1 00:00:19,019 --> 00:00:20,645 (王太子) 今度は うまくいったようだぞ 2 00:00:20,812 --> 00:00:21,938 (鶏の鳴き声) 3 00:00:22,105 --> 00:00:26,067 (語り手) 今日も王太子は 鍛冶場で夜を明かした 4 00:00:26,985 --> 00:00:30,655 狩りと錠前作りに熱中した ルイ・オーギュストは― 5 00:00:30,822 --> 00:00:33,992 ほとんど アントワネットを 顧みなかった 6 00:00:35,076 --> 00:00:39,289 夫婦とは名ばかりの 寂しい独り寝が続く― 7 00:00:39,456 --> 00:00:42,751 悲しい マリー・アントワネットであった 8 00:00:47,589 --> 00:00:53,553 ♪~ 9 00:02:13,591 --> 00:02:18,638 ~♪ 10 00:02:36,906 --> 00:02:38,199 (マリー・アントワネット) フー… 11 00:02:44,455 --> 00:02:45,415 フフッ 12 00:02:48,459 --> 00:02:49,294 (オスカル・フランソワ・ド・ ジャルジェ) アントワネット様 13 00:02:49,419 --> 00:02:50,044 ハッ 14 00:02:50,420 --> 00:02:51,045 あっ 15 00:02:51,629 --> 00:02:52,964 どこへ行かれます 16 00:02:53,172 --> 00:02:53,923 ああ 17 00:02:54,799 --> 00:02:57,093 勉強のお時間から お逃げになりましたね 18 00:02:57,552 --> 00:03:00,555 (アントワネット) だって 楽しいことが 何にもないんですもの 19 00:03:01,598 --> 00:03:05,435 礼儀 お作法 しきたり 格式… 20 00:03:06,394 --> 00:03:09,439 ねえ オスカル 馬に乗せてちょうだい 21 00:03:09,606 --> 00:03:10,481 なりません 22 00:03:10,648 --> 00:03:12,191 お怪我(けが)をなさったら どうなさいます 23 00:03:12,734 --> 00:03:14,611 ねえ どうして王女には― 24 00:03:14,777 --> 00:03:17,822 自分の好きなことを 少しだけやる楽しみもないの? 25 00:03:18,573 --> 00:03:21,910 お察しいたしますが 王太子様にお伺いいたしませんと 26 00:03:22,201 --> 00:03:23,119 ハァ… 27 00:03:23,286 --> 00:03:26,289 王太子様は 私(わたくし)のことなど どうでもよいのです 28 00:03:26,456 --> 00:03:29,584 あの方の頭には 錠前作りのことしかないのです 29 00:03:32,503 --> 00:03:36,883 (鉄を打つ音) 30 00:03:41,596 --> 00:03:42,847 (せき込み) 31 00:03:43,014 --> 00:03:44,599 (職人たち) おおっ ああ… 32 00:03:44,974 --> 00:03:46,142 王太子様! 33 00:03:46,434 --> 00:03:48,436 ハッ あっ あ… 34 00:03:49,103 --> 00:03:50,521 こんな所へ 35 00:03:51,481 --> 00:03:55,068 (アントワネット) 毎日 こんな所で 職人のまねなんかなさって 36 00:03:55,568 --> 00:03:57,779 私とは お話ひとつ してくださらない 37 00:03:57,946 --> 00:04:01,366 あ… いや その 狩りにも行かねばならないし 38 00:04:01,532 --> 00:04:02,575 なかなか 暇が… 39 00:04:03,159 --> 00:04:06,037 私と狩りと どちらがお大事でございますか? 40 00:04:06,704 --> 00:04:08,206 それはもちろん あなたの… 41 00:04:08,373 --> 00:04:09,791 (アントワネット) だったら どうして? 42 00:04:09,958 --> 00:04:11,000 あっ そうだ 43 00:04:14,671 --> 00:04:16,631 これを あなたに 44 00:04:18,174 --> 00:04:21,844 (アントワネット) あっ お逃げになるのですか? 王太子様 45 00:04:22,011 --> 00:04:23,346 んもう! 46 00:04:24,138 --> 00:04:27,475 私がお嫌いなんですか 王太子様! 47 00:04:30,728 --> 00:04:32,730 (メルシー伯) いいですか 二度と あのような― 48 00:04:32,897 --> 00:04:34,983 はしたないまねを なさってはなりませんぞ 49 00:04:35,566 --> 00:04:38,444 ベルサイユでは お二人のことを 尾ひれをつけて― 50 00:04:38,611 --> 00:04:41,197 うわさし合おうという手合いが たくさんおります 51 00:04:41,364 --> 00:04:44,075 そういう者たちに 口実を与えてはいけません 52 00:04:44,367 --> 00:04:48,913 それに お気の弱い王太子殿下を あんなに追い詰めてはいけません 53 00:04:49,080 --> 00:04:49,747 いいですか 54 00:04:49,914 --> 00:04:52,166 よく お立場というものを お考えにならないと… 55 00:04:52,333 --> 00:04:54,252 フア~… 56 00:04:55,044 --> 00:04:56,254 アントワネット様! 57 00:04:56,421 --> 00:04:58,047 んっ んん 58 00:04:59,173 --> 00:05:01,092 (デュ・バリー夫人) ホホホホホ… 59 00:05:02,051 --> 00:05:04,554 それで? それから 赤毛のチビはどうしたの? 60 00:05:04,721 --> 00:05:06,431 (ド・トルネイユ夫人) ええ もう それは… 61 00:05:06,597 --> 00:05:08,933 王太子様に かなてこを投げつけるわ 62 00:05:09,100 --> 00:05:12,603 錠前を壊すやら そりゃ もう大変だったそうで 63 00:05:12,770 --> 00:05:14,480 (デュ・バリー夫人) オッホッホッホッ… 64 00:05:14,647 --> 00:05:17,942 目に浮かぶようだわ あの 錠前屋の顔が 65 00:05:20,653 --> 00:05:24,490 こういう面白いうわさは ぜひ 国王様のお耳に入れなくては 66 00:05:24,741 --> 00:05:28,202 (ド・トルネイユ夫人) 刃物だけが 人を殺すとは限りませんわ 67 00:05:31,581 --> 00:05:32,623 うわさというものは― 68 00:05:32,790 --> 00:05:36,252 時と場合によっては 命取りになりますもの 69 00:05:36,419 --> 00:05:37,420 命取りに? 70 00:05:38,254 --> 00:05:43,384 はい 誇りというものを大切にする 人間にとっては でございます 71 00:05:44,802 --> 00:05:48,347 フフフフハハハハ… 72 00:06:00,568 --> 00:06:02,653 (王太子) オスカル わたしには 分からないんだ 73 00:06:02,820 --> 00:06:03,446 はっ? 74 00:06:03,654 --> 00:06:07,492 あの人が あんまりきれいで かわいらしくて その… 75 00:06:07,658 --> 00:06:09,827 どうやって 話をしたらいいのか 76 00:06:10,161 --> 00:06:13,706 あの人は 何をやっても 何を言ってもすばらしいのに 77 00:06:13,873 --> 00:06:14,999 わたしときたら― 78 00:06:15,166 --> 00:06:18,711 背は低いし 足は短いし おなかは出ているし 79 00:06:18,878 --> 00:06:21,005 本当は とても 愛しているんだけど… 80 00:06:23,049 --> 00:06:25,551 人には言わないでもらいたいんだ こんなこと 81 00:06:25,802 --> 00:06:27,261 (オスカル) 分かっております 82 00:06:28,471 --> 00:06:31,766 私は 王太子ご夫妻をお守りする 近衛兵でございます 83 00:06:32,100 --> 00:06:32,975 (侍従)キツネです! 84 00:06:33,101 --> 00:06:33,726 (王太子)おっ 85 00:06:33,893 --> 00:06:36,187 (侍従) キツネを追い詰めましたぞ! 86 00:06:36,437 --> 00:06:37,814 さあ お早く 殿下 87 00:06:37,980 --> 00:06:38,940 あっ ああ 88 00:06:42,944 --> 00:06:44,737 (オスカル) お気の毒な殿下 89 00:06:45,071 --> 00:06:47,824 ご自分の感情のままに 振る舞われる妃殿下とは― 90 00:06:47,990 --> 00:06:50,201 あまりにも違いすぎるご気性 91 00:06:50,409 --> 00:06:53,955 殿下の お優しさは きっと誰からも理解されまい 92 00:06:54,705 --> 00:06:55,623 ターッ 93 00:07:01,170 --> 00:07:03,297 (貴婦人たち)わあっ 94 00:07:05,842 --> 00:07:07,468 (ラ・バール夫人) まあ なんて見事な 95 00:07:07,635 --> 00:07:09,512 (ローラン夫人) 王太子殿下の 腕のおよろしいこと 96 00:07:09,762 --> 00:07:11,305 (貴婦人A) きれいな毛並みですこと 97 00:07:11,472 --> 00:07:14,016 (貴婦人B) ほんと 取りたての ホヤホヤざますわ 98 00:07:14,183 --> 00:07:16,686 (ラ・バール夫人) ステキなボンネットと マフができますわ 妃殿下 99 00:07:16,853 --> 00:07:18,271 (ローラン夫人) それよりケープになさったら? 100 00:07:18,438 --> 00:07:21,190 白いお肌が いっそう引き立つと存じますわ 101 00:07:21,566 --> 00:07:26,195 ボンネットは92個 ケープは188枚 持っていますわ 102 00:07:26,362 --> 00:07:27,697 まあ うらやましい 103 00:07:28,030 --> 00:07:29,282 このケープをお召しになって― 104 00:07:29,449 --> 00:07:30,992 オペラ座の仮面舞踏会に いらしたら― 105 00:07:31,159 --> 00:07:33,494 コサックの女兵士のように お見えになりますわ 106 00:07:33,661 --> 00:07:36,205 まあ 仮面舞踏会ですって? 107 00:07:36,456 --> 00:07:41,169 (馬が駆ける音) 108 00:07:44,630 --> 00:07:45,798 (ジャルジェ夫人) オスカル 109 00:07:46,632 --> 00:07:47,300 母上 110 00:07:47,800 --> 00:07:51,471 アントワネット様が さっきから あちらでお待ちですよ 111 00:07:56,809 --> 00:07:58,603 妃殿下 オスカル 参りました 112 00:07:59,145 --> 00:08:00,271 シーッ オスカル 113 00:08:00,938 --> 00:08:01,731 は? 114 00:08:02,148 --> 00:08:04,108 これから お忍びで パリに遊びにゆくの 115 00:08:04,275 --> 00:08:05,776 オペラ座の仮面舞踏会へ 116 00:08:06,152 --> 00:08:08,654 そんな! 国王陛下の お許しも得ずに… 117 00:08:09,155 --> 00:08:11,365 (アントワネット) 大丈夫 仮面を付けるんですもの 118 00:08:11,532 --> 00:08:13,701 王太子妃だって 分かりゃしないわ 119 00:08:14,494 --> 00:08:17,538 護衛として一緒に来て ねっ オスカル 120 00:08:18,289 --> 00:08:19,373 妃殿下 いけません 121 00:08:19,540 --> 00:08:20,500 商人や芸人など― 122 00:08:20,666 --> 00:08:22,877 身分の低い者たちも 集まると聞いています 123 00:08:23,044 --> 00:08:24,337 そんな いかがわしい場所へ 124 00:08:24,504 --> 00:08:26,047 ちょっとのぞいてみるだけよ 125 00:08:26,214 --> 00:08:27,381 さあ やってちょうだい 126 00:08:27,548 --> 00:08:29,300 妃殿下 お待ちください 127 00:08:32,720 --> 00:08:38,559 (弦楽器の演奏) 128 00:08:42,813 --> 00:08:45,233 (貴族A) なんてすばらしい踊り方だ お名前は? 129 00:08:45,399 --> 00:08:48,277 まあ それは 申し上げられませんわ 130 00:08:48,444 --> 00:08:49,362 今夜 あなたを さらっていってしまいたい 131 00:08:49,362 --> 00:08:50,154 今夜 あなたを さらっていってしまいたい 132 00:08:49,362 --> 00:08:50,154 (アントワネット) ウフッ ウフフ… 133 00:08:50,154 --> 00:08:51,447 (アントワネット) ウフッ ウフフ… 134 00:08:51,572 --> 00:08:52,198 ああ 135 00:09:02,333 --> 00:09:03,084 あっ 136 00:09:07,338 --> 00:09:10,550 ハァ ハァ… 137 00:09:10,716 --> 00:09:12,927 胸が はじけそうに苦しい 138 00:09:13,344 --> 00:09:14,011 ああ 139 00:09:15,137 --> 00:09:17,181 こんな楽しい世界が あったなんて 140 00:09:17,348 --> 00:09:20,351 ここにいると 王太子妃という身分を忘れられる 141 00:09:20,518 --> 00:09:23,854 宮廷の生活に比べたら 夢のようだわ 142 00:09:24,605 --> 00:09:25,231 (ハンス・アクセル・フォン・ フェルゼン) お嬢さん 143 00:09:25,398 --> 00:09:26,315 ああ 144 00:09:26,482 --> 00:09:27,567 (フェルゼン)失礼 145 00:09:28,442 --> 00:09:31,654 お嬢さん どうか あの… 次の ダンスを 146 00:09:42,498 --> 00:09:44,125 さぞや 高貴なお生まれ 147 00:09:44,292 --> 00:09:47,837 できますれば そのマスクの下に 隠された 優雅な顔(かんばせ)をひと目 148 00:09:48,421 --> 00:09:49,672 いえ こっ これは… 149 00:09:51,299 --> 00:09:52,049 あっ 150 00:09:53,009 --> 00:09:53,718 ハッ 151 00:10:04,312 --> 00:10:05,896 想像以上だ 152 00:10:06,063 --> 00:10:10,443 なんという瞳 なんという唇 なんという肌の色 153 00:10:10,610 --> 00:10:11,902 一体 この少女は… 154 00:10:16,073 --> 00:10:18,117 若僧 名を名乗れ 155 00:10:18,576 --> 00:10:20,036 身分は? 地位は? 156 00:10:20,870 --> 00:10:22,038 (アントワネット) オスカル 157 00:10:22,580 --> 00:10:24,165 人に名を尋ねる時は― 158 00:10:24,332 --> 00:10:27,543 そちらから先に名乗るのが 礼儀だと思うが? 159 00:10:29,545 --> 00:10:31,714 オスカル・ フランソワ・ド・ジャルジェ 160 00:10:31,881 --> 00:10:33,424 フランス近衛隊 隊長だ 161 00:10:34,383 --> 00:10:36,719 わたしは ハンス・アクセル・ フォン・フェルゼン 162 00:10:36,886 --> 00:10:38,262 スウェーデン人だ 163 00:10:38,429 --> 00:10:39,639 身分は伯爵 164 00:10:39,805 --> 00:10:41,891 留学中なので 帰国するまで地位はない 165 00:10:42,350 --> 00:10:44,226 よし では フォン・フェルゼン 166 00:10:45,061 --> 00:10:46,896 このお方と お話がしたければ― 167 00:10:47,063 --> 00:10:49,899 ベルサイユ宮へ来て 正式に謁見(えっけん)を申し込まれるがよい 168 00:10:50,441 --> 00:10:51,317 ん? 169 00:10:51,817 --> 00:10:56,322 このお方は フランス王太子妃殿下 マリー・アントワネット様だ 170 00:10:56,947 --> 00:10:59,075 ア… アントワネット様 171 00:10:59,950 --> 00:11:02,328 存じ上げずに 失礼いたしました 172 00:11:03,245 --> 00:11:07,541 フェルゼン様ですね お名前 覚えておきますよ 173 00:11:16,258 --> 00:11:18,469 女官長 すぐに 馬車の用意をいたせ 174 00:11:19,970 --> 00:11:25,434 (語り手) その時 共に18歳であった 若き2人のまなざしの中に 175 00:11:25,601 --> 00:11:28,562 一瞬 きらめいたものは 何だったろうか 176 00:11:29,522 --> 00:11:31,774 王妃の地位を約束され― 177 00:11:31,941 --> 00:11:34,777 ただ 退屈することだけを 恐れていればよい― 178 00:11:35,069 --> 00:11:37,488 ベルサイユ一(いち)の美人と― 179 00:11:37,905 --> 00:11:42,076 北欧の貴公子との 歴史的 愛の第一幕は― 180 00:11:42,243 --> 00:11:45,079 2人自身にも そうと気づかぬうちに― 181 00:11:45,246 --> 00:11:47,456 始まっていたのである 182 00:11:54,046 --> 00:11:57,466 (デュ・バリー夫人) フフフフ… 183 00:11:57,633 --> 00:12:00,469 とうとう尻尾を出したわ あの小娘 184 00:12:00,636 --> 00:12:02,888 王家の生まれか何か 知らないけど 185 00:12:03,055 --> 00:12:05,766 やることはチャラチャラした 遊び女とおんなじじゃないの 186 00:12:06,225 --> 00:12:09,770 (貴婦人A) でも 少しやけますわ フェルゼン伯がご執心と聞くと 187 00:12:09,937 --> 00:12:14,108 (貴婦人B) そう あの方はダンスは上手だし ハンサムだしステキだわ 188 00:12:14,275 --> 00:12:16,193 (貴婦人A) もう これで 3回目のご謁見ね 189 00:12:16,360 --> 00:12:19,196 (貴婦人B) いいのかしら 王太子様は アントワネット様をほっといて 190 00:12:19,697 --> 00:12:22,533 (貴婦人C) ねえねえ また来たわよ 例のスウェーデン人が 191 00:12:22,700 --> 00:12:23,617 フェルゼン伯が? 192 00:12:23,784 --> 00:12:24,618 行ってみましょう 193 00:12:24,785 --> 00:12:26,036 ウフフフ… 194 00:12:29,123 --> 00:12:30,332 (デュ・バリー夫人) フフフフ… 195 00:12:31,584 --> 00:12:33,419 悪いうわさだけでも― 196 00:12:33,586 --> 00:12:36,505 人を殺すと いつか あなたは おっしゃったわね 197 00:12:36,672 --> 00:12:38,966 もし それが スキャンダルに発展すれば― 198 00:12:39,133 --> 00:12:41,260 王太子妃は おしまいですわ 199 00:12:44,180 --> 00:12:47,641 その上に動かぬ証拠が あったとしたら… 200 00:13:06,827 --> 00:13:08,537 (ラ・バール夫人) あの フェルゼン様 201 00:13:09,663 --> 00:13:12,541 白夜って 本当に 一日中 昼間ばっかりですの? 202 00:13:12,917 --> 00:13:17,129 そう ごく短い期間 北部ではそういう現象が起きます 203 00:13:17,296 --> 00:13:19,840 でも 住民が 睡眠不足になったという報告は― 204 00:13:20,007 --> 00:13:21,050 聞いておりませんね 205 00:13:21,258 --> 00:13:22,384 (ラ・バール夫人) まあ オホホ 206 00:13:22,551 --> 00:13:24,011 お上手ですこと (アントワネット)ウフフ… 207 00:13:24,178 --> 00:13:28,349 (アントワネットたちの笑い声) 208 00:13:28,516 --> 00:13:29,391 お前 このごろ― 209 00:13:29,558 --> 00:13:32,394 アントワネット様のご様子に 何か気づいたことはないか? 210 00:13:33,020 --> 00:13:35,856 (アンドレ・グランディエ) いいや 別に 相変わらず 気まぐればっかり 211 00:13:36,023 --> 00:13:37,691 しょっちゅう ノアイユ夫人からお小言だ 212 00:13:38,817 --> 00:13:41,612 そうか お前が気づかないのなら― 213 00:13:41,779 --> 00:13:43,697 まだ 心配することは なさそうだな 214 00:13:44,323 --> 00:13:45,616 あの フェルゼンとかいう男か? 215 00:13:46,450 --> 00:13:49,245 (オスカル) アントワネット様は このベルサイユには珍しく― 216 00:13:49,411 --> 00:13:51,497 ご自分の感情に正直なお方だ 217 00:13:51,664 --> 00:13:54,959 そのことが どんなにご自身を 危険にさらすことになるか… 218 00:13:55,125 --> 00:13:57,253 ベルサイユで 作法やしきたりを無視して― 219 00:13:57,419 --> 00:14:01,382 人間らしく無邪気に振る舞えば それは 孤立か追放を意味する 220 00:14:01,549 --> 00:14:03,717 そんな事態が起こらねばよいが 221 00:14:04,802 --> 00:14:06,887 さすが鋭い 女の直感だな 222 00:14:08,264 --> 00:14:09,598 おっと これは失言 223 00:14:09,765 --> 00:14:12,685 オスカル・フランソワ・ド・ ジャルジェは男の中の男だったな 224 00:14:12,851 --> 00:14:14,687 冗談を言ってる場合ではないぞ 225 00:14:15,271 --> 00:14:17,773 アンドレ これからは 今まで以上に注意して― 226 00:14:17,940 --> 00:14:20,276 アントワネット様の おそばに付いていてくれ 227 00:14:20,442 --> 00:14:22,361 悪いうわさが立ってからでは 遅いからな 228 00:14:22,695 --> 00:14:23,529 うん 229 00:14:44,049 --> 00:14:45,092 (馬のいななき) 230 00:14:45,259 --> 00:14:46,594 (ジェローデル) ん? 231 00:14:58,814 --> 00:15:01,734 こんな時間に どうして あんな格好をして… 232 00:15:11,160 --> 00:15:11,785 あっ 233 00:15:23,505 --> 00:15:24,924 (ラザーニ)ああ… 234 00:15:26,425 --> 00:15:29,845 この筆跡をまねて 恋文を書けばよろしいのですな? 235 00:15:30,262 --> 00:15:31,597 熱烈なのをね 236 00:15:31,889 --> 00:15:34,475 あんまり上手な字ではないな 237 00:15:34,642 --> 00:15:37,811 ううん やりにくい仕事だ 238 00:15:37,978 --> 00:15:39,271 1,200リーブルで 239 00:15:40,022 --> 00:15:44,151 特に この アントワネットという サインが難しい 240 00:15:44,318 --> 00:15:45,694 1,400 241 00:15:45,903 --> 00:15:48,948 文章を練るのに 3日はかかるなあ 242 00:15:49,114 --> 00:15:52,785 (デュ・バリー夫人) 今晩中にやりなさい その代わり 2,000リーブル 243 00:15:53,744 --> 00:15:55,537 (ラザーニ)フッ フフフ… 244 00:15:55,704 --> 00:15:58,540 分かりました では 今晩中に 245 00:16:21,730 --> 00:16:22,898 (ド・トルネイユ夫人) 〝ゆうべの あなた様の―〞 246 00:16:23,065 --> 00:16:25,609 〝熱いお言葉 優しいまなざし〞 247 00:16:25,859 --> 00:16:26,860 ウッフフフフ… 248 00:16:26,860 --> 00:16:28,195 ウッフフフフ… 249 00:16:26,860 --> 00:16:28,195 (女官の笑い声) 250 00:16:28,195 --> 00:16:29,321 (女官の笑い声) 251 00:16:46,714 --> 00:16:47,423 あっ 252 00:16:49,842 --> 00:16:50,467 ハッ 253 00:16:51,093 --> 00:16:52,219 “フェルゼン様” 254 00:16:52,720 --> 00:16:53,929 “アントワネット” 255 00:17:09,945 --> 00:17:10,988 (オスカル)フェルゼン 256 00:17:13,282 --> 00:17:15,367 わたしの母が拾ったから いいようなものの 257 00:17:15,534 --> 00:17:17,995 他の人の目に触れたら どうなると思う? 258 00:17:19,538 --> 00:17:20,456 何だ? これは 259 00:17:20,998 --> 00:17:23,876 とぼけるな 妃殿下が 貴様に書かれたご返事だ 260 00:17:24,168 --> 00:17:27,755 え? いや わたしは 手紙など書いた覚えはないぞ 261 00:17:28,255 --> 00:17:29,173 卑怯(ひきょう)者 262 00:17:29,339 --> 00:17:32,384 紛れもなく 貴様宛てに書かれた 妃殿下のご返事だ 263 00:17:33,010 --> 00:17:35,971 “昨夜のあなた様の 熱いお言葉 優しいまなざし―” 264 00:17:36,138 --> 00:17:37,848 “忘れられずにおります” 265 00:17:39,183 --> 00:17:39,892 バ… バカな 266 00:17:40,267 --> 00:17:41,518 なんということを 267 00:17:41,685 --> 00:17:43,729 妃殿下に 卑怯な振る舞いをしたあげく― 268 00:17:43,896 --> 00:17:45,481 愚弄するつもりか! 269 00:17:47,316 --> 00:17:48,442 ま… 待ってくれ オスカル 270 00:17:48,859 --> 00:17:51,987 この期に及んで命乞いか 女々しいぞ フェルゼン 271 00:17:52,488 --> 00:17:54,156 わたしは やましいことはしていない 272 00:17:54,323 --> 00:17:55,949 それは 神にかけて誓う 273 00:17:56,366 --> 00:17:58,744 では この手紙を どう説明する? 274 00:17:58,911 --> 00:18:00,537 紛れもなく妃殿下の筆跡だぞ 275 00:18:00,788 --> 00:18:03,082 わたしには分からない だが信じてくれ 276 00:18:03,248 --> 00:18:05,334 アントワネット様に ひそかにお目にかかったり― 277 00:18:05,501 --> 00:18:07,753 恋文を差し上げたりしたことは 絶対にない 278 00:18:14,009 --> 00:18:16,095 (アンドレ) オスカル 待てーっ 279 00:18:18,889 --> 00:18:19,807 おっと 280 00:18:20,682 --> 00:18:23,685 隊長 剣をお収めください その手紙は偽物です 281 00:18:24,061 --> 00:18:26,438 (オスカル) 偽物? どういうことだ 282 00:18:30,109 --> 00:18:30,984 (ドアをたたく音) 283 00:18:31,151 --> 00:18:32,778 (オスカル) 開けろ! ラザーニ 284 00:18:49,128 --> 00:18:51,547 しまった 口を封じられたか 285 00:18:51,713 --> 00:18:53,423 責めようにも証人はいない 286 00:18:59,346 --> 00:19:00,097 あっ 287 00:19:00,305 --> 00:19:02,307 隊長! ちょっと見てください 288 00:19:03,183 --> 00:19:04,643 (オスカル) 〝恋しいフェルゼン様〞 289 00:19:04,810 --> 00:19:06,019 〝お手紙 うれしく拝見…〞 290 00:19:06,603 --> 00:19:08,772 同じ文面です 例の手紙と 291 00:19:08,939 --> 00:19:11,984 あいつの仕業と分かっていながら 死人に口なしか 292 00:19:14,319 --> 00:19:16,488 いや もう1人いるぞ 証人が 293 00:19:16,655 --> 00:19:17,865 (衝撃音) 294 00:19:19,575 --> 00:19:21,076 (アンドレ)おおっ (オスカル)あっ 295 00:19:21,910 --> 00:19:22,536 わあっ 296 00:19:22,703 --> 00:19:23,328 ああっ 297 00:19:24,955 --> 00:19:26,373 しまった 謀られた 298 00:19:28,667 --> 00:19:29,918 (アンドレ) 誰だ? こんな… 299 00:19:30,335 --> 00:19:31,753 窓だ 窓を破れ 300 00:19:32,379 --> 00:19:33,672 ええい 301 00:19:41,263 --> 00:19:41,889 (オスカル・ジェローデル) あっ 302 00:19:43,557 --> 00:19:45,267 しかたがない 川へ飛び込め 303 00:19:46,101 --> 00:19:47,102 (アンドレ・ジェローデル) ああっ 304 00:19:47,269 --> 00:19:48,562 トーッ 305 00:19:57,404 --> 00:19:58,989 恐ろしいお方だ 306 00:19:59,156 --> 00:20:01,575 証拠を消すためには 手段を選ばぬ 307 00:20:01,742 --> 00:20:03,493 恐らく もう1人の証人も… 308 00:20:03,994 --> 00:20:05,871 (ド・トルネイユ夫人) ううっ ああっ 309 00:20:24,389 --> 00:20:28,185 (デュ・バリー夫人) ホホホホ… ホホホホ… 310 00:20:28,810 --> 00:20:29,436 あっ 311 00:20:31,897 --> 00:20:34,399 あら ごきげんよう オスカル隊長 312 00:20:34,691 --> 00:20:36,526 (オスカル) 昨日(さくじつ) フォーンブルの川岸で― 313 00:20:36,693 --> 00:20:38,862 火事がございましたが ご存じですか? 314 00:20:39,029 --> 00:20:40,364 (デュ・バリー夫人) いいえ 存じませんわ 315 00:20:40,530 --> 00:20:42,491 でも 火事は 恐ろしゅうございますわね 316 00:20:42,866 --> 00:20:44,660 その現場から ラザーニという― 317 00:20:44,826 --> 00:20:47,913 偽手紙専門の男が 焼死体で発見されました 318 00:20:48,080 --> 00:20:49,414 まあ 怖い 319 00:20:49,581 --> 00:20:51,583 それで? それが どうかしまして? 320 00:20:52,459 --> 00:20:54,586 現場にこのような物が 落ちておりました 321 00:20:54,753 --> 00:20:58,298 これと同じ物を この ベルサイユ宮殿で見た者がおります 322 00:20:58,799 --> 00:21:01,802 それが 私と 何の関わりがありますの? 323 00:21:02,052 --> 00:21:04,972 ない… ないのでしょう! だが これから先― 324 00:21:05,138 --> 00:21:07,266 このような物が 見つからないことを望みます 325 00:21:12,271 --> 00:21:15,983 ただ これだけは はっきり申し上げておきます 326 00:21:16,275 --> 00:21:18,068 この近衛隊長 オスカルは― 327 00:21:18,235 --> 00:21:22,572 どんな策謀からも 命懸けで 王太子妃様をお守りいたします 328 00:21:24,908 --> 00:21:26,326 失礼しました 329 00:21:34,126 --> 00:21:39,756 (ハープの演奏) 330 00:22:01,820 --> 00:22:03,030 (オスカル)妃殿下… 331 00:22:03,613 --> 00:22:06,616 あなたは ご自分の 感情に正直すぎます 332 00:22:06,783 --> 00:22:10,454 あまりにも美しく 天使のように無邪気であられる 333 00:22:10,912 --> 00:22:13,498 人を疑わぬ そのお心を利用し― 334 00:22:13,665 --> 00:22:16,543 陥れようとする人間が いかに多いか… 335 00:22:17,377 --> 00:22:20,672 このまま 何事もなく 過ぎ去ればよいが 336 00:22:32,851 --> 00:22:38,231 ♪~ 337 00:23:38,166 --> 00:23:43,839 ~♪