1 00:00:02,002 --> 00:00:04,004 (すすり泣く声) 2 00:00:04,004 --> 00:00:08,342 《美世:桜吹雪は 頬を濡らす雨。 3 00:00:08,342 --> 00:00:11,178 はらはら舞う雨の中で➡ 4 00:00:11,178 --> 00:00:14,681 私は一人 泣いていた。 5 00:00:14,681 --> 00:00:17,351 春の暖かな日差しも➡ 6 00:00:17,351 --> 00:00:19,853 夏の木漏れ日も➡ 7 00:00:19,853 --> 00:00:23,190 秋雲の切れ間から差す光や➡ 8 00:00:23,190 --> 00:00:26,360 粉雪に反射する朝日も➡ 9 00:00:26,360 --> 00:00:29,696 私を照らしてはくれなかった。 10 00:00:29,696 --> 00:00:33,700 幸せなんて 知らなかった。 11 00:00:33,700 --> 00:00:35,869 いちるの希望も➡ 12 00:00:35,869 --> 00:00:39,172 いつも 目の前で消えてしまったから》 13 00:00:43,710 --> 00:00:46,547 は… はっ! 14 00:00:46,547 --> 00:00:50,050 《ずっとそう思って生きてきた。 15 00:00:50,050 --> 00:00:54,655 この世界に 私は必要のない存在なのだと》 16 00:00:56,723 --> 00:01:00,327 《あの日 あのお方と➡ 17 00:01:00,327 --> 00:01:02,329 出会うまでは…》 18 00:01:20,180 --> 00:01:24,351 (川のせせらぎ) 19 00:01:24,351 --> 00:01:27,854 (香耶)なによこれ! 20 00:01:27,854 --> 00:01:30,524 (香耶)こんなお茶 渋くて飲めないわ! 21 00:01:30,524 --> 00:01:33,026 申し訳ありません。 22 00:01:33,026 --> 00:01:35,028 今すぐいれなおして! 23 00:01:35,028 --> 00:01:38,365 (香乃子)美世 いつまで そうしているつもりなの? 24 00:01:38,365 --> 00:01:40,534 早く行ってちょうだい。 25 00:01:40,534 --> 00:01:42,536 かしこまりました。 26 00:01:50,210 --> 00:01:52,412 失礼いたします。 27 00:01:56,717 --> 00:02:00,320 もう お茶も満足に いれられないなんて➡ 28 00:02:00,320 --> 00:02:03,824 同じ斎森の娘として 恥ずかしくないのかしら。 29 00:02:03,824 --> 00:02:07,494 香耶と違って 本当に要領の悪い娘ね。 30 00:02:07,494 --> 00:02:09,830 あの母親そっくり。 31 00:02:09,830 --> 00:02:13,333 (真一)香乃子 私を責めるつもりか? 32 00:02:13,333 --> 00:02:16,503 (香乃子)だって 真一さんが 産ませた子じゃないの。 33 00:02:16,503 --> 00:02:19,806 (真一)勘弁してくれ とうに昔のことだろう。 34 00:02:25,846 --> 00:02:28,348 おはようございます 辰石様。 35 00:02:28,348 --> 00:02:30,517 本日はどうなさいましたか? 36 00:02:30,517 --> 00:02:33,520 (実)真一と これから少し打ち合わせだ。 37 00:02:33,520 --> 00:02:36,189 これは使用人たちで食べなさい。 38 00:02:36,189 --> 00:02:40,027 まあ いつもありがとうございます。 39 00:02:40,027 --> 00:02:43,030 よいよい それでは失礼するぞ。 40 00:02:45,198 --> 00:02:48,368 ⚟先ほど 辰石様が お見えになられてたけど➡ 41 00:02:48,368 --> 00:02:51,872 もしかして 縁談話でも持ってきたのかしら? 42 00:02:51,872 --> 00:02:54,875 んっ? 美世様も香耶様も➡ 43 00:02:54,875 --> 00:02:57,377 そろそろお年頃ですからね。 44 00:02:57,377 --> 00:03:00,147 美世様なんてもう19よ。 45 00:03:00,147 --> 00:03:02,983 ただ あの真一様のことですから➡ 46 00:03:02,983 --> 00:03:06,153 美世様ではなく きっと香耶様かしらね。 47 00:03:06,153 --> 00:03:08,989 アンタたち 何くっちゃべってんだい! 48 00:03:08,989 --> 00:03:12,826 洗濯ひとつ まともにできないヤツは おまんま食い上げだよ! 49 00:03:12,826 --> 00:03:15,328 (2人)も 申し訳ありません。 50 00:03:15,328 --> 00:03:19,332 (香乃子)ちょっと 誰か居間に来てちょうだいな! 51 00:03:19,332 --> 00:03:22,169 ほら 奥様がお呼びだよ! 52 00:03:22,169 --> 00:03:24,171 (2人)ただいま参ります! 53 00:03:27,674 --> 00:03:29,676 縁談…。 54 00:03:37,851 --> 00:03:42,355 (幸次)今日も庭の掃除かい? 精が出るね。 55 00:03:42,355 --> 00:03:44,691 幸次さん。 (幸次)父さんが➡ 56 00:03:44,691 --> 00:03:47,861 君の父上と 当主同士の会談があるみたいで➡ 57 00:03:47,861 --> 00:03:51,531 今日はその付き添いで来たんだ。 58 00:03:51,531 --> 00:03:54,367 それは ご苦労さまです。 59 00:03:54,367 --> 00:03:56,870 ていうのは口実で…。 60 00:03:56,870 --> 00:04:00,073 ほんとのところは 美世と話したかっただけ。 61 00:04:06,146 --> 00:04:08,815 美世 手を出してごらん。 62 00:04:08,815 --> 00:04:11,651 んっ? ミルク…。 63 00:04:11,651 --> 00:04:15,155 ミルクキャラメルだよ。 甘くておいしいお菓子。 64 00:04:15,155 --> 00:04:19,559 初めて食べたときは 頬が落ちるかと思ったくらいさ。 65 00:04:29,169 --> 00:04:31,505 んっ! フフッ。 66 00:04:31,505 --> 00:04:33,840 喜んでもらえたみたいでよかった。 67 00:04:33,840 --> 00:04:36,510 はやりもの好きの兄貴が 買ってきたんだ。 68 00:04:36,510 --> 00:04:38,845 とってもおいしいです。 69 00:04:38,845 --> 00:04:42,015 ご希望とあらば いつでも持ってきてあげるよ。 70 00:04:42,015 --> 00:04:46,019 これで美世が笑顔になるのなら 安いものさ。 71 00:04:46,019 --> 00:04:50,357 いつも ありがとうございます。 72 00:04:50,357 --> 00:04:55,195 こんな時間が ずっと続けばいいんだけどな…。 73 00:04:55,195 --> 00:05:00,800 (幸次)僕は… 美世を助けてあげたいんだ。 74 00:05:00,800 --> 00:05:04,304 幸次さんには いつも救われています。 75 00:05:06,640 --> 00:05:08,808 こんな僕だけど➡ 76 00:05:08,808 --> 00:05:12,813 いつだって 美世の力になりたいんだ。 77 00:05:12,813 --> 00:05:14,815 君のために…。 78 00:05:14,815 --> 00:05:17,817 君がずっと笑っていられるように。 79 00:05:17,817 --> 00:05:20,487 フッ なんて…。 80 00:05:20,487 --> 00:05:22,489 フフ…。 81 00:05:26,159 --> 00:05:28,495 ねぇお父様。 82 00:05:28,495 --> 00:05:32,332 女学校に着ていく 新しいお着物が 欲しいのだけれど➡ 83 00:05:32,332 --> 00:05:34,501 ダメかしら? ああ➡ 84 00:05:34,501 --> 00:05:37,337 そろそろ女学校も新学期か。 85 00:05:37,337 --> 00:05:40,841 この機会に 2~3枚買ってきたらどうだ。 86 00:05:40,841 --> 00:05:42,842 えっ いいの!? 87 00:05:42,842 --> 00:05:45,178 (香耶)お父様 ありがとう! 88 00:05:45,178 --> 00:05:47,180 まあ 真一さんったら。 89 00:05:47,180 --> 00:05:49,349 本当に香耶には甘いんだから。 90 00:05:49,349 --> 00:05:52,185 (香耶)もうこのお着物ボロボロなのよ。 91 00:05:52,185 --> 00:05:55,689 (真一)美世。 はっ…。 92 00:05:55,689 --> 00:05:57,691 はい。 93 00:05:57,691 --> 00:06:00,794 いつも昼は 何をしている? 94 00:06:00,794 --> 00:06:04,631 え あ… 家の周りのお掃除を。 95 00:06:04,631 --> 00:06:08,134 (真一)そうか。 明後日の昼だが➡ 96 00:06:08,134 --> 00:06:11,805 必ず家にいなさい。 いいな? 97 00:06:11,805 --> 00:06:15,308 あ… かしこまりました。 98 00:06:21,314 --> 00:06:26,653 《使用人同然の私に 家にいろだなんて…。 99 00:06:26,653 --> 00:06:28,989 心配しなくても➡ 100 00:06:28,989 --> 00:06:32,659 私がこの家の 敷地の外に出ることなんて➡ 101 00:06:32,659 --> 00:06:35,061 あるわけないのに》 102 00:06:46,840 --> 00:06:48,842 ふう…。 103 00:06:48,842 --> 00:06:51,678 (香耶)お母様~? 104 00:06:51,678 --> 00:06:54,014 ねぇ お母様を見なかった? 105 00:06:54,014 --> 00:06:57,183 奥様でしたら 離れにいらっしゃるかと。 106 00:06:57,183 --> 00:06:59,185 これからお出かけですか? 107 00:06:59,185 --> 00:07:01,454 ええ 着物を新調するの。 108 00:07:01,454 --> 00:07:04,291 新学期のためにね。 109 00:07:04,291 --> 00:07:08,128 それより… クククッ。 110 00:07:08,128 --> 00:07:12,132 (香耶)お姉様 顔を洗ったらいかが? 111 00:07:12,132 --> 00:07:14,467 (香耶)ひどい顔よ。 えっ? 112 00:07:14,467 --> 00:07:17,137 美世様 お顔にすすが。 113 00:07:17,137 --> 00:07:19,639 えっ。 (香耶)アハハッ! 114 00:07:19,639 --> 00:07:23,810 そんなお顔で 間違ってもお客様の お出迎えなんてしないでね。 115 00:07:23,810 --> 00:07:28,481 ただでさえ斎森家の恥なんだから。 116 00:07:28,481 --> 00:07:32,319 申し訳 ありません。 117 00:07:32,319 --> 00:07:34,654 (鳥のさえずり) 118 00:07:34,654 --> 00:07:39,559 (庭を掃く音) 119 00:07:44,998 --> 00:07:46,100 美世…。 120 00:07:46,100 --> 00:07:49,002 んっ 幸次さん。 121 00:07:51,171 --> 00:07:53,506 おはようございます。 122 00:07:53,506 --> 00:07:57,677 今日は洋装だなんて珍しいですね。 123 00:07:57,677 --> 00:07:59,846 とってもお似合いです。 124 00:07:59,846 --> 00:08:01,781 ん…。 125 00:08:01,781 --> 00:08:06,786 あ… あの 今日はどんなご用事で? 126 00:08:06,786 --> 00:08:10,623 ああ うん ちょっと大事な用だよ。 127 00:08:10,623 --> 00:08:14,294 君の父上に。 父に? 128 00:08:14,294 --> 00:08:16,796 あ…。 これ…。 129 00:08:16,796 --> 00:08:19,799 あっ。 手土産のお菓子。 130 00:08:19,799 --> 00:08:21,968 よければ みんなでどうぞ。 131 00:08:21,968 --> 00:08:24,637 ありがとうございます。 132 00:08:24,637 --> 00:08:29,476 じゃ じゃあ また後で…。 133 00:08:29,476 --> 00:08:32,078 あ 幸次さん? 134 00:08:38,318 --> 00:08:41,488 《どうして こんなことに…》 135 00:08:41,488 --> 00:08:45,992 (雨音) 136 00:08:45,992 --> 00:08:48,828 美世様! んっ? 137 00:08:48,828 --> 00:08:52,165 旦那様が美世様を お呼びになられてます。 138 00:08:52,165 --> 00:08:55,502 えっ? すぐにお座敷に来るようにと。 139 00:08:55,502 --> 00:08:57,837 わ わかりました。 140 00:08:57,837 --> 00:09:00,340 (雨音) 141 00:09:03,943 --> 00:09:05,945 はっ。 142 00:09:11,451 --> 00:09:15,789 ⦅明後日の昼だが 必ず家にいなさい。 143 00:09:15,789 --> 00:09:17,791 いいな?⦆ 144 00:09:20,293 --> 00:09:23,296 《もしかしたらなんて考えてはダメ。 145 00:09:23,296 --> 00:09:26,299 きっと悪い話に決まってる》 146 00:09:28,301 --> 00:09:31,638 《幸次さんとの縁談…。 147 00:09:31,638 --> 00:09:34,140 期待してはいけない。 148 00:09:34,140 --> 00:09:38,144 そう思っているはずなのに…》 149 00:09:38,144 --> 00:09:42,315 (深呼吸) 150 00:09:42,315 --> 00:09:44,984 参りました 美世です。 151 00:09:44,984 --> 00:09:46,986 (真一)入れ。 152 00:09:49,322 --> 00:09:51,825 失礼いたします。 153 00:09:58,832 --> 00:10:01,835 (香耶)何を ボーッとしてらっしゃるの? 154 00:10:01,835 --> 00:10:04,137 さっさと お入りになっていただける? 155 00:10:06,172 --> 00:10:08,174 ん…。 156 00:10:08,174 --> 00:10:10,176 あ…。 157 00:10:12,512 --> 00:10:15,515 (真一)話というのは他でもない。 158 00:10:15,515 --> 00:10:18,017 辰石家との縁談と➡ 159 00:10:18,017 --> 00:10:20,520 この家の今後のことだ。 160 00:10:20,520 --> 00:10:22,522 (真一)この斎森家は➡ 161 00:10:22,522 --> 00:10:27,527 幸次くんに婿養子に入ってもらい 継いでもらうことにした。 162 00:10:27,527 --> 00:10:32,866 彼の妻として この家を支えるのは➡ 163 00:10:32,866 --> 00:10:35,034 香耶だ。 はっ…。 164 00:10:35,034 --> 00:10:37,370 フフフ。 165 00:10:37,370 --> 00:10:39,873 《覚悟していた。 166 00:10:39,873 --> 00:10:42,542 使用人同然の私が➡ 167 00:10:42,542 --> 00:10:46,045 結婚できるわけがないって。 168 00:10:46,045 --> 00:10:49,716 この家で 存在を許されて➡ 169 00:10:49,716 --> 00:10:52,385 穏やかに過ごせる日々が➡ 170 00:10:52,385 --> 00:10:57,724 そんな簡単に私のもとに 訪れるわけがないって》 171 00:10:57,724 --> 00:11:00,994 (真一)美世 お前には嫁いでもらう。 172 00:11:00,994 --> 00:11:02,996 は…。 173 00:11:02,996 --> 00:11:05,331 嫁ぎ先は 久堂家。 174 00:11:05,331 --> 00:11:09,836 久堂清霞殿のところだ。 175 00:11:09,836 --> 00:11:12,672 く 久堂!? (香耶)よかったじゃない! 176 00:11:12,672 --> 00:11:17,010 あの有名な久堂清霞さんのもとに 嫁げるだなんて。 177 00:11:17,010 --> 00:11:19,012 は…。 178 00:11:19,012 --> 00:11:21,347 なんの取り柄もないあなたには➡ 179 00:11:21,347 --> 00:11:23,850 もったいなさすぎるお話ね。 180 00:11:23,850 --> 00:11:28,688 ウフフ お姉様は久堂家で いったい何日もつのかしら。 181 00:11:28,688 --> 00:11:30,857 楽しみね。 182 00:11:30,857 --> 00:11:33,192 すぐに荷物をまとめて➡ 183 00:11:33,192 --> 00:11:36,529 明朝 久堂殿の屋敷に向かえ。 184 00:11:36,529 --> 00:11:39,699 あの おと…。 (真一)話は以上だ。 185 00:11:39,699 --> 00:11:42,368 わかったならさっさと支度をしろ。 186 00:11:42,368 --> 00:11:45,705 くれぐれも 無礼のないようにな。 187 00:11:45,705 --> 00:11:49,208 は…。 188 00:11:49,208 --> 00:11:51,211 フフ…。 189 00:11:51,211 --> 00:11:53,613 失礼 いたします。 190 00:12:00,153 --> 00:12:05,058 (真一)さて 幸次くん 早速結納の日取りだが…。 191 00:12:19,339 --> 00:12:21,674 しばらく止みそうにないわねぇ。 192 00:12:21,674 --> 00:12:24,577 せっかく洗濯物 干したのに。 193 00:12:26,846 --> 00:12:29,048 あっ。 194 00:12:31,351 --> 00:12:34,354 (幸次)美世…。 195 00:12:34,354 --> 00:12:37,023 ん…。 196 00:12:37,023 --> 00:12:39,525 ⦅幸次:ちょっと待ってください! 197 00:12:39,525 --> 00:12:41,527 どうして僕が! 198 00:12:41,527 --> 00:12:43,529 何度も言わせるな。 199 00:12:43,529 --> 00:12:46,532 お前は斎森香耶の 婿になれと言っている。 200 00:12:46,532 --> 00:12:49,535 そんなこと いきなり言われても…。 201 00:12:49,535 --> 00:12:52,205 お前は美世を助けたいんだろう? 202 00:12:52,205 --> 00:12:54,207 心配するな。 203 00:12:54,207 --> 00:12:57,877 美世は一志の嫁にするよう 斎森に頼んである。 204 00:12:57,877 --> 00:13:02,482 そうすれば 彼女はあの家を出られるんだ。 205 00:13:02,482 --> 00:13:06,819 それこそ彼女にとって 一番幸せな道だと思わんか? 206 00:13:06,819 --> 00:13:08,821 美世の気持ちは…。 207 00:13:08,821 --> 00:13:11,491 よりにもよって 僕と香耶だなんて。 208 00:13:11,491 --> 00:13:14,160 これはすでに決まったことだ。 209 00:13:14,160 --> 00:13:18,331 お前はこの家の繁栄のために 黙って従え。 210 00:13:18,331 --> 00:13:20,333 (実)わかったな。 211 00:13:20,333 --> 00:13:23,336 ん…⦆ 212 00:13:29,842 --> 00:13:32,679 《お母様の桜の木…。 213 00:13:32,679 --> 00:13:35,181 落ち込んだときにここに来ると➡ 214 00:13:35,181 --> 00:13:38,351 いつも心が安らぐのだけど➡ 215 00:13:38,351 --> 00:13:42,355 もうここにも来れなくなるのね。 216 00:13:42,355 --> 00:13:44,357 今までありがとう。 217 00:13:44,357 --> 00:13:47,360 さようなら お母様》 218 00:13:50,196 --> 00:13:53,366 (幸次)美世…。 219 00:13:53,366 --> 00:13:56,369 幸次さん…。 220 00:13:56,369 --> 00:13:59,872 (幸次)ごめん。 221 00:13:59,872 --> 00:14:03,142 僕は本当にふがいないね。 222 00:14:03,142 --> 00:14:05,812 結局なにもできなくて…。 223 00:14:05,812 --> 00:14:09,148 幸次さんが 謝ることではありません。 224 00:14:09,148 --> 00:14:12,485 ただ 運が悪かっただけですから。 225 00:14:12,485 --> 00:14:14,987 違う! 運なんかじゃ…。 226 00:14:14,987 --> 00:14:20,326 いいんです。 嫁ぎ先で 幸せになれるかもしれませんし。 227 00:14:20,326 --> 00:14:22,328 私は気にしていませんから。 228 00:14:22,328 --> 00:14:25,665 君は 僕を恨んでいないのか。 229 00:14:25,665 --> 00:14:27,667 恨むだなんて…。 230 00:14:27,667 --> 00:14:30,570 そんな気持ちは とうに忘れました。 231 00:14:33,005 --> 00:14:35,508 僕は君を助けたかった。 232 00:14:35,508 --> 00:14:39,846 また昔のように 普通に君と笑いあいたかった。 233 00:14:39,846 --> 00:14:42,181 僕は君を…。 (香耶)幸次さん。 234 00:14:42,181 --> 00:14:44,183 (幸次)香耶…。 235 00:14:44,183 --> 00:14:46,853 何を話しているの? 236 00:14:46,853 --> 00:14:49,522 な 何でもないよ…。 237 00:14:49,522 --> 00:14:52,358 あらそう。 238 00:14:52,358 --> 00:14:55,027 幸次さん。 んっ。 239 00:14:55,027 --> 00:14:59,365 今まで ありがとうございました。 240 00:14:59,365 --> 00:15:03,636 (遠ざかる足音) 241 00:15:03,636 --> 00:15:05,638 フフッ。 242 00:15:13,479 --> 00:15:22,488 ♬~ 243 00:15:22,488 --> 00:15:25,491 ⚟美世様 少しよろしいですか? 244 00:15:25,491 --> 00:15:27,493 はい どうぞ。 245 00:15:27,493 --> 00:15:29,495 (ふすまが開く音) 246 00:15:29,495 --> 00:15:33,833 真一様からのお言づてで 明日出発される際は➡ 247 00:15:33,833 --> 00:15:37,670 こちらの お着物をお召しなるようにと。 248 00:15:37,670 --> 00:15:40,173 お父様が…。 249 00:15:40,173 --> 00:15:43,342 いいですか 美世様。 あ…。 250 00:15:43,342 --> 00:15:47,847 久堂清霞様は 冷酷無慈悲と ウワサされているお方です。 251 00:15:47,847 --> 00:15:51,184 今までの婚約者は 皆 逃げ出したそうで。 252 00:15:51,184 --> 00:15:53,519 どうか お気をつけて。 253 00:15:53,519 --> 00:15:56,856 お気遣い ありがとうございます。 254 00:15:56,856 --> 00:16:02,795 は… お荷物 たったそれだけで…。 255 00:16:02,795 --> 00:16:06,632 母の形見も ほとんど 捨てられてしまったので➡ 256 00:16:06,632 --> 00:16:09,802 これくらいしか ないんです。 257 00:16:09,802 --> 00:16:13,639 さぞ おつらかったでしょうに…。 258 00:16:13,639 --> 00:16:17,810 こちら よければ 道中で召し上がってください。 259 00:16:17,810 --> 00:16:20,813 フフ 助かります。 260 00:16:20,813 --> 00:16:24,817 美世様 それでは どうかお元気で。 261 00:16:28,988 --> 00:16:31,324 《こんな 派手な着物➡ 262 00:16:31,324 --> 00:16:34,527 私には到底 似合いそうにない》 263 00:16:46,172 --> 00:16:48,374 は…。 264 00:16:51,177 --> 00:16:53,379 (戸を開ける音) 265 00:16:59,852 --> 00:17:02,955 《私 とうとう帰る家も➡ 266 00:17:02,955 --> 00:17:06,559 思い出さえも 失ってしまったのね…》 267 00:17:12,131 --> 00:17:20,973 (走る息遣い) 268 00:17:20,973 --> 00:17:22,975 ⦅フフッ!⦆ 269 00:17:22,975 --> 00:17:35,154 ♬~ 270 00:17:35,154 --> 00:17:46,332 (美世の嗚咽) 271 00:17:46,332 --> 00:17:49,835 (セミの鳴き声) 272 00:17:49,835 --> 00:17:58,177 ♬~ 273 00:17:58,177 --> 00:18:00,112 ⦅ん…。 274 00:18:00,112 --> 00:18:02,114 んっ?⦆ 275 00:18:02,114 --> 00:18:30,643 ♬~ 276 00:18:30,643 --> 00:19:25,297 ♬~ 277 00:19:25,297 --> 00:19:50,623 ♬~ 278 00:19:53,826 --> 00:19:57,329 《こんなところに 本当に久堂家の当主が➡ 279 00:19:57,329 --> 00:19:59,832 住んでいるのかしら…》 280 00:19:59,832 --> 00:20:01,834 (鳥のさえずり) 281 00:20:08,674 --> 00:20:11,010 あっ。 282 00:20:11,010 --> 00:20:13,512 《ここかしら…。 283 00:20:13,512 --> 00:20:16,615 思っていたよりも質素な家…》 284 00:20:20,853 --> 00:20:23,022 (ノック) 285 00:20:23,022 --> 00:20:25,124 ごめんください。 286 00:20:27,193 --> 00:20:30,362 (ゆり江)はいはい。 287 00:20:30,362 --> 00:20:32,364 (ゆり江)どちら様でしょう。 288 00:20:32,364 --> 00:20:36,202 は 初めまして 斎森美世と申します。 289 00:20:36,202 --> 00:20:38,370 この度 久堂清霞様との➡ 290 00:20:38,370 --> 00:20:41,207 縁談のお話をいただき 参りました。 291 00:20:41,207 --> 00:20:43,542 まあ 斎森様。 292 00:20:43,542 --> 00:20:45,544 お待ちしておりましたよ。 293 00:20:45,544 --> 00:20:49,215 私は久堂家使用人の ゆり江と申します。 294 00:20:49,215 --> 00:20:51,884 よろしくお願いいたします。 295 00:20:51,884 --> 00:20:54,220 お話は聞いておりますよ。 296 00:20:54,220 --> 00:20:57,389 さあ どうぞお入りくださいませ。 297 00:20:57,389 --> 00:21:01,160 お お邪魔します。 298 00:21:01,160 --> 00:21:04,330 坊ちゃんは今 書斎にいらっしゃいますから。 299 00:21:04,330 --> 00:21:08,000 早速そちらまで ご案内いたしますね。 300 00:21:08,000 --> 00:21:11,170 あ…。 301 00:21:11,170 --> 00:21:14,006 お初にお目にかかります。 302 00:21:14,006 --> 00:21:16,675 斎森美世と申します。 303 00:21:16,675 --> 00:21:19,678 どうぞ よろしくお願いいたします。 304 00:21:30,356 --> 00:21:32,858 (清霞)はぁ…。 305 00:21:32,858 --> 00:21:36,362 いつまでそうしているつもりだ。 306 00:21:36,362 --> 00:21:40,533 申し訳ございません。 謝れとは言っていない。 307 00:21:40,533 --> 00:21:44,203 さあ どうか お顔を上げてくださいまし。 308 00:21:44,203 --> 00:21:46,205 は はい…。 309 00:21:48,874 --> 00:21:50,876 はっ…。 310 00:21:50,876 --> 00:21:54,880 《この日 このお方と出会ったことで➡ 311 00:21:54,880 --> 00:21:58,717 まるで 雪の中で芽吹いた花のように➡ 312 00:21:58,717 --> 00:22:01,987 私の閉ざされた人生は➡ 313 00:22:01,987 --> 00:22:06,492 再び動き出したのでした》 314 00:22:06,492 --> 00:22:09,795 久堂家当主 久堂清霞だ。 315 00:22:12,998 --> 00:22:15,167 (風の音) 316 00:22:15,167 --> 00:22:18,671 《きれいな 人…》