1 00:00:02,002 --> 00:00:04,838 (キーフリー)昔 この岬の洞窟には➨ 2 00:00:04,838 --> 00:00:07,341 繊細な魔法細工の工芸に優れた➨ 3 00:00:07,341 --> 00:00:11,011 ロモノーン洞国という 豊かな国があった。 4 00:00:11,011 --> 00:00:13,680 魔法の金細工を身にまとい➨ 5 00:00:13,680 --> 00:00:16,850 尊大な態度を隠そうともしない ロモノーン人は➨ 6 00:00:16,850 --> 00:00:20,520 洞窟の外の国や そこから訪れる人々を➨ 7 00:00:20,520 --> 00:00:24,358 自分たちとは分けて考え 見下していた。 8 00:00:24,358 --> 00:00:27,527 ロモノーンの豊かさに うわさがうわさを呼び➨ 9 00:00:27,527 --> 00:00:30,030 地上からの旅人が増えた頃➨ 10 00:00:30,030 --> 00:00:33,367 彼らにとって益のある者だけを 迎え入れるために➨ 11 00:00:33,367 --> 00:00:38,538 選ばれた者のみが通れる 蛇の背の道をつくった。 12 00:00:38,538 --> 00:00:42,209 そしてその道を通ることを 許されない無益な者は➨ 13 00:00:42,209 --> 00:00:48,215 ロモノーンに決してたどりつけないよう 洞窟に迷宮の魔法を刻んだんだ。 14 00:00:48,215 --> 00:00:53,887 ロモノーンは更に美しく豊かになったが ますます高慢で排他的になり➨ 15 00:00:53,887 --> 00:01:00,494 あるときからロモノーン人同士で 互いの価値を選別し始めた。 16 00:01:00,494 --> 00:01:05,999 そして無益とされた者は 価値なき肉体であるよりはと➨ 17 00:01:05,999 --> 00:01:10,671 魔法で街を飾る金細工に 変えられたんだ。 18 00:01:10,671 --> 00:01:13,340 流れの止まった水が濁るように➨ 19 00:01:13,340 --> 00:01:17,010 閉ざされたロモノーンは よどんでいった。 20 00:01:17,010 --> 00:01:21,348 国の内側で憎み合い 疲れて 弱って…。 21 00:01:21,348 --> 00:01:26,353 最後は山のような金細工の重みで 崩壊したそうだよ。 22 00:01:26,353 --> 00:01:32,359 あとにはただ 蛇の背の道と 迷宮と化した洞窟を残してね…。 23 00:01:32,359 --> 00:01:34,361 (フデムシ)ンビ~。 24 00:01:34,361 --> 00:01:36,697 人は本当に恐ろしいよ。 25 00:01:36,697 --> 00:01:39,700 簡単に恐ろしいことが できてしまうのだと➨ 26 00:01:39,700 --> 00:01:43,203 自覚している者が 少ないのも恐ろしい。 27 00:01:43,203 --> 00:01:46,373 (ココ)でも 先生…。 んっ? 28 00:01:46,373 --> 00:01:50,544 魔法は 人を幸せにするものですよね? 29 00:01:50,544 --> 00:01:55,048 誰かを助けたり 世界を彩るための 力なんですよね! 30 00:01:55,048 --> 00:01:57,217 あっ! 31 00:01:57,217 --> 00:02:02,322 君たち未来の魔法使いが そう思ってくれるなら きっと…。 32 00:02:02,322 --> 00:02:05,325 そうだね。 大丈夫だ。 33 00:02:05,325 --> 00:02:07,327 (テティア/ココ)フフッ。 ンビ! 34 00:02:07,327 --> 00:02:13,667 でも この魔法は今日のごはんに 不幸な結果を招くかもしれない。 35 00:02:13,667 --> 00:02:17,337 (2人)あ~! 焦げまくってる~! ンビビビビ! 36 00:02:17,337 --> 00:02:19,339 ハフハフ あちち…! 37 00:02:19,339 --> 00:02:22,509 黒いとこ取れば食べれます! んまい! 38 00:02:22,509 --> 00:02:26,346 《魔法は世界を彩るための力…。 39 00:02:26,346 --> 00:02:30,017 そう願うよ 本当に…。 40 00:02:30,017 --> 00:02:33,120 そう願う…》 ンビ~。 41 00:04:16,490 --> 00:04:19,826 (アライラ)さぁ この道をどう進む? 42 00:04:19,826 --> 00:04:23,997 (アライラ)アタシは試験監督だから ここからはもう口出さないぜ。 43 00:04:23,997 --> 00:04:27,501 (リチェ)グネグネしてるけど ずっと先まで一本道。 44 00:04:27,501 --> 00:04:30,337 こんなの…。 (ユイニィ)あっ。 45 00:04:30,337 --> 00:04:34,174 飛んでいけばすぐ終わ… うっ? 46 00:04:34,174 --> 00:04:39,346 あっ! うっ… はっ…! 47 00:04:39,346 --> 00:04:41,348 あっ! (ユイニィ)危ない! 48 00:04:41,348 --> 00:04:43,650 あっ…。 (リチェを抱き寄せる音) 49 00:04:46,186 --> 00:04:50,023 (アガット)横向きに立ってる!? あなたの魔法なの? 50 00:04:50,023 --> 00:04:52,859 (ユイニィ)これは この道の魔法。 51 00:04:52,859 --> 00:04:55,862 空間がグチャグチャになってる この洞窟で➨ 52 00:04:55,862 --> 00:05:00,800 唯一水平な正解の道は この蛇の背の上だけなんだ。 53 00:05:00,800 --> 00:05:04,805 ここから足を踏み外すと 洞窟迷宮に落ちたあげく➨ 54 00:05:04,805 --> 00:05:07,474 入り口に逆戻りしてしまうんだよ。 55 00:05:07,474 --> 00:05:13,146 あっ もしかして蛇の鱗の石畳は➨ 56 00:05:13,146 --> 00:05:16,149 全部 魔法陣ってこと!? 57 00:05:16,149 --> 00:05:20,654 でも ところどころ ひび割れて崩れてる…。 58 00:05:20,654 --> 00:05:25,825 だから僕 1度目の試験は それに気付けなくて落ちちゃった。 59 00:05:25,825 --> 00:05:29,663 こ… ここでの正解は 基礎魔法教本にある。 60 00:05:29,663 --> 00:05:31,665 あの魔法ね! 61 00:05:36,837 --> 00:05:39,506 (水の流れる音) 62 00:05:39,506 --> 00:05:42,676 (アガット)水は重力に従って流れ➨ 63 00:05:42,676 --> 00:05:46,346 水平な所だと とどまってたまる。 64 00:05:46,346 --> 00:05:50,350 魔法陣がまだ生きている 箇所だけが水平なら➨ 65 00:05:50,350 --> 00:05:55,522 水が表面にたまる所が 正しく通れる道ってことよ。 66 00:05:55,522 --> 00:05:58,024 完璧な正解だ! 67 00:05:58,024 --> 00:06:01,294 さすがアークロム家の人だね。 68 00:06:01,294 --> 00:06:04,798 ぼ… 僕は2回目のときでも そんなにすぐに…。 69 00:06:04,798 --> 00:06:09,135 《正しい答え…。 正しい魔法…。 70 00:06:09,135 --> 00:06:12,138 正しい道…。 71 00:06:12,138 --> 00:06:14,975 そこから外れたらダメなんて➨ 72 00:06:14,975 --> 00:06:18,645 そういうの いちばんやりたくないのに…》 73 00:06:18,645 --> 00:06:21,147 ⸨こら リチェリット。 あっ! 74 00:06:21,147 --> 00:06:25,151 また無駄な魔法ばかり描いて。 あっ うっ…! 75 00:06:25,151 --> 00:06:28,822 そんなんじゃ まっとうな 魔法使いになれないぞ。 76 00:06:28,822 --> 00:06:32,325 どうして先生の言うとおりに できないんだ。 あっ…! 77 00:06:32,325 --> 00:06:37,831 こんな落書きは捨てなさい。 78 00:06:37,831 --> 00:06:39,833 (割れる音) 79 00:06:39,833 --> 00:06:42,669 《捨てたくない。 80 00:06:42,669 --> 00:06:45,005 落書きじゃないのに。 81 00:06:45,005 --> 00:06:47,507 これはリチェの魔法なのに。 82 00:06:47,507 --> 00:06:52,812 リチェはリチェを捨てたくない。 そのためには…》⸩ 83 00:06:54,848 --> 00:06:57,150 こっちよ。 おいで。 84 00:06:59,686 --> 00:07:03,957 通る道はわかったけど メルフォンがついてきてくれないわ。 85 00:07:03,957 --> 00:07:08,962 も~っ 落ちたら危ないんだから ちゃんとついてきなさいよ! 86 00:07:10,964 --> 00:07:13,466 クアッ? クア~? 87 00:07:13,466 --> 00:07:18,471 うっ… あざといしぐさしたって 許さないんだからね! 88 00:07:18,471 --> 00:07:20,473 (ユイニィ)で… でも…。 あっ。 89 00:07:20,473 --> 00:07:23,143 そのしぐさが大事なんだ。 90 00:07:23,143 --> 00:07:26,313 メルフォンは仲間と 鳴き声で会話する。 (鳴き声) 91 00:07:26,313 --> 00:07:29,482 だから この子たちに ついてきてほしいときは➨ 92 00:07:29,482 --> 00:07:34,654 共鳴の魔法で鳴き声に似た音を 出すのが正解で… えっ? 93 00:07:34,654 --> 00:07:37,657 (足音) 94 00:07:37,657 --> 00:07:41,328 (リチェ)魔法に正解なんて 決めないで。 (鳴き声) 95 00:07:41,328 --> 00:07:44,331 こうじゃなきゃダメって 決まりなんてない。 (鳴き声) 96 00:07:44,331 --> 00:07:46,333 メルフォンが…! 97 00:07:46,333 --> 00:07:49,502 ユイニィはこの試験の 経験者かもしれないけど➨ 98 00:07:49,502 --> 00:07:52,672 さっきから 正解 正解ってうるさいし➨ 99 00:07:52,672 --> 00:07:56,009 先回りして解説するのも おせっかい。 100 00:07:56,009 --> 00:07:58,678 リチェはリチェになりたいの。 101 00:07:58,678 --> 00:08:02,949 リチェじゃない魔法使いに なりたいわけじゃない。 102 00:08:02,949 --> 00:08:08,121 だから リチェは自分の魔法だけで この道の出口まで行ってみせる。 103 00:08:08,121 --> 00:08:10,623 リチェ…。 104 00:08:10,623 --> 00:08:13,960 それは でも 無理だよ。 105 00:08:13,960 --> 00:08:17,130 世の中には そんなの通用しないんだ。 106 00:08:17,130 --> 00:08:19,466 これだって 試験の問題なんだから➨ 107 00:08:19,466 --> 00:08:22,469 ちゃんと 決まった答えがあるんだし…。 108 00:08:22,469 --> 00:08:26,139 僕らは未熟者で 見習いで 子どもなんだから➨ 109 00:08:26,139 --> 00:08:28,641 ちゃんと教本のとおりに やらなくちゃ。 110 00:08:28,641 --> 00:08:31,144 でないと また落ちちゃうよ。 111 00:08:31,144 --> 00:08:33,813 っていうか試験って そういうものだし… うわっ! 112 00:08:33,813 --> 00:08:36,816 そういうものだからって 決められるのが嫌なの! 113 00:08:36,816 --> 00:08:40,153 でも 他の人が試してない魔法は 失敗するかも。 114 00:08:40,153 --> 00:08:43,490 できるようにやればできる! そんな むちゃくちゃな…。 115 00:08:43,490 --> 00:08:46,493 (アガット)失敗を 覚えていたら知恵にもなるし➨ 116 00:08:46,493 --> 00:08:48,995 生かしたら糧になる。 117 00:08:48,995 --> 00:08:53,166 そういう学び方してる子を 一人知ってる。 118 00:08:53,166 --> 00:08:56,503 リチェのやりたいようにやればいい。 119 00:08:56,503 --> 00:09:01,608 私には関係ない。 アガットに言われなくてもそうする。 120 00:09:01,608 --> 00:09:04,778 あっ…。 121 00:09:04,778 --> 00:09:08,782 (足音) 122 00:09:16,289 --> 00:09:18,291 あっ! 123 00:09:18,291 --> 00:09:21,094 なんの音? 水? 124 00:09:23,129 --> 00:09:25,298 んっ? 125 00:09:25,298 --> 00:09:29,469 (ユイニィ)僕は せ… 先生に 毎日言われるんだ。 126 00:09:29,469 --> 00:09:31,638 お前には無理だ。 127 00:09:31,638 --> 00:09:34,140 お前にはできない…。 あっ! あっ。 128 00:09:34,140 --> 00:09:36,142 (ユイニィ)僕もそう思う。 129 00:09:36,142 --> 00:09:40,814 だから僕以外の人のやり方を 勉強した。 130 00:09:40,814 --> 00:09:44,651 でもやっぱり無理なんだ。 131 00:09:44,651 --> 00:09:47,153 だってここはロモノーン。 132 00:09:49,656 --> 00:09:52,325 そもそもが 選ばれない者を➨ 133 00:09:52,325 --> 00:09:55,128 拒むためにつくられた道だもの。 134 00:09:59,499 --> 00:10:02,836 んっ? ココ? どうしたの? 135 00:10:02,836 --> 00:10:05,171 キーフリー先生 今日って➨ 136 00:10:05,171 --> 00:10:07,841 他の魔法使いさんも 来たりするんですか? 137 00:10:07,841 --> 00:10:12,846 クックロウは帰ってしまったし いないと思うけど… どうして? 138 00:10:12,846 --> 00:10:17,684 今あっちに ローブ姿の誰かがいたような…。 139 00:10:17,684 --> 00:10:19,686 ココ? んっ? 140 00:10:23,189 --> 00:10:26,025 あっ ぐっ! (風の音) 141 00:10:26,025 --> 00:10:28,027 あっ…。 142 00:10:31,030 --> 00:10:33,199 《誰もいるわけないか…》 143 00:10:33,199 --> 00:10:35,201 (テティア)ココ~! んっ! 144 00:10:35,201 --> 00:10:38,204 は~い 今 行きま~す! 145 00:10:41,708 --> 00:10:44,711 (マントのはためく音) 146 00:10:49,048 --> 00:10:51,551 (アガット)流れ落ちた水が➨ 147 00:10:51,551 --> 00:10:55,221 途中からおかしな方向に 落ちていってる…。 148 00:10:55,221 --> 00:10:58,558 道が途切れていたら 石畳の裏にある➨ 149 00:10:58,558 --> 00:11:01,160 魔法陣の効果もないってことね。 150 00:11:01,160 --> 00:11:03,663 どうにかして ここを渡らなきゃ。 151 00:11:05,665 --> 00:11:09,836 リチェ? 魔法陣の効果があるのは この石の上にいるとき。 152 00:11:09,836 --> 00:11:14,040 だから 石の上を あっちの道までのばせばいい。 153 00:11:16,009 --> 00:11:18,311 こんなふうに。 154 00:11:21,848 --> 00:11:23,850 クアッ。 155 00:11:27,854 --> 00:11:30,857 あっ! い… 石のリボンを踏んだまま!? 156 00:11:33,860 --> 00:11:36,863 ほら。 できないこと➨ 157 00:11:36,863 --> 00:11:40,033 できるやり方に変えたら できるでしょ。 158 00:11:40,033 --> 00:11:42,035 あぁ…。 159 00:11:42,035 --> 00:11:44,637 一理あるわね。 えっ? 160 00:11:52,212 --> 00:11:54,213 クアッ クアッ! 161 00:11:54,213 --> 00:11:57,617 あっ 危ないよ そのままじゃ…! 162 00:12:01,988 --> 00:12:05,158 複製と繰り返し魔法の合わせ技! 163 00:12:05,158 --> 00:12:08,995 範囲は狭いけど うまくいったわ! 164 00:12:08,995 --> 00:12:10,997 あっ! (ヒビの入る音) 165 00:12:10,997 --> 00:12:12,999 アガット! いい! 166 00:12:12,999 --> 00:12:16,336 くっ うっ! 167 00:12:16,336 --> 00:12:18,504 うっ! 168 00:12:18,504 --> 00:12:21,507 《やっぱりマントの下じゃ 丁寧には描けないから➨ 169 00:12:21,507 --> 00:12:24,344 長もちせずに すぐ消えてしまうわね。 170 00:12:24,344 --> 00:12:28,681 まだまだだわ。 もっともっと頑張らないと》 171 00:12:28,681 --> 00:12:32,685 あなた やるじゃない。 こんなの楽勝。 172 00:12:32,685 --> 00:12:36,689 次はお前の番だろ? うっ…。 んっ? 173 00:12:36,689 --> 00:12:39,692 ハァッ…! 174 00:12:39,692 --> 00:12:44,197 ぼ… 僕…。 (2人)んっ? 175 00:12:44,197 --> 00:12:46,199 やっぱりできない! 176 00:12:46,199 --> 00:12:48,201 あっ! (2人)あっ! 177 00:12:48,201 --> 00:12:50,703 向いてないんだ! 才能も度胸も➨ 178 00:12:50,703 --> 00:12:54,040 自信も適性も特技も 何一つないもの! 179 00:12:54,040 --> 00:12:58,711 道が崩れてて運すらない! 今回もきっとダメなんだ。 180 00:12:58,711 --> 00:13:00,980 あのねぇ あなた➨ 181 00:13:00,980 --> 00:13:04,484 最初から分析も うんちくも 十分に披露してたじゃない。 182 00:13:04,484 --> 00:13:07,987 2度の経験と知識を生かさなくて どうするのよ! 183 00:13:07,987 --> 00:13:12,091 何でもいいから描いてみなさい! うっ…。 184 00:13:14,994 --> 00:13:17,664 クアッ クアッ。 クアッ! (鳴き声魔法) 185 00:13:17,664 --> 00:13:20,500 クアッ クア~ クア~ッ。 (鳴き声魔法) 186 00:13:20,500 --> 00:13:22,502 クオ! クオー! (鳴き声魔法) 187 00:13:22,502 --> 00:13:24,504 クオ~! クアー! クア! (鳴き声魔法) 188 00:13:24,504 --> 00:13:26,839 鳴き声の魔法…? (2人)んっ? クオッ? 189 00:13:26,839 --> 00:13:30,343 水たまりをつくる雨魔法…。 190 00:13:30,343 --> 00:13:34,681 って なんでもう 通り過ぎた所の魔法なのよ! 191 00:13:34,681 --> 00:13:38,518 新しいの描かなきゃ 渡れないのに! くっ…! 192 00:13:38,518 --> 00:13:42,188 か… 描けないんだ! はあ? 193 00:13:42,188 --> 00:13:47,393 ぼ… 僕… 手の震えが 止まらなくなっちゃうんだ。 194 00:13:49,529 --> 00:13:52,365 (ユイニィ)だ… 誰かがいるところで 描いたときは➨ 195 00:13:52,365 --> 00:13:55,368 一度も うまくいったことがないんだ。 196 00:13:55,368 --> 00:14:01,808 見られてると思うと 汗かいて 滑って 震えて ブレて…。 197 00:14:01,808 --> 00:14:05,144 ひどい出来の魔法ばかり…。 198 00:14:05,144 --> 00:14:07,814 僕だって なんとかしたいけど➨ 199 00:14:07,814 --> 00:14:11,651 自分でも どうしようもないんだ。 200 00:14:11,651 --> 00:14:16,823 そっ そっ それに 震えて 焦ってるところを見られると➨ 201 00:14:16,823 --> 00:14:20,493 ますますダメになっちゃうから…。 202 00:14:20,493 --> 00:14:23,329 今度こそ先へ進もうと➨ 203 00:14:23,329 --> 00:14:25,498 予習して 勉強して➨ 204 00:14:25,498 --> 00:14:30,670 必要になりそうな 「正解の魔法」を あらかじめ描いてきたんだ。 205 00:14:30,670 --> 00:14:34,674 一人でなら まだ集中して 描くことができるし➨ 206 00:14:34,674 --> 00:14:38,511 魔円手帳の持ち込みは 禁止されてない。 207 00:14:38,511 --> 00:14:41,848 これなら陣を閉じるだけで 発動するから➨ 208 00:14:41,848 --> 00:14:46,352 なんとか まともに見えるかもって 思って…。 209 00:14:46,352 --> 00:14:49,856 でも 道が途切れてるなんて…。 210 00:14:49,856 --> 00:14:53,526 正しいやり方じゃないから バチが当たったんだ…。 211 00:14:53,526 --> 00:14:57,029 なんで いつも僕って こうなんだろう…。 212 00:14:57,029 --> 00:15:00,299 君は君になりたいって 言ってたけど➨ 213 00:15:00,299 --> 00:15:03,636 僕は できるなら僕をやめたい。 214 00:15:03,636 --> 00:15:06,806 僕じゃない誰かになりたいよ…! 215 00:15:06,806 --> 00:15:08,975 うぅ…。 216 00:15:08,975 --> 00:15:11,811 《アガット:これは 「知らざる者」たちの前でも➨ 217 00:15:11,811 --> 00:15:15,148 バレずに魔法を使えるかどうかを 問う試験。 218 00:15:15,148 --> 00:15:17,650 悪いけど あの様子じゃ 何度やっても➨ 219 00:15:17,650 --> 00:15:21,320 受かるとは思えないわ》 できなくない。 あっ! 220 00:15:21,320 --> 00:15:24,157 ユイニィはユイニィのままでできる。 221 00:15:24,157 --> 00:15:28,161 今 自分で答え言ってた。 気付いてないの? 222 00:15:28,161 --> 00:15:32,832 一人だと集中して描けるなら 今 一人になればいいじゃん! 223 00:15:32,832 --> 00:15:34,834 へぇぇ…? 224 00:15:34,834 --> 00:15:39,172 えっ えっ でも どうやって…? 225 00:15:39,172 --> 00:15:42,675 どうやってでも! 魔法では石をのばしたり➨ 226 00:15:42,675 --> 00:15:45,011 雨を降らせたりできるんだもん! 227 00:15:45,011 --> 00:15:48,347 一人になれる部屋でも 何でもつくれるはず! 228 00:15:48,347 --> 00:15:51,350 そ… その魔法が 描けないんだけど…。 229 00:15:51,350 --> 00:15:54,520 じゃあ魔法はなしで! えぇ~。 230 00:15:54,520 --> 00:15:57,690 そ… そんなむちゃなこと 急に言われても…。 231 00:15:57,690 --> 00:16:01,961 僕… 僕は… くっ… うっ! 232 00:16:01,961 --> 00:16:04,130 クエ~。 あっ。 うぅ… ふっ…。 233 00:16:04,130 --> 00:16:09,035 くっ はっ くっ くっ ふっ…。 234 00:16:21,147 --> 00:16:23,316 あなた! んっ! あっ…。 235 00:16:23,316 --> 00:16:25,485 邪魔しちゃダメ。 236 00:16:25,485 --> 00:16:30,823 《あぁあぁあぁあぁ…! 嫌だ嫌だ嫌だよ 最悪だ! 237 00:16:30,823 --> 00:16:33,326 なんて惨めなんだろう…! 238 00:16:33,326 --> 00:16:36,495 とっさに思いついた やり方がこれって…。 239 00:16:36,495 --> 00:16:38,831 情けなくて泣けてくる。 240 00:16:38,831 --> 00:16:42,168 あの子たち きっと あきれてるだろうな。 241 00:16:42,168 --> 00:16:44,504 笑われてるかも。 242 00:16:44,504 --> 00:16:48,007 こっ こんな姿 外から見たら滑稽だろうし。 243 00:16:48,007 --> 00:16:53,012 ぼぼぼ… 僕だって想像したら バカみたいだって思うもの。 244 00:16:53,012 --> 00:16:57,516 先生だって きっと僕に失望して…》 245 00:16:57,516 --> 00:16:59,519 あっ! 246 00:16:59,519 --> 00:17:02,121 《笑われてない。 247 00:17:02,121 --> 00:17:04,957 誰もあきれたり 笑ったり➨ 248 00:17:04,957 --> 00:17:07,293 バカにしたりしてない。 249 00:17:07,293 --> 00:17:10,296 僕自身以外は…》 250 00:17:10,296 --> 00:17:12,298 (水に触れる音) 251 00:17:12,298 --> 00:17:15,635 《「できるようにやれば できる」か…。 252 00:17:15,635 --> 00:17:17,637 そっか…。 253 00:17:17,637 --> 00:17:21,140 今 ここで僕にできないって 呪いをかけているのは➨ 254 00:17:21,140 --> 00:17:23,976 鏡に映った僕だけだったんだ》 255 00:17:23,976 --> 00:17:27,313 (水に触れる音) 256 00:17:27,313 --> 00:17:31,317 鏡…。 あっ! 257 00:17:31,317 --> 00:17:35,154 こっち。 いや こっち。 258 00:17:35,154 --> 00:17:38,157 影借りの鏡マントの魔法陣。 259 00:17:38,157 --> 00:17:42,662 鏡っていうより 覆いの矢と反射の矢の応用で➨ 260 00:17:42,662 --> 00:17:45,831 着ている人の姿を隠して 「影」にしてから➨ 261 00:17:45,831 --> 00:17:51,170 鱗に映り込んだ獣の虚像を 投影する魔法なのか。 262 00:17:51,170 --> 00:17:55,341 すごいなぁ 複数に重ねがけしてある。 263 00:17:55,341 --> 00:17:59,645 あっ でも これなら僕 もしかして…。 264 00:18:01,781 --> 00:18:04,784 うっ うっ… ふぅ…。 265 00:18:04,784 --> 00:18:07,586 はぁ はぁ~…。 266 00:18:18,631 --> 00:18:20,967 どうした? あっ! 267 00:18:20,967 --> 00:18:23,135 ユイニィ!? 268 00:18:23,135 --> 00:18:25,838 そこにいろ! 風の盾を張る! 269 00:18:27,807 --> 00:18:31,477 ロモノーンの罠か!? あるいは未知の古代魔法!? 270 00:18:31,477 --> 00:18:34,146 (ユイニィ)だ… 大丈夫です! 271 00:18:34,146 --> 00:18:36,816 これ 僕の魔法です! 272 00:18:36,816 --> 00:18:38,818 ユイニィ! 273 00:18:42,655 --> 00:18:44,824 お前! 274 00:18:44,824 --> 00:18:47,994 そのマントはどうした? エヘヘ…。 275 00:18:47,994 --> 00:18:52,498 中に潜ったら 影借りの 鏡マントの魔法陣が見えたので…。 276 00:18:52,498 --> 00:18:54,834 「鏡」の部分の魔法だけ消して➨ 277 00:18:54,834 --> 00:18:58,504 「影借り」だけのマントに 変えてみたんです。 278 00:18:58,504 --> 00:19:02,441 これなら暗闇に紛れて 隠れたままでも描ける。 279 00:19:02,441 --> 00:19:06,779 メルフォンからも見えなくなるから 連れていくのは難しくなるけど➨ 280 00:19:06,779 --> 00:19:09,281 鳴き声をまねした 音魔法があるし➨ 281 00:19:09,281 --> 00:19:12,118 彼らには人間って バレなければいいんですよね! 282 00:19:12,118 --> 00:19:14,120 まぁ 一応な…。 283 00:19:14,120 --> 00:19:17,456 姿を隠せたら一人になれる。 284 00:19:17,456 --> 00:19:20,626 集中できる。 もう人目も怖くない。 285 00:19:20,626 --> 00:19:23,629 これなら 描けるかもって 思ったんです! クアー。 286 00:19:26,966 --> 00:19:29,468 クアー! ⚟クオ~。 クアッ? 287 00:19:29,468 --> 00:19:32,304 クアッ! 288 00:19:32,304 --> 00:19:34,473 あっ! 289 00:19:34,473 --> 00:19:36,475 アハハッ。 290 00:19:38,811 --> 00:19:43,816 こ… こんなやり方で 恥ずかしいけど でも たぶん…。 291 00:19:45,985 --> 00:19:48,988 これが… 僕なのかも。 292 00:19:48,988 --> 00:19:50,990 んっ? 293 00:19:52,992 --> 00:19:54,994 あっ。 294 00:19:54,994 --> 00:19:57,663 もう自分のこと 嫌じゃない? 295 00:19:57,663 --> 00:20:01,500 あっ…。 うん ちょっとだけ。 296 00:20:01,500 --> 00:20:03,502 フッ。 297 00:20:03,502 --> 00:20:07,173 次は無理とかダメとか すぐ言わないで。 298 00:20:07,173 --> 00:20:09,508 ユイニィ 全然ダメじゃないから。 299 00:20:09,508 --> 00:20:11,677 い… 言っちゃうかも…。 300 00:20:11,677 --> 00:20:15,848 で… でも そこで 終わらせないように頑張るよ! 301 00:20:15,848 --> 00:20:17,850 あっ あの! 302 00:20:17,850 --> 00:20:19,852 (2人)んっ? 303 00:20:19,852 --> 00:20:22,855 ありがとう リチェさん! 304 00:20:24,857 --> 00:20:28,194 あなたは他人に 興味がないんだと思ってたわ。 305 00:20:28,194 --> 00:20:31,197 ユイニィは最初 リチェを助けてくれたから➨ 306 00:20:31,197 --> 00:20:33,199 これでおあいこ。 307 00:20:33,199 --> 00:20:38,704 それに やりたいのに できないときの気持ち…。 308 00:20:38,704 --> 00:20:41,207 リチェもわかるから…。 309 00:20:43,209 --> 00:20:46,212 できない自分が嫌なのなんて 当然じゃない。 310 00:20:46,212 --> 00:20:49,381 だから成長できるのよ。 311 00:20:49,381 --> 00:20:52,384 私は私以上の私になる。 312 00:20:52,384 --> 00:20:55,888 未熟なままの自分を 好きになるなんてありえないわ! 313 00:20:55,888 --> 00:20:59,225 (水の落ちる音) 314 00:20:59,225 --> 00:21:02,161 (アライラ)試験は 自分を知るためのもの。 315 00:21:02,161 --> 00:21:07,166 道は確かに一本だけど 魔法の描き方は皆違う。 316 00:21:07,166 --> 00:21:13,005 それぞれが自分の方法を探り 自分の歩み方を決めていく…。 317 00:21:13,005 --> 00:21:15,674 こういうのの繰り返しでな。 318 00:21:15,674 --> 00:21:19,178 なっ? 試験も そんなに悪くないだろ? 319 00:21:19,178 --> 00:21:21,847 あっ… んっ…。 320 00:21:21,847 --> 00:21:24,350 ヒヒッ。 でも。 んっ? 321 00:21:24,350 --> 00:21:30,189 キーフリー先生がウソついて受けさせたの 謝ってくれるまで絶対許さない。 322 00:21:30,189 --> 00:21:33,025 怒リチェポイント1だから フン! 323 00:21:33,025 --> 00:21:36,028 怒リチェポイント? クオ? 324 00:21:36,028 --> 00:21:39,532 そうだ キーフリーのことなんだけど。 んっ? 325 00:21:39,532 --> 00:21:42,868 アイツ 最近 何か…。 326 00:21:42,868 --> 00:21:45,704 ハッ! あっ! ぐぅっ! 327 00:21:45,704 --> 00:21:48,040 うぅ…! アライラさん! (リチェ/ユイニィ)アライラ先生! 328 00:21:48,040 --> 00:21:51,210 つばありだと!? くっ! うっ! 329 00:21:51,210 --> 00:21:53,379 (3人)うわっ! (アガット)つばあり帽!? 330 00:21:53,379 --> 00:21:55,381 ぐっ…! うぅ! 331 00:21:55,381 --> 00:21:57,383 (3人)うっ! クワー! 332 00:21:57,383 --> 00:22:01,654 くっ いいか お前ら! つばあり帽の言葉を聞くな! 333 00:22:01,654 --> 00:22:04,823 惑わされるな! 全力で逃げろ! 334 00:22:04,823 --> 00:22:07,526 禁止魔法は…! 335 00:22:11,163 --> 00:22:14,066 アライラさん…。