1 00:00:02,002 --> 00:00:04,004 (私)<高野川と賀茂川に挟まれた 三角地帯に位置する下鴨神社> 2 00:00:04,004 --> 00:00:06,006 <京都に 由緒正しき神社は 山ほど あれど➡ 3 00:00:06,006 --> 00:00:09,009 中でも下鴨神社は 平安以前から 存在する屈指の大神社である> 4 00:00:09,009 --> 00:00:11,345 <縁結びをはじめ 様々な御神徳を得るべく➡ 5 00:00:11,345 --> 00:00:14,014 年間 多くの参拝客が訪れるが その かいわいに➡ 6 00:00:14,014 --> 00:00:16,016 夜な夜な ある屋台ラーメンが 出没することは➡ 7 00:00:16,016 --> 00:00:18,018 あまり 知られていない> 8 00:00:18,018 --> 00:00:20,354 <名を猫ラーメンといい 猫で だしを取っているという➡ 9 00:00:20,354 --> 00:00:23,023 噂のラーメンであるが 真偽の程は 定かでない> 10 00:00:23,023 --> 00:00:25,025 <しかし その味は無類である> 11 00:00:28,028 --> 00:00:30,030 ⚟(ラーメンを すする音) 12 00:00:30,030 --> 00:00:33,033 (私)あっ…。 13 00:00:46,046 --> 00:00:49,049 (樋口) 貴君 下鴨幽水荘の人だろう。 14 00:00:49,049 --> 00:00:52,052 <いかにも わたしは 下鴨幽水荘の住人である> 15 00:00:52,052 --> 00:00:54,054 そうですが。 16 00:00:54,054 --> 00:00:56,056 (樋口)わたしも 住んでいる。 17 00:00:56,056 --> 00:00:58,725 <下鴨幽水荘とは えいざん出町柳裏にある下宿で➡ 18 00:00:58,725 --> 00:01:00,994 聞いたところによると 幕末の混乱期に焼失して➡ 19 00:01:00,994 --> 00:01:02,996 再建以後 そのままであるという> 20 00:01:02,996 --> 00:01:04,998 <窓から灯りが漏れていなければ 廃虚同然> 21 00:01:04,998 --> 00:01:07,000 <入学したばかりのころ 大学生協の紹介で➡ 22 00:01:07,000 --> 00:01:09,002 ここを訪れたとき 九龍城に 迷い込んだのかもと➡ 23 00:01:09,002 --> 00:01:11,004 思ったのも 無理からぬ話だ> 24 00:01:11,004 --> 00:01:16,009 <そうだ この奇妙な怪人を幾度か 見掛けていたことを思い出した> 25 00:01:16,009 --> 00:01:19,012 わたしは 下鴨神社の神だ。 26 00:01:19,012 --> 00:01:22,015 正確に言うと 賀茂建角身神だ。 27 00:01:22,015 --> 00:01:24,017 (噴き出す音) か… かもたけ。 28 00:01:24,017 --> 00:01:27,020 「かもたけつのみのかも」だ。 2度も言わすな。 29 00:01:27,020 --> 00:01:29,022 いや 1回目と違って…。 知らんのか? 30 00:01:29,022 --> 00:01:31,024 わたしは 君のことなら 何でも知っている。 31 00:01:31,024 --> 00:01:33,026 ご両親の名前や しょっちゅう ゲロ吐いて➡ 32 00:01:33,026 --> 00:01:35,028 いつも 酸っぱい においのする 赤ん坊だったこと。 33 00:01:35,028 --> 00:01:38,031 小学校時代の あだ名。 中学校時代の学園祭。 34 00:01:38,031 --> 00:01:41,034 高校時代の淡い初恋。 初めての アダルトビデオ。 35 00:01:41,034 --> 00:01:44,037 浪人時代。 大学に入ってからの 怠惰で無為な日々。 36 00:01:44,037 --> 00:01:46,039 嘘だ。 夢見たサークルで 恋に破れ➡ 37 00:01:46,039 --> 00:01:49,042 人と打ち解けられず やがて 人の恋路を邪魔するようになった。 38 00:01:49,042 --> 00:01:52,045 何故 そんな いじける一方の 2年間を過ごしてしまったのか…。 39 00:01:52,045 --> 00:01:53,714 それは 小津が…。 40 00:01:53,714 --> 00:01:55,382 (樋口)貴君が 小津の薄汚れた魂に➡ 41 00:01:55,382 --> 00:01:58,051 影響されたことは 認めよう。 しかし それだけではないだろう? 42 00:01:58,051 --> 00:01:59,987 <わたしの脳裏を 来し方2年の むにゃむにゃが➡ 43 00:01:59,987 --> 00:02:01,989 走馬灯のように流れた。 よりによって➡ 44 00:02:01,989 --> 00:02:03,991 神聖なる下鴨神社の森で とげだらけの思い出に➡ 45 00:02:03,991 --> 00:02:06,994 繊細なハートを わしづかみにされかけ わたしは> 46 00:02:06,994 --> 00:02:09,997 <と 叫びたくなったが 紳士らしく耐えた> 47 00:02:09,997 --> 00:02:14,001 お… 大きな お世話だ。 あんたには 何も関係がない。 48 00:02:16,003 --> 00:02:19,006 もうじき神無月だ。 また出雲へと 行かなくてはならない。 49 00:02:19,006 --> 00:02:23,010 それがわれわれの仕事だが 手間も かかるし 電車代もバカにならぬ。 50 00:02:23,010 --> 00:02:25,012 このご時世 それぞれ 持ち寄った案件を➡ 51 00:02:25,012 --> 00:02:28,015 そのまま 審査済みの木箱へと 放り込んでいくばかりだ。 52 00:02:28,015 --> 00:02:30,017 それでも 根がまじめな わたしは ついつい深入りし➡ 53 00:02:30,017 --> 00:02:32,019 一人一人に ふさわしい出会いについて➡ 54 00:02:32,019 --> 00:02:36,023 じっくり考え 頭をかきむしる。 まるで 結婚相談所だ。 55 00:02:36,023 --> 00:02:39,026 嘆かわしい。 そう思わないか? 君。 56 00:02:39,026 --> 00:02:41,028 話が 全然見えません。 57 00:02:41,028 --> 00:02:43,363 (樋口)秋になれば われわれは 出雲に集まって➡ 58 00:02:43,363 --> 00:02:45,065 男女の縁を決める。 59 00:02:47,034 --> 00:02:50,037 (樋口)ここに 君の知っている 明石さんの名前がある。 60 00:02:50,037 --> 00:02:53,040 そして こちらに 君と小津の名前 分かるかい? 61 00:02:53,040 --> 00:02:55,042 どういうことですか? 62 00:02:55,042 --> 00:02:57,044 (樋口)思いのほか アホだな。 63 00:02:57,044 --> 00:02:59,980 わたしは 縁結びの神として 君の知っている女性➡ 64 00:02:59,980 --> 00:03:03,984 明石さんとの縁を 誰かと結ぼうとしている。 65 00:03:03,984 --> 00:03:06,987 要するに 貴君か小津君かの どちらかだ。 66 00:03:08,989 --> 00:03:10,991 (樋口)希望があれば わたしの部屋へ来なさい。 67 00:03:10,991 --> 00:03:12,993 下鴨幽水荘の210号室だ。 68 00:03:12,993 --> 00:03:14,995 <この怪人は 明石さんを➡ 69 00:03:14,995 --> 00:03:18,999 わたしか 小津のどちらかと 結び付けると言う> 70 00:03:18,999 --> 00:03:29,009 ♬~ 71 00:04:55,028 --> 00:04:57,030 <高校のころは 特に クラブ活動もせず➡ 72 00:04:57,030 --> 00:04:59,966 同じような非活動的な男たちと くすぶっているばかりだった> 73 00:04:59,966 --> 00:05:01,968 <しかし わたしは ぴかぴかの大学1回生> 74 00:05:01,968 --> 00:05:04,971 <幻の至宝といわれる 「ばら色のキャンパスライフ」への扉が➡ 75 00:05:04,971 --> 00:05:06,973 今ここに 無数に開かれているのを 目の当たりにし➡ 76 00:05:06,973 --> 00:05:08,975 興奮半ば もうろうとしていた> 77 00:05:08,975 --> 00:05:11,978 <そして わたしが選びとったのは…> 78 00:05:13,980 --> 00:05:16,983 <黒髪の乙女たちと さわやかに汗を流しながら➡ 79 00:05:16,983 --> 00:05:18,652 恋のラリーを打ち合うのだ!> 80 00:05:18,652 --> 00:05:21,988 <そう考えていた わたしは 手の施しようのない アホだった> 81 00:05:21,988 --> 00:05:23,990 <1回生の夏> 82 00:05:23,990 --> 00:05:25,992 <まだ それなりに ばら色であった わたしの脳みそを➡ 83 00:05:25,992 --> 00:05:28,995 現実という 鋭い やいばが 一閃した> 84 00:05:28,995 --> 00:05:31,998 <友達100人できるのも悪くないと 高をくくっていたが➡ 85 00:05:31,998 --> 00:05:33,667 人と さわやかに交流することが➡ 86 00:05:33,667 --> 00:05:35,335 いかに難しいかを 思い知らされた> 87 00:05:35,335 --> 00:05:37,337 <ラリーどころか まともに 打ち返すことも かなわず➡ 88 00:05:37,337 --> 00:05:39,005 打ったボールは 返ってこない> 89 00:05:39,005 --> 00:05:40,674 <柔軟な社交性を 身に付けようにも➡ 90 00:05:40,674 --> 00:05:43,343 そもそも 会話の中に入れない。 会話に加わるための社交性を➡ 91 00:05:43,343 --> 00:05:46,012 どこか よそで身に付けてくる 必要があったと気付いたときには➡ 92 00:05:46,012 --> 00:05:50,016 すでに手遅れであり わたしは サークルで居場所を失っていた> 93 00:05:50,016 --> 00:05:52,018 <そのとき わたしの傍らに➡ 94 00:05:52,018 --> 00:05:55,021 ひどく縁起の悪そうな顔をした 不気味な男が立っていた> 95 00:05:55,021 --> 00:05:58,024 これは 繊細な わたしだけに 見える 地獄からの使者か? 96 00:05:58,024 --> 00:05:59,960 (小津)あなた ひどいこと おっしゃる。 97 00:05:59,960 --> 00:06:02,963 ご安心ください。 僕は あなたの同志ですよ。 98 00:06:02,963 --> 00:06:04,965 <これが小津との ファーストコンタクトであり➡ 99 00:06:04,965 --> 00:06:06,967 ワーストコンタクトでもあった> 100 00:06:11,972 --> 00:06:15,976 (小津)それにしても これは 見事に 明暗を分けましたねぇ。 101 00:06:15,976 --> 00:06:17,978 いっそ 僕も 向こうに 交ざっちゃおうかな。 102 00:06:17,978 --> 00:06:20,981 <下鴨神社を下った 高野川 賀茂川の合流地点は➡ 103 00:06:20,981 --> 00:06:22,983 「鴨川デルタ」と呼ばれ 春から夏にかけての➡ 104 00:06:22,983 --> 00:06:24,985 コンパ会場として 広く利用されていた> 105 00:06:24,985 --> 00:06:26,987 <小津は わたしと同学年である> 106 00:06:26,987 --> 00:06:28,989 <夜道で会えば 10人中8人は 妖怪と間違え➡ 107 00:06:28,989 --> 00:06:30,991 2人は 妖怪と納得する> 108 00:06:30,991 --> 00:06:32,659 <他人の不幸を おかずにして 飯が食える> 109 00:06:32,659 --> 00:06:34,327 <およそ 褒めるべきところが 一つもない男だ> 110 00:06:34,327 --> 00:06:36,329 <もし 彼と出会わなければ きっと わたしの魂は➡ 111 00:06:36,329 --> 00:06:37,998 もっと清らかだったであろう> 112 00:06:37,998 --> 00:06:39,100 おい 裏切るのか? 冗談ですよ。 113 00:06:39,100 --> 00:06:42,002 うっ… くっつくな。 114 00:06:42,002 --> 00:06:45,005 だって 夜風が冷たいんだもの。 この 寂しがり屋さんが! 115 00:06:45,005 --> 00:06:47,007 きゃあ。 116 00:06:47,007 --> 00:06:51,011 くそ… なぜ わたしの隣が 黒髪の乙女じゃなく お前なんだ! 117 00:06:51,011 --> 00:06:53,013 (小津)おや 明石さんも 来てますねえ。 118 00:06:53,013 --> 00:06:55,015 うん? (小津)ほら あそこ。 119 00:06:55,015 --> 00:06:57,017 貸せ。 120 00:07:03,957 --> 00:07:05,959 (小津)彼女 工学部だから➡ 121 00:07:05,959 --> 00:07:08,962 バードマンの設計 やってるんじゃないかな。 122 00:07:08,962 --> 00:07:10,964 おい 今日は やめにしないか? 123 00:07:10,964 --> 00:07:12,966 明石さんを巻き添えにするのは…。 何を言ってるんです。 124 00:07:12,966 --> 00:07:15,302 「黒いキューピッド」としての 誇りは どうしました! 125 00:07:15,302 --> 00:07:16,970 もちろん 誇りはあるが➡ 126 00:07:16,970 --> 00:07:18,972 世間の人から見れば これは ただの…。 127 00:07:18,972 --> 00:07:21,975 世間の目を気にして 信念を 折り曲げるんですか? 128 00:07:21,975 --> 00:07:24,978 僕が 身も心も捧げたのは そんな人じゃありませんね。 129 00:07:24,978 --> 00:07:26,980 孤独と偏見に 耐えてきたからこそ➡ 130 00:07:26,980 --> 00:07:28,982 今のあなたが あるんじゃないですか。 131 00:07:28,982 --> 00:07:30,984 彼らは 現実を見失っているんです! 132 00:07:30,984 --> 00:07:33,987 あなたが 軽佻浮薄な夢に 浮かれる者たちに➡ 133 00:07:33,987 --> 00:07:36,990 鉄ついを下さねば! さあ いざ! 134 00:07:36,990 --> 00:07:38,992 やあやあ われこそは 恋の邪魔者! 135 00:07:38,992 --> 00:07:42,996 浮かれた諸君に向けて これより 天誅を下す! 136 00:07:46,100 --> 00:07:51,004 あ… ほ… そうとも われはアホなり! 137 00:07:51,004 --> 00:07:53,306 君たち くれぐれも 目には 注意するように! 138 00:07:55,008 --> 00:07:58,011 (花火の音) 139 00:07:58,011 --> 00:07:59,946 (悲鳴) 140 00:07:59,946 --> 00:08:01,948 <打ち上げ花火というものは➡ 141 00:08:01,948 --> 00:08:03,616 夜空に 打ち上げるべきものである> 142 00:08:03,616 --> 00:08:05,285 <決して 手に持ったり 人に向けたり 川向こうで➡ 143 00:08:05,285 --> 00:08:06,953 和気あいあいと コンパをしている人たちを➡ 144 00:08:06,953 --> 00:08:09,956 爆撃するのに 使ってはいけない> 145 00:08:09,956 --> 00:08:11,958 (男性)ひるむな 反撃しろー。 146 00:08:11,958 --> 00:08:13,960 (小津)ヒヒヒヒッ。 あれ? 147 00:08:13,960 --> 00:08:16,963 (男性)この 狼藉者めがーっ! (小津)川 浅っ! 148 00:08:16,963 --> 00:08:18,965 (男性)手打ちにしてくれる! おい 小津! 149 00:08:18,965 --> 00:08:21,968 まだ火が! うおーい! 150 00:08:21,968 --> 00:08:23,970 あぁっ! 151 00:08:25,972 --> 00:08:28,975 <小津と知り合ってからのわたしは 安井金比羅宮もかくやと➡ 152 00:08:28,975 --> 00:08:32,979 サークル内に張り巡らされた赤い糸を 切って 切って 切りまくった> 153 00:08:32,979 --> 00:08:34,981 <こうした 工作活動にかけて 小津は天才的であり➡ 154 00:08:34,981 --> 00:08:37,984 およそ 破廉恥な噂ならば 知らぬ事は ないという➡ 155 00:08:37,984 --> 00:08:39,986 独自の情報網を駆使して わたしが 油をまくそばから➡ 156 00:08:39,986 --> 00:08:42,989 火を付けて回り ある事ない事 吹聴して 常にサークル内の➡ 157 00:08:42,989 --> 00:08:44,991 どこかで 修羅場の炎が 燃えさかるという➡ 158 00:08:44,991 --> 00:08:46,993 彼好みの環境を つくり上げた> 159 00:08:46,993 --> 00:08:50,997 <まさに 悪の権化にふさわしい  ホモサピエンスの 面汚しである> 160 00:08:50,997 --> 00:08:52,999 <サークルを追われた後も わたしたちの活動は➡ 161 00:08:52,999 --> 00:08:55,001 緩むことなく さらに グローバルに展開され➡ 162 00:08:55,001 --> 00:08:57,003 死神の いでたちをした 「黒いキューピッド」として➡ 163 00:08:57,003 --> 00:08:59,005 その 悪名を とどろかせた> 164 00:08:59,005 --> 00:09:00,940 <東に 恋する乙女がいれば 「あんな変態やめろ」と言い➡ 165 00:09:00,940 --> 00:09:02,942 西に 片思いに悩む男がいれば➡ 166 00:09:02,942 --> 00:09:04,944 「無駄なことは やめておけ」 と助言する> 167 00:09:04,944 --> 00:09:06,613 <南で 恋の火花が 散りかけていれば➡ 168 00:09:06,613 --> 00:09:09,949 すぐさま 水を掛けてやり 北では 常に 恋愛無用論を説いた> 169 00:09:09,949 --> 00:09:11,618 <ときに 被害者に危うく 琵琶湖疏水に➡ 170 00:09:11,618 --> 00:09:13,286 沈められそうになり 下宿を包囲され➡ 171 00:09:13,286 --> 00:09:15,955 北白川の 漫画喫茶で息を殺し 直截にものを言い過ぎて➡ 172 00:09:15,955 --> 00:09:17,957 近衛通の路上で 泣かれたりした しかし➡ 173 00:09:17,957 --> 00:09:19,959 わたしは 負けなかった。 負けることができなかった> 174 00:09:19,959 --> 00:09:21,628 <しかし 負けていた方が わたしも みんなも➡ 175 00:09:21,628 --> 00:09:23,296 幸せになれたに 違いない!> 176 00:09:23,296 --> 00:09:25,999 <小津は 幸せにならなくても よい!!> 177 00:09:29,969 --> 00:09:31,971 はあはあ…。 178 00:09:31,971 --> 00:09:33,973 <木屋町まで逃げ切った わたしが 息を整え歩いていると➡ 179 00:09:33,973 --> 00:09:35,975 民家の軒下から 怪しげな妖気を垂れ流している➡ 180 00:09:35,975 --> 00:09:38,978 老婆が わたしを捉えた。 その えたいのしれない妖気には➡ 181 00:09:38,978 --> 00:09:40,980 説得力があり わたしは 論理的に考えた> 182 00:09:40,980 --> 00:09:43,316 <これだけの妖気を 無料で 垂れ流している人物の➡ 183 00:09:43,316 --> 00:09:45,985 占いが 当たらないわけがないと> 184 00:09:45,985 --> 00:09:47,987 (老婆)何を聞きたいんじゃ? 185 00:09:47,987 --> 00:09:50,990 あなたの顔は 大変 もどかしいという顔➡ 186 00:09:50,990 --> 00:09:53,993 不満ですね。 あなたは 才能を生かす環境に➡ 187 00:09:53,993 --> 00:09:55,995 恵まれていないと 感じています。 188 00:09:55,995 --> 00:09:57,997 そうなんです。 まさに そのとおり。 189 00:09:57,997 --> 00:10:01,000 あなたは 大変 まじめで 才能も おありのようじゃし。 190 00:10:01,000 --> 00:10:03,002 <老婆の彗眼に わたしは 早くも脱帽した> 191 00:10:03,002 --> 00:10:06,005 <能ある鷹が 爪を隠すがごとく つつましく 隠し過ぎたせいで➡ 192 00:10:06,005 --> 00:10:08,007 自分でも所在が 分からなくなっていた➡ 193 00:10:08,007 --> 00:10:10,009 わたしの良識と 才能を 一目で見抜くとは> 194 00:10:10,009 --> 00:10:12,011 とにかく 好機を逃さないことが 肝心じゃ。 195 00:10:12,011 --> 00:10:14,013 好機? 好機というのは➡ 196 00:10:14,013 --> 00:10:17,016 よい機会ということじゃ。 それは 分かってます。 197 00:10:17,016 --> 00:10:19,018 好機は いつでも あなたの目の前に➡ 198 00:10:19,018 --> 00:10:21,020 ぶら下がってございます。 あなたは その好機を➡ 199 00:10:21,020 --> 00:10:24,023 捉えて 行動に出なくちゃいけません。 200 00:10:24,023 --> 00:10:27,026 んー やけに漠然としてますね。 もっと具体的に。 201 00:10:27,026 --> 00:10:30,029 さもな! い! と! あなたは➡ 202 00:10:30,029 --> 00:10:33,032 また 今と変わらぬ 人生を歩むことじゃろう。 203 00:10:33,032 --> 00:10:36,035 はい 1,000円。 まだ 何も解決してないのに! 204 00:10:36,035 --> 00:10:40,039 (小津)迷える小羊ごっこですか? 205 00:10:40,039 --> 00:10:42,041 (羽貫)小津君の お友達? 206 00:10:42,041 --> 00:10:44,043 (小津)うぢぢぢ!! 207 00:10:44,043 --> 00:10:47,046 この 破廉恥野郎! あの モテモテぶりはどういうことだ! 208 00:10:47,046 --> 00:10:49,048 (小津)あなた ちょっと 八つ当りが過ぎますよ。➡ 209 00:10:49,048 --> 00:10:54,053 こんな菌の塊 わたしに食わせて。 何すか? このヒダヒダは? 210 00:10:54,053 --> 00:10:57,056 あれは 僕の通ってる歯医者の 歯科衛生士なんです。 211 00:10:57,056 --> 00:10:59,993 すっかり酔っぱらってたみたいで 飲みに誘われたんですよ。 212 00:10:59,993 --> 00:11:01,995 歯医者…。 あなたも どうです? 213 00:11:01,995 --> 00:11:04,998 あんな 若い女性が 指を口に 突っ込んでくれる機会なんて➡ 214 00:11:04,998 --> 00:11:06,100 あなたには 一生ないでしょう。 215 00:11:06,100 --> 00:11:09,002 一緒にするな そこまで落ちたくない。 216 00:11:09,002 --> 00:11:12,005 ふっふーん。 知ってますよ。 あなたが下鴨神社の➡ 217 00:11:12,005 --> 00:11:15,008 縁結びの神に お参りしてること。 218 00:11:15,008 --> 00:11:17,010 あれは 座興で一度やっただけだ。 219 00:11:17,010 --> 00:11:20,013 そういえば あなた 明石さんて どうなんです? 220 00:11:20,013 --> 00:11:23,016 (樋口)《要するに 貴君か小津君かの どちらかだ》 221 00:11:23,016 --> 00:11:25,018 どうって。 あなたという アホな人間を➡ 222 00:11:25,018 --> 00:11:27,020 理解できてしまう不幸な人は これまで➡ 223 00:11:27,020 --> 00:11:30,023 僕しかいなかったわけだけれども。 やかましい。 224 00:11:30,023 --> 00:11:33,026 彼女には できてしまいそうなんだな…。 225 00:11:33,026 --> 00:11:35,028 これは 好機ですよ。 226 00:11:35,028 --> 00:11:38,031 あのね 俺は 俺のような人間を 理解できる人より➡ 227 00:11:38,031 --> 00:11:41,034 ふはふはーっ として 美しいものだけで➡ 228 00:11:41,034 --> 00:11:43,036 頭が いっぱいの 黒髪の乙女がいい。 229 00:11:43,036 --> 00:11:46,039 また そんなワガママを言う。 まさか 1回生の時に➡ 230 00:11:46,039 --> 00:11:47,707 小日向さんに振られた事➡ 231 00:11:47,707 --> 00:11:49,375 まだ こだわっているんじゃ ないでしょうね。 232 00:11:49,375 --> 00:11:51,044 その名前を 口に出すな。 233 00:11:51,044 --> 00:11:53,046 じゃあ あんたの代わりに 幸せになってやろ。 234 00:11:53,046 --> 00:11:55,048 この好機 僕が とっちまおう。 235 00:11:55,048 --> 00:11:57,050 言ってろ 明石さんは お前などに 興味はない。 236 00:11:57,050 --> 00:11:59,986 (小津)不景気な 顔は やめましょうよ。 戦勝祝いですよ。 237 00:11:59,986 --> 00:12:01,988 うるさい。 お前のせいで 有意義な 学生生活が➡ 238 00:12:01,988 --> 00:12:03,990 台無しになってしまった。 あらら。 239 00:12:03,990 --> 00:12:05,992 それは お互いさまじゃありませんか。 240 00:12:05,992 --> 00:12:07,994 どうせ あなたは どんな道を選んだって➡ 241 00:12:07,994 --> 00:12:09,996 今みたいな ありさまに なっちまうんだ。 いずれにせよ➡ 242 00:12:09,996 --> 00:12:13,100 僕は あなたに出会って 全力で あなたを駄目にします。 243 00:12:13,100 --> 00:12:17,003 お前は なぜ わたしに 付きまとうのだ? 244 00:12:17,003 --> 00:12:19,005 僕なりの 愛ですよ。 われわれは➡ 245 00:12:19,005 --> 00:12:22,008 運命の黒い糸で 結ばれてるというわけです。 246 00:12:22,008 --> 00:12:25,011 <恐るべき幻影が 脳裏に浮かび わたしは戦慄した> 247 00:12:29,015 --> 00:12:32,018 くうくくっ…。 248 00:12:32,018 --> 00:12:36,022 (明石)先輩 もっと 食べたければ 急いでください。 249 00:12:36,022 --> 00:12:38,024 明石さん? なぜ 君がここに。 250 00:12:38,024 --> 00:12:40,026 (明石)本当に 先輩は 工夫がない人ですね。 251 00:12:40,026 --> 00:12:42,028 ここは 二次会の 定番じゃありませんか。 252 00:12:42,028 --> 00:12:44,030 先ほどの バードマンサークルが あちらに 陣取っております。➡ 253 00:12:44,030 --> 00:12:47,033 お肉は 久しぶりなので わたしも 失礼。 254 00:12:47,033 --> 00:12:51,037 宴会の後で 肉とは 農耕民族としての誇りはないのか。 255 00:12:51,037 --> 00:12:53,039 あっ 小津は? すでに 裏口から➡ 256 00:12:53,039 --> 00:12:56,042 お逃げになりました。 先輩も お逃げください。 257 00:12:56,042 --> 00:12:58,044 あの野郎 またも わたしを差し置いて。 258 00:12:58,044 --> 00:13:00,980 精算は わたしが 済ませておきましたので 裏から。 259 00:13:00,980 --> 00:13:03,983 話は 通してあります。 この借りは いずれ。 260 00:13:03,983 --> 00:13:06,986 借りは いいですから 約束を 果たしてください。 261 00:13:06,986 --> 00:13:09,989 もういいです。 お早く わたしも戻ります。 262 00:13:11,991 --> 00:13:15,995 <明石さんとは 去年の夏 下鴨古本市のバイトで出会った> 263 00:13:15,995 --> 00:13:17,997 <わたしの 1つ下の学年で➡ 264 00:13:17,997 --> 00:13:19,999 工学部に所属しているという 彼女は 何をするにも➡ 265 00:13:19,999 --> 00:13:23,002 万事手回しがよく じっと 何かを にらむような目つきは➡ 266 00:13:23,002 --> 00:13:25,004 万引犯も 手が出せないと思われた> 267 00:13:29,008 --> 00:13:32,011 (店員)へぇ~っ そんななんだ。 (2人)アハハハハ…。 268 00:13:32,011 --> 00:13:35,014 (店員)明石さんは 休みの日って 何してんの? 269 00:13:35,014 --> 00:13:38,017 何でそんなこと あなたに 言わなきゃいけないの? 270 00:13:40,019 --> 00:13:43,022 <その後 彼女に 週末の予定を聞くものはなかった> 271 00:13:43,022 --> 00:13:45,024 <わたしは 彼女に 「そのまま君の道を ひた走れ!」➡ 272 00:13:45,024 --> 00:13:47,026 と 熱いエールを送った> 273 00:13:49,028 --> 00:13:52,031 おこんばんは。 274 00:13:52,031 --> 00:13:55,034 何をしてる! 勝手に入るな! 275 00:13:55,034 --> 00:13:57,036 よくも ヌケヌケと。 276 00:13:57,036 --> 00:14:00,973 (小津)カステラです。 これあげるから 機嫌 直してください。 277 00:14:00,973 --> 00:14:03,976 珍しいではないか。 お前が 物をくれるなんて。 278 00:14:03,976 --> 00:14:05,978 大きなカステラを 1人で食べるというのは➡ 279 00:14:05,978 --> 00:14:07,980 孤独の極地ですからね。 280 00:14:07,980 --> 00:14:10,983 人恋しさを しみじみ 味わってほしくて ででででっ! 281 00:14:10,983 --> 00:14:12,985 とっとと出ていけ! 俺は 忙しいんだ!! 282 00:14:12,985 --> 00:14:14,987 ままっ そう言わず。 帰れ! 283 00:14:16,989 --> 00:14:18,991 <どうせ あいつは また この下宿にいるという➡ 284 00:14:18,991 --> 00:14:20,993 師匠の所へでも 訪ねてきたんだろう> 285 00:14:20,993 --> 00:14:22,995 <この カステラも その余り物に違いない> 286 00:14:22,995 --> 00:14:24,997 <とはいえ まさしく小津の 言うとおり これだけのカステラは➡ 287 00:14:24,997 --> 00:14:26,999 誰かと 一緒に食べたいものだ> 288 00:14:26,999 --> 00:14:29,001 <断じて 小津などではなく 例えば 明石さ…> 289 00:14:31,003 --> 00:14:34,006 <明石さんの 名前が出てきたのは われながら 驚いた> 290 00:14:34,006 --> 00:14:36,008 <あの みょうちくりんな 神を名乗る男は➡ 291 00:14:36,008 --> 00:14:39,011 わざわざ出雲へ出掛けて 男女の 縁結びをすると言っていたが➡ 292 00:14:39,011 --> 00:14:42,014 本当に そんなこと あってたまるか> 293 00:14:42,014 --> 00:14:45,017 <神無月 つまり旧暦の10月 やおよろずの神々が➡ 294 00:14:45,017 --> 00:14:48,020 出雲へ集まって 諸国が お留守になるということは➡ 295 00:14:48,020 --> 00:14:50,022 多くの人が 知っていよう。 わたしだって知っていた> 296 00:14:50,022 --> 00:14:52,024 <その中には 相当 みょうちくりんな➡ 297 00:14:52,024 --> 00:14:54,026 神様も おわしますに違いない。 それは問題ない> 298 00:14:54,026 --> 00:14:56,028 <わたしが 常々 疑問に思っていたのは➡ 299 00:14:56,028 --> 00:14:58,030 それだけの神様を わざわざ出雲へ集めて➡ 300 00:14:58,030 --> 00:14:59,966 何をやっているか ということだった> 301 00:14:59,966 --> 00:15:01,968 <そこには やおよろずの神々が出雲で➡ 302 00:15:01,968 --> 00:15:03,970 かんかんがくがくの論争結果…> 303 00:15:03,970 --> 00:15:05,972 <男女の 縁を決めてると 書いてあった!> 304 00:15:10,977 --> 00:15:12,979 <真偽を確かめるには 今から 2階に上がって➡ 305 00:15:12,979 --> 00:15:14,981 神様に面会すればよい。 しかし それで昨日の神が> 306 00:15:14,981 --> 00:15:16,983 (樋口) 《やーい 引っ掛かった。 あはは…》 307 00:15:16,983 --> 00:15:18,985 <などと言ってきたら 目も当てられない> 308 00:15:18,985 --> 00:15:21,988 <己を 罵倒しながら残りの半生を 送る羽目になるだろう> 309 00:15:21,988 --> 00:15:23,990 <よしんば あの男が 本物の神様だったとして さして➡ 310 00:15:23,990 --> 00:15:26,993 熱烈な恋に 身を焦がしている わけでもあるまいに> 311 00:15:26,993 --> 00:15:28,995 <刹那的な寂しさから 赤の他人を求めるなど➡ 312 00:15:28,995 --> 00:15:30,997 わたしの信条に反する。 そうやって 孤独に耐え得ず➡ 313 00:15:30,997 --> 00:15:33,100 ガツガツと他人を求める ふらちな 学生たちを軽蔑すればこそ➡ 314 00:15:33,100 --> 00:15:35,668 恋の邪魔者という➡ 315 00:15:35,668 --> 00:15:38,070 限りなく 汚名に近い名を はせてきたのではなかったか!> 316 00:15:42,008 --> 00:15:44,010 <不毛な苦闘に憂き身をやつし ついには➡ 317 00:15:44,010 --> 00:15:46,012 限りなく 敗北に近い勝利を 収めたのではなかったか!> 318 00:15:46,012 --> 00:15:48,014 <恋の邪魔者たる わたしが➡ 319 00:15:48,014 --> 00:15:50,016 いまさら 生き方を変えることなど 許されるのか!> 320 00:15:50,016 --> 00:15:51,684 <それこそ クモの糸に しがみついたところを➡ 321 00:15:51,684 --> 00:15:53,352 ぷつんと切られて お釈迦様に➡ 322 00:15:53,352 --> 00:15:55,021 エンターテインメントを提供するのが オチではないか!> 323 00:15:55,021 --> 00:15:58,024 《じゃあ あんたの代わりに 僕が 幸せになってやろ》 324 00:15:58,024 --> 00:15:59,959 <あの 明石さんが 小津のような変態偏食妖怪に➡ 325 00:15:59,959 --> 00:16:01,961 だまされるわけがないと 思う一方➡ 326 00:16:01,961 --> 00:16:03,629 彼女には あの 妖怪のような男でも➡ 327 00:16:03,629 --> 00:16:06,032 面白がれるだけの懐の深さが あると思われた> 328 00:16:08,968 --> 00:16:10,970 <このまま 小津と明石さんが 懇ろになるようなことがあれば➡ 329 00:16:10,970 --> 00:16:12,972 わたし一人の 人恋しさの問題ではない> 330 00:16:12,972 --> 00:16:14,974 <明石さんの将来に かかわることだ> 331 00:16:14,974 --> 00:16:16,642 <わたしの理性までが カステラのように➡ 332 00:16:16,642 --> 00:16:18,978 ボロボロ崩れていくかに思えた> 333 00:16:18,978 --> 00:16:22,982 負けてたまるか! 人恋しさに負けてたまるか! 334 00:16:28,988 --> 00:16:31,991 それはもう 無類の味なのだが いかんせん➡ 335 00:16:31,991 --> 00:16:34,994 どこへ やって来るか分からない 神出鬼没のラーメン屋なのです。 336 00:16:34,994 --> 00:16:36,996 先輩は よく行かれるのですね。 337 00:16:36,996 --> 00:16:39,999 ああ わたしは もう 鼻が利くからね。 338 00:16:39,999 --> 00:16:43,002 空腹に耳を傾ければ 猫ラーメンの風鈴の音が聞こえてくる。 339 00:16:43,002 --> 00:16:47,006 わたしも 食してみたいです。 340 00:16:47,006 --> 00:16:51,010 ぎょえ~ わっわっわぁ~ やっやっあ~…。 341 00:16:51,010 --> 00:16:54,013 放せ! 放すんだ 明石さん! フゥッヒッヒッ ウワー フッ。 342 00:16:54,013 --> 00:16:56,015 ハッ むにゅっとしてました。 むにゅっと。 343 00:16:56,015 --> 00:16:59,018 まあまあ 落ち着きたまえ。 ハッ。 344 00:17:01,954 --> 00:17:04,957 はあ。 345 00:17:04,957 --> 00:17:07,960 あっ すみません。 ガは 苦手なんです。 346 00:17:07,960 --> 00:17:10,963 これは モチグマンといって 5匹で一揃いなのですが➡ 347 00:17:10,963 --> 00:17:12,965 1匹 なくしてしまって。 348 00:17:12,965 --> 00:17:15,968 心配するな どうせ 地球は 丸いのだ。 いつか また会える。 349 00:17:15,968 --> 00:17:18,971 何なら わたしが 捜してあげてもいい。 350 00:17:18,971 --> 00:17:21,974 それより 猫ラーメンに 連れていってください。 351 00:17:21,974 --> 00:17:24,977 そんなことなら。 約束ですよ。 352 00:17:27,980 --> 00:17:30,983 <約束って そうか…> 353 00:17:30,983 --> 00:17:33,986 <わたしは 綿密に物事を分析して 分析し尽くした揚げ句➡ 354 00:17:33,986 --> 00:17:35,988 おもむろに 万全の対策を取る> 355 00:17:35,988 --> 00:17:37,990 <むしろ 万全の対策が 手遅れになることも➡ 356 00:17:37,990 --> 00:17:39,659 ちゅうちょせずに 分析する男である> 357 00:17:39,659 --> 00:17:41,994 <明石さんの人生 わたしの人生を いく通りものパターンで分析し➡ 358 00:17:41,994 --> 00:17:44,997 誰が幸せになるべきで 誰が ならないべきか➡ 359 00:17:44,997 --> 00:17:46,999 これは すぐに結論が出た。 しかし 散々➡ 360 00:17:46,999 --> 00:17:48,668 人の恋路を邪魔してきた わたしが いまさら➡ 361 00:17:48,668 --> 00:17:51,070 生き方を変えられるかというのが 最大の難問であった> 362 00:17:55,007 --> 00:17:57,009 <人恋しさと理性が くんずほぐれつの死闘を➡ 363 00:17:57,009 --> 00:17:59,011 演じた結果 わたしは 寝不足の頭を抱え➡ 364 00:17:59,011 --> 00:18:01,013 210号室のドアを たたいた> 365 00:18:03,950 --> 00:18:05,952 ⚟(樋口)ふぁい。 366 00:18:08,955 --> 00:18:12,959 小津は いけません。 わたしと明石さんにしてください。 367 00:18:12,959 --> 00:18:17,964 うん。 よかろう。 ちょっと待ちたまえ。 368 00:18:17,964 --> 00:18:20,967 ☎(操作音) 369 00:18:20,967 --> 00:18:23,970 (樋口)そうか 分かった。 了解 了解。 370 00:18:23,970 --> 00:18:25,972 ☎(通話の切れる音) 371 00:18:25,972 --> 00:18:30,977 今夜 8時前に 賀茂大橋の東詰で待ち合わせだ。 372 00:18:30,977 --> 00:18:32,979 (警察官)止まらないでください。 止まらないでください。➡ 373 00:18:32,979 --> 00:18:34,981 橋の上で止まっては 危険です。 374 00:18:34,981 --> 00:18:36,983 (樋口)今日は 五山か。 375 00:18:36,983 --> 00:18:38,985 これから 君は この賀茂大橋を渡る。➡ 376 00:18:38,985 --> 00:18:41,988 すると 向こうから 明石さんが歩いてくる。 377 00:18:41,988 --> 00:18:45,992 何か話し掛けて あいびきに誘いなさい。 378 00:18:45,992 --> 00:18:48,995 無理です! お断りする! 駄々を こねるな。 379 00:18:48,995 --> 00:18:50,997 おかしいじゃないか! 380 00:18:50,997 --> 00:18:53,100 あんた 出雲に出掛けて 縁結びしてくれるんじゃないのか。 381 00:18:53,100 --> 00:18:56,002 (樋口) こうした 布石も大事だ。 382 00:18:56,002 --> 00:18:58,004 これだと ただの正攻法ではないか! 383 00:18:58,004 --> 00:19:01,941 (樋口)あー つべこべ言うな。 行きなさい。 384 00:19:01,941 --> 00:19:08,948 (歓声) (シャッター音) 385 00:19:08,948 --> 00:19:10,950 これまでのことは 水に流す! 386 00:19:10,950 --> 00:19:13,953 今こそ ばら色のキャンパスライフへと まい進するのだ! 387 00:19:13,953 --> 00:19:26,966 ♬~ 388 00:19:26,966 --> 00:19:29,969 あっ 先輩 こんばんは。 あー うっ…。 389 00:19:29,969 --> 00:19:33,973 昨日は 無事 逃げられましたか? お… おかげさまで うん。 390 00:19:33,973 --> 00:19:35,975 五山ですか? 391 00:19:37,977 --> 00:19:41,981 そうそう! うん。 あー それでは。 392 00:19:46,986 --> 00:19:48,988 <いや よくやった! 今日は ここまで➡ 393 00:19:48,988 --> 00:19:51,991 恋路の走り方など かけらも 学んでこなかった わたしが➡ 394 00:19:51,991 --> 00:19:54,994 ここまで できたのだ。 これで 精いっぱい!> 395 00:19:54,994 --> 00:19:57,997 (小津)おー おい! 396 00:19:57,997 --> 00:20:00,100 今日は ここまでなんて 思ってるんじゃないでしょうな! 397 00:20:00,100 --> 00:20:05,004 神の言葉に逆らわず とっとと 恋路を走りやがれ! 398 00:20:05,004 --> 00:20:08,007 さては 全部 お前のたくらみか! 399 00:20:08,007 --> 00:20:10,009 (小津)縁結びの神に お願いしたでしょう? 400 00:20:10,009 --> 00:20:11,677 大きな お世話だ! 401 00:20:11,677 --> 00:20:15,014 今こそ 好機を つかんでやれ! 402 00:20:15,014 --> 00:20:19,018 今すぐ ガツンと いかないと ここから 飛び降りてやる! 403 00:20:19,018 --> 00:20:21,020 ちょっと待て! 俺の恋路と➡ 404 00:20:21,020 --> 00:20:24,023 お前が飛び降りることと 何の関係がある! 405 00:20:24,023 --> 00:20:26,025 僕にも ちょっと分かりません。 406 00:20:26,025 --> 00:20:28,027 (明石)小津さん! 水かさが増えてます。➡ 407 00:20:28,027 --> 00:20:31,030 飛び降りると 死にます。 408 00:20:31,030 --> 00:20:33,032 (学生たち)おー! 409 00:20:33,032 --> 00:20:36,035 (学生たち)おい 小津! 殺すぞ お前! 下りてこい! 410 00:20:36,035 --> 00:20:38,037 (城ヶ崎) この 裏切り者が! 411 00:20:38,037 --> 00:20:41,040 (相島) もう逃げられんぞ 小津! 412 00:20:41,040 --> 00:20:44,043 花火の仕返しか? しかし これは? 413 00:20:44,043 --> 00:20:47,046 小津先輩! また 何を やらかしたのですか!? 414 00:20:47,046 --> 00:20:50,049 おい ちょっと… ああ! (学生)この 腐れ外道が! 415 00:20:50,049 --> 00:20:52,051 小津! 416 00:20:56,055 --> 00:20:59,992 (学生)こいつも仲間か!? いや わたしは 小津と関係ない。 417 00:20:59,992 --> 00:21:02,995 (学生)うりゃ。 やめろ! ありゃ! 418 00:21:02,995 --> 00:21:04,997 <あの 運命の時計台前で➡ 419 00:21:04,997 --> 00:21:08,000 テニスサークル「キューピット」を選んだことへの 後悔の念は 振り払えない> 420 00:21:08,000 --> 00:21:10,002 <あのとき ほかのサークルを選んでいれば➡ 421 00:21:10,002 --> 00:21:12,004 わたしは もっと 別の2年間を 送っていただろう> 422 00:21:12,004 --> 00:21:14,006 <幻の至宝といわれる 「ばら色のキャンパスライフ」を➡ 423 00:21:14,006 --> 00:21:16,008 手に握っていたかもしれない> 424 00:21:25,017 --> 00:21:35,027 ♬~