1 00:00:03,303 --> 00:00:07,975 (矢三郎)<今は昔 左京区一乗寺 狸谷不動の森に➡ 2 00:00:07,975 --> 00:00:11,645 桃のようにみずみずしく 仙人のように身が軽い➡ 3 00:00:11,645 --> 00:00:14,314 1匹の狸が暮らしていた> 4 00:00:14,314 --> 00:00:19,319 <近隣の子狸たちは その狸を畏敬の念を込め➡ 5 00:00:19,319 --> 00:00:21,989 「階段渡りの桃仙」と呼んだ> 6 00:00:21,989 --> 00:00:25,993 <そこへ現れたのは ツチノコブームにあおられて➡ 7 00:00:25,993 --> 00:00:29,663 ツチノコ探検隊を標ぼうし 山々を荒らし回っていた➡ 8 00:00:29,663 --> 00:00:31,665 悪童たちである> 9 00:00:31,665 --> 00:00:36,336 <参道の長い石段をめぐって 狸谷不動の子狸たちと➡ 10 00:00:36,336 --> 00:00:40,641 ツチノコ探検隊による 陣取り合戦が繰り広げられた> 11 00:00:42,342 --> 00:00:44,645 <時は流れ…> 12 00:00:47,681 --> 00:00:51,351 <あの日「そこのけチビスケ」と 言い放った➡ 13 00:00:51,351 --> 00:00:55,689 ツチノコ探検隊の隊長は 下鴨総一郎といい➡ 14 00:00:55,689 --> 00:00:58,025 つまり我らの父である> 15 00:00:58,025 --> 00:01:02,629 <そして「なんだとコンニャロ」と 応じたおてんばは➡ 16 00:01:02,629 --> 00:01:05,632 言うまでもなく母なのだ> 17 00:01:05,632 --> 00:01:07,968 <この世に毛深き恋なかりせば➡ 18 00:01:07,968 --> 00:01:12,639 下鴨家の兄弟は 毛一筋だに存在しなかった> 19 00:01:12,639 --> 00:01:15,976 <玉のような毛玉たちが生まれた その先は➡ 20 00:01:15,976 --> 00:01:19,646 毛深き愛の物語となる> 21 00:01:19,646 --> 00:01:23,650 <偽右衛門 下鴨総一郎は 偉大なるその血を➡ 22 00:01:23,650 --> 00:01:26,987 律儀に4つに分けた> 23 00:01:26,987 --> 00:01:31,992 <私は その三男として 糺の森に生を受けた> 24 00:01:31,992 --> 00:01:35,996 <しかし無念なことに 父親の偉大さを引き継ぐには➡ 25 00:01:35,996 --> 00:01:38,999 ちょっぴり 器が足りなかったようで➡ 26 00:01:38,999 --> 00:01:42,336 父亡きあと 我ら糺の森の兄弟は➡ 27 00:01:42,336 --> 00:01:47,007 「立派な父の血を引き損ねた アホウたち」と言われてきた> 28 00:01:47,007 --> 00:01:51,011 <しかし 父から受け継いだアホウの血を➡ 29 00:01:51,011 --> 00:01:53,347 身のうちに流す狸として➡ 30 00:01:53,347 --> 00:01:56,683 ほかに どういう生き方があったろう> 31 00:01:56,683 --> 00:02:00,954 <アホウの道よりほかに 我を生かす道なし> 32 00:02:00,954 --> 00:02:09,963 ♬~ 33 00:02:25,312 --> 00:02:29,649 (桃仙)そのツチノコっていうのは タケノコみたいなものなの? 34 00:02:29,649 --> 00:02:32,319 全然違いますよ 母上 35 00:02:32,319 --> 00:02:34,321 ヘンテコな蛇ね 36 00:02:34,321 --> 00:02:36,990 きっとお肉はブリブリしてるわ 37 00:02:36,990 --> 00:02:40,661 これはおいしくないわね おいしくない 38 00:02:40,661 --> 00:02:42,996 だから食べないですってば 39 00:02:42,996 --> 00:02:47,667 そういえば総さんも若いころに そんなの探していたっけ 40 00:02:47,667 --> 00:02:50,270 ほんとにもう あきれてしまうわ 41 00:02:50,270 --> 00:02:52,272 狸の子っていうのは 42 00:02:52,272 --> 00:02:56,276 ヘンテコなものに 夢中になるのだからね 43 00:02:56,276 --> 00:02:58,612 (矢一郎)ツチノコみたいな 朦朧としたものを 44 00:02:58,612 --> 00:03:02,282 追いかけるのはやめろ お前も将棋をやれ 45 00:03:02,282 --> 00:03:04,618 ツチノコも父上の趣味だったぞ 46 00:03:04,618 --> 00:03:06,620 減らず口をたたくな 47 00:03:06,620 --> 00:03:08,955 父上が鍋になってから 中断している 48 00:03:08,955 --> 00:03:12,626 将棋大会を復活させるんだ お前も少しは手伝え 49 00:03:12,626 --> 00:03:15,295 なんだい 自分じゃ将棋を打たないくせに 50 00:03:15,295 --> 00:03:18,298 将棋好きな狸だって大勢いる 51 00:03:18,298 --> 00:03:20,634 偽右衛門になる以上 狸界のことを 52 00:03:20,634 --> 00:03:22,969 第一に考えるのは当然のことだ 53 00:03:22,969 --> 00:03:25,972 また始まった んん… 54 00:03:25,972 --> 00:03:29,976 今度こそ俺は 偽右衛門になってみせる 55 00:03:29,976 --> 00:03:33,647 くうっ… (矢四郎)気をつけてね 56 00:03:33,647 --> 00:03:35,649 しょうがない 57 00:03:35,649 --> 00:03:40,320 矢四郎 お前をツチノコ探検隊 隊員1号に任命してやろう 58 00:03:40,320 --> 00:03:42,923 わあ 隊員1号 かっこいい 59 00:03:45,992 --> 00:03:50,597 というわけで 誰もツチノコの ロマンを理解してくれない 60 00:03:52,265 --> 00:03:56,937 (矢二郎)しかし矢三郎 もし そのツチノコが見つかったら 61 00:03:56,937 --> 00:03:59,606 俺は丸飲みにされるわけだね 62 00:03:59,606 --> 00:04:04,611 つまり そいつは蛇で俺は蛙だから あっ 確かに 63 00:04:04,611 --> 00:04:09,950 そういうわけで ツチノコ探検隊に俺は入れないな 64 00:04:09,950 --> 00:04:13,286 ハァ… 矢四郎は今も偽電気ブラン工場に 65 00:04:13,286 --> 00:04:15,288 奉公に出ているのかい? 66 00:04:15,288 --> 00:04:19,626 うん 我が家の安定的収入源の1つだよ 67 00:04:19,626 --> 00:04:22,929 じゃあ兄さん 行くよ ⚟ ああ 68 00:04:28,635 --> 00:04:33,306 (赤玉)つまらん1日が きょうも暮れおる 69 00:04:33,306 --> 00:04:36,643 ところで弁天様から 手紙は来ましたか? 70 00:04:36,643 --> 00:04:39,980 んんっ 何故 そんなことを知りたがる 71 00:04:39,980 --> 00:04:42,983 どうして 教えてくださらないんです? 72 00:04:42,983 --> 00:04:44,985 うるさいヤツめ 73 00:04:44,985 --> 00:04:48,655 わしと弁天の文通が お前になんの関わりがあろう 74 00:04:48,655 --> 00:04:50,924 んっ… 75 00:04:50,924 --> 00:04:54,594 (弁天)《海を渡ります》 あっ… 76 00:04:54,594 --> 00:04:59,599 《世界一周クルーズですか? どうしてまた急に》 77 00:04:59,599 --> 00:05:02,936 (弁天) 《だって退屈したんだもの》 78 00:05:02,936 --> 00:05:06,940 《矢三郎 先生のお世話 お願いね》 79 00:05:06,940 --> 00:05:10,544 《気が向いたら 手紙を書くかもしれないわ》 80 00:05:12,946 --> 00:05:19,553 《(笑い声)》 81 00:05:21,621 --> 00:05:23,623 (いびき) 82 00:05:23,623 --> 00:05:28,295 弁天… 弁天~… 83 00:05:28,295 --> 00:05:30,964 やれやれ 84 00:05:30,964 --> 00:05:32,966 ん? 85 00:05:32,966 --> 00:05:36,269 そ~っと そ~っと 86 00:05:37,304 --> 00:05:41,308 弁天… 弁天~… 87 00:05:45,645 --> 00:05:47,647 「雨は嫌い」 88 00:05:52,252 --> 00:05:54,254 「退屈」 89 00:05:55,589 --> 00:05:57,591 えっ? 90 00:05:59,593 --> 00:06:01,928 (いびき) 91 00:06:01,928 --> 00:06:04,531 なっ… なんじゃこりゃ 92 00:06:12,606 --> 00:06:15,942 兄ちゃん 春のにおいがするね 93 00:06:15,942 --> 00:06:18,278 こら しっかり見張ってろ 94 00:06:18,278 --> 00:06:20,947 どこに隠れてるか 分からないんだぞ 95 00:06:20,947 --> 00:06:23,617 ツチノコなんて本当にいるのかな 96 00:06:23,617 --> 00:06:28,355 いるか いないか分からないから ロマンなんだぜ 97 00:06:28,355 --> 00:06:30,357 ん? 98 00:06:32,292 --> 00:06:34,294 (ため息) 99 00:06:35,295 --> 00:06:39,299 矢四郎よ その情熱のうち1%でも 100 00:06:39,299 --> 00:06:41,968 ツチノコ探索に 振り分けてくれまいか 101 00:06:41,968 --> 00:06:48,308 兄ちゃん 天才とは99%の汗と 1%のひらめきだって 102 00:06:48,308 --> 00:06:50,243 違うぞ 矢四郎 103 00:06:50,243 --> 00:06:55,248 天才とは99%のアホウと 1%のひらめきさ 104 00:06:55,248 --> 00:06:57,584 それじゃあ いつ努力するの? 105 00:06:57,584 --> 00:07:00,587 ん? 天命を待つのだ 106 00:07:00,587 --> 00:07:04,257 それではいけないと思うな 僕は 107 00:07:04,257 --> 00:07:06,593 このちんちくりんのエジソンめ 108 00:07:06,593 --> 00:07:08,595 やめてよ 兄ちゃん ほれほれほれ 109 00:07:11,264 --> 00:07:14,567 危ない! (落下音) 110 00:07:21,942 --> 00:07:24,945 兄ちゃん これは天狗つぶてかな 111 00:07:24,945 --> 00:07:29,616 最近 モダンな天狗つぶてが 洛中に降っているらしいな 112 00:07:29,616 --> 00:07:32,619 天狗の落とし物なんだよね 113 00:07:32,619 --> 00:07:36,623 これ 持って帰ろうよ 母上が喜ぶと思う 114 00:07:36,623 --> 00:07:41,628 そうだな 落とした天狗が 所有権を主張しないかぎり 115 00:07:41,628 --> 00:07:44,631 返す必要はないという習わしだし 116 00:07:44,631 --> 00:07:48,301 兄ちゃん こんなところまで ツチノコを探しにきて 117 00:07:48,301 --> 00:07:52,906 叱られないのかな 誰が叱るっていうんだ? 118 00:07:52,906 --> 00:07:56,242 ここは鞍馬天狗様の縄張りでしょ 119 00:07:56,242 --> 00:07:59,579 大体 如意ヶ嶽一帯はそもそも 120 00:07:59,579 --> 00:08:02,582 我らが赤玉先生の縄張りだ 121 00:08:02,582 --> 00:08:07,587 鞍馬天狗なんて赤玉先生に 比べれば ちんちくりんさ 122 00:08:07,587 --> 00:08:10,590 (多聞坊)ちんちくりんか えっ? 123 00:08:10,590 --> 00:08:13,893 うおお… 重い 124 00:08:15,895 --> 00:08:17,597 (多聞坊) 生意気なことを言うヤツめ 125 00:08:17,597 --> 00:08:19,933 お前はどこの狸だ 126 00:08:19,933 --> 00:08:25,605 これはこれは鞍馬天狗様 ご機嫌麗しゅう 127 00:08:25,605 --> 00:08:27,607 (矢四郎)ううっ… 128 00:08:27,607 --> 00:08:31,277 鞍馬天狗なんて ちんちくりんだとさ 129 00:08:31,277 --> 00:08:33,947 (天狗たちの笑い声) (矢四郎)わあ! 130 00:08:33,947 --> 00:08:37,617 まかり越しましたるは 下鴨総一郎が三男 131 00:08:37,617 --> 00:08:39,619 矢三郎でございます 132 00:08:39,619 --> 00:08:42,255 それなるは弟の矢四郎です 133 00:08:42,255 --> 00:08:43,957 (天狗たち)名門 名門 134 00:08:43,957 --> 00:08:46,292 (日輪坊)お前が下鴨の矢三郎か 135 00:08:46,292 --> 00:08:48,294 (帝金坊) 弁天さんのお気に入りらしい 136 00:08:48,294 --> 00:08:51,231 (多聞坊)俺は気に入らんぞ 137 00:08:51,231 --> 00:08:53,566 わあっ ああ… 138 00:08:53,566 --> 00:08:59,572 さてさて こいつを放り投げたら どこまで届くであろうな 139 00:08:59,572 --> 00:09:03,243 鴨川を越えるか越えないか 賭けをしよう 140 00:09:03,243 --> 00:09:06,913 (霊山坊)どうした 矢三郎 恐れながら 141 00:09:06,913 --> 00:09:11,251 私は弟をいじめられると 持病の発作が… 142 00:09:11,251 --> 00:09:13,586 発作? 発作とはなんだ 143 00:09:13,586 --> 00:09:16,589 ううっ いけません 鞍馬天狗様 144 00:09:16,589 --> 00:09:18,892 お気をつけください 145 00:09:20,593 --> 00:09:23,930 ああ… あれ? 146 00:09:23,930 --> 00:09:27,267 パオーン やめいやめい 矢三郎 147 00:09:27,267 --> 00:09:30,603 くだらん 直ちに元の姿へ戻れ 148 00:09:30,603 --> 00:09:34,607 さもないと… うわ! 149 00:09:34,607 --> 00:09:38,611 パオン パオン どうしたことか 150 00:09:40,280 --> 00:09:45,885 (二代目) おや 如意ヶ嶽に象とは珍しい 151 00:09:51,291 --> 00:09:55,628 やはり狸の化け術か お見事 152 00:09:55,628 --> 00:10:04,304 ♬~ 153 00:10:04,304 --> 00:10:06,639 んあ… (二代目)やあ諸君 154 00:10:06,639 --> 00:10:09,309 こんなところで 何を遊んでいるのかね 155 00:10:09,309 --> 00:10:12,979 薬師坊の二代目ではないか えっ 156 00:10:12,979 --> 00:10:15,648 どうして今更 帰ってきた 157 00:10:15,648 --> 00:10:17,984 見るべきものは見たからね 158 00:10:17,984 --> 00:10:20,987 鞍馬の総帥はご健勝かな 159 00:10:20,987 --> 00:10:24,991 ところで ここへ荷物を 送ったはずなのだが 160 00:10:24,991 --> 00:10:28,995 あれか 邪魔になるから投げ捨てたぞ 161 00:10:28,995 --> 00:10:33,666 どうして そんなことを 諸君の山でもあるまいに 162 00:10:33,666 --> 00:10:36,669 ん? (霊山坊)後れをとったな 二代目 163 00:10:36,669 --> 00:10:38,972 如意ヶ嶽は我らが占領した 164 00:10:41,341 --> 00:10:45,345 ああ そういうことかね 承知した 165 00:10:45,345 --> 00:10:48,681 まったく あきれた冷血漢だな 166 00:10:48,681 --> 00:10:52,619 お前の父親は我々に山から 追い落とされたのだぞ 167 00:10:52,619 --> 00:10:55,955 君たちは自分たちの行いを 恥じているのか? 168 00:10:55,955 --> 00:10:58,291 どうして恥じることがあろう 169 00:10:58,291 --> 00:11:00,627 それなら堂々としていたまえ 170 00:11:00,627 --> 00:11:03,296 何しろ諸君は天狗様だ 171 00:11:03,296 --> 00:11:05,632 ところで父はどこにいるのかね 172 00:11:05,632 --> 00:11:08,301 (天狗たちの笑い声) (霊山坊)出町商店街の裏だ 173 00:11:08,301 --> 00:11:12,639 薄汚いアパートで 狸の世話になっている 174 00:11:12,639 --> 00:11:16,643 ならば私がとどめを刺してやろう えっ? 175 00:11:16,643 --> 00:11:19,946 では諸君 失敬する 176 00:11:23,650 --> 00:11:25,652 相変わらず いやみなヤツ 177 00:11:25,652 --> 00:11:27,987 (多聞坊) それにしても今更 帰国するとは 178 00:11:27,987 --> 00:11:29,989 本家にも知らせるべきか 179 00:11:29,989 --> 00:11:32,325 ハァ ハァ ハァ… 180 00:11:32,325 --> 00:11:35,328 うおっ… 兄ちゃん 生きてた 181 00:11:35,328 --> 00:11:37,997 兄貴に 二代目が帰国されたと言うんだ 182 00:11:37,997 --> 00:11:41,334 兄ちゃんはどうするの? 俺は出町柳へ行く 183 00:11:41,334 --> 00:11:45,004 ハァ ハァ ハァ… 184 00:11:49,976 --> 00:11:52,312 (ノック) 185 00:11:52,312 --> 00:11:54,614 入るがいい 186 00:12:03,990 --> 00:12:07,327 よく帰ったな 息子よ 187 00:12:07,327 --> 00:12:10,663 今までのことは 全てわしが悪かった 188 00:12:10,663 --> 00:12:12,999 許してくれるか 189 00:12:12,999 --> 00:12:16,669 ずいぶん狸臭くなられましたな 父上 190 00:12:16,669 --> 00:12:20,006 狸どもが通ってくるからな 191 00:12:20,006 --> 00:12:23,343 まったく わしも へきえきしておるのだ 192 00:12:23,343 --> 00:12:25,345 そうおっしゃるが 193 00:12:25,345 --> 00:12:28,348 どうも狸が大好きであるように 見受けられます 194 00:12:28,348 --> 00:12:31,351 バカめ 何を言っておるか 195 00:12:31,351 --> 00:12:35,688 では 何故 狸のように 尻尾を生やしている 196 00:12:35,688 --> 00:12:39,959 ひゃあ! ごめんなさい ごめんなさい 197 00:12:39,959 --> 00:12:43,630 ひょっとして君は 先ほどの狸ではないかな 198 00:12:43,630 --> 00:12:47,967 下鴨総一郎が三男 矢三郎と申します 199 00:12:47,967 --> 00:12:50,637 本物の父はどこにいます? 200 00:12:50,637 --> 00:12:56,242 はて 私も存じません どこへ行かれたものやら 201 00:12:58,311 --> 00:13:01,314 狸というのは健気なものだね 202 00:13:02,315 --> 00:13:04,317 狸は健気ですとも 203 00:13:04,317 --> 00:13:07,987 用事があれば なんなりとお申しつけください 204 00:13:07,987 --> 00:13:12,325 長年のご不在で何かと ご不自由なこともありましょう 205 00:13:12,325 --> 00:13:15,328 家財道具も探さねばなりませんし 206 00:13:15,328 --> 00:13:18,998 そうなのだ 鞍馬の愚か者どもが 207 00:13:18,998 --> 00:13:22,001 如意ヶ嶽から 投げ落としたそうでね 208 00:13:22,001 --> 00:13:24,003 いかがでしょう 209 00:13:24,003 --> 00:13:27,674 この矢三郎に お任せくださいませんか 210 00:13:27,674 --> 00:13:30,343 大変助かる 211 00:13:30,343 --> 00:13:34,013 ただ働きさせるわけにも いくまいから… ん? 212 00:13:34,013 --> 00:13:38,351 天狗というのは 狸をこき使うものですよ 213 00:13:38,351 --> 00:13:40,953 天狗は狸よりも偉いのだから 214 00:13:40,953 --> 00:13:46,292 私は借りを作ることを 好まないのですよ 矢三郎君 215 00:13:46,292 --> 00:13:49,595 それに私は天狗ではない 216 00:13:50,963 --> 00:13:53,966 どちらに運びましょう 217 00:13:53,966 --> 00:13:56,969 フッ… 218 00:13:56,969 --> 00:14:00,573 河原町御池のホテルに滞在します 219 00:14:04,977 --> 00:14:07,980 (ドアを閉める音) ハァ… 220 00:14:10,650 --> 00:14:14,253 弁天~ 弁天~… ハァ… 221 00:14:15,988 --> 00:14:18,991 偽右衛門の八坂さんが 二代目のことで 222 00:14:18,991 --> 00:14:20,993 お前の意見を聞きたいそうだ 223 00:14:20,993 --> 00:14:23,996 俺は天狗の専門家じゃないぞ 224 00:14:23,996 --> 00:14:27,333 つべこべ言うな ちょっとは狸界に貢献しろ 225 00:14:27,333 --> 00:14:32,004 (玉瀾)あら 矢三郎ちゃんと 矢一郎さんも 226 00:14:32,004 --> 00:14:36,008 やあ 玉瀾先生 先生はよして 227 00:14:36,008 --> 00:14:38,344 や… やあ 玉瀾 228 00:14:38,344 --> 00:14:41,280 先生はここで何を? 229 00:14:41,280 --> 00:14:44,283 南禅寺で行うイベントのことでね 230 00:14:44,283 --> 00:14:47,286 ああ 将棋大会 本気なんだ 231 00:14:47,286 --> 00:14:51,958 なんとか将棋大会は 復活できそうですよ 玉瀾 232 00:14:51,958 --> 00:14:54,293 それは楽しみですね 233 00:14:54,293 --> 00:14:57,964 その次は あなたが 偽右衛門になる番ですね 234 00:14:57,964 --> 00:14:59,966 は… はい 235 00:14:59,966 --> 00:15:02,301 (金閣)捲土重来 236 00:15:02,301 --> 00:15:05,638 金閣だよ (銀閣)銀閣だよ 237 00:15:05,638 --> 00:15:07,640 父上がいなくなったからって 238 00:15:07,640 --> 00:15:10,643 すんなり 偽右衛門になれると思うなよ 239 00:15:10,643 --> 00:15:13,980 思うなよ 出たな アホウ兄弟 240 00:15:13,980 --> 00:15:16,983 あなたたち どうして そんなひねくれたアホウに 241 00:15:16,983 --> 00:15:19,986 なってしまったの (金閣)ひどい言われようだ 242 00:15:19,986 --> 00:15:22,989 僕はいたく傷ついたよ (銀閣)傷ついたよ 243 00:15:22,989 --> 00:15:25,992 その傷が元でくたばれ (2人)何を! 244 00:15:25,992 --> 00:15:28,327 (呉一郎)いいかげんにしなさい 245 00:15:28,327 --> 00:15:31,664 (金閣・銀閣)呉一郎兄さん 246 00:15:31,664 --> 00:15:33,100 愚弟が 迷惑をかけてしまったようで 247 00:15:33,100 --> 00:15:36,002 申し訳ない 248 00:15:36,002 --> 00:15:39,005 呉一郎 きょうはどういった御用向きで 249 00:15:39,005 --> 00:15:44,277 父の残したものについて 偽右衛門様と相談をと思いまして 250 00:15:44,277 --> 00:15:48,948 なんとかなりそうですか? ええ おかげさまで 251 00:15:48,948 --> 00:15:50,950 それでは 252 00:15:52,952 --> 00:15:55,621 (2人)べえ~ 253 00:15:55,621 --> 00:15:59,926 それじゃ私もお先に失礼します じゃあね 254 00:16:01,627 --> 00:16:06,232 (平太郎)よう わざわざすまんの 偽ハワイへようこそ 255 00:16:07,967 --> 00:16:13,306 さて 矢三郎 二代目というのは あれは本物か? 256 00:16:13,306 --> 00:16:17,977 どういう意味です? 100年前の話だ 257 00:16:17,977 --> 00:16:22,982 父親である如意ヶ嶽薬師坊様と 三日三晩にわたって 258 00:16:22,982 --> 00:16:25,985 壮絶な親子ゲンカをしたのだ 259 00:16:29,655 --> 00:16:34,660 結局 二代目は敗北を喫して 日本を出たのだ 260 00:16:34,660 --> 00:16:38,664 だからな 赤玉先生と二代目の間には 261 00:16:38,664 --> 00:16:41,267 とてつもない軋轢がある 262 00:16:41,267 --> 00:16:43,936 あれは どう見ても天狗ですね 263 00:16:43,936 --> 00:16:47,940 本人が違うと言い張って おられるのが妙だけど 264 00:16:47,940 --> 00:16:51,611 今でも赤玉先生を 憎んでいるようだったし 265 00:16:51,611 --> 00:16:56,282 まあ 弁天様が帰国したら 一悶着あるに決まってます 266 00:16:56,282 --> 00:16:59,952 ヘタに巻き込まれると 尻の毛に火がつきますぜ 267 00:16:59,952 --> 00:17:03,623 おもしろがるのはよせ 矢三郎 まあ ええわい 268 00:17:03,623 --> 00:17:06,626 それで矢一郎君はどう考える 269 00:17:06,626 --> 00:17:08,961 弟はアホウです 270 00:17:08,961 --> 00:17:12,965 しかし 見立ては正しいと思いますね 271 00:17:12,965 --> 00:17:15,968 しょせん我らは狸だからな 272 00:17:15,968 --> 00:17:19,639 せいては事を仕損じる 273 00:17:19,639 --> 00:17:21,974 俺は狸親父を決め込む 274 00:17:21,974 --> 00:17:26,646 矢三郎は天狗界の動向に 注意しておいてくれよ 275 00:17:26,646 --> 00:17:29,649 ああ… その代わり 276 00:17:29,649 --> 00:17:32,985 鞍馬天狗が勝手にばらまいた 天狗つぶてを 277 00:17:32,985 --> 00:17:35,988 二代目のところに 返したいのですが なんとか… 278 00:17:35,988 --> 00:17:39,592 分かった 皆に言っておこう 279 00:17:42,261 --> 00:17:46,599 ところで赤玉先生は 二代目が帰朝されたことを 280 00:17:46,599 --> 00:17:50,603 知っているのか? いや 知らないと思う 281 00:17:54,941 --> 00:17:57,944 先生 矢三郎です 282 00:17:57,944 --> 00:17:59,946 金光坊様 283 00:17:59,946 --> 00:18:03,950 (赤玉)矢三郎よ 何か隠し事があるのではないか? 284 00:18:07,286 --> 00:18:11,290 何を今更 隠し事なんていっぱいありますぜ 285 00:18:11,290 --> 00:18:13,292 ヤツはどうしておるか 286 00:18:13,292 --> 00:18:16,295 えっ… 河原町御池のホテルに 287 00:18:16,295 --> 00:18:18,297 これをヤツに届けい 288 00:18:18,297 --> 00:18:21,300 名誉なお役目と心得よ 289 00:18:21,300 --> 00:18:27,306 あっ… 下鴨矢三郎 心得ました 290 00:18:40,586 --> 00:18:44,256 (二代目)やあ 矢三郎君 世話になったね 291 00:18:44,256 --> 00:18:46,592 お安い御用です 292 00:18:46,592 --> 00:18:50,262 ところで独逸製空気銃は 見つからないかね 293 00:18:50,262 --> 00:18:52,264 空気銃? 294 00:18:52,264 --> 00:18:55,601 毛玉めいたものが 飛び出すようなものですか? 295 00:18:55,601 --> 00:18:58,270 そんな かわいらしいものではない 296 00:18:58,270 --> 00:19:00,940 早く捜し出してもらえると ありがたい 297 00:19:00,940 --> 00:19:03,943 悪用されると困るからね 298 00:19:03,943 --> 00:19:06,612 ひとまず きょうのお礼だ 299 00:19:06,612 --> 00:19:09,281 いえいえ 結構です 300 00:19:09,281 --> 00:19:12,284 私は人に借りを作るのが 嫌いなのだよ 301 00:19:12,284 --> 00:19:16,288 私は狸ですから では言い直そう 302 00:19:16,288 --> 00:19:19,291 私は狸に借りを作るのが 嫌いなのだ 303 00:19:19,291 --> 00:19:21,627 正直なところを言えば 304 00:19:21,627 --> 00:19:25,297 いずれ大きく回収したいと 思っているんです 305 00:19:25,297 --> 00:19:27,633 金貨ぐらいでは釣り合いませんよ 306 00:19:27,633 --> 00:19:31,637 そら見たまえ うかうかしてると化かされそうだ 307 00:19:31,637 --> 00:19:34,306 化かされてやるっていう 余裕を持つのも 308 00:19:34,306 --> 00:19:38,644 すてきなことですよ うまいことを言う 309 00:19:38,644 --> 00:19:40,980 狸的知恵というものか 310 00:19:40,980 --> 00:19:45,985 実は先生から こんなものを 預かっておりまして 311 00:19:49,989 --> 00:19:53,592 行くかもしれない 行かないかもしれない 312 00:19:55,327 --> 00:19:58,330 当てにしないでいただきたいね 313 00:20:12,011 --> 00:20:15,681 (力み声) 314 00:20:15,681 --> 00:20:22,021 天空を自在に飛行する それが天狗というものだが… 315 00:20:22,021 --> 00:20:24,023 やれやれ 316 00:20:24,023 --> 00:20:29,695 (多聞坊)薬師坊よ 心おきなく戦え (霊山坊)骨は拾ってやるぞ 317 00:20:29,695 --> 00:20:32,698 拾って鴨川へ捨ててやろう 318 00:20:32,698 --> 00:20:34,700 (天狗たちの笑い声) 319 00:20:34,700 --> 00:20:40,005 山のどんぐりどもめ いずれ琵琶湖に沈めてやるぞ 320 00:20:44,977 --> 00:20:46,979 ん? 321 00:20:50,316 --> 00:20:52,318 これはご老体 322 00:20:52,318 --> 00:20:55,321 こんなところで 何をしておられるのです 323 00:20:55,321 --> 00:20:58,991 ちと待ち合わせ… ぐあっ! 324 00:20:58,991 --> 00:21:02,328 実は私も ここで待ち合わせなのです 325 00:21:02,328 --> 00:21:04,997 (赤玉)あんたのお相手は誰かな 326 00:21:04,997 --> 00:21:09,668 くだらぬ人物ですよ 口にしたくもないような 327 00:21:09,668 --> 00:21:13,005 ほう それは奇遇なり 328 00:21:13,005 --> 00:21:19,011 わしの待っている相手もまた 実にくだらぬ人物でな 329 00:21:19,011 --> 00:21:21,013 (天狗たちの盛り上がる声) 330 00:21:21,013 --> 00:21:26,352 その愚か者は わしの息子であり 弟子でもあったが 331 00:21:26,352 --> 00:21:29,021 愚かにも わしに刃向かった 332 00:21:29,021 --> 00:21:33,025 またここから 蹴落としてやろうと思ってな 333 00:21:33,025 --> 00:21:37,029 蹴落とせるものなら 蹴落としてごらんなさい 334 00:21:37,029 --> 00:21:39,632 やってやろう 335 00:21:41,634 --> 00:21:43,636 <そもそも天狗というものは➡ 336 00:21:43,636 --> 00:21:48,974 傲慢山の急峻から 森羅万象を見下すものである> 337 00:21:48,974 --> 00:21:53,979 <天狗だからこそ偉いのであり 偉いからこそ天狗なのである> 338 00:21:53,979 --> 00:21:57,650 <天地間で偉いのは ただ一人 我ばかり> 339 00:21:57,650 --> 00:22:00,653 <それが天狗というものだ> 340 00:22:00,653 --> 00:22:05,958 <どう考えても 丸く収まるわけがないのである> 341 00:22:09,995 --> 00:22:30,015 ♬~ 342 00:22:30,015 --> 00:22:49,969 ♬~ 343 00:22:49,969 --> 00:23:09,989 ♬~ 344 00:23:09,989 --> 00:23:30,009 ♬~ 345 00:23:30,009 --> 00:23:39,018 ♬~ 346 00:23:40,986 --> 00:23:43,322 (天満屋) <おっと 俺には触れちゃなんねえ> 347 00:23:43,322 --> 00:23:45,658 <地獄の炎で やけどすんぜ> 348 00:23:45,658 --> 00:23:48,994 <まっ 硬い話は抜きにして ラーメンでも食いねえ>