 00:17:24,710 --> 00:17:28,381 内臓は臭みを消すこと? 料理は心? 260 00:17:28,381 --> 00:17:30,883 全然違うよ お嬢ちゃん。 261 00:17:30,883 --> 00:17:32,852 (史生)ちょっ… お前! 262 00:17:32,852 --> 00:17:34,887 料理は勝負だ。 263 00:17:34,887 --> 00:17:37,390 誰にも負けない うまいものを作る! 264 00:17:37,390 --> 00:17:40,459 それこそが 料理人の心がけであるはずだ! 265 00:17:40,459 --> 00:17:42,695 ひっこめ 秋山! お呼びじゃねぇ! 266 00:17:42,695 --> 00:17:48,100 その証拠に! 俺は これより うまい内臓料理を作れる。 267 00:17:51,103 --> 00:17:53,539 (江藤)ったく… 秋山のやつ➨ 268 00:17:53,539 --> 00:17:56,042 俺たちに どんなまかないを 食わせようってんだ? 269 00:17:56,042 --> 00:17:59,045 ケッ! まずかったら 俺が ケリ入れてやるぜ。 270 00:17:59,045 --> 00:18:02,715 やってみろ。 倍にして返してやる。 271 00:18:02,715 --> 00:18:06,719 選ぶ材料によって 彼の腕前もわかりますね。 272 00:18:06,719 --> 00:18:08,688 うん。 273 00:18:11,123 --> 00:18:13,092 (江藤)ぶ… 豚のレバー!? 274 00:18:13,092 --> 00:18:16,495 よりによって いちばん 生臭いものを使うのかよ! 275 00:18:16,495 --> 00:18:19,765 キリコさんは 臭みのない 仔牛を使ったんだぞ? 276 00:18:22,068 --> 00:18:24,070 (江藤)牛乳!? 277 00:18:24,070 --> 00:18:27,406 (太田)な… 何やってんだよ! (望月)げ~っ! 気持ち悪ぃ! 278 00:18:27,406 --> 00:18:30,409 なるほど! フランス料理の技法だな。 279 00:18:30,409 --> 00:18:33,579 (望月)へっ? (小此木)なんですか? フランス料理? 280 00:18:33,579 --> 00:18:37,450 臭み消しだよ。 フレンチでは 牛乳を使うんだ。 281 00:18:37,450 --> 00:18:40,586 これは 牛乳に含まれている カゼインや乳脂肪が➨ 282 00:18:40,586 --> 00:18:42,755 臭みを吸着するからだ。 283 00:18:42,755 --> 00:18:45,791 浸した牛乳を洗い流せば 臭みは消える。 284 00:18:45,791 --> 00:18:48,160 くっ! はぁ…。 285 00:18:48,160 --> 00:18:52,164 (弥一)秋山の料理に 国境はないのさ。 286 00:18:58,404 --> 00:19:01,707 (望月)なっ! (太田)この炎は… ウォッカ!? 287 00:19:18,591 --> 00:19:20,559 ほう…。 288 00:19:29,135 --> 00:19:31,771 おぉ…。 こいつは! 289 00:19:31,771 --> 00:19:35,408 どうだ? 俺のほうが うまいだろう。 290 00:19:35,408 --> 00:19:37,910 あんたの間違いは ただ一つ。 291 00:19:37,910 --> 00:19:41,881 臭くないという理由で 仔牛の内臓を選んだことだけだ。 292 00:19:41,881 --> 00:19:45,084 どういうことだ!? なぜ 仔牛じゃ ダメなんだ? 293 00:19:45,084 --> 00:19:48,554 たしかに 3~8か月の仔牛は 臭くない。 294 00:19:48,554 --> 00:19:52,258 だが 臭くない分 味もないんだ。 295 00:19:52,258 --> 00:19:56,128 だから 秋山は 成熟した豚を使ったんですな。 296 00:19:56,128 --> 00:19:58,931 牛乳で臭みを吸着し そして 何より➨ 297 00:19:58,931 --> 00:20:03,402 高温短時間で加熱することで レバーの生臭さを抑え➨ 298 00:20:03,402 --> 00:20:06,105 香ばしい香りが生成された。 299 00:20:09,742 --> 00:20:12,111 なるほど…。 300 00:20:12,111 --> 00:20:15,414 だけど これで負けたなんて 思えないわね。 301 00:20:17,416 --> 00:20:19,752 わかったわ あんたの料理。 302 00:20:19,752 --> 00:20:22,421 うまいだろう とか 驚かせてやろう とか➨ 303 00:20:22,421 --> 00:20:25,091 そんな味で ゴチャゴチャになってる料理だ。 304 00:20:25,091 --> 00:20:27,726 あたしが作った 淡やかな味に勝つため➨ 305 00:20:27,726 --> 00:20:30,096 ギリギリまで 味を濃厚にしてある。 306 00:20:30,096 --> 00:20:32,098 あたしのを食べた後だから➨ 307 00:20:32,098 --> 00:20:35,134 うまいと感じるだけの 料理じゃない! 308 00:20:35,134 --> 00:20:37,670 それが どうした? 309 00:20:37,670 --> 00:20:43,075 料理は勝負だ。 勝てばいいんだ。 な… なんなの それ! 310 00:20:43,075 --> 00:20:45,077 あなた そんなに勝ちたいの!? 311 00:20:45,077 --> 00:20:47,246 ケンカを売り歩くのが あなたの料理なの!? 312 00:20:47,246 --> 00:20:49,248 そうだ! 313 00:20:49,248 --> 00:20:51,383 わかった…。 314 00:20:51,383 --> 00:20:53,886 なら そのケンカ あたしが買ってやるわよ! 315 00:20:53,886 --> 00:20:57,523 できんのかよ? お嬢ちゃん。 やってやる! 316 00:20:57,523 --> 00:21:01,227 料理は勝負じゃない! 料理は 心で作るもんだって➨ 317 00:21:01,227 --> 00:21:04,096 わからせてやる! フッ! 318 00:21:06,065 --> 00:21:13,172 <1995年… 阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件。 319 00:21:13,172 --> 00:21:17,743 2つの厄災と 後に 失われた30年と呼ばれる➨ 320 00:21:17,743 --> 00:21:23,415 経済停滞に飲まれ始めた この 不安と混乱の時代に➨ 321 00:21:23,415 --> 00:21:27,386 新たな少年漫画が産声をあげた。 322 00:21:27,386 --> 00:21:30,422 『鉄鍋のジャン!』。 323 00:21:30,422 --> 00:21:33,092 破天荒かつ 魅力的なキャラクターと➨ 324 00:21:33,092 --> 00:21:39,064 その 精緻な料理描写が話題を呼び 今なお愛される傑作である。 325 00:21:39,064 --> 00:21:43,068 そして 喜べ! ついに… ついに あの傑作が➨ 326 00:21:43,068 --> 00:21:48,140 30年の時を経て テレビアニメとして復活する! 327 00:21:48,140 --> 00:21:52,044 我々は この1995年の物語が➨ 328 00:21:52,044 --> 00:21:57,416 現代の観客の心を捉えて 離さないことを確信している。 329 00:21:57,416 --> 00:22:03,622 食にかけた才能と命の激突を とくと 味わえ!>