1 00:00:37,490 --> 00:00:39,450 (カイル) おい リオン 見てみろよ 2 00:00:39,910 --> 00:00:43,870 大陸中から来た女たちが こっちに向かってくるぜ 3 00:00:44,740 --> 00:00:46,450 (リオン)ただの代筆屋だろ? 4 00:00:46,750 --> 00:00:49,290 (カイル)ああ 自動手記人形な 5 00:00:49,410 --> 00:00:52,750 客のためだけに 美しい言葉を書き出してくれる 6 00:00:52,880 --> 00:00:54,550 美しい女たちだ 7 00:00:55,130 --> 00:00:57,090 (リオン) フンッ 美しく飾るのは 8 00:00:57,630 --> 00:01:02,640 金持ちとの結婚を夢見る女がなる 職業だからだと聞いたがな 9 00:01:06,270 --> 00:01:09,690 (リオン)請われれば 世界のどこへでも出向き― 10 00:01:10,060 --> 00:01:13,020 代筆という技を売り歩く女たち 11 00:01:13,560 --> 00:01:16,360 そのドールという職業を― 12 00:01:16,480 --> 00:01:19,900 俺は最初 訳も分からず嫌悪し― 13 00:01:21,070 --> 00:01:25,160 そして いらだつ自分に 戸惑っていた 14 00:01:26,540 --> 00:01:31,540 ♪~ 15 00:02:51,040 --> 00:02:56,040 ~♪ 16 00:03:08,260 --> 00:03:09,300 (ブルーベル)ヴァイオレット 17 00:03:09,810 --> 00:03:11,680 (イベリス) 久しぶりね 元気してた? 18 00:03:12,270 --> 00:03:14,270 (ヴァイオレット) ブルーベルさん イベリスさん 19 00:03:15,520 --> 00:03:16,650 ルクリア 20 00:03:16,770 --> 00:03:18,190 (ルクリア)ヴァイオレット 21 00:03:18,310 --> 00:03:22,320 ドロッセル王国の王女様の代筆 ステキだったわ 22 00:03:22,440 --> 00:03:23,490 (イベリス)ホント 23 00:03:23,820 --> 00:03:25,700 私も記事 読んだわよ 24 00:03:25,820 --> 00:03:28,490 あなたが知り合いなんて 鼻が高いわ 25 00:03:30,450 --> 00:03:31,700 どうしたの? 26 00:03:31,830 --> 00:03:34,000 (ヴァイオレット) いえ ありがとうございます 27 00:03:34,830 --> 00:03:38,500 大丈夫? ちょっと元気がないみたいだけど 28 00:03:42,170 --> 00:03:43,630 ヴァイオレット 29 00:03:44,130 --> 00:03:46,380 (ルベリエ)えー 皆様 30 00:03:46,930 --> 00:03:49,890 私は このユースティティア天文台 31 00:03:50,510 --> 00:03:54,390 シェヘル天文本部の課長 ルベリエと申します 32 00:03:56,180 --> 00:03:58,730 (ドールたち) お初にお目にかかります 旦那様 33 00:03:58,850 --> 00:04:00,560 (職員たちのどよめき) 34 00:04:00,900 --> 00:04:01,610 (せきばらい) 35 00:04:02,270 --> 00:04:04,150 (ルベリエ) このシェヘル天文本部は― 36 00:04:04,650 --> 00:04:08,990 ご覧のように 古今東西の 天文に関する書物を集めた― 37 00:04:09,110 --> 00:04:11,410 図書館を併設しております 38 00:04:11,830 --> 00:04:13,620 我が写本課の職員は 39 00:04:13,740 --> 00:04:16,580 本 1冊1冊の状態を 日々 保ち 40 00:04:16,710 --> 00:04:18,500 もし朽ちるものがあれば 41 00:04:18,620 --> 00:04:22,290 そこに記された記録を写し取って 保存するという 42 00:04:22,420 --> 00:04:24,920 とても重要な仕事を 担っております 43 00:04:25,550 --> 00:04:27,170 まあ それだけであれば― 44 00:04:27,300 --> 00:04:29,930 写本課の人員だけで 事足りたのですが 45 00:04:30,220 --> 00:04:33,260 先月 当方に大変貴重な 46 00:04:33,390 --> 00:04:36,350 けれど 非常に保存状態の 悪い書物が 47 00:04:36,480 --> 00:04:38,440 大量に運び込まれました 48 00:04:38,730 --> 00:04:42,860 中には 一度ページをめくれば 崩れてしまうようなものまで― 49 00:04:42,980 --> 00:04:44,190 含まれておりました 50 00:04:45,190 --> 00:04:48,700 自動手記人形の皆様 80名 51 00:04:48,820 --> 00:04:51,070 我が写本課の職員 80名 52 00:04:51,740 --> 00:04:56,830 双方1名ずつがペアとなり 解読と代筆を担当いたします 53 00:04:57,450 --> 00:04:58,910 期間は2週間 54 00:04:59,040 --> 00:05:03,590 失うことの許されない貴重な記録を 後の世代に残すため― 55 00:05:03,960 --> 00:05:07,340 皆様 どうか よろしくお願いいたします 56 00:05:08,920 --> 00:05:11,010 (ルベリエ)えー 次 57 00:05:11,130 --> 00:05:12,340 カイル・ゼーニヒ 58 00:05:13,350 --> 00:05:17,470 フジミ郵便局 イベリス・コノウエ様 59 00:05:21,310 --> 00:05:23,440 よろしくお願いします 旦那様 60 00:05:23,560 --> 00:05:25,650 あっ ああ… よろしく 61 00:05:26,110 --> 00:05:29,280 (ルベリエ) 次 リオン・ステファノティス 62 00:05:29,400 --> 00:05:30,860 CH郵便社― 63 00:05:31,950 --> 00:05:34,990 ヴァイオレット・ エヴァーガーデン様 64 00:05:44,960 --> 00:05:46,670 (ヴァイオレット) お初にお目にかかります 65 00:05:47,210 --> 00:05:50,800 お客様がお望みなら どこでも駆けつけます 66 00:05:51,300 --> 00:05:53,550 自動手記人形サービス 67 00:05:56,510 --> 00:05:58,470 ヴァイオレット・ エヴァーガーデンです 68 00:05:58,890 --> 00:06:00,730 あっ ああ… 69 00:06:07,320 --> 00:06:08,150 旦那様? 70 00:06:09,030 --> 00:06:11,030 どうしたかね? リオン君 71 00:06:11,530 --> 00:06:13,200 あっ ああ… 72 00:06:14,030 --> 00:06:15,990 いえ 別に 73 00:06:18,200 --> 00:06:19,040 次… 74 00:06:23,960 --> 00:06:25,250 (ドアが開く音) 75 00:06:28,500 --> 00:06:29,630 いい! 座ってろ 76 00:06:30,420 --> 00:06:32,170 (ヴァイオレット) 失礼いたしました 77 00:06:32,510 --> 00:06:33,550 (リオン)いい 78 00:06:37,010 --> 00:06:37,930 では 手始めに 79 00:06:38,470 --> 00:06:40,810 共通古典語で書かれた この本からだ 80 00:06:41,520 --> 00:06:45,810 400年前に観測された アリー彗星(すいせい)についての記述から入る 81 00:06:46,270 --> 00:06:47,730 アリー彗星? 82 00:06:47,860 --> 00:06:48,980 (リオン)そうだ 83 00:06:49,110 --> 00:06:50,610 このアリー彗星は 84 00:06:50,730 --> 00:06:53,450 ちょうど200年周期で巡ってくる 彗星なんだ 85 00:06:53,950 --> 00:06:57,450 まもなく ここシャヘル天文台でも 観測される予定だ 86 00:06:59,280 --> 00:07:00,330 了解しました 87 00:07:02,660 --> 00:07:04,460 (リオン)では 始める (ヴァイオレット)はい 88 00:07:05,040 --> 00:07:06,960 言っておくが 俺は解読が速い 89 00:07:07,540 --> 00:07:11,130 記述が追いつかないようなら お前は無用の長物と… 90 00:07:12,380 --> 00:07:13,220 ハッ! 91 00:07:14,590 --> 00:07:15,970 心得ております 92 00:07:16,090 --> 00:07:16,760 あっ… 93 00:07:18,510 --> 00:07:20,720 な… なら お手並み拝見だ 94 00:07:24,310 --> 00:07:26,650 “暗き天より出(い)でし その光の矢” 95 00:07:26,770 --> 00:07:29,980 “長き尾を引きて 聖バルバロッサの首を刈りき―” 96 00:07:30,110 --> 00:07:32,400 “故 アリアドナ占星術師 いわく―” 97 00:07:32,530 --> 00:07:35,070 “光の矢 不吉の前触れなり” 98 00:07:35,200 --> 00:07:38,620 “その輝く光の過ぎしあと 疫病 蔓延(まんえん)し―” 99 00:07:38,740 --> 00:07:40,330 “王の崩御が国を揺るがす” 100 00:07:41,450 --> 00:07:45,120 “聖バルバロッサも また 同じく光の矢に射ぬかれて―” 101 00:07:45,250 --> 00:07:48,170 “その魂と躯(むくろ)を 引き剥がされしか…” 102 00:07:50,590 --> 00:07:52,300 “光の矢の出現は―” 103 00:07:52,420 --> 00:07:54,670 “アリアドナの言葉によらば 過去にもあり” 104 00:07:55,220 --> 00:07:57,880 “光の矢のゆえんは 妖精国の王―” 105 00:07:58,010 --> 00:08:00,100 “ラインハルトの 嫁取りともいい” 106 00:08:00,220 --> 00:08:02,760 “この光に際して死せる 高貴なる者” 107 00:08:02,890 --> 00:08:04,810 “女は ラインハルトの側妃(そくひ)に” 108 00:08:04,930 --> 00:08:08,230 “男は 祝福の宴(うたげ)の 貢ぎ物とされるなり” 109 00:08:09,350 --> 00:08:10,520 んっ… 110 00:08:11,060 --> 00:08:11,770 あっ… 111 00:08:17,700 --> 00:08:20,120 “されば その別離は 悲劇にあらず” 112 00:08:20,910 --> 00:08:25,540 “永遠の刻(とき) 流れる妖精の国にて 新たな器を授かりて―” 113 00:08:25,660 --> 00:08:28,620 “その魂は 未来永劫(えいごう) 守られるが故に…” 114 00:08:30,500 --> 00:08:33,380 旦那様 どうぞ お続けください 115 00:08:34,090 --> 00:08:37,880 う… うむ どうやら ついてこられるようだな 116 00:08:38,260 --> 00:08:41,510 “されど 高貴なる者の死は 民を騒がしむ” 117 00:08:41,970 --> 00:08:45,140 “光の矢 走る姿を見る者は 奇行 多し…” 118 00:08:49,230 --> 00:08:51,520 (ベルの音) 119 00:08:51,650 --> 00:08:53,440 今日は ここまでだ 120 00:08:53,570 --> 00:08:55,190 (ヴァイオレット)144枚 121 00:08:55,320 --> 00:08:56,320 旦那様 122 00:08:56,780 --> 00:08:59,320 予定のおよそ3日分の 仕事量です 123 00:08:59,950 --> 00:09:01,700 すばらしい お仕事ぶりです 124 00:09:03,830 --> 00:09:04,700 あっ そう 125 00:09:05,240 --> 00:09:08,710 (ルベリエ)本日の進行は 皆さん 非常に順調です 126 00:09:09,160 --> 00:09:12,670 最大で3日分 進んだ ペアもおります 127 00:09:12,790 --> 00:09:17,090 この調子で ぜひ明日からの作業も 頑張ってください 128 00:09:22,550 --> 00:09:23,720 (リオン)なあ― 129 00:09:23,850 --> 00:09:26,010 何で あれだけの 代筆をこなして― 130 00:09:26,140 --> 00:09:27,720 そんなに元気なんだ? 131 00:09:27,850 --> 00:09:28,810 (ヴァイオレット)代筆は― 132 00:09:28,930 --> 00:09:32,060 移動に比べれば さほど疲労することはありません 133 00:09:32,440 --> 00:09:34,980 私たちドールは いつでも どこでも 134 00:09:35,110 --> 00:09:38,400 お客様のお望みであれば 駆けつけるのが仕事です 135 00:09:38,530 --> 00:09:41,360 1年のほとんどは 旅行かばんを手に 136 00:09:41,490 --> 00:09:43,320 あらゆる交通手段で移動します 137 00:09:43,910 --> 00:09:47,330 何で そんな大変な仕事を してるんだよ 138 00:09:48,200 --> 00:09:52,170 私に与えられた役目だからです 139 00:09:54,250 --> 00:09:56,540 最初は任務だと思っておりました 140 00:09:56,670 --> 00:10:01,130 ですが いろいろなお客様のもとで その思いを紡ぐ 141 00:10:01,340 --> 00:10:02,180 そして― 142 00:10:03,010 --> 00:10:06,930 時に このような古い書物を 書いた方の考えを受け取って― 143 00:10:07,060 --> 00:10:09,270 それを書き記すというのは 144 00:10:09,390 --> 00:10:11,180 とても特別で… 145 00:10:12,140 --> 00:10:14,940 すばらしいことだと 思えるようになりました 146 00:10:17,360 --> 00:10:18,690 そうだな 147 00:10:19,070 --> 00:10:19,940 (ヴァイオレット)果たして― 148 00:10:20,690 --> 00:10:24,410 私は そのようなすばらしい仕事に ふさわしいのでしょうか? 149 00:10:24,950 --> 00:10:25,780 あっ… 150 00:10:37,630 --> 00:10:40,300 (ヴァイオレット)何が おっしゃりたいのでしょうか? 151 00:10:40,710 --> 00:10:43,840 (職員)リオンがパートナーで かわいそうだってことだよ 152 00:10:43,970 --> 00:10:46,300 あいつ 鼻持ちならない性格だろ? 153 00:10:46,640 --> 00:10:48,180 (職員) シャヘルの寄付がなけりゃ― 154 00:10:48,300 --> 00:10:50,810 ここで働くこともできない 孤児だったんだ 155 00:10:51,140 --> 00:10:54,890 (職員)君みたいにステキな女性 あいつには もったいない 156 00:10:55,020 --> 00:10:58,480 だから 仕事が終わったら 僕たちの所へ 157 00:10:58,610 --> 00:10:59,730 (ヴァイオレット) 私も孤児です それに― 158 00:10:59,730 --> 00:11:00,820 (リオン)あっ… (ヴァイオレット) 私も孤児です それに― 159 00:11:00,820 --> 00:11:00,820 (リオン)あっ… 160 00:11:01,480 --> 00:11:05,740 私は 皆様がおっしゃるような ろくな生き方もしておりません 161 00:11:06,110 --> 00:11:08,660 文字を覚えたのも ここ数年です 162 00:11:08,910 --> 00:11:10,790 もし 生まれや育ちで― 163 00:11:10,910 --> 00:11:13,250 会話をする相手が 限られるのでしたら― 164 00:11:13,370 --> 00:11:16,420 私には関わらないほうが よいかと思います 165 00:11:16,540 --> 00:11:18,790 (職員) いや 君は違うよ なあ? 166 00:11:18,920 --> 00:11:21,380 (職員) そうさ あいつの母親なんて… 167 00:11:21,500 --> 00:11:23,880 (ヴァイオレット) 私は親の顔も知りません 168 00:11:23,970 --> 00:11:24,550 あっ… 169 00:11:25,090 --> 00:11:28,050 (職員) 君 リオンがパートナーだから かばってるんだろ? 170 00:11:28,550 --> 00:11:31,220 いいえ 事実を言っているだけです 171 00:11:31,600 --> 00:11:32,680 (職員たち)あっ… 172 00:11:33,100 --> 00:11:36,190 (職員)行こう 話が通じないよ 173 00:11:43,030 --> 00:11:46,320 (ヴァイオレット)旦那様 目当ての本は見つかりましたか? 174 00:11:46,450 --> 00:11:47,280 (リオン)あった 175 00:11:48,740 --> 00:11:49,990 (ヴァイオレット) 怒っているのですか? 176 00:11:50,120 --> 00:11:52,990 え? 怒ってない 177 00:11:53,540 --> 00:11:55,040 こういう顔なんだ 178 00:11:56,620 --> 00:11:57,920 (ヴァイオレット)私は― 179 00:11:58,710 --> 00:12:00,380 無表情だと よく言われます 180 00:12:01,040 --> 00:12:02,380 こういう顔です 181 00:12:07,760 --> 00:12:10,970 少し似ていますね 182 00:12:12,100 --> 00:12:12,930 うっ… 183 00:12:14,600 --> 00:12:16,730 (カイル)そしたら 彼女 何て言ったと思う? 184 00:12:16,980 --> 00:12:19,190 “あなた可愛いわね”だって 185 00:12:19,310 --> 00:12:20,310 くー! 186 00:12:20,440 --> 00:12:23,110 こりゃ観測に誘うしかないだろ! 187 00:12:24,440 --> 00:12:26,950 おい 聞いてるか? リオン? 188 00:12:30,660 --> 00:12:32,660 お互い頑張ろうぜ 189 00:12:33,120 --> 00:12:35,450 あの子が帰る 4日後までに 190 00:12:45,920 --> 00:12:47,880 (リオン)昼食の時間だぞ 191 00:12:48,010 --> 00:12:50,260 どうして みんなと一緒に 食べないんだ? 192 00:12:51,430 --> 00:12:52,930 (ヴァイオレット)習性です 193 00:12:53,390 --> 00:12:54,220 え? 194 00:12:55,060 --> 00:12:57,310 (ヴァイオレット) 食べているときと寝ているとき というのは― 195 00:12:57,430 --> 00:12:58,850 無防備です 196 00:12:58,980 --> 00:13:01,060 敵への反応が遅れます 197 00:13:01,850 --> 00:13:02,860 (リオン)敵? 198 00:13:02,980 --> 00:13:05,230 (ヴァイオレット) 私は昔 軍人でしたので 199 00:13:05,820 --> 00:13:07,110 (リオン)軍人? 200 00:13:08,740 --> 00:13:09,820 おかしいでしょうか? 201 00:13:10,610 --> 00:13:12,200 お… おかしい! 202 00:13:12,660 --> 00:13:15,410 だって どこから見ても ただの女だろ 203 00:13:15,540 --> 00:13:16,370 ただの? 204 00:13:17,120 --> 00:13:18,120 ああ 205 00:13:18,500 --> 00:13:21,170 ただの女だよ 206 00:13:23,670 --> 00:13:24,630 見たくないか? 207 00:13:25,340 --> 00:13:29,260 200年周期だから 生きてるうちに もう見る機会はないぞ 208 00:13:29,880 --> 00:13:32,090 あっ アリー彗星だ 209 00:13:32,390 --> 00:13:34,890 初日の写本で触れてあった 彗星ですね 210 00:13:35,220 --> 00:13:36,060 そうだ 211 00:13:37,310 --> 00:13:38,390 見たくないか? 212 00:13:39,180 --> 00:13:42,440 と… とてつもなく美しいんだぞ! 213 00:13:43,610 --> 00:13:45,150 はい 見てみたいです 214 00:13:45,940 --> 00:13:47,110 (リオン)そうか! 215 00:13:47,860 --> 00:13:52,110 なら 3日後の夜2時に 宿舎の前に誘いに行く 216 00:13:52,410 --> 00:13:53,740 待ってろ 217 00:14:06,880 --> 00:14:07,710 (カイルのくしゃみ) 218 00:14:25,650 --> 00:14:27,150 (リオン)ここに座れ 219 00:14:28,020 --> 00:14:29,530 アリー彗星だ 220 00:14:33,030 --> 00:14:35,620 彗星の尾が 一番キレイに見えるのが― 221 00:14:35,740 --> 00:14:37,950 日の出前の東の空だ 222 00:14:39,200 --> 00:14:40,290 (ヴァイオレット)旦那様 (リオン)いい 223 00:14:41,330 --> 00:14:42,290 遠慮するな 224 00:14:44,080 --> 00:14:45,670 スープも飲んでろ 225 00:14:52,300 --> 00:14:55,180 (ヴァイオレット) 旦那様は お優しいのですね 226 00:14:55,470 --> 00:14:58,430 (リオン)バカを言え! 俺は優しくなんてない 227 00:14:58,550 --> 00:15:01,560 それに 女は苦手だ 冷たくしている 228 00:15:02,520 --> 00:15:04,940 あっ ああ… 229 00:15:06,060 --> 00:15:09,440 覚えてるか? 図書館で いろいろ言われたの 230 00:15:11,570 --> 00:15:12,740 はい 231 00:15:12,860 --> 00:15:15,150 あいつらの言っていたことは 本当だ 232 00:15:15,280 --> 00:15:17,280 俺のことも 家のことも 233 00:15:18,070 --> 00:15:21,740 俺の母親は 流れ者の旅芸人だった 234 00:15:21,870 --> 00:15:23,790 いろんな所に巡業して― 235 00:15:23,910 --> 00:15:26,790 踊りや歌 自分の才を披露する 236 00:15:28,250 --> 00:15:32,010 あの人は そうして この街の男に恋をして 237 00:15:32,130 --> 00:15:33,420 子供を産んだ 238 00:15:35,630 --> 00:15:36,680 それが俺だ 239 00:15:37,470 --> 00:15:41,140 今 思えば 幸せないい家族だったと思う 240 00:15:41,560 --> 00:15:44,930 だが ある日 父が帰ってこなくなった 241 00:15:45,690 --> 00:15:48,900 シャヘルの文献収集を 担当していた父は― 242 00:15:49,020 --> 00:15:52,280 大陸中を回って 貴重な書物を集めていた 243 00:15:52,570 --> 00:15:55,990 危険な場所へ行くことも 少なくない仕事だったんだ 244 00:15:56,820 --> 00:15:59,950 そして ある仕事のさなか― 245 00:16:00,450 --> 00:16:02,740 パッタリと消息が途絶えた 246 00:16:03,240 --> 00:16:06,960 それから 2年が経ち 捜索も打ち切られることになって… 247 00:16:07,370 --> 00:16:08,880 (リオン)お母さん! 248 00:16:10,290 --> 00:16:11,250 (リオンの母)リオン! 249 00:16:11,750 --> 00:16:13,090 待っててね リオン 250 00:16:13,210 --> 00:16:15,550 きっと 父さんと一緒に 帰ってくるから 251 00:16:15,670 --> 00:16:17,260 (リオン)イヤだ! 行かないで! 252 00:16:17,720 --> 00:16:20,640 お母さん! お母さん! 253 00:16:23,390 --> 00:16:24,890 お母さん 254 00:16:25,730 --> 00:16:28,140 (リオン)誰よりも 父を愛していたのだから― 255 00:16:28,270 --> 00:16:30,610 当然の選択だったのだろう 256 00:16:31,560 --> 00:16:35,440 だが 置いていく俺のことは 考えてはくれなかったのか 257 00:16:35,570 --> 00:16:37,820 そのとき 俺は学んだんだ 258 00:16:37,950 --> 00:16:39,360 恋愛というのは― 259 00:16:39,490 --> 00:16:42,490 人を そんなふうなバカに おとしめてしまう 260 00:16:42,620 --> 00:16:43,830 だから 俺は… 261 00:16:43,950 --> 00:16:47,080 (ヴァイオレット) 旦那様は お母様のことが― 262 00:16:47,370 --> 00:16:49,870 とても大切だったのですね 263 00:16:53,710 --> 00:16:55,130 そっちは どうなんだ? 264 00:16:56,210 --> 00:16:59,630 私には 血のつながった家族は おりません 265 00:17:00,260 --> 00:17:01,680 ただ… 266 00:17:01,800 --> 00:17:04,640 ずっと庇護(ひご)してくださった方は おりました 267 00:17:05,810 --> 00:17:07,640 今は離ればなれですが… 268 00:17:10,140 --> 00:17:12,980 その人と離れて寂しくないのか? 269 00:17:13,310 --> 00:17:16,940 (ヴァイオレット) “寂しい”というのが どんな気持ちなのか― 270 00:17:17,070 --> 00:17:19,610 私には理解できないのです 271 00:17:20,240 --> 00:17:22,660 どういう気持ちなのかは 分かっても― 272 00:17:22,780 --> 00:17:25,660 それが 自分に生じているのかが 分かりません 273 00:17:25,790 --> 00:17:27,450 本気で言ってるのか? 274 00:17:27,580 --> 00:17:29,620 (ヴァイオレット) 私はウソはつけません 275 00:17:30,370 --> 00:17:34,500 じゃあ その人のことを 思い出すことはないか? 276 00:17:37,340 --> 00:17:38,670 (ヴァイオレット)いつも― 277 00:17:40,380 --> 00:17:41,630 思い出します 278 00:17:41,760 --> 00:17:45,760 (リオン)会えない日が続くと 胸がグッと重くなったりしないか? 279 00:17:45,890 --> 00:17:46,720 (ヴァイオレット)なります 280 00:17:46,850 --> 00:17:47,970 (リオン)ハハッ 281 00:17:48,100 --> 00:17:50,520 それが寂しいってことだよ 282 00:17:51,640 --> 00:17:53,900 それが“寂しい”? 283 00:17:56,520 --> 00:18:01,200 私は あの方と離れて 寂しいと感じていた 284 00:18:05,740 --> 00:18:06,870 あっ… 285 00:18:10,290 --> 00:18:13,960 なあ もし俺との契約期間中に その人が― 286 00:18:14,080 --> 00:18:16,960 危険な状況に陥っているって 聞かされたら どうする? 287 00:18:17,800 --> 00:18:20,510 行っても助けられるかどうか 分からない 288 00:18:20,630 --> 00:18:23,340 それでも そいつの所へ行くか? 289 00:18:26,140 --> 00:18:28,640 悪い 困らせたな 290 00:18:28,760 --> 00:18:31,480 (ヴァイオレット) いいえ そうではありません 291 00:18:32,560 --> 00:18:34,900 その問いには選択肢がなく― 292 00:18:35,150 --> 00:18:37,650 旦那様に どう謝罪しようかと… 293 00:18:39,440 --> 00:18:42,990 私にとって あの方の存在は まるで世界そのもので 294 00:18:43,990 --> 00:18:47,490 それが なくなるくらいなら 私が死んだほうがいいのです 295 00:18:53,460 --> 00:18:55,670 いや 驚いた 296 00:18:58,920 --> 00:19:02,590 お前 そういうこと 言わなそうなのに 297 00:19:02,720 --> 00:19:03,880 (ヴァイオレット) そうなのでしょうか? 298 00:19:05,380 --> 00:19:07,140 それじゃあ まるで… 299 00:19:08,180 --> 00:19:09,560 まるで… 300 00:19:10,890 --> 00:19:12,640 ハッ! そうか 301 00:19:12,770 --> 00:19:13,730 (リオン)お前 そいつのこと愛して… 302 00:19:13,730 --> 00:19:14,730 (ヴァイオレット) 旦那様 (リオン)お前 そいつのこと愛して… 303 00:19:14,810 --> 00:19:18,150 あの彗星 尾が長くなっている気がします 304 00:19:18,230 --> 00:19:19,070 ん? 305 00:19:19,150 --> 00:19:20,320 (リオン)あっ! 306 00:19:25,490 --> 00:19:28,200 (リオン)ヴァイオレット! どうだ? 見てるか? 307 00:19:28,320 --> 00:19:31,410 (ヴァイオレット)はい 初めて 間近に星を見ました 308 00:19:31,830 --> 00:19:34,000 星じゃない! 彗星だ 309 00:19:34,120 --> 00:19:37,210 俺たちは もう二度と あれに出会うことはできない 310 00:19:37,710 --> 00:19:40,130 人生で たった一度きりの 出会いなんだ 311 00:19:40,710 --> 00:19:42,340 はい 見ています 312 00:19:42,800 --> 00:19:44,340 すばらしいです 313 00:19:53,060 --> 00:19:55,390 (ヴァイオレット) “その別離は悲劇にあらず” 314 00:19:55,520 --> 00:20:01,570 “永遠の刻 流れる妖精の国にて 新たな器を授かりて―” 315 00:20:02,070 --> 00:20:07,490 “その魂は 未来永劫 守られるが故に…” 316 00:20:13,870 --> 00:20:16,250 (ルベリエ) 皆様 ありがとうございました 317 00:20:16,710 --> 00:20:18,750 (職員)ありがとう (職員)気をつけてな 318 00:20:19,040 --> 00:20:21,000 お世話になりましたー! 319 00:20:21,460 --> 00:20:22,750 また来いよ 320 00:20:27,550 --> 00:20:31,220 (ヴァイオレット) 旦那様 短い間でしたが お世話になりました 321 00:20:31,800 --> 00:20:32,720 (リオン)ああ 322 00:20:34,850 --> 00:20:35,730 ヴァイオレット 323 00:20:36,640 --> 00:20:37,480 はい 324 00:20:38,390 --> 00:20:39,770 俺は… 325 00:20:40,810 --> 00:20:42,650 俺は今 写本課にいるが 326 00:20:42,770 --> 00:20:45,990 本当は 父さんと同じ 文献収集をやってみたかったんだ 327 00:20:46,570 --> 00:20:48,950 ここで待っていれば いつか母が父を― 328 00:20:49,070 --> 00:20:51,740 連れて帰ってくるんじゃないかって 期待して 329 00:20:52,370 --> 00:20:55,120 こんな年になるまで 閉じこもり続けた 330 00:20:57,200 --> 00:20:59,000 ここは それが可能だったし― 331 00:20:59,540 --> 00:21:00,960 俺は それを望んでた 332 00:21:01,080 --> 00:21:02,960 (鐘の音) 333 00:21:03,090 --> 00:21:04,500 でも 今 決めた 334 00:21:06,340 --> 00:21:09,260 俺も お前と同じように 大陸中を回る 335 00:21:10,050 --> 00:21:12,010 危険な目に遭うかもしれない 336 00:21:12,470 --> 00:21:14,260 命を落とすかもしれない 337 00:21:14,640 --> 00:21:18,640 でも… でも 俺はその道を選ぼうと思う 338 00:21:19,140 --> 00:21:19,980 はい 339 00:21:20,520 --> 00:21:22,810 (リオン) そしたら いつか きっと― 340 00:21:22,940 --> 00:21:25,860 どこかの星空の下で 会うことがあるかもしれない 341 00:21:26,780 --> 00:21:28,570 同じ旅人同士だ 342 00:21:29,400 --> 00:21:31,030 ヴァイオレット・ エヴァーガーデン! 343 00:21:31,450 --> 00:21:32,030 はい 344 00:21:37,160 --> 00:21:37,750 うっ 345 00:21:38,450 --> 00:21:39,370 くっ… 346 00:21:42,210 --> 00:21:43,210 うっ… 347 00:21:43,330 --> 00:21:46,590 そのときは また一緒に 星を見てくれるか? 348 00:21:47,050 --> 00:21:50,050 なあ ヴァイオレット・ エヴァーガーデン! 349 00:21:56,060 --> 00:21:59,060 (リオン)旅先で再び 彼女と会える可能性は― 350 00:21:59,180 --> 00:22:00,770 どのくらいあるのだろうか? 351 00:22:02,060 --> 00:22:06,020 もう一度 あの彗星を 見上げるほどの確率だろうか? 352 00:22:07,110 --> 00:22:10,530 それでも 俺は もう ためらうことはないだろう 353 00:22:11,860 --> 00:22:16,160 閉じ込められていた扉の向こうに 歩きだす勇気を― 354 00:22:16,740 --> 00:22:18,740 彼女がくれたのだから 355 00:22:28,250 --> 00:22:29,670 (リオン)いつか きっと… 356 00:22:33,510 --> 00:22:38,510 ‎♪~ 357 00:23:45,250 --> 00:23:50,250 ‎~♪