1 00:00:04,505 --> 00:00:07,007 (美世)は…。 2 00:00:07,007 --> 00:00:09,009 はっ。 3 00:00:09,009 --> 00:00:11,178 (新)大丈夫ですか? 4 00:00:11,178 --> 00:00:14,014 斎森美世さん。 5 00:00:14,014 --> 00:00:16,683 はっ! 6 00:00:16,683 --> 00:00:19,520 も 申し訳ありません! 7 00:00:19,520 --> 00:00:22,189 ああ 顔を上げてください。 8 00:00:22,189 --> 00:00:26,526 あの ご迷惑をおかけして 本当に申し訳ありません。 9 00:00:26,526 --> 00:00:28,529 謝らないでください。 10 00:00:28,529 --> 00:00:31,698 それより ケガがなさそうでよかった。 11 00:00:31,698 --> 00:00:34,701 いえ こちらの不注意ですから。 12 00:00:34,701 --> 00:00:38,872 (葉月)彼女を助けてくださり 本当にありがとうございました。 13 00:00:38,872 --> 00:00:41,541 さぁ 美世ちゃん 早くどこかで休みましょう。 14 00:00:41,541 --> 00:00:43,544 はい。 15 00:00:43,544 --> 00:00:47,714 気をつけてくださいね では 失礼します。 16 00:00:47,714 --> 00:00:50,550 は…。 17 00:00:50,550 --> 00:00:54,554 (ゆり江)美世様 大丈夫でございますか? 18 00:00:54,554 --> 00:00:57,891 は はい 申し訳ありません。 19 00:00:57,891 --> 00:01:00,494 (葉月)気をつけないとダメよ 美世ちゃん。 20 00:01:00,494 --> 00:01:04,331 はい。 本当に気をつけないと。 21 00:01:04,331 --> 00:01:09,336 (新)君は 特別な存在なのだから。 22 00:02:56,877 --> 00:03:00,313 (清霞)美世! ハァハァ…。 23 00:03:00,313 --> 00:03:02,616 し~。 24 00:03:06,820 --> 00:03:09,523 どうして倒れるまで無理を。 25 00:03:12,159 --> 00:03:16,329 美世ちゃんが うなされているとき 異能の気配があったのよね? 26 00:03:16,329 --> 00:03:18,999 離れたところから 誰かが美世ちゃんに➡ 27 00:03:18,999 --> 00:03:21,168 異能を使っていたのかしら? 28 00:03:21,168 --> 00:03:24,171 薄刃の異能であれば可能だろう。 29 00:03:24,171 --> 00:03:27,340 だがこの家の結界に ほころびはなかった。 30 00:03:27,340 --> 00:03:30,010 外部からの干渉は考えにくい。 31 00:03:30,010 --> 00:03:32,345 憶測に過ぎないが➡ 32 00:03:32,345 --> 00:03:34,681 美世が 薄刃の血を引いていることに➡ 33 00:03:34,681 --> 00:03:37,184 何か関係があるのでは ないかと思っている。 34 00:03:37,184 --> 00:03:39,853 美世ちゃんが!? 確かなの? 35 00:03:39,853 --> 00:03:43,523 美世の母親は 確かに薄刃姓を名乗り➡ 36 00:03:43,523 --> 00:03:47,194 異能の家の嫁として 斎森家に嫁いでいる。 37 00:03:47,194 --> 00:03:49,196 まさか美世ちゃんが➡ 38 00:03:49,196 --> 00:03:51,865 あの薄刃家の血を 継いでいたなんて…。 39 00:03:51,865 --> 00:03:55,368 ただ 美世は異能を持たない。 40 00:03:55,368 --> 00:03:59,206 仮にだが 美世の中に 通っている薄刃家の血が➡ 41 00:03:59,206 --> 00:04:04,144 自身の体に 悪影響を与えている 可能性があるのだとしたら…。 42 00:04:04,144 --> 00:04:07,981 薄刃の血… だけど どうして今更? 43 00:04:07,981 --> 00:04:10,150 わからない。 しかし➡ 44 00:04:10,150 --> 00:04:12,652 それくらいしか 考えられる余地はない。 45 00:04:12,652 --> 00:04:15,355 美世ちゃんは 薄刃について何か知らないの? 46 00:04:17,491 --> 00:04:20,994 美世は幼いころ 母親と死別していて➡ 47 00:04:20,994 --> 00:04:23,997 薄刃について 何も知らない可能性が高い。 48 00:04:23,997 --> 00:04:25,999 それに…。 49 00:04:25,999 --> 00:04:28,001 それに? 50 00:04:28,001 --> 00:04:31,838 たとえ聞いても 話してくれるかどうか。 51 00:04:31,838 --> 00:04:33,840 最近は以前にも増して➡ 52 00:04:33,840 --> 00:04:36,676 自分の気持ちを 隠しているように見える。 53 00:04:36,676 --> 00:04:39,846 心配かけたくないのだろうけど➡ 54 00:04:39,846 --> 00:04:43,683 心配くらいさせてほしいわね。 55 00:04:43,683 --> 00:04:49,589 ♪(鼻歌) 56 00:04:58,532 --> 00:05:00,467 (うなり声) 57 00:05:00,467 --> 00:05:04,137 んっ? おっ どうした? 58 00:05:04,137 --> 00:05:06,807 熊でも見つけたか? ワン! 59 00:05:06,807 --> 00:05:09,609 ん~? んっ? (犬の鳴き声) 60 00:05:15,482 --> 00:05:17,984 (異形の声) 61 00:05:17,984 --> 00:05:22,989 うっ うぇ! うわぁ~! 62 00:05:25,158 --> 00:05:28,662 (五道)オクツキの異形が 民間人を襲ったようです。 63 00:05:28,662 --> 00:05:30,664 被害状況は? 64 00:05:30,664 --> 00:05:34,834 (五道)禁域近くの林の中で 倒れている男を発見。 65 00:05:34,834 --> 00:05:37,671 現在 意識不明の昏睡状態にあり➡ 66 00:05:37,671 --> 00:05:39,673 症状と現場の状況から➡ 67 00:05:39,673 --> 00:05:42,342 異形の仕業とみて まず間違いないかと。 68 00:05:42,342 --> 00:05:45,512 もう人里に到達したというのか。 69 00:05:45,512 --> 00:05:48,515 (五道)我々の予測を 軽く超えてきましたね。 70 00:05:48,515 --> 00:05:51,351 もう宮内省には 任せてられませんよ。 71 00:05:51,351 --> 00:05:54,354 帝都に入り込むのも 時間の問題だろう。 72 00:05:56,523 --> 00:06:00,126 はっ! ハァハァ…。 73 00:06:02,796 --> 00:06:06,466 《もう嫌 どうして何度も何度も➡ 74 00:06:06,466 --> 00:06:08,568 悪夢ばかり見るの?》 75 00:06:16,142 --> 00:06:18,812 《葉月さんのような 淑女どころか➡ 76 00:06:18,812 --> 00:06:22,148 これじゃあ あの頃に逆戻りね。 77 00:06:22,148 --> 00:06:26,653 あれからお勉強の時間も すっかり減らされてしまった。 78 00:06:26,653 --> 00:06:30,156 せっかくお勉強の機会を いただけたというのに》 79 00:06:32,158 --> 00:06:34,995 ☎すまない 今夜も帰れそうにない。 80 00:06:34,995 --> 00:06:39,165 では お弁当をご用意して お届けにあがりますね。 81 00:06:39,165 --> 00:06:42,569 ☎いや 大丈夫だ。 美世は安静にしていてくれ。 82 00:06:45,005 --> 00:06:47,007 ☎美世。 はい。 83 00:06:47,007 --> 00:06:50,677 ☎体調はどうだ? 何か困ったことはないか? 84 00:06:50,677 --> 00:06:52,679 ☎問題ありません。 85 00:06:52,679 --> 00:06:55,682 ☎私のことは お気になさらないでください。 86 00:06:55,682 --> 00:06:58,852 そうか…。 87 00:06:58,852 --> 00:07:02,956 ☎すまない 五道に 呼ばれてしまった 仕事に戻る。 88 00:07:02,956 --> 00:07:06,126 はい お仕事 頑張ってください。 89 00:07:06,126 --> 00:07:08,128 (切れる音) 90 00:07:12,799 --> 00:07:16,636 (五道)以上の状況から 異形は帝都中心部へ向けて➡ 91 00:07:16,636 --> 00:07:18,638 進行中とみられます。 92 00:07:18,638 --> 00:07:20,807 宮内省からその後連絡は? 93 00:07:20,807 --> 00:07:23,810 (大海渡)つついてはいるんだがな。 94 00:07:23,810 --> 00:07:26,813 まったく 腰の重い連中ばかりでかなわん。 95 00:07:26,813 --> 00:07:29,983 帝都周辺に包囲網を展開する。 96 00:07:29,983 --> 00:07:32,152 早急に出動の許可が欲しい。 97 00:07:32,152 --> 00:07:35,322 大規模掃討作戦 ですね。 98 00:07:35,322 --> 00:07:38,158 宮内省へは私から働きかけておく。 99 00:07:38,158 --> 00:07:40,660 久堂は出動の準備を進めてくれ。 100 00:07:40,660 --> 00:07:45,832 はい。 我々の手で 帝都を必ず守ります。 101 00:07:45,832 --> 00:07:48,501 (葉月)わぁ~ おいしそう! 102 00:07:48,501 --> 00:07:50,503 (ゆり江)今日は ゆり江がお作りしようと➡ 103 00:07:50,503 --> 00:07:52,672 思っておりましたのに。 104 00:07:52,672 --> 00:07:56,676 台所に行ったら すでに 仕込み終わっているんですもの。 105 00:07:56,676 --> 00:07:59,346 まだ本調子じゃないでしょうに。 106 00:07:59,346 --> 00:08:02,449 いえいえ もう大丈夫ですから。 107 00:08:02,449 --> 00:08:04,451 どうぞ召し上がってくださいませ。 108 00:08:06,453 --> 00:08:08,455 (みんな)いただきます。 109 00:08:11,624 --> 00:08:13,960 ん~ 最高! 110 00:08:13,960 --> 00:08:18,465 美世様がお料理上手で ゆり江も 鼻が高うございます。 111 00:08:18,465 --> 00:08:23,303 本当ね。 私はこんなに 気の利いたもの作れないもの。 112 00:08:23,303 --> 00:08:25,472 お 大袈裟です…。 113 00:08:25,472 --> 00:08:28,808 (葉月)私ね 料理は本当にダメなの。 114 00:08:28,808 --> 00:08:30,810 えっ? 115 00:08:30,810 --> 00:08:34,981 (葉月)女学校でもね 料理の成績は からっきしで。 116 00:08:34,981 --> 00:08:36,983 焼けば焦がすし➡ 117 00:08:36,983 --> 00:08:39,652 しょっぱすぎたり 辛すぎたり。 118 00:08:39,652 --> 00:08:41,654 包丁なんて 握っただけで➡ 119 00:08:41,654 --> 00:08:43,656 知らないうちに指が切れてるのよ。 120 00:08:43,656 --> 00:08:45,658 意外です。 121 00:08:45,658 --> 00:08:48,495 嫁ぎ先でも大変でしたねぇ。 122 00:08:48,495 --> 00:08:51,331 もう それは言わないでって。 123 00:08:51,331 --> 00:08:53,666 あれは本当に後悔してるんだから。 124 00:08:53,666 --> 00:08:55,668 後悔? 125 00:08:55,668 --> 00:08:59,005 (葉月)そう。 私の人生で唯一の後悔。 126 00:08:59,005 --> 00:09:01,608 私の結婚の話よ。 127 00:09:01,608 --> 00:09:06,279 (葉月)私が結婚したのは17歳の時。 128 00:09:06,279 --> 00:09:08,782 久堂の娘として 生まれたからには➡ 129 00:09:08,782 --> 00:09:11,785 政略結婚は覚悟していたけど。 130 00:09:11,785 --> 00:09:14,621 夫は優しくて いい人でね。 131 00:09:14,621 --> 00:09:17,290 幸せだったわ。 132 00:09:17,290 --> 00:09:21,294 でもね 夫の家族と うまくいかなかったの。 133 00:09:21,294 --> 00:09:23,463 私の家事の出来なさや➡ 134 00:09:23,463 --> 00:09:25,465 人としての未熟さが➡ 135 00:09:25,465 --> 00:09:29,135 理想の嫁とは かけ離れていたんでしょうね。 136 00:09:29,135 --> 00:09:31,471 夫は よく慰めてくれたけど➡ 137 00:09:31,471 --> 00:09:35,642 ある時 話し合ううちに お互い感情的になって。 138 00:09:35,642 --> 00:09:39,045 大げんかの末 離婚が決まったわ。 139 00:09:41,314 --> 00:09:45,151 だけどね 実家に戻って頭が冷えたら➡ 140 00:09:45,151 --> 00:09:47,153 ものすごく後悔したの。 141 00:09:47,153 --> 00:09:49,656 いろんな 大変なことがあったけど➡ 142 00:09:49,656 --> 00:09:51,825 結局 私にとって➡ 143 00:09:51,825 --> 00:09:56,162 一番大切な家族との暮らしを 失ってしまった。 144 00:09:56,162 --> 00:09:59,332 できることが もっとあったかもしれないのに。 145 00:09:59,332 --> 00:10:03,002 それが 葉月さんの 「後悔」。 146 00:10:03,002 --> 00:10:05,338 美世ちゃん。 はい。 147 00:10:05,338 --> 00:10:08,341 私はね 自分の欠点から逃げないで➡ 148 00:10:08,341 --> 00:10:11,010 克服しようと 頑張っている美世ちゃんを➡ 149 00:10:11,010 --> 00:10:13,012 とても尊敬しているわ。 150 00:10:13,012 --> 00:10:16,015 えっ そ そんな。 151 00:10:16,015 --> 00:10:18,017 だから これからはね➡ 152 00:10:18,017 --> 00:10:20,019 私みたいな後悔がないように➡ 153 00:10:20,019 --> 00:10:24,190 美世ちゃん自身の気持ちを 大事にしてほしいなって。 154 00:10:24,190 --> 00:10:27,360 あ…。 美世ちゃんは これからどうしたい? 155 00:10:27,360 --> 00:10:29,362 どんなふうに生きたい? 156 00:10:29,362 --> 00:10:32,532 えっ えっと…。 157 00:10:32,532 --> 00:10:35,201 《私は➡ 158 00:10:35,201 --> 00:10:38,872 旦那様に ふさわしい妻になりたくて。 159 00:10:38,872 --> 00:10:43,209 葉月さんのような すてきな淑女になりたくて。 160 00:10:43,209 --> 00:10:45,712 私の望みは…》 161 00:10:45,712 --> 00:10:47,714 (葉月)美世ちゃん? はっ。 162 00:10:47,714 --> 00:10:52,719 大丈夫? はい あの 私は…。 163 00:10:52,719 --> 00:10:54,721 どう生きたいかなんて➡ 164 00:10:54,721 --> 00:10:57,724 今まで 考えたことありませんでした。 165 00:10:57,724 --> 00:11:00,994 でも これだけは決まっています。 166 00:11:00,994 --> 00:11:04,163 なぁに? ここにいたいのです。 167 00:11:04,163 --> 00:11:06,332 旦那様のおそばに。 168 00:11:06,332 --> 00:11:11,004 フフッ あなたに こんなに思われてるあの子は➡ 169 00:11:11,004 --> 00:11:13,506 本当に幸せ者だわ。 170 00:11:17,343 --> 00:11:20,513 (岩清水)いやはや 帝都中の 「澄美」さんを探すのは➡ 171 00:11:20,513 --> 00:11:22,515 さすがに骨が折れたよ。 172 00:11:22,515 --> 00:11:25,852 この中に 薄刃澄美がいればいいのだがな。 173 00:11:25,852 --> 00:11:29,022 (岩清水)澄美と名乗る女性を 絞り込んだはいいが➡ 174 00:11:29,022 --> 00:11:31,524 全員 白にも黒にも見える。 175 00:11:31,524 --> 00:11:36,196 薄刃澄美が 薄刃家へたどり着ける 唯一の手がかりなんだ。 176 00:11:36,196 --> 00:11:38,531 どんな些細な情報でもいい。 177 00:11:38,531 --> 00:11:41,034 引き続きあたってくれ。 178 00:11:41,034 --> 00:11:43,136 (風鈴の音) 179 00:11:46,539 --> 00:11:48,641 お隣よろしいですか? 180 00:11:50,710 --> 00:11:52,712 ああ。 181 00:11:57,050 --> 00:11:59,385 美世 その…。 182 00:11:59,385 --> 00:12:03,489 忙しくて 話をする時間を なかなか作ることができず➡ 183 00:12:03,489 --> 00:12:05,491 すまない。 184 00:12:05,491 --> 00:12:09,329 いえ 私は大丈夫です 問題ありません。 185 00:12:09,329 --> 00:12:13,833 美世 何か困っていることはないか? 186 00:12:13,833 --> 00:12:16,169 はい とくには。 187 00:12:16,169 --> 00:12:19,672 そうか。 188 00:12:19,672 --> 00:12:22,508 あ あの 旦那様にとって➡ 189 00:12:22,508 --> 00:12:24,844 葉月さんは どんな存在ですか? 190 00:12:24,844 --> 00:12:27,513 んっ ああ そういえば➡ 191 00:12:27,513 --> 00:12:30,016 昔のことを あまり話していなかったな。 192 00:12:30,016 --> 00:12:32,685 伺ってもよろしいですか? 193 00:12:32,685 --> 00:12:37,023 私と姉は昔から仲は悪くなかった。 194 00:12:37,023 --> 00:12:39,692 まあ あのとおり やかましい人だから➡ 195 00:12:39,692 --> 00:12:42,362 たまに うっとうしくなる時もあるが。 196 00:12:42,362 --> 00:12:44,364 好きとか嫌いとか➡ 197 00:12:44,364 --> 00:12:47,200 そういう感情では 成り立っていないのだろうな。 198 00:12:47,200 --> 00:12:49,202 んっ。 199 00:12:49,202 --> 00:12:51,537 同じ環境で生まれ育って➡ 200 00:12:51,537 --> 00:12:54,040 お互い 考えていることはわかるし➡ 201 00:12:54,040 --> 00:12:56,042 遠慮も気遣いもいらない。 202 00:12:56,042 --> 00:12:58,711 性格は さほど合わないが➡ 203 00:12:58,711 --> 00:13:02,649 あれはあれで いい人間だと思っている。 204 00:13:02,649 --> 00:13:04,651 これで答えになっているか? 205 00:13:04,651 --> 00:13:07,153 はい。 206 00:13:07,153 --> 00:13:10,490 《とても すてきで とても うらやましい。 207 00:13:10,490 --> 00:13:14,160 私にそんな人は いないから》 208 00:13:14,160 --> 00:13:17,497 美世 もう少しこちらに寄れ。 209 00:13:17,497 --> 00:13:19,799 えっ あ はい。 210 00:13:25,838 --> 00:13:27,840 はっ。 211 00:13:27,840 --> 00:13:31,511 寂しいなら寂しいと つらいなら つらいと言ってくれ。 212 00:13:31,511 --> 00:13:34,347 言ってくれなければ わからない。 213 00:13:34,347 --> 00:13:37,350 わ 私は寂しいなんて…。 214 00:13:37,350 --> 00:13:39,852 そうか 私は寂しいが。 215 00:13:39,852 --> 00:13:41,854 はっ。 216 00:13:44,691 --> 00:13:47,193 お前は 寂しくないのか? 217 00:13:47,193 --> 00:13:50,029 さ…。 218 00:13:50,029 --> 00:13:52,699 寂しいです。 219 00:13:52,699 --> 00:13:55,201 初めからそう言っておけ。 220 00:13:55,201 --> 00:13:58,538 はい…。 221 00:13:58,538 --> 00:14:00,640 私に寄りかかればいい。 222 00:14:00,640 --> 00:14:02,642 もっと本心を言え。 223 00:14:02,642 --> 00:14:06,979 わがままになれ 私が全部 受け止めてやる。 224 00:14:06,979 --> 00:14:10,483 はい。 自分の感情をさらけ出して➡ 225 00:14:10,483 --> 00:14:12,485 甘えてもいいんだ。 226 00:14:12,485 --> 00:14:14,987 そうして 支えあうのが家族だろう? 227 00:14:17,990 --> 00:14:20,827 《旦那様は優しい。 228 00:14:20,827 --> 00:14:25,164 だけど ここで本当に甘えてしまったら➡ 229 00:14:25,164 --> 00:14:29,001 「久堂家の奥様」にきっとなれない。 230 00:14:29,001 --> 00:14:32,839 自分の問題くらい 自分でなんとかできなくちゃ。 231 00:14:32,839 --> 00:14:35,007 家族を支える資格なんて》 232 00:14:35,007 --> 00:14:37,009 (新)ごめんください。 233 00:14:37,009 --> 00:14:39,011 はい! 234 00:14:41,013 --> 00:14:44,016 お待たせいたしました どちらさまでしょ…。 235 00:14:44,016 --> 00:14:46,853 あっ。 あなたは…。 236 00:14:46,853 --> 00:14:50,523 おや これはこれは どうもお久しぶりです。 237 00:14:50,523 --> 00:14:53,192 あれから おかげんは いかがですか? 238 00:14:53,192 --> 00:14:55,528 はい おかげさまで。 239 00:14:55,528 --> 00:14:58,364 あの時は 本当にありがとうございました。 240 00:14:58,364 --> 00:15:01,300 いえいえ 礼には及びませんよ。 241 00:15:01,300 --> 00:15:04,137 ところで 久堂さんはご在宅ですか? 242 00:15:04,137 --> 00:15:06,806 いえ 出勤しておりますが。 243 00:15:06,806 --> 00:15:10,977 あれ おかしいな。 今日は非番と聞いていたのですが。 244 00:15:10,977 --> 00:15:12,979 忙しいようで➡ 245 00:15:12,979 --> 00:15:16,149 急きょ出なければならなくなった と聞いております。 246 00:15:16,149 --> 00:15:18,317 ああ そうでしたか。 247 00:15:18,317 --> 00:15:20,653 すいません 確認不足でした。 248 00:15:20,653 --> 00:15:23,656 鶴木新といいます。 よろしく。 249 00:15:23,656 --> 00:15:26,492 斎森美世と申します。 250 00:15:26,492 --> 00:15:29,162 ええ 存じ上げていますよ。 251 00:15:29,162 --> 00:15:31,831 えっ? 社交界では一時期➡ 252 00:15:31,831 --> 00:15:34,167 結構なウワサになっていたんですよ。 253 00:15:34,167 --> 00:15:37,670 あの久堂さんに ついに婚約者ができたと。 254 00:15:40,339 --> 00:15:45,511 しかし 彼はウワサどおりの 冷血漢そのものなんですね。 255 00:15:45,511 --> 00:15:47,847 はっ どうしてですか? 256 00:15:47,847 --> 00:15:51,517 美世さん あなたが 今どんな顔色をしているか➡ 257 00:15:51,517 --> 00:15:53,519 わかっていますか? えっ。 258 00:15:53,519 --> 00:15:55,521 この間だって 今日だって➡ 259 00:15:55,521 --> 00:15:57,857 こうして ほったらかしじゃないですか。 260 00:15:57,857 --> 00:16:02,628 ほら 婚約者がこんなに やつれているというのに。 261 00:16:02,628 --> 00:16:06,466 はっ だ 旦那様は悪くありません。 262 00:16:06,466 --> 00:16:10,636 (新)倒れるまで 頑張らせるなんて 本当にどうかしてますよ。 263 00:16:10,636 --> 00:16:14,974 彼は あなたの 本当の価値をわかってない。 264 00:16:14,974 --> 00:16:18,311 くだらない。 ろくに話もしないのに➡ 265 00:16:18,311 --> 00:16:21,314 毎日毎日 姿勢だとか お茶だとか。 266 00:16:21,314 --> 00:16:23,316 なんでそれを知って…。 267 00:16:23,316 --> 00:16:26,986 あんなことをさせて いったい なんの価値があるっていうのか。 268 00:16:26,986 --> 00:16:31,324 やめてください! これは 私が望んでやっていることです。 269 00:16:31,324 --> 00:16:34,327 旦那様は 協力してくださっているだけです。 270 00:16:34,327 --> 00:16:37,330 悪く言わないでくださっ…。 271 00:16:37,330 --> 00:16:39,332 大丈夫ですか? 272 00:16:39,332 --> 00:16:41,334 いえ 問題ありません。 273 00:16:41,334 --> 00:16:44,837 すみません 出過ぎたことを言いました。 274 00:16:44,837 --> 00:16:46,839 もう 帰ります。 275 00:16:46,839 --> 00:16:49,675 こちらこそ 申し訳ありません。 276 00:16:49,675 --> 00:16:52,511 失礼な態度だったのは 自分のほうなので➡ 277 00:16:52,511 --> 00:16:55,181 気にしないでください。 でも➡ 278 00:16:55,181 --> 00:16:57,183 俺は あなたに➡ 279 00:16:57,183 --> 00:16:59,952 あなただけの役割をあげられます。 280 00:16:59,952 --> 00:17:01,954 はっ。 281 00:17:01,954 --> 00:17:05,124 いつでも連絡してください。 282 00:17:05,124 --> 00:17:07,326 興味があれば。 283 00:17:11,797 --> 00:17:13,799 では また。 284 00:17:15,801 --> 00:17:18,804 《私だけの 役割》 285 00:17:20,806 --> 00:17:24,143 (五道)遅いですねぇ 隊長を待たせるなんて➡ 286 00:17:24,143 --> 00:17:26,812 いくら宮内省の遣いだって失礼だ。 287 00:17:26,812 --> 00:17:31,651 問題ない。 鶴木が来ずとも 作戦の準備を進めるまでだ。 288 00:17:31,651 --> 00:17:33,653 顔疲れてますよ。 289 00:17:33,653 --> 00:17:35,655 心配いらない。 290 00:17:35,655 --> 00:17:37,990 仕事が終わり次第 帰るつもりだ。 291 00:17:37,990 --> 00:17:40,493 (五道)よかった。 美世さんのためにも➡ 292 00:17:40,493 --> 00:17:42,662 今日は帰ってあげてください。 293 00:17:42,662 --> 00:17:45,665 ああ。 294 00:17:45,665 --> 00:17:48,000 (新)許可は下りました。 295 00:17:48,000 --> 00:17:50,336 ここからは 指揮権は久堂さんに移り➡ 296 00:17:50,336 --> 00:17:52,505 自由に動いていただけます。 297 00:17:52,505 --> 00:17:55,675 では 大規模作戦を実行に移す。 298 00:17:55,675 --> 00:17:57,677 帝都に被害が及ぶ前に➡ 299 00:17:57,677 --> 00:17:59,946 何としても事態を収束させる。 300 00:17:59,946 --> 00:18:02,548 引き続き よろしく頼む。 301 00:18:07,620 --> 00:18:11,290 いやぁ 今日は遅刻してしまって すいませんでした。 302 00:18:11,290 --> 00:18:13,292 非番だと思っていたもので➡ 303 00:18:13,292 --> 00:18:16,295 うっかり久堂さんのお宅に 伺っていたんですよ。 304 00:18:18,464 --> 00:18:21,767 あなたの婚約者の 美世さんにお会いしました。 305 00:18:23,803 --> 00:18:26,305 丁寧なご挨拶をいただきましたよ。 306 00:18:26,305 --> 00:18:29,475 さすが久堂さんの婚約者ですね。 307 00:18:29,475 --> 00:18:31,644 でも すてきな婚約者を➡ 308 00:18:31,644 --> 00:18:35,314 あんなふうに扱うのは 感心しませんね。 309 00:18:35,314 --> 00:18:39,151 はっ? 美世さん ひどい顔色でしたよ。 310 00:18:39,151 --> 00:18:41,554 どんどん ひどく なっているんじゃないですか? 311 00:18:43,489 --> 00:18:45,825 前にも お会いしたことがありましてね。 312 00:18:45,825 --> 00:18:49,996 街なかで倒れかけているところを 俺が助けたんです。 313 00:18:49,996 --> 00:18:53,499 なんだと。 あなたは何もわかっていない。 314 00:18:53,499 --> 00:18:56,669 あなたには 美世さんが見えていないのでは? 315 00:18:56,669 --> 00:18:58,671 いや 見る気もないのでしょう。 316 00:18:58,671 --> 00:19:03,776 肝心な時に彼女のそばに いなかったのが その証しです。 317 00:19:03,776 --> 00:19:06,946 まあ 大きなお世話でしたね。 318 00:19:06,946 --> 00:19:08,948 何か 「お困り」であれば➡ 319 00:19:08,948 --> 00:19:11,550 いつでも 何なりとお申し付けください。 320 00:19:13,619 --> 00:19:18,124 何かお役に立てることが あるかもしれませんから。 321 00:19:18,124 --> 00:19:20,960 ☎(岩清水)妙だぜ 旦那。 322 00:19:20,960 --> 00:19:23,295 ☎候補に挙がっている 人物の中に➡ 323 00:19:23,295 --> 00:19:25,965 一人だけ 出生届が出されておらず➡ 324 00:19:25,965 --> 00:19:28,134 戸籍がない者がいた。 325 00:19:28,134 --> 00:19:31,470 はっ。 ☎名は 鶴木 澄美。 326 00:19:31,470 --> 00:19:33,472 はっ! 327 00:19:36,642 --> 00:19:38,644 鶴木…。 328 00:19:44,483 --> 00:19:46,585 (ドアの開閉音) 329 00:19:49,155 --> 00:19:51,157 美世! 330 00:19:54,493 --> 00:19:56,495 美世! 331 00:20:01,667 --> 00:20:03,669 美世? 332 00:20:10,009 --> 00:20:14,513 《無理するなと あれほど》 333 00:20:14,513 --> 00:20:16,515 美世。 334 00:20:16,515 --> 00:20:19,118 えっ? だ 旦那様? 335 00:20:21,187 --> 00:20:24,023 はっ。 お おかえりなさいませ。 336 00:20:24,023 --> 00:20:29,695 私 出迎えもせず 申し訳あり…。 337 00:20:29,695 --> 00:20:32,531 旦那様? 美世 なぜだ。 338 00:20:32,531 --> 00:20:35,201 はい? なぜこんなにも痩せる? 339 00:20:35,201 --> 00:20:37,369 どうして倒れたことを隠す? 340 00:20:37,369 --> 00:20:39,538 それは その…。 341 00:20:39,538 --> 00:20:41,540 お前が夜な夜な うなされているのを➡ 342 00:20:41,540 --> 00:20:44,210 私が知らないと思うか? 343 00:20:44,210 --> 00:20:46,545 はっ! 私は言ったはずだ。 344 00:20:46,545 --> 00:20:49,381 なんでも言えと。 甘えろと。 345 00:20:49,381 --> 00:20:53,052 だが いつまで経ってもお前は 何も…。 346 00:20:53,052 --> 00:20:55,554 そんなに私が信用ならないか? 347 00:20:55,554 --> 00:20:57,556 違います! 348 00:20:57,556 --> 00:21:00,659 旦那様の手を 煩わせたくなかったのです。 349 00:21:00,659 --> 00:21:04,663 ただでさえお忙しくて 疲れている旦那様を➡ 350 00:21:04,663 --> 00:21:08,000 私のことなんかで 困らせたくなくて…。 351 00:21:08,000 --> 00:21:12,004 疲れているなどと… それは お前のほうだろう! 352 00:21:12,004 --> 00:21:15,007 は…。 こんなことになるなら➡ 353 00:21:15,007 --> 00:21:18,344 お前に勉強の機会など 与えるのではなかった。 354 00:21:18,344 --> 00:21:21,013 は…。 355 00:21:21,013 --> 00:21:23,516 旦那様 ひどいです…。 356 00:21:23,516 --> 00:21:26,519 はっ。 357 00:21:26,519 --> 00:21:29,522 《違う こんなふうに➡ 358 00:21:29,522 --> 00:21:32,024 こんな話をしたかったわけでは》 359 00:21:32,024 --> 00:21:36,195 私は 私は ただ…。 360 00:21:36,195 --> 00:21:38,397 は…。 美世! 361 00:21:41,367 --> 00:21:44,870 《一番してはいけないことをした。 362 00:21:44,870 --> 00:21:49,708 これでは 斎森の人間と 変わらないではないか。 363 00:21:49,708 --> 00:21:53,712 結局 あの男の言うとおりか》 364 00:21:55,714 --> 00:21:57,917 んっ? 365 00:22:01,821 --> 00:22:03,822 くっ。 366 00:22:03,822 --> 00:22:06,025 (車の音) 367 00:22:10,162 --> 00:22:12,498 《鶴木からすべてを聞き出して➡ 368 00:22:12,498 --> 00:22:15,668 必ず 必ず私が➡ 369 00:22:15,668 --> 00:22:18,170 美世の苦しみを終わらせてやる》