1 00:00:02,002 --> 00:00:04,004 ⸨比名子:私の体の中に 汐莉さんの血が➨ 2 00:00:04,004 --> 00:00:07,107 混じってるっていうのは 本当? 3 00:00:09,176 --> 00:00:12,679 (汐莉)本当ですよ。 4 00:00:12,679 --> 00:00:16,016 (汐莉)あんなに 君しかいらなかったのに➨ 5 00:00:16,016 --> 00:00:20,020 心の底から食べたかったのに。 6 00:00:20,020 --> 00:00:22,523 今の私には➨ 7 00:00:22,523 --> 00:00:27,127 君の血の匂いすら 不快でたまらない。 8 00:00:29,363 --> 00:00:33,033 全部… ウソだったの? 9 00:00:33,033 --> 00:00:38,038 私を喰べてくれるって。 10 00:00:44,044 --> 00:00:46,046 ひとでなし⸩ 11 00:02:36,023 --> 00:02:38,859 (汐莉)随分 昔の話です。 12 00:02:38,859 --> 00:02:41,528 私は とある入江に➨ 13 00:02:41,528 --> 00:02:45,198 一時的に 棲みついていたんですが…。 14 00:02:45,198 --> 00:02:47,200 近くの漁村から➨ 15 00:02:47,200 --> 00:02:49,870 定期的に子供が 投げ込まれていたんですよね。 16 00:02:49,870 --> 00:02:53,206 ふふ… なんで そんなことをしていたのか➨ 17 00:02:53,206 --> 00:02:55,208 知りませんけど。 18 00:02:55,208 --> 00:02:57,544 《美胡:そんなの 口減らしじゃん》 19 00:02:57,544 --> 00:03:01,815 まあ… 据え膳喰わぬは なんとかと言いますし➨ 20 00:03:01,815 --> 00:03:05,485 ありがたく 頂いていたんですが…。 21 00:03:05,485 --> 00:03:11,658 その子供だけは あまりにも不味そうで。 22 00:03:11,658 --> 00:03:13,660 (汐莉)食べる気に…。 23 00:03:13,660 --> 00:03:15,662 なれなかった。 24 00:03:18,999 --> 00:03:22,502 その子供と 何年か一緒に暮らしました。 25 00:03:22,502 --> 00:03:48,028 ♬~ 26 00:03:48,028 --> 00:03:50,697 (汐莉)まあ 正確には➨ 27 00:03:50,697 --> 00:03:55,702 居つかれた と言ったほうが 正しいかもしれませんね。 28 00:03:55,702 --> 00:04:10,150 ♬~ 29 00:04:10,150 --> 00:04:13,987 (汐莉)そのうち 入江付近の潮の流れが変わり➨ 30 00:04:13,987 --> 00:04:18,492 棲みつくには不便になったので そこで別れましたが。 31 00:04:18,492 --> 00:04:22,829 は? 子供1人置いてったの? 32 00:04:22,829 --> 00:04:26,166 海の中へ連れていっても 仕方ないでしょう。 33 00:04:26,166 --> 00:04:29,336 仕方ないって お前…。 34 00:04:29,336 --> 00:04:31,338 あぁ でも➨ 35 00:04:31,338 --> 00:04:34,508 別れ際に ちゃんとお土産をあげましたよ。 36 00:04:34,508 --> 00:04:36,843 どうせ お前のことだから➨ 37 00:04:36,843 --> 00:04:39,146 ロクなもんじゃないでしょ。 38 00:04:41,348 --> 00:04:43,350 私の肉です。 39 00:04:47,354 --> 00:04:51,691 (美胡)人魚の肉って まさか…。 40 00:04:51,691 --> 00:04:54,361 向こうが 勝手にしてきたとはいえ➨ 41 00:04:54,361 --> 00:04:57,030 色々 世話になりましたからね。 42 00:04:57,030 --> 00:04:59,866 お礼のつもりだったんですよ。 43 00:04:59,866 --> 00:05:02,302 ですが…。 44 00:05:02,302 --> 00:05:04,638 ⸨あざみ:許さない。 45 00:05:04,638 --> 00:05:08,308 (あざみ)許さない。 お前のせいで…。 46 00:05:08,308 --> 00:05:11,645 (あざみ)この ひとでなし。 47 00:05:11,645 --> 00:05:15,148 絶対に殺してやる! 48 00:05:15,148 --> 00:05:19,853 (あざみ)殺してやる!!⸩ 49 00:05:22,822 --> 00:05:24,825 はぁ~。 50 00:05:24,825 --> 00:05:26,827 まぁ そうなるでしょ。 51 00:05:26,827 --> 00:05:29,829 望んでいる人間ならともかく➨ 52 00:05:29,829 --> 00:05:32,832 普通の人間に 人魚の肉を食わせるなんて➨ 53 00:05:32,832 --> 00:05:34,834 どうかしてる。 54 00:05:34,834 --> 00:05:38,638 欲しがる人間も たくさんいたんですけどねぇ。 55 00:05:43,176 --> 00:05:45,178 (汐莉)でも…。 56 00:05:45,178 --> 00:05:47,681 不老不死って暇なんでしょうね。 57 00:05:47,681 --> 00:05:49,683 それ以来➨ 58 00:05:49,683 --> 00:05:52,519 その子はずっと…。 59 00:05:52,519 --> 00:05:56,690 (汐莉)私を殺そうと 後を追い続けてきました。 60 00:05:56,690 --> 00:06:00,694 (汐莉)大きな戦争が 終わった頃でしょうか。 61 00:06:02,629 --> 00:06:05,632 (爆発音) 62 00:06:05,632 --> 00:06:07,634 (汐莉)あの頃は まだ物騒なものが➨ 63 00:06:07,634 --> 00:06:10,637 多く残っていましたからね。 64 00:06:10,637 --> 00:06:12,639 ふふっ…。 65 00:06:12,639 --> 00:06:16,810 流石の私も 身体の半分以上を 吹き飛ばされると➨ 66 00:06:16,810 --> 00:06:19,479 再生に時間がかかりました。 67 00:06:19,479 --> 00:06:22,649 笑いごとじゃ ないんですけど。 68 00:06:22,649 --> 00:06:26,653 (汐莉)何十年も海藻みたいに➨ 69 00:06:26,653 --> 00:06:29,823 ただ波まかせで 海を漂っていて。 70 00:06:29,823 --> 00:06:31,825 その間…。 71 00:06:33,827 --> 00:06:36,663 私は世界を見ていました。 72 00:06:36,663 --> 00:06:40,500 まぁ それしか することがなかったので。 73 00:06:40,500 --> 00:06:53,680 ♬~ 74 00:06:53,680 --> 00:06:55,682 (汐莉)そう。 75 00:06:55,682 --> 00:07:00,620 (汐莉)世界を 海底から眺めて➨ 76 00:07:00,620 --> 00:07:03,323 私は知りました。 77 00:07:07,294 --> 00:07:13,133 私は世界の外側にいるんだ と。 78 00:07:13,133 --> 00:07:16,970 (汐莉)不吉の象徴と 恐れた人間たち。 79 00:07:16,970 --> 00:07:20,807 不老不死を求めて 崇める人間たち。 80 00:07:20,807 --> 00:07:25,145 理解し合えなかった あの子供。 81 00:07:25,145 --> 00:07:28,982 私の周りに存在していた あらゆるものは➨ 82 00:07:28,982 --> 00:07:33,086 決して 私を内側に 招いてくれることはなかった。 83 00:07:35,155 --> 00:07:40,160 君は 自分の親兄弟というものを 覚えていますか? 84 00:07:40,160 --> 00:07:43,363 半分は 毛皮になったことくらいなら。 85 00:07:45,332 --> 00:07:49,502 (汐莉)私には 親も兄弟もいません。 86 00:07:49,502 --> 00:07:54,007 (汐莉)気づいた時には 波間に存在していました。 87 00:07:54,007 --> 00:07:57,677 (汐莉)君のように 人間の側にいられない。 88 00:07:57,677 --> 00:08:00,447 血を分けた家族もいない。 89 00:08:00,447 --> 00:08:03,616 心を通わせる者もいない。 90 00:08:03,616 --> 00:08:06,786 あらゆるものと繋がれない。 91 00:08:06,786 --> 00:08:10,623 (汐莉)それを 思い知らされながら 漂い➨ 92 00:08:10,623 --> 00:08:13,126 流され…。 93 00:08:13,126 --> 00:08:15,628 辿り着いた あの浜辺で…。 94 00:08:17,630 --> 00:08:20,633 私は初めて➨ 95 00:08:20,633 --> 00:08:24,137 内側からの景色を…。 96 00:08:24,137 --> 00:08:28,641 (汐莉)八百歳比名子という人間に 出会いました。 97 00:08:28,641 --> 00:08:33,313 <汐莉:焼けつくような 灼熱の太陽。 98 00:08:33,313 --> 00:08:36,316 それに照らされてきらめく白波。 99 00:08:36,316 --> 00:08:41,488 あの日 あの海で出会った君は➨ 100 00:08:41,488 --> 00:08:45,592 世界中の何よりも輝いて見えた> 101 00:08:47,660 --> 00:08:49,662 ⸨比名子:大丈夫? 102 00:08:49,662 --> 00:08:52,499 おばけ? お魚さん? 103 00:08:52,499 --> 00:08:55,502 見たことない⸩ 104 00:08:55,502 --> 00:08:58,004 <汐莉:きっと➨ 105 00:08:58,004 --> 00:09:00,940 腕が きちんと生え揃っていれば➨ 106 00:09:00,940 --> 00:09:03,610 その場で 彼女を喰らっていただろう。 107 00:09:03,610 --> 00:09:08,448 たまたま 捕まえる腕がなかった。 108 00:09:08,448 --> 00:09:10,950 ただ それだけ> 109 00:09:18,625 --> 00:09:22,629 <汐莉:その子供が 私に怯えて逃げたとしても➨ 110 00:09:22,629 --> 00:09:25,965 他の人間を 呼びに行ったとしても➨ 111 00:09:25,965 --> 00:09:28,802 別に どうでも良かった。 112 00:09:28,802 --> 00:09:32,472 痩せた子供は 食べるところが少ない。 113 00:09:32,472 --> 00:09:35,141 可食部の多い 大人を連れてくるなら➨ 114 00:09:35,141 --> 00:09:37,977 それに越したことはない。 115 00:09:37,977 --> 00:09:40,814 どちらでもいい。 116 00:09:40,814 --> 00:09:44,150 どちらにせよ 私は…> 117 00:09:44,150 --> 00:09:46,486 ⸨お魚さん! 118 00:09:46,486 --> 00:09:48,822 お腹空いてる? 119 00:09:48,822 --> 00:09:51,825 お母さんの作ってくれた お弁当! 120 00:09:51,825 --> 00:09:55,995 (比名子)お母さんの玉子焼き すごく美味しいんだよ! 121 00:09:55,995 --> 00:09:59,332 (比名子)お魚さんも食べれる? 122 00:09:59,332 --> 00:10:03,169 (比名子)お魚さん びょうき? けが? 123 00:10:03,169 --> 00:10:05,171 ごはん いっぱい食べて➨ 124 00:10:05,171 --> 00:10:08,508 はやく治さなきゃだね⸩ 125 00:10:08,508 --> 00:10:11,678 <汐莉:たとえ 腕がなくても➨ 126 00:10:11,678 --> 00:10:16,683 少し首を持ち上げれば 容易に喰える距離だった。 127 00:10:16,683 --> 00:10:20,353 小さな箱に詰められた食物より➨ 128 00:10:20,353 --> 00:10:25,024 痩せていても 子供1人の方が食い出がある。 129 00:10:25,024 --> 00:10:28,194 それなのに 私は➨ 130 00:10:28,194 --> 00:10:31,364 その子を喰えなかった。 131 00:10:31,364 --> 00:10:35,535 その子供は 比名子といった> 132 00:10:35,535 --> 00:10:42,041 ⸨ヒナね お父さんとお母さんと お兄ちゃんと一緒にね➨ 133 00:10:42,041 --> 00:10:44,711 あそこの ホテルに泊まってるの。 134 00:10:44,711 --> 00:10:46,713 あっ お魚さん。 135 00:10:46,713 --> 00:10:48,715 まだ お腹空いてる? 136 00:10:48,715 --> 00:10:55,221 え~と… 明日の 明日の 次… くらい? 137 00:10:55,221 --> 00:10:58,391 よくわかんなくなっちゃった。 138 00:10:58,391 --> 00:11:01,494 そのくらいまで ヒナたち お泊まりしてるから➨ 139 00:11:01,494 --> 00:11:04,831 また ごはん持って来てあげるね⸩ 140 00:11:04,831 --> 00:11:08,501 <汐莉:その言葉通り➨ 141 00:11:08,501 --> 00:11:12,172 比名子は 親の目を盗んでは➨ 142 00:11:12,172 --> 00:11:16,009 私の知らない菓子や食物やらを 運んできた。 143 00:11:16,009 --> 00:11:20,179 この時代の食物は 栄養価が高いのだろう。 144 00:11:20,179 --> 00:11:22,682 波間を漂っていた時は➨ 145 00:11:22,682 --> 00:11:25,351 口に飛び込んでくる 小魚くらいしか➨ 146 00:11:25,351 --> 00:11:27,520 食べることが出来なかった➨ 147 00:11:27,520 --> 00:11:31,357 穴だらけだった私の身体は➨ 148 00:11:31,357 --> 00:11:35,194 目に見えて回復していった> 149 00:11:35,194 --> 00:11:39,699 ⸨君は 私が怖くないのですか? 150 00:11:39,699 --> 00:11:44,537 お… お魚さんが喋った…。 151 00:11:44,537 --> 00:11:52,045 私の肉を… 不老不死を求めて 私を助けたのですか? 152 00:11:52,045 --> 00:11:54,213 そうでないなら➨ 153 00:11:54,213 --> 00:11:58,618 信仰対象とでも 思っているのですか? 154 00:12:04,991 --> 00:12:06,993 ヒナね。 155 00:12:06,993 --> 00:12:10,997 ヒナのお家の前の海も 大好きだけど➨ 156 00:12:10,997 --> 00:12:14,167 この海も とっても好き。 157 00:12:14,167 --> 00:12:18,504 お魚さん この海みたいで とっても きれい。 158 00:12:18,504 --> 00:12:20,506 だからね➨ 159 00:12:20,506 --> 00:12:25,111 お魚さんのこと 怖くなんてないよ⸩ 160 00:12:28,014 --> 00:12:30,516 (汐莉)彼女が触れた瞬間➨ 161 00:12:30,516 --> 00:12:32,518 まるで 別の世界に➨ 162 00:12:32,518 --> 00:12:36,022 放り込まれたような 感覚がしました。 163 00:12:36,022 --> 00:12:40,193 (汐莉)あの子が… 比名子だけが➨ 164 00:12:40,193 --> 00:12:44,530 私を内側に招き入れてくれた。 165 00:12:44,530 --> 00:12:46,866 ⸨だから さみしいな。 166 00:12:46,866 --> 00:12:52,071 ヒナ 明日には 帰らなきゃいけないんだもん⸩ 167 00:12:54,540 --> 00:12:56,542 <汐莉:あぁ…。 168 00:12:56,542 --> 00:13:00,313 この子を 私だけのものにしたい。 169 00:13:00,313 --> 00:13:02,315 他の妖怪にも➨ 170 00:13:02,315 --> 00:13:04,817 どんな天災にも➨ 171 00:13:04,817 --> 00:13:06,819 あらゆる病にも➨ 172 00:13:06,819 --> 00:13:09,989 この子を渡したくない。 173 00:13:09,989 --> 00:13:15,495 生きる喜びに満ちた 穢れのない人間の肉。 174 00:13:15,495 --> 00:13:20,500 たとえ 子供で肉付きが悪くても 極上の一品。 175 00:13:20,500 --> 00:13:22,502 今すぐ 皮を剥いで➨ 176 00:13:22,502 --> 00:13:24,504 腹を裂いて➨ 177 00:13:24,504 --> 00:13:27,173 腸全部を引きずり出して➨ 178 00:13:27,173 --> 00:13:32,011 爪の一枚すら余さず 喰らい尽くしたい。 179 00:13:32,011 --> 00:13:34,514 けれど➨ 180 00:13:34,514 --> 00:13:38,017 この輝きを失いたくない。 181 00:13:38,017 --> 00:13:40,019 初めてだった。 182 00:13:40,019 --> 00:13:43,022 こんなことを考えるのは> 183 00:13:43,022 --> 00:13:45,024 ⸨お魚さん?⸩ 184 00:13:45,024 --> 00:13:47,026 <汐莉:喰えば なくなってしまう。 185 00:13:47,026 --> 00:13:51,531 そんな 幼子ですら わかりきっていることに➨ 186 00:13:51,531 --> 00:13:54,867 私は 初めて気づいた> 187 00:13:54,867 --> 00:13:57,203 ⸨由利:比名子? 188 00:13:57,203 --> 00:14:00,139 (由利)比名子 どこ~? 189 00:14:00,139 --> 00:14:02,642 (由利)ホテル 戻るわよ~。 190 00:14:02,642 --> 00:14:04,644 お母さんだ。 191 00:14:04,644 --> 00:14:06,646 戻らなくちゃ。 192 00:14:11,150 --> 00:14:14,987 (比名子)どうしたの? お魚さん⸩ 193 00:14:14,987 --> 00:14:16,989 <汐莉:たとえ 永遠に味わうことが➨ 194 00:14:16,989 --> 00:14:19,492 出来なくなったとしても➨ 195 00:14:19,492 --> 00:14:21,828 それでも…> 196 00:14:21,828 --> 00:14:24,163 ⸨比名子。 197 00:14:24,163 --> 00:14:27,667 口を開けて⸩ 198 00:14:27,667 --> 00:14:30,336 <汐莉:私は…。 199 00:14:30,336 --> 00:14:33,039 比名子を失いたくない> 200 00:14:45,351 --> 00:14:47,353 ⸨汐莉:お礼です⸩ 201 00:14:47,353 --> 00:14:50,022 <汐莉:どうか この子が健やかに➨ 202 00:14:50,022 --> 00:14:53,025 この輝きを失わないように。 203 00:14:53,025 --> 00:14:55,528 何があっても> 204 00:14:55,528 --> 00:15:01,467 《汐莉:生きて。 私のために…》 205 00:15:01,467 --> 00:15:03,803 ⸨忘れてください。 206 00:15:03,803 --> 00:15:06,806 私の比名子⸩ 207 00:15:06,806 --> 00:15:09,308 <汐莉:私との この出会いが➨ 208 00:15:09,308 --> 00:15:14,981 万が一にでも輝く君の人生の 憚りにならないよう➨ 209 00:15:14,981 --> 00:15:19,652 何もかも忘れ… 生きて下さい。 210 00:15:19,652 --> 00:15:21,988 この世で たったひとり➨ 211 00:15:21,988 --> 00:15:26,826 私を 内側へ招き入れてくれた君へ➨ 212 00:15:26,826 --> 00:15:29,996 祈りを込めて。 213 00:15:29,996 --> 00:15:35,001 幸せに生きて下さい> 214 00:15:37,003 --> 00:15:40,506 🔊本日はご来園 ありがとうございました。 215 00:15:40,506 --> 00:15:42,508 楽しかったね。 また来たいな! 216 00:15:42,508 --> 00:15:47,513 🔊当園は 17時をもちまして 閉園となります。 217 00:15:47,513 --> 00:15:52,118 比名子と別れ もう それっきり…。 218 00:16:04,463 --> 00:16:09,635 (汐莉)彼女には 会わないつもりでした。 219 00:16:09,635 --> 00:16:13,139 (汐莉)あれは… そう。 220 00:16:13,139 --> 00:16:17,543 この夏を迎える 少し前だったでしょうか。 221 00:16:19,479 --> 00:16:23,282 ⸨フナ虫たち:キィ~ キィ…。 222 00:16:25,651 --> 00:16:27,653 うるさい。 223 00:16:27,653 --> 00:16:30,156 いったい 何を…。 224 00:16:35,495 --> 00:16:37,663 この血の匂いは…。 225 00:16:37,663 --> 00:16:41,334 チョウダイ 人魚 ソレ チョウダイ。 226 00:16:41,334 --> 00:16:44,003 ソレ ワタシタチノ。 227 00:16:44,003 --> 00:16:46,839 人魚 強イカラ 必要ナイ。 228 00:16:46,839 --> 00:16:50,176 弱イ ワタシタチニ チョウダイ。 229 00:16:50,176 --> 00:16:52,345 これを どこで手に入れた? 230 00:16:52,345 --> 00:16:56,015 死ニカケノヤツ 流レツイタ。 231 00:16:56,015 --> 00:16:58,518 ソイツ 持ッテタ。 232 00:16:58,518 --> 00:17:01,454 四国ノ海辺ニ 美味イ人間 イル。 233 00:17:01,454 --> 00:17:04,290 デモ 襲ッタケド 邪魔サレタッテ。 234 00:17:04,290 --> 00:17:07,293 ソレ ソノ人間ノ血 付イテル。 235 00:17:07,293 --> 00:17:09,295 ダカラ ソレ チョウダ…⸩ 236 00:17:11,797 --> 00:17:16,469 《汐莉:どうして…。 間違いなく 比名子の血だ。 237 00:17:16,469 --> 00:17:18,471 何故 こんな…。 238 00:17:18,471 --> 00:17:23,809 何故 何故 何故 何故…。 239 00:17:23,809 --> 00:17:27,013 こんなに変わってしまった?》 240 00:17:31,484 --> 00:17:33,986 《汐莉:行かなければ…。 241 00:17:33,986 --> 00:17:36,822 確かめなければ》 242 00:17:36,822 --> 00:17:40,326 私の血が入った 比名子の居場所は➨ 243 00:17:40,326 --> 00:17:42,995 おおまかにですが感じとれます。 244 00:17:42,995 --> 00:17:45,331 だから…。 245 00:17:45,331 --> 00:17:49,035 (汐莉)すぐに あの子を 見つけることができました。 246 00:17:51,003 --> 00:17:55,107 (汐莉)けれど… 上手くいかないものですね。 247 00:17:57,176 --> 00:17:59,845 (汐莉)やっと会えた彼女は➨ 248 00:17:59,845 --> 00:18:01,781 あらゆる意味で➨ 249 00:18:01,781 --> 00:18:04,784 なにもかも 変わってしまっていました。 250 00:18:11,290 --> 00:18:14,961 (汐莉)私 少し 期待していたんです。 251 00:18:14,961 --> 00:18:18,798 (汐莉)あの子を 陰らせたという件の事故。 252 00:18:18,798 --> 00:18:23,803 比名子から その話を聞いた時…。 253 00:18:23,803 --> 00:18:26,806 ⸨君は 自分が生き残ったことを➨ 254 00:18:26,806 --> 00:18:31,644 幸運だとは 思わなかったんですか?⸩ 255 00:18:31,644 --> 00:18:34,146 《汐莉:幸せですよね。 256 00:18:34,146 --> 00:18:37,483 生き残れて嬉しいですよね。 257 00:18:37,483 --> 00:18:40,653 幸運だったと思いますよね。 258 00:18:40,653 --> 00:18:46,659 私の血が 君を救ったのだから》 259 00:18:46,659 --> 00:18:50,997 ⸨大切な人達が 突然 みんないなくなって➨ 260 00:18:50,997 --> 00:18:56,302 私だけ助かって ラッキーだった なんて思える?⸩ 261 00:18:58,337 --> 00:19:00,272 (汐莉)私は ただ➨ 262 00:19:00,272 --> 00:19:02,274 あの子が健やかに➨ 263 00:19:02,274 --> 00:19:05,444 平穏に生きてくれればよかった。 264 00:19:05,444 --> 00:19:09,615 私を 内側に招き入れてくれた 彼女が➨ 265 00:19:09,615 --> 00:19:11,617 1秒でも長く➨ 266 00:19:11,617 --> 00:19:15,287 ただ 存在し続けて くれるだけでよかった。 267 00:19:15,287 --> 00:19:17,289 それだけでした。 268 00:19:17,289 --> 00:19:19,291 はぁ~。 269 00:19:19,291 --> 00:19:22,294 今 あたしが考えてること わかる? 270 00:19:24,296 --> 00:19:26,298 さっき熊にあげた餌➨ 271 00:19:26,298 --> 00:19:29,301 美味しそうだったなとかですか? (美胡)違うわ! 272 00:19:29,301 --> 00:19:31,470 あ~ もう…。 273 00:19:31,470 --> 00:19:35,808 なんで こんな話 あたしにするんだよ。 274 00:19:35,808 --> 00:19:37,810 君が➨ 275 00:19:37,810 --> 00:19:42,314 本心から 比名子のことを 想っているからですよ。 276 00:19:44,817 --> 00:19:47,987 あたしは…。 277 00:19:47,987 --> 00:19:50,823 本当に あの家族が好きだった。 278 00:19:50,823 --> 00:19:54,326 だから… 一人だけ生き残った比名子が➨ 279 00:19:54,326 --> 00:19:58,330 どれだけ辛い思いを してるかも分かる。 280 00:19:58,330 --> 00:20:02,334 それでも あの子が生きていてくれて➨ 281 00:20:02,334 --> 00:20:06,005 本当によかったと思ってるよ。 282 00:20:06,005 --> 00:20:08,007 そうですか。 283 00:20:08,007 --> 00:20:10,009 あ~あ。 284 00:20:10,009 --> 00:20:14,346 お前に感謝すべきか 殴るべきか 分かんないわ。 285 00:20:14,346 --> 00:20:16,682 勝手に感謝しないでください。 286 00:20:16,682 --> 00:20:19,518 君にあげたものでもないので。 287 00:20:19,518 --> 00:20:21,520 じゃあ 殴る一択じゃん。 288 00:20:21,520 --> 00:20:25,024 それは単純に嫌で~す。 289 00:20:29,528 --> 00:20:31,697 これから どうするの? 290 00:20:31,697 --> 00:20:33,699 あら? 291 00:20:33,699 --> 00:20:35,701 私の心配を してくれているんです? 292 00:20:35,701 --> 00:20:37,703 んな訳ねえだろ。 293 00:20:37,703 --> 00:20:40,706 お前じゃなくて 比名子の心配だっつうの。 294 00:20:40,706 --> 00:20:42,708 う~ん…。 295 00:20:42,708 --> 00:20:44,710 そうですね。 296 00:20:44,710 --> 00:20:46,712 あの合宿での出来事を➨ 297 00:20:46,712 --> 00:20:49,381 まるっと忘れさせる呪いでも かけましょうか。 298 00:20:49,381 --> 00:20:53,085 お前のそういうところ 本当に最悪だから。 299 00:20:55,054 --> 00:20:57,890 お前は ちゃんと対話すべき。 300 00:20:57,890 --> 00:21:00,993 (美胡)お前は ずっと言葉足らずなんだよ。 301 00:21:00,993 --> 00:21:04,830 (美胡)勝手に考えた 勝手なことを 勝手にするから➨ 302 00:21:04,830 --> 00:21:08,667 罰が当たって 身体 吹っ飛ばされたんでしょ。 303 00:21:08,667 --> 00:21:11,504 比名子は そんなことしませんよ。 304 00:21:11,504 --> 00:21:14,340 あんたを 殺しにかかるんじゃなくて➨ 305 00:21:14,340 --> 00:21:19,545 自分自身を殺しにかかったら どうすんのって話。 306 00:21:22,848 --> 00:21:24,850 対話というのは➨ 307 00:21:24,850 --> 00:21:27,186 同じ価値観と 立ち位置の者同士でしか➨ 308 00:21:27,186 --> 00:21:30,189 成り立たないと思いますが…? 309 00:21:30,189 --> 00:21:34,026 だったら寄り添える努力をしろ。 310 00:21:34,026 --> 00:21:36,028 お前が 本当に➨ 311 00:21:36,028 --> 00:21:38,831 あの子のことを 想ってるのならね。 312 00:21:42,034 --> 00:21:44,036 ふぅ…。 313 00:21:44,036 --> 00:21:46,639 簡単に言ってくれますね。 314 00:21:48,707 --> 00:21:51,210 ⸨比名子:あなたのこと➨ 315 00:21:51,210 --> 00:21:54,713 信じてたのに。 316 00:21:54,713 --> 00:21:56,715 ひとでなし⸩ 317 00:22:06,992 --> 00:22:08,994 (汐莉)比名子。