1 00:00:01,501 --> 00:00:06,506 ♪~ 2 00:01:02,562 --> 00:01:07,567 ~♪ 3 00:01:12,572 --> 00:01:14,657 (ナレーター) 闇の天才 赤木(あかぎ)しげると 4 00:01:14,741 --> 00:01:17,160 昭和の怪物 鷲巣巌(わしずいわお) 5 00:01:17,744 --> 00:01:19,662 アカギは致死量の血液を 6 00:01:20,246 --> 00:01:21,664 鷲巣は全財産を 7 00:01:22,457 --> 00:01:24,542 互いの破滅を賭け 繰り広げられる死闘 8 00:01:25,877 --> 00:01:31,174 南一局 アカギは鷲巣の裏をかき その間合いを詰める 9 00:01:31,257 --> 00:01:33,510 (鷲巣の笑い声) 10 00:01:33,593 --> 00:01:34,677 (鷲巣)面白い 11 00:01:35,470 --> 00:01:37,472 こうでなくては つまらん 12 00:01:37,555 --> 00:01:40,225 せいぜい あらがうがいい 13 00:01:43,353 --> 00:01:47,982 追い詰められた 命からがら見せる最後の抵抗 14 00:01:49,359 --> 00:01:52,779 それこそが わしの無上の喜び 15 00:01:53,947 --> 00:01:57,492 最高の愉悦なのだからな 16 00:02:01,079 --> 00:02:04,332 (ナレーター)南二局 鷲巣の親 17 00:02:04,415 --> 00:02:09,921 現在 鷲巣 3万7400点 アカギ 2万8600点 18 00:02:10,922 --> 00:02:13,967 2人の点差は8800まで縮まった 19 00:02:14,509 --> 00:02:18,388 (鷲巣)フフフッ… 一矢 報いたつもりだろうが 20 00:02:18,471 --> 00:02:20,974 わしのリードという状況に 変わりはない 21 00:02:22,684 --> 00:02:26,729 (ナレーター)そう 縮まったとはいえ 8800の差 22 00:02:27,272 --> 00:02:30,066 この差を逆転し 半荘(ハンチャン)を終えない限り 23 00:02:30,150 --> 00:02:32,193 アカギに生き残る道はない 24 00:02:33,027 --> 00:02:34,654 (仰木(おおぎ))順位で負ければ 25 00:02:34,737 --> 00:02:38,324 半荘終了時点で 2000cc以上の血を抜かれる 26 00:02:38,950 --> 00:02:41,327 アカギの絶命は決定的 27 00:02:41,995 --> 00:02:42,996 危うい 28 00:02:43,079 --> 00:02:46,416 圧倒的に危険な状況であることに 変わりはない 29 00:02:46,499 --> 00:02:47,333 (アカギ)ポン 30 00:02:48,418 --> 00:02:49,294 (仰木)なのに… 31 00:02:51,838 --> 00:02:54,841 なぜ こいつはこんなに静かなんだ 32 00:02:54,924 --> 00:03:00,096 死のふち 逆転しなければ死 そんな状況にいるのに 33 00:03:01,014 --> 00:03:03,391 (ナレーター) 鷲巣が親である この南二局は 34 00:03:03,474 --> 00:03:05,059 言うまでもなく勝負どころ 35 00:03:05,852 --> 00:03:08,646 ここをうまくしのぎ アガることができれば 36 00:03:08,730 --> 00:03:11,024 この半荘の勝機も見えてくる 37 00:03:11,107 --> 00:03:15,111 (仰木)だが もし 鷲巣にやられるようなことになれば 38 00:03:15,194 --> 00:03:16,779 前局のアガりも水の泡 39 00:03:17,864 --> 00:03:20,491 差はまた1万を超え連荘 40 00:03:20,575 --> 00:03:22,785 そんな事態だけは 避けなければならない 41 00:03:24,370 --> 00:03:28,166 鷲巣の親だけは なんとしても 潰さなければならないんだ 42 00:03:28,958 --> 00:03:33,546 そういう勝負の急所を この男が知らないはずがない 43 00:03:33,630 --> 00:03:37,675 なのに なぜ そんなに平静でいられる? 44 00:03:38,509 --> 00:03:39,510 ああっ! 45 00:03:40,428 --> 00:03:42,722 (ナレーター) そんな無欲さが引き込むのか 46 00:03:43,348 --> 00:03:47,018 アカギ この手牌(てはい)の成就の鍵 中(チュン)を持ってくる 47 00:03:48,478 --> 00:03:51,689 手牌のほとんどが透けて見える この鷲巣麻雀(マージャン)では 48 00:03:51,773 --> 00:03:54,525 敵からは この中など まず鳴けない 49 00:03:55,068 --> 00:03:57,904 鳴くとすれば 仲間の安岡(やすおか)からしかない 50 00:03:58,571 --> 00:04:01,157 ある意味 最も処理に困る牌 51 00:04:01,950 --> 00:04:05,078 (仰木)それを 序盤で あっさり 暗刻(アンコ)にしちまった 52 00:04:06,120 --> 00:04:08,164 (ナレーター)風が吹き始めていた 53 00:04:08,706 --> 00:04:12,627 いったん途切れた順風が再び 54 00:04:14,128 --> 00:04:17,507 {\an8}(仰木)頭がドラで確定 一向聴(イーシャンテン) 55 00:04:17,590 --> 00:04:21,177 {\an8}しかし 鷲巣も かなり早そうな気配 56 00:04:22,553 --> 00:04:25,348 それに 下家(シモチャ) あの部下も 57 00:04:25,431 --> 00:04:30,019 鷲巣のロン牌を抱え 差し込む準備を着々と整えている 58 00:04:30,895 --> 00:04:33,523 どっちだ どっちが先に張る 59 00:04:34,482 --> 00:04:37,694 アカギか? 鷲巣か? 60 00:04:39,862 --> 00:04:42,657 {\an8}やった 先に張ったのはアカギ 61 00:04:42,740 --> 00:04:44,033 {\an8}聴牌(テンパイ) 五(ウー) 八筒(パーピン) 62 00:04:46,119 --> 00:04:49,330 (ナレーター)アカギの手牌は 鷲巣から見ると この形 63 00:04:50,373 --> 00:04:53,793 待ちは五 八筒か 二(リャン) 五索(ウーソウ)で ほぼ決まりである 64 00:04:54,502 --> 00:04:56,879 (仰木) 敵からの振り込みはあり得ない 65 00:04:56,963 --> 00:04:59,549 頼みは自分のツモか安岡 66 00:05:00,300 --> 00:05:02,552 {\an8}(ナレーター)しかし その安岡の手牌に 67 00:05:02,635 --> 00:05:05,513 {\an8}アカギのロン牌 五 八筒はない 68 00:05:06,180 --> 00:05:07,223 (安岡)しめた! 69 00:05:08,808 --> 00:05:09,976 (仰木)おおっ! 来た 70 00:05:12,145 --> 00:05:13,271 (ナレーター)値千金 71 00:05:13,354 --> 00:05:17,317 鷲巣の親を蹴り アカギに満貫(マンガン) 8000点を与える 72 00:05:17,900 --> 00:05:20,278 まさに起死回生の八筒 73 00:05:20,361 --> 00:05:21,195 (仰木)はっ… 74 00:05:22,238 --> 00:05:24,407 バカな なぜ アガらない? 75 00:05:25,366 --> 00:05:27,827 何を考えている アカギ 76 00:05:28,953 --> 00:05:29,954 (ナレーター)このとき 77 00:05:30,038 --> 00:05:33,374 アガることのみに意識がいっている 仰木には見えていない 78 00:05:34,083 --> 00:05:36,419 アカギの手に内包されたワナ 79 00:05:36,961 --> 00:05:40,298 鷲巣を抑えつける呪縛の牌の背中が 80 00:05:41,966 --> 00:05:42,884 (鷲巣)うん? 81 00:05:42,967 --> 00:05:47,263 (ナレーター)そう アカギの聴牌は五 八筒か 二 五索 82 00:05:47,346 --> 00:05:49,348 牌の背中は そう告げている 83 00:05:49,891 --> 00:05:52,602 その一方の八筒が通ったとなると 84 00:05:52,685 --> 00:05:57,106 九分九厘 アカギの待ちは二 五索 そう考えるしかない 85 00:05:57,190 --> 00:06:00,193 (仰木)そうか この二 五索待ち 86 00:06:00,693 --> 00:06:03,446 鷲巣にとっては いわば幻想 87 00:06:04,155 --> 00:06:06,991 (ナレーター) だが この幻想が呪縛となる 88 00:06:07,909 --> 00:06:09,911 このとき 鷲巣も聴牌 89 00:06:09,994 --> 00:06:14,040 二索か五索を通せば 下家の部下が差し込める態勢 90 00:06:14,123 --> 00:06:18,044 だが 肝心要 その二 五索が切れない 91 00:06:18,127 --> 00:06:20,296 切れる牌ではない 92 00:06:21,798 --> 00:06:24,258 結局 手を回さざるを得ない 93 00:06:24,884 --> 00:06:29,347 (仰木)ガラス牌故に生まれる 絶対的で決定的な足止め 94 00:06:29,847 --> 00:06:31,641 慌ててアガらずとも 95 00:06:31,724 --> 00:06:34,894 アカギには 猶予の時間があったということか 96 00:06:35,645 --> 00:06:38,398 (ナレーター) そして 10巡目 その猶予のとき 97 00:06:41,442 --> 00:06:43,653 (アカギ)中 西(シャー) ドラドラ 満貫 98 00:06:43,736 --> 00:06:44,654 {\an8}(安岡・仰木)おおっ! 99 00:06:45,029 --> 00:06:47,865 (ナレーター) 引き入れる 逆転の満貫 100 00:06:48,533 --> 00:06:51,661 安岡からの差し込みでは 逆転に届かない 101 00:06:51,744 --> 00:06:53,079 だが 自分で引き込めば 102 00:06:53,162 --> 00:06:57,083 差しウマ相手の鷲巣からの 4000が入り 逆転 103 00:06:57,166 --> 00:07:01,337 アカギ 逆に3200の差をつけ 再びトップへ 104 00:07:02,797 --> 00:07:06,008 差し込みを見逃しての八筒引き 105 00:07:07,885 --> 00:07:10,972 (鷲巣)こいつ ふざけたマネを 106 00:07:14,517 --> 00:07:15,393 (仰木)越えられる 107 00:07:16,435 --> 00:07:19,814 あと2局しのげば この半荘は越えられる 108 00:07:19,897 --> 00:07:23,401 そうすれば 一度 清算する決まりだから 109 00:07:23,484 --> 00:07:25,778 失った血も戻すことができる 110 00:07:26,863 --> 00:07:30,283 2万点で2000ccという むちゃくちゃなレート 111 00:07:31,033 --> 00:07:32,910 アカギなら不可能ではない 112 00:07:32,994 --> 00:07:37,915 要するに これと同じことを 6回 繰り返せばいいんだ 113 00:07:37,999 --> 00:07:42,336 鷲巣の全財産 5億を さらうことは無理でも 114 00:07:42,420 --> 00:07:47,300 2~3億の金は得て この屋敷を出られるということ 115 00:07:48,426 --> 00:07:49,385 できる 116 00:07:49,468 --> 00:07:53,639 ほかの者なら いざ知らず アカギ お前なら きっと 117 00:07:55,308 --> 00:07:59,353 (ナレーター) 南三局 鷲巣の部下 鈴木(すずき)の親 118 00:08:00,813 --> 00:08:03,399 死のふちを行き あいくちを突き付けられた— 119 00:08:03,483 --> 00:08:05,234 残り2局が始まる 120 00:08:08,362 --> 00:08:12,241 (鷲巣) なるほどな 少しは やる この男 121 00:08:12,325 --> 00:08:14,452 単なるクズではないということか 122 00:08:16,204 --> 00:08:18,497 ただ向こう見ずに 突っ走るだけという 123 00:08:18,581 --> 00:08:21,500 ありきたりの命知らずではない 124 00:08:23,002 --> 00:08:24,879 似て非なる者 125 00:08:24,962 --> 00:08:27,256 この男は己の利を切れる 126 00:08:27,798 --> 00:08:30,509 通常の命知らずには それができぬ 127 00:08:30,593 --> 00:08:33,679 死んで構うものかと 己の不利に目をつぶり 128 00:08:33,763 --> 00:08:36,474 突っ走ることはできても 129 00:08:36,557 --> 00:08:39,018 現実に手にした利は離せない 130 00:08:39,101 --> 00:08:42,730 それほどに 利とは甘美なものなのだ 131 00:08:44,482 --> 00:08:48,152 だが この男は その利を離すことができる 132 00:08:48,236 --> 00:08:49,445 それも あっさりと 133 00:08:50,529 --> 00:08:53,115 通常の計りは通用しない 134 00:08:54,825 --> 00:08:59,413 今まで わしが殺してきた 無頼を装った平凡なやからとは 135 00:08:59,497 --> 00:09:01,457 明らかに異質 136 00:09:02,667 --> 00:09:05,753 だが 才気も時に意味をなさぬ 137 00:09:05,836 --> 00:09:07,922 それが麻雀だ 138 00:09:08,005 --> 00:09:09,715 死ね! 139 00:09:11,050 --> 00:09:13,427 {\an8}ハハハッ こりゃ面白い 140 00:09:13,511 --> 00:09:16,931 {\an8}この手 多面張(タメンチャン)への変化もあるが 141 00:09:17,473 --> 00:09:20,434 アカギの手は ちょうど 一筒(イーピン)が浮き加減 142 00:09:20,518 --> 00:09:22,687 張れば こぼれるか 143 00:09:22,770 --> 00:09:27,191 それまでは この一筒単騎で待つのも面白い 144 00:09:31,237 --> 00:09:32,905 (ナレーター)アカギ 聴牌 145 00:09:32,989 --> 00:09:35,658 一筒切りで 一 四(スー) 七萬(チーワン)の三面張 146 00:09:36,200 --> 00:09:37,201 (仰木)どうする 147 00:09:37,285 --> 00:09:41,497 この一筒さえ通せば 安岡が四萬をすぐ差し込める 148 00:09:41,581 --> 00:09:47,044 だが 鷲巣のあの手 その一筒待ちも十分にあり得る 149 00:09:47,128 --> 00:09:51,841 無論 一筒が頭で確定し 四筒の嵌張(カンチャン)待ちか 150 00:09:51,924 --> 00:09:54,260 三(サブ) 六筒(ローピン)の両面(リャンメン)待ち 151 00:09:54,343 --> 00:09:57,972 あるいは まだ張ってないということも 152 00:10:01,684 --> 00:10:05,605 危険は重々承知で 勝つために勝負を懸けるか 153 00:10:06,689 --> 00:10:10,109 うっ! 回した ここはリスクを回避 154 00:10:10,693 --> 00:10:14,614 (鷲巣)フフフッ… そうとも お前はそういう男だ 155 00:10:14,697 --> 00:10:16,449 これくらいは見抜いてくる 156 00:10:16,532 --> 00:10:18,701 しかし よく覚えておけ 157 00:10:20,161 --> 00:10:23,164 見抜いてなお 負けるが麻雀 158 00:10:24,582 --> 00:10:25,416 リーチ 159 00:10:27,501 --> 00:10:28,753 (仰木)うっ… 160 00:10:29,420 --> 00:10:31,088 (ナレーター) 鷲巣は待ちをチェンジ 161 00:10:31,172 --> 00:10:32,631 最高の六筒を引き入れ 162 00:10:33,174 --> 00:10:37,511 二 五 八 もしくは 三 六筒の 多面張 理想形である 163 00:10:38,387 --> 00:10:41,265 一筒を打たなかったアカギは 聴牌を崩し 164 00:10:41,349 --> 00:10:42,892 このとき 一向聴 165 00:10:43,476 --> 00:10:44,644 (鷲巣)フフフッ… 166 00:10:44,727 --> 00:10:46,854 分かるか? 167 00:10:46,937 --> 00:10:49,190 直感と度胸を持ち合わせ 168 00:10:49,273 --> 00:10:53,402 最善の手を打って なお 負けるが麻雀 169 00:10:55,279 --> 00:10:59,742 当然だ わしとお前とでは元々の器が違う 170 00:11:00,409 --> 00:11:04,497 お前は仕掛けを打って やっと わしの域へと近付ける 171 00:11:05,081 --> 00:11:10,086 だが わしは そんなことをせずとも お前を足止めさせ 172 00:11:13,130 --> 00:11:15,341 フフフッ… 引き上がれる 173 00:11:15,424 --> 00:11:16,550 (仰木)あっ… 174 00:11:16,634 --> 00:11:21,806 (鷲巣)裏は付かぬが リーチ一発 ツモ 南 ドラ一 満貫 175 00:11:21,889 --> 00:11:22,932 逆転だな 176 00:11:24,058 --> 00:11:27,436 ハハハッ さあ あと1局 177 00:11:30,439 --> 00:11:33,526 追い詰めたぞ アカギ 178 00:11:37,488 --> 00:11:40,866 (ナレーター)鷲巣のツモにより 2000点を支払ったアカギは 179 00:11:40,950 --> 00:11:42,910 200ccの血を抜かれる 180 00:11:43,786 --> 00:11:47,331 アカギが ここまで失った血液は600cc 181 00:11:47,415 --> 00:11:49,458 致死量の3分の1 182 00:11:50,209 --> 00:11:52,420 逆転されて残り1局 183 00:11:52,503 --> 00:11:55,881 この南四局でアガらなければ アカギは負ける 184 00:11:56,590 --> 00:12:01,387 順位で負ければトップ賞を含め 鷲巣と5万点以上の差がつき 185 00:12:02,054 --> 00:12:06,976 血液に換算すれば5000cc 当然 即死 186 00:12:07,893 --> 00:12:10,312 まさに死を懸けた一局である 187 00:12:11,105 --> 00:12:12,690 (仰木)アカギは ここまで 188 00:12:12,773 --> 00:12:17,069 鷲巣への打ち込みを避けながら この半荘をしのいできた 189 00:12:17,903 --> 00:12:19,530 東(トン)一局の回し打ち 190 00:12:20,239 --> 00:12:21,323 東二局の早アガり 191 00:12:22,116 --> 00:12:26,579 南一局 鷲巣の手牌を読んでのあふれ待ち 192 00:12:27,163 --> 00:12:29,749 基本的には丁寧に回していき 193 00:12:29,832 --> 00:12:33,461 鷲巣の間隙(かんげき)を突く形でのアガりを 拾ってきた 194 00:12:34,295 --> 00:12:36,797 (ナレーター) 通常の打ち回しではない 195 00:12:36,881 --> 00:12:39,925 常に鷲巣を意識しての 抑えた打ち回し 196 00:12:40,718 --> 00:12:44,638 だが 往々にして そのような麻雀は流れをゆがめる 197 00:12:45,431 --> 00:12:49,351 朽ち木が流れのよどみに 寄せ集められるかのように 198 00:12:50,478 --> 00:12:54,440 アカギには くぐもったような 迷い多き手牌ばかり 199 00:12:55,399 --> 00:12:58,319 一方 鷲巣には悠々とした手が入る 200 00:12:59,403 --> 00:13:02,406 まとめやすい配牌(ハイパイ) 伸びやかなツモ 201 00:13:03,407 --> 00:13:06,744 単に点差の問題だけでなく アカギは苦しい 202 00:13:07,745 --> 00:13:11,874 そんな逆流の中 オーラス 親はアカギである 203 00:13:13,834 --> 00:13:15,628 アカギの配牌 204 00:13:15,711 --> 00:13:18,506 {\an8}(仰木)最悪とまでは いわねえが 205 00:13:18,589 --> 00:13:20,382 {\an8}かなり苦しい配牌だ 206 00:13:20,966 --> 00:13:23,302 {\an8}救いは翻牌(ファンパイ)の対子(トイツ) 207 00:13:23,385 --> 00:13:26,347 {\an8}東と中を 安岡が持っていることか 208 00:13:27,473 --> 00:13:29,892 鳴こうと思えば いつでも鳴ける 209 00:13:29,975 --> 00:13:33,938 アカギは実質 既に二面子(メンツ)と役を手にしている 210 00:13:35,314 --> 00:13:37,233 (ナレーター) しかし この東 中のみでは 211 00:13:37,316 --> 00:13:38,734 3900(ザンク)か4800(ヨンパー)止まり 212 00:13:39,610 --> 00:13:42,696 鷲巣との点差 6800には届かない 213 00:13:43,280 --> 00:13:46,367 (仰木) 逆転するには直撃しかないが 214 00:13:46,450 --> 00:13:47,451 このオーラスに 215 00:13:47,993 --> 00:13:51,413 鷲巣が そんな愚を犯すとは考えにくい 216 00:13:51,497 --> 00:13:52,498 …となると 217 00:13:53,207 --> 00:13:56,418 混一色(ホンイツ)か 対々和(トイトイ)か 218 00:13:56,502 --> 00:14:00,840 あるいは ドラの四索を引いて 手の内で使うかだが 219 00:14:01,423 --> 00:14:04,760 いずれにせよ あまり ぐずぐずしてはいられない 220 00:14:05,344 --> 00:14:09,139 一見しただけでも 鷲巣の手の形はいい 221 00:14:09,223 --> 00:14:11,225 恐らく二向聴か三向聴 222 00:14:12,059 --> 00:14:13,811 おまけに 下家の部下が 223 00:14:13,894 --> 00:14:17,982 先々 鷲巣の待ちになりそうな 五萬や三筒を持っている 224 00:14:19,275 --> 00:14:22,069 うっ! なんてとこ ツモりやがる 225 00:14:22,152 --> 00:14:25,489 手を進める上で いちばんの難所と思っていた發(ハツ)を 226 00:14:25,573 --> 00:14:27,866 しょっぱなに暗刻にするなんて 227 00:14:27,950 --> 00:14:28,784 (鷲巣)フフフッ… 228 00:14:28,868 --> 00:14:30,703 (安岡)これで二向聴 確実 229 00:14:31,287 --> 00:14:34,123 アカギが 自力で一向聴まで持っていき 230 00:14:34,206 --> 00:14:37,209 俺の東 中で差し込むのが理想だが 231 00:14:38,127 --> 00:14:40,296 あまり悠長なことは言ってられん 232 00:14:40,379 --> 00:14:42,464 今は一手の遅れが命取り 233 00:14:43,549 --> 00:14:44,717 動け アカギ 234 00:14:48,012 --> 00:14:50,431 ぐっ… まだ待つのか 235 00:14:52,057 --> 00:14:53,976 今は一刻を争うときなんだぞ 236 00:14:54,059 --> 00:14:55,352 (鷲巣)フフフッ… 237 00:14:56,729 --> 00:14:58,480 (安岡)ぐっ… また入った 238 00:14:58,981 --> 00:15:00,524 (仰木)一向聴? 239 00:15:01,859 --> 00:15:03,152 (ナレーター)5巡目 安岡 240 00:15:03,235 --> 00:15:04,403 (安岡)うっ… 241 00:15:05,237 --> 00:15:06,905 アカギの手中にある対子 242 00:15:07,573 --> 00:15:09,366 これで3つ鳴かせられる 243 00:15:09,950 --> 00:15:14,371 やった! もう限界だ いいな アカギ 鳴かせるぞ 244 00:15:19,209 --> 00:15:22,087 まだか まだ待てというのか 245 00:15:25,549 --> 00:15:27,593 アカギ 一体 お前は… 246 00:15:27,676 --> 00:15:30,054 (仰木)何を考えている? 247 00:15:34,683 --> 00:15:35,601 えっ? 248 00:15:36,936 --> 00:15:39,396 {\an8}お… おい なに切ってんだ 249 00:15:39,480 --> 00:15:40,731 {\an8}いくらドラとはいえ 250 00:15:40,814 --> 00:15:44,610 {\an8}その四索は手牌の中じゃ 完全に孤立する牌だぞ 251 00:15:45,778 --> 00:15:46,820 (ナレーター)次巡 アカギ 252 00:15:50,157 --> 00:15:52,076 {\an8}(仰木)これは七対子 253 00:15:52,159 --> 00:15:54,578 (安岡)七対子を狙っているのか 254 00:15:55,621 --> 00:15:57,748 (ナレーター) 親であるアカギの七対子 255 00:15:57,831 --> 00:16:00,501 これにドラ二となれば9600 256 00:16:00,584 --> 00:16:03,712 アガれば 安岡の差し込みでも逆転できる 257 00:16:05,255 --> 00:16:09,134 更に この手牌 鷲巣から見ればこの形 258 00:16:09,218 --> 00:16:11,261 聴牌と思えなくもない 259 00:16:12,012 --> 00:16:16,225 (仰木)うまく はまれば 鷲巣の足止めも可能 しかし… 260 00:16:16,767 --> 00:16:20,187 (鷲巣)フフフッ… 愚かな 縛るつもりか? 261 00:16:21,188 --> 00:16:24,942 あれで七対子の聴牌を 装ってるつもりだろうが 262 00:16:25,025 --> 00:16:27,653 それは100%ない 263 00:16:28,612 --> 00:16:30,447 あの手が七対子で張るには 264 00:16:30,531 --> 00:16:32,866 3つある黒牌のうち2つが 265 00:16:32,950 --> 00:16:36,161 浮いている七萬と 四索ということになる 266 00:16:36,745 --> 00:16:41,667 だが それは既にあり得ん あり得んのだよ なぜなら… 267 00:16:42,751 --> 00:16:45,713 黒牌の四索は既にわしの手中 268 00:16:45,796 --> 00:16:49,425 ヤツの七対子は よくて一向聴止まり 269 00:16:49,967 --> 00:16:53,303 ハハハッ… 流れがないわ 270 00:16:53,387 --> 00:16:57,683 あがこうと わめこうと このオーラス お前にツキはない 271 00:16:58,892 --> 00:17:01,478 黒牌四索の在りかさえ 知られなければ 272 00:17:01,562 --> 00:17:05,941 その見せ掛けの七対子も いくらかの脅しにはなったものを 273 00:17:06,775 --> 00:17:10,154 そういう形にもなれず 手の進みも悪い 274 00:17:10,946 --> 00:17:12,865 それは明らか 275 00:17:12,948 --> 00:17:15,659 もし あの手牌がまとまっているのなら 276 00:17:15,743 --> 00:17:20,414 命の懸かった この一局 何をためらうことがあろう 277 00:17:21,123 --> 00:17:25,461 さっさと下家の東を鳴き 中を差し込ませればいい 278 00:17:26,045 --> 00:17:30,632 ドラがひとつ乗って 親の三十符三翻(ハン) 5800(ゴッパー) 279 00:17:31,592 --> 00:17:35,637 逆転には届かず 決着は次に持ち越されるが 280 00:17:36,346 --> 00:17:40,851 わしがアガれば それまでという このオーラス ギリギリの状況 281 00:17:41,518 --> 00:17:46,065 逆転できぬから などと 甘ったるいことは言ってられまい 282 00:17:46,148 --> 00:17:48,067 わしが張れば それで 283 00:17:48,609 --> 00:17:49,985 終わりだ 284 00:17:51,695 --> 00:17:52,905 ハハハッ 285 00:17:54,656 --> 00:17:57,493 動ける者なら動くはず 286 00:17:57,576 --> 00:17:59,787 それをしないということは 287 00:18:00,788 --> 00:18:04,208 {\an8}東と中 一萬と鳴いても まだ張らないのだろう 288 00:18:04,875 --> 00:18:07,294 それほど 手が悪いということだ 289 00:18:08,045 --> 00:18:11,673 どう考えても わしの一向聴のほうが早い 290 00:18:12,466 --> 00:18:17,429 おまけに 嵌張の五萬 両面 三 六筒のどれが来ようと 291 00:18:18,305 --> 00:18:21,475 わしのロン牌を 鈴木が差し込める態勢 292 00:18:21,558 --> 00:18:22,643 万全だ 293 00:18:23,435 --> 00:18:26,688 アカギ お前は敗れる 294 00:18:26,772 --> 00:18:30,484 これは 小細工に走り 麻雀の大きな流れを軽く見た— 295 00:18:30,567 --> 00:18:32,402 お前のミス 296 00:18:33,237 --> 00:18:36,115 その失策は もはや取り戻せぬ 297 00:18:37,699 --> 00:18:39,618 死ぬがいい 298 00:18:40,452 --> 00:18:42,955 {\an8}鈴木は五索も持っている 299 00:18:43,038 --> 00:18:43,872 {\an8}…ということは 300 00:18:43,956 --> 00:18:47,000 この二 五 八索待ちも 差し込める 301 00:18:47,668 --> 00:18:50,254 ならば この嵌張は用済み 302 00:18:51,046 --> 00:18:55,717 更に盤石な一向聴へ 流れはわしにある 303 00:18:57,970 --> 00:18:58,887 (ナレーター)この1打 304 00:18:59,680 --> 00:19:03,225 オーラス 鷲巣が見せた わずかな緩みであった 305 00:19:05,936 --> 00:19:07,688 (安岡)鳴かす… か 306 00:19:12,818 --> 00:19:14,027 ポン 307 00:19:14,528 --> 00:19:15,571 (ナレーター)機 至る 308 00:19:15,654 --> 00:19:16,572 ポン 309 00:19:18,198 --> 00:19:19,032 ポン 310 00:19:20,617 --> 00:19:22,411 (ナレーター) アカギ 瞬く間に三副露(フーロ) 311 00:19:24,288 --> 00:19:25,205 えっ? 312 00:19:26,582 --> 00:19:27,958 (ナレーター)一向聴 313 00:19:28,041 --> 00:19:31,545 しかし この手 鷲巣から見れば この形 314 00:19:32,212 --> 00:19:33,380 ええっ? 315 00:19:33,463 --> 00:19:36,383 (仰木) そうか これがアカギの狙い 316 00:19:36,967 --> 00:19:41,013 いつでも鳴ける この3つを 止めてまで 機を待った 317 00:19:41,096 --> 00:19:42,556 そのポイントは2つ 318 00:19:42,639 --> 00:19:47,311 まず 聴牌に至らずとも 自分の手に萬子(マンズ)が満ちるのを待った 319 00:19:47,394 --> 00:19:48,228 つまり 320 00:19:48,979 --> 00:19:50,439 鷲巣から見たとき 321 00:19:50,522 --> 00:19:53,734 聴牌に見えるような形になるのを 待った 322 00:19:55,319 --> 00:19:59,823 (ナレーター)そして もうひとつ 重要なポイントは この四萬 323 00:20:00,449 --> 00:20:01,491 鷲巣がこれを切る前に 324 00:20:02,284 --> 00:20:06,204 東 中 一萬と鳴いて 混一色の聴牌をにおわせたとしても 325 00:20:06,830 --> 00:20:10,584 鷲巣は手牌の四萬と六萬を 切らないだけのこと 326 00:20:10,667 --> 00:20:13,712 好調 鷲巣の足は止まらない 327 00:20:13,795 --> 00:20:19,218 だが その嵌張の片割れ 四萬を 落としてから急きょ 場が激変 328 00:20:20,052 --> 00:20:22,804 残った六萬が 通しにくい危険牌となっては 329 00:20:22,888 --> 00:20:24,222 話が別である 330 00:20:24,806 --> 00:20:28,227 (仰木)こうなって初めて 鷲巣の足を止められる 331 00:20:28,936 --> 00:20:30,395 これは困る 332 00:20:30,479 --> 00:20:31,647 切れないとなったら 333 00:20:31,730 --> 00:20:34,441 もう この六萬に 何かがくっつくのを待って 334 00:20:34,524 --> 00:20:35,692 張り直すしかない 335 00:20:36,902 --> 00:20:42,115 だからこそ アカギは顔を伏し 息を殺して待っていたんだ 336 00:20:42,199 --> 00:20:44,201 鷲巣のわずかな緩みを 337 00:20:45,327 --> 00:20:48,914 絶妙の鳴き こん身のブラフ 338 00:20:49,748 --> 00:20:53,669 あとは これが鷲巣に通じるかどうか 339 00:20:54,169 --> 00:20:56,797 (鷲巣)小僧! 340 00:20:57,589 --> 00:20:59,758 (ナレーター) 死のふちを行くオーラス 341 00:21:00,259 --> 00:21:03,303 闇のトンネルを進む破滅への死闘は 342 00:21:03,387 --> 00:21:07,015 更に大きなうねりを伴って動き出す 343 00:21:11,353 --> 00:21:16,358 ♪~ 344 00:22:05,699 --> 00:22:10,704 ~♪