1 00:01:12,340 --> 00:01:14,850 アカギと浦部の戦い 2 00:01:14,850 --> 00:01:19,950 その戦いは ついに最終局面を 迎えようとしていた 3 00:01:21,990 --> 00:01:26,590 アカギ 裸単騎 くうっ… 4 00:01:29,860 --> 00:01:33,130 待て 何めちゃくちゃ 言ってんだ 5 00:01:33,130 --> 00:01:36,500 裸単騎に必ず浦部が 振り込むなんて 6 00:01:36,500 --> 00:01:39,740 どうしてそんな事が 言い切れる? 7 00:01:39,740 --> 00:01:42,010 奴も裸単騎って いうんなら ともかく 8 00:01:42,010 --> 00:01:44,780 浦部はリーチの入ってない 面前手 9 00:01:44,780 --> 00:01:47,680 手牌14牌の中から選べる 10 00:01:47,680 --> 00:01:52,320 どう考えたって今ここで 振り込む可能性は低い 11 00:01:52,320 --> 00:01:56,650 何が必ず振り込むや ハッタリや 12 00:01:56,650 --> 00:01:59,090 あのハイテイドラよ 天牌に 13 00:01:59,090 --> 00:02:02,290 辿り着いたところまでが 奴の魔術の限界 14 00:02:02,290 --> 00:02:04,290 これ以上は ない 15 00:02:06,200 --> 00:02:10,330 ワイはこの14枚12種の中から 選べるんや 16 00:02:10,330 --> 00:02:15,310 奴やない ワイが選ぶんや 仮に ロン牌が手中にあったとしても 17 00:02:15,310 --> 00:02:19,340 12分の1の確率 振ってたまるか 18 00:02:19,340 --> 00:02:23,210 躱す 必ず 19 00:02:23,210 --> 00:02:26,180 これか これやな 20 00:02:26,180 --> 00:02:28,880 くそ こっちか 21 00:02:36,230 --> 00:02:40,930 どうや ここはないはず このリャンピンだけはない 22 00:02:43,300 --> 00:02:45,700 ま… まさか ん? 23 00:02:45,700 --> 00:02:47,970 こ… これは! 24 00:02:47,970 --> 00:02:50,270 夢か 25 00:02:55,410 --> 00:02:58,710 おおお… 26 00:03:00,850 --> 00:03:06,620 ロンだ ハイテイドラ4 マンガン 27 00:03:06,620 --> 00:03:08,560 逆転 28 00:03:08,560 --> 00:03:14,670 ば ばかな なぜだ どうし… どうしてこんな事が 29 00:03:14,670 --> 00:03:18,240 う くっ… あああ… 30 00:03:18,240 --> 00:03:22,110 逆転 未曾有の逆転 31 00:03:22,110 --> 00:03:25,010 アカギと浦部の死闘決着 32 00:03:27,280 --> 00:03:31,680 奇跡は再び起きた 6年前 素人同然のアカギが 33 00:03:31,680 --> 00:03:36,020 盲目の裏プロ 市川を倒した あの魔性の夜 34 00:03:36,020 --> 00:03:38,820 奇跡の闘牌の再現 35 00:03:44,860 --> 00:03:48,570 治か 帰るぞ 用は済んだ 36 00:03:48,570 --> 00:03:51,400 例のニセモノを破った 浦部を倒したんだ 37 00:03:51,400 --> 00:03:57,240 今さら用もないだろ そうもいかないみたいですよ 38 00:03:57,240 --> 00:04:00,640 アカギ お前が本物 39 00:04:00,640 --> 00:04:05,080 混じりっけなしの 本物って事じゃなあ 40 00:04:05,080 --> 00:04:09,090 安心しろ 野暮な引きとめに 来たんじゃない 41 00:04:09,090 --> 00:04:11,890 ただ説明してほしいんじゃ 42 00:04:15,630 --> 00:04:19,460 なぜ最後の局面で浦部が リャンピンを選んで 43 00:04:19,460 --> 00:04:21,870 捨てる事がわかったのか 44 00:04:21,870 --> 00:04:26,770 それを聞かずにお前を帰したら このわしが今夜は絶対に眠れない 45 00:04:26,770 --> 00:04:32,370 生殺しじゃ 話して帰るのが 礼儀ってもんじゃ 違うかな? 46 00:04:34,880 --> 00:04:38,680 わかりました すぐ終わる話 47 00:04:42,390 --> 00:04:46,260 連中は帰したが 卓はそのまんまじゃ 48 00:04:46,260 --> 00:04:50,060 そのほうが説明しやすいと 思ってな おい 49 00:04:50,060 --> 00:04:52,060 はっ 50 00:04:55,030 --> 00:04:58,770 この手からリャンピンを 必ず切っていくなんて事が 51 00:04:58,770 --> 00:05:01,340 どうして わかるんじゃ? いや 52 00:05:01,340 --> 00:05:05,940 そもそも その前に どうして奴が リャンピンを持っている事を? 53 00:05:05,940 --> 00:05:09,810 組長 浦部がどうして リャンピンを持っていて 54 00:05:09,810 --> 00:05:13,080 かつ そのリャンピンを なぜ切っていったかって事は 55 00:05:13,080 --> 00:05:17,280 俺の積み上げた 戦略という積木の言わば頂点 56 00:05:20,860 --> 00:05:23,260 そこだけ話しても わかりにくいから 57 00:05:23,260 --> 00:05:27,130 一段目の事から話しましょう 一段目? 58 00:05:27,130 --> 00:05:31,030 実は ここが一番重要 59 00:05:31,030 --> 00:05:33,900 麻雀に勝つには その男の根っこにある 60 00:05:33,900 --> 00:05:37,410 原始的な思考の流れを 見定めなきゃいけない 61 00:05:37,410 --> 00:05:41,140 それが土台 その土台の上に 62 00:05:41,140 --> 00:05:43,880 戦略という積木を積み上げる 63 00:05:43,880 --> 00:05:47,380 積み上げ 積み上げ高みに届けば 64 00:05:50,120 --> 00:05:52,760 浦部を導く事ができる 65 00:05:52,760 --> 00:05:56,460 最終打 リャンピン切りという地獄に 66 00:05:56,460 --> 00:05:59,960 人は危機に相対した時 その本質が出る 67 00:05:59,960 --> 00:06:03,500 それを通常の状態 普段の動きの中で図り 68 00:06:03,500 --> 00:06:05,570 見極めなくては 69 00:06:05,570 --> 00:06:09,410 序盤は まずその本質を 図ることが肝要 70 00:06:09,410 --> 00:06:12,210 俺が最初 治をかませていったのも 71 00:06:12,210 --> 00:06:14,210 言わば その探り 72 00:06:14,210 --> 00:06:18,080 あの時 浦部は しばらく治を自由に泳がせた 73 00:06:18,080 --> 00:06:20,820 奴なら治と相対した瞬間に 74 00:06:20,820 --> 00:06:23,720 その技量のおおよそは 察しがついたはず 75 00:06:23,720 --> 00:06:27,560 にも関わらず 奴は見に回った 76 00:06:27,560 --> 00:06:32,030 その時 俺は あるにおいを 嗅いだ気がしていた 77 00:06:32,030 --> 00:06:35,870 におい? 奴の心の深い所に根ざしている 78 00:06:35,870 --> 00:06:39,470 心理の癖 方向性がにおった 79 00:06:42,170 --> 00:06:45,780 簡単に言えば 奴は危機と相対した時 80 00:06:45,780 --> 00:06:48,680 多分 突っ込まず かと言って引かず 81 00:06:48,680 --> 00:06:51,580 立ち止まるタイプの打ち手 82 00:06:51,580 --> 00:06:56,390 保留の麻雀が奴の本質 だから治を見した 83 00:06:56,390 --> 00:06:59,420 様子見ってやつさ 84 00:06:59,420 --> 00:07:02,690 その傾向は 俺が卓に入ってからも続いた 85 00:07:02,690 --> 00:07:07,500 俺の棒テン即リーチに対して 奴は慎重に回していった 86 00:07:07,500 --> 00:07:10,130 回して器用に アガリを取っては いたが 87 00:07:10,130 --> 00:07:13,970 代わりに大事なものを失っていた 大事なもの? 88 00:07:13,970 --> 00:07:17,840 回していった捨牌と アガリ気をさらす事によって 89 00:07:17,840 --> 00:07:22,310 何が通りそうと感じ 何を抑えに回っているか 90 00:07:22,310 --> 00:07:27,620 そういう癖 傾向 奴の打ち筋が浮かび上がる 91 00:07:27,620 --> 00:07:33,090 そして そういう情報が 結局 最後に物を言うのが麻雀 92 00:07:33,090 --> 00:07:35,990 奴が失ったものは自分の情報 93 00:07:35,990 --> 00:07:39,860 一方 俺は完全に伏せた 南二局など 94 00:07:39,860 --> 00:07:42,130 リーチをかけたのに ノーテンと言い張って 95 00:07:42,130 --> 00:07:45,440 8000点払ってでも 手牌を見せなかった 96 00:07:45,440 --> 00:07:49,870 あの時 俺は点棒上 浦部に大きく水をあけられたが 97 00:07:49,870 --> 00:07:53,310 情報戦という見地からは 圧勝していた 98 00:07:53,310 --> 00:07:58,050 奴は俺に対して何ら具体的な 材料を手にしてなかった 99 00:07:58,050 --> 00:08:01,250 そうしておいて攻めた 次局 100 00:08:01,250 --> 00:08:04,090 まずはスーアンコウ オープンリーチ 101 00:08:04,090 --> 00:08:07,960 しかもアガリを一度ならず 二度三度スーアンコウに固執して 102 00:08:07,960 --> 00:08:13,130 見送る暴挙 浦部の理論 経験則に全く当てはまらない 103 00:08:13,130 --> 00:08:15,570 解析不能の打ち筋 104 00:08:15,570 --> 00:08:18,400 浦部は あの時 点棒を拾ったが 105 00:08:18,400 --> 00:08:21,840 俺に対する印象は ますます もやの中 106 00:08:21,840 --> 00:08:25,510 その不気味な印象は 全く消えていない 107 00:08:25,510 --> 00:08:28,780 しかしリードは 南二局で7万という大差がある 108 00:08:28,780 --> 00:08:31,680 となれば逃げに回る 109 00:08:31,680 --> 00:08:36,320 今度は その逃げを打つ 偶機のペイ待ち 110 00:08:36,320 --> 00:08:39,260 本来 絶無 ありえない待ち 111 00:08:39,260 --> 00:08:41,590 しかも点棒的にも大幅に 詰め寄られる 112 00:08:41,590 --> 00:08:46,530 ドラ10の三倍満 この一撃で逆転の射程圏内 113 00:08:46,530 --> 00:08:49,330 浦部 大丈夫か? 114 00:08:49,330 --> 00:08:52,240 心配は おまへん あの時 115 00:08:52,240 --> 00:08:56,870 浦部は平静を装おっちゃいたが 内心は かなり動揺していた 116 00:08:56,870 --> 00:09:00,740 ケツに火がついた終盤 ここからが正念場というのに 117 00:09:00,740 --> 00:09:05,420 相変わらず俺の姿が見えない 大金のかかった勝負だというのに 118 00:09:05,420 --> 00:09:08,080 戦っている相手の姿が 見えないのだ 119 00:09:08,080 --> 00:09:11,490 あ… 120 00:09:11,490 --> 00:09:14,790 ああ… 121 00:09:14,790 --> 00:09:18,030 こんな状態の浦部が 最後に頼るものといったら 122 00:09:18,030 --> 00:09:22,870 もう理しかない 長年培ってきた 合理的な考え方しか 123 00:09:22,870 --> 00:09:27,200 しかし実は その合理性こそ つけこめる隙 124 00:09:27,200 --> 00:09:32,410 追う俺からすれば そう心が動く事それこそが狙い 125 00:09:32,410 --> 00:09:36,310 そして迎えた最終局 親の俺はハネマンをつもるか 126 00:09:36,310 --> 00:09:39,620 浦部からマンガンを 直取りすれば逆転 127 00:09:39,620 --> 00:09:43,420 この局の最初 浦部には攻めっ気があった 128 00:09:43,420 --> 00:09:47,260 が それは あくまで理によって そう動かされてるだけで 129 00:09:47,260 --> 00:09:50,160 勝つという 信念によってではない 130 00:09:50,160 --> 00:09:54,830 そんな攻めっ気など状況ひとつで あっさりひっくり返せる 131 00:09:54,830 --> 00:09:59,470 カン うううっ 132 00:09:59,470 --> 00:10:03,340 浦部に明らかに見て取れる 動揺 ショック 133 00:10:03,340 --> 00:10:05,310 しかしここでは まだ降りない  134 00:10:05,310 --> 00:10:08,180 俺がつもったら ハネマンの目があるからだ 135 00:10:08,180 --> 00:10:12,380 とは言え まっすぐには来ない 回す 136 00:10:12,380 --> 00:10:15,820 リャンピンに理 これこそ奴の本質 137 00:10:15,820 --> 00:10:19,590 苦しくなると出る原点の性質 保留癖 138 00:10:19,590 --> 00:10:23,230 攻めでも守備でもない ただその場で立ち止まろうとする 139 00:10:23,230 --> 00:10:27,100 心の動き これが出るって事は 140 00:10:27,100 --> 00:10:31,500 奴が弱い気持ちに 流れている証拠 141 00:10:31,500 --> 00:10:33,440 そして俺がリャンワンを鳴き 142 00:10:33,440 --> 00:10:36,340 ドラのローワンの在りかが 全て知れる 143 00:10:36,340 --> 00:10:41,510 恐れるのはマンガン直撃のみと なると もう持ちこたえられない 144 00:10:41,510 --> 00:10:47,320 次に危険牌を引くと 今度はベタ降り だが スーピン 145 00:10:47,320 --> 00:10:49,720 これも言わば保留の発想 146 00:10:49,720 --> 00:10:54,220 今局中ではなく 次局へ決着を先延ばしする考え 147 00:10:54,220 --> 00:10:56,490 保留という名の逃げ 148 00:10:56,490 --> 00:11:00,100 案の定スーピン以降も 現物の連打 149 00:11:00,100 --> 00:11:04,930 ベタ降り これでこの局 浦部の勝ちは消える 150 00:11:04,930 --> 00:11:08,270 正念場で奴は下がった 151 00:11:08,270 --> 00:11:12,040 俺が南二局にチョンボの 8000点を払ってでも買いたかった 152 00:11:12,040 --> 00:11:15,010 後の三巡とは チュン切りから 153 00:11:15,010 --> 00:11:17,450 ドラ現物のローワン 154 00:11:17,450 --> 00:11:20,980 そしてスーピン切りまでの この三巡の事 155 00:11:20,980 --> 00:11:23,220 特に九巡目のスーピン 156 00:11:23,220 --> 00:11:27,220 この退却の決断を 引き出したかった 157 00:11:27,220 --> 00:11:30,490 仮にこの時 奴に攻めっ気が残っていたら 158 00:11:30,490 --> 00:11:34,130 この勝負も どう転ぶか わからなかった 159 00:11:34,130 --> 00:11:36,970 奴の最終形が この形なんだから 160 00:11:36,970 --> 00:11:40,800 捨牌を見れば あがる道は幾らでもあった 161 00:11:40,800 --> 00:11:44,340 例えば こんな形の アガリもありえた 162 00:11:44,340 --> 00:11:48,740 だが これは蛇足というか 埒のあかぬ想像 163 00:11:51,680 --> 00:11:56,090 なぜなら そう動けぬよう 縛るのが俺の麻雀 164 00:11:56,090 --> 00:11:58,890 皆 言葉を失い聞き入っていた 165 00:11:58,890 --> 00:12:02,330 その中を静かに流れる アカギの理 166 00:12:02,330 --> 00:12:05,230 それは 単なる確率ではなかった 167 00:12:05,230 --> 00:12:08,260 アカギの理 それは浦部の血の流れ 168 00:12:08,260 --> 00:12:10,970 吐く息 吸う息まで 聞こえてきそうな 169 00:12:10,970 --> 00:12:14,170 相手の心理と 抱き合わせで進行していく 170 00:12:14,170 --> 00:12:16,970 生きた理 そのものだったのだ 171 00:12:22,880 --> 00:12:25,780 結局このスーピンが分岐点 172 00:12:25,780 --> 00:12:28,690 浦部は この後100パーセント しっせいに回る 173 00:12:28,690 --> 00:12:31,650 現物の連打 ベタ降り 174 00:12:31,650 --> 00:12:34,260 しかし考えてみれば それも当然 175 00:12:34,260 --> 00:12:37,890 俺はこの時2つさらして ドラを切り出している 176 00:12:37,890 --> 00:12:43,030 ましてや浦部は自分の分を 大きく上回る大金をかけている 177 00:12:43,030 --> 00:12:46,240 甘い読みはしない ここはテンパイと読む 178 00:12:46,240 --> 00:12:49,140 となると危険牌は 一切 切れない 179 00:12:49,140 --> 00:12:52,040 現物があるうちは現物でいく 180 00:12:52,040 --> 00:12:55,880 しかしその固い考えこそ まさに餌食 181 00:12:55,880 --> 00:12:59,120 あの時 俺はまだ テンパイには ほど遠い 182 00:12:59,120 --> 00:13:01,950 しかし奴は そんな事 想像もしない 183 00:13:01,950 --> 00:13:07,560 ただ恐れ命を繋ぐ綱である現物を 無意味に消費していく 184 00:13:07,560 --> 00:13:12,230 そして肝心の終局間際 タネが尽きる 185 00:13:12,230 --> 00:13:15,700 最後の一打という時に 現物は尽きた 186 00:13:15,700 --> 00:13:18,330 結局タンヤオと踏んでいた 俺の手は 187 00:13:18,330 --> 00:13:22,210 ただ一度の捨牌にアガリを絞った ハイテイ狙い 188 00:13:22,210 --> 00:13:26,180 しかも単騎待ち この待ちは読めない 189 00:13:26,180 --> 00:13:29,680 既に奴の読みがきく 範疇を超えている 190 00:13:29,680 --> 00:13:32,920 ならいっそ 今 引いたシャーを 切り飛ばせばいい 191 00:13:32,920 --> 00:13:37,620 これこそ偶然の一牌 罠など存在しようがない 192 00:13:37,620 --> 00:13:43,090 だが それが出来ない それほど 奴の疑心暗鬼の根は深い 193 00:13:43,090 --> 00:13:47,060 あの時 奴は 手牌全てが危険牌に見えた 194 00:13:47,060 --> 00:13:50,300 まず 今 引いてきたシャーが 切れなかった 195 00:13:50,300 --> 00:13:55,140 ラスヅモは俺の山 直前の ペーポンで引かされたシャー 196 00:13:55,140 --> 00:13:59,740 故意につかまされたかも そう考えたら もう切れない 197 00:13:59,740 --> 00:14:02,650 続いてハツだが これも切れない 198 00:14:02,650 --> 00:14:06,420 手中にある1・9字牌は 散々意識させられ続けた 199 00:14:06,420 --> 00:14:11,320 タンヤオのアン牌だ そこが一番 狙われそうな気がするだろう 200 00:14:11,320 --> 00:14:16,560 689ソーも切れない チーソーカンの金牌だ 201 00:14:16,560 --> 00:14:19,800 本来 その周辺の牌など 存在しないはずだが 202 00:14:19,800 --> 00:14:23,330 俺なら一牌 こっそり抱えてるかも 203 00:14:23,330 --> 00:14:26,300 同じ理由で鳴いた チーピンの側も切れない 204 00:14:26,300 --> 00:14:30,940 チーワンもダメ これは三色ドーコーのあまり牌 205 00:14:30,940 --> 00:14:35,250 三色ドーコーを目指したなら あまりを持っている可能性は高い 206 00:14:35,250 --> 00:14:40,380 切れない スーワン ウーワンは 俺が最後に切ったサンワンの側 207 00:14:40,380 --> 00:14:42,750 当然 切れる牌ではない 208 00:14:42,750 --> 00:14:44,720 うむむ… 209 00:14:44,720 --> 00:14:49,530 結局 手牌14枚のうち浦部にとってどうにか切れそうなのは 210 00:14:49,530 --> 00:14:52,430 リャンピンとスーソー この2牌 211 00:14:52,430 --> 00:14:55,830 このうちスーソーは チーソーカンの数順を 212 00:14:55,830 --> 00:14:58,230 手出ししたウーソーの隣 213 00:14:58,230 --> 00:15:01,840 スーソー ウーソーの手持ちから チーソーカンと 214 00:15:01,840 --> 00:15:04,770 数巡して 打ウーソーという事もありえる 215 00:15:04,770 --> 00:15:07,480 この手順ならスーソー待ち 216 00:15:07,480 --> 00:15:11,950 その点リャンピンは 前後半 満遍なくリャンピンの近く 217 00:15:11,950 --> 00:15:14,880 イーピン サンピン スーピン あたりが切られていて 218 00:15:14,880 --> 00:15:18,760 しかもそれが全てツモ切り そう思える 219 00:15:18,760 --> 00:15:22,430 浦部には フッ 220 00:15:22,430 --> 00:15:27,760 しかし罠を打とうとする者には 今 話した通りそうな理由ってのが 221 00:15:27,760 --> 00:15:32,040 そっくりそのまま この リャンピンで待つその理由となる 222 00:15:32,040 --> 00:15:34,270 ポン 223 00:15:34,270 --> 00:15:36,770 んんん… 224 00:15:45,720 --> 00:15:50,420 ぜっへへへ… これや! 225 00:15:56,790 --> 00:16:00,500 いい待ちでしょ? ううん… 226 00:16:00,500 --> 00:16:05,340 治 行くぞ え?あ… はい 227 00:16:05,340 --> 00:16:10,640 待て まだじゃ まだ半分じゃ 228 00:16:10,640 --> 00:16:13,510 リャンピンが出やすい事は わかったわ 229 00:16:13,510 --> 00:16:15,510 しかし幾ら出やすい リャンピンでも 230 00:16:15,510 --> 00:16:19,350 持ってなけりゃ無意味じゃ つまり お前 知っとったんじゃ 231 00:16:19,350 --> 00:16:22,790 浦部がその手中に リャンピンを抱えてる事を 232 00:16:22,790 --> 00:16:26,660 そうじゃろう?でなきゃ リャンピンで待つ訳がない 233 00:16:26,660 --> 00:16:28,660 その訳を聞きたいんじゃ 234 00:16:32,500 --> 00:16:36,400 俺が あのリャンピンを 抱えたのは7巡目 235 00:16:36,400 --> 00:16:40,170 その前巡 6巡目に 浦部が切ったリャンピンに 236 00:16:40,170 --> 00:16:44,040 においが付いていたって事です におい? 237 00:16:44,040 --> 00:16:47,510 ああ あの6巡目の リャンピンを切る前 238 00:16:47,510 --> 00:16:50,250 浦部は まだ攻めていた 239 00:16:50,250 --> 00:16:53,680 あの時 浦部はテンパっていた 240 00:16:53,680 --> 00:16:56,590 そこにション牌の チュンを持ってくる 241 00:16:56,590 --> 00:16:58,520 俺のドラ4を考えると 242 00:16:58,520 --> 00:17:02,130 奴は切れないとは言え ベタ降りって訳にもいかない 243 00:17:02,130 --> 00:17:08,000 結局 回す この時 選択したのが ジャントウのリャンピン 244 00:17:08,000 --> 00:17:12,840 こういう時ジャントウから 回していくのが奴の癖 傾向 245 00:17:12,840 --> 00:17:16,340 俺は今夜 浦部がそうするのを 何度も見ていた 246 00:17:16,340 --> 00:17:21,810 治のリーチに対して その後の俺のリーチに対しても 247 00:17:21,810 --> 00:17:24,710 奴には拭いがたく その傾向がある 248 00:17:24,710 --> 00:17:27,380 体に染みついたパターン 249 00:17:27,380 --> 00:17:29,920 つまり あの最終局面で 切ったリャンピンは 250 00:17:29,920 --> 00:17:32,820 奴が6巡目に残した もう一牌 251 00:17:32,820 --> 00:17:36,130 そう 奴が そこで降ろし損ねた 252 00:17:36,130 --> 00:17:39,030 致命的な もうひとつの2を 253 00:17:39,030 --> 00:17:41,430 それがリャンピン 254 00:17:44,670 --> 00:17:46,600 お? え? 255 00:17:46,600 --> 00:17:49,600 いひひひ… 256 00:17:53,810 --> 00:17:57,810 ん? いひひひ… 257 00:18:00,580 --> 00:18:03,180 はっ! 258 00:18:05,190 --> 00:18:07,990 高い代償やった 259 00:18:07,990 --> 00:18:11,430 そんな僅かなにおいを 残したために 260 00:18:11,430 --> 00:18:16,930 3200万という負債 その上に… 261 00:18:16,930 --> 00:18:20,640 このザマ… ああっ! 262 00:18:20,640 --> 00:18:23,540 アカギさん 行きましょう 263 00:18:23,540 --> 00:18:26,810 待て! 264 00:18:26,810 --> 00:18:30,780 覚えとけアカギ! ワイは お前を倒す! 265 00:18:30,780 --> 00:18:34,150 傷が癒えて この負債を払い終わったら 266 00:18:34,150 --> 00:18:39,650 何年後だろうと 必ずお前を倒す 必ず! 267 00:18:41,590 --> 00:18:45,360 アカギさん 放っておきましょう 浦部は今 ヤケになってます 268 00:18:45,360 --> 00:18:49,130 何をしてくるか… ふん ヤケか 269 00:18:49,130 --> 00:18:51,830 そういう人間でもないな 270 00:18:55,300 --> 00:18:58,640 アカギ! 271 00:18:58,640 --> 00:19:03,810 浦部 いつか倒すなんて そんな事 お前には無理だ 272 00:19:03,810 --> 00:19:06,280 むむむ… 273 00:19:06,280 --> 00:19:08,550 貴様 殺したろか! 274 00:19:08,550 --> 00:19:13,320 浦部 いつかなんて 言わなくていい 今でいい 275 00:19:13,320 --> 00:19:15,730 半チャン1回の 勝負をしてやろう 276 00:19:15,730 --> 00:19:19,600 俺が負けたら お前の背負った 負債を全て引き受ける 277 00:19:19,600 --> 00:19:22,330 代わりに もし俺が勝ったら 278 00:19:22,330 --> 00:19:25,700 お前の両手 その手首から先をもらう 279 00:19:25,700 --> 00:19:27,770 えええ? アカギさん! 280 00:19:27,770 --> 00:19:31,140 そんなバカな真似 勝っても負けても 281 00:19:31,140 --> 00:19:34,040 何の得もありゃせん 282 00:19:34,040 --> 00:19:37,750 もともと損得で 勝負事をした事などない 283 00:19:37,750 --> 00:19:42,520 ただ勝った負けたをして その結果無意味に人が死んだりする 284 00:19:42,520 --> 00:19:46,090 そのほうがいい そのほうが博打の本質である 285 00:19:46,090 --> 00:19:50,560 理不尽だし その淵に近づける 286 00:19:50,560 --> 00:19:53,760 うええええ 287 00:19:53,760 --> 00:19:57,230 それが博打の醍醐味だ なあ浦部 288 00:19:57,230 --> 00:20:02,830 ううう… 289 00:20:11,280 --> 00:20:13,720 アカギさん! 290 00:20:13,720 --> 00:20:16,990 勘弁してくださいよ 奴が もし受けてきたら 291 00:20:16,990 --> 00:20:19,220 どうするつもり だったんですか? 292 00:20:19,220 --> 00:20:21,490 そういう事には ならないのさ 293 00:20:21,490 --> 00:20:23,930 だってあんなに… 294 00:20:23,930 --> 00:20:26,860 奴の怒りは 本当の怒りじゃない 295 00:20:26,860 --> 00:20:30,830 だから目の前に現れた 復讐できるチャンスを見送った 296 00:20:30,830 --> 00:20:34,270 ああ… 要するに そんなレベルの男 297 00:20:34,270 --> 00:20:37,910 怒りにさえ 損得を絡めてくる通俗性 298 00:20:37,910 --> 00:20:41,780 あの男は死ぬまで 純粋な怒りなんて持てない 299 00:20:41,780 --> 00:20:45,550 そして本当の勝負も 生涯 出来ない 300 00:20:45,550 --> 00:20:51,120 俺も本当の勝負を出来ない あんな奴 相手には 301 00:20:51,120 --> 00:20:53,790 あれでは足りない え? 302 00:20:53,790 --> 00:20:57,130 アカギが 本当に望んでいるもの 303 00:20:57,130 --> 00:21:02,770 自らの命 その破滅さえをも賭ける本当の勝負 304 00:21:02,770 --> 00:21:07,970 アカギが その戦いに出会ったのはこの1年後だった 305 00:22:15,470 --> 00:22:19,570 次回 「羅刹の新章」