1 00:01:40,867 --> 00:01:42,869 <前回までの 『鉄鍋のジャン!』> 2 00:01:42,869 --> 00:01:46,239 (大谷)この大谷日堂に味を見て もらいたいんやったら➨ 3 00:01:46,239 --> 00:01:50,377 もっともっと腕を磨くことやな! 4 00:01:50,377 --> 00:01:53,013 (弥一)こいつは最低の評論家だよ。 5 00:01:53,013 --> 00:01:55,882 《大谷:我を忘れた? このワシが!? 6 00:01:55,882 --> 00:01:58,018 こんなガキが作った料理で…》 7 00:01:58,018 --> 00:02:03,023 (醤)カ~ッカッカッカ…! 8 00:02:17,204 --> 00:02:19,706 ブス! (霧子)バカ! ゴリラ! 9 00:02:19,706 --> 00:02:21,808 サル! デブ! つり目! 10 00:02:21,808 --> 00:02:23,810 巨乳! チビ! 11 00:02:23,810 --> 00:02:26,380 茶髪ヤンキー! バーカ バーカ バーカ 泣き虫! 12 00:02:26,380 --> 00:02:28,382 はっ!? 泣いてねえよ! ブス! 13 00:02:28,382 --> 00:02:30,417 (2人)フンッ! 14 00:02:30,417 --> 00:02:34,221 <今日も 相変わらずの醤と 霧子であった。 15 00:02:34,221 --> 00:02:39,092 そして もう一人 小此木タカオも 相変わらずであった> 16 00:02:39,092 --> 00:02:42,629 (小此木)お待たせしました~! まかないで~す! 17 00:02:42,629 --> 00:02:44,898 (柏原)おっ 待ちくたびれたぜ! 18 00:02:44,898 --> 00:02:47,234 (瀬我)大丈夫か? ちゃんとできたか? 19 00:02:47,234 --> 00:02:50,037 はい! (笑い声) 20 00:02:50,037 --> 00:02:53,240 (小此木)どうぞ。 (2人)うっ! 21 00:02:53,240 --> 00:02:55,542 (小此木)どうですか? 22 00:02:55,542 --> 00:02:59,212 野菜から出たスープも 均等に分けたんですよ~。 23 00:02:59,212 --> 00:03:02,616 このスープがおいしいんですよね。 24 00:03:02,616 --> 00:03:05,218 ブギャッ! (柏原)なんだ こりゃ 小此木! 25 00:03:05,218 --> 00:03:07,387 てめえ 俺たちがいつも 作ってるものを➨ 26 00:03:07,387 --> 00:03:09,890 ちゃんと見てんのか!? はぁ…。 27 00:03:09,890 --> 00:03:14,261 (瀬我)まったく…。 (柏原)おい 外に食いに行くぞ! 28 00:03:14,261 --> 00:03:18,031 (望月)こ~の 役立たずが! ひぃっ! 29 00:03:18,031 --> 00:03:20,701 ったく 無駄骨折らせやがって。 30 00:03:20,701 --> 00:03:23,203 な… なんでぇ!? 31 00:03:23,203 --> 00:03:28,108 小此木。 野菜炒めは そもそも 水分が出ちゃ駄目なんだ。 32 00:03:28,108 --> 00:03:31,144 えっ? 野菜は十分 火が通っているが➨ 33 00:03:31,144 --> 00:03:34,548 水も出ない。 それが最もうまい 野菜炒めだ。 34 00:03:34,548 --> 00:03:39,219 お前が作ったのは 肉はパサパサ 野菜もシナシナ➨ 35 00:03:39,219 --> 00:03:41,388 スープがうまいと言っていたが➨ 36 00:03:41,388 --> 00:03:44,357 それは 野菜のうまみが 全部流れ出ちまっていて➨ 37 00:03:44,357 --> 00:03:47,294 失敗ということなんだ。 うぅ…。 38 00:03:47,294 --> 00:03:50,564 これでは野菜炒めではなく 野菜スープだ。 39 00:03:50,564 --> 00:03:53,700 だって 誰も何も 教えてくれなくて。 40 00:03:53,700 --> 00:03:57,204 アホ! 当たり前だ! そんなもん見て覚えんだ! 41 00:03:57,204 --> 00:03:59,606 みんなそうしてんだ! うぅ…。 42 00:03:59,606 --> 00:04:02,743 でもまあ あんなやつらの 料理を見たって➨ 43 00:04:02,743 --> 00:04:05,378 うまくなりゃしねぇけどな。 44 00:04:05,378 --> 00:04:08,215 (望月)おい 秋山! 今なんつった!? 45 00:04:08,215 --> 00:04:12,052 なんだよ 聞こえたのか? 本当のことだろ ヘヘッ。 46 00:04:12,052 --> 00:04:14,221 てめえ…。 47 00:04:14,221 --> 00:04:16,189 (睦十)なるほど…。 48 00:04:16,189 --> 00:04:21,595 (睦十)確かに こりゃ しつけができてない山ザルだ。 49 00:04:21,595 --> 00:04:25,198 お前が 階一郎の孫 秋山醤だな? 50 00:04:25,198 --> 00:04:28,235 ワシは 五番町睦十。 51 00:04:28,235 --> 00:04:30,537 階一郎から聞いとるじゃろう? 52 00:04:30,537 --> 00:04:33,540 (史生)あ… オ オーナー…。 (谷)おはようございます! 53 00:04:33,540 --> 00:04:36,710 て… てめえが睦十…。 54 00:04:36,710 --> 00:04:39,379 うっ! さ~て お前たち➨ 55 00:04:39,379 --> 00:04:43,583 そこの小此木に ずいぶん昔の 鍛え方をしているようじゃの。 56 00:04:43,583 --> 00:04:47,087 あ… それは 私らも そうやって教えられて…。 57 00:04:47,087 --> 00:04:50,056 アホ! 昔と今は違うんじゃ。 58 00:04:50,056 --> 00:04:52,058 見習いをあんなふうに 扱っていては➨ 59 00:04:52,058 --> 00:04:54,895 何人いても すぐ辞めてしまうぞ。 60 00:04:54,895 --> 00:04:58,064 (睦十)まあ 久しぶりに来たんだ。 61 00:04:58,064 --> 00:05:01,735 ワシが まかないを 作ってやろうか。 62 00:05:01,735 --> 00:05:03,870 (柏原)えっ…。 (スタッフたち)え~っ!? 63 00:05:03,870 --> 00:05:07,541 (江藤)オ オーナー ホントっすか!? (睦十)小此木も見ておくように。 64 00:05:07,541 --> 00:05:10,177 (小此木)は はい! (睦十)弥一も呼べ。 65 00:05:10,177 --> 00:05:13,046 どうした? おジイちゃん見て ビビッたか? 66 00:05:13,046 --> 00:05:15,715 顔色悪いわよ。 67 00:05:15,715 --> 00:05:20,387 《あの杖から うちのジジイと同じ 気を感じた…》 68 00:05:20,387 --> 00:05:25,025 作るものは 回鍋肉。 弥一! (弥一)はい! 69 00:05:25,025 --> 00:05:27,727 (岩田)そ 総料理長が 手伝うんすか!? 70 00:05:27,727 --> 00:05:30,463 (江藤)すげぇ! 初めてみるよ俺! 71 00:05:30,463 --> 00:05:34,134 ⸨階一郎:醤 こいつだ こいつを倒せ! 72 00:05:34,134 --> 00:05:37,037 あの男こそ 五番町睦十! 73 00:05:37,037 --> 00:05:41,041 中華料理最高の男!⸩ 74 00:05:43,577 --> 00:05:46,079 では…。 はい…。 75 00:05:46,079 --> 00:05:48,114 (2人)は~っ! 76 00:05:48,114 --> 00:05:50,050 な なんだ!? あの速さは! 77 00:05:50,050 --> 00:05:52,552 (岩田)今の何をやったんだ!? 78 00:05:52,552 --> 00:05:56,189 いいか 小此木。 中華料理で 最も大切なことは➨ 79 00:05:56,189 --> 00:05:58,725 手の速さ… わかるね? 80 00:05:58,725 --> 00:06:02,062 野菜を切るときも 火を通すときも。 81 00:06:02,062 --> 00:06:06,199 は はい わかります。 あ…。 82 00:06:06,199 --> 00:06:09,369 (睦十)ピーマンとキャベツは まず 油通しすること。 83 00:06:09,369 --> 00:06:13,373 そうすれば 炒めても 色も変わらず 水も出ない。 84 00:06:13,373 --> 00:06:18,044 回鍋肉は ゆでた豚バラ肉の塊を スライスして使う。 85 00:06:18,044 --> 00:06:20,914 この肉は そのまま ニンニクソースをかければ➨ 86 00:06:20,914 --> 00:06:23,550 ウンパイロウという料理になる。 87 00:06:23,550 --> 00:06:27,554 ニンニクのスライス 豆板醤で辛みを出す。 88 00:06:27,554 --> 00:06:30,223 豆豉のみじん切りでコクを出す。 89 00:06:30,223 --> 00:06:34,594 甜麺醤は 中国の甘みそだ。 90 00:06:34,594 --> 00:06:36,596 ん…。 91 00:06:38,732 --> 00:06:43,870 よく見ておけよ みんな。 五番町睦十の技 熱気圏だ! 92 00:06:43,870 --> 00:06:46,239 (スタッフたち)ねっ…。 93 00:06:46,239 --> 00:06:48,909 フン! フンフン…。 94 00:06:48,909 --> 00:06:52,879 フンフン… フフフフ! 95 00:06:52,879 --> 00:06:57,918 フンフン…。 96 00:06:57,918 --> 00:07:01,054 フワ~ッ! 97 00:07:01,054 --> 00:07:04,224 (スタッフたち)熱気圏!? 98 00:07:04,224 --> 00:07:08,094 熱気圏とは ひと言で言えば 熱のドームだ。 99 00:07:08,094 --> 00:07:13,199 動き続ける鍋と具材の回転が 熱気の渦を作り上げている。 100 00:07:13,199 --> 00:07:15,235 そのために 熱は上に逃げず➨ 101 00:07:15,235 --> 00:07:19,572 中の野菜と肉は 十分火が 通った状態になっているんだ。 102 00:07:19,572 --> 00:07:22,742 しかも 大量の野菜を 炒めているにもかかわらず➨ 103 00:07:22,742 --> 00:07:26,379 短時間でできるため 水はほとんど出ない。 104 00:07:26,379 --> 00:07:28,915 つまり 野菜と肉の風味が➨ 105 00:07:28,915 --> 00:07:34,120 たっぷりと素材に閉じ込められた 状態になっているんだ。 106 00:07:34,120 --> 00:07:38,024 中華最高の料理人と 言われるゆえんだ。 107 00:07:46,900 --> 00:07:49,736 (李)う~ん! 108 00:07:49,736 --> 00:07:51,905 アフッ。 う~ん! 109 00:07:51,905 --> 00:07:54,407 ハフハフ…。 110 00:07:54,407 --> 00:07:58,545 うめぇ! たまんねぇな これ! 111 00:07:58,545 --> 00:08:01,548 おいしい! ホントおいしいです! 112 00:08:01,548 --> 00:08:05,051 うんうん。 なるほどな。 113 00:08:05,051 --> 00:08:07,454 たいしたもんだぜ ジイさん。 114 00:08:07,454 --> 00:08:10,724 この年で まだこれほどのものが 作れるとは。 115 00:08:10,724 --> 00:08:15,895 さすが 中華最高の料理人だ 倒し甲斐があるぜ! 116 00:08:15,895 --> 00:08:18,064 (瀬我)なっ…。 (小林)おいおい…。 117 00:08:18,064 --> 00:08:20,233 フンッ…。 118 00:08:20,233 --> 00:08:22,235 だが 待ってろよ! 119 00:08:22,235 --> 00:08:25,105 あと数年… いや 数か月のうちに➨ 120 00:08:25,105 --> 00:08:28,408 あんたを追い越してみせる! 121 00:08:28,408 --> 00:08:31,277 (望月)てめえ まだそんなこと 言ってんのか! 122 00:08:31,277 --> 00:08:35,815 その前に まず あたしに勝ってみなよ。 123 00:08:35,815 --> 00:08:37,784 だろ? 124 00:08:40,720 --> 00:08:43,223 だな。 125 00:08:50,397 --> 00:08:53,900 あれだけ でかい口 たたいたんだからな➨ 126 00:08:53,900 --> 00:08:57,904 つまんねえもの作りやがったら 金だけじゃ済まねえぞ。 127 00:08:57,904 --> 00:08:59,906 腕ぐれぇ へし折ってやるぜ! 128 00:08:59,906 --> 00:09:02,709 まったく うちに料理勝負を 仕掛けるなんて➨ 129 00:09:02,709 --> 00:09:05,245 いい度胸してるぜ。 こちとら➨ 130 00:09:05,245 --> 00:09:08,882 雑誌で何度も紹介されてる 評判の店なんだぜ。 131 00:09:08,882 --> 00:09:10,984 (リュウジ)あっそう。 132 00:09:14,254 --> 00:09:17,057 ん…。 133 00:09:17,057 --> 00:09:21,461 (リュウジ)出来上がり。 さあ 食べてみてください。 134 00:09:21,461 --> 00:09:25,064 ヘッ! こちとら この商売を 20年やってんだ。 135 00:09:25,064 --> 00:09:28,067 てめえみたいな青二才に…。 136 00:09:28,067 --> 00:09:31,538 《うっ! こ これは…》 137 00:09:34,374 --> 00:09:36,543 こ こいつは…。 138 00:09:36,543 --> 00:09:38,545 どう? 俺の勝ちでしょ? 139 00:09:38,545 --> 00:09:41,948 じゃ これはもらっていくぜ。 140 00:09:41,948 --> 00:09:45,485 (リュウジ)あばよ~。 ま 待て! この野郎! 141 00:09:45,485 --> 00:09:48,221 このまますんなりと 帰れると思ってんのか! 142 00:09:48,221 --> 00:09:51,724 店長! 店長もなんか 言ってくださいよ! 143 00:09:51,724 --> 00:09:54,894 このソース…。 ん? 144 00:09:54,894 --> 00:10:00,567 このソースは アレか… XO醤か? ん? 145 00:10:00,567 --> 00:10:04,437 ひょっとしてお前 XO醤のリュウか!? 146 00:10:04,437 --> 00:10:08,475 さあね。 147 00:10:08,475 --> 00:10:11,411 やられた…。 148 00:10:11,411 --> 00:10:15,882 (リュウジ)ク~ククク… クァ~ハハハ! 149 00:10:15,882 --> 00:10:18,084 この町にも飽きたな。 150 00:10:18,084 --> 00:10:22,555 そろそろ別の所で稼ぐか。 (大谷)尾藤リュウジやな? 151 00:10:22,555 --> 00:10:24,557 ん? 152 00:10:24,557 --> 00:10:26,559 (大谷)相変わらず 荒稼ぎしとるのぅ。 153 00:10:26,559 --> 00:10:32,565 (大谷)見とったで まるで ヤクザかゴロツキやな。 ハハハ! 154 00:10:32,565 --> 00:10:35,401 大谷さん! どうも ご無沙汰してます! 155 00:10:35,401 --> 00:10:38,905 ハハハ… 久しぶりやね 尾藤くん。 156 00:10:38,905 --> 00:10:42,809 金かけて勝負かい? 相変わらず えげつないねぇ。 157 00:10:42,809 --> 00:10:47,247 何言ってんすか。 全部あんたに 教えてもらったやり方ですよ。 158 00:10:47,247 --> 00:10:49,716 ホホホ! そうだったかいな。 159 00:10:49,716 --> 00:10:52,719 実は 尾藤くん。 160 00:10:52,719 --> 00:10:55,388 君に頼みができたんや。 161 00:10:55,388 --> 00:10:58,057 儲かる話なら。 162 00:10:58,057 --> 00:11:03,229 こりゃ話が早いわい。 ガハハハ! 163 00:11:03,229 --> 00:11:09,235 (大谷)ブッ ブッ ブヒャヒャヒャ! ブヒャヒャ…。 164 00:11:13,873 --> 00:11:16,042 (大谷)ハハハ! まあ なんやね➨ 165 00:11:16,042 --> 00:11:18,878 五番町飯店も質が落ちたねぇ。 166 00:11:18,878 --> 00:11:23,516 味はともかく 働く人間の 質っちゅうもんがねぇ。 167 00:11:23,516 --> 00:11:27,687 誰とは言わんよ 誰とは言わんがねぇ。 168 00:11:27,687 --> 00:11:29,856 ハハハ! 169 00:11:29,856 --> 00:11:32,358 (太田)何しに来たんだよ こいつ。 170 00:11:32,358 --> 00:11:34,527 さあ そこでだ。 171 00:11:34,527 --> 00:11:39,198 この男 尾藤リュウジを雇わんかね? 腕は保証するよ。 172 00:11:39,198 --> 00:11:44,170 もちろん そこの秋山とかいう ガキはクビにして… だ。 173 00:11:44,170 --> 00:11:47,674 はあ? はじめまして 尾藤です。 174 00:11:47,674 --> 00:11:51,010 こちらの店には 昔から憧れてました。 175 00:11:51,010 --> 00:11:54,013 イカれたこと言ってるわね あのジジイ。 176 00:11:54,013 --> 00:11:56,516 ずいぶん嫌われちゃったね 醤。 177 00:11:56,516 --> 00:11:58,518 俺のことだったのか。 178 00:11:58,518 --> 00:12:00,520 あのね 大谷さん。 179 00:12:00,520 --> 00:12:03,856 知ってるで。 あんたがここの 総料理長やろ? 180 00:12:03,856 --> 00:12:08,361 どや? 勝負させて決めたらええ。 なっ? そうしよ。 181 00:12:08,361 --> 00:12:12,532 僕はオーケーですよ。 腕にも少々 自信がありますし。 182 00:12:12,532 --> 00:12:16,369 ほう! 腕に自信? そりゃ おもしれぇや! 183 00:12:16,369 --> 00:12:18,404 フンッ。 184 00:12:18,404 --> 00:12:23,676 《ヒヒヒ… 予想どおり まんまと のっかってきよったわ バカめが。 185 00:12:23,676 --> 00:12:26,512 この前はよくも 恥をかかせてくれたのう。 186 00:12:26,512 --> 00:12:30,350 ワシは執念深いんや。 タダで許すなんてことあらへん。 187 00:12:30,350 --> 00:12:33,186 あのガキが自分から辞めさせて ください言うように➨ 188 00:12:33,186 --> 00:12:36,289 仕向けたるで 絶対に》 189 00:12:36,289 --> 00:12:39,359 君が 秋山醤? ああ そうだ。 190 00:12:39,359 --> 00:12:44,364 大谷さん あんたが何を言おうと 秋山は辞めさせやしませんよ。 191 00:12:44,364 --> 00:12:47,166 わかってこんな勝負 仕掛けるんですか? 192 00:12:47,166 --> 00:12:50,003 さて…。 193 00:12:50,003 --> 00:12:54,574 では 僕は このXO醤を使って 作ります。 194 00:12:54,574 --> 00:12:57,176 (江藤たち)えっ!? XO醤? 195 00:12:57,176 --> 00:12:59,846 XO醤を使うのか あいつ…。 196 00:12:59,846 --> 00:13:02,348 フンッ。 197 00:13:02,348 --> 00:13:05,752 あ あの XO醤ってなんですか? 198 00:13:05,752 --> 00:13:08,521 ひと言で言えば 魔法のソース。 199 00:13:08,521 --> 00:13:10,990 魔法のソース? 200 00:13:10,990 --> 00:13:16,396 <XO醤! 中華料理 4,000年の果てに生み出された➨ 201 00:13:16,396 --> 00:13:20,700 20世紀 中華料理界 最大の発明である。 202 00:13:20,700 --> 00:13:25,104 最高の食材を使った 最高の調味料という意味で➨ 203 00:13:25,104 --> 00:13:28,708 ブランデーの最高特級である エクストラ・オールド➨ 204 00:13:28,708 --> 00:13:31,678 XOをその名に冠している。 205 00:13:31,678 --> 00:13:35,515 ザ・ペニンシュラ香港のレストラン スプリングムーンによって➨ 206 00:13:35,515 --> 00:13:39,419 開発されたとも言われるが 実際には諸説あり➨ 207 00:13:39,419 --> 00:13:43,022 ペニンシュラも自身が発祥とは 公言していない。 208 00:13:43,022 --> 00:13:47,860 幻の調味料として 地元の食通たちに高く評価され➨ 209 00:13:47,860 --> 00:13:52,231 90年代に入ると そのうわさは 観光客の間にも広まり➨ 210 00:13:52,231 --> 00:13:54,767 人気は過熱していった。 211 00:13:54,767 --> 00:13:59,505 今でこそ 一般家庭でも 気軽に楽しめる調味料であるが➨ 212 00:13:59,505 --> 00:14:05,011 当時は まだまだ珍しく そして 新しかったのだ!> 213 00:14:05,011 --> 00:14:08,014 (柏原)中身は 干し貝柱 干しエビなどの乾物と➨ 214 00:14:08,014 --> 00:14:12,552 シャーズ 赤唐辛子 エシャロットなどの さまざまな食材➨ 215 00:14:12,552 --> 00:14:15,588 これらを油で煮たのが XO醤なんだ。 216 00:14:15,588 --> 00:14:19,659 中には 中国ハムやオイスターソースを 入れるところもあると聞く。 217 00:14:19,659 --> 00:14:22,662 (小此木)し 知りませんでした。 218 00:14:26,833 --> 00:14:28,835 (瀬我)おぉっ! は 速ぇ! 219 00:14:28,835 --> 00:14:31,504 (原沢)この速さは 秋山にも負けてねぇぞ! 220 00:14:31,504 --> 00:14:36,175 もちろんですよ。 速さはうまさ それが中華の鉄則です! 221 00:14:36,175 --> 00:14:38,444 フンッ。 222 00:14:41,514 --> 00:14:45,685 伊勢海老 ホタテを使った XO醤炒双鮮です。 223 00:14:45,685 --> 00:14:47,954 さっ 皆さんどうぞ。 224 00:14:53,526 --> 00:14:55,495 んっ! ほう~! 225 00:14:55,495 --> 00:14:57,497 (史生)へぇ いい味! 226 00:14:57,497 --> 00:15:00,666 うまいなぁ! (小林)たいしたもんだなぁ。 227 00:15:00,666 --> 00:15:03,503 何より このXO醤がすごい。 228 00:15:03,503 --> 00:15:05,671 普通のXO醤じゃないだろう。 229 00:15:05,671 --> 00:15:10,676 スルメや干し柿 干しアワビも入ってる。 230 00:15:10,676 --> 00:15:13,012 へぇ そんなものまで。 231 00:15:13,012 --> 00:15:16,682 (リュウジ)さすが 総料理長 ひと口だけでわかるなんて。 232 00:15:16,682 --> 00:15:19,519 作り方のレシピは あとでちゃんと答えま~す。 233 00:15:19,519 --> 00:15:24,056 僕って 秘密のない男ですから アハハハ~! 234 00:15:24,056 --> 00:15:26,159 ハハハハ! 235 00:15:26,159 --> 00:15:30,997 ハハハハ~! 駄目だよ こりゃ 全然駄目だ。 236 00:15:30,997 --> 00:15:32,999 なっちゃいない。 237 00:15:32,999 --> 00:15:36,169 お前は XO醤ってものを 何もわかっちゃいない。 238 00:15:36,169 --> 00:15:38,671 こんな腕で この俺に なり代わろうとは➨ 239 00:15:38,671 --> 00:15:41,040 思い上がりもはなはだしい! 240 00:15:41,040 --> 00:15:44,177 ケチな小技じゃない 本物の料理ってもんを➨ 241 00:15:44,177 --> 00:15:46,145 俺が見せてやるよ。 242 00:15:46,145 --> 00:15:48,181 心しておけよ…。 243 00:15:48,181 --> 00:15:50,149 ハゲ! 244 00:15:52,251 --> 00:15:54,353 (小此木)あ あの 醤。 245 00:15:54,353 --> 00:15:57,190 これ 冷蔵庫で見つけたんだ。 246 00:15:57,190 --> 00:15:59,358 向こうがXO醤を使うなら➨ 247 00:15:59,358 --> 00:16:02,361 こっちも五番町のXO醤を 使ったらどうかな? 248 00:16:02,361 --> 00:16:05,832 なるほど! XO醤での勝負に 持ち込むわけか。 249 00:16:05,832 --> 00:16:08,501 小此木にしちゃ いいこと言うぜ! 250 00:16:08,501 --> 00:16:12,872 いらない。 五番町の XO醤は使わない。 251 00:16:12,872 --> 00:16:15,208 えっ? で でも…。 252 00:16:15,208 --> 00:16:17,877 (江藤)そ それは? 253 00:16:17,877 --> 00:16:22,548 料理人なら 自分専用の XO醤を持っていて当然だ。 254 00:16:22,548 --> 00:16:27,220 ここのを使わなくとも 俺には俺が作ったXO醤がある。 255 00:16:27,220 --> 00:16:32,191 《肉専用? あいつ XO醤を 何種類も持っているの?》 256 00:16:32,191 --> 00:16:35,194 作るものは⤵ 257 00:16:35,194 --> 00:16:38,197 牛ヒレ肉の竹の葉包み焼きだ。 258 00:16:38,197 --> 00:16:41,868 まず すりおろした玉ネギに 牛ヒレ肉を漬け込む。 259 00:16:41,868 --> 00:16:45,271 ほう! あっ 総料理長が驚いてる。 260 00:16:45,271 --> 00:16:48,875 牛ヒレ肉って XO醤には 意外な組み合わせなんですか? 261 00:16:48,875 --> 00:16:52,879 いや 俺が驚いたのは 玉ネギを使っているからだ。 262 00:16:52,879 --> 00:16:55,181 えっ? 玉ネギ? 263 00:16:55,181 --> 00:16:59,185 (弥一)玉ネギに含まれる糖分は 肉の水分を抱え込むんだ。 264 00:16:59,185 --> 00:17:01,587 つまり あの牛肉を 食べるときには➨ 265 00:17:01,587 --> 00:17:04,891 驚くほど ジューシーになっているはずだ。 266 00:17:04,891 --> 00:17:07,760 (史生)へぇ 玉ネギにそんな効果が。 267 00:17:07,760 --> 00:17:11,697 <玉ネギの酵素が 食肉を柔らかくする。 268 00:17:11,697 --> 00:17:14,567 このような言説を よく耳にするが➨ 269 00:17:14,567 --> 00:17:17,136 これは議論の余地がありそうだ。 270 00:17:17,136 --> 00:17:19,705 確かに 玉ネギには プロテアーゼ➨ 271 00:17:19,705 --> 00:17:23,175 いわゆる タンパク質分解酵素が 含まれてはいるが➨ 272 00:17:23,175 --> 00:17:26,746 通常の調理工程では 活性化に至らないという➨ 273 00:17:26,746 --> 00:17:28,881 研究結果がある。 274 00:17:28,881 --> 00:17:32,385 現代では 玉ネギが肉を柔らかくするのは➨ 275 00:17:32,385 --> 00:17:35,655 酵素の働きではなく 糖によるものではないかと➨ 276 00:17:35,655 --> 00:17:38,324 考えられているのだ> 277 00:17:38,324 --> 00:17:42,328 (弥一)たぶん やつは シャリアピンステーキを作るつもりだろう。 278 00:17:42,328 --> 00:17:45,498 (史生)シャ? (谷)シャリアピン? 279 00:17:45,498 --> 00:17:48,334 クックック いかにも。 280 00:17:48,334 --> 00:17:53,005 俺が作るものは 中華風シャリアピンステーキ。 281 00:17:53,005 --> 00:17:55,174 <シャリアピンステーキ! 282 00:17:55,174 --> 00:17:57,843 炒めた玉ネギの みじん切りをのせた➨ 283 00:17:57,843 --> 00:18:01,013 柔らかさ抜群の伝説のステーキである。 284 00:18:01,013 --> 00:18:03,983 1936年 ロシアのオペラ歌手➨ 285 00:18:03,983 --> 00:18:07,687 フョードル・イワノビッチ・シャリアピンが 来日した際に➨ 286 00:18:07,687 --> 00:18:11,657 滞在先の帝国ホテルで 特別に振る舞われた。 287 00:18:11,657 --> 00:18:14,193 歯の調子が悪かったシャリアピンは➨ 288 00:18:14,193 --> 00:18:18,864 この柔らかいステーキを 大変喜んだという> 289 00:18:18,864 --> 00:18:22,835 作り方は ヒレ肉を塩コショウして サッと焼き➨ 290 00:18:22,835 --> 00:18:25,004 表面に焦げ目をつける。 291 00:18:25,004 --> 00:18:29,175 そして その上に 俺のXO醤をのせる。 292 00:18:29,175 --> 00:18:33,479 あとは この竹の葉で包んで オーブンで焼くだけだ。 293 00:18:38,117 --> 00:18:40,686 ふ~ん なるほど。 294 00:18:40,686 --> 00:18:45,191 おもしろいじゃない 肉専用のXO醤ってわけ? 295 00:18:45,191 --> 00:18:48,361 わかるか。 296 00:18:48,361 --> 00:18:50,329 さあ 出来たぞ。 297 00:18:55,868 --> 00:18:57,903 食べてみてくれ。 298 00:18:57,903 --> 00:19:00,873 うん! じゃあ…。 299 00:19:05,177 --> 00:19:07,346 おお! いい香り! 300 00:19:07,346 --> 00:19:11,183 ん~ 本当だ! おいしそう! 301 00:19:11,183 --> 00:19:14,020 《大谷:そ そうや…。 302 00:19:14,020 --> 00:19:17,223 こいつの料理は まず香りで ひきつけるんやった。 303 00:19:20,159 --> 00:19:22,194 うん! 304 00:19:22,194 --> 00:19:24,363 柔らかいぜ これは! 305 00:19:24,363 --> 00:19:26,666 くちびるで噛み切れちゃうよ。 306 00:19:26,666 --> 00:19:29,335 《し 信じられない…。 307 00:19:29,335 --> 00:19:32,338 こんなに柔らかく うまくなってるなんて》 308 00:19:32,338 --> 00:19:35,374 これが中華風シャリアピンステーキか! 309 00:19:35,374 --> 00:19:38,844 (瀬我)竹の葉と玉ネギの香りが すごく合ってるんだ。 310 00:19:38,844 --> 00:19:41,881 なるほど~。 311 00:19:41,881 --> 00:19:46,185 うぅ… くっ…。 312 00:19:46,185 --> 00:19:48,688 お前の負けだ ハゲ。 313 00:19:48,688 --> 00:19:50,689 な なんやそれは! 314 00:19:50,689 --> 00:19:53,192 それはお前が決めること ちゃうで! 315 00:19:53,192 --> 00:19:56,595 (弥一)いや 勝敗は明らかですな。 えっ!? 316 00:19:56,595 --> 00:20:01,033 彼… 尾藤くんの料理は 確かに 出来上がりはおいしかった。 317 00:20:01,033 --> 00:20:03,035 だが こうして食べ比べると➨ 318 00:20:03,035 --> 00:20:05,671 すべてにわたって 物足りないんだ。 319 00:20:05,671 --> 00:20:08,841 うまいXO醤を料理した君と➨ 320 00:20:08,841 --> 00:20:13,345 XO醤を使いこなした秋山との 差が出たわけだ。 321 00:20:13,345 --> 00:20:15,514 くっ…。 わかったか? 322 00:20:15,514 --> 00:20:20,686 ただXO醤を使っただけの 料理なんだよ お前のは。 323 00:20:20,686 --> 00:20:24,156 XO醤は うますぎる調味料なんだ。 324 00:20:24,156 --> 00:20:28,661 へたに使うと 素材の味そのものを 壊してしまうほどにな。 325 00:20:28,661 --> 00:20:32,164 こんな悪魔のような調味料を 使いこなすには➨ 326 00:20:32,164 --> 00:20:35,000 お前ごときじゃ10年早いぜ! 327 00:20:35,000 --> 00:20:37,670 カ~ッカカカ~! 328 00:20:37,670 --> 00:20:39,839 大谷。 329 00:20:39,839 --> 00:20:42,508 やっぱり お前は全然駄目だ。 330 00:20:42,508 --> 00:20:44,677 味ってものが まったくわかってない➨ 331 00:20:44,677 --> 00:20:46,679 カス評論家だよ! 332 00:20:46,679 --> 00:20:49,348 カッカッカ~! ぐぅ…。 333 00:20:49,348 --> 00:20:52,184 (リュウジ)ギャッ! うっ! (叩く音) 334 00:20:52,184 --> 00:20:54,220 (大谷)こいつめ! こいつめ! 335 00:20:54,220 --> 00:20:56,755 よくもワシに 恥をかかせてくれたな! 336 00:20:56,755 --> 00:20:59,825 何がXO醤のリュウや! 337 00:20:59,825 --> 00:21:02,161 すみません すみません! 338 00:21:02,161 --> 00:21:04,997 でも俺 大谷さんの言ったとおりに…。 339 00:21:04,997 --> 00:21:07,833 ワシは やつを叩きのめせって 言うたんや! 340 00:21:07,833 --> 00:21:11,003 負けろなんて言うとらんわ! この どアホ! 341 00:21:11,003 --> 00:21:13,005 ペッ! うっ! 342 00:21:13,005 --> 00:21:16,509 《あのガキ… あのガキ! あのガキ! 343 00:21:16,509 --> 00:21:21,180 秋山め… こうなったら ワシのコネクションをすべて使うて➨ 344 00:21:21,180 --> 00:21:23,682 お前を潰してやるで! 345 00:21:23,682 --> 00:21:25,651 見とれよ~!》 346 00:21:31,824 --> 00:21:34,994 《そう… 確かにこれだわ。 347 00:21:34,994 --> 00:21:40,166 油葱酥… 紅葱頭と呼ばれる エシャロットを薄切りにして➨ 348 00:21:40,166 --> 00:21:42,668 油でサクサクに揚げたもの。 349 00:21:42,668 --> 00:21:46,338 香りがよく チャーハンやラーメンによく合い➨ 350 00:21:46,338 --> 00:21:50,176 肉料理に入れると 旨みが倍加する》 351 00:21:50,176 --> 00:21:55,514 なるほど それでシャリアピン風に なったわけね。 352 00:21:55,514 --> 00:22:00,186 なんてやつ… 料理に関する知識が ハンパじゃない。 353 00:22:00,186 --> 00:22:03,856 そこに気がつくとは さすがだぜ。 354 00:22:03,856 --> 00:22:07,159 《負けてらんない… あの泣き虫ザル》 355 00:22:07,159 --> 00:22:11,363 《まっ せいぜい励めよ ゴリラ女》