1 00:00:03,470 --> 00:00:05,970 《美世:きれいな人》 2 00:00:05,970 --> 00:00:08,300 (清霞)お前が新しい婚約者か。 3 00:00:08,300 --> 00:00:10,310 はい。 4 00:00:10,310 --> 00:00:14,640 いいか ここでは 私の言うことには絶対に従え。 5 00:00:14,640 --> 00:00:17,650 私が出て行けと言ったら出て行け。 6 00:00:17,650 --> 00:00:19,650 死ねと言ったら死ね。 7 00:00:19,650 --> 00:00:21,650 文句や反論は聞かん。 8 00:00:21,650 --> 00:00:23,650 かしこまりました。 9 00:00:23,650 --> 00:00:27,560 はっ? 他には何かございますでしょうか。 10 00:00:29,490 --> 00:00:33,160 よろしくお願いいたします。 11 00:00:33,160 --> 00:00:37,000 <久堂清霞様との新たな生活は➡ 12 00:00:37,000 --> 00:00:40,500 こうして 静かに幕を開けたのでした> 13 00:02:18,480 --> 00:02:20,650 (ゆり江)美世様は こちらのお部屋を➡ 14 00:02:20,650 --> 00:02:22,650 お使いくださいませ。 15 00:02:26,820 --> 00:02:29,320 お気遣い ありがとうございます。 16 00:02:29,320 --> 00:02:31,490 美世様。 はい。 17 00:02:31,490 --> 00:02:33,490 坊ちゃんは いろいろと➡ 18 00:02:33,490 --> 00:02:36,330 よくないウワサが あるようですけれど➡ 19 00:02:36,330 --> 00:02:39,660 本当は お優しい方なのですよ。 20 00:02:39,660 --> 00:02:43,840 んっ? それでは ゆり江は これにて失礼いたします。 21 00:02:43,840 --> 00:02:46,640 はい ありがとうございます。 22 00:02:53,280 --> 00:02:55,780 《上等なお布団。 23 00:02:55,780 --> 00:02:59,790 もっと ののしられたり さげすまれるかと思った。 24 00:02:59,790 --> 00:03:03,290 いきなり追い出されることも 覚悟していたのに》 25 00:03:06,790 --> 00:03:10,960 《きっと 旦那様は 私が斎森家の娘だから➡ 26 00:03:10,960 --> 00:03:13,970 異能を持っていると 思っているはず》 27 00:03:18,140 --> 00:03:20,140 《だとしたら…》 28 00:03:26,140 --> 00:03:28,480 ⦅真一:これより 2人に見鬼の才が➡ 29 00:03:28,480 --> 00:03:30,980 あるか否かを確かめる。 30 00:03:30,980 --> 00:03:35,150 美世 香耶 感覚を研ぎ澄ませなさい。 31 00:03:35,150 --> 00:03:38,660 (2人)はい。 32 00:03:38,660 --> 00:03:40,860 では 開けるぞ。 33 00:03:43,500 --> 00:03:45,500 (2人)んっ。 34 00:03:45,500 --> 00:03:48,330 (足音) 35 00:03:48,330 --> 00:03:51,270 (香耶)はっ! 36 00:03:51,270 --> 00:03:53,570 うっ 来ないで。 えっ? 37 00:03:58,440 --> 00:04:01,280 きゃ~! (真一)香耶! 38 00:04:01,280 --> 00:04:05,280 いや! こっちに来ないで! 39 00:04:05,280 --> 00:04:08,950 異形が見えたということは 見鬼の才があるということ! 40 00:04:08,950 --> 00:04:11,960 お前はいずれ 異能にも目覚めるはずだ。 41 00:04:11,960 --> 00:04:13,960 よくやった 香耶! 42 00:04:13,960 --> 00:04:15,960 いのう? 43 00:04:20,800 --> 00:04:24,800 キャハハッ! (香乃子)まあ ウフフッ。 44 00:04:24,800 --> 00:04:27,810 あれから 更に見えるようになったのか。 45 00:04:27,810 --> 00:04:30,980 (香耶)昨日 ちょっとだけ 式も動かせたんだよ。 46 00:04:30,980 --> 00:04:32,980 香耶えらいでしょ! (香乃子)さすが➡ 47 00:04:32,980 --> 00:04:35,980 真一さんとわたくしの娘だわ。 48 00:04:35,980 --> 00:04:38,650 いつまでたっても 見鬼のけの字も現れない➡ 49 00:04:38,650 --> 00:04:41,150 ごくつぶしとは大違いね。 50 00:04:41,150 --> 00:04:43,160 はっ。 51 00:04:43,160 --> 00:04:46,160 (花)美世様 きっと大丈夫ですよ。 52 00:04:46,160 --> 00:04:48,660 私ね 知ってるの。 53 00:04:48,660 --> 00:04:53,100 みんながひどいウワサしてるの。 54 00:04:53,100 --> 00:04:55,100 アハハハッ! 55 00:04:55,100 --> 00:04:59,270 異能がない私は 役立たず。 56 00:04:59,270 --> 00:05:01,270 (花)美世様…。 57 00:05:01,270 --> 00:05:04,780 きっと私 あのお母様の桜の木のように➡ 58 00:05:04,780 --> 00:05:07,280 いらない子 なのよね⦆ 59 00:05:12,950 --> 00:05:15,620 はっ。 60 00:05:15,620 --> 00:05:18,120 夢…。 61 00:05:18,120 --> 00:05:23,300 《ああ もうあの家ではないのだった。 62 00:05:23,300 --> 00:05:26,800 この家では ちゃんと役に立たないと》 63 00:05:26,800 --> 00:05:29,300 あっ。 (おなかの音) 64 00:05:34,470 --> 00:05:36,980 あら? いい匂い。 65 00:05:43,150 --> 00:05:45,650 いい感じ。 美世様? 66 00:05:45,650 --> 00:05:48,990 あっ ゆり江さん お おはようございます。 67 00:05:48,990 --> 00:05:51,420 おはようございます 美世様。 68 00:05:51,420 --> 00:05:53,430 お越しになられて早々➡ 69 00:05:53,430 --> 00:05:57,100 こんな朝早くから 食事の準備だなんて。 70 00:05:57,100 --> 00:06:00,430 あの 勝手をして申し訳ありません。 71 00:06:00,430 --> 00:06:03,270 勝手だなんて めっそうもありませんよ。 72 00:06:03,270 --> 00:06:06,470 美世様は 坊ちゃんの婚約者ですもの。 73 00:06:09,270 --> 00:06:11,280 (ゆり江)あら おいしそう! 74 00:06:11,280 --> 00:06:14,280 これは きっと坊ちゃんも喜びますわ。 75 00:06:14,280 --> 00:06:17,620 お食事の支度は このゆり江の仕事なのですが➡ 76 00:06:17,620 --> 00:06:21,450 見てのとおり もうこんな しわくちゃの婆ですから。 77 00:06:21,450 --> 00:06:25,620 お手伝いをしていただけて 本当に助かりましたよ。 78 00:06:25,620 --> 00:06:27,630 い いえ。 79 00:06:27,630 --> 00:06:31,130 さぁさ 坊ちゃんが起きるまでは まだ時間がありますからね。 80 00:06:31,130 --> 00:06:33,300 ほかのこともやっておきましょう。 81 00:06:33,300 --> 00:06:36,300 (ゆり江)美世様 ここは お任せしてよろしいですか? 82 00:06:36,300 --> 00:06:39,100 はい 私でよろしければ。 83 00:06:46,310 --> 00:06:50,080 (ゆり江)おはようございます 坊ちゃん。 84 00:06:50,080 --> 00:06:52,080 おはよう。 85 00:06:52,080 --> 00:06:56,590 ゆり江 人前で 坊ちゃんと呼ぶのはやめろ。 86 00:06:56,590 --> 00:06:59,760 おはようございます 旦那様。 87 00:06:59,760 --> 00:07:02,590 坊ちゃん 今朝は美世様が➡ 88 00:07:02,590 --> 00:07:05,100 お料理をしてくださったんですよ。 89 00:07:05,100 --> 00:07:07,100 そうか。 (ゆり江)ええ! 90 00:07:07,100 --> 00:07:10,940 それはもう手際もよくて とても助かりました。 91 00:07:10,940 --> 00:07:13,740 ここに座れ。 は はい。 92 00:07:18,110 --> 00:07:20,110 お前 先に食べてみろ。 93 00:07:20,110 --> 00:07:22,610 えっ。 食べられないのか? 94 00:07:22,610 --> 00:07:26,120 あ あの…。 毒でも盛ったか。 95 00:07:26,120 --> 00:07:28,120 わかりやすいことだ。 96 00:07:28,120 --> 00:07:30,120 え…。 毒!? 97 00:07:30,120 --> 00:07:33,630 こんな 何が入っているかも わからないものは食えん。 98 00:07:33,630 --> 00:07:35,630 片づけておけ。 99 00:07:35,630 --> 00:07:37,630 次はもっとうまくやることだ。 100 00:07:37,630 --> 00:07:42,130 (ゆり江)ちょっと 坊ちゃん! 坊ちゃん! 101 00:07:42,130 --> 00:07:45,140 < よかれと思って取った行動は➡ 102 00:07:45,140 --> 00:07:49,840 予期せず大きな失敗を 招いてしまったのでした> 103 00:07:54,410 --> 00:07:57,920 諸君を 対異特殊部隊に歓迎する。 104 00:07:57,920 --> 00:08:01,090 厳しい鍛錬によって 異能の力を磨き➡ 105 00:08:01,090 --> 00:08:03,420 その技を高めていってほしい。 106 00:08:03,420 --> 00:08:08,260 (五道)異能とは 魂に宿りし潜在的な力である。 107 00:08:08,260 --> 00:08:11,430 念動力 発火能力 透視能力。 108 00:08:11,430 --> 00:08:14,270 いかなる異能も 決してこの世のことわりから➡ 109 00:08:14,270 --> 00:08:16,270 外れたものではない。 110 00:08:16,270 --> 00:08:19,100 魂の力が具現化するのだ。 111 00:08:19,100 --> 00:08:24,280 そしてこの国には 古来より異形が住みついている。 112 00:08:24,280 --> 00:08:27,950 鬼や妖とも呼ばれ 人に害をなしてきた存在だ。 113 00:08:27,950 --> 00:08:29,950 もし異形が出現したとき➡ 114 00:08:29,950 --> 00:08:33,280 その脅威に対抗できる 唯一無二の力こそ➡ 115 00:08:33,280 --> 00:08:35,450 異能なのである! 116 00:08:35,450 --> 00:08:37,960 肝心の異形はどこにいるんだ。 117 00:08:37,960 --> 00:08:39,960 どれだけ備えたところで➡ 118 00:08:39,960 --> 00:08:43,290 出動がないんじゃな。 119 00:08:43,290 --> 00:08:45,800 (五道)ゆえに 我々はいついかなる時も➡ 120 00:08:45,800 --> 00:08:48,100 異形の出現に備えて…。 121 00:08:50,240 --> 00:08:52,570 (隊員たち)うおっ! 122 00:08:52,570 --> 00:08:55,570 (隊員たち)あ…。 123 00:08:55,570 --> 00:08:57,910 (隊員たち)んっ! 時代の流れとともに➡ 124 00:08:57,910 --> 00:09:00,080 異形は数を減らし➡ 125 00:09:00,080 --> 00:09:02,910 今や異形討伐の出動もわずかだ。 126 00:09:02,910 --> 00:09:06,420 だからこそ いざ事案が発生したときには➡ 127 00:09:06,420 --> 00:09:09,420 大きな被害と混乱が予想される。 128 00:09:09,420 --> 00:09:12,420 諸君には 先陣を切って異形と戦う➡ 129 00:09:12,420 --> 00:09:14,430 強い覚悟を期待する。 130 00:09:14,430 --> 00:09:17,100 (隊員たち)はっ! 131 00:09:17,100 --> 00:09:20,100 入れ。 (ノック) 132 00:09:20,100 --> 00:09:23,300 隊長 頼まれた書類 持ってきましたよ~。 133 00:09:25,270 --> 00:09:29,110 先ほどの新人訓練 やけに気合いが入ってましたねぇ。 134 00:09:29,110 --> 00:09:32,940 あら? 今日は機嫌が悪いのかな。 135 00:09:32,940 --> 00:09:37,450 聞こえます? お~い 久堂隊長。 136 00:09:37,450 --> 00:09:39,620 おやおや? もしかして➡ 137 00:09:39,620 --> 00:09:42,120 また婚約者に 逃げられでもしましたか? 138 00:09:42,120 --> 00:09:44,790 くだらんことを言ってないで さっさと出ていけ。 139 00:09:44,790 --> 00:09:46,790 あれ 図星ですか? 140 00:09:46,790 --> 00:09:48,790 焼かれたいのか? おっと。 141 00:09:48,790 --> 00:09:51,960 今日は特段 虫の居所がお悪いようで。 142 00:09:51,960 --> 00:09:54,270 それでは自分はこれにて。 143 00:09:56,630 --> 00:09:58,640 (ドアの開閉音) 144 00:09:58,640 --> 00:10:00,640 はぁ。 145 00:10:00,640 --> 00:10:02,810 ⦅ゆり江:坊ちゃん 聞いてらっしゃいますか? 146 00:10:02,810 --> 00:10:05,310 ああ 聞いている。 147 00:10:05,310 --> 00:10:08,480 何もあんな言い方することは ないでしょうに。 148 00:10:08,480 --> 00:10:12,650 美世様は 一生懸命お食事の用意を なさっておいででした。 149 00:10:12,650 --> 00:10:15,650 毒など入れるような方には 思えません⦆ 150 00:10:17,820 --> 00:10:20,830 《ゆり江が あそこまで言うのは珍しい》 151 00:10:22,990 --> 00:10:26,160 まったく ほかのことを考えるなど。 152 00:10:26,160 --> 00:10:28,170 我ながら たるんでいるな。 153 00:10:32,170 --> 00:10:36,510 《ここに来て早々に 失敗してしまうだなんて。 154 00:10:36,510 --> 00:10:39,340 旦那様がウワサどおりの人ならば➡ 155 00:10:39,340 --> 00:10:43,180 もう この家には いられないかもしれない》 156 00:10:43,180 --> 00:10:46,180 (真一)幸次くんの部屋を 用意しておいた。 157 00:10:46,180 --> 00:10:48,690 今日から自由に使いなさい。 158 00:10:48,690 --> 00:10:50,620 (幸次)ありがとうございます。 159 00:10:50,620 --> 00:10:53,790 婿入りの準備も 始めなければいけないだろう? 160 00:10:53,790 --> 00:10:55,790 これから忙しくなると思うが➡ 161 00:10:55,790 --> 00:10:57,800 よろしく頼んだぞ。 162 00:10:57,800 --> 00:10:59,800 はい。 163 00:10:59,800 --> 00:11:02,630 こちらのお荷物 どちらに持っていきましょう? 164 00:11:02,630 --> 00:11:05,300 (香耶)お姉様の部屋に 持って行ってちょうだい。 165 00:11:05,300 --> 00:11:07,970 こんばんは 香耶。 166 00:11:07,970 --> 00:11:09,970 あら 幸次さんじゃない。 167 00:11:09,970 --> 00:11:13,310 その荷物 よければ僕が持っていきますよ。 168 00:11:13,310 --> 00:11:16,480 重いでしょうし。 お姉様以外の使用人にも➡ 169 00:11:16,480 --> 00:11:19,980 優しいだなんて さすが幸次さんね。 170 00:11:19,980 --> 00:11:22,090 フッ…。 171 00:11:26,490 --> 00:11:29,990 こんなところで 美世は。 172 00:11:29,990 --> 00:11:32,000 《もし久堂家に追い出され➡ 173 00:11:32,000 --> 00:11:35,000 美世が路頭に 迷うようなことがあれば➡ 174 00:11:35,000 --> 00:11:38,000 その時は僕が 美世の居場所にならなければ》 175 00:11:38,000 --> 00:11:40,510 (香耶)ちょっと幸次さん。 んっ。 176 00:11:40,510 --> 00:11:42,670 (香耶)これも お願いしていいかしら? 177 00:11:42,670 --> 00:11:46,680 はぁ… ああ すぐに行くよ。 178 00:11:46,680 --> 00:11:50,080 《僕にしか できないこともあるはずだ》 179 00:11:52,450 --> 00:11:55,620 おかえりなさいませ 旦那様。 180 00:11:55,620 --> 00:11:58,790 あの…。 なんだ? 181 00:11:58,790 --> 00:12:01,630 今朝は申し訳ありませんでした。 182 00:12:01,630 --> 00:12:03,800 出過ぎたまねをしてしまい…。 183 00:12:03,800 --> 00:12:06,130 旦那様のお立場であれば➡ 184 00:12:06,130 --> 00:12:11,140 信用できない者の料理など 口にできるはずもないと➡ 185 00:12:11,140 --> 00:12:14,470 少し考えれば わかることでした。 186 00:12:14,470 --> 00:12:18,640 夕食はすべて ゆり江さんが 作っていかれたものを➡ 187 00:12:18,640 --> 00:12:20,650 そのままご用意しています。 188 00:12:20,650 --> 00:12:25,150 誓って毒など入れておりません。 どうか…。 189 00:12:25,150 --> 00:12:28,150 別にお前を 本気で疑ったわけではない。 190 00:12:28,150 --> 00:12:31,490 見知らぬ者の飯を 食う気にはならなかっただけだ。 191 00:12:31,490 --> 00:12:34,290 本当に申し訳ありませんでした。 192 00:12:47,670 --> 00:12:50,110 冷えているな。 193 00:12:50,110 --> 00:12:52,110 申し訳ありません。 194 00:12:52,110 --> 00:12:54,280 今のは謝るところではない。 195 00:12:54,280 --> 00:12:57,620 お前は息をするように謝るのだな。 196 00:12:57,620 --> 00:12:59,780 なぜだ? 197 00:12:59,780 --> 00:13:01,790 言わないか。 申し訳…。 198 00:13:01,790 --> 00:13:03,790 謝るな。 はっ。 199 00:13:03,790 --> 00:13:06,120 謝罪はしすぎると軽くなる。 200 00:13:06,120 --> 00:13:09,130 食事は お前はもうとったのか? 201 00:13:09,130 --> 00:13:11,960 え えっと 私は…。 202 00:13:11,960 --> 00:13:14,470 なぜ自分の分を用意しない? 203 00:13:14,470 --> 00:13:16,470 ゆり江はもう帰ったのだろう? 204 00:13:16,470 --> 00:13:20,810 はい。 ゆり江はお前の食事を 用意しなかったのか? 205 00:13:20,810 --> 00:13:22,810 ち 違うんです! 206 00:13:22,810 --> 00:13:25,140 あの 食欲がなくて。 207 00:13:25,140 --> 00:13:27,650 私がゆり江さんに いらないと言ったのです。 208 00:13:27,650 --> 00:13:29,650 具合でも悪いのか? 209 00:13:29,650 --> 00:13:32,050 いえ 大したことでは…。 210 00:13:33,990 --> 00:13:37,160 まあ いいだろう。 211 00:13:37,160 --> 00:13:39,320 ごちそうさま。 212 00:13:39,320 --> 00:13:41,660 あ あの お風呂をすぐに沸かして…。 213 00:13:41,660 --> 00:13:44,660 自分でやる。 ですが…。 214 00:13:44,660 --> 00:13:46,660 今までも自分でやっていた。 215 00:13:46,660 --> 00:13:49,500 わざわざ火をおこして 湯を沸かすよりも➡ 216 00:13:49,500 --> 00:13:51,600 私が異能を使って 沸かしたほうが➡ 217 00:13:51,600 --> 00:13:53,940 手っとり早いからな。 218 00:13:53,940 --> 00:13:56,440 あまり余計なことはしなくていい。 219 00:13:58,780 --> 00:14:00,780 《異能がない私は➡ 220 00:14:00,780 --> 00:14:04,450 この家では お風呂すら沸かせないのね。 221 00:14:04,450 --> 00:14:08,450 私は なんの役にも 立てない》 222 00:14:13,960 --> 00:14:15,960 少しいいか。 223 00:14:15,960 --> 00:14:19,630 は はい! 224 00:14:19,630 --> 00:14:22,630 今朝は 食べずに残して悪かった。 225 00:14:22,630 --> 00:14:25,470 えっ。 明朝➡ 226 00:14:25,470 --> 00:14:28,140 ゆり江は少しばかり遅れるらしい。 227 00:14:28,140 --> 00:14:30,140 明日の朝食は頼む。 228 00:14:30,140 --> 00:14:32,140 はっ わ 私なんかが…。 229 00:14:32,140 --> 00:14:36,150 無論 本当に毒を入れるならば 容赦しないが。 230 00:14:36,150 --> 00:14:39,150 め めっそうもございません! 231 00:14:39,150 --> 00:14:41,150 ならば 問題ないな? 232 00:14:41,150 --> 00:14:43,650 は はい! 風呂はまだ熱い。 233 00:14:43,650 --> 00:14:46,160 冷める前にさっさと入ってしまえ。 234 00:14:46,160 --> 00:14:48,330 あ あの…。 235 00:14:48,330 --> 00:14:52,130 ありがとう ございます…。 236 00:14:54,600 --> 00:14:58,100 《お礼 ちゃんと言えなかった》 237 00:14:58,100 --> 00:15:00,100 ⦅坊ちゃんは いろいろと➡ 238 00:15:00,100 --> 00:15:02,440 よくないウワサが あるようですけれど➡ 239 00:15:02,440 --> 00:15:06,280 本当はお優しい方なのですよ⦆ 240 00:15:06,280 --> 00:15:09,980 《旦那様から せっかくいただけた機会》 241 00:15:11,950 --> 00:15:16,120 《明日は絶対に失敗できない》 242 00:15:16,120 --> 00:15:18,120 ⦅花! 243 00:15:18,120 --> 00:15:20,120 花! 244 00:15:20,120 --> 00:15:22,130 美世お嬢様 どうなさいました? 245 00:15:22,130 --> 00:15:24,300 ないの! お母様の形見も➡ 246 00:15:24,300 --> 00:15:27,130 お母様の桜色の着物も全部! 247 00:15:27,130 --> 00:15:29,630 そんな いったいどうして? 248 00:15:29,630 --> 00:15:32,640 きっと香乃子さんよ! 私 お母様の形見➡ 249 00:15:32,640 --> 00:15:34,640 返してもらいに行ってくるわ! 250 00:15:34,640 --> 00:15:37,810 そんな! お嬢様が お一人で行ったら何をされるか! 251 00:15:37,810 --> 00:15:42,150 大丈夫! いざとなったら お父様に言うから。 252 00:15:42,150 --> 00:15:45,820 きゃ! 253 00:15:45,820 --> 00:15:49,490 ほんと あの泥棒猫の娘なだけあるわね。 254 00:15:49,490 --> 00:15:51,920 人を盗人呼ばわりだなんて➡ 255 00:15:51,920 --> 00:15:54,430 性根が腐っているにも ほどがあるわ。 256 00:15:56,430 --> 00:16:00,100 こんなもの まだ持っていたのね。 257 00:16:00,100 --> 00:16:02,930 やめて! それはお母様の…。 258 00:16:02,930 --> 00:16:05,600 ふんっ! 259 00:16:05,600 --> 00:16:07,610 はっ。 反省するまで➡ 260 00:16:07,610 --> 00:16:11,110 わたくしの前に 姿を見せないでもらえるかしら。 261 00:16:11,110 --> 00:16:13,110 (香乃子)閉めてちょうだい。 262 00:16:15,110 --> 00:16:18,620 い いやっ 出して! 誰か! 263 00:16:18,620 --> 00:16:20,950 お父様! お父様! 264 00:16:20,950 --> 00:16:23,620 (花)奥様 ご主人様! おやめくださいませ! 265 00:16:23,620 --> 00:16:27,460 お黙り! 使用人の分際で何様のつもり!? 266 00:16:27,460 --> 00:16:29,630 (花)これではあまりに美世様が! 花…。 267 00:16:29,630 --> 00:16:31,630 (香乃子)あなた わたくしに盾ついて➡ 268 00:16:31,630 --> 00:16:33,630 どうなるか わかっているんでしょうね!? 269 00:16:33,630 --> 00:16:38,800 出して 誰か 助けて⦆ 270 00:16:38,800 --> 00:16:41,140 はっ。 271 00:16:41,140 --> 00:16:44,140 また 嫌な夢。 272 00:16:46,810 --> 00:16:50,580 《花は今 どうしているんだろう。 273 00:16:50,580 --> 00:16:54,920 あの日をきっかけに 花が解雇されてしまってからは➡ 274 00:16:54,920 --> 00:16:57,220 一度も会えていない》 275 00:16:59,260 --> 00:17:02,060 《どうか 幸せになっていてほしい》 276 00:17:08,100 --> 00:17:12,600 あ… これも寿命ね。 277 00:17:12,600 --> 00:17:14,810 (米をとぐ音) 278 00:17:17,440 --> 00:17:20,110 はっ。 あら 美世様。 279 00:17:20,110 --> 00:17:23,280 おはようございます。 ゆり江さん? 280 00:17:23,280 --> 00:17:25,950 (ゆり江)本日も ずいぶん早起きですのね。 281 00:17:25,950 --> 00:17:29,950 はい あの 今日は遅れるんじゃ…。 282 00:17:29,950 --> 00:17:33,120 ゆり江は 昨日の朝のことが ありましたから➡ 283 00:17:33,120 --> 00:17:35,960 気になって 早く来てしまったのですよ。 284 00:17:35,960 --> 00:17:38,460 食事の用意は ゆり江がいたしますから➡ 285 00:17:38,460 --> 00:17:41,630 美世様は居間で おくつろぎになってくださいな。 286 00:17:41,630 --> 00:17:43,970 あの それが…。 287 00:17:43,970 --> 00:17:47,310 (ゆり江)まあまあ 坊ちゃんったら。 288 00:17:47,310 --> 00:17:49,470 美世様の手料理を 食べたいのなら➡ 289 00:17:49,470 --> 00:17:51,410 そうおっしゃればいいのに。 290 00:17:51,410 --> 00:17:54,750 いえ そういうわけでは ないと思いますが➡ 291 00:17:54,750 --> 00:17:56,910 ただ ちょっと自信がなくて。 292 00:17:56,910 --> 00:17:59,250 ウフフッ では美世様。 293 00:17:59,250 --> 00:18:01,920 このゆり江にも 手伝わせてくださいな。 294 00:18:01,920 --> 00:18:04,020 は はい。 295 00:18:07,930 --> 00:18:11,430 《この味で いいのかな》 296 00:18:14,770 --> 00:18:17,100 は… きれい。 297 00:18:17,100 --> 00:18:19,270 (ゆり江)いつも作っていますから。 298 00:18:19,270 --> 00:18:22,770 ゆり江は早いだけで 味のほうは保証できませんよ。 299 00:18:22,770 --> 00:18:24,780 とってもおいしそうです。 300 00:18:24,780 --> 00:18:28,280 料理がお上手な美世様に そう言っていただけるなんて➡ 301 00:18:28,280 --> 00:18:30,780 使用人冥利に尽きますわ。 302 00:18:36,290 --> 00:18:38,620 《私なんかが作った料理を➡ 303 00:18:38,620 --> 00:18:41,460 本当に食べてもらえるのかしら。 304 00:18:41,460 --> 00:18:44,800 もう私には後がない》 305 00:18:44,800 --> 00:18:47,800 ささ 坊ちゃんが そろそろお目覚めですから➡ 306 00:18:47,800 --> 00:18:50,740 あちらに朝食をお運びくださいな。 307 00:18:50,740 --> 00:18:52,940 はい。 308 00:18:55,240 --> 00:18:59,240 おはよう。 おはようございます 旦那様。 309 00:19:03,410 --> 00:19:05,420 んっ。 はっ。 310 00:19:08,090 --> 00:19:11,090 では いただこう。 311 00:19:11,090 --> 00:19:13,420 お前も食べるんだぞ。 312 00:19:13,420 --> 00:19:16,090 も 申し訳… いえ。 313 00:19:16,090 --> 00:19:18,300 いただきます。 314 00:19:24,600 --> 00:19:26,600 はっ。 315 00:19:36,450 --> 00:19:38,550 うまい。 316 00:19:42,620 --> 00:19:46,620 ゆり江とは少し味付けが 違うようだが 悪くない。 317 00:19:48,960 --> 00:19:51,460 あ ありがとうございます。 318 00:19:54,630 --> 00:19:57,640 なぜここで泣くんだ? 319 00:19:57,640 --> 00:19:59,840 えっ。 320 00:20:05,140 --> 00:20:07,650 も 申し訳 ありませ…。 321 00:20:07,650 --> 00:20:10,150 だから 謝るな。 322 00:20:10,150 --> 00:20:12,150 はい…。 323 00:20:12,150 --> 00:20:16,320 《いつぶりだろう 誰かに褒められたのなんて。 324 00:20:16,320 --> 00:20:19,320 誰かに認められたのなんて》 325 00:20:22,160 --> 00:20:25,160 《育ってきた背景が見えない。 326 00:20:25,160 --> 00:20:28,170 古着とも呼べないような 粗末な着物。 327 00:20:28,170 --> 00:20:31,500 日々の生活に問題があったとしか 思えないほど➡ 328 00:20:31,500 --> 00:20:33,500 やせ細った体。 329 00:20:33,500 --> 00:20:36,170 水仕事をしている者の手。 330 00:20:36,170 --> 00:20:40,180 とても名家の令嬢とは思えない》 331 00:20:40,180 --> 00:20:42,180 ゆり江。 332 00:20:42,180 --> 00:20:45,020 もしや 彼女は普通の名家の娘として➡ 333 00:20:45,020 --> 00:20:47,180 育ってはいないのだろうか。 334 00:20:47,180 --> 00:20:49,690 そうですわね ええ。 335 00:20:49,690 --> 00:20:52,460 事情を尋ねたら話すと思うか? 336 00:20:52,460 --> 00:20:54,790 (ゆり江)難しいでしょうね。 337 00:20:54,790 --> 00:20:57,630 それとなく注意して見ておけ。 338 00:20:57,630 --> 00:21:00,630 私は外から少し 斎森家を調べてみる。 339 00:21:00,630 --> 00:21:03,970 かしこまりました。 それにしても坊ちゃん➡ 340 00:21:03,970 --> 00:21:07,300 いつになく 婚約者様に興味津々ですこと。 341 00:21:07,300 --> 00:21:09,310 興味? まあまあ。 342 00:21:09,310 --> 00:21:11,640 感情を素直に 表現できないようじゃ➡ 343 00:21:11,640 --> 00:21:14,310 美世様に嫌われてしまいますよ? 344 00:21:14,310 --> 00:21:17,150 嫌うなら勝手に嫌えばいい。 345 00:21:17,150 --> 00:21:19,820 今までの婚約者も ほとんどが最初から➡ 346 00:21:19,820 --> 00:21:22,650 金や権力目当ての女ばかりだった。 347 00:21:22,650 --> 00:21:25,660 ゆり江は 美世様はよいと思いますよ。 348 00:21:25,660 --> 00:21:29,330 坊ちゃんの奥様に。 やけに きっぱり言い切るな。 349 00:21:29,330 --> 00:21:33,000 とにかく 頼んだぞ。 お任せくださいな。 350 00:21:33,000 --> 00:21:36,170 《斎森家か。 351 00:21:36,170 --> 00:21:39,340 異能持ちの家は決して多くない。 352 00:21:39,340 --> 00:21:43,510 厄介な事実が 出てこなければいいが》 353 00:21:43,510 --> 00:21:47,340 ☎(実)おい! 約束を反故にする とはどういうことだ! 354 00:21:47,340 --> 00:21:50,950 ☎お前には あの娘の価値がわからぬのか!? 355 00:21:50,950 --> 00:21:52,950 何が約束だ。 356 00:21:52,950 --> 00:21:56,450 美世のことで とやかく言われる筋合いなどない。 357 00:21:56,450 --> 00:21:59,790 (実)ふざけるな! しかと約束したはずだ! 358 00:21:59,790 --> 00:22:03,290 美世は あの薄刃の血を引く娘は➡ 359 00:22:03,290 --> 00:22:05,300 辰石家がもらうと!