1 00:00:01,241 --> 00:00:03,844 (電話の呼び出し音) 2 00:00:03,944 --> 00:00:08,849 (呼び出し音) 3 00:00:10,017 --> 00:00:11,885 (私)応答なし と… 4 00:00:11,985 --> 00:00:15,089 (軍曹)ペダルはありませんね 滑空専門のようです 5 00:00:15,189 --> 00:00:16,290 まあ いいだろう 6 00:00:16,390 --> 00:00:19,426 車輪がなくとも 我々の専門内としよう 7 00:00:19,726 --> 00:00:22,129 (整理軍)ウホ ウホッ (部長)うううう! 8 00:00:24,131 --> 00:00:26,433 (私の声) 私の裏稼業は自転車整理軍の曹長 9 00:00:26,734 --> 00:00:28,402 違法駐輪自転車は売り飛ばし— 10 00:00:28,502 --> 00:00:31,438 ゴージャスな薔薇色(ばらいろ)の キャンパスライフを築く礎となる 11 00:00:31,739 --> 00:00:34,274 うまい酒と食べ物と 寄ってくる女たち 12 00:00:34,374 --> 00:00:37,811 多少 稼業の聞こえは悪いが 悪党ほど栄えるのが世の常だ 13 00:00:37,911 --> 00:00:39,480 黒髪の乙女など より取り見取り 14 00:00:39,780 --> 00:00:41,915 金さえあれば どうにでもなるのだ 15 00:00:43,750 --> 00:00:46,820 (軍曹)曹長“バードマン”の女が こっちへ向かってるようです 16 00:00:46,920 --> 00:00:48,055 (私)なんだ 女か 17 00:00:48,756 --> 00:00:50,157 ん? ウッキー! 18 00:00:50,257 --> 00:00:52,292 (軍曹の慌てる声) (私)おい どうした? 19 00:00:52,526 --> 00:00:54,027 琵琶(びわ)湖まで あと少しだ! 20 00:00:54,128 --> 00:00:55,329 (自転車のブレーキ音) 21 00:00:55,429 --> 00:00:57,131 (明石(あかし)さん)先輩だったんですね 22 00:00:57,231 --> 00:00:59,133 (私)あっ? 明石さん… 23 00:00:59,533 --> 00:01:01,935 (明石さん) あれは私たちが作った飛行機です 24 00:01:02,035 --> 00:01:03,804 (私)えっ? そうなんだ… 25 00:01:05,172 --> 00:01:07,808 北の さる要人に高く売れるんだ 26 00:01:07,908 --> 00:01:11,512 もっと いい飛行機を作れば 高い金で買ってやることも できる 27 00:01:11,812 --> 00:01:13,814 何なら スポンサーになってあげてもいい 28 00:01:19,786 --> 00:01:21,288 (明石さん)先輩はアホです 29 00:01:23,423 --> 00:01:24,458 (私の声)ふん 30 00:01:25,225 --> 00:01:27,127 なあに どうってことはない 31 00:01:27,227 --> 00:01:30,430 所詮 世の中 パワーゲーム 純愛など存在しない 32 00:01:30,531 --> 00:01:32,833 愛など ひとときの夢 幻にすぎん 33 00:01:32,933 --> 00:01:34,835 皆 社会の真実を知れ 34 00:01:34,935 --> 00:01:37,337 金で買えぬものなど この世にないのだ! 35 00:01:38,805 --> 00:01:41,208 しかし 心が痛むのは なぜか 36 00:03:12,433 --> 00:03:15,403 (私の声) 当時 ピカピカの大学1回生だった 私の目の前には 37 00:03:15,503 --> 00:03:18,439 薔薇色のキャンパスライフへの扉が 無数に開かれていた 38 00:03:18,739 --> 00:03:21,142 しかし 私は もはや決死の覚悟であった 39 00:03:21,242 --> 00:03:23,945 数あるチラシの中でも ひときわ異彩を放つ このチラシ 40 00:03:24,045 --> 00:03:25,012 一か八か 41 00:03:31,085 --> 00:03:33,354 (男)いろんな人の裏側を 知ることができて— 42 00:03:33,454 --> 00:03:35,022 面白い経験 できるよ 43 00:03:35,356 --> 00:03:37,525 (私) あのう 秘密機関というのは? 44 00:03:37,825 --> 00:03:39,794 (男)その名のとおりさ 45 00:03:42,063 --> 00:03:43,297 (エレベーターの到着音) 46 00:03:46,334 --> 00:03:48,803 (男)店長 入店希望者です 47 00:03:50,538 --> 00:03:51,873 (相島(あいじま))ああ 48 00:03:53,007 --> 00:03:53,908 (男)どうぞ 49 00:03:55,143 --> 00:03:59,013 〝福猫飯店(ふくねこはんてん)〞の店長 相島だ よろしく 50 00:03:59,113 --> 00:04:00,181 あと これ読んで 51 00:04:03,117 --> 00:04:06,053 (私の声) まさか“秘密機関”と大々的に チラシに書く秘密機関が 52 00:04:06,154 --> 00:04:07,255 あるわけないと思っていたが— 53 00:04:07,355 --> 00:04:10,558 福猫飯店は看板に偽りなく 秘密機関なのであった 54 00:04:10,858 --> 00:04:12,827 下部組織に “図書館警察”“印刷所” 55 00:04:12,927 --> 00:04:14,061 “自転車にこやか整理軍” 56 00:04:14,162 --> 00:04:16,564 その他 有象無象の 非公認サークルをひっくるめて— 57 00:04:16,864 --> 00:04:18,266 福猫飯店といった 58 00:04:18,366 --> 00:04:20,468 つまりは 学校中の裏稼業を 一手に引き受け— 59 00:04:20,568 --> 00:04:22,470 大学を裏で コントロールしている組織 60 00:04:22,570 --> 00:04:24,172 それが福猫飯店 61 00:04:24,272 --> 00:04:25,306 …というわけだ 62 00:04:25,406 --> 00:04:26,340 ぎゃあ! 63 00:04:26,440 --> 00:04:29,443 ちなみに 読んだ以上 我が組織を辞めることは許されない 64 00:04:29,544 --> 00:04:30,912 もし店を辞めれば— 65 00:04:31,012 --> 00:04:34,248 “お勘定”という 社会的抹殺手段が待っている 66 00:04:35,850 --> 00:04:36,884 あっ あっ 67 00:04:37,251 --> 00:04:40,288 (相島) 我々は学生たちの ありとあらゆる 個人情報を網羅している 68 00:04:40,388 --> 00:04:42,190 君がレンタルビデオ店で 何を借りたか— 69 00:04:42,290 --> 00:04:43,424 スーパー コンビニでは 何を買ったか 70 00:04:43,524 --> 00:04:45,092 どんな本を読み 何を送受信したか 71 00:04:45,193 --> 00:04:47,895 子どもの頃は どんな匂いのする 赤ちゃんだったかなど 72 00:04:47,995 --> 00:04:49,597 全ては お見通しであるぞ 73 00:04:52,133 --> 00:04:53,334 ううっ 74 00:04:53,868 --> 00:04:55,837 (私の声)…とはいえ 私は引くつもりは なかった 75 00:04:55,937 --> 00:04:59,040 上等だ この福猫飯店で 上りつめてみせる! 76 00:04:59,140 --> 00:05:01,075 (相島)いい顔だ (私)ハッ! 77 00:05:01,175 --> 00:05:04,512 ひとまず 君には 図書館警察に所属してもらう 78 00:05:06,547 --> 00:05:07,481 あっ 79 00:05:07,582 --> 00:05:08,583 (小津(おづ))よろしく 80 00:05:09,183 --> 00:05:11,953 (私の声)そこには ヒドく 縁起の悪そうな顔をした不気味な男 81 00:05:12,053 --> 00:05:15,456 この男が のちに私の運命を 大きく翻弄(ほんろう)することになろうとは 82 00:05:17,024 --> 00:05:18,526 図書館警察 本来の目的は— 83 00:05:18,626 --> 00:05:21,295 図書館から借りた図書を 返却しない不届き者を追いつめ— 84 00:05:21,395 --> 00:05:23,464 貸し出し図書を 力ずくで回収することであった 85 00:05:24,599 --> 00:05:27,168 しかし 回収の手立てであった 延滞者の情報収集が— 86 00:05:27,268 --> 00:05:29,971 当初の目的を逸脱し 北は大原三千院(おおはらさんぜんいん)から— 87 00:05:30,071 --> 00:05:32,607 南は宇治(うじ)の平等院鳳凰堂(びょうどういんほうおうどう)まで 及んだ暁には— 88 00:05:32,907 --> 00:05:35,509 洛中洛外(らくちゅうらくがい) ほとんどの人物の秘密 個人的情報が— 89 00:05:35,610 --> 00:05:37,178 図書館警察に蓄積され— 90 00:05:37,278 --> 00:05:40,081 今では 政治にまで関与できる 組織になっていた 91 00:05:40,181 --> 00:05:42,383 まさに 情報を制した者が 世界を制す 92 00:05:42,483 --> 00:05:45,953 組織内で出世し 思うがままに 情報を扱える立場になるのだ 93 00:05:46,053 --> 00:05:46,921 フフッ 94 00:05:48,389 --> 00:05:52,093 (私の声) しかし 私は いきなり奇妙な人物の 取り立てに当たってしまった 95 00:05:54,028 --> 00:05:55,896 (私) 樋口清太郎(ひぐちせいたろう) いいかげんにしろ! 96 00:05:56,330 --> 00:05:57,999 ジュール・ヴェルヌの “海底二万海里”を— 97 00:05:58,099 --> 00:06:01,335 1年近く延滞しているぞ 利用者の責務を果たせ! 98 00:06:01,435 --> 00:06:02,436 (ドアの開く音) 99 00:06:07,208 --> 00:06:10,077 樋口さん 期限は とっくに過ぎてるんですよ 100 00:06:10,244 --> 00:06:13,447 (樋口師匠)そうだよねえ でも もうちょっとなんだ 101 00:06:14,015 --> 00:06:16,217 (私)そう言ってから もう4か月になりますよ! 102 00:06:16,617 --> 00:06:17,485 (樋口師匠)そうだっけ? 103 00:06:17,585 --> 00:06:19,453 (ラーメンをすする音) 104 00:06:20,321 --> 00:06:22,056 ちょっと 厠(かわや)へ 105 00:06:22,156 --> 00:06:23,190 (戸の閉まる音) 106 00:06:25,426 --> 00:06:26,294 ふん… 107 00:06:26,994 --> 00:06:27,662 ハッ! 108 00:06:28,696 --> 00:06:30,131 (私の声) そうして たった1冊の本を 109 00:06:30,231 --> 00:06:33,067 1年間 取り立てられなかった私は 図書館警察史上— 110 00:06:33,167 --> 00:06:35,269 空前の落ちこぼれという 勇名をはせた 111 00:06:35,636 --> 00:06:37,204 反対に小津は あらゆる技巧を凝らし— 112 00:06:37,305 --> 00:06:40,708 悪質な延滞者から 次々と 図書を回収し 出世していった 113 00:06:41,275 --> 00:06:43,311 更には 不可思議な人脈を広げ続け— 114 00:06:43,411 --> 00:06:47,114 1回生ながら 相島先輩の 右腕というべき存在に成り上がった 115 00:06:48,549 --> 00:06:50,685 ニヒヒヒヒヒヒ 116 00:06:50,985 --> 00:06:54,388 ちくしょう お前のような人間が なぜ 出世するのだ? 117 00:06:54,488 --> 00:06:57,091 非の打ちどころのない人柄 巧みな話術 118 00:06:57,191 --> 00:06:59,126 明せきな頭脳 可愛(かわい)らしい容貌(ようぼう) 119 00:06:59,226 --> 00:07:01,996 こんこんと あふれて 尽きることのない隣人への愛 120 00:07:02,096 --> 00:07:04,065 人から愛される秘訣(ひけつ)は これです 121 00:07:04,165 --> 00:07:05,433 黙れ ぶち殺すぞ! 122 00:07:06,000 --> 00:07:09,003 人の不幸を楽しんでいるだけの 無意義な暮らしなど要らん 123 00:07:09,103 --> 00:07:10,438 私は出世したいのだ! 124 00:07:10,538 --> 00:07:14,241 不器用な人だなあ もっと楽しんでは いかが? 125 00:07:14,342 --> 00:07:16,077 まっ どんなに あなたが頑張ろうと— 126 00:07:16,177 --> 00:07:18,546 僕は全力で あなたをダメにします 127 00:07:18,646 --> 00:07:20,147 (私)あっ? (小津)私たちは— 128 00:07:20,247 --> 00:07:22,550 どす黒い糸で結ばれている というわけです 129 00:07:24,552 --> 00:07:26,187 (私の声) 樋口氏の姑息(こそく)な逃亡に 130 00:07:26,287 --> 00:07:28,122 小津が裏で 関与していると分かったのは— 131 00:07:28,222 --> 00:07:30,057 随分 あとの話であった 132 00:07:31,325 --> 00:07:33,694 貴様 俺の邪魔をしているのか? 133 00:07:33,995 --> 00:07:36,530 すいません あの人は僕の師匠なんですわ 134 00:07:36,630 --> 00:07:38,599 これで 大目に見てやってください 135 00:07:38,699 --> 00:07:40,201 そんなわけに いくか! 136 00:07:40,568 --> 00:07:42,670 (印刷機の音) 137 00:07:44,305 --> 00:07:45,473 (私の声)2回生の6月 138 00:07:45,573 --> 00:07:48,175 いよいよ 図書回収の才覚なしと 判断された私は— 139 00:07:48,275 --> 00:07:49,744 印刷所へと異動になった 140 00:07:50,044 --> 00:07:52,279 印刷所は たくさんの 優秀な学生たちを従え— 141 00:07:52,380 --> 00:07:54,515 偽造レポートを 量産している組織である 142 00:07:54,615 --> 00:07:57,184 学生たちが困ったときに 急場をしのぐ手立てであり— 143 00:07:57,284 --> 00:08:00,521 私の職務は 上がったレポートを 顧客に受け渡す仕事であった 144 00:08:00,621 --> 00:08:02,189 私は 少しでも出世を早めるべく— 145 00:08:02,289 --> 00:08:04,191 営業によって 顧客を大量に獲得し— 146 00:08:04,291 --> 00:08:06,193 トラックでレポートを配送していた 147 00:08:06,293 --> 00:08:07,428 毎度 148 00:08:07,528 --> 00:08:08,796 (ロケット花火の音) 149 00:08:09,096 --> 00:08:09,797 (どよめき) (私)ああっ? 150 00:08:10,097 --> 00:08:11,399 (小津)ヘヘヘヘッ 151 00:08:11,499 --> 00:08:12,800 (悲鳴) (男)熱(あち)い! 152 00:08:13,100 --> 00:08:14,402 あああああ… 153 00:08:16,103 --> 00:08:18,706 (私の声) この事件で 顧客 200余名が 単位を落としてしまうという 154 00:08:18,806 --> 00:08:20,174 印刷所 始まって以来の— 155 00:08:20,274 --> 00:08:22,576 信用を落とす惨事を 起こしてしまった 156 00:08:23,344 --> 00:08:24,378 小津の知り合いであるため— 157 00:08:24,478 --> 00:08:25,713 あからさまに 態度には出さないが— 158 00:08:25,813 --> 00:08:28,115 だんだん私から 距離を置いていた相島先輩が— 159 00:08:28,215 --> 00:08:29,383 珍しく声をかけてきた 160 00:08:29,483 --> 00:08:31,252 (相島) バイトだ 手伝え 161 00:08:31,352 --> 00:08:33,487 (私の声) 相島先輩の表の顔は 図書委員長と 162 00:08:33,587 --> 00:08:36,757 映画サークル“みそぎ”を主催する 城ヶ崎(じょうがさき)氏の太鼓持ちであった 163 00:08:37,058 --> 00:08:39,393 我々のミッションは ある新入生の情報を探り— 164 00:08:39,493 --> 00:08:41,128 先輩を接近させることであった 165 00:08:41,228 --> 00:08:43,230 (相島と女子たちの笑い声) 166 00:08:43,330 --> 00:08:45,833 ねえ 明石さんは 休みの日 何してんの? 167 00:08:46,133 --> 00:08:48,702 なんで そんなこと 先輩に 言わないと いけないのですか? 168 00:08:48,803 --> 00:08:50,704 ヘヘヘヘヘッ 169 00:08:51,338 --> 00:08:53,574 (相島)早く 探ってこい (私)ああ はい! 170 00:08:58,712 --> 00:09:01,315 ぎょえええ! 171 00:09:02,283 --> 00:09:05,586 が… がががが… 蛾(が)! 172 00:09:09,657 --> 00:09:12,526 5匹 揃(そろ)って モチグマンというのですが… 173 00:09:12,626 --> 00:09:14,128 あれ? 1匹いない 174 00:09:14,428 --> 00:09:17,465 そういえば 転げた拍子に 何か飛んでいったような 175 00:09:17,565 --> 00:09:19,800 あっ いえ 危ないですから 大丈夫です 176 00:09:20,101 --> 00:09:20,768 ああ しかし… 177 00:09:21,469 --> 00:09:25,639 昔から 捜さなくても なぜだか 必ず戻ってきますので 178 00:09:28,609 --> 00:09:31,412 ぬううう… 179 00:09:32,279 --> 00:09:34,415 (私の声) 相島先輩の機嫌を損ねた私は 180 00:09:34,515 --> 00:09:36,650 自転車にこやか整理軍へと 左遷された 181 00:09:36,750 --> 00:09:38,486 自転車にこやか整理軍とは— 182 00:09:38,586 --> 00:09:40,454 違法駐輪自転車を 取り締まる団体であり— 183 00:09:40,554 --> 00:09:42,456 福猫飯店の大きな財源となっている 184 00:09:42,556 --> 00:09:44,425 (軍曹)この へっぴり腰が! (私)わあ! 185 00:09:44,525 --> 00:09:45,759 しっかりしろ! 186 00:09:45,860 --> 00:09:48,863 この組織は 私の才能に見合ってないのだ 187 00:09:49,163 --> 00:09:52,299 いっそ 福猫飯店史上に残るほどの 犯行を相島に示して— 188 00:09:52,399 --> 00:09:53,701 逃亡してやろうと思う 189 00:09:53,801 --> 00:09:55,136 (小津)危ないなあ 190 00:09:55,236 --> 00:09:56,470 こんなふうに なっちゃいますよ 191 00:09:57,805 --> 00:09:59,273 屁(へ)とも思わんくせに 192 00:09:59,373 --> 00:10:02,243 今だって 僕が天才的な 立ち回りを見せて— 193 00:10:02,343 --> 00:10:03,777 かばってあげているんですよ 194 00:10:03,878 --> 00:10:06,347 少しは感謝して いただきたいものです 195 00:10:06,447 --> 00:10:07,681 感謝なんか するものか! 196 00:10:07,781 --> 00:10:11,285 (小津) 確かに 相島先輩は困り者ですが… 197 00:10:12,486 --> 00:10:14,288 これ 気になりますか? 198 00:10:14,388 --> 00:10:17,158 いや… ちなみに それは どこで? 199 00:10:17,258 --> 00:10:21,162 図書館警察の情報網を使って 捜させたんですよ 200 00:10:21,262 --> 00:10:23,497 明石さんが なくしたって 言うもんだから 201 00:10:23,597 --> 00:10:25,266 足取りを追うのに苦労しました 202 00:10:25,366 --> 00:10:28,736 まるで 誰かに拾われるのを求めて さまよってたみたいに 203 00:10:29,537 --> 00:10:31,405 (バイブ音) 204 00:10:31,505 --> 00:10:32,506 (小津)おっと 失礼 205 00:10:32,606 --> 00:10:35,309 恋に遊びに大忙しですわ 206 00:10:36,577 --> 00:10:38,412 もしもし? はい はい 207 00:10:38,512 --> 00:10:42,249 ちょ… ちょっと そんなこと 急に言われても 208 00:10:45,186 --> 00:10:47,488 これが ターゲットのダッチワイフだ 209 00:10:47,588 --> 00:10:50,624 城ヶ崎が香織(かおり)と呼んでいるが これを強奪する! 210 00:10:50,724 --> 00:10:52,793 (私の声)例の明石さんから 尊敬を得るために 211 00:10:52,893 --> 00:10:55,896 相島先輩は城ヶ崎氏を 陥れることに決めたのだ 212 00:10:56,197 --> 00:10:58,532 世の中に ダッチワイフと呼ばれる 切ないものが あることは— 213 00:10:58,632 --> 00:11:01,202 多くの人が知っていよう 私だって知っていた 214 00:11:01,302 --> 00:11:03,571 しかし この香織さんの 気品ある表情は どうであろう? 215 00:11:03,671 --> 00:11:06,440 決して背徳的な生活に うつつを抜かす顔ではない 216 00:11:06,540 --> 00:11:08,208 丁寧に なでつけられた髪も— 217 00:11:08,309 --> 00:11:10,277 きちんと整えられた 上品な衣服も— 218 00:11:10,377 --> 00:11:12,446 城ヶ崎氏の愛の深さを示している 219 00:11:12,546 --> 00:11:14,582 この2人が作り上げた 繊細 微妙な世界を— 220 00:11:14,682 --> 00:11:16,717 ぶち壊すことは 人として許されるのか? 221 00:11:16,817 --> 00:11:18,452 いや まさに外道の極み 222 00:11:18,552 --> 00:11:21,822 香織さんを誘拐し 城ヶ崎氏を 脅迫するなど 言語道断なり 223 00:11:21,922 --> 00:11:24,558 これは侵してはいけない 高尚な純愛である 224 00:11:24,658 --> 00:11:26,527 うえええっ 気色わりい 225 00:11:26,627 --> 00:11:29,597 生きていない人形をめでるなど 理解できんな 226 00:11:29,697 --> 00:11:32,499 アハハハ 口紅まで付けて 227 00:11:32,600 --> 00:11:33,500 (私)やめろ! (相島)わあ! 228 00:11:33,601 --> 00:11:34,835 (うめき声) 229 00:11:34,935 --> 00:11:36,537 自分の恋路のために— 230 00:11:36,637 --> 00:11:38,939 人の純愛を踏みにじるなど 言語道断! 231 00:11:39,239 --> 00:11:42,576 これは公私混同されたミッションだ 彼女に触れることは許さん! 232 00:11:45,846 --> 00:11:49,683 (私の声) もちろん そんなことは言えず 私は戦略的撤退の道を選んだ 233 00:11:49,783 --> 00:11:50,651 (私)うっ… (相島)んっ? 234 00:11:51,418 --> 00:11:54,388 (私) こんなアホなこと するもんかー! 235 00:11:56,824 --> 00:11:58,025 (私の声) とうとう やってしまった 236 00:11:58,325 --> 00:12:02,496 今度こそ 私は相島の力によって 社会的に抹殺されてしまうだろう 237 00:12:02,596 --> 00:12:06,266 (占い婆(ばば)) なあに 心配は要りません 万事 うまくいきますよ 238 00:12:06,367 --> 00:12:07,868 (占い婆) とにかく 好機は いつでも— 239 00:12:07,968 --> 00:12:10,270 あなたの目の前に ぶら下がってございます 240 00:12:10,371 --> 00:12:12,039 それを捕まえてごらんなさい 241 00:12:12,339 --> 00:12:13,674 はい 9千円 242 00:12:14,875 --> 00:12:16,343 大台に近い! 243 00:12:17,645 --> 00:12:20,280 (私の声)私は そのまま 北白川(きたしらかわ)の漫画喫茶へ逃げ込み 244 00:12:20,381 --> 00:12:23,283 生まれたての子鹿のように プルプルと恐怖に震えていた 245 00:12:24,318 --> 00:12:25,519 しかし 追っ手が来ることはなく— 246 00:12:25,619 --> 00:12:29,356 私が相島先輩の失脚を知ったのは 逃亡から1週間後であった 247 00:12:30,290 --> 00:12:31,058 あっ? 248 00:12:42,436 --> 00:12:44,371 (小津)あら お久しぶり 249 00:12:44,471 --> 00:12:45,439 ああ… 250 00:12:46,340 --> 00:12:49,476 僕 福猫飯店の店長に なっちゃったんですよ 251 00:12:49,743 --> 00:12:51,512 (私)お前が仕込んだのか? 252 00:12:51,812 --> 00:12:53,747 ヤだなあ 人聞きの悪い 253 00:12:53,847 --> 00:12:56,517 相島先輩が 組織を私物化してるから— 254 00:12:56,617 --> 00:12:59,953 福猫飯店の幹部の方々に お声をおかけしたんです 255 00:13:00,954 --> 00:13:02,656 (私の声) 私は空恐ろしくなった 256 00:13:02,756 --> 00:13:05,025 恐るべき八面六臂(はちめんろっぴ)ぶりという他ない 257 00:13:05,325 --> 00:13:08,028 (小津)どうです 手伝ってくれませんか? 258 00:13:08,662 --> 00:13:12,533 いいかげん ええ目を見ても ええのんと ちゃいますの? 259 00:13:14,702 --> 00:13:15,569 (軍曹)曹長! 260 00:13:16,070 --> 00:13:17,504 (私)んん… 261 00:13:18,672 --> 00:13:19,540 (私の声)そうして 私は 262 00:13:19,640 --> 00:13:22,476 自転車にこやか整理軍の 曹長に就任した 263 00:13:22,576 --> 00:13:24,445 最初は その活動に 懐疑的であったが— 264 00:13:24,545 --> 00:13:26,847 次第に のめり込み 不毛に過ぎた2年間の遅れを— 265 00:13:26,947 --> 00:13:28,882 取り戻すべく 熱心に指揮を振るった 266 00:13:29,983 --> 00:13:32,886 組織が自分の思いどおりに 動くのは 実に気分がいい 267 00:13:32,986 --> 00:13:35,622 これが 望んでいた薔薇色の キャンパスライフかもしれない 268 00:13:35,723 --> 00:13:37,024 黒髪の乙女も選び放題 269 00:13:37,124 --> 00:13:38,726 まさに理想的ではないか 270 00:13:38,826 --> 00:13:40,894 ここまでの道のりは 楽ではなかった 271 00:13:40,994 --> 00:13:42,496 しかし とうとう手に入れた 272 00:13:42,596 --> 00:13:44,865 手にしてみれば あっけないが 世の中 そういうものだ 273 00:13:45,466 --> 00:13:48,936 昔は純愛というものに固執して 人生を見まごうところだった 274 00:13:49,036 --> 00:13:50,571 しかし ようやく分かった 275 00:13:50,671 --> 00:13:53,006 世の中の全ては 金で動いているのだ! 276 00:13:53,107 --> 00:13:55,008 (軍曹) 曹長 いい話があるんですが 277 00:13:55,109 --> 00:13:55,976 (私)うん? 278 00:13:56,710 --> 00:13:58,145 (軍曹のささやき声) 279 00:13:58,445 --> 00:14:00,814 これが よい収入になるかと 280 00:14:01,882 --> 00:14:02,750 あるのか? 281 00:14:02,850 --> 00:14:05,152 へい バードマンクラブに いいのが 282 00:14:11,024 --> 00:14:13,827 (私の声) …で ご覧のとおりの結果であった 283 00:14:13,927 --> 00:14:15,729 全て手に入れたはずの 私であったが— 284 00:14:15,829 --> 00:14:18,766 どこで何を 間違えてしまったというのか 285 00:14:23,504 --> 00:14:24,738 (ノックの音) 286 00:14:26,940 --> 00:14:29,443 貴君 終わったよ 終わった 287 00:14:29,710 --> 00:14:31,412 (私)何が終わったんです? 288 00:14:31,745 --> 00:14:34,948 これだよ 2年以上にわたる旅が 今朝 終わった 289 00:14:35,149 --> 00:14:38,986 あんまり感激したので 貴君に伝えようと思ったんだ 290 00:14:39,920 --> 00:14:41,488 (私)今頃 そんな… 291 00:14:41,588 --> 00:14:43,657 長いこと 悪かったねえ 292 00:14:43,757 --> 00:14:45,959 でも いい時間を過ごさせてもらった 293 00:14:46,760 --> 00:14:48,695 (おなかの鳴る音) 294 00:14:48,796 --> 00:14:50,164 (樋口師匠)腹が減っているんだ 295 00:14:50,464 --> 00:14:52,666 ラーメンでも食べに行かないか? 296 00:14:52,766 --> 00:14:53,767 フッ 297 00:15:02,743 --> 00:15:05,045 (樋口師匠)そういえば 先日 大学へ出かけたら— 298 00:15:05,145 --> 00:15:07,047 昔の友人に会ってね 299 00:15:07,147 --> 00:15:09,149 向こうは えらく気まずそうな顔をして— 300 00:15:09,450 --> 00:15:11,718 そそくさと どこかへ行ってしまった 301 00:15:12,786 --> 00:15:17,057 (私)師匠と同回生だったら その人は大学院の博士課程でしょう 302 00:15:17,157 --> 00:15:18,559 そりゃ 気まずい思いにもなります 303 00:15:19,092 --> 00:15:23,597 (樋口師匠) なぜ 向こうが恥ずかしがる? 留年するのは向こうじゃあるまいし 304 00:15:24,898 --> 00:15:28,202 (私)そこが 師匠の師匠たる ゆえんですかね 305 00:15:32,573 --> 00:15:36,510 前々から考えては いたんだが 決心が固まった 306 00:15:36,610 --> 00:15:39,913 そろそろ 私も 世界に乗り出す日が来たようだ 307 00:15:40,013 --> 00:15:41,882 世界を回ってくるよ 308 00:15:42,716 --> 00:15:44,218 楽しそうですね 309 00:15:44,618 --> 00:15:47,654 私は なんだか 人生を誤った気がします 310 00:15:47,754 --> 00:15:50,724 貴君は まだ 人生が始まってもいない 311 00:15:51,124 --> 00:15:54,027 ここは まだ ご母堂の おなかの延長だぞ 312 00:15:54,127 --> 00:15:55,028 うん? 313 00:15:56,797 --> 00:15:58,565 悪くは ないんです 314 00:15:58,665 --> 00:16:01,635 人も うらやむような 人生の成功を手に入れた 315 00:16:01,735 --> 00:16:04,638 でも なんか物足りない こんなものだったのかと… 316 00:16:05,172 --> 00:16:08,041 あるいは もっと有意義な人生が あったかもしれない 317 00:16:08,675 --> 00:16:11,512 もっと薔薇色で もっと光輝いていて— 318 00:16:11,612 --> 00:16:15,816 一点の曇りもない学生生活を 思うさま満喫していたかも 319 00:16:15,916 --> 00:16:18,151 (樋口師匠)どうしたんだね? 寝ぼけているのか? 320 00:16:18,652 --> 00:16:19,853 ああ? あっ 321 00:16:19,953 --> 00:16:23,757 私は自分の可能性を信じて ここまで やってきました 322 00:16:23,857 --> 00:16:26,894 どうにか うまくいったけど なぜだか心が寒い 323 00:16:28,061 --> 00:16:31,565 私が選択すべきは もっと別の可能性だったかも 324 00:16:31,865 --> 00:16:35,102 1回生の頃に 選択を誤ったのかもしれない 325 00:16:35,202 --> 00:16:39,206 可能性という言葉を 無限定に使ってはいけない 326 00:16:39,306 --> 00:16:41,141 君はバニーガールになれるか? 327 00:16:41,241 --> 00:16:44,244 パイロットになれるか? アイドル歌手に? 328 00:16:44,545 --> 00:16:47,614 必殺技で世界を救う ヒーローになれるか? 329 00:16:47,981 --> 00:16:49,149 (私)なれません 330 00:16:49,616 --> 00:16:52,286 なれるかもしれん しかし ありもしないものに— 331 00:16:52,586 --> 00:16:54,555 目を奪われては どうにもならん 332 00:16:54,655 --> 00:16:57,024 自分の 他の可能性という 当てにならないものに— 333 00:16:57,124 --> 00:16:59,993 望みを託すことが諸悪の根源だ 334 00:17:00,627 --> 00:17:04,064 今 ここにいる君以外 ほかの何者にも なれない自分を— 335 00:17:04,164 --> 00:17:05,999 認めなくては いけない 336 00:17:06,099 --> 00:17:09,269 君が有意義な学生生活を 満喫できるわけがない 337 00:17:09,570 --> 00:17:12,606 私が保証するから どっしり構えておれ 338 00:17:16,677 --> 00:17:19,680 (樋口師匠) 薔薇色のキャンパスライフなど 存在せんのだ 339 00:17:19,780 --> 00:17:22,316 なぜなら 世の中は薔薇色ではない 340 00:17:22,616 --> 00:17:25,218 実に雑多な色をしているからねえ 341 00:17:26,153 --> 00:17:29,256 (羽貫(はぬき)さん) おっ いい所で出会った 1杯 つきあえ 342 00:17:29,356 --> 00:17:30,223 ん? 343 00:17:33,093 --> 00:17:34,995 (羽貫さん) そりゃあ あんた 悪いわ 344 00:17:35,095 --> 00:17:38,732 相島から逃げ出したとこまでは 格好よかったけどねえ 345 00:17:39,333 --> 00:17:41,702 私は小津に してやられたんです 346 00:17:41,802 --> 00:17:42,869 小津と出会ってなければ— 347 00:17:42,970 --> 00:17:45,305 この2年間を 棒に振ることも なかった 348 00:17:45,772 --> 00:17:48,241 あいつは わがままで傲慢(ごうまん) 怠惰で あまのじゃく 349 00:17:48,342 --> 00:17:51,244 他人の不幸をおかずに 飯が3杯 食えて そのうえ… 350 00:17:51,345 --> 00:17:53,246 (羽貫さん)でも 純粋なのよね 351 00:17:53,347 --> 00:17:54,247 あっ? 352 00:17:54,348 --> 00:17:56,950 小津君 あれで彼女思いだからさ 353 00:17:57,217 --> 00:17:58,251 かっ 彼女!? 354 00:17:58,819 --> 00:18:00,287 名前 何てったっけ? 355 00:18:00,387 --> 00:18:02,389 小津に彼女など あり得ない 356 00:18:02,689 --> 00:18:05,926 1回生の頃 テニスサークルで 知り合ったんだって 357 00:18:06,159 --> 00:18:07,728 五山(ござん)を一緒に見にいったけど— 358 00:18:07,828 --> 00:18:11,131 人混みに もまれて見られないで 彼女が泣いちゃって 359 00:18:11,365 --> 00:18:13,800 今年は五山を 同時に見るつもりらしいよ 360 00:18:13,900 --> 00:18:14,868 五山を同時に— 361 00:18:14,968 --> 00:18:16,370 見られる場所など ありません 362 00:18:16,670 --> 00:18:18,138 空でも飛ばないかぎり 363 00:18:18,238 --> 00:18:19,840 (相島) はい そこまで! 364 00:18:20,340 --> 00:18:21,241 うわ! 365 00:18:22,142 --> 00:18:24,277 な… 何よ あんたたち! 366 00:18:24,378 --> 00:18:25,979 (吐く音) 367 00:18:28,181 --> 00:18:31,385 (相島) 小津は福猫飯店の構成員を 私的に動かしていた 368 00:18:31,685 --> 00:18:33,353 ヤツこそ とんだ公私混同だ 369 00:18:33,654 --> 00:18:37,057 “ほんわか”の団体本部に忍び込み そこの飛行船を盗むつもりだ 370 00:18:37,157 --> 00:18:38,025 (私)うん? 371 00:18:42,362 --> 00:18:45,899 ひた隠しにしていたようだが 女がいるのも分かった 372 00:18:45,999 --> 00:18:50,704 例の団体 ほんわかの娘だ 飛行船でデートを計画している 373 00:18:51,071 --> 00:18:52,239 (私)んん!? 374 00:18:54,141 --> 00:18:56,677 (私の声)それは まさしく 青天の霹靂(へきれき)であった 375 00:18:57,044 --> 00:18:59,212 私は 小津のことを 見誤っていたのかもしれない 376 00:19:04,718 --> 00:19:05,919 小津に彼女が? 377 00:19:06,019 --> 00:19:08,789 そこまで 上りつめたのも そんな純情な理由のためか? 378 00:19:08,889 --> 00:19:11,358 無意義な暮らしぶりを 望んでいたのでは なかったか? 379 00:19:13,026 --> 00:19:14,161 (相島)飛ぶぞ! 380 00:19:14,261 --> 00:19:17,931 隣山の施設にいる その娘を ここから飛んで 拾うつもりだ! 381 00:19:20,100 --> 00:19:22,269 フフフッ そうは させないよ 382 00:19:22,369 --> 00:19:24,871 君だけ いい思いさせて なるものか 383 00:19:26,740 --> 00:19:27,741 撃ち落とせ! 384 00:19:34,047 --> 00:19:35,916 (整理軍たち)ウホッ 385 00:19:40,754 --> 00:19:42,856 あんたも しつこい男ですね 386 00:19:42,956 --> 00:19:44,858 お前に その言葉は返したい! 387 00:19:44,958 --> 00:19:47,060 素直じゃないなあ 388 00:19:50,163 --> 00:19:51,064 (私)んんー! 389 00:19:52,332 --> 00:19:53,734 (相島)乗り移れ! 390 00:19:54,167 --> 00:19:55,869 うににに… 391 00:19:57,370 --> 00:19:58,472 (整理軍たち)ウホウホウホ 392 00:20:00,774 --> 00:20:02,008 (相島)コラ! 俺はいい 393 00:20:02,109 --> 00:20:02,976 (相島)あっ ああ! (整理軍)ウホ~ 394 00:20:03,076 --> 00:20:05,212 あああ~! あっ あ… 395 00:20:07,080 --> 00:20:08,381 あああ~! 396 00:20:13,153 --> 00:20:14,387 もう少し 397 00:20:15,122 --> 00:20:19,493 (力む声) 398 00:20:20,127 --> 00:20:20,994 (小津)あああ? 399 00:20:31,805 --> 00:20:34,307 (軍曹)落ちた 包囲しろ! (整理軍)ウホッ 400 00:20:35,342 --> 00:20:37,878 (私の声) これまで私は 無意義な 暮らしぶりをしてきたが 401 00:20:37,978 --> 00:20:39,913 それは 小津も同じだと思っていた 402 00:20:40,013 --> 00:20:42,983 しかし 小津は無意義な学生生活を 力いっぱいエンジョイし— 403 00:20:43,083 --> 00:20:45,418 彼女がいて アホ並みの純愛度である 404 00:20:45,519 --> 00:20:47,854 不毛なのは私だけであったのか 405 00:20:53,493 --> 00:20:56,296 生後 間もない頃の私は 純粋無垢(むく)の権化であり— 406 00:20:56,396 --> 00:20:59,266 光源氏(ひかるげんじ)の赤子時代も かくやと思われる愛らしさ 407 00:20:59,366 --> 00:21:01,001 邪念のかけらもない その笑顔は— 408 00:21:01,101 --> 00:21:04,104 郷里の山野を 愛の光で満たしたと いわれる 409 00:21:04,204 --> 00:21:05,806 それが 今は どうであろう? 410 00:21:05,906 --> 00:21:08,875 これが現時点における お前の総決算だというのか? 411 00:21:08,975 --> 00:21:10,377 責任者はどこか!? 412 00:21:10,477 --> 00:21:13,313 どう あがいても こうなるなら 何もしないのが一番だ 413 00:21:13,413 --> 00:21:16,249 四畳半から 一歩たりとも出ぬがよかろう