1 00:00:03,036 --> 00:00:06,773 ♬〜 <(鬼夜叉)神聖なる「翁」を舞う 役者たちは→ 2 00:00:06,773 --> 00:00:18,118 その身体に穢れを移さぬため 他の人間と 火を別に生活し 潔斎に身を置く。> 3 00:00:18,118 --> 00:00:26,593 ♬〜 4 00:00:26,593 --> 00:00:28,595 ♬〜 あっ…。 5 00:00:28,595 --> 00:01:19,613 ♬〜 6 00:01:19,613 --> 00:01:21,615 ♬〜 (息を吹く音) 7 00:01:21,615 --> 00:01:26,286 ♬〜 8 00:01:26,286 --> 00:01:28,288 ♬〜 (観阿弥)明日も早いぞ。 9 00:01:28,288 --> 00:01:37,731 ♬〜 10 00:01:37,731 --> 00:01:44,137 (心臓の鼓動) 11 00:01:44,137 --> 00:01:48,809 んん んんん…。 (心臓の鼓動) 12 00:01:48,809 --> 00:01:52,112 ムハッ! ≪眠れない!≫ 13 00:01:52,112 --> 00:03:19,512 ♬〜 14 00:03:36,783 --> 00:03:38,852 (息を吐く音) 15 00:03:38,852 --> 00:03:41,755 ≪ドコドコうるさいのだ。≫ (心臓の鼓動) 16 00:03:41,755 --> 00:03:53,066 (心臓の鼓動) 17 00:03:53,066 --> 00:03:55,135 はっ ふぅ…はぁ。 (心臓の鼓動) 18 00:03:55,135 --> 00:03:57,137 (長老)固い固い。 あ…。 19 00:03:57,137 --> 00:03:59,973 何してんだ?うちの千歳は。 20 00:03:59,973 --> 00:04:01,975 長老…。 21 00:04:01,975 --> 00:04:05,912 ちゃんと寝とかねえとまた失敗すんぞぉ。 はっはっはっ…! 22 00:04:05,912 --> 00:04:08,048 うぅ〜。 はっはっはっ…! 23 00:04:08,048 --> 00:04:11,284 おっおぉっと うぅ〜。 どうした どうした!? 24 00:04:11,284 --> 00:04:16,790 ⚟寝なくてはと わかっているつもりなのです。 25 00:04:16,790 --> 00:04:19,159 わかっている のだ…。 26 00:04:19,159 --> 00:04:22,162 そんなに千歳を舞うのが不安か? 27 00:04:22,162 --> 00:04:24,931 ♬〜 もう失敗するつもりはないのです。 28 00:04:24,931 --> 00:04:29,335 ただ…。 なんだぁ 散々稽古してきただろ。 29 00:04:29,335 --> 00:04:32,806 うぅ…。 煮え切らねぇやつだな。 30 00:04:32,806 --> 00:04:37,644 私には何もないと云われたのです。 ほ〜? 31 00:04:37,644 --> 00:04:42,682 私には父のようなタッパもなく 声もなく 何もないと! 32 00:04:42,682 --> 00:04:47,687 忘れようと思ったのです! でも無理だったのですだ! 33 00:04:47,687 --> 00:04:51,424 あんなこと言われたのは初めてだったのだ。 34 00:04:51,424 --> 00:04:54,424 ははは!そりゃ腹も立つな! 35 00:04:56,129 --> 00:04:59,132 今まで考えたことすらなかったのだ。 36 00:04:59,132 --> 00:05:03,636 皆がどんなことを考え どんな形をしているのか。 37 00:05:03,636 --> 00:05:09,142 十二五郎も 左馬助殿も 父上にも自分の形がある。 38 00:05:09,142 --> 00:05:13,279 私は皆を知り 自分の形を知りたいのだ。 39 00:05:13,279 --> 00:05:15,281 ふっふっ。 40 00:05:15,281 --> 00:05:18,218 若さがたぎっとるの〜。 41 00:05:18,218 --> 00:05:21,821 たぎ? 鬼夜叉 よく聞け。 42 00:05:21,821 --> 00:05:25,658 ワシはな 座の奴らのことなぞ 考えたことはない! 43 00:05:25,658 --> 00:05:27,660 ふえぇ!? 44 00:05:27,660 --> 00:05:30,597 特にお前の親父のことなんて な〜んもわからん! 45 00:05:30,597 --> 00:05:35,401 うあ…。 観世座が立ち上がるよりも前の話だ。 46 00:05:35,401 --> 00:05:38,404 あいつは一人で旅に出てな。 47 00:05:38,404 --> 00:05:43,109 芸と名のつくものは片っ端から習っていた。 48 00:05:43,109 --> 00:05:47,614 お前が生まれた後も それは変わらんかった。 49 00:05:47,614 --> 00:05:53,386 あいつが猿楽に流行りの舞や 謡い物語を持ち込んだんだ。 50 00:05:53,386 --> 00:05:56,122 ♬〜 51 00:05:56,122 --> 00:06:01,561 それまでの猿楽を壊し 作り上げてはまた壊し→ 52 00:06:01,561 --> 00:06:05,698 そうやって重ねてきたもんが 観世座の歴史となり→ 53 00:06:05,698 --> 00:06:09,235 今の形になっていることには間違いねぇ。 54 00:06:09,235 --> 00:06:12,805 ワシだって今でもわからないさ。 55 00:06:12,805 --> 00:06:15,875 わかんねぇまんま 舞台に立つ。 56 00:06:15,875 --> 00:06:21,147 大いに悩め! ワシにとってもお前は孫みたいなもんだ。 57 00:06:21,147 --> 00:06:23,983 お前なら大丈夫。 58 00:06:23,983 --> 00:06:25,985 じじ様。 59 00:06:25,985 --> 00:06:29,685 思い切り舞えば良いさ。 60 00:06:36,429 --> 00:06:39,032 フゥ〜ッ。 61 00:06:39,032 --> 00:06:42,101 (息を吸う音) 62 00:06:42,101 --> 00:06:44,901 (息を吐く音) 63 00:06:48,441 --> 00:06:50,443 ん? 64 00:06:50,443 --> 00:06:52,445 亀。 65 00:06:52,445 --> 00:06:54,914 朝から亀を見るとは縁起が良い。 66 00:06:54,914 --> 00:06:56,914 これは吉兆。 67 00:07:00,453 --> 00:07:02,822 ブハッ!ミズゴリッ! 68 00:07:02,822 --> 00:07:06,492 ♪〜 おはようございます!父上! 69 00:07:06,492 --> 00:07:08,494 早いな。 70 00:07:08,494 --> 00:07:12,465 ♬〜 ⚟(女1)観世座がこんな大舞台で 見られるなんてねぇ。 71 00:07:12,465 --> 00:07:14,767 ⚟(女2)大和から出てきてよかったわ。 72 00:07:14,767 --> 00:07:17,303 (常連A)田舎じゃ有名かも知らんが…。 73 00:07:17,303 --> 00:07:19,305 (常連B)我々都の人間の目に耐えうるかな? 74 00:07:19,305 --> 00:07:21,608 (二条良基)フン フン フン フン♪ (常連B)我々都の人間の目に耐えうるかな? 75 00:07:21,608 --> 00:07:24,978 藤若っ ふ じ わ か〜。 76 00:07:24,978 --> 00:07:29,582 ふふふ…。 77 00:07:29,582 --> 00:07:34,487 (石也)さすがに人が多い。 将軍様はもう来てるのかな…。 78 00:07:34,487 --> 00:07:37,087 (カメ吉)わからん。 (石也)お顔がわからない。 79 00:07:58,111 --> 00:08:02,115 (笛の音) 80 00:08:02,115 --> 00:08:05,618 ♪〜 (お囃子) 81 00:08:05,618 --> 00:08:08,688 いよいよですね。 (十二五郎)ああ。 82 00:08:08,688 --> 00:08:14,360 (観阿弥)とう とう たらり たらりら〜♪ (お囃子) 83 00:08:14,360 --> 00:08:19,699 ≪これは 私の身体の音なのだ。≫ (心臓の鼓動) 84 00:08:19,699 --> 00:08:21,701 ≪私は鳥ではない。≫ (心臓の鼓動) 85 00:08:21,701 --> 00:08:25,738 ≪いくら足掻いても この身体は飛べるわけではない。≫ 86 00:08:25,738 --> 00:08:30,376 ≪舞は人の生活に沿ってきたものだ。≫ (心臓の鼓動) 87 00:08:30,376 --> 00:08:37,984 ≪遥か昔から脈々と続いてきた人間の生活 願い 身体 感情…。≫ 88 00:08:37,984 --> 00:08:43,356 ≪その流れの先端に 私はこの身体で立っているのだ。≫ 89 00:08:43,356 --> 00:08:50,830 ♪〜(小鼓の音) 90 00:08:50,830 --> 00:09:01,841 ♪〜 (お囃子) 91 00:09:01,841 --> 00:09:04,210 ♪〜 ≪拍子を意識しすぎず…。≫ 92 00:09:04,210 --> 00:09:06,212 ♪〜 93 00:09:06,212 --> 00:09:10,183 ♪〜 (足踏みの音) 94 00:09:10,183 --> 00:09:13,519 ♪〜 ≪ただ練習通りに。≫ 95 00:09:13,519 --> 00:09:17,523 ♪〜 (囃子方)よおっ ほおっ ほっ。 96 00:09:17,523 --> 00:09:20,560 (観客たち)ほお! おお! 97 00:09:20,560 --> 00:09:24,564 ♪〜 (囃子方)よお〜っ ほお〜っ。 98 00:09:24,564 --> 00:09:28,868 ♪〜 (囃子方)ほっ ほお〜っ よお〜っ。 99 00:09:28,868 --> 00:09:34,474 ♪〜 100 00:09:34,474 --> 00:09:38,511 ♪〜 (足踏みの音) 101 00:09:38,511 --> 00:09:49,322 ♪〜 102 00:09:49,322 --> 00:09:51,324 ♪〜 はぁっ…。 103 00:09:51,324 --> 00:09:53,326 ♪〜 104 00:09:53,326 --> 00:09:58,097 ♪〜 (囃子方)ほっ ほお〜っ ほっ。 105 00:09:58,097 --> 00:10:01,834 ♪〜 (囃子方)よお〜っ ほっ。 106 00:10:01,834 --> 00:10:07,173 ≪私の舞と身体には ♪〜 歴史が流れている。≫ 107 00:10:07,173 --> 00:10:10,176 ♪〜 108 00:10:10,176 --> 00:10:12,178 ♪〜 (足踏みの音) 109 00:10:12,178 --> 00:10:15,181 ♪〜 110 00:10:15,181 --> 00:10:21,988 ≪この体は小さく ♪〜 その知る歴史は浅けれど。≫ 111 00:10:21,988 --> 00:10:24,524 ≪今!≫ (足踏みの音) 112 00:10:24,524 --> 00:10:28,995 ≪私は若き 千歳なり!≫ 113 00:10:28,995 --> 00:10:30,997 (足利義満)ははっ。 114 00:10:30,997 --> 00:10:32,999 (細川頼之)ん?どうなさいました? 115 00:10:32,999 --> 00:10:36,302 ふ〜ん。 116 00:10:36,302 --> 00:10:39,205 ⚟あの千歳は? (二条)ほほ〜。 ⚟長の息子だってよ。 117 00:10:39,205 --> 00:10:41,841 (常連B)ふふふ ふふはは。 (常連A)ん〜。 ⚟子どもなのに堂々たるもんだねぇ。 118 00:10:41,841 --> 00:10:45,478 (観客達)近江から見に来た甲斐があったよ。 猿楽もいいもんだなあ。 119 00:10:45,478 --> 00:10:47,478 はぁ…! 120 00:10:49,315 --> 00:10:54,020 ん…くるぞ。 ん。 121 00:10:54,020 --> 00:11:01,093 ハァ…ハァ…ハァ…ハァッ…。あ…。 122 00:11:01,093 --> 00:11:12,638 ♪〜 (小鼓の音) 123 00:11:12,638 --> 00:11:23,349 ♪〜 124 00:11:23,349 --> 00:11:25,351 ♪〜 (足踏みの音) 125 00:11:25,351 --> 00:11:27,420 ♪〜 (足踏みの音) 126 00:11:27,420 --> 00:11:30,189 ♪〜 127 00:11:30,189 --> 00:11:32,191 ♪〜 (足踏みの音) 128 00:11:32,191 --> 00:11:40,766 ♪〜 129 00:11:40,766 --> 00:11:42,768 ♪〜 ハッ…! 130 00:11:42,768 --> 00:11:44,904 ♪〜 131 00:11:44,904 --> 00:11:46,906 ♪〜 ≪いる。≫ 132 00:11:46,906 --> 00:11:49,208 ♪〜 133 00:11:49,208 --> 00:11:52,211 ♪〜 ≪翁…。≫ 134 00:11:52,211 --> 00:11:57,711 ♪〜 ≪これが 父上の舞なのか…。≫ 135 00:12:02,221 --> 00:12:09,562 ≪私は今 すごいものを ♬〜 見ているのではないか?≫ 136 00:12:09,562 --> 00:12:12,932 ≪こんなにも…。≫ 137 00:12:12,932 --> 00:12:17,837 ≪こんなにも→ 138 00:12:17,837 --> 00:12:22,174 父上は大きいのか…。≫ 139 00:12:22,174 --> 00:12:25,177 ♬〜 140 00:12:25,177 --> 00:12:27,580 おぉ…。 141 00:12:27,580 --> 00:12:30,216 なんと目出たい…。 142 00:12:30,216 --> 00:12:38,224 <その日 勧進猿楽を務める観世座に 将軍の謁見が許された。> 143 00:12:38,224 --> 00:12:41,124 (役人)観世座一同!これへ! 144 00:12:43,162 --> 00:12:45,164 ⚟(観阿弥)鬼夜叉。 145 00:12:45,164 --> 00:12:47,199 俺の横に来い。 146 00:12:47,199 --> 00:12:49,199 あ…。 147 00:12:53,973 --> 00:12:57,810 (義満)この度の舞台 大儀であった。 148 00:12:57,810 --> 00:13:01,010 ⚟(役人)一同!顔を! 149 00:13:09,488 --> 00:13:11,824 あ…! 150 00:13:11,824 --> 00:13:14,327 あなたは…。 151 00:13:14,327 --> 00:13:16,527 まぐあいの…? 152 00:13:18,164 --> 00:13:20,266 あなたが将軍だったのか! 153 00:13:20,266 --> 00:13:22,266 ♬〜 バカッ! ひ〜っ。 154 00:13:24,704 --> 00:13:26,706 先日は…。 155 00:13:26,706 --> 00:13:28,708 知らん! 156 00:13:28,708 --> 00:13:30,710 くっ…。 157 00:13:30,710 --> 00:13:33,746 ♬〜 158 00:13:33,746 --> 00:13:36,282 (義満)お主 名はなんと言う。 159 00:13:36,282 --> 00:13:42,421 わ 私 観世三郎清次が息男。 鬼夜叉と申します。 160 00:13:42,421 --> 00:13:46,626 若き千歳よ。まぐわいの夢でも見たのか? 161 00:13:46,626 --> 00:13:51,297 顔に似合わずお主も男であるな? (観客の笑い声) 162 00:13:51,297 --> 00:13:56,168 年頃ゆえ そのような夢を見ることは ままあるであろう。 163 00:13:56,168 --> 00:13:59,739 夢は問わぬ が→ 164 00:13:59,739 --> 00:14:02,875 私は将軍だぞ? 165 00:14:02,875 --> 00:14:06,812 ♬〜 166 00:14:06,812 --> 00:14:10,049 うっ…ぎゃっ! 167 00:14:10,049 --> 00:14:13,486 ♬〜 168 00:14:13,486 --> 00:14:17,156 なかなか面白い息子を持っている。 169 00:14:17,156 --> 00:14:20,660 さて 新熊野猿楽→ 170 00:14:20,660 --> 00:14:26,198 評判を聞いて見物させてもらったが 噂に違わぬ見事な舞台。 171 00:14:26,198 --> 00:14:28,367 (一同)ああ…! 172 00:14:28,367 --> 00:14:31,337 この将軍足利義満。 173 00:14:31,337 --> 00:14:33,572 感動した! 174 00:14:33,572 --> 00:14:38,678 ♬〜 175 00:14:38,678 --> 00:14:41,414 いいものを見せてもらった。 176 00:14:41,414 --> 00:14:43,449 猿楽とはよいものだな! 177 00:14:43,449 --> 00:14:45,785 ≪まぐあいとは いいものだな!≫ 178 00:14:45,785 --> 00:14:47,787 ハッ…! 179 00:14:47,787 --> 00:14:52,587 観阿弥並びに観世座一同! 今後ともよろしく! 180 00:14:55,561 --> 00:14:57,963 「よろしく」って…。 181 00:14:57,963 --> 00:15:00,299 (2人)ハァ…!ふふふ…。 182 00:15:00,299 --> 00:15:02,301 (2人)フォォォォ! (歓声) 183 00:15:02,301 --> 00:15:05,101 (観客たち) すげえぞ観世座! 観阿弥! 観世座! 184 00:15:08,073 --> 00:15:10,075 (石也)わわわ若〜! 185 00:15:10,075 --> 00:15:12,077 ししし…っと ででで。 186 00:15:12,077 --> 00:15:15,114 どうした 落ち着くのだ。 あっ 若! 187 00:15:15,114 --> 00:15:17,750 将軍様から でで 伝言で! 188 00:15:17,750 --> 00:15:21,587 足利将軍邸 三条坊門へ 来られたしと! 189 00:15:21,587 --> 00:15:25,090 え? せ 先日の無礼でお怒りに!? 190 00:15:25,090 --> 00:15:29,995 若は こっここ殺されっ…うう う…。 ぶぶぶ 物騒な想像はやめるのだ! 191 00:15:29,995 --> 00:15:36,969 (雨音) 192 00:15:36,969 --> 00:15:38,971 (ヒジリ)どうぞこちらへ。 193 00:15:38,971 --> 00:15:40,973 んぐっ…。 194 00:15:40,973 --> 00:15:51,917 (雨・雷の音) 195 00:15:51,917 --> 00:15:54,417 お連れしました。 んあっ!? 196 00:15:56,789 --> 00:15:59,089 こ この度は! 197 00:16:05,297 --> 00:16:07,299 ≪これは こ ころ…!≫ 198 00:16:07,299 --> 00:16:09,468 命だけは!命だけはどうか! 199 00:16:09,468 --> 00:16:12,071 いや 願わくば足も できれば手も…。 200 00:16:12,071 --> 00:16:17,771 おっ うわっ あぁ…あひっ あ〜 あぁ…。 201 00:16:22,147 --> 00:16:25,618 おわっ…た。 202 00:16:25,618 --> 00:16:29,622 プフッ!だ〜っははははっ…! 203 00:16:29,622 --> 00:16:32,658 おいヒジリ!見た?今の顔! ククク…。 フフフッ。 204 00:16:32,658 --> 00:16:35,260 (新右衛門)義満様。 ドゥハッ! 205 00:16:35,260 --> 00:16:39,098 (義満)心配すんな 子供を切り刻む趣味などない。 206 00:16:39,098 --> 00:16:41,767 面白かったからこれで放免! 207 00:16:41,767 --> 00:16:45,738 しかし! 発言は時と場所を考えてからにしろ。 208 00:16:45,738 --> 00:16:47,740 チビスケ! う…。 209 00:16:47,740 --> 00:16:51,877 あの場で俺が怒らなかったら 正式に もっとひどい事んなってただろ〜が。 210 00:16:51,877 --> 00:16:53,879 アホタレ! うぐっ! 211 00:16:53,879 --> 00:16:57,616 ≪なんなのだ!? この人が将軍!?口が悪すぎる!≫ 212 00:16:57,616 --> 00:17:00,119 ≪笑い方も悪魔のようなのだ!≫ ≪だ〜っハッ ヒャハハッ ヒャッ ヒャッ。≫ 213 00:17:00,119 --> 00:17:02,888 なんだ なんか言いたそうじゃねぇか。 ≪ヒャッ ヒャッ ヒャッ ヒャッ…。≫ 214 00:17:02,888 --> 00:17:05,591 いいだろう 言ってみな。 215 00:17:05,591 --> 00:17:09,561 ≪流石に悪魔のようだとは言えないのだ…。≫ 216 00:17:09,561 --> 00:17:11,563 では ひとつ。 217 00:17:11,563 --> 00:17:16,301 あなたは本当に猿楽を 「よい」と思ったのだろうか? 218 00:17:16,301 --> 00:17:18,303 ふぅん。 219 00:17:18,303 --> 00:17:20,639 あの時 あなたは感動したと言った。 220 00:17:20,639 --> 00:17:24,476 でもあれは 本心に見えなかったのだ。 221 00:17:24,476 --> 00:17:26,478 ♬〜 222 00:17:26,478 --> 00:17:28,547 (義満)チビでも役者か。 223 00:17:28,547 --> 00:17:32,151 確かにあれは本心とはちと違ったな。 224 00:17:32,151 --> 00:17:35,254 正確に言うなら そう→ 225 00:17:35,254 --> 00:17:37,623 わからん かな。 226 00:17:37,623 --> 00:17:39,625 わからん? 227 00:17:39,625 --> 00:17:41,994 ふん…。 228 00:17:41,994 --> 00:17:43,996 ヤナギ→ 229 00:17:43,996 --> 00:17:45,998 シダ→ 230 00:17:45,998 --> 00:17:48,600 これはビャクシンでその隣はツツジだ。 231 00:17:48,600 --> 00:17:51,170 お前 この庭をどう思う? 232 00:17:51,170 --> 00:17:53,172 どうというと…。 233 00:17:53,172 --> 00:17:57,476 すぐ隣なのに 全然ちげぇ木がバラバラと植わっている。 234 00:17:57,476 --> 00:18:00,379 あんまり好きではない。 235 00:18:00,379 --> 00:18:04,216 この国も同じだ。無数の法がある。 236 00:18:04,216 --> 00:18:11,557 大名の法 町の法 村の法… 百姓 漁師 商人 芸人…。 237 00:18:11,557 --> 00:18:14,626 あぁ 吉野の法もあったな。 238 00:18:14,626 --> 00:18:21,133 40年 この国には 無数の法が幕府の法と並列してある。 239 00:18:21,133 --> 00:18:23,133 バラバラだ。 240 00:18:25,137 --> 00:18:28,173 俺は綺麗な景色が見たい。 241 00:18:28,173 --> 00:18:33,879 俺は将軍だ。 先代 先々代と固めてきた地盤もある。 242 00:18:33,879 --> 00:18:36,815 だがそれだけでは おそらく足りない。 243 00:18:36,815 --> 00:18:41,320 人をまとめるために必要なのは 武や法だけではないらしい。 244 00:18:41,320 --> 00:18:43,322 ん? 245 00:18:43,322 --> 00:18:48,160 それは幕府や朝廷の中にはない→ 246 00:18:48,160 --> 00:18:55,234 俺が欲しいのは 人がみずから惹きつけられ ひとつになるような…。 247 00:18:55,234 --> 00:18:57,236 はあ…。 248 00:18:57,236 --> 00:18:59,236 花。 249 00:19:01,774 --> 00:19:05,844 猿楽が「よい」かどうか 今は「わからん」。 250 00:19:05,844 --> 00:19:11,617 だが俺はお前を 花の種として「よい」と思った。 251 00:19:11,617 --> 00:19:15,117 お前がどこまでの花を咲かせるのか…。 252 00:19:16,688 --> 00:19:18,690 鬼夜叉。 253 00:19:18,690 --> 00:19:20,690 俺の側に来い。 254 00:19:25,564 --> 00:19:29,468 重心は前 頭の高さを変えぬよう…。 255 00:19:29,468 --> 00:19:33,138 踵を上げず 膝を伸ばさず…。 256 00:19:33,138 --> 00:19:35,140 あっ…。 257 00:19:35,140 --> 00:19:37,576 父上!? 258 00:19:37,576 --> 00:19:40,078 お 遅くなってすみません。 259 00:19:40,078 --> 00:19:42,948 ハコビで帰ってみようと思ったのですが…。 260 00:19:42,948 --> 00:19:46,051 三条坊門からか。 あ…。 261 00:19:46,051 --> 00:19:49,251 観世座まであと二刻はかかるな。 262 00:19:56,261 --> 00:20:02,734 ♬〜 263 00:20:02,734 --> 00:20:05,137 ≪あうっ!≫ ≪重心は前!≫ 264 00:20:05,137 --> 00:20:07,139 ≪踵が上がっている!≫ 265 00:20:07,139 --> 00:20:09,139 ≪膝を伸ばすな!≫ 266 00:20:11,710 --> 00:20:14,079 ≪うっ うう…。≫ 267 00:20:14,079 --> 00:20:16,782 ♬〜 268 00:20:16,782 --> 00:20:22,354 父上。今日 将軍様から 自分の元へ来いと言われました。 269 00:20:22,354 --> 00:20:26,291 でも私はもっと 猿楽を学びたいのです。 270 00:20:26,291 --> 00:20:30,796 何もわからずに泣いていた私が 「よさ」に出会い→ 271 00:20:30,796 --> 00:20:38,296 己の中の芸能を知り 大きな舞台に立ち 父上の猿楽の大きさを知った。 272 00:20:40,472 --> 00:20:44,209 私は今 舞が楽しいのです! 273 00:20:44,209 --> 00:20:48,814 もっと父上の元で猿楽を学びたいのです。 274 00:20:48,814 --> 00:20:51,650 猿楽はこれで完成か? え。 275 00:20:51,650 --> 00:20:56,722 なぜ膝を伸ばさぬのか。 なぜ踵を上げぬのか? 276 00:20:56,722 --> 00:20:59,224 なぜ重心を前に置くのか? 277 00:20:59,224 --> 00:21:01,226 もっと早くしてみたら? 278 00:21:01,226 --> 00:21:03,395 ゆっくり運ぶとどうなる? 279 00:21:03,395 --> 00:21:08,000 本当にこれで良いのか? もっと相応しい形はないか? 280 00:21:08,000 --> 00:21:11,003 ハコビ一つ 目線一つ→ 281 00:21:11,003 --> 00:21:14,506 はあっ…。 加え 省き また加え→ 282 00:21:14,506 --> 00:21:16,508 問い直す! 283 00:21:16,508 --> 00:21:19,544 猿楽はまだ未完成。 284 00:21:19,544 --> 00:21:24,549 己の形は探すものではない 作っていくものだ。 285 00:21:24,549 --> 00:21:29,154 猿楽は お前の中にある。 286 00:21:29,154 --> 00:21:33,025 俺とお前は身体も 生きる時代も違う。 287 00:21:33,025 --> 00:21:36,862 お前は 母に似てきたな。 あ…。 288 00:21:36,862 --> 00:21:42,200 鬼夜叉。俺は俺の身体と時代の中で 行けるところまで行く。 289 00:21:42,200 --> 00:21:47,039 お前は お前の身体と時代をもって どこへ向かう? 290 00:21:47,039 --> 00:21:51,439 これより先に観阿弥は2人いらぬぞ。 291 00:21:54,146 --> 00:21:57,482 先の道のりは より困難となる。 292 00:21:57,482 --> 00:22:02,487 今のままでは 道などすぐに奪われるだろう。 293 00:22:02,487 --> 00:22:05,424 我々はまだ未完成。 294 00:22:05,424 --> 00:22:09,524 超えるべきものは大きいぞ 鬼夜叉。 295 00:22:15,100 --> 00:22:37,189 ♬〜 296 00:22:37,189 --> 00:22:49,468 ♬〜 297 00:22:49,468 --> 00:22:53,872 ♬〜 298 00:22:53,872 --> 00:23:24,770 ♬〜 299 00:23:24,770 --> 00:23:28,774 ♬〜 300 00:23:28,774 --> 00:23:43,074 ♬〜