1 00:00:01,968 --> 00:00:08,434 黒く重い 空に向ける 願いの刃を光らせて 2 00:00:08,667 --> 00:00:13,634 夢の散る残像が 消えるかと煌めく 3 00:00:13,901 --> 00:00:19,000 宿命と戯れた そこはまだ自由だ 4 00:00:19,267 --> 00:00:24,567 交わる闇を 掻き分ける 世界で 5 00:00:24,601 --> 00:00:28,968 白い亀裂の 雷鳴に続け 6 00:00:30,100 --> 00:00:33,801 悪夢のような危険(リスク) 魔物に棲み着かれ 7 00:00:35,467 --> 00:00:39,300 自分だけに視えてんのかと 震えている 8 00:00:40,968 --> 00:00:48,434 巡り巡った因果の業火 踊り続けて 9 00:00:48,667 --> 00:00:54,968 嵐の中 空に向ける 願いなら剣のように 10 00:00:55,367 --> 00:01:00,300 夢の散る残像が 消えるかと煌めく 11 00:01:00,667 --> 00:01:05,501 誇り高き心は 渇れた声を上げて 12 00:01:05,934 --> 00:01:10,968 先んずる情熱が 早鐘を打たせる 13 00:01:11,300 --> 00:01:16,300 旅立ちを決めたなら そこがもう未来だ 14 00:01:16,667 --> 00:01:21,901 互いの闇の 縺れ合う 世界で 15 00:01:21,934 --> 00:01:26,534 灼けた軌跡の 雷鳴に続け 16 00:01:36,801 --> 00:01:38,868 あいつが 盗賊? 17 00:01:39,734 --> 00:01:40,734 じゃあまさか あの野郎 18 00:01:41,267 --> 00:01:42,934 何てこった 19 00:01:43,133 --> 00:01:47,267 ずっと初めから 丹翡さんの天刑劍を盗むつもりで 20 00:01:48,300 --> 00:01:52,467 私は では 私はっ 21 00:01:53,434 --> 00:01:57,000 そこまで知っておきながら てめえら何で黙ってたっ 22 00:01:57,467 --> 00:01:59,334 何でも何も 23 00:01:59,868 --> 00:02:00,501 なあ? 24 00:02:01,601 --> 00:02:03,300 半人前の護印師から 25 00:02:03,834 --> 00:02:07,567 神誨魔械をだまし取る 算段がついたから手伝えと 26 00:02:08,400 --> 00:02:13,367 そう鳥文で 呼び集められたんだよ 俺たちは 27 00:02:14,100 --> 00:02:17,968 確かに廉耆が持っていた手紙にも そう書いてあった 28 00:02:19,000 --> 00:02:24,901 まあ 凛雪鴉のようなこそ泥が 考えそうなことだ 29 00:02:25,167 --> 00:02:28,267 こそ泥などと侮ったものでもないぞ? 30 00:02:29,300 --> 00:02:31,501 数ある神誨魔械の中でも 31 00:02:31,834 --> 00:02:33,667 天刑劍は別格だ 32 00:02:34,100 --> 00:02:36,100 魔界の公子に献上すれば 33 00:02:36,467 --> 00:02:40,567 人間界では使い切れないほどの 財貨と交換出来ようぞ 34 00:02:41,834 --> 00:02:44,968 それでお前も 話に乗ったのか 35 00:02:45,834 --> 00:02:49,901 え あ 兄貴 何で俺には何も教えてくれなかったんだ 36 00:02:51,033 --> 00:02:54,834 お前が本当に 俺の弟分になる資格があるのかどうか 37 00:02:55,234 --> 00:02:57,067 確かめるために連れてきたのだ 38 00:02:57,501 --> 00:02:58,934 教えるわけがなかろう 39 00:03:00,267 --> 00:03:04,601 結局 最後まで分からなかったのはお前だ 殤不患 40 00:03:05,167 --> 00:03:07,434 盗みの計画を知っている節も無く 41 00:03:07,834 --> 00:03:10,968 さりとて 護印師に従うふうでもない 42 00:03:11,968 --> 00:03:13,767 一体誰の味方なのか 43 00:03:14,801 --> 00:03:18,300 凛雪鴉が何をもって お前を仲間に引き入れたのか 44 00:03:19,400 --> 00:03:23,133 俺たちも 随分と気を揉んだものだ 45 00:03:24,033 --> 00:03:27,033 だが 全ては杞憂だったな 46 00:03:27,801 --> 00:03:32,000 こうして小娘もろとも 檻に入れられているところを見ると 47 00:03:32,767 --> 00:03:35,734 凛雪鴉が用意したお前の配役も 48 00:03:36,100 --> 00:03:38,767 どうやら ここで終わりのようだ 49 00:03:39,200 --> 00:03:40,200 配役だと? 50 00:03:40,801 --> 00:03:45,167 さしずめ 護印師を油断させるための道化役 51 00:03:45,634 --> 00:03:47,334 とでもいったところかなあ 52 00:03:48,534 --> 00:03:52,834 フッ なるほど どんな大根役者でも 53 00:03:53,133 --> 00:03:55,901 演目を教えずに舞台に立たせれば 54 00:03:56,434 --> 00:03:58,934 無様な笑いをとれるだろうさ? 55 00:03:59,601 --> 00:04:01,667 ん んんんん 56 00:04:02,601 --> 00:04:08,267 そんな 私は ずっと皆さんを信じていたのに 57 00:04:09,167 --> 00:04:10,133 そもそも 58 00:04:11,334 --> 00:04:14,567 最初に疑うべき一人を間違えたのだ 59 00:04:15,901 --> 00:04:16,667 悔いるなら 60 00:04:17,434 --> 00:04:22,000 奴と出会って命拾いしたことを 悔やむがいい 61 00:04:22,901 --> 00:04:24,601 -ああっ あっ -うわっ 62 00:04:25,100 --> 00:04:31,501 -はあ -あああふうううーっ う う 63 00:04:32,467 --> 00:04:37,601 そうやって涙も枯れた頃には 魑翼の餌になっておろう 64 00:04:38,033 --> 00:04:40,434 牙の痛みも忘れるほどに 65 00:04:40,701 --> 00:04:43,334 嘆き疲れておくことだなあ 66 00:04:44,567 --> 00:04:47,701 ああっ うっ ああ 67 00:04:48,701 --> 00:04:52,534 って ここに置き去りにするのかよお 2人とも 68 00:04:53,834 --> 00:04:56,434 嫌なら一思いに引導を渡してやれ 69 00:04:57,400 --> 00:05:00,767 それもまた 温情であろうさ 70 00:05:01,434 --> 00:05:01,901 なっ 71 00:05:03,234 --> 00:05:05,367 俺を失望させるなよ殘雲 72 00:05:06,934 --> 00:05:09,667 この鋭眼穿楊の流儀を学ぶために 73 00:05:10,968 --> 00:05:12,834 ここまでついてきたのだろう? 74 00:05:13,300 --> 00:05:15,801 う ぐうっ 75 00:05:21,267 --> 00:05:22,200 あ 76 00:05:22,367 --> 00:05:24,934 最初に疑うべき一人か 77 00:05:35,701 --> 00:05:38,267 つくづく俺は至らんなあ 78 00:05:38,567 --> 00:05:40,934 すぐにでも斬っておくべき奴だってのは 79 00:05:41,300 --> 00:05:43,767 あの時はっきり感じてたのによお 80 00:05:51,167 --> 00:05:52,200 恐縮ながら 81 00:05:52,968 --> 00:05:56,667 ここまでの歓待を受ける 身に覚えが無いのですが? 82 00:05:57,234 --> 00:06:00,868 これで会うのは 3度目だな 83 00:06:01,534 --> 00:06:02,501 はて? 84 00:06:03,434 --> 00:06:06,400 失礼ながら 初対面では? 85 00:06:07,033 --> 00:06:09,200 最初に出会った時のお前は 86 00:06:09,801 --> 00:06:12,234 都で衛士長を務めていた 87 00:06:12,734 --> 00:06:17,701 いいやまさか 他人の空似というものでしょう 88 00:06:18,334 --> 00:06:19,868 次に会った時は 89 00:06:20,734 --> 00:06:24,868 科挙を控えた進士と名乗っていたな 90 00:06:25,234 --> 00:06:28,767 はてさて それもまた 人違いかと 91 00:06:29,300 --> 00:06:30,534 強情な 92 00:06:31,701 --> 00:06:33,901 お前も名うての怪盗ならば 93 00:06:34,501 --> 00:06:37,100 得意の詐術を見破った相手には 94 00:06:37,601 --> 00:06:40,167 それなりの礼を尽くしたらどうだ? 95 00:06:40,767 --> 00:06:42,434 と いうと? 96 00:06:46,634 --> 00:06:48,734 この天刑劍の鍔 97 00:06:49,667 --> 00:06:50,734 偽物だ 98 00:06:51,501 --> 00:06:54,868 やれやれ お見それしたよ森羅枯骨 99 00:06:55,367 --> 00:06:58,601 三文芝居は やめにしよう 100 00:06:59,868 --> 00:07:01,334 相変わらず 101 00:07:01,801 --> 00:07:05,934 贋作の腕前は神業だなあ? 102 00:07:06,968 --> 00:07:10,267 10秒眺め 5秒触れば 103 00:07:10,834 --> 00:07:15,334 完璧な模造をしてのけるという 噂だったが? 104 00:07:15,868 --> 00:07:19,701 今回はもう少しじっくり観察する 機会があったのでね 105 00:07:19,901 --> 00:07:22,467 我ながら良い出来栄えに仕上がった 106 00:07:30,434 --> 00:07:33,300 偽造の精度もさることながら 107 00:07:33,801 --> 00:07:36,200 護印師の娘に気付かれぬよう 108 00:07:36,801 --> 00:07:41,300 懐の中身をすり替えた手際も 見事なものだ 109 00:07:42,033 --> 00:07:43,868 いつ どうやって 110 00:07:44,334 --> 00:07:45,767 それを教えたら 111 00:07:45,968 --> 00:07:50,033 本物をどこに隠したのか 推理する手掛かりを与えてしまう 112 00:07:50,167 --> 00:07:51,767 その手には乗らないよ 113 00:07:52,100 --> 00:07:56,067 まあ 魔脊山に踏み込むより以前 とだけ言っておこう 114 00:07:56,234 --> 00:07:59,667 フン 相変わらず食えん男だ 115 00:08:00,234 --> 00:08:02,701 そもそもお前のような盗賊が 116 00:08:03,133 --> 00:08:06,801 神誨魔械の装具など盗んで何とする? 117 00:08:07,000 --> 00:08:10,868 この鍔だけでは 何の価値も無いことは心得ている 118 00:08:11,067 --> 00:08:12,634 更に柄まで揃え 119 00:08:12,834 --> 00:08:15,400 鍛劍祠の封印を破って初めて 120 00:08:15,434 --> 00:08:17,534 天刑劍が手に入ることも 121 00:08:17,834 --> 00:08:19,634 つまり次なる狙いは 122 00:08:20,133 --> 00:08:22,334 天刑劍の柄か? 123 00:08:22,968 --> 00:08:25,701 あるいはもっと 手堅い落としどころもある 124 00:08:26,100 --> 00:08:28,234 既に柄を持っている人物が 125 00:08:28,534 --> 00:08:31,968 鍔をいくらで買い取るか 伺いを立ててみるとかね 126 00:08:32,801 --> 00:08:34,801 天下に名だたる大盗賊が 127 00:08:35,367 --> 00:08:38,601 随分と狡からいことを言い出すものだ 128 00:08:39,033 --> 00:08:42,467 天刑劍を丸ごと手に入れた場合の売値と 129 00:08:42,667 --> 00:08:46,033 森羅枯骨から 柄を盗む手間とを秤にかければ 130 00:08:46,100 --> 00:08:47,701 当然の判断だ 131 00:08:48,267 --> 00:08:52,067 何せひと目で私の贋作を見破った男が 132 00:08:52,367 --> 00:08:53,868 相手だからなあ? 133 00:08:54,534 --> 00:08:57,133 して 売値は? 134 00:08:57,767 --> 00:08:59,434 黄金5000金 135 00:08:59,968 --> 00:09:02,467 ちっ 大きく出たな 136 00:09:03,267 --> 00:09:06,834 正真正銘の 神誨魔械に値をつけるとあっては 137 00:09:06,868 --> 00:09:09,234 安過ぎる見積もりではないかね? 138 00:09:14,234 --> 00:09:18,267 凛雪鴉の奴めは 首尾よく潜り込めたようだな 139 00:09:18,834 --> 00:09:20,300 我々はどうする? 140 00:09:21,033 --> 00:09:22,601 そこが悩ましいところだ 141 00:09:23,100 --> 00:09:25,868 今頃掠風竊塵が森羅枯骨を相手に 142 00:09:25,901 --> 00:09:28,200 どのような腹芸を見せていることやら 143 00:09:29,133 --> 00:09:31,033 俺たちでは到底想像もつかん 144 00:09:31,567 --> 00:09:36,133 果たして一切合切を 凛雪鴉に任せておいてよいものか 145 00:09:36,367 --> 00:09:37,234 それはな 146 00:09:38,133 --> 00:09:41,400 あの男のことだ 俺たちをないがしろにして 147 00:09:41,834 --> 00:09:43,868 勝手な話を進めるかもしれん 148 00:09:44,601 --> 00:09:47,300 例えば天刑劍の柄を盗むのではなく 149 00:09:47,834 --> 00:09:51,234 鍔を売り渡して 稼ぎを独り占めにするとかな 150 00:09:52,234 --> 00:09:54,434 ふん 鼠賊の輩は 151 00:09:54,701 --> 00:09:57,400 つまらんことに煩わされて難儀よな 152 00:09:57,834 --> 00:09:59,367 うん 何いっ? 153 00:10:00,200 --> 00:10:01,434 ほとほとくだらぬ 154 00:10:02,367 --> 00:10:06,200 このまま日が暮れるまで ここで立ち往生しているがよかろうぞ 155 00:10:07,100 --> 00:10:10,167 だが 俺は付き合っていられん 156 00:10:11,834 --> 00:10:13,501 ん んん 157 00:10:14,634 --> 00:10:16,334 貴様正気か? 158 00:10:17,167 --> 00:10:20,801 中に入れば 玄鬼宗が総出でかかってくるぞ 159 00:10:21,667 --> 00:10:24,501 ざこが何人束になろうと構わぬ 160 00:10:25,467 --> 00:10:28,100 俺は俺の要件を果たすまでのこと 161 00:10:28,834 --> 00:10:29,934 ああそうか 162 00:10:30,801 --> 00:10:32,434 そういえば貴様の目当ては 163 00:10:32,767 --> 00:10:34,501 天刑劍ではなかったな 164 00:10:35,334 --> 00:10:38,834 よもや 邪魔だてはするまいな? 165 00:10:39,400 --> 00:10:43,334 ふん そこまでする義理が 俺たちにあるものか 166 00:10:43,868 --> 00:10:46,434 雪鴉とて 期待しているまいよ 167 00:10:47,133 --> 00:10:47,567 行け 168 00:10:48,067 --> 00:10:49,868 では さらばだ 169 00:10:55,667 --> 00:10:59,033 いいのか? 奴は雪鴉を殺す気だぞ? 170 00:10:59,767 --> 00:11:02,667 フン 凛が勝手をしでかさないよう 171 00:11:03,400 --> 00:11:07,634 殺をけしかけて 牽制するのは妙手だよ 172 00:11:08,067 --> 00:11:10,868 兄貴 本当にいいのか? 173 00:11:11,167 --> 00:11:13,667 こんな卑怯な手口でお宝を手に入れても 174 00:11:13,834 --> 00:11:15,834 あんたの名前に傷がつくだけなんじゃ 175 00:11:16,300 --> 00:11:17,501 そうはならんさ 176 00:11:18,033 --> 00:11:19,701 この山で起こった出来事など 177 00:11:20,133 --> 00:11:22,234 誰にも知られる筈はないからなあ 178 00:11:22,601 --> 00:11:24,701 あんた自身の誇りはどうなる 179 00:11:25,367 --> 00:11:27,100 仁義にもとる行いをして 180 00:11:27,534 --> 00:11:28,968 何とも思わないのか? 181 00:11:29,701 --> 00:11:30,200 殘雲 182 00:11:31,467 --> 00:11:34,601 本物の誇りとは 命と引き換えに手に入れるものだ 183 00:11:35,467 --> 00:11:39,534 生きてなお誇らしげに振る舞う者は 必ずひね隠した恥がある 184 00:11:40,334 --> 00:11:42,934 むしろ手際よく恥を隠した者だけが 185 00:11:43,434 --> 00:11:45,534 武林に名を残すことが出来るのだ 186 00:11:45,901 --> 00:11:48,801 でも でも俺は あんたのことを 187 00:11:49,100 --> 00:11:51,200 本物の英雄好漢だと 188 00:11:52,501 --> 00:11:55,200 傍目にそう見えるよう振る舞う手管なら 189 00:11:56,000 --> 00:11:57,934 これからいくらでも教えてやろう 190 00:11:59,400 --> 00:12:01,100 まず第一に肝要なのは 191 00:12:02,200 --> 00:12:04,334 くだらぬ情義に流されぬことだ 192 00:12:05,367 --> 00:12:09,334 お前があの護印師の小娘に 熱を上げているのは知っている 193 00:12:10,067 --> 00:12:10,934 だが忘れろ 194 00:12:12,000 --> 00:12:16,534 この先お前は 栄光のために 多くの犠牲をささげるだろう 195 00:12:17,267 --> 00:12:18,601 そういう生贄の 196 00:12:19,267 --> 00:12:21,434 まずは最初の1人と心得よ 197 00:12:22,234 --> 00:12:23,200 そんな 198 00:12:24,200 --> 00:12:25,300 お前はまだ若い 199 00:12:26,334 --> 00:12:28,567 最初の一歩は誰しもつらいものさ 200 00:12:29,133 --> 00:12:33,000 だが そこを踏み越えた果てにいるのが俺だ 201 00:12:33,968 --> 00:12:35,501 この年でなおも江湖に 202 00:12:36,300 --> 00:12:39,200 鋭眼穿楊の名で知れ渡る男の言葉 203 00:12:40,300 --> 00:12:42,234 肝に銘じておくがいい 204 00:12:42,734 --> 00:12:45,334 くう ううう 205 00:12:53,100 --> 00:12:57,067 以前 私は 殤様に笑われたことがありましたね 206 00:12:58,000 --> 00:13:00,501 人の善意を信じるかと問われて 207 00:13:01,701 --> 00:13:06,033 あの時 あなたが心の内で どれだけ呆れ果てていたか 208 00:13:06,767 --> 00:13:08,167 今ならば分かります 209 00:13:11,534 --> 00:13:14,767 聖地の祠と伝来の家訓と 210 00:13:15,334 --> 00:13:17,400 優しい父兄の思いやりだけが 211 00:13:17,767 --> 00:13:19,400 私の知る全てでした 212 00:13:19,968 --> 00:13:22,667 外の世界のことなど何一つ知らず 213 00:13:23,400 --> 00:13:27,534 なのに 正義とは 誰もが尊ぶ筈のものだと思い込み 214 00:13:28,100 --> 00:13:30,133 他人を疑いもしなかった 215 00:13:31,767 --> 00:13:38,467 はああ ああ いっそ聖地から一歩も出ないで 216 00:13:38,667 --> 00:13:40,767 兄と共に死んでおくべきだった 217 00:13:41,667 --> 00:13:46,167 そうすれば こうして殤様まで 巻き込むこともなかったのに 218 00:13:47,000 --> 00:13:48,534 ほおおおおお 219 00:13:49,968 --> 00:13:50,534 ほおっ 220 00:13:55,501 --> 00:13:57,434 -あんたはまだここにいろ -はあ? 221 00:13:57,501 --> 00:13:59,100 俺もまだ逃げるわけじゃねえ 222 00:13:59,534 --> 00:14:00,801 だから 約束する 223 00:14:01,334 --> 00:14:04,067 この山を下りる時は 必ずあんたを連れて行く 224 00:14:04,701 --> 00:14:05,501 殤様 225 00:14:06,100 --> 00:14:08,868 ここは いっそ檻の中の方がまだ安全だ 226 00:14:09,501 --> 00:14:11,434 もうしばらく辛抱してくれ 227 00:14:11,634 --> 00:14:14,934 あ 殤様は 何をなさるおつもりです? 228 00:14:15,634 --> 00:14:16,501 借りを 229 00:14:17,601 --> 00:14:18,200 返すっ 230 00:14:19,634 --> 00:14:22,868 なーに そう長くは待たせない 心配すんな 231 00:14:23,434 --> 00:14:26,601 そんな でも あっ 232 00:14:28,033 --> 00:14:30,968 正しいがゆえに騙される奴は大勢いる 233 00:14:31,467 --> 00:14:33,100 騙されたことを悔やんでもいいが 234 00:14:33,701 --> 00:14:36,467 正しくあろうとしたことは 悔やむんじゃない 235 00:14:39,334 --> 00:14:40,667 はっ 236 00:14:47,434 --> 00:14:49,367 これは素晴らしい 237 00:14:49,934 --> 00:14:51,968 よくぞここまで集めたものだ 238 00:14:53,033 --> 00:14:55,767 だがどれも輝きを保てるのは 239 00:14:56,200 --> 00:14:59,834 ここに天刑劍が加わるまでの話だ 240 00:15:01,567 --> 00:15:04,367 魔神妖荼黎を切り伏せたという 241 00:15:05,000 --> 00:15:09,167 伝説の神誨魔械と共に並べられては 242 00:15:09,901 --> 00:15:14,200 如何な利剣名剣とて 鉄くずも同然よ 243 00:15:14,801 --> 00:15:17,400 剣の柄は どこに? 244 00:15:20,934 --> 00:15:22,133 この中だ 245 00:15:23,300 --> 00:15:26,133 見せてくれなどと言い出すなよ? 246 00:15:26,934 --> 00:15:30,434 そこまで油断する 俺ではないぞ 247 00:15:31,033 --> 00:15:33,734 なぜそこまで剣に執着を? 248 00:15:34,934 --> 00:15:38,968 この世において 剣こそは力の証 249 00:15:39,567 --> 00:15:42,367 何よりも揺るぎのない真偽の在り処 250 00:15:42,934 --> 00:15:44,434 生と死を分かつ 251 00:15:44,834 --> 00:15:47,968 絶対的な真実を形にしたものだ 252 00:15:48,868 --> 00:15:51,834 ゆえに俺は 至高の剣を 253 00:15:52,467 --> 00:15:54,801 最強の剣を求め欲する 254 00:15:55,634 --> 00:15:57,868 富も 栄華も 権力も 255 00:15:58,367 --> 00:16:00,634 全て浮世の泡沫にすぎぬ 256 00:16:01,400 --> 00:16:03,767 滅びの力をこの手に掴む 257 00:16:04,234 --> 00:16:07,634 圧倒的な喜悦に比べればなあ 258 00:16:08,133 --> 00:16:09,801 聖域を踏み荒らし 259 00:16:09,834 --> 00:16:13,501 人を殺めてまで 欲しくなるほどの喜悦というのは 260 00:16:13,734 --> 00:16:16,133 私には思いも及ばんよ 261 00:16:16,801 --> 00:16:19,634 お前はどうなのだ 掠風竊塵 262 00:16:20,267 --> 00:16:24,167 天下の大泥棒は 何を求めて盗みを成す 263 00:16:24,400 --> 00:16:27,300 別段大げさな理由など無いさ 264 00:16:27,534 --> 00:16:29,534 ハッ ごまかすな 265 00:16:30,133 --> 00:16:32,133 貴様ほど賢しい男なら 266 00:16:32,367 --> 00:16:34,534 わざわざ盗みなど働かなくとも 267 00:16:34,567 --> 00:16:37,234 財貨を増やす術はいくらでもある 268 00:16:37,901 --> 00:16:40,667 それでもなお法を破り悪を成す 269 00:16:40,801 --> 00:16:42,334 そのこだわりは何だ 270 00:16:42,467 --> 00:16:44,100 まあ確かにこの世には 271 00:16:44,133 --> 00:16:47,601 盗むしか 他に手に入らないものもあるにはある 272 00:16:47,934 --> 00:16:50,133 ほう それは? 273 00:16:50,367 --> 00:16:53,534 形も無く売り買いの値付けも出来ぬもの 274 00:16:53,601 --> 00:16:55,601 あえて言葉にするならば 275 00:16:56,200 --> 00:16:59,000 覇者の気風とでもいう他ないかな? 276 00:16:59,834 --> 00:17:02,200 覇者の 気風? 277 00:17:02,968 --> 00:17:04,267 -どうあああああああ -ん? 278 00:17:04,901 --> 00:17:05,367 ん? 279 00:17:05,434 --> 00:17:08,834 うあああああああああ 280 00:17:09,434 --> 00:17:10,601 何の騒ぎだ 281 00:17:11,634 --> 00:17:13,534 うわああああああ 282 00:17:14,634 --> 00:17:16,667 う ううっ ううう 283 00:17:19,033 --> 00:17:23,634 ああっ う ふ ふ 284 00:17:24,100 --> 00:17:26,501 そ 宗主様 申し訳ありません 285 00:17:27,000 --> 00:17:30,067 この男 我らだけでは食い止めきれず 286 00:17:30,133 --> 00:17:31,767 やれやれ殺無生 287 00:17:31,901 --> 00:17:36,200 招かれもせぬ門に押し入る不作法は 如何なものかと思うがね 288 00:17:36,734 --> 00:17:40,434 盗っ人に門をくぐる作法を 説かれたくはないな 289 00:17:41,033 --> 00:17:43,634 凛雪鴉 約束通り 290 00:17:43,767 --> 00:17:46,200 貴様の素っ首を貰い受ける時だ 291 00:17:46,534 --> 00:17:51,701 この首は闇の迷宮を 通り抜けた末の対価と言った筈だろう? 292 00:17:52,033 --> 00:17:54,367 私は迷宮を通っていない 293 00:17:54,601 --> 00:17:56,501 契約は不成立だ 294 00:17:57,133 --> 00:17:59,934 フン 恥ずかしげもなく屁理屈を 295 00:18:00,501 --> 00:18:02,934 まあどうとでもさえずるがいいさ 296 00:18:03,634 --> 00:18:06,701 どのみち貴様に逃げ場は無い 297 00:18:14,634 --> 00:18:18,968 俺にとっては 貴様に 退路を与えないことこそが肝要だったのだ 298 00:18:19,434 --> 00:18:21,634 その点ここは都合がいい 299 00:18:21,934 --> 00:18:23,868 孤峰の頂の塔の中とあっては 300 00:18:24,634 --> 00:18:27,934 空でも飛べない限り 逃げようがないからなあっ 301 00:18:28,167 --> 00:18:30,767 袋の鼠 というわけか 302 00:18:31,367 --> 00:18:32,033 ああ 303 00:18:33,000 --> 00:18:35,601 ゆえに凛雪鴉の始末については 304 00:18:35,634 --> 00:18:37,601 もう焦る必要は無い 305 00:18:39,868 --> 00:18:41,868 むしろ優先すべきは 306 00:18:42,133 --> 00:18:43,067 貴様だ 307 00:18:43,634 --> 00:18:45,167 森羅枯骨 308 00:18:46,901 --> 00:18:47,901 うーむ 309 00:18:49,334 --> 00:18:52,067 川岸でひと目見た時から分かっていた 310 00:18:52,767 --> 00:18:55,934 俺は貴様に問わねばならんことがある 311 00:18:59,000 --> 00:19:01,133 何なりと承ろう 312 00:19:02,300 --> 00:19:03,367 かたじけない 313 00:19:03,868 --> 00:19:06,601 では 剣を抜いてもらおうか 314 00:19:07,534 --> 00:19:09,234 問答ではないのか? 315 00:19:09,868 --> 00:19:13,000 鳴鳳決殺の問いに言葉は無用 316 00:19:13,734 --> 00:19:14,601 その剣 317 00:19:15,400 --> 00:19:17,634 その天命の在り処について 318 00:19:18,133 --> 00:19:20,300 命を懸けて問いただす 319 00:19:20,634 --> 00:19:21,100 ん 320 00:19:21,267 --> 00:19:23,467 剣の神髄を問われては 321 00:19:24,167 --> 00:19:26,200 俺もまた応じなければ 322 00:19:26,534 --> 00:19:29,033 新条を見失うというものだ 323 00:19:35,501 --> 00:19:38,701 答えは常に生と死の狭間に 324 00:19:39,467 --> 00:19:43,200 流石わきまえているな 鳴鳳決殺 325 00:19:46,200 --> 00:19:46,701 ふう 326 00:19:49,734 --> 00:19:50,334 うっ 327 00:19:52,133 --> 00:19:53,434 はああ 328 00:19:53,934 --> 00:19:58,701 フッフッハハハハハハ おおお 何と 329 00:20:00,934 --> 00:20:04,434 8手 うん いや? 330 00:20:05,100 --> 00:20:06,567 9手で詰みか 331 00:20:07,267 --> 00:20:08,267 然り 332 00:20:08,834 --> 00:20:11,701 3手を待ち 5合を打って 333 00:20:12,200 --> 00:20:13,901 次の9手目が 334 00:20:14,367 --> 00:20:15,133 答えだっ 335 00:20:24,300 --> 00:20:24,734 ふっ 336 00:20:25,701 --> 00:20:26,234 いっ 337 00:20:30,667 --> 00:20:31,901 うおおおおおおっ 338 00:20:32,300 --> 00:20:32,734 んっ 339 00:20:34,067 --> 00:20:35,200 とおっ ふっ 340 00:20:38,200 --> 00:20:38,634 いいっ 341 00:20:39,734 --> 00:20:40,167 ぐっ 342 00:20:48,400 --> 00:20:52,200 ああ が ああ 343 00:20:53,133 --> 00:20:57,133 勝負の行方を悟った上で なぜ挑んだ? 344 00:20:59,067 --> 00:21:02,300 俺の剣の道は必然の探求 345 00:21:03,334 --> 00:21:05,634 決して勝てぬと悟った以上は 346 00:21:06,234 --> 00:21:10,100 実際に負けて見なければ 気が済まぬ 347 00:21:10,801 --> 00:21:13,033 ぐあああ うああ 348 00:21:13,234 --> 00:21:17,767 ふー はあ 349 00:21:18,200 --> 00:21:20,734 凛雪鴉 350 00:21:22,067 --> 00:21:25,367 次も俺が先回りして待ち伏せだ 351 00:21:26,467 --> 00:21:30,868 貴様とて 冥土の旅路は避けられぬ 352 00:21:31,133 --> 00:21:35,534 フッフッフ 待っているぞ 353 00:21:36,467 --> 00:21:38,734 ああ いずれはな 354 00:21:39,367 --> 00:21:42,067 はー ああ 355 00:21:45,434 --> 00:21:48,567 その躯は 魑翼に食わせぬ 356 00:21:49,367 --> 00:21:51,534 丁重に荼毘にふすように 357 00:21:52,334 --> 00:21:52,801 ははっ 358 00:21:59,033 --> 00:22:02,501 名残惜しい 相手だったかな? 359 00:22:02,968 --> 00:22:03,868 いいや 360 00:22:04,467 --> 00:22:09,467 あの男は常に自分より強い敵との 出会いを待ち望んでいた 361 00:22:09,801 --> 00:22:12,300 ここで果てたのは本望であろう 362 00:22:12,868 --> 00:22:13,968 しかし 363 00:22:14,868 --> 00:22:18,868 よもや剣の技で鳴鳳決殺をしのぐとは 364 00:22:19,334 --> 00:22:23,133 あやつは構え一つで 俺の力量を見抜いていた 365 00:22:23,467 --> 00:22:25,467 なるほど余人の間では 366 00:22:25,667 --> 00:22:27,934 無双の達人で通じたであろう 367 00:22:28,234 --> 00:22:30,234 それほどの腕前があれば 368 00:22:30,467 --> 00:22:33,400 何も玄鬼宗の悪名を轟かせずとも 369 00:22:33,434 --> 00:22:36,067 真っ当に地位を築けただろうに 370 00:22:36,667 --> 00:22:38,834 人前で剣の技を晒し 371 00:22:39,200 --> 00:22:42,367 番付に名を連ねるなど迂闊の極み 372 00:22:42,968 --> 00:22:47,067 剣の極意は 秘め隠してこそ至るもの 373 00:22:47,834 --> 00:22:51,434 それが俺と 殺無生との差だ 374 00:22:52,267 --> 00:22:55,901 武林の序列に 興味は無い と? 375 00:22:56,300 --> 00:22:58,000 証など立てるまでもなく 376 00:22:58,300 --> 00:23:00,100 我が剣は天下二無双 377 00:23:00,400 --> 00:23:02,868 あえて確かめる必要がどこにある 378 00:23:04,033 --> 00:23:04,901 ふん 379 00:23:14,767 --> 00:23:17,067 お部屋は こちらにご用意いたしました 380 00:23:17,567 --> 00:23:18,801 どうか お寛ぎを 381 00:23:19,267 --> 00:23:19,767 ああ 382 00:23:27,801 --> 00:23:28,234 うん? 383 00:23:29,200 --> 00:23:29,901 これは 384 00:23:37,901 --> 00:23:39,300 ううううううん 385 00:23:41,167 --> 00:23:45,100 嘘と誠の境目に 踊る道化の影法師 386 00:23:45,501 --> 00:23:47,267 張り巡らせた罠の中 387 00:23:47,434 --> 00:23:49,767 白い鴉が冷たく笑う