1 00:00:02,000 --> 00:00:05,330 〈桜井の卒業を意識し ようやく 焦りだしたかに見えた→ 2 00:00:05,330 --> 00:00:07,500 宇崎だったが そこで思いついたのは→ 3 00:00:07,500 --> 00:00:10,170 中学生のような お弁当作戦。 4 00:00:10,170 --> 00:00:13,010 そんなことをしてる間に 妹の柳が→ 5 00:00:13,010 --> 00:00:15,680 バイト先にやってきて 桜井と話すうちに→ 6 00:00:15,680 --> 00:00:19,010 名前で 呼ばれるようになってしまう。 7 00:00:19,010 --> 00:00:23,190 宇崎が何か月もかけ しかも 定着しなかった名前呼び。 8 00:00:23,190 --> 00:00:25,520 それを 妹に数分で→ 9 00:00:25,520 --> 00:00:28,120 追い抜かれて しまったのであった〉 10 00:02:11,990 --> 00:02:14,000 (宇崎)なんで先輩 そうなんスか!? 11 00:02:14,000 --> 00:02:16,000 (桜井)まあ落ち着けよ。 12 00:02:16,000 --> 00:02:18,000 (宇崎)落ち着けって どういうことッスか? 13 00:02:18,000 --> 00:02:21,170 私が悪いんスか!? (桜井)そういうことじゃなくて…。 14 00:02:21,170 --> 00:02:24,170 (宇崎)そういうことって どういうことッスか!? 15 00:02:24,170 --> 00:02:26,840 (桜井)あ… 落ち着いて 話をしようって…。 16 00:02:26,840 --> 00:02:29,180 (宇崎)これが 落ち着いてられますか! 17 00:02:29,180 --> 00:02:31,850 (柳)は~ なるほどなるほど。 18 00:02:31,850 --> 00:02:35,180 名前で呼び合うのも まだやったんですね~。 19 00:02:35,180 --> 00:02:38,020 (柳)そらまた初々しいことで…。 20 00:02:38,020 --> 00:02:40,020 (マスター)ほんとにね。 21 00:02:40,020 --> 00:02:44,360 二人でおるときだけ 下の名前で とかは…。 22 00:02:44,360 --> 00:02:47,530 いや~ そういうのもないんだろうね。 23 00:02:47,530 --> 00:02:51,700 むしろあったら ああはなってないと思うし…。 24 00:02:51,700 --> 00:02:56,040 彼氏じゃないとは 聞いてたんですけど…。 25 00:02:56,040 --> 00:02:58,040 (亜実)まあそこが あの二人の→ 26 00:02:58,040 --> 00:03:01,140 愛すべきところでも あるんだけどね。 27 00:03:01,140 --> 00:03:03,150 あれ? いつの間に…。 28 00:03:03,150 --> 00:03:07,150 花ちゃんの妹と聞いて 我慢できずに駆けつけました。 29 00:03:07,150 --> 00:03:09,150 亜細亜実です。 30 00:03:09,150 --> 00:03:13,320 桜井くんと花ちゃんと同じ大学の 4年生で バイト仲間です。 31 00:03:13,320 --> 00:03:15,990 よろしくね。 はあ…。 32 00:03:15,990 --> 00:03:17,990 どうもどうも。 33 00:03:17,990 --> 00:03:21,000 さすが花ちゃんの妹 かわいい。 34 00:03:21,000 --> 00:03:23,330 (柳)いえいえ そんな…。 35 00:03:23,330 --> 00:03:26,000 《しかし このおもしろい状況に→ 36 00:03:26,000 --> 00:03:30,170 これ以上にないタイミングで 間に合うとは 不自然すぎる…。 37 00:03:30,170 --> 00:03:34,680 亜実はどうして… いや どうやって察知したのか。 38 00:03:34,680 --> 00:03:36,680 まさか…》 39 00:03:36,680 --> 00:03:40,020 (([TEL](桜井)えっ じゃあ… 柳ちゃん。 40 00:03:40,020 --> 00:03:42,520 [TEL](宇崎)ほら やっぱりこうなった~! 41 00:03:42,520 --> 00:03:45,020 ウヘヘ…)) 42 00:03:45,020 --> 00:03:47,520 んん…。 〈実の娘に抱くには→ 43 00:03:47,520 --> 00:03:51,360 あまりにもな疑念を マスターは 必死で飲み込んだのであった〉 44 00:03:51,360 --> 00:03:54,030 それにしても…。 はっ! 45 00:03:54,030 --> 00:03:56,370 おもしろいことに なってるじゃない…。 46 00:03:56,370 --> 00:03:59,530 なぁ 機嫌直してくれよ 宇崎…。 47 00:03:59,530 --> 00:04:01,470 むっ! 48 00:04:01,470 --> 00:04:04,140 花…。 だめッス! 49 00:04:04,140 --> 00:04:06,140 これは罰ッス! 50 00:04:06,140 --> 00:04:08,140 物覚えの悪い真一くんとは→ 51 00:04:08,140 --> 00:04:10,480 今日一日 ずっと名前で呼び合うッス。 52 00:04:10,480 --> 00:04:14,480 え~ 恥ずかしいから 勘弁してくれ。 53 00:04:14,480 --> 00:04:17,650 恥ずかしいとはなんスか! 人の名前に! 54 00:04:17,650 --> 00:04:20,320 私は自分の名前 気に入ってるんスよ! 55 00:04:20,320 --> 00:04:22,820 (桜井)ああ ごめん! 56 00:04:22,820 --> 00:04:24,830 む~。 57 00:04:24,830 --> 00:04:29,000 花… の名前が とかじゃなくて…。 58 00:04:29,000 --> 00:04:31,170 む…。 59 00:04:31,170 --> 00:04:35,570 だって そんな… 名前で呼び合うとか…。 60 00:04:38,840 --> 00:04:42,680 俺たちが めちゃくちゃ 仲良しみたいじゃね~か…。 61 00:04:42,680 --> 00:04:45,010 ほんとにアンタなに言ってんスか!? 62 00:04:45,010 --> 00:04:47,680 ああ いや…。 真一くん! 63 00:04:47,680 --> 00:04:51,350 よく考えてから 発言してくださいよ 真一くん! 64 00:04:51,350 --> 00:04:53,860 ほんとに真一くんは まったく! 65 00:04:53,860 --> 00:04:55,860 (宇崎)わかってるんスか 真一くん! 66 00:04:55,860 --> 00:04:59,860 《柳:半分くらい自分が「真一くん」 言いたいだけちゃうの?》 67 00:05:02,130 --> 00:05:04,130 フフフ…。 ウヒヒ…。 68 00:05:04,130 --> 00:05:07,300 そうだな すまん 仲はいいよな。 69 00:05:07,300 --> 00:05:10,140 謝るよ ごめん。 70 00:05:10,140 --> 00:05:13,810 花… にはいろいろ 世話をやいてもらったし→ 71 00:05:13,810 --> 00:05:16,140 たくさん遊んできたしな。 72 00:05:16,140 --> 00:05:18,810 たまに ムカつくこともあるけど。 73 00:05:18,810 --> 00:05:20,820 うん 俺が悪かった。 74 00:05:20,820 --> 00:05:23,650 これだけは完璧に認める。 75 00:05:23,650 --> 00:05:26,990 ヴヴン… 俺たちは仲がいい。 76 00:05:26,990 --> 00:05:30,830 フヒッ… じゃあ これからはずっと→ 77 00:05:30,830 --> 00:05:34,500 私も名前で呼べますか? 78 00:05:34,500 --> 00:05:36,830 わからん…。 79 00:05:36,830 --> 00:05:40,670 ああ そうッスか! よっくわかりました! 80 00:05:40,670 --> 00:05:43,840 つまり 自分でも よくわかってないんスね! 81 00:05:43,840 --> 00:05:45,840 じゃあ ハッキリさせましょう! 82 00:05:45,840 --> 00:05:48,180 私だけ名前を呼ばない理由を! 83 00:05:48,180 --> 00:05:50,180 今日 ここで! 84 00:05:50,180 --> 00:05:52,510 えぇ…。 先輩のほうこそ→ 85 00:05:52,510 --> 00:05:55,350 付き合いの長さに あぐらかいてんじゃないッスか!? 86 00:05:55,350 --> 00:05:57,350 (宇崎)ぞんざいに 扱われてるみたいで→ 87 00:05:57,350 --> 00:05:59,860 こっちは そろそろムカついてきてんスよ! 88 00:05:59,860 --> 00:06:01,790 (桜井)そんなことは…。 89 00:05:59,860 --> 00:06:04,130 (笑いをこらえる声) 90 00:06:01,790 --> 00:06:04,130 (宇崎)あるッス! 91 00:06:04,130 --> 00:06:09,130 先輩の狭い交友関係では 絶対 私が一番仲いいでしょ! 92 00:06:09,130 --> 00:06:11,130 なのに! 93 00:06:11,130 --> 00:06:16,300 ((亜実さん 逸仁 月さん 柳ちゃん 猫ちゃ~ん。 94 00:06:16,300 --> 00:06:18,310 宇崎…。 むっ!)) 95 00:06:18,310 --> 00:06:20,480 (桜井)こんな顔はしてね~よ!? 96 00:06:20,480 --> 00:06:22,480 いいッスか 真一くん。 97 00:06:22,480 --> 00:06:25,650 私ら高校から数えて 5年の付き合いッスよ。 98 00:06:25,650 --> 00:06:28,320 そこんとこ わかってんスか? 99 00:06:28,320 --> 00:06:30,990 お おう そうだよな…。 100 00:06:30,990 --> 00:06:35,160 なのに妹には 会って10分もしないで! 101 00:06:35,160 --> 00:06:39,660 ごめん すまん 悪かった 許してくれ。 (叩く音) 102 00:06:39,660 --> 00:06:42,160 (宇崎)いつまでも 私だけ苗字って…。 103 00:06:44,330 --> 00:06:48,340 仲いいと思ってたの… 私だけなんスか? 104 00:06:48,340 --> 00:06:54,010 真一くんにとって 私は そんなでもないってことッスか…。 105 00:06:54,010 --> 00:06:57,350 いいかげん 自信なくすッスよ…。 106 00:06:57,350 --> 00:07:00,280 あ… わ わかった。 107 00:07:00,280 --> 00:07:02,950 (亜実/マスター)クク…。 (桜井)今からよく考えてみる…。 108 00:07:02,950 --> 00:07:06,290 だから ほんのちょっと待ってくれ。 109 00:07:06,290 --> 00:07:09,290 えっと… 亜実さんのおかげか→ 110 00:07:09,290 --> 00:07:11,960 ここ最近は ほかの人はなんか→ 111 00:07:11,960 --> 00:07:15,960 すんなり呼べるように なってきたんだよな…。 112 00:07:15,960 --> 00:07:20,300 けど お前だけ いまだに なんか呼びにくいんだよ…。 113 00:07:20,300 --> 00:07:22,470 ってことは まあ…。 114 00:07:22,470 --> 00:07:24,470 あぁ…。 115 00:07:24,470 --> 00:07:27,270 お前が 特別だからなのかな…。 116 00:07:35,650 --> 00:07:37,650 いま俺なに言った? 117 00:07:37,650 --> 00:07:40,160 あぁ…。 118 00:07:40,160 --> 00:07:42,990 (桜井)な なぁ…。 (宇崎)え…。 119 00:07:42,990 --> 00:07:48,160 わ 私のことが 特別って言ったッス…。 120 00:07:48,160 --> 00:07:50,330 (桜井)言った? (宇崎)言ったッス…。 121 00:07:50,330 --> 00:07:52,330 俺が? 122 00:07:52,330 --> 00:07:54,340 先輩が。 123 00:07:54,340 --> 00:07:56,340 宇崎に? 124 00:07:56,340 --> 00:07:58,340 私に。 125 00:07:58,340 --> 00:08:00,280 なんで? 126 00:08:00,280 --> 00:08:02,280 聞かないでくださいよ…。 127 00:08:02,280 --> 00:08:05,110 じ 自分で言っといて…。 128 00:08:05,110 --> 00:08:09,950 ま まあ… 特別って言うなら…。 129 00:08:09,950 --> 00:08:11,950 ちがっ…。 130 00:08:11,950 --> 00:08:14,550 そういうことに しといてあげましょう! 131 00:08:17,460 --> 00:08:20,460 (桜井)ままま 待て宇崎! 今のなし! 132 00:08:20,460 --> 00:08:23,630 (宇崎)だめッス もう聞いたッス。 それに今日一日は~? 133 00:08:23,630 --> 00:08:25,630 (桜井)は 花…。 134 00:08:25,630 --> 00:08:28,640 (宇崎)なんスか 真一く~んっ! (桜井)ん…。 135 00:08:28,640 --> 00:08:32,470 大好きやん… 見てるこっちが照れるくらい。 136 00:08:32,470 --> 00:08:35,310 《大好きやん》 《大好きや~ん》 137 00:08:35,310 --> 00:08:38,310 《でもそっか 花ちゃん奥手やから→ 138 00:08:38,310 --> 00:08:40,980 あの天然さんは手強そうやな。 139 00:08:40,980 --> 00:08:44,780 しゃあない そのうち私が ひと肌 脱いだろうかな》 140 00:08:46,820 --> 00:08:48,990 (柳)ただいま~。 (ドアの開閉音) 141 00:08:48,990 --> 00:08:50,990 (月)おかえり~。 142 00:08:50,990 --> 00:08:53,160 はぁ 寒かった~。 143 00:08:53,160 --> 00:08:55,160 んっ。 (猫の鳴き声) 144 00:08:55,160 --> 00:08:57,170 (鳴き声) 145 00:08:57,170 --> 00:08:59,830 あ~あ~ アンタらもただいま。 146 00:08:59,830 --> 00:09:02,600 アンタらは 暖かいとこおれてええなぁ。 147 00:09:02,600 --> 00:09:05,440 あ せや お母さんお母さん。 148 00:09:05,440 --> 00:09:08,280 花ちゃんの先輩さんにやっと会えたで。 149 00:09:08,280 --> 00:09:11,780 やっぱり 花のバイト先に行ってたのね。 150 00:09:11,780 --> 00:09:15,950 あんまりお仕事してるところに お邪魔しないようにね。 151 00:09:15,950 --> 00:09:17,950 大丈夫ちゃうかな。 152 00:09:17,950 --> 00:09:20,960 今日はなんでか臨時休業してたし。 153 00:09:20,960 --> 00:09:24,460 あら そうなの? なんかお店の人ら→ 154 00:09:24,460 --> 00:09:27,800 花ちゃんたち見ながら 白ごはん食うてた。 155 00:09:27,800 --> 00:09:30,630 ごは… なんで? 156 00:09:30,630 --> 00:09:34,640 さぁ? でも先輩さん 目つきは怖いけど→ 157 00:09:34,640 --> 00:09:36,810 話やすい人やったなぁ。 158 00:09:36,810 --> 00:09:38,810 ゲームも好きらしいし→ 159 00:09:38,810 --> 00:09:41,810 私とも一回 遊んでくれへんやろか? 160 00:09:41,810 --> 00:09:45,310 ((そういうことに しといてあげましょう!)) 161 00:09:45,310 --> 00:09:48,650 プッ! お母さん知ってた? 162 00:09:48,650 --> 00:09:52,490 花ちゃん 先輩さんのこと めっちゃ好きやで あれは。 163 00:09:52,490 --> 00:09:55,160 はいはい そうね。 164 00:09:55,160 --> 00:09:58,990 《桜井くん… 柳は 気に入ったみたいだけど…。 165 00:09:58,990 --> 00:10:01,000 あのときみたいなことは→ 166 00:10:01,000 --> 00:10:03,500 さすがに柳には 言ってないようね》 167 00:10:03,500 --> 00:10:05,500 ((桜井:贅沢を言うなら…。 168 00:10:05,500 --> 00:10:07,670 ゆくゆくは片方ずつじゃなくて→ 169 00:10:07,670 --> 00:10:11,170 こんなふうに両腕で 同時に抱いてみたいですね。 170 00:10:11,170 --> 00:10:13,840 フハハハハッ!)) 171 00:10:13,840 --> 00:10:15,840 《花と結ばれたことで→ 172 00:10:15,840 --> 00:10:18,180 落ち着いてくれたら いいんだけど…》 173 00:10:18,180 --> 00:10:20,520 〈月は 桜井と宇崎が→ 174 00:10:20,520 --> 00:10:23,850 すでに特別な関係になっていると 思い込んでいる〉 175 00:10:23,850 --> 00:10:25,850 《なっ! でも…→ 176 00:10:25,850 --> 00:10:29,020 たとえ桜井くんが 今は落ち着いているとしても…。 177 00:10:29,020 --> 00:10:31,690 あの底知れない情熱の矛先は→ 178 00:10:31,690 --> 00:10:35,030 いずれ柳にも向けられるのかも…。 179 00:10:35,030 --> 00:10:39,200 そんなぁ… うちの子たちが そんなことになったら…》 180 00:10:39,200 --> 00:10:43,710 また今度 先輩さんに 会いに行ってみよっかな~。 181 00:10:43,710 --> 00:10:45,710 だっ ダメよ柳! 182 00:10:45,710 --> 00:10:49,210 はい? 柳はまだ中学生なのよ!? 183 00:10:49,210 --> 00:10:51,380 まして 一人でなんて…。 184 00:10:51,380 --> 00:10:53,720 今度からあそこに行くときは→ 185 00:10:53,720 --> 00:10:57,220 せめてお母さんと 一緒のときにしなさい! 186 00:10:57,220 --> 00:11:00,160 えっ? わかったわね! 187 00:11:00,160 --> 00:11:04,160 う うん… わかった…。 188 00:11:04,160 --> 00:11:07,160 《中学生の柳はもちろんのこと…。 189 00:11:07,160 --> 00:11:11,170 成人したとはいえ 花もまだまだ子ども。 190 00:11:11,170 --> 00:11:13,370 母親の私が導かねば!》 191 00:11:15,500 --> 00:11:17,670 《まあ 別にええねんけど。 192 00:11:17,670 --> 00:11:20,840 いまどき 中学生もカフェくらい行くのに…。 193 00:11:20,840 --> 00:11:23,850 お母さんも行きたいんやろか?》 194 00:11:23,850 --> 00:11:26,510 (藤生)なんやなんや にぎやかやな~。 195 00:11:26,510 --> 00:11:29,180 なんか 楽しいことでもあったんか? 196 00:11:29,180 --> 00:11:31,850 お父さんとも しゃべろうや~。 197 00:11:31,850 --> 00:11:37,030 そういや 柳 珍しく日曜日に 出かけてたみたいやないか。 198 00:11:37,030 --> 00:11:40,030 どこ行ってきたん? どこ行ってきた~ん? 199 00:11:40,030 --> 00:11:42,030 ああ うん 大丈夫。 200 00:11:42,030 --> 00:11:44,530 お父さんには関係ないことやから。 201 00:11:44,530 --> 00:11:47,370 えっ… なんで…。 202 00:11:47,370 --> 00:11:50,710 お父さん すんごいロンリーな気分…。 203 00:11:50,710 --> 00:11:54,380 《お父さんに教えたら またうるさなるやろうし…》 204 00:11:54,380 --> 00:11:58,380 (桐)ん…。 (ドアの開閉音) 205 00:11:58,380 --> 00:12:00,320 (3人)ん…。 206 00:12:00,320 --> 00:12:02,820 おっと 勉強中やった? 207 00:12:02,820 --> 00:12:06,990 ちょっと声 大きかったな。 ごめんな桐くん。 208 00:12:06,990 --> 00:12:09,990 (桐)む…。 (柳)桐くん イライラしてるわ。 209 00:12:09,990 --> 00:12:14,500 (月)期末テスト期間だからね… ストレス 溜まってるのよ。 210 00:12:14,500 --> 00:12:17,670 (藤生)桐は あんま勉強できへんからなぁ。 211 00:12:17,670 --> 00:12:21,500 (柳)ちなみに私も 試験勉強期間やで。 212 00:12:21,500 --> 00:12:25,510 まあ お父さん 柳の心配は 全然してへんけどな。 213 00:12:25,510 --> 00:12:27,510 優等生やもんな~。 214 00:12:27,510 --> 00:12:29,840 聞こえてんだよ さっきから全部! 215 00:12:29,840 --> 00:12:32,350 ああ~! 体動かしたい! 216 00:12:32,350 --> 00:12:35,680 テスト期間中は部活禁止やもんね~。 217 00:12:35,680 --> 00:12:37,850 でも勉強は大事よ。 218 00:12:37,850 --> 00:12:41,360 せっかく受験頑張って 入った高校なんだから。 219 00:12:41,360 --> 00:12:44,190 成績落とさないよう頑張りなさい。 220 00:12:44,190 --> 00:12:48,200 期末テストが終わったら いくらでも部活できるんだからね。 221 00:12:48,200 --> 00:12:52,370 わかってるよ。 でもテスト終わってもな…。 222 00:12:52,370 --> 00:12:54,370 あ~ そうか。 223 00:12:54,370 --> 00:12:58,210 走ったり筋トレしたり 冬は体力づくりばっかやもんな。 224 00:12:58,210 --> 00:13:02,310 テスト終わって部活再開しても あんま楽しないんやな。 225 00:13:02,310 --> 00:13:04,310 そうそれ。 226 00:13:04,310 --> 00:13:06,650 (月)それはテストとは 別の問題でしょう? 227 00:13:06,650 --> 00:13:09,150 そりゃあ そうなんだけど…。 228 00:13:09,150 --> 00:13:11,150 《勉強は嫌いだし。 229 00:13:11,150 --> 00:13:13,490 どうしたってストレスは溜まるし。 230 00:13:13,490 --> 00:13:16,320 こんな状態じゃ テストなんか…》 231 00:13:16,320 --> 00:13:18,330 あっ。 232 00:13:18,330 --> 00:13:20,500 おやじ…。 (藤生)んっ? 233 00:13:20,500 --> 00:13:25,000 頼みてぇことがあるんだけど お母さんには内緒で…。 234 00:13:25,000 --> 00:13:28,500 桐…。 235 00:13:28,500 --> 00:13:31,670 お父さん そういうの大歓迎やでぇ! 236 00:13:31,670 --> 00:13:35,340 〈娘にすげなくされ ロンリーになっていた直後→ 237 00:13:35,340 --> 00:13:40,040 絶賛反抗期中の息子に頼られて 超うれしいパパであった〉 238 00:13:44,350 --> 00:13:47,850 やったぜやったぜ 久々の運動だ。 239 00:13:50,360 --> 00:13:53,160 (桐)こっちは体力あり余ってんだ。 240 00:13:55,360 --> 00:13:58,370 (桐)勉強ばっか してられるかっての。 241 00:13:58,370 --> 00:14:01,640 おやじに頼んで タダ券使わせてもらったけど→ 242 00:14:01,640 --> 00:14:03,640 わりとキレイなとこだし。 243 00:14:03,640 --> 00:14:07,640 あ~ どうしよう。 マジで入会してやろっかな~。 244 00:14:07,640 --> 00:14:11,150 〈宇崎桐 17歳 高校2年。 245 00:14:11,150 --> 00:14:16,150 水泳部に所属し 部員内でのタイムは中の上くらい。 246 00:14:16,150 --> 00:14:19,650 運動能力的にいうと まあまあである〉 247 00:14:19,650 --> 00:14:22,990 このジム シニア層が多いって言ってたけど→ 248 00:14:22,990 --> 00:14:26,330 確かに じいさんばあさんばっかりだ。 249 00:14:26,330 --> 00:14:28,330 若いヤツがいなくて→ 250 00:14:28,330 --> 00:14:31,170 俺が無双できそうなのが 特に気に入った。 251 00:14:31,170 --> 00:14:34,340 〈そして小モノである〉 252 00:14:34,340 --> 00:14:38,510 今日はとことん テスト勉強の うっぷんを晴らしてやるぜ! 253 00:14:38,510 --> 00:14:45,680 ♩~ 254 00:14:45,680 --> 00:14:49,180 《よしよし 皆さんは そんなもんでしょうね。 255 00:14:49,180 --> 00:14:53,190 じゃあ 俺は… このくらいで》 256 00:14:53,190 --> 00:14:56,360 (3人)おお! やはり若い人は違うね。 257 00:14:56,360 --> 00:14:58,530 そんな重いのでやるのかい? 258 00:14:58,530 --> 00:15:02,130 いや 普段は もっと重いのでやるんですけど→ 259 00:15:02,130 --> 00:15:05,800 部活がなくなって ちょっと なまってるんで この辺から。 260 00:15:05,800 --> 00:15:07,800 ふん! 261 00:15:07,800 --> 00:15:10,640 へ~ 普段これより 重いのでやってるのかい? 262 00:15:10,640 --> 00:15:13,140 ふん ふん…。 すごいね~。 263 00:15:13,140 --> 00:15:15,980 いやいや 大したことないですよ。 264 00:15:15,980 --> 00:15:19,650 (お年寄りたち)おお~。 265 00:15:19,650 --> 00:15:22,320 次はあれでいくか。 266 00:15:22,320 --> 00:15:24,990 〈ベンチプレスは正しい姿勢で→ 267 00:15:24,990 --> 00:15:28,320 セーフティーバーを正しくセットして 行うように〉 268 00:15:28,320 --> 00:15:30,830 おお そんな重いの持てるのかね? 269 00:15:30,830 --> 00:15:35,330 いや なまってるんで この辺からかなっと…。 270 00:15:35,330 --> 00:15:37,670 若い子はすごいねぇ。 271 00:15:37,670 --> 00:15:41,000 いやいや 大したことじゃ…。 272 00:15:41,000 --> 00:15:43,000 んっ? 273 00:15:43,000 --> 00:15:47,680 (息遣い) 274 00:15:47,680 --> 00:15:50,510 うぇええ~!? 275 00:15:50,510 --> 00:15:55,180 (桐)たまにいるんだよな めっちゃ鍛えてるじいさん。 276 00:15:55,180 --> 00:15:57,580 あの人の近くでは やらないようにしよう。 277 00:16:04,790 --> 00:16:07,800 (走る息遣い) 278 00:16:07,800 --> 00:16:09,800 おお 速いね。 279 00:16:09,800 --> 00:16:11,800 いや なまってるんでね。 280 00:16:11,800 --> 00:16:15,140 慣れてきたら もうちょっと 速くしようかと思います。 281 00:16:15,140 --> 00:16:17,970 へ~ もっと速くするのかい? 282 00:16:17,970 --> 00:16:20,640 すごいねぇ。 いやい…。 283 00:16:20,640 --> 00:16:22,640 (走る息遣い) 284 00:16:22,640 --> 00:16:24,980 んっ? 285 00:16:24,980 --> 00:16:27,480 フッフ…。 286 00:16:27,480 --> 00:16:29,480 なっ! く~! 287 00:16:31,820 --> 00:16:36,490 はぁあああ~! 288 00:16:36,490 --> 00:16:39,290 おおっ!? うわっ! 289 00:16:44,330 --> 00:16:46,330 おっ 桜井くん。 290 00:16:46,330 --> 00:16:50,000 プール 使いたいんですけど 会員なら使えるんですよね? 291 00:16:50,000 --> 00:16:53,010 もちろん 何時間でもどうぞどうぞ。 292 00:16:53,010 --> 00:16:55,680 桜井くん 経験者言うてたし→ 293 00:16:55,680 --> 00:16:59,010 せっかくやから上級コース使ってや。 294 00:16:59,010 --> 00:17:00,950 上級コース? 295 00:17:00,950 --> 00:17:02,950 入っていって右端が→ 296 00:17:02,950 --> 00:17:06,290 一通り泳げる人用の 上級コースやから。 297 00:17:06,290 --> 00:17:08,960 〈ジムごとに ルールが違うかもしれないので→ 298 00:17:08,960 --> 00:17:11,290 ちゃんと確認するように〉 299 00:17:11,290 --> 00:17:13,800 (藤生)一応レーンは分けて 札は貼ってるけど→ 300 00:17:13,800 --> 00:17:16,460 誰も使わんからもったいないんよ。 301 00:17:16,460 --> 00:17:18,800 足の弱った年配の方多いから。 302 00:17:18,800 --> 00:17:20,800 (桜井)なるほど。 303 00:17:20,800 --> 00:17:25,140 逆に人いないから 力いっぱい 泳いでも大丈夫やからね。 304 00:17:25,140 --> 00:17:27,310 安心して楽しんでおいで。 305 00:17:27,310 --> 00:17:30,110 わかりました ありがとうございます。 306 00:17:32,150 --> 00:17:34,150 《さて 桜井くん。 307 00:17:34,150 --> 00:17:37,490 あの顔色は また何かしら 悩んどるんやな。 308 00:17:37,490 --> 00:17:41,320 ンフ~ 青春よのう…。 309 00:17:41,320 --> 00:17:43,660 また 女やな》 310 00:17:43,660 --> 00:17:49,000 〈それが己の娘のこととは まだつゆ知らぬ 藤生であった〉 311 00:17:49,000 --> 00:17:53,000 クソ… なんなんだ あのじいさんばあさんは? 312 00:17:53,000 --> 00:17:56,500 まあいい 本番はこっからだ。 313 00:17:56,500 --> 00:18:00,440 ♩~ 314 00:18:00,440 --> 00:18:03,610 せっかくの屋内プール! じいさんばあさんより→ 315 00:18:03,610 --> 00:18:05,950 現役の選手に 使ってもらったほうが→ 316 00:18:05,950 --> 00:18:08,120 本望ってもんだろ! 317 00:18:08,120 --> 00:18:11,620 んっ? 《上級コース 俺だけかと思ったら→ 318 00:18:11,620 --> 00:18:14,790 なんか デカいのがいるな…。 319 00:18:14,790 --> 00:18:18,960 まあ こんな年寄りばっかのジムに 来てるようなヤツだから→ 320 00:18:18,960 --> 00:18:20,960 大したことないだろ》 321 00:18:23,800 --> 00:18:28,470 珍しく上級コースで 泳いでいる人がいるかと思ったら。 322 00:18:28,470 --> 00:18:32,140 人間ってあんなに速く泳げるんだねぇ。 323 00:18:32,140 --> 00:18:37,140 ♩~ 324 00:18:37,140 --> 00:18:39,150 ≪いや~ すごい。 325 00:18:39,150 --> 00:18:42,980 あんなに泳げたら 気分がいいだろうねぇ。 326 00:18:42,980 --> 00:18:45,820 《桐:くぅ~!》 〈そうでもなかった〉 327 00:18:45,820 --> 00:18:49,820 《桐:速ぇ~! なんだコイツ!? だんだん離されてる! 328 00:18:49,820 --> 00:18:53,660 クソ! おやじのヤツ だましやがったな! 329 00:18:53,660 --> 00:18:57,160 こんなヤツいて ストレス解消なんかできるか! 330 00:18:57,160 --> 00:18:59,930 何者か知らんが ずっと前を泳ぎやがって。 331 00:18:59,930 --> 00:19:01,940 ムカついてきた! 332 00:19:01,940 --> 00:19:05,610 チクショウ! ぜってぇ追いついてやる!》 333 00:19:05,610 --> 00:19:08,610 〈一方 桜井はというと…〉 334 00:19:08,610 --> 00:19:11,110 《頭から離れないどころか…》 335 00:19:11,110 --> 00:19:14,450 ((お前が 特別だからなのかな…。 336 00:19:14,450 --> 00:19:16,450 あぁ…)) 337 00:19:16,450 --> 00:19:19,950 《時間が経つほど だんだん重く効いてくる…》 338 00:19:19,950 --> 00:19:24,290 ((お前が 特別だからなのかな…)) 339 00:19:24,290 --> 00:19:26,290 《あああ~! 340 00:19:26,290 --> 00:19:28,960 どうして俺はあんなことを! 341 00:19:28,960 --> 00:19:32,470 はっ! 余計なこと 考えられなくなるくらい→ 342 00:19:32,470 --> 00:19:36,140 泳ぎまくるしかない! クタクタになるまで!》 343 00:19:36,140 --> 00:19:38,470 〈桜井にとってトレーニングは すっかり→ 344 00:19:38,470 --> 00:19:40,980 苦悩からの「逃避」になっていた〉 345 00:19:40,980 --> 00:19:43,480 《もっと追い込まないと!》 ((お前が 特別だからなのかな…)) 346 00:19:43,480 --> 00:19:47,150 《忘れろ 忘れろ 忘れろ!》 ((特別だからなのかな…)) 347 00:19:47,150 --> 00:19:50,320 《桐:クソ~! こうなったら 意地でも離されね~ぞ! 348 00:19:50,320 --> 00:19:53,020 絶対追いついて… 追いついて!》 349 00:19:55,160 --> 00:19:58,160 《はっ! いつの間にか後ろにいる!? 350 00:19:58,160 --> 00:20:01,160 なんだコイツ…。 351 00:20:01,160 --> 00:20:03,160 なんだコイツ… なんだコイツ…。 352 00:20:03,160 --> 00:20:06,000 なんだコイツゥ!》 353 00:20:06,000 --> 00:20:10,500 (荒い息遣い) 354 00:20:10,500 --> 00:20:13,340 《桐:結局 2回追い抜かれた…。 355 00:20:13,340 --> 00:20:16,340 めちゃくちゃなペースで泳いでたし》 356 00:20:16,340 --> 00:20:18,850 ウプッ…。 357 00:20:18,850 --> 00:20:22,850 (ドライヤーの音) 358 00:20:22,850 --> 00:20:25,190 《ちくしょう… クソ疲れた…。 359 00:20:25,190 --> 00:20:27,360 アイツ 全然休まねえし…。 360 00:20:27,360 --> 00:20:29,360 完全に俺の負け…。 361 00:20:29,360 --> 00:20:33,530 いや! テスト勉強で 体がなまってただけだし! 362 00:20:33,530 --> 00:20:36,860 全然 絶好調じゃなかったから。 363 00:20:36,860 --> 00:20:39,370 そう! 絶不調だった!》 364 00:20:39,370 --> 00:20:42,370 〈この期に及んで 言い訳を並べ立てるところが→ 365 00:20:42,370 --> 00:20:44,540 やはり 小モノなのである〉 366 00:20:44,540 --> 00:20:47,540 《桐:メンタルもフィジカルも最悪! 367 00:20:47,540 --> 00:20:49,540 部活でも大会でもないから→ 368 00:20:49,540 --> 00:20:52,880 精神的に本当の本気に なれなかっただけだし! 369 00:20:52,880 --> 00:20:58,050 そうだよ 絶好調だったら なに一つ負ける要素は…。 370 00:20:58,050 --> 00:21:00,650 アイツ! んっ…》 371 00:21:06,660 --> 00:21:09,830 あ… あ…。 372 00:21:09,830 --> 00:21:15,130 アァアアアア…。 373 00:21:17,670 --> 00:21:26,680 ♩~ 374 00:21:26,680 --> 00:21:28,850 桐くん どないしたん? 375 00:21:28,850 --> 00:21:32,350 さぁ? 帰ってきてから ずっとああしてる。 376 00:21:32,350 --> 00:21:35,860 今晩は桐の好きなものを 作ってあげるか…。 377 00:21:35,860 --> 00:21:37,860 ただいま~。 378 00:21:37,860 --> 00:21:40,860 月さんは… おらへんな? 379 00:21:40,860 --> 00:21:43,530 お母さん 今お風呂やで。 380 00:21:43,530 --> 00:21:46,030 よし おっ! 381 00:21:46,030 --> 00:21:48,040 ハッ どうやった? 桐。 382 00:21:48,040 --> 00:21:50,040 お父さんの職場は? 383 00:21:50,040 --> 00:21:54,210 入会したくなったら いつでも言うんやで。 384 00:21:54,210 --> 00:21:57,710 んっ? どしたん? なんかあったんか? 385 00:21:57,710 --> 00:22:00,150 結構設備 充実しとったやろ? 386 00:22:00,150 --> 00:22:02,150 空いとって 泳ぎやすかったやろ? 387 00:22:02,150 --> 00:22:04,490 プールの上級コース。 はっ! 388 00:22:04,490 --> 00:22:07,490 (藤生)んっ? どうしたん? 389 00:22:07,490 --> 00:22:10,830 〈絶対的な敗北感が 少年の心に→ 390 00:22:10,830 --> 00:22:13,630 深く深く 刻み込まれたという…〉