1 00:00:01,101 --> 00:00:03,103 ♬〜 2 00:00:03,103 --> 00:00:15,115 ♬〜 (雨漏りの音) 3 00:00:15,115 --> 00:00:19,520 ⚟(鬼夜叉)だんご〜 だんごは いらんかなのだ〜。 4 00:00:19,520 --> 00:00:24,324 (サツキ)へぇ〜。じゃあ あんたらは その 新熊野ってとこに行くのかい? 5 00:00:24,324 --> 00:00:26,326 (石也)はい! 6 00:00:26,326 --> 00:00:31,131 将軍様がおみえになる 観世座一世一代の大舞台なんですよ! 7 00:00:31,131 --> 00:00:34,468 まあ 私も若もお手伝いだけですが。 いらんかなのだ〜。 8 00:00:34,468 --> 00:00:37,304 (サツキ)あんたらって なかなか有名なんだね。 9 00:00:37,304 --> 00:00:41,074 (コガネ)将軍様の目にはどう映るんだろうな 猿楽は。 10 00:00:41,074 --> 00:00:43,076 ん? あ…。 ん? 11 00:00:43,076 --> 00:00:46,813 う うう…うう うう…。 12 00:00:46,813 --> 00:00:48,849 う うう…うう うう…。 (風の音) 13 00:00:48,849 --> 00:00:50,851 ううう…。 14 00:00:50,851 --> 00:00:52,853 ♬〜 ぐすん。 ちゃ〜んと働いてくれよ? 15 00:00:52,853 --> 00:00:57,357 この前はあんたらのせいで 集まった客 み〜んな帰っちまったんだからね? 16 00:00:57,357 --> 00:01:02,457 うう…反省しているのだ。 反省はいいから客呼んで。 17 00:01:04,932 --> 00:01:07,601 サツキ殿はよく働くのだ。 18 00:01:07,601 --> 00:01:11,438 ん?ああ これ?うまいことやってんだろ。 19 00:01:11,438 --> 00:01:17,110 あたし 元々百姓の子でさ そこでは 役に立たなくて売られちゃったんだ。 20 00:01:17,110 --> 00:01:21,114 でもここでは役立たずじゃないでしょ。 商売は好き。 21 00:01:21,114 --> 00:01:23,914 あたしの形に合ってる。フフッ。 22 00:01:25,786 --> 00:01:30,224 ≪サツキ殿の形…商売の形…。≫ 23 00:01:30,224 --> 00:01:33,961 あっ そうだ! 今度はあんたの芸を見せてよ! え? 24 00:01:33,961 --> 00:01:37,464 あんたが舞ったら お客さん集まるんじゃない? 25 00:01:37,464 --> 00:01:40,164 ≪(白拍子)あんたの舞を見せてよ。≫ 26 00:01:42,135 --> 00:01:44,135 ⚟(サツキ)鬼夜叉? 27 00:01:46,807 --> 00:01:49,309 やらせて欲しいのだ。 28 00:01:49,309 --> 00:01:52,379 (扇子の音) 29 00:01:52,379 --> 00:01:54,615 (二条良基)んん? (群衆の歓声) 30 00:01:54,615 --> 00:01:59,686 ♬〜 31 00:01:59,686 --> 00:02:01,688 ♬〜 んん? 32 00:02:01,688 --> 00:02:03,724 ♬〜 33 00:02:03,724 --> 00:02:05,726 ♬〜 ん? 34 00:02:05,726 --> 00:02:11,465 ♬〜 35 00:02:11,465 --> 00:02:13,467 ♬〜 はうっ!? 36 00:02:13,467 --> 00:02:16,270 ♬〜 かっ ほ ほぉ…おぉぉ…。 37 00:02:16,270 --> 00:02:18,272 ♬〜 ほおおおっ…。 38 00:02:18,272 --> 00:02:21,708 ♬〜 ほ お お ほ ほ ほっ…ほおおおおっ。 39 00:02:21,708 --> 00:02:24,108 ほおおおおおっ!! 40 00:02:25,779 --> 00:02:28,682 (歓声) 41 00:02:28,682 --> 00:02:34,121 おっ ヒュッ…ほおおおあああおおおお! 42 00:02:34,121 --> 00:04:01,721 ♬〜 43 00:04:15,055 --> 00:04:17,724 (十二五郎)ん…んっ…ん…! 44 00:04:17,724 --> 00:04:20,560 ⚟(石也) 五郎は新熊野にいる間はどうするの? 45 00:04:20,560 --> 00:04:22,662 (十二五郎)毎日 稽古に決まってんだろ。 46 00:04:22,662 --> 00:04:25,065 えっ!もしかして舞台に!? 47 00:04:25,065 --> 00:04:30,103 いやいや あがんのは師匠だけ。 俺なんかが出られるわけねえだろうが。 48 00:04:30,103 --> 00:04:35,075 (長老)石也。手空いたら調理場 手伝い行ってくれるか? はい! 49 00:04:35,075 --> 00:04:37,077 ⚟もう一度! 50 00:04:37,077 --> 00:04:39,079 もう一度お願いするのだ! 51 00:04:39,079 --> 00:04:42,015 (十二五郎)今日はちゃんと稽古してんのか。 ハァ…ハァ…。 52 00:04:42,015 --> 00:04:47,020 稽古嫌いだった若が あの中に混ざってると思うと…ほほほ。 53 00:04:47,020 --> 00:04:50,490 鬼夜叉のやつ 随分変わったな。 54 00:04:50,490 --> 00:04:53,526 強い目をするようになってきた。 55 00:04:53,526 --> 00:04:56,029 (石也)そうなのです!そうなのです! 56 00:04:56,029 --> 00:04:58,698 (長老)なんだい 随分嬉しそうだなぁ。 57 00:04:58,698 --> 00:05:03,703 (石也)若は座を背負っていくお方ですから… 頭のような「よい」芸人に…! 58 00:05:03,703 --> 00:05:05,705 (十二五郎)それは無理だろ。 (石也)え? 59 00:05:05,705 --> 00:05:08,775 (十二五郎) 若は骨も細いし顔つきもやわらけぇ。 60 00:05:08,775 --> 00:05:14,781 あっはっはっはっ!まぁあの鬼夜叉が 観阿弥のようになるのは想像できねぇな。 61 00:05:14,781 --> 00:05:17,651 (十二五郎)そうですよ 無理です→ 62 00:05:17,651 --> 00:05:20,754 あいつには。 ハァ…ハァ…。 63 00:05:20,754 --> 00:05:23,056 (川のせせらぎ) 64 00:05:23,056 --> 00:05:27,894 父上がなに考えてるのか さっぱりわからんのだぁ! 65 00:05:27,894 --> 00:05:30,330 ちょっとはよく舞えるようになったのに! 66 00:05:30,330 --> 00:05:33,833 私のことは見向きもしないのだぁ〜! 67 00:05:33,833 --> 00:05:36,369 ううう…。 ほ〜ん 大変そうだなっ! 68 00:05:36,369 --> 00:05:40,173 んんんコガネ殿! なんだよ。 69 00:05:40,173 --> 00:05:43,009 もっと真剣に聞いて欲しいのだ! 70 00:05:43,009 --> 00:05:46,012 んんん あああ んんあ…! あ〜 はいはい 悪かったって…。 71 00:05:46,012 --> 00:05:48,782 あ…ん…。 72 00:05:48,782 --> 00:05:52,185 ♬〜 今日は一段と赤ぇな。 73 00:05:52,185 --> 00:05:55,522 さっきまでこんな色ではなかったのだ。 74 00:05:55,522 --> 00:05:59,592 雲があるから いっそう赤くなんだよ。 75 00:05:59,592 --> 00:06:04,531 雲にお日様の赤がうつってんだ。 ほお…。 76 00:06:04,531 --> 00:06:12,205 雲の形は全部ちげえ。 同じ夕日は ふたつとねぇんだよ。 77 00:06:12,205 --> 00:06:14,705 ほおぉぉ…! 78 00:06:18,712 --> 00:06:21,715 明日早いんだろ?もう夜んなるぞ。 79 00:06:21,715 --> 00:06:26,052 わっ!そうなのだ! コガネ殿 お先に失礼つかまつる! 80 00:06:26,052 --> 00:06:29,122 おう。今日まで世話んなった。 81 00:06:29,122 --> 00:06:32,058 ハハハッ またすぐ会えるのだ。 82 00:06:32,058 --> 00:06:35,495 新熊野といっても ここからすぐだからな! 83 00:06:35,495 --> 00:06:39,999 ではっ またなのだ〜!フフッ。 84 00:06:39,999 --> 00:06:46,506 ♬〜 85 00:06:46,506 --> 00:06:49,342 ♬〜 じゃあな。 86 00:06:49,342 --> 00:06:51,344 ♬〜 うっ! 87 00:06:51,344 --> 00:06:57,044 ♬〜 88 00:07:02,288 --> 00:07:09,429 ⚟(囃子方)よおっ ほっ よおっ ほっ…。 89 00:07:09,429 --> 00:07:19,729 (囃子方)よおっ ほっ よおっ ほっ…。 (小鼓の音) 90 00:07:39,392 --> 00:07:42,328 (小鼓の音) 91 00:07:42,328 --> 00:07:44,330 よおっ ほっ。 (小鼓の音) 92 00:07:44,330 --> 00:07:46,332 よおっ…。 (足音) 93 00:07:46,332 --> 00:07:49,469 (十二五郎)頭っ! (観阿弥)拍が滑っている。 94 00:07:49,469 --> 00:07:52,569 あ…はっ…!(咳払い) 95 00:07:54,340 --> 00:07:56,342 よおっ ほっ! (小鼓の音) 96 00:07:56,342 --> 00:07:58,344 よおっ ほっ! (小鼓の音) 97 00:07:58,344 --> 00:08:00,847 よおっ ほっ! (小鼓の音) 98 00:08:00,847 --> 00:08:04,347 よおっ ほっ! まずは土台 (小鼓の音) 足元を整えよ。 99 00:08:06,686 --> 00:08:08,686 はい! 100 00:08:12,025 --> 00:08:15,094 あの 他にはござい…。 (観阿弥)鬼夜叉はどこにいる? 101 00:08:15,094 --> 00:08:18,698 え?ああ…さっき外に…。 102 00:08:18,698 --> 00:08:23,203 庭に集まってくれ。皆に話がある。 103 00:08:23,203 --> 00:08:26,272 あいつも連れてきてくれ。 104 00:08:26,272 --> 00:08:28,272 (十二五郎)承知しました。 105 00:08:31,211 --> 00:08:33,213 ♬〜 (火の音) 106 00:08:33,213 --> 00:08:38,117 ⚟(長老)きたる新熊野勧進猿楽 最初に演ずる「翁」にて→ 107 00:08:38,117 --> 00:08:40,520 観阿弥が翁を務める。 108 00:08:40,520 --> 00:08:43,056 (ざわめき) (長老)皆の思うことはわかる。 109 00:08:43,056 --> 00:08:46,392 長老が舞うことになっているシテの「翁」を→ 110 00:08:46,392 --> 00:08:52,232 座頭とはいえ 若い観阿弥が演じるのは 本来ではありえぬこと。 111 00:08:52,232 --> 00:08:57,303 しかし これは決定事項。 将軍家にもすでに伝えている。 112 00:08:57,303 --> 00:09:01,040 ワシは三番叟をやるでな。 父上が翁に…。 113 00:09:01,040 --> 00:09:06,746 それともうひとつ。この「翁」での「千歳」。 114 00:09:06,746 --> 00:09:09,282 これを鬼夜叉に任せる。 115 00:09:09,282 --> 00:09:11,284 ハッ…! 116 00:09:11,284 --> 00:09:14,754 (座員達)はあ 若が!? 将軍様の前で!? しかし 観世座としてこれに成功すれば…。 117 00:09:14,754 --> 00:09:18,091 できるな? ハッ…! 118 00:09:18,091 --> 00:09:23,791 (心臓の鼓動) 119 00:09:25,431 --> 00:09:28,768 これまでの舞台とは意味が違う! 120 00:09:28,768 --> 00:09:34,941 「猿楽」が初めて貴人の前でご奉仕務める 観世座一世一代の大舞台! 121 00:09:34,941 --> 00:09:38,111 これはその為の配役! 122 00:09:38,111 --> 00:09:41,411 皆!よろしく頼むっ! 123 00:09:46,886 --> 00:09:48,888 おっ…。 (一同)おおおおおっ! 124 00:09:48,888 --> 00:09:53,960 (一同)おおおおおっ! 125 00:09:53,960 --> 00:09:56,229 (心臓の鼓動) 126 00:09:56,229 --> 00:10:01,029 ≪私が 新熊野の舞台に立つ!≫ (心臓の鼓動) 127 00:10:04,036 --> 00:10:12,678 (お囃子の音) 128 00:10:12,678 --> 00:10:16,182 ≪「翁は」 天下泰平を祈る 神聖な演目。≫ (観阿弥)とお〜 とお〜 たら〜り〜♪ 129 00:10:16,182 --> 00:10:22,021 ≪まずは父上の祝言の序歌。≫ たら〜りら〜 たら〜り♪ 130 00:10:22,021 --> 00:10:27,527 (石也)気になるよね…空気が違う。 (観阿弥)あがり ららりとう♪ 131 00:10:27,527 --> 00:10:33,332 ≪この後すぐに 私の「千歳の舞」…。≫ 132 00:10:33,332 --> 00:10:35,334 (左馬助)ほっ。 133 00:10:35,334 --> 00:10:40,373 ≪珍しく左馬助殿の鼓がうるさいのだ。≫ 134 00:10:40,373 --> 00:10:44,243 ≪ん?違う…。≫ (心臓の鼓動) 135 00:10:44,243 --> 00:10:46,579 ≪これは…?≫ (心臓の鼓動) 136 00:10:46,579 --> 00:10:48,648 ≪なんだ?≫ (心臓の鼓動) 137 00:10:48,648 --> 00:10:50,650 (心臓の鼓動) 138 00:10:50,650 --> 00:10:52,685 ≪これは 私の鼓動か?≫ (心臓の鼓動) 139 00:10:52,685 --> 00:10:54,685 いよ〜っ。 140 00:10:57,089 --> 00:10:59,458 ≪遅れたっ!おおお落ち着け!≫ 141 00:10:59,458 --> 00:11:01,460 ≪足 震えるな!≫ ≪(おかしい。落ち着け。拍子が悪い!)≫ 142 00:11:01,460 --> 00:11:03,462 ≪腕 固い!ドコドコ ドクドクうるさいのだ!≫ ≪(なにこれ?うるさい!)≫ 143 00:11:03,462 --> 00:11:05,464 ≪(将軍の前で舞うのだぞ!)≫ 144 00:11:05,464 --> 00:11:08,034 ≪落ち着け!見せるのだ!舞を!≫ ≪(父を喰う!鬼夜叉 おい聞いてるのか!)≫ 145 00:11:08,034 --> 00:11:10,036 ≪見せなければ!≫ ≪(拍子がうまく合わせられない!)≫ 146 00:11:10,036 --> 00:11:12,736 ≪私の!千歳!≫ ≪(世界を広げるのだ!)≫ 147 00:11:14,574 --> 00:11:19,574 若…。 (足踏みの音) はぁ…。 148 00:11:24,050 --> 00:11:27,053 このままではダメなのだ。 149 00:11:27,053 --> 00:11:29,453 このままでは…。 150 00:11:32,792 --> 00:11:34,792 ん。 151 00:11:43,803 --> 00:11:48,274 コガネ殿〜 おらぬか〜。 152 00:11:48,274 --> 00:11:51,277 コガネ殿? 153 00:11:51,277 --> 00:12:02,077 (川のせせらぎ) 154 00:12:04,357 --> 00:12:06,357 かめ吉…。 155 00:12:08,194 --> 00:12:11,094 私の舞はどうすれば良くなる? 156 00:12:12,865 --> 00:12:17,203 どうすれば 認めてもらえるのだ。 157 00:12:17,203 --> 00:12:19,205 ⚟また迷ったか? 158 00:12:19,205 --> 00:12:21,207 えっ! 159 00:12:21,207 --> 00:12:23,207 だっ 誰なのだ!? 160 00:12:24,877 --> 00:12:27,213 まさか…。 (カメ吉)まさか! 161 00:12:27,213 --> 00:12:29,215 ひょおっ! 162 00:12:29,215 --> 00:12:33,753 ♬〜 163 00:12:33,753 --> 00:12:37,123 むむむ…。 164 00:12:37,123 --> 00:12:39,125 ≪(犬王)あっち。≫ 165 00:12:39,125 --> 00:12:41,127 あ!あなたはあの時の! 166 00:12:41,127 --> 00:12:44,931 今日はどこへ行きたい? えっ?それは…。 167 00:12:44,931 --> 00:12:50,736 ≪稽古も行かず ひとり うろついて… 私はどこに…。≫ 168 00:12:50,736 --> 00:12:54,740 観世ならば世の音を見たまえ 鬼夜叉くん。 169 00:12:54,740 --> 00:12:57,576 あっ…なぜ私の名を。 170 00:12:57,576 --> 00:13:00,646 君には君の「よさ」がある。 171 00:13:00,646 --> 00:13:04,483 父と同じである必要はない。 172 00:13:04,483 --> 00:13:09,355 ♬〜 173 00:13:09,355 --> 00:13:13,025 あちらにゆけ ということなのだ? 174 00:13:13,025 --> 00:13:15,962 ⚟(犬王)もう日が暮れる ど どこから!? から急いだ方がいいよ。 175 00:13:15,962 --> 00:13:17,964 不思議な人なのだ。 176 00:13:17,964 --> 00:13:19,966 ⚟(犬王)じゃあまた。 うわっ! 177 00:13:19,966 --> 00:13:22,935 ま まだどこかにいるのだ!?ん!? 178 00:13:22,935 --> 00:13:25,871 裏手は探したか? いや まだ。 (石也)若〜? 179 00:13:25,871 --> 00:13:28,541 若を見なかったか。 180 00:13:28,541 --> 00:13:32,378 いえ 見かけてませんが… どうかなさいましたか? 181 00:13:32,378 --> 00:13:34,447 (左馬助)稽古に姿を見せなくてな。 182 00:13:34,447 --> 00:13:37,216 ああ…いつものやつですか。 183 00:13:37,216 --> 00:13:39,552 (左馬助)いつもとは違う。 184 00:13:39,552 --> 00:13:42,388 若は「千歳」だ。 185 00:13:42,388 --> 00:13:44,390 (左馬助)お前も探しなさい。 (去る音) 186 00:13:44,390 --> 00:13:48,060 ⚟(石也)若〜?若〜? 187 00:13:48,060 --> 00:13:50,062 ん…。 188 00:13:50,062 --> 00:13:52,062 んっ…! 189 00:13:53,733 --> 00:14:00,206 ハァ…ハァ… 本当にこっちであっているのだ? 190 00:14:00,206 --> 00:14:04,043 ♬〜 (太鼓の音) 191 00:14:04,043 --> 00:14:06,045 ♬〜 太鼓? 192 00:14:06,045 --> 00:14:08,414 はっ。 ♬〜 (村人たちの声) 193 00:14:08,414 --> 00:14:15,421 ♬〜 194 00:14:15,421 --> 00:14:17,721 (笑い声) 195 00:14:22,028 --> 00:14:25,828 あれは…初めて見る舞なのだ。 196 00:14:27,867 --> 00:14:29,869 あれは一体…。 197 00:14:29,869 --> 00:14:32,538 (足利義満)いや どっからどう見ても まぐわいだろうが! ハッ! 198 00:14:32,538 --> 00:14:34,538 カッ…! 199 00:14:36,575 --> 00:14:38,577 あれが まぐわい…。 200 00:14:38,577 --> 00:14:40,579 なんだ初めて見んのか? 201 00:14:40,579 --> 00:14:44,417 お前の親は何やってんだか。 む? 202 00:14:44,417 --> 00:14:47,219 じゃあお主はしょっちゅう見ているのか? 203 00:14:47,219 --> 00:14:50,189 くっははっ! わっ! 野暮なことを聞くもんだ。 204 00:14:50,189 --> 00:14:52,291 見る側じゃねぇよ。 205 00:14:52,291 --> 00:14:56,062 むむむ? ま あれはただの真似っこだがな。 206 00:14:56,062 --> 00:14:58,097 「田遊び」だよ。 207 00:14:58,097 --> 00:15:00,066 田遊び…。 208 00:15:00,066 --> 00:15:03,669 人は食べ まぐわい 増え栄える。 209 00:15:03,669 --> 00:15:07,006 それを寿ぎ称え願う。 210 00:15:07,006 --> 00:15:11,043 男女がまぐあい。 (義満・鬼夜叉)子を成すように。 211 00:15:11,043 --> 00:15:14,346 種が芽吹き実がなるように。 212 00:15:14,346 --> 00:15:22,546 無から有が生まれることへの あれがそういう…人の祈りだとしたら…。 213 00:15:36,368 --> 00:15:38,971 お〜い 寝てんのか? 214 00:15:38,971 --> 00:15:42,808 いいものを見させてもらった。 215 00:15:42,808 --> 00:15:44,810 まぐわいとはいいものだな! 216 00:15:44,810 --> 00:15:46,979 へ…フグッ。 217 00:15:46,979 --> 00:15:49,815 (義満)だ はっはっはっはっ…! 218 00:15:49,815 --> 00:15:51,817 (村人たちのざわめき) (義満)あはっはっはっはっ…! 219 00:15:51,817 --> 00:15:54,720 ん? お前いいよ 最高! 220 00:15:54,720 --> 00:15:57,690 教えてくれてありがとうなのだ。 んっふっふっふっ。 失礼するのだ! 221 00:15:57,690 --> 00:16:00,159 早く帰りたい!稽古をするのだ! 222 00:16:00,159 --> 00:16:02,959 ぬおおぉぉ…はははっ! 223 00:16:04,864 --> 00:16:07,666 (新右衛門)義満様。 なんだお前か。 224 00:16:07,666 --> 00:16:11,666 皆心配しております。参りましょう。 225 00:16:14,507 --> 00:16:16,509 (新右衛門)義満様。 (義満)ん? 226 00:16:16,509 --> 00:16:19,011 (新右衛門)お探しのものはございましたか? 227 00:16:19,011 --> 00:16:21,013 ハァ…ハァ…。 228 00:16:21,013 --> 00:16:23,813 ⚟(義満)いや? ハァ…ハァ…。 229 00:16:30,556 --> 00:16:33,125 そっちは? (座員)いえ おりませんでした。 230 00:16:33,125 --> 00:16:35,125 ハァ…ハァ…。 231 00:16:39,265 --> 00:16:41,565 (十二五郎)ハァ…ハァ…。 232 00:16:45,037 --> 00:16:47,039 (十二五郎)千里さん! (千里)ん? 帰ってきました! 233 00:16:47,039 --> 00:16:49,041 ああ…!若! 234 00:16:49,041 --> 00:16:52,044 ハァ…ハァ…若 どこかお怪我は? 235 00:16:52,044 --> 00:16:55,381 ピンピンしてるのだ! よかった。 236 00:16:55,381 --> 00:16:58,350 頭に知らせてくる。 はい。 237 00:16:58,350 --> 00:17:02,755 ん?かがり火など焚いて… 一体どうしたのだ? 238 00:17:02,755 --> 00:17:05,555 ふっ! ううっ! 239 00:17:10,129 --> 00:17:12,131 ううっ!うっ…。 240 00:17:12,131 --> 00:17:15,901 ♬〜 な 何をするのだ…!?ハァ…。 241 00:17:15,901 --> 00:17:18,971 何をするのだ…って…。 242 00:17:18,971 --> 00:17:20,971 あ〜。 243 00:17:24,577 --> 00:17:27,646 何もしてねぇからだよ。 244 00:17:27,646 --> 00:17:31,116 お前にあんのは頭の血だけ。それだけだ。 245 00:17:31,116 --> 00:17:33,118 ひ 酷いのだ! 246 00:17:33,118 --> 00:17:35,754 他には何もねぇだろうがよ。 247 00:17:35,754 --> 00:17:39,758 頭みてえなタッパもねえ。 響くような声もねえ。 248 00:17:39,758 --> 00:17:42,094 お前には何もねえんだよ。 249 00:17:42,094 --> 00:17:46,131 ふっ!んああっ! ぐっ! 250 00:17:46,131 --> 00:17:48,167 痛…。 251 00:17:48,167 --> 00:17:53,105 てめえ 本当のことだろうが! そんなことはない! 252 00:17:53,105 --> 00:17:58,777 稽古もサボりやがって。 も もうサボらないのだ! 253 00:17:58,777 --> 00:18:01,380 ガキの頃からずっとそうだろうが! 254 00:18:01,380 --> 00:18:04,780 そもそも十二五郎には 関係がないことなのだ! 255 00:18:06,719 --> 00:18:08,787 うっ…!クソッ。 うっ…う…うう…。 256 00:18:08,787 --> 00:18:12,725 関係ねぇってなんだよ!ふっ…! 私は私なりに! 257 00:18:12,725 --> 00:18:15,060 それが足りてねぇっつってんだ! 258 00:18:15,060 --> 00:18:18,731 んっ…ぐっ…! うう…ん…んん…。 259 00:18:18,731 --> 00:18:20,733 お 俺はっ→ 260 00:18:20,733 --> 00:18:24,737 頭と猿楽のために 何を失ってもかまわないっ! 261 00:18:24,737 --> 00:18:28,240 観世座の人間は そういう覚悟で猿楽やってんだ! 262 00:18:28,240 --> 00:18:32,311 お前はなんだ? ガキん頃からまともに稽古しねぇで→ 263 00:18:32,311 --> 00:18:34,747 ちょっとやる気出したら千歳だ? 264 00:18:34,747 --> 00:18:38,584 んでまたサボって ふざけんじゃねえよ! 私は…! 265 00:18:38,584 --> 00:18:43,055 お前見てると どうしようもねぇぐらい腹が立つ! 266 00:18:43,055 --> 00:18:45,055 (腕を掴む音) 267 00:18:46,859 --> 00:18:48,859 師匠…。 268 00:18:50,596 --> 00:18:55,601 (左馬助)若 大丈夫ですか。 大丈夫なのだ。 269 00:18:55,601 --> 00:18:59,605 顔 冷やしてきてください。 傷になったらたまんねえ。 270 00:18:59,605 --> 00:19:03,208 しかし…。 あんたはその身体で千歳を舞う。 271 00:19:03,208 --> 00:19:08,280 うちの大事な舞台に立つんだ。 自分勝手は困りますよ。 272 00:19:08,280 --> 00:19:13,786 あ…う…すまなかったのだ。 ん。 273 00:19:13,786 --> 00:19:18,086 ⚟冷やしてくるのだ。 ⚟(左馬助)はい。 274 00:19:19,725 --> 00:19:22,294 今 いくつだ? (十二五郎)え? 275 00:19:22,294 --> 00:19:24,296 (左馬助)いくつになった。 276 00:19:24,296 --> 00:19:28,300 (十二五郎)あ…14になりました。 277 00:19:28,300 --> 00:19:33,200 (左馬助)そうかい。 じゃあ自分が何をしたかもわかってるな。 278 00:19:38,310 --> 00:19:44,149 (左馬助)お前がここに来た時は まだまだちんまいガキだったのにな。 279 00:19:44,149 --> 00:20:14,179 ♬〜 280 00:20:14,179 --> 00:20:39,071 ♬〜 281 00:20:39,071 --> 00:20:41,573 (十二五郎)くっ…。 282 00:20:41,573 --> 00:20:47,646 (左馬助)綺麗な部分 汚ねえ部分 見比べて嘆くだけならまだいいさ。 283 00:20:47,646 --> 00:20:51,083 ま 当たり散らすのは醜いな。 284 00:20:51,083 --> 00:20:54,086 だがな 五郎。 285 00:20:54,086 --> 00:20:59,458 自分の醜さ知ったやつは強くなる。 286 00:20:59,458 --> 00:21:02,658 まずは 足元を見るこったな。 287 00:21:11,370 --> 00:21:13,370 くっ…。 288 00:21:16,041 --> 00:21:18,341 馬鹿野郎…。 289 00:21:22,548 --> 00:21:26,618 あんな十二五郎 初めて見たのだ。 290 00:21:26,618 --> 00:21:29,621 ♬〜 (トキの羽音) 291 00:21:29,621 --> 00:21:34,059 ♬〜 292 00:21:34,059 --> 00:21:37,729 ♬〜 ≪鳥は飛ぶための形。≫ 293 00:21:37,729 --> 00:21:42,401 ♬〜 294 00:21:42,401 --> 00:21:50,075 ≪みな…それぞれの場所で生きるため ♬〜 生き抜くために自分の形を得る。≫ 295 00:21:50,075 --> 00:21:59,418 ♬〜 296 00:21:59,418 --> 00:22:03,989 ♬〜 ≪私も 私の形を見つけるのだ。≫ 297 00:22:03,989 --> 00:22:08,026 <住する所なきをまづ花と知るべし。> 298 00:22:08,026 --> 00:22:11,726 <変化こそ 花にとっての水である。> 299 00:22:15,033 --> 00:22:37,122 ♬〜 300 00:22:37,122 --> 00:22:41,126 ♬〜 301 00:22:41,126 --> 00:22:49,401 ♬〜 302 00:22:49,401 --> 00:22:53,805 ♬〜 303 00:22:53,805 --> 00:23:24,703 ♬〜 304 00:23:24,703 --> 00:23:28,707 ♬〜 305 00:23:28,707 --> 00:23:43,007 ♬〜