1 00:00:01,627 --> 00:00:04,839 (キーフリー)昔 この岬の洞窟には 2 00:00:04,839 --> 00:00:07,299 繊細な魔法細工の工芸に優れた 3 00:00:07,299 --> 00:00:11,011 ロモノーン洞国という 豊かな国があった。 4 00:00:11,011 --> 00:00:13,681 魔法の金細工を身にまとい 5 00:00:13,681 --> 00:00:16,851 尊大な態度を隠そうともしない ロモノーン人は 6 00:00:16,851 --> 00:00:20,521 洞窟の外の国や そこから訪れる人々を 7 00:00:20,521 --> 00:00:24,316 自分たちとは分けて考え 見下していた。 8 00:00:24,316 --> 00:00:27,528 ロモノーンの豊かさに うわさがうわさを呼び 9 00:00:27,528 --> 00:00:30,030 地上からの旅人が増えた頃 10 00:00:30,030 --> 00:00:33,325 彼らにとって益のある者だけを 迎え入れるために 11 00:00:33,325 --> 00:00:38,539 選ばれた者のみが通れる 蛇の背の道をつくった。 12 00:00:38,539 --> 00:00:42,168 そしてその道を通ることを 許されない無益な者は 13 00:00:42,168 --> 00:00:48,174 ロモノーンに決してたどりつけないよう 洞窟に迷宮の魔法を刻んだんだ。 14 00:00:48,174 --> 00:00:53,888 ロモノーンは更に美しく豊かになったが ますます高慢で排他的になり 15 00:00:53,888 --> 00:01:00,478 あるときからロモノーン人同士で 互いの価値を選別し始めた。 16 00:01:00,478 --> 00:01:05,983 そして無益とされた者は 価値なき肉体であるよりはと 17 00:01:05,983 --> 00:01:10,654 魔法で街を飾る金細工に 変えられたんだ。 18 00:01:10,654 --> 00:01:13,282 流れの止まった水が濁るように 19 00:01:13,282 --> 00:01:16,994 閉ざされたロモノーンは よどんでいった。 20 00:01:16,994 --> 00:01:21,290 国の内側で憎み合い 疲れて 弱って…。 21 00:01:21,290 --> 00:01:26,295 最後は山のような金細工の重みで 崩壊したそうだよ。 22 00:01:26,295 --> 00:01:32,301 あとにはただ 蛇の背の道と 迷宮と化した洞窟を残してね…。 23 00:01:32,301 --> 00:01:34,303 (フデムシ)ンビ~。 24 00:01:34,303 --> 00:01:36,680 人は本当に恐ろしいよ。 25 00:01:36,680 --> 00:01:39,683 簡単に恐ろしいことが できてしまうのだと 26 00:01:39,683 --> 00:01:43,145 自覚している者が 少ないのも恐ろしい。 27 00:01:43,145 --> 00:01:46,315 (ココ)でも 先生…。 んっ? 28 00:01:46,315 --> 00:01:50,528 魔法は 人を幸せにするものですよね? 29 00:01:50,528 --> 00:01:55,032 誰かを助けたり 世界を彩るための 力なんですよね! 30 00:01:55,032 --> 00:01:57,159 あっ! 31 00:01:57,159 --> 00:02:02,289 君たち未来の魔法使いが そう思ってくれるなら きっと…。 32 00:02:02,289 --> 00:02:05,292 そうだね。 大丈夫だ。 33 00:02:05,292 --> 00:02:07,294 (テティア/ココ)フフッ。 ンビ! 34 00:02:07,294 --> 00:02:13,676 でも この魔法は今日のごはんに 不幸な結果を招くかもしれない。 35 00:02:13,676 --> 00:02:17,304 (2人)あ~! 焦げまくってる~! ンビビビビ! 36 00:02:17,304 --> 00:02:19,306 ハフハフ あちち…! 37 00:02:19,306 --> 00:02:22,518 黒いとこ取れば食べれます! んまい! 38 00:02:22,518 --> 00:02:26,313 《魔法は世界を彩るための力…。 39 00:02:26,313 --> 00:02:30,025 そう願うよ 本当に…。 40 00:02:30,025 --> 00:02:33,153 そう願う…》 ンビ~。 41 00:04:06,455 --> 00:04:09,792 (アライラ)さぁ この道をどう進む? 42 00:04:09,792 --> 00:04:13,963 (アライラ)アタシは試験監督だから ここからはもう口出さないぜ。 43 00:04:13,963 --> 00:04:17,466 (リチェ)グネグネしてるけど ずっと先まで一本道。 44 00:04:17,466 --> 00:04:20,302 こんなの…。 (ユイニィ)あっ。 45 00:04:20,302 --> 00:04:24,139 飛んでいけばすぐ終わ… うっ? 46 00:04:24,139 --> 00:04:29,311 あっ! うっ… はっ…! 47 00:04:29,311 --> 00:04:31,313 あっ! (ユイニィ)危ない! 48 00:04:31,313 --> 00:04:33,649 あっ…。 (リチェを抱き寄せる音) 49 00:04:36,151 --> 00:04:39,989 (アガット)横向きに立ってる!? あなたの魔法なの? 50 00:04:39,989 --> 00:04:42,825 (ユイニィ)これは この道の魔法。 51 00:04:42,825 --> 00:04:45,828 空間がグチャグチャになってる この洞窟で 52 00:04:45,828 --> 00:04:50,791 唯一水平な正解の道は この蛇の背の上だけなんだ。 53 00:04:50,791 --> 00:04:54,795 ここから足を踏み外すと 洞窟迷宮に落ちたあげく 54 00:04:54,795 --> 00:04:57,464 入り口に逆戻りしてしまうんだよ。 55 00:04:57,464 --> 00:05:03,095 あっ もしかして蛇の鱗の石畳は 56 00:05:03,095 --> 00:05:06,098 全部 魔法陣ってこと!? 57 00:05:06,098 --> 00:05:10,644 でも ところどころ ひび割れて崩れてる…。 58 00:05:10,644 --> 00:05:15,816 だから僕 1度目の試験は それに気付けなくて落ちちゃった。 59 00:05:15,816 --> 00:05:19,653 こ… ここでの正解は 基礎魔法教本にある。 60 00:05:19,653 --> 00:05:21,655 あの魔法ね! 61 00:05:26,827 --> 00:05:29,496 (水の流れる音) 62 00:05:29,496 --> 00:05:32,666 (アガット)水は重力に従って流れ 63 00:05:32,666 --> 00:05:36,295 水平な所だと とどまってたまる。 64 00:05:36,295 --> 00:05:40,299 魔法陣がまだ生きている 箇所だけが水平なら 65 00:05:40,299 --> 00:05:45,512 水が表面にたまる所が 正しく通れる道ってことよ。 66 00:05:45,512 --> 00:05:48,015 完璧な正解だ! 67 00:05:48,015 --> 00:05:51,226 さすがアークロム家の人だね。 68 00:05:51,226 --> 00:05:54,772 ぼ… 僕は2回目のときでも そんなにすぐに…。 69 00:05:54,772 --> 00:05:59,068 《正しい答え…。 正しい魔法…。 70 00:05:59,068 --> 00:06:02,071 正しい道…。 71 00:06:02,071 --> 00:06:04,948 そこから外れたらダメなんて 72 00:06:04,948 --> 00:06:08,619 そういうの いちばんやりたくないのに…》 73 00:06:08,619 --> 00:06:11,080 ((こら リチェリット。 あっ! 74 00:06:11,080 --> 00:06:15,084 また無駄な魔法ばかり描いて。 あっ うっ…! 75 00:06:15,084 --> 00:06:18,796 そんなんじゃ まっとうな 魔法使いになれないぞ。 76 00:06:18,796 --> 00:06:22,257 どうして先生の言うとおりに できないんだ。 あっ…! 77 00:06:22,257 --> 00:06:27,805 こんな落書きは捨てなさい。 78 00:06:27,805 --> 00:06:29,807 (割れる音) 79 00:06:29,807 --> 00:06:32,643 《捨てたくない。 80 00:06:32,643 --> 00:06:34,978 落書きじゃないのに。 81 00:06:34,978 --> 00:06:37,481 これはリチェの魔法なのに。 82 00:06:37,481 --> 00:06:42,820 リチェはリチェを捨てたくない。 そのためには…》)) 83 00:06:44,822 --> 00:06:47,116 こっちよ。 おいで。 84 00:06:49,660 --> 00:06:53,956 通る道はわかったけど メルフォンがついてきてくれないわ。 85 00:06:53,956 --> 00:06:58,961 も~っ 落ちたら危ないんだから ちゃんとついてきなさいよ! 86 00:07:00,963 --> 00:07:03,465 クアッ? クア~? 87 00:07:03,465 --> 00:07:08,470 うっ… あざといしぐさしたって 許さないんだからね! 88 00:07:08,470 --> 00:07:10,472 (ユイニィ)で… でも…。 あっ。 89 00:07:10,472 --> 00:07:13,100 そのしぐさが大事なんだ。 90 00:07:13,100 --> 00:07:16,270 メルフォンは仲間と 鳴き声で会話する。 (鳴き声) 91 00:07:16,270 --> 00:07:19,481 だから この子たちに ついてきてほしいときは 92 00:07:19,481 --> 00:07:24,653 共鳴の魔法で鳴き声に似た音を 出すのが正解で… えっ? 93 00:07:24,653 --> 00:07:27,656 (足音) 94 00:07:27,656 --> 00:07:31,285 (リチェ)魔法に正解なんて 決めないで。 (鳴き声) 95 00:07:31,285 --> 00:07:34,288 こうじゃなきゃダメって 決まりなんてない。 (鳴き声) 96 00:07:34,288 --> 00:07:36,290 メルフォンが…! 97 00:07:36,290 --> 00:07:39,501 ユイニィはこの試験の 経験者かもしれないけど 98 00:07:39,501 --> 00:07:42,671 さっきから 正解 正解ってうるさいし 99 00:07:42,671 --> 00:07:46,008 先回りして解説するのも おせっかい。 100 00:07:46,008 --> 00:07:48,677 リチェはリチェになりたいの。 101 00:07:48,677 --> 00:07:52,931 リチェじゃない魔法使いに なりたいわけじゃない。 102 00:07:52,931 --> 00:07:58,061 だから リチェは自分の魔法だけで この道の出口まで行ってみせる。 103 00:07:58,061 --> 00:08:00,606 リチェ…。 104 00:08:00,606 --> 00:08:03,942 それは でも 無理だよ。 105 00:08:03,942 --> 00:08:07,070 世の中には そんなの通用しないんだ。 106 00:08:07,070 --> 00:08:09,448 これだって 試験の問題なんだから 107 00:08:09,448 --> 00:08:12,451 ちゃんと 決まった答えがあるんだし…。 108 00:08:12,451 --> 00:08:16,079 僕らは未熟者で 見習いで 子どもなんだから 109 00:08:16,079 --> 00:08:18,624 ちゃんと教本のとおりに やらなくちゃ。 110 00:08:18,624 --> 00:08:21,084 でないと また落ちちゃうよ。 111 00:08:21,084 --> 00:08:23,795 っていうか試験って そういうものだし… うわっ! 112 00:08:23,795 --> 00:08:26,798 そういうものだからって 決められるのが嫌なの! 113 00:08:26,798 --> 00:08:30,093 でも 他の人が試してない魔法は 失敗するかも。 114 00:08:30,093 --> 00:08:33,472 できるようにやればできる! そんな むちゃくちゃな…。 115 00:08:33,472 --> 00:08:36,475 (アガット)失敗を 覚えていたら知恵にもなるし 116 00:08:36,475 --> 00:08:38,977 生かしたら糧になる。 117 00:08:38,977 --> 00:08:43,106 そういう学び方してる子を 一人知ってる。 118 00:08:43,106 --> 00:08:46,485 リチェのやりたいようにやればいい。 119 00:08:46,485 --> 00:08:51,573 私には関係ない。 アガットに言われなくてもそうする。 120 00:08:51,573 --> 00:08:54,743 あっ…。 121 00:08:54,743 --> 00:08:58,747 (足音) 122 00:09:06,255 --> 00:09:08,257 あっ! 123 00:09:08,257 --> 00:09:11,093 なんの音? 水? 124 00:09:13,095 --> 00:09:15,264 んっ? 125 00:09:15,264 --> 00:09:19,434 (ユイニィ)僕は せ… 先生に 毎日言われるんだ。 126 00:09:19,434 --> 00:09:21,603 お前には無理だ。 127 00:09:21,603 --> 00:09:24,106 お前にはできない…。 あっ! あっ。 128 00:09:24,106 --> 00:09:26,108 (ユイニィ)僕もそう思う。 129 00:09:26,108 --> 00:09:30,779 だから僕以外の人のやり方を 勉強した。 130 00:09:30,779 --> 00:09:34,616 でもやっぱり無理なんだ。 131 00:09:34,616 --> 00:09:37,119 だってここはロモノーン。 132 00:09:39,621 --> 00:09:42,291 そもそもが 選ばれない者を 133 00:09:42,291 --> 00:09:45,127 拒むためにつくられた道だもの。 134 00:09:49,464 --> 00:09:52,801 んっ? ココ? どうしたの? 135 00:09:52,801 --> 00:09:55,137 キーフリー先生 今日って 136 00:09:55,137 --> 00:09:57,806 他の魔法使いさんも 来たりするんですか? 137 00:09:57,806 --> 00:10:02,811 クックロウは帰ってしまったし いないと思うけど… どうして? 138 00:10:02,811 --> 00:10:07,649 今あっちに ローブ姿の誰かがいたような…。 139 00:10:07,649 --> 00:10:09,651 ココ? んっ? 140 00:10:13,155 --> 00:10:15,991 あっ ぐっ! (風の音) 141 00:10:15,991 --> 00:10:17,993 あっ…。 142 00:10:20,996 --> 00:10:23,165 《誰もいるわけないか…》 143 00:10:23,165 --> 00:10:25,167 (テティア)ココ~! んっ! 144 00:10:25,167 --> 00:10:28,170 は~い 今 行きま~す! 145 00:10:31,673 --> 00:10:34,676 (マントのはためく音) 146 00:10:39,014 --> 00:10:41,516 (アガット)流れ落ちた水が 147 00:10:41,516 --> 00:10:45,187 途中からおかしな方向に 落ちていってる…。 148 00:10:45,187 --> 00:10:48,523 道が途切れていたら 石畳の裏にある 149 00:10:48,523 --> 00:10:51,109 魔法陣の効果もないってことね。 150 00:10:51,109 --> 00:10:53,653 どうにかして ここを渡らなきゃ。 151 00:10:55,655 --> 00:10:59,826 リチェ? 魔法陣の効果があるのは この石の上にいるとき。 152 00:10:59,826 --> 00:11:03,997 だから 石の上を あっちの道までのばせばいい。 153 00:11:05,999 --> 00:11:08,293 こんなふうに。 154 00:11:11,838 --> 00:11:13,840 クアッ。 155 00:11:17,844 --> 00:11:20,847 あっ! い… 石のリボンを踏んだまま!? 156 00:11:23,850 --> 00:11:26,853 ほら。 できないこと 157 00:11:26,853 --> 00:11:30,023 できるやり方に変えたら できるでしょ。 158 00:11:30,023 --> 00:11:32,025 あぁ…。 159 00:11:32,025 --> 00:11:34,694 一理あるわね。 えっ? 160 00:11:42,160 --> 00:11:44,162 クアッ クアッ! 161 00:11:44,162 --> 00:11:47,541 あっ 危ないよ そのままじゃ…! 162 00:11:51,962 --> 00:11:55,090 複製と繰り返し魔法の合わせ技! 163 00:11:55,090 --> 00:11:58,969 範囲は狭いけど うまくいったわ! 164 00:11:58,969 --> 00:12:00,971 あっ! (ヒビの入る音) 165 00:12:00,971 --> 00:12:02,973 アガット! いい! 166 00:12:02,973 --> 00:12:06,268 くっ うっ! 167 00:12:06,268 --> 00:12:08,478 うっ! 168 00:12:08,478 --> 00:12:11,481 《やっぱりマントの下じゃ 丁寧には描けないから 169 00:12:11,481 --> 00:12:14,276 長もちせずに すぐ消えてしまうわね。 170 00:12:14,276 --> 00:12:18,655 まだまだだわ。 もっともっと頑張らないと》 171 00:12:18,655 --> 00:12:22,659 あなた やるじゃない。 こんなの楽勝。 172 00:12:22,659 --> 00:12:26,663 次はお前の番だろ? うっ…。 んっ? 173 00:12:26,663 --> 00:12:29,666 ハァッ…! 174 00:12:29,666 --> 00:12:34,129 ぼ… 僕…。 (2人)んっ? 175 00:12:34,129 --> 00:12:36,131 やっぱりできない! 176 00:12:36,131 --> 00:12:38,133 あっ! (2人)あっ! 177 00:12:38,133 --> 00:12:40,677 向いてないんだ! 才能も度胸も 178 00:12:40,677 --> 00:12:44,014 自信も適性も特技も 何一つないもの! 179 00:12:44,014 --> 00:12:48,685 道が崩れてて運すらない! 今回もきっとダメなんだ。 180 00:12:48,685 --> 00:12:50,979 あのねぇ あなた 181 00:12:50,979 --> 00:12:54,483 最初から分析も うんちくも 十分に披露してたじゃない。 182 00:12:54,483 --> 00:12:57,986 2度の経験と知識を生かさなくて どうするのよ! 183 00:12:57,986 --> 00:13:02,115 何でもいいから描いてみなさい! うっ…。 184 00:13:04,993 --> 00:13:07,662 クアッ クアッ。 クアッ! (鳴き声魔法) 185 00:13:07,662 --> 00:13:10,499 クアッ クア~ クア~ッ。 (鳴き声魔法) 186 00:13:10,499 --> 00:13:12,501 クオ! クオー! (鳴き声魔法) 187 00:13:12,501 --> 00:13:14,503 クオ~! クアー! クア! (鳴き声魔法) 188 00:13:14,503 --> 00:13:16,838 鳴き声の魔法…? (2人)んっ? クオッ? 189 00:13:16,838 --> 00:13:20,300 水たまりをつくる雨魔法…。 190 00:13:20,300 --> 00:13:24,679 って なんでもう 通り過ぎた所の魔法なのよ! 191 00:13:24,679 --> 00:13:28,517 新しいの描かなきゃ 渡れないのに! くっ…! 192 00:13:28,517 --> 00:13:32,145 か… 描けないんだ! はあ? 193 00:13:32,145 --> 00:13:37,317 ぼ… 僕… 手の震えが 止まらなくなっちゃうんだ。 194 00:13:39,528 --> 00:13:42,322 (ユイニィ)だ… 誰かがいるところで 描いたときは 195 00:13:42,322 --> 00:13:45,325 一度も うまくいったことがないんだ。 196 00:13:45,325 --> 00:13:51,790 見られてると思うと 汗かいて 滑って 震えて ブレて…。 197 00:13:51,790 --> 00:13:55,085 ひどい出来の魔法ばかり…。 198 00:13:55,085 --> 00:13:57,796 僕だって なんとかしたいけど 199 00:13:57,796 --> 00:14:01,633 自分でも どうしようもないんだ。 200 00:14:01,633 --> 00:14:06,805 そっ そっ それに 震えて 焦ってるところを見られると 201 00:14:06,805 --> 00:14:10,475 ますますダメになっちゃうから…。 202 00:14:10,475 --> 00:14:13,270 今度こそ先へ進もうと 203 00:14:13,270 --> 00:14:15,480 予習して 勉強して 204 00:14:15,480 --> 00:14:20,652 必要になりそうな 「正解の魔法」を あらかじめ描いてきたんだ。 205 00:14:20,652 --> 00:14:24,656 一人でなら まだ集中して 描くことができるし 206 00:14:24,656 --> 00:14:28,493 魔円手帳の持ち込みは 禁止されてない。 207 00:14:28,493 --> 00:14:31,830 これなら陣を閉じるだけで 発動するから 208 00:14:31,830 --> 00:14:36,293 なんとか まともに見えるかもって 思って…。 209 00:14:36,293 --> 00:14:39,838 でも 道が途切れてるなんて…。 210 00:14:39,838 --> 00:14:43,508 正しいやり方じゃないから バチが当たったんだ…。 211 00:14:43,508 --> 00:14:47,012 なんで いつも僕って こうなんだろう…。 212 00:14:47,012 --> 00:14:50,265 君は君になりたいって 言ってたけど 213 00:14:50,265 --> 00:14:53,602 僕は できるなら僕をやめたい。 214 00:14:53,602 --> 00:14:56,771 僕じゃない誰かになりたいよ…! 215 00:14:56,771 --> 00:14:58,940 うぅ…。 216 00:14:58,940 --> 00:15:01,776 《アガット:これは 「知らざる者」たちの前でも 217 00:15:01,776 --> 00:15:05,113 バレずに魔法を使えるかどうかを 問う試験。 218 00:15:05,113 --> 00:15:07,616 悪いけど あの様子じゃ 何度やっても 219 00:15:07,616 --> 00:15:11,286 受かるとは思えないわ》 できなくない。 あっ! 220 00:15:11,286 --> 00:15:14,122 ユイニィはユイニィのままでできる。 221 00:15:14,122 --> 00:15:18,126 今 自分で答え言ってた。 気付いてないの? 222 00:15:18,126 --> 00:15:22,797 一人だと集中して描けるなら 今 一人になればいいじゃん! 223 00:15:22,797 --> 00:15:24,799 へぇぇ…? 224 00:15:24,799 --> 00:15:29,137 えっ えっ でも どうやって…? 225 00:15:29,137 --> 00:15:32,641 どうやってでも! 魔法では石をのばしたり 226 00:15:32,641 --> 00:15:34,976 雨を降らせたりできるんだもん! 227 00:15:34,976 --> 00:15:38,313 一人になれる部屋でも 何でもつくれるはず! 228 00:15:38,313 --> 00:15:41,316 そ… その魔法が 描けないんだけど…。 229 00:15:41,316 --> 00:15:44,486 じゃあ魔法はなしで! えぇ~。 230 00:15:44,486 --> 00:15:47,656 そ… そんなむちゃなこと 急に言われても…。 231 00:15:47,656 --> 00:15:51,951 僕… 僕は… くっ… うっ! 232 00:15:51,951 --> 00:15:54,079 クエ~。 あっ。 うぅ… ふっ…。 233 00:15:54,079 --> 00:15:58,958 くっ はっ くっ くっ ふっ…。 234 00:16:11,096 --> 00:16:13,264 あなた! んっ! あっ…。 235 00:16:13,264 --> 00:16:15,475 邪魔しちゃダメ。 236 00:16:15,475 --> 00:16:20,814 《あぁあぁあぁあぁ…! 嫌だ嫌だ嫌だよ 最悪だ! 237 00:16:20,814 --> 00:16:23,274 なんて惨めなんだろう…! 238 00:16:23,274 --> 00:16:26,486 とっさに思いついた やり方がこれって…。 239 00:16:26,486 --> 00:16:28,822 情けなくて泣けてくる。 240 00:16:28,822 --> 00:16:32,117 あの子たち きっと あきれてるだろうな。 241 00:16:32,117 --> 00:16:34,494 笑われてるかも。 242 00:16:34,494 --> 00:16:37,997 こっ こんな姿 外から見たら滑稽だろうし。 243 00:16:37,997 --> 00:16:43,002 ぼぼぼ… 僕だって想像したら バカみたいだって思うもの。 244 00:16:43,002 --> 00:16:47,507 先生だって きっと僕に失望して…》 245 00:16:47,507 --> 00:16:49,509 あっ! 246 00:16:49,509 --> 00:16:52,053 《笑われてない。 247 00:16:52,053 --> 00:16:54,931 誰もあきれたり 笑ったり 248 00:16:54,931 --> 00:16:57,225 バカにしたりしてない。 249 00:16:57,225 --> 00:17:00,228 僕自身以外は…》 250 00:17:00,228 --> 00:17:02,230 (水に触れる音) 251 00:17:02,230 --> 00:17:05,608 《「できるようにやれば できる」か…。 252 00:17:05,608 --> 00:17:07,610 そっか…。 253 00:17:07,610 --> 00:17:11,072 今 ここで僕にできないって 呪いをかけているのは 254 00:17:11,072 --> 00:17:13,950 鏡に映った僕だけだったんだ》 255 00:17:13,950 --> 00:17:17,245 (水に触れる音) 256 00:17:17,245 --> 00:17:21,249 鏡…。 あっ! 257 00:17:21,249 --> 00:17:25,086 こっち。 いや こっち。 258 00:17:25,086 --> 00:17:28,089 影借りの鏡マントの魔法陣。 259 00:17:28,089 --> 00:17:32,635 鏡っていうより 覆いの矢と反射の矢の応用で 260 00:17:32,635 --> 00:17:35,805 着ている人の姿を隠して 「影」にしてから 261 00:17:35,805 --> 00:17:41,102 鱗に映り込んだ獣の虚像を 投影する魔法なのか。 262 00:17:41,102 --> 00:17:45,273 すごいなぁ 複数に重ねがけしてある。 263 00:17:45,273 --> 00:17:49,652 あっ でも これなら僕 もしかして…。 264 00:17:51,780 --> 00:17:54,783 うっ うっ… ふぅ…。 265 00:17:54,783 --> 00:17:57,619 はぁ はぁ~…。 266 00:18:08,630 --> 00:18:10,965 どうした? あっ! 267 00:18:10,965 --> 00:18:13,092 ユイニィ!? 268 00:18:13,092 --> 00:18:15,804 そこにいろ! 風の盾を張る! 269 00:18:17,806 --> 00:18:21,476 ロモノーンの罠か!? あるいは未知の古代魔法!? 270 00:18:21,476 --> 00:18:24,103 (ユイニィ)だ… 大丈夫です! 271 00:18:24,103 --> 00:18:26,815 これ 僕の魔法です! 272 00:18:26,815 --> 00:18:28,817 ユイニィ! 273 00:18:32,654 --> 00:18:34,823 お前! 274 00:18:34,823 --> 00:18:37,992 そのマントはどうした? エヘヘ…。 275 00:18:37,992 --> 00:18:42,497 中に潜ったら 影借りの 鏡マントの魔法陣が見えたので…。 276 00:18:42,497 --> 00:18:44,833 「鏡」の部分の魔法だけ消して 277 00:18:44,833 --> 00:18:48,503 「影借り」だけのマントに 変えてみたんです。 278 00:18:48,503 --> 00:18:52,423 これなら暗闇に紛れて 隠れたままでも描ける。 279 00:18:52,423 --> 00:18:56,761 メルフォンからも見えなくなるから 連れていくのは難しくなるけど 280 00:18:56,761 --> 00:18:59,222 鳴き声をまねした 音魔法があるし 281 00:18:59,222 --> 00:19:02,058 彼らには人間って バレなければいいんですよね! 282 00:19:02,058 --> 00:19:04,060 まぁ 一応な…。 283 00:19:04,060 --> 00:19:07,438 姿を隠せたら一人になれる。 284 00:19:07,438 --> 00:19:10,608 集中できる。 もう人目も怖くない。 285 00:19:10,608 --> 00:19:13,611 これなら 描けるかもって 思ったんです! クアー。 286 00:19:16,948 --> 00:19:19,450 クアー! クオ~。 クアッ? 287 00:19:19,450 --> 00:19:22,245 クアッ! 288 00:19:22,245 --> 00:19:24,455 あっ! 289 00:19:24,455 --> 00:19:26,457 アハハッ。 290 00:19:28,793 --> 00:19:33,798 こ… こんなやり方で 恥ずかしいけど でも たぶん…。 291 00:19:35,967 --> 00:19:38,970 これが… 僕なのかも。 292 00:19:38,970 --> 00:19:40,972 んっ? 293 00:19:42,974 --> 00:19:44,976 あっ。 294 00:19:44,976 --> 00:19:47,645 もう自分のこと 嫌じゃない? 295 00:19:47,645 --> 00:19:51,482 あっ…。 うん ちょっとだけ。 296 00:19:51,482 --> 00:19:53,484 フッ。 297 00:19:53,484 --> 00:19:57,113 次は無理とかダメとか すぐ言わないで。 298 00:19:57,113 --> 00:19:59,490 ユイニィ 全然ダメじゃないから。 299 00:19:59,490 --> 00:20:01,659 い… 言っちゃうかも…。 300 00:20:01,659 --> 00:20:05,830 で… でも そこで 終わらせないように頑張るよ! 301 00:20:05,830 --> 00:20:07,832 あっ あの! 302 00:20:07,832 --> 00:20:09,834 (2人)んっ? 303 00:20:09,834 --> 00:20:12,837 ありがとう リチェさん! 304 00:20:14,839 --> 00:20:18,134 あなたは他人に 興味がないんだと思ってたわ。 305 00:20:18,134 --> 00:20:21,137 ユイニィは最初 リチェを助けてくれたから 306 00:20:21,137 --> 00:20:23,139 これでおあいこ。 307 00:20:23,139 --> 00:20:28,686 それに やりたいのに できないときの気持ち…。 308 00:20:28,686 --> 00:20:31,147 リチェもわかるから…。 309 00:20:33,149 --> 00:20:36,152 できない自分が嫌なのなんて 当然じゃない。 310 00:20:36,152 --> 00:20:39,322 だから成長できるのよ。 311 00:20:39,322 --> 00:20:42,325 私は私以上の私になる。 312 00:20:42,325 --> 00:20:45,870 未熟なままの自分を 好きになるなんてありえないわ! 313 00:20:45,870 --> 00:20:49,165 (水の落ちる音) 314 00:20:49,165 --> 00:20:52,126 (アライラ)試験は 自分を知るためのもの。 315 00:20:52,126 --> 00:20:57,131 道は確かに一本だけど 魔法の描き方は皆違う。 316 00:20:57,131 --> 00:21:02,971 それぞれが自分の方法を探り 自分の歩み方を決めていく…。 317 00:21:02,971 --> 00:21:05,640 こういうのの繰り返しでな。 318 00:21:05,640 --> 00:21:09,143 なっ? 試験も そんなに悪くないだろ? 319 00:21:09,143 --> 00:21:11,813 あっ… んっ…。 320 00:21:11,813 --> 00:21:14,315 ヒヒッ。 でも。 んっ? 321 00:21:14,315 --> 00:21:20,154 キーフリー先生がウソついて受けさせたの 謝ってくれるまで絶対許さない。 322 00:21:20,154 --> 00:21:22,991 怒リチェポイント1だから フン! 323 00:21:22,991 --> 00:21:25,994 怒リチェポイント? クオ? 324 00:21:25,994 --> 00:21:29,497 そうだ キーフリーのことなんだけど。 んっ? 325 00:21:29,497 --> 00:21:32,834 アイツ 最近 何か…。 326 00:21:32,834 --> 00:21:35,670 ハッ! あっ! ぐぅっ! 327 00:21:35,670 --> 00:21:38,006 うぅ…! アライラさん! (リチェ/ユイニィ)アライラ先生! 328 00:21:38,006 --> 00:21:41,175 つばありだと!? くっ! うっ! 329 00:21:41,175 --> 00:21:43,344 (3人)うわっ! (アガット)つばあり帽!? 330 00:21:43,344 --> 00:21:45,346 ぐっ…! うぅ! 331 00:21:45,346 --> 00:21:47,348 (3人)うっ! クワー! 332 00:21:47,348 --> 00:21:51,644 くっ いいか お前ら! つばあり帽の言葉を聞くな! 333 00:21:51,644 --> 00:21:54,814 惑わされるな! 全力で逃げろ! 334 00:21:54,814 --> 00:21:57,483 禁止魔法は…! 335 00:22:01,112 --> 00:22:03,990 アライラさん…。