1 00:01:44,071 --> 00:01:47,074 <銀座 五番町飯店! 2 00:01:47,074 --> 00:01:49,076 その厨房は 今日も➨ 3 00:01:49,076 --> 00:01:51,545 目もくらむような 忙しさであった> 4 00:01:51,545 --> 00:01:54,715 (弥一)秋山! お前 今から 鍋に入って➨ 5 00:01:54,715 --> 00:01:57,084 チンジャオニウロウスー 作れ! 6 00:01:57,084 --> 00:02:00,387 < そして このとき 弥一が出した指示は➨ 7 00:02:00,387 --> 00:02:04,391 厨房の料理人たち全員を 驚かせた> 8 00:02:04,391 --> 00:02:06,393 (みんな)え~っ!? 9 00:02:06,393 --> 00:02:09,563 (望月)ちょ… ちょっと 待ってくださいよ 総料理長! 10 00:02:09,563 --> 00:02:11,898 だって アイツ まだ 見習いスよ! 11 00:02:11,898 --> 00:02:14,234 (醤)ハッハッハッハ! くっ! 12 00:02:14,234 --> 00:02:18,138 そんなに驚くほどのことでも ないだろう 先輩たち。 13 00:02:18,138 --> 00:02:21,441 ただ単に 俺の腕が あんたたちより➨ 14 00:02:21,441 --> 00:02:24,111 はるかに 優れているだけじゃないか! 15 00:02:24,111 --> 00:02:26,113 ハハハハハ! くっ! 16 00:02:26,113 --> 00:02:28,115 いいから 早く始めろ 秋山! 17 00:02:28,115 --> 00:02:31,585 作るものは 青椒牛肉絲 50人前 18 00:02:31,585 --> 00:02:35,088 宴会料理だ いいな? 19 00:02:35,088 --> 00:02:37,924 OK。 《霧子:アイツ… こんなに早く➨ 20 00:02:37,924 --> 00:02:39,893 鍋に来るなんて…》 21 00:02:39,893 --> 00:02:42,763 (小此木)あ… あのさ 秋山くん 本当にできるの? 22 00:02:42,763 --> 00:02:47,067 簡単さ。 5人前が 10倍に増えただけのことだ。 23 00:02:47,067 --> 00:02:49,403 《5人前を 10倍?》 24 00:02:49,403 --> 00:02:52,072 チンジャオニウロウスー…。 25 00:02:52,072 --> 00:02:57,978 熱した中華鍋に ネギ ショウガ 油通しした タケノコ 細切り肉➨ 26 00:02:57,978 --> 00:03:00,414 3色のピーマンを投入。 27 00:03:00,414 --> 00:03:04,084 混合調味料は 5人前だと 醤油 大さじ1杯➨ 28 00:03:04,084 --> 00:03:08,455 オイスターソースも 大さじ1杯 さらに 砂糖 酒➨ 29 00:03:08,455 --> 00:03:10,991 そして ガラスープは 大さじ2杯。 30 00:03:10,991 --> 00:03:13,427 だから それを… 10倍! 31 00:03:13,427 --> 00:03:15,595 《あっ…》 そして これ! 32 00:03:15,595 --> 00:03:19,566 刻んだ豆豉を入れて 極上の味と風味を出す! 33 00:03:21,568 --> 00:03:23,904 <中国の調味料。 浜納豆や➨ 34 00:03:23,904 --> 00:03:26,573 大徳寺納豆に似ている> 35 00:03:26,573 --> 00:03:28,775 (小此木)へぇ~。 36 00:03:28,775 --> 00:03:31,144 では 味見を…。 37 00:03:35,749 --> 00:03:37,751 (小此木)秋山くん? 38 00:03:37,751 --> 00:03:40,220 あっ いや… ちょっと 味が狂った。 39 00:03:40,220 --> 00:04:02,075 ♬~ 40 00:04:02,075 --> 00:04:05,378 (弥一)秋山! できたのか? さっさと 持ってこい! 41 00:04:05,378 --> 00:04:09,082 何してんだ まったく…。 あっ あぁ…。 42 00:04:11,084 --> 00:04:14,888 おい… なんだ? こりゃ。 43 00:04:14,888 --> 00:04:17,557 (史生)へっ? (江藤)はぁ? 44 00:04:17,557 --> 00:04:20,727 バカヤロウ! こんな 寝ぼけた味のものを➨ 45 00:04:20,727 --> 00:04:24,431 客に出す気か! お前の舌は 飾り物か!? えぇっ! 46 00:04:24,431 --> 00:04:27,067 (江藤)えっ そ… そりゃ まずいってことですか? 47 00:04:27,067 --> 00:04:29,736 (史生)まさか 秋山の料理が!? (弥一)キリコ! 48 00:04:29,736 --> 00:04:33,774 代わりに作れ! 大至急だ! は… はい! 49 00:04:33,774 --> 00:04:37,444 バカ! 10倍じゃ ダメなんだ。 50 00:04:42,749 --> 00:04:44,751 秋山くん…。 51 00:04:50,590 --> 00:04:52,559 (弥一)急げよ! (みんな)はい! 52 00:04:54,561 --> 00:04:58,064 (江藤)おぉ… お疲れさま…。 53 00:04:58,064 --> 00:05:01,067 うぅ… もう 動けん。 (太田)バテた~。 54 00:05:01,067 --> 00:05:04,571 (瀬我)お~い 小此木! 秋山のやつ どこにいる? 55 00:05:04,571 --> 00:05:07,240 はぁ… えっと あの…。 56 00:05:07,240 --> 00:05:11,411 実は… 外で泣いてます。 57 00:05:13,380 --> 00:05:15,415 えぇ~っ!? (太田)マジで!? 58 00:05:15,415 --> 00:05:19,085 (瀬我)アイツが泣いてる? ハハハ… そりゃいいや! 59 00:05:19,085 --> 00:05:22,756 (史生)だいたい アイツ 来た時から 生意気だったもんな。 60 00:05:22,756 --> 00:05:25,659 (江藤)まぁ ちったぁ いい薬になったんじゃねぇの? 61 00:05:25,659 --> 00:05:30,964 なるほどな! 秋山のやつ ジジイと マンツーマンでやってたから➨ 62 00:05:30,964 --> 00:05:36,436 大量料理は 経験なかったんだろうよ。 ハハハーッ! 63 00:05:38,438 --> 00:05:40,440 《失敗した! 64 00:05:40,440 --> 00:05:44,110 失敗した… この俺が! 65 00:05:44,110 --> 00:05:48,481 秋山が 料理をしくじった…》 66 00:05:48,481 --> 00:05:50,784 クソ!! クソ クソ! 67 00:05:50,784 --> 00:05:53,153 クソ! クソーッ! 68 00:06:00,160 --> 00:06:04,397 (小此木)あ… あの… 秋山くん。 69 00:06:04,397 --> 00:06:08,068 みんな もう 帰ったよ。 70 00:06:08,068 --> 00:06:11,071 秋山くん… 気にするなよ。 71 00:06:11,071 --> 00:06:13,573 僕なんか 失敗は しょっちゅうだよ。 72 00:06:13,573 --> 00:06:19,079 《お前と一緒にするな。 お… 俺は 秋山なんだぞ》 73 00:06:22,382 --> 00:06:26,586 ぼ… 僕は 料理のことは まだわからないけど➨ 74 00:06:26,586 --> 00:06:30,390 こんな話は なぐさめにはならないかな。 75 00:06:30,390 --> 00:06:35,262 ア… アメリカでね サンダルを買った人がね➨ 76 00:06:35,262 --> 00:06:38,732 店員に聞いたんだ これ いくら? って。 77 00:06:38,732 --> 00:06:41,101 すると 店員は答えた。 78 00:06:41,101 --> 00:06:43,169 サンダル。 79 00:06:43,169 --> 00:06:46,740 なんちゃって! アハハ… アハハハハ! 80 00:06:46,740 --> 00:06:50,076 ハハ… ハハハハハ! 81 00:06:50,076 --> 00:06:52,746 ハハハ… どう? 82 00:06:52,746 --> 00:06:55,415 《こいつ…》 83 00:06:55,415 --> 00:06:59,386 この間 薬局で どの カゼ薬がいいですか? って➨ 84 00:06:59,386 --> 00:07:04,224 聞いたら ルルがええじょ~! な~んちゃって! 85 00:07:04,224 --> 00:07:07,761 アハハ… アハハハハ! 《こいつ…》 86 00:07:07,761 --> 00:07:10,664 どう? もっと話そうか? 87 00:07:14,768 --> 00:07:17,737 お前… いいやつなんだな。 88 00:07:21,741 --> 00:07:24,778 じゃ 一緒に 厨房の掃除しよう。 89 00:07:24,778 --> 00:07:28,048 2人でやれば すぐ終わるよ。 うん…。 90 00:07:28,048 --> 00:07:31,084 でも すごいよ 秋山くんは。 あぁ? 91 00:07:31,084 --> 00:07:34,087 一度だって ここの鍋に 立てたんだもん。 92 00:07:34,087 --> 00:07:36,990 僕なんか まかないで作った 野菜炒めでさえ➨ 93 00:07:36,990 --> 00:07:40,727 怒られちゃったんだ。 水っぽくて 食べられないって。 94 00:07:40,727 --> 00:07:44,097 ハハ… 水? そりゃ 火加減の…。 95 00:07:44,097 --> 00:07:46,066 水? 96 00:07:48,501 --> 00:07:51,471 ⸨10倍じゃ ダメなんだ⸩ 97 00:07:51,471 --> 00:07:54,407 ⸨水っぽくて 食べられないって⸩ 98 00:07:54,407 --> 00:07:56,409 水! 何? 99 00:07:56,409 --> 00:07:58,745 わかった… わかったぞ! 100 00:07:58,745 --> 00:08:01,414 ハハハハハ! あ… 秋山くん!? 101 00:08:01,414 --> 00:08:04,384 (小此木)おい どうしたんだよ! 102 00:08:06,753 --> 00:08:11,157 宴会料理のポイント… それは 水! 103 00:08:13,093 --> 00:08:16,463 大量の野菜を炒めると 鍋の温度が上がらず➨ 104 00:08:16,463 --> 00:08:18,598 水分が蒸発しづらくなる。 105 00:08:18,598 --> 00:08:21,935 だから トリガラスープを等倍にではなく➨ 106 00:08:21,935 --> 00:08:24,771 少なくして 味付けしなければ ならなかったんだ。 107 00:08:24,771 --> 00:08:27,107 そうなんだ… 宴会料理は➨ 108 00:08:27,107 --> 00:08:30,410 大量に作った時 どうなるかが ポイントだったんだ! 109 00:08:32,746 --> 00:08:34,748 へ… へぇ~。 110 00:08:39,619 --> 00:08:41,721 うっ… うま~い! 111 00:08:41,721 --> 00:08:44,424 すっごく うまいよ! 秋山くん。 112 00:08:44,424 --> 00:08:48,395 豆豉の風味が きいてるね。 そうか そうだろ! 113 00:08:48,395 --> 00:08:51,064 もっと食え! まだまだ あるからな! 114 00:08:51,064 --> 00:08:57,070 チェッ! なんだ アイツ… 自分で ちゃんとわかったじゃないか。 115 00:08:57,070 --> 00:09:00,473 (小此木)何人前 作ったの? 50人前 作ったからな! 116 00:09:00,473 --> 00:09:03,410 え~っ! 2人で食べ切れるかな? 117 00:09:03,410 --> 00:09:05,745 食べれるよ! 秋山の料理ならな! 118 00:09:05,745 --> 00:09:09,115 突然だけど ジャンって呼んでいい? 119 00:09:11,084 --> 00:09:13,420 <休日。 120 00:09:13,420 --> 00:09:19,125 ジャンのツーリングに同行した 小此木は 少しだけ 後悔していた> 121 00:09:19,125 --> 00:09:21,428 ハァ… 遠かった…。 122 00:09:21,428 --> 00:09:24,464 ひと休みしようよ ジャン。 123 00:09:24,464 --> 00:09:28,401 よし 行くぞ。 えっ!? ど… どこに? 124 00:09:28,401 --> 00:09:32,572 食料調達だ。 一応 レトルトのカレーとか➨ 125 00:09:32,572 --> 00:09:35,241 赤飯は持ってきたけど…。 俺たちゃ ここに➨ 126 00:09:35,241 --> 00:09:39,279 料理をするために来たんだぜ。 で… でもさ…。 127 00:09:39,279 --> 00:09:43,149 ほら! お前も 魚でも鳥でも とってこい。 128 00:09:55,061 --> 00:09:59,732 <ウズラ… 体長20cm前後の キジ科の鳥である。 129 00:09:59,732 --> 00:10:04,637 産卵直前は 脂がのっていて 最も美味といわれている。 130 00:10:04,637 --> 00:10:07,740 ここで ジャンが行っているのは あえて 血抜きをせず➨ 131 00:10:07,740 --> 00:10:13,913 力強い肉の味を楽しむ フランス料理 エトフェの技法である> 132 00:10:13,913 --> 00:10:15,915 これくらいでいいか。 133 00:10:15,915 --> 00:10:18,084 あとは 山菜でも採りに…。 134 00:10:18,084 --> 00:10:20,420 小此木は 何か とれたかな。 135 00:10:20,420 --> 00:10:22,755 (鳴き声) 136 00:10:22,755 --> 00:10:25,091 イテッ! 痛いって! 137 00:10:25,091 --> 00:10:28,394 このヤロウ…。 何やってんだ お前…。 138 00:10:28,394 --> 00:10:31,397 どうだい!? 見てよ ジャン! 139 00:10:31,397 --> 00:10:34,767 でっかい ニワトリだろ? 川を歩いてたんだ。 140 00:10:34,767 --> 00:10:39,072 どっかの農場から逃げてきて 野生化したやつだよ。 141 00:10:39,072 --> 00:10:42,075 今日の食料は これで足りるよね? 142 00:10:42,075 --> 00:10:44,077 残念だけど 小此木…。 143 00:10:44,077 --> 00:10:47,514 それは 食えない。 へっ? 144 00:10:47,514 --> 00:10:50,083 この地鶏は 年をとりすぎている。 145 00:10:50,083 --> 00:10:54,087 ダシは いい味が出るんだが 肉は硬くて スジばかり。 146 00:10:54,087 --> 00:10:57,157 逃がしてやれ。 そ… そんなぁ~。 147 00:10:57,157 --> 00:11:00,426 そんなも何も… あっ! 148 00:11:00,426 --> 00:11:04,764 ハハハ… そうだ! 逃がしちゃいけない。 149 00:11:04,764 --> 00:11:10,069 いいぞ 小此木… これで 最高の野鳥料理を作ってやる。 150 00:11:10,069 --> 00:11:12,672 えっ? (鳴き声) 151 00:11:14,774 --> 00:11:18,111 豆板醤をからめた山菜と 高菜の漬け物。 152 00:11:18,111 --> 00:11:20,413 レトルトの赤飯 ハム。 153 00:11:20,413 --> 00:11:24,083 俺がとってきた ウズラは 羽をむしり 内臓をとる。 154 00:11:24,083 --> 00:11:26,352 そ… それで 何を作るの? 155 00:11:28,421 --> 00:11:31,758 包み焼きの方法で 中華料理に富貴鶏➨ 156 00:11:31,758 --> 00:11:35,228 フレンチに 鶏の塩釜焼き というものがある。 157 00:11:35,228 --> 00:11:40,166 それを応用したのが この 秋山特製 ムズジュウアンチュンだ。 158 00:11:40,166 --> 00:11:45,071 まず ウズラを火にかざし 表面を焼き 色をつけて 醤油を塗る。 159 00:11:45,071 --> 00:11:50,076 中に 豆板醤で和えた山菜を詰め タコ糸で しばる。 160 00:11:50,076 --> 00:11:54,414 ニワトリの内側には 荒塩を塗り込んで 赤飯を詰めて➨ 161 00:11:54,414 --> 00:11:58,751 そして 腹いっぱいに ウズラを詰め込む! 162 00:11:58,751 --> 00:12:02,922 ムズジュウアンチュンは トリにトリを入れて 焼く! 163 00:12:02,922 --> 00:12:06,226 どうだ 小此木! すごい…。 164 00:12:09,762 --> 00:12:12,265 焼け終わるのは 数時間後。 165 00:12:12,265 --> 00:12:14,234 これは うまいぜ~! 166 00:12:14,234 --> 00:12:16,769 なんたって 老いたニワトリの肉汁の旨味を➨ 167 00:12:16,769 --> 00:12:19,439 たっぷりと吸い込むんだからな! 168 00:12:25,411 --> 00:12:29,415 いいの? ニワトリが真っ黒じゃん。 いいんだ。 169 00:12:36,089 --> 00:12:38,591 うわぁ… いい匂い! 170 00:12:38,591 --> 00:12:42,428 それに この焼き色! 色だけじゃねぇぜ。 171 00:12:42,428 --> 00:12:44,397 味もすげぇぞ! 172 00:12:47,400 --> 00:12:49,569 んっ! ん~っ! 173 00:12:49,569 --> 00:12:51,904 う… うまい! 174 00:12:51,904 --> 00:12:57,076 すごいよ これ! ニワトリの肉汁が赤飯にしみ込んで➨ 175 00:12:57,076 --> 00:13:01,748 ウズラは ふっくらと焼き上がり 山菜の香りも さわやか…。 176 00:13:01,748 --> 00:13:05,752 しかも 丸ごと食べられるなんて もう 最高だよ! 177 00:13:05,752 --> 00:13:08,921 カカカー! そうだろ そうだろ! 178 00:13:08,921 --> 00:13:12,759 俺が作るのは どんなものでも 最高の味なんだ! 179 00:13:12,759 --> 00:13:15,328 うまい! すごい! 天才! 180 00:13:15,328 --> 00:13:19,732 もう一つあるぞ。 これも食え! (笑い声) 181 00:13:19,732 --> 00:13:21,734 ジャンは 天才ジャン! 182 00:13:24,404 --> 00:13:27,573 あのさ… ジャン。 なんだ? 183 00:13:27,573 --> 00:13:29,575 聞きたかったんだけど➨ 184 00:13:29,575 --> 00:13:33,746 ジャンは どうして 料理人になろうと思ったの? 185 00:13:33,746 --> 00:13:36,582 なろうと思ったわけじゃないよ。 186 00:13:36,582 --> 00:13:42,155 気がついたら もう 料理人になっていたんだ。 187 00:13:42,155 --> 00:13:45,758 ⸨階一郎:こんなものが 食えるか~! 188 00:13:45,758 --> 00:13:47,727 (階一郎)なんだ この料理は! 189 00:13:47,727 --> 00:13:51,097 キサマ 今まで何を聞いてたんだ! この バカヤロウ! 190 00:13:51,097 --> 00:13:53,599 すみません 今 作り直します。 191 00:13:53,599 --> 00:13:56,102 こんな 人にコビた料理を 誰が教えた!? 192 00:13:56,102 --> 00:14:00,740 ただ うまいだけでは 秋山の料理ではないのだ! 193 00:14:00,740 --> 00:14:04,410 バカヤロウ! バカヤロウ! バカヤロウ! バカヤロウ! 194 00:14:04,410 --> 00:14:06,412 バカヤロウ! 195 00:14:06,412 --> 00:14:08,381 ハァ ハァ…。 196 00:14:13,086 --> 00:14:16,089 もういい… 片づけろ。 197 00:14:16,089 --> 00:14:19,092 そして あとで厨房へ来い。 198 00:14:19,092 --> 00:14:24,397 ワシが 秋山の料理を作ってみせる。 紅焼鹿筋を。 199 00:14:27,734 --> 00:14:31,771 <乾燥した鹿のアキレス腱を戻し 煮込んだもの。 200 00:14:31,771 --> 00:14:36,242 下処理に手間がかかるため これを作る料理人は少ない> 201 00:14:36,242 --> 00:14:39,412 ジャン… お前なら どう作る? 202 00:14:39,412 --> 00:14:41,781 まず 1日目 煮立った湯に➨ 203 00:14:41,781 --> 00:14:45,852 鹿筋を入れて すぐ 火を消し そのまま 置いておきます。 204 00:14:45,852 --> 00:14:48,588 2日目は 流水にさらして 水を入れ替え➨ 205 00:14:48,588 --> 00:14:52,458 酒 ネギ ショウガを入れ 30分 茹でてから➨ 206 00:14:52,458 --> 00:14:55,094 ネギとショウガを取り除いて 放置。 207 00:14:55,094 --> 00:14:58,431 3日目 4日目 5日目も同じ。 208 00:14:58,431 --> 00:15:02,402 軟らかくなってきたら スジをはじめ 硬い部分を取り除き…。 209 00:15:02,402 --> 00:15:04,404 もう よい! あっ…。 210 00:15:04,404 --> 00:15:06,839 そのやり方でできるのは うまい料理であって➨ 211 00:15:06,839 --> 00:15:09,909 秋山の料理ではない! ワシは それを➨ 212 00:15:09,909 --> 00:15:13,579 1時間で作ることができるぞ! フン! 213 00:15:13,579 --> 00:15:16,983 ジ… ジイチャン! それは 廃油ですよ! 214 00:15:16,983 --> 00:15:19,085 使い終わって ゴミに出すつもりの…。 215 00:15:19,085 --> 00:15:21,420 ハァーッ! 216 00:15:21,420 --> 00:15:23,723 いいか ジャン! 217 00:15:23,723 --> 00:15:26,759 料理というものは それ自体が 魔法のようなもの。 218 00:15:26,759 --> 00:15:33,433 とりわけ 秋山の料理は 極上の魔法であらねばならんのだ。 219 00:15:33,433 --> 00:15:35,768 秋山のホンシャオルージンは➨ 220 00:15:35,768 --> 00:15:39,405 10日ほど 廃油に 鹿筋を 漬け込むところから始まる。 221 00:15:39,405 --> 00:15:41,741 それを…。 222 00:15:41,741 --> 00:15:44,110 あ… 油で揚げるんですか!? 223 00:15:44,110 --> 00:15:46,078 でも それじゃ パリパリに…。 224 00:15:49,582 --> 00:15:51,684 よし! では いくぞ! 225 00:15:58,758 --> 00:16:01,761 うっ! ハーッハッハッハ! 226 00:16:01,761 --> 00:16:06,432 どうだ 見たか! これが 秋山の油泡だ! 227 00:16:06,432 --> 00:16:10,102 《よ… 油泡!?》 228 00:16:10,102 --> 00:16:13,105 見ろ! 熱した油に水を入れると➨ 229 00:16:13,105 --> 00:16:18,077 その水は 瞬間で水蒸気となって アキレス腱の内部に入り込み➨ 230 00:16:18,077 --> 00:16:21,113 腱を スポンジ状に膨らませるのだ。 231 00:16:21,113 --> 00:16:25,117 そして 泡が出なくなったら また 水を入れる。 232 00:16:25,117 --> 00:16:29,755 これをくり返すと 腱は だんだん大きくなる。 233 00:16:29,755 --> 00:16:33,426 もう一度 言う… 料理は魔法だ。 234 00:16:33,426 --> 00:16:35,595 魔力を持て ジャン。 235 00:16:35,595 --> 00:16:39,465 誰よりも力強い魔力を使う 料理人となれ! 236 00:16:39,465 --> 00:16:42,101 常識からは 何も生まれない! 237 00:16:42,101 --> 00:16:45,771 感動もない! そんなものは打ち砕いてしまえ! 238 00:16:45,771 --> 00:16:50,142 そして お前だけの超魔力を 身につけた時…。 239 00:16:50,142 --> 00:16:57,149 その時こそ… お前は 最高の料理人になれるのだ。 240 00:17:05,124 --> 00:17:08,394 では いただきます。 241 00:17:12,498 --> 00:17:15,201 どうだ? うまいだろう。 242 00:17:17,770 --> 00:17:20,139 いえ…。 243 00:17:20,139 --> 00:17:23,609 うまく… ないです。 244 00:17:27,580 --> 00:17:31,784 うぅ… うぅ~っ! 245 00:17:31,784 --> 00:17:34,120 なんだと キサマ! 246 00:17:34,120 --> 00:17:39,158 キサマ いったい 誰に言っとる! ワシを誰だと思っとるんだ! 247 00:17:39,158 --> 00:17:42,595 す… すみません! でも 本当に 塩の加減が…。 248 00:17:42,595 --> 00:17:46,132 まだ言うか! こいつめ! こいつめ! 249 00:17:46,132 --> 00:17:48,401 ハァ ハァ ハァ…。 250 00:17:51,537 --> 00:17:56,242 もういい 寝ろ! 寝ちまえ! は… はい。 251 00:17:58,477 --> 00:18:02,648 フン! 塩だと? たわけたことを! 252 00:18:02,648 --> 00:18:05,418 ワシの舌が おかしいなどと…。 253 00:18:11,123 --> 00:18:15,127 塩の味が… まったくしない。 254 00:18:17,129 --> 00:18:19,165 こりゃ たまげた…。 255 00:18:19,165 --> 00:18:22,935 フフフ…。 256 00:18:22,935 --> 00:18:26,138 ハハハハハハ! 257 00:18:26,138 --> 00:18:29,742 なんてこった! 舌が腐っていたのは➨ 258 00:18:29,742 --> 00:18:35,147 ワシのほうだったか… アハハハハ…。 259 00:18:39,418 --> 00:18:43,756 ジャン 町までおりて ワシの薬をとってきてくれ。 260 00:18:43,756 --> 00:18:46,092 いつものやつと言えば わかる。 261 00:18:46,092 --> 00:18:49,729 これに 金と保険証が入っている。 262 00:18:49,729 --> 00:18:51,731 行ってまいります。 263 00:18:53,766 --> 00:18:58,437 あらまぁ… 秋山さんとこには 先日 渡したばかりなのよ。 264 00:18:58,437 --> 00:19:00,740 もう 薬ないの? えっ? 265 00:19:00,740 --> 00:19:02,775 でも 祖父が もらってこい って…。 266 00:19:02,775 --> 00:19:05,611 それに これ 保険証じゃないわ。 267 00:19:05,611 --> 00:19:08,080 大金よ。 金? 268 00:19:17,089 --> 00:19:19,058 手紙? 269 00:19:19,058 --> 00:19:23,129 ☎️(睦十)はい 五番町飯店です。 270 00:19:23,129 --> 00:19:25,765 よう 睦十! 久しぶりだな。 271 00:19:25,765 --> 00:19:29,068 ☎️(階一郎)俺が わかるか? (睦十)か… 階一郎! 272 00:19:29,068 --> 00:19:33,105 その声は 階一郎か! ☎️ハハハ… そのとおり。 273 00:19:33,105 --> 00:19:36,509 ☎️(睦十)お前 今 どこにいる! なんで 今まで 連絡を…。 274 00:19:36,509 --> 00:19:39,578 聞け 睦十! 俺は お前を倒す刺客を➨ 275 00:19:39,578 --> 00:19:43,115 そっちに送り込んだぞ。 刺客の名は…。 276 00:19:43,115 --> 00:19:45,217 秋山醤! 277 00:19:45,217 --> 00:19:47,920 ☎️(階一郎)もし お前が ヨボヨボのジジイに➨ 278 00:19:47,920 --> 00:19:51,757 なってしまっているなら さっさと逃げろ。 だが…。 279 00:19:51,757 --> 00:19:56,062 だが 五番町睦十よ! まだ 闘争心が残っているなら➨ 280 00:19:56,062 --> 00:20:00,633 ジャンを雇え! そして 闘ってみろ! 281 00:20:00,633 --> 00:20:02,635 ☎️ハッハッハ! 282 00:20:02,635 --> 00:20:05,404 ハーッハッハッハ! ☎️(睦十)階一郎! かい… 283 00:20:10,109 --> 00:20:13,145 なんだ これ… ジイチャン…。 284 00:20:13,145 --> 00:20:15,715 ⚟秋山さんとこの お孫さんだね? 285 00:20:15,715 --> 00:20:18,818 薬は 患者本人にしか 渡せないんだよ。 286 00:20:18,818 --> 00:20:23,489 特に ガンの痛みを抑える モルヒネのようなものはね…。 287 00:20:27,126 --> 00:20:30,729 睦十 お前との勝負の続きは…。 288 00:20:32,798 --> 00:20:37,136 あの世でだ。 289 00:20:37,136 --> 00:20:39,205 ジ… ジイチャン! 290 00:20:39,205 --> 00:20:43,142 (階一郎)「ジャンに告ぐ。 五番町飯店に行け。 291 00:20:43,142 --> 00:20:48,714 舌の腐った料理人は もはや 死ぬのみである」。 292 00:20:52,084 --> 00:20:55,421 グァーッハッハッハ! 293 00:20:55,421 --> 00:21:00,092 睦十! ひと足先に待ってるぜ! 294 00:21:08,434 --> 00:21:11,804 あぁ ジャン! 爺さんは 逃げ出せたのか? どこだ!? 295 00:21:11,804 --> 00:21:15,241 まさか まだ 中にいるんじゃねぇだろうな!?⸩ 296 00:21:15,241 --> 00:21:19,111 ⸨誰にも負けない料理人になれ⸩ 297 00:21:19,111 --> 00:21:23,115 ⸨気の抜けた料理では 誰も心を動かされんのだ! 298 00:21:23,115 --> 00:21:26,519 なぜ それがわからんのだ!⸩ 299 00:21:26,519 --> 00:21:30,523 ⸨料理は魔法だ! 常識を打ち破れ!⸩ 300 00:21:32,691 --> 00:21:37,596 ⸨負け犬が~っ!⸩ 301 00:21:37,596 --> 00:21:41,433 < こうして 秋山階一郎は➨ 302 00:21:41,433 --> 00:21:46,605 一片の骨も残さず その身を焼いた> 303 00:21:46,605 --> 00:21:50,109 (小此木)ジャン? ジャンって…。 304 00:21:50,109 --> 00:21:53,112 どうしたの? 急に黙って…。 305 00:21:53,112 --> 00:21:55,080 いや…。 306 00:21:55,080 --> 00:22:00,619 俺は 五番町飯店のオーナー 五番町睦十を倒さなきゃならない。 307 00:22:00,619 --> 00:22:04,757 秋山の料理で 頂点に立つ。 308 00:22:04,757 --> 00:22:10,129 それが… ジジイと俺の執念なんだ。